JP4700382B2 - トランスファ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置に関する。
一般にこの種のトランスファ装置には、ワーク搬送方向に直動する複数(例えば、1対)のスライダが備えられ、それら各スライダにそれぞれフィンガーが取り付けられている。そして、この種のトランスファ装置の従来例として、1対のスライダを1対のリニアモータにより別々に駆動することにより、それら両スライダの直動ピッチを異ならせたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、別の従来例として、1対のスライダの直動ピッチを異ならせるために、主駆動源とは別にエアアクチュエータを備えたものや(例えば、特許文献2参照)、1対のスライダのうち第1のスライダに第2のスライダを直動可能に連結し、第1及び第2の両スライダを移動する途中で第2のスライダのみをストッパに当接させるもの(例えば、特許文献3参照)、さらには、1対のスライダの間を変速ギヤで連結したものが公知になっている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−153997号公報(段落[0113]、[0122]、第5図) 特開2002−35872号公報(段落[0012]、[0017]、第1図,第2図) 実公昭56−53946号公報(2頁左欄、第3図) 実開昭59−114246号公報(第1図)
しかしながら、上記した従来のトランスファ装置のように、複数の駆動源で複数のスライダを駆動するものでは(特許文献1及び2)、駆動源が増えた分、コストが増すと共に、駆動源同士を同期させる必要があるため高速化が困難であった。また、1対のスライダの一方のみをストッパに当接させるものでは(特許文献3)、フィンガーの位置決め精度が低くなると共に、当接時の騒音・衝撃が問題になるため高速化が困難であった。さらに、1対のスライダの間を変速ギヤで連結したものでは(特許文献4)、ギヤのバックラッシにより位置決め精度が低くなると共に、ギヤの潤滑油の飛散が問題になるのでやはり高速化が困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来のものより高速運転可能なトランスファ装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るトランスファ装置は、1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、設定されたピッチでワーク搬送方向に直動可能でフィンガーが取り付けられた第1スライドベースと、第1スライドベースに同一直線状に並んだ状態で案内されて相対移動可能に取り付けられ、第1のスライドベースとは異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能でかつフィンガーが取り付けられた第2スライドベースと、第1スライドベース及び第2スライドベースに取り付けられた各フィンガーを開閉駆動するための複数のフィンガー駆動部と、第1スライドベースをワーク搬送方向に直動可能に案内するとともに、複数のフィンガー駆動部をワーク搬送方向に移動不能に保持しかつワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、各フィンガーと各フィンガー駆動部との間に連結されて各スライドベースの直動に伴って揺動するとともに、フィンガー駆動部の駆動力をフィンガーに伝達する複数の揺動部材と、ワーク搬送方向において第1スライドベースから離れた位置に配置され、所定の駆動源からの駆動力を受けて揺動される第1てこ部材と、第1てこ部材に隣接して配置され、駆動源からの駆動力を受けて揺動される第2てこ部材と、第1スライドベースと第1てこ部材の間に連結された第1リンク部材と、第2スライドベースと第2てこ部材の間に連結された第2リンク部材とを備え、第1スライドベースは第1てこ部材の揺動により第1リンク部材を介して固定ベースに案内されてワーク搬送方向に直動し、第2スライドベースは第2てこ部材の揺動により第2リンク部材を介して第1スライドベースに同一直線状に並んだ状態で案内されてワーク搬送方向に直動し、複数のフィンガー駆動部が固定ベースにワーク搬送方向に移動不能に保持されてワーク搬送方向と直交する方向に移動し複数の揺動部材を介することにより、第1スライドベースと第2スライドベースに取り付けられた各フィンガーは、それぞれ異なるピッチでワーク搬送方向に直動し開閉駆動されるようにしたところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項1に記載のトランスファ装置において、ワーク搬送方向の始端部に配置された第2スライドベースの直動ピッチは、第1スライドベースの直動ピッチよりも大きくしたところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置において、各フィンガーに設けられ、第1スライドベース及び第2スライドベースに回動可能に軸支された1対のフィンガー部材と、1対のフィンガー部材のそれぞれに形成されて互いに対向し、間にワークを挟んで把持する1対のワーク把持部と、各フィンガーに設けられ、各フィンガー駆動部の往復運動を、揺動部材の軸方向で受け、1対のワーク把持部の開閉運動に変換する把持動作変換機構とを備えたところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項に記載のトランスファ装置において、ワークは、トランスファ装置により間欠的に搬送された位置においてパンチ及びダイによって成形され、ワーク把持部が開いた状態で各スライドベースを往復動させたときにフィンガー部材が、パンチから離れた位置を通過するように構成したところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項3乃至4の何れかに記載のトランスファ装置において、1対のフィンガー部材を第1スライドベース又は第2スライドベースに回動可能に軸支すると共に鋏状に交差させて、その交差部分より先端側のワーク把持部同士を対向配置し、一方と他方のフィンガー部材に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材を設け、さらに、フィンガーリンク部材及び/又は一方のフィンガー部材に、駆動部部材の一端を回動可能に連結して把持動作変換機構が構成されたところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項3乃至5の何れかに記載のトランスファ装置において、フィンガー駆動部が一方向に移動するときに弾性変形される弾性部材を備え、フィンガー駆動部が他方向に移動するときの弾性部材の弾発力によって、1対のワーク把持部が閉じられるように構成したところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置において、第1てこ部材と第2てこ部材とは、カムの回転に従動するカムフォロアを一方端に取り付け共通の揺動中心で揺動可能に支持され,第1てこ部材の他方端の第1リンク部材との連結位置と,第2てこ部材の他方端の第2リンク部材との連結位置とは、揺動中心からの距離が異なるように構成したところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置において、第1てこ部材と第2てこ部材は所定の駆動源からそれぞれ個別のカムを介して揺動されるように構成したところに特徴を有する。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置において、第1リンク部材及び/又は第2リンク部材にはリンク長さを調整するための長さ調整手段を設けたところに特徴を有する。
[請求項1,及びの発明]
請求項1,及びに記載のトランスファ装置では、第1てこ部材と第1スライドベースとが第1リンク部材で、第2てこ部材と第2スライドベースとが第2リンク部材で連結され、それぞれ個別に駆動される。第1スライドベースは第1てこ部材の揺動により第1リンク部材を介して固定ベースに案内されてワーク搬送方向に直動し、第2スライドベースは第2てこ部材の揺動により第2リンク部材を介して第1スライドベースに同一直線状に並んだ状態で案内されてワーク搬送方向に直動し、複数のフィンガー駆動部が固定ベースにワーク搬送方向に移動不能に保持されてワーク搬送方向と直交する方向に移動し複数の揺動部材を介することにより、第1スライドベースと第2スライドベースに取り付けられた各フィンガーは、それぞれ異なるピッチでワーク搬送方向に直動し開閉駆動され、これら複数のフィンガーにより、複数のワークを異なるピッチで搬送することができる。
ここで、第1てこ部材の他方端の第1リンク部材との連結位置と、第2てこ部材の他方端の第2リンク部材との連結位置とは、揺動中心から異なる揺動半径の位置に配置されている(請求項の発明)ので、第1スライドベースと第2スライドベースを異なるピッチで直動することが可能となる。また、第1てこ部材と第2てこ部材は所定の駆動源からそれぞれ個別のカムを介して揺動される(請求項の発明)ので、第1てこ部材と第2てこ部材の揺動角度はそれぞれのカムによって設定可能となり、第1スライドベースと第2スライドベースの直動の送りピッチを異なるピッチで搬送することが可能となる。そして、これらスライドベースに備えた複数のフィンガーにより、複数のワークを異なるピッチで搬送することができる。即ち、本発明によれば、従来のようにストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。
[請求項の発明]
請求項に記載のトランスファ装置は、ワーク搬送方向の始端部に配置された第2スライドベースの直動ピッチが大きいので、複数の加工工程の最初の加工工程においてワークを板材から打ち抜くプレス機に適する。そして、最初の加工工程間のピッチ以外の各加工工程間のピッチを、全ての加工工程間のピッチを同じにした場合のものより小さくすることが可能なので、トランスファ装置及びプレス機をワーク搬送方向でコンパクトな構成にすることができる。
[請求項の発明]
請求項に記載のトランスファ装置では、各フィンガー駆動部の往復運動が、揺動部材の軸力として把持動作変換機構に伝達されて、各フィンガーに備えた1対のフィンガー部材が回動される。これにより、両フィンガー部材に備えた1対のワーク把持部が開閉され、ワークを確実に把持又は解放することができる。
[請求項の発明]
請求項に記載のトランスファ装置では、ワーク把持部を開いた状態にすれば、フィンガー部材とパンチとがワーク搬送方向で干渉しなくなり、フィンガーをワーク搬送方向と直交する方向に昇降動作させなくても、ワーク把持部の開閉動作と各スライドベースの往復動作だけで、ワークを順次隣の加工工程に搬送することができる。
[請求項の発明]
請求項に記載のトランスファ装置における把持動作変換機構では、摺動用の長孔構造を要さず、回動可能な軸支構造だけで構成したので、がたが少なくなり、安定してワークを把持・搬送することができる
[請求項6の発明]
請求項に記載のトランスファ装置では、弾性部材の弾発力によって1対のワーク把持部が閉じられるので、ワークを把持する際の衝撃及びワークの大きさのばらつきを、弾性部材の変形によって吸収することができる
[請求項9の発明]
請求項に記載のトランスファ装置では、第1リンク部材及び/又は第2リンク部材にはリンク長さを調整するための長さ調整手段を設けたので、第1スライドベース又は第2スライドベースの直動の送り位置を調整することが可能となる。そして、これらスライドベースに備えた複数のフィンガーの送り位置を微調整することが簡単になる。
[第1実施形態]
以下、プレス機に組み付けられた本発明のトランスファ装置20に係る実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1は本発明に係るトランスファ装置の正面図、図2はトランスファ装置の主要部を示す正面図、図3は図1のA−A断面図、図4は図1のB−B断面図、図5は図1のC矢視図、図6はフィンガーの分解斜視図、図7(A)はフィンガーが閉じた状態の正面図、図7(B)はフィンガーが開いた状態の正面図、図8は各スライドベースがワーク搬送方向の前方に移動した状態のトランスファ装置の正面図である。
図1に示すように、プレス機のダイホルダー11Aには、例えば複数のダイ11が水平方向に並べて設けられている。各ダイ11には、それぞれ成形孔19が設けられ、プレス機に備えた図示しない可動台に固定された複数のパンチ12(図3参照)が、各成形孔19に突入可能となっている。そして、このプレス機では、上記した各パンチ12と各ダイ11とからなる複数の加工ステージ毎に加工工程が分けられ、ワークを各加工ステージ(各加工工程)に、図示矢印X方向に順番に搬送することでワークに複数回のプレス加工が施され、最終的に筒状のワークが成形される。
また、ワークは、ワーク搬送方向(図1のX矢印方向)の始端側(図1の右側)から終端側の加工工程に進むほど径が小さくなる。このため、本実施形態のプレス機では、図1に示すように、ワーク搬送方向の始端側より終端側が隣り合ったダイ11間のピッチを狭くして、プレス機全体のコンパクト化を図っている。詳細には、図1に示すように、ダイ11は7つ備えられ、ワーク搬送方向の始端側から1,2番目のダイ11,11の間が大きなピッチP1となっており、2,3番目以降の隣り合ったダイ11,11の間が小さなピッチP2となっている。
なお、成形孔19内で成形されたワークは、成形孔19の奥部に備えられた図示しないノックアウトによって成形孔19から押し出されるようになっている。
上記プレス機の各加工工程(加工ステージ)でプレス加工したワークを、それぞれ次の加工工程に順次搬送するために本発明に係るトランスファ装置20が設けられている。このトランスファ装置20には、前記した2種類のピッチP1,P2に対応させて、第1スライドベース22と第2スライドベース23が設けられている。第1スライドベース22は、固定ベース10の上面にワーク搬送方向に沿って凹状に形成された係合溝10Aに、凸状レール部22Aが案内されて直動可能となっている。また、第2スライドベース23は、この凸状レール部22Aの始端側への延長部分22C(図4参照)に案内されて直動可能となっている。詳細には、第1スライドベース22は、図3に示すように、固定ベース10の上面に形成された凹状の係合溝10Aの面と一対の蓋10Bとにより4面をガイドされて直動する。また、第2スライドベース23は、図4に示すように、そのベース部23Aと一対の側板23B,23Bとともに、第1スライドベース22の凸状レール部22Aの延長部分22Cに、跨ぐようにして嵌合して直動可能となっている。これにより、第1スライドベース22と第2スライドベース23が同一直線状に並んだ状態で、それぞれ直動可能となっている。
図1に示すように、第1スライドベース22と第2スライドベース23には、それぞれフィンガー21が取り付けられている。具体的には、ワーク搬送方向の始端側の第2スライドベース23には1つのフィンガー21が取り付けられ、第1スライドベース22には5つのフィンガー21が取り付けられている。各フィンガー21は、図6に示すように1対のフィンガー部材25,26と、それらフィンガー部材25,26(以下、適宜、「第1フィンガー部材25」と「第2フィンガー部材26」という)の間を連結するフィンガーリンク部材27とを備えてなり、これら各部材25,26,27が、第1スライドベース22と第2スライドベース23に備えた対向壁22Tと24,及び23Tと24と(図3,4参照)の間に収められ、かつ複数のピン31〜33により連結されている。対向壁22Tと24,及び23Tと24の間にはスペーサ24Aがそれぞれ挿入され、スペーサ24Aはそれぞれ各対向壁側からボルトにより固定されている。スペーサ24Aには中央部分がワーク搬送方向に小判状の孔24Bが工程間毎に形成されており、後述の揺動部材28が移動可能となっている。
第1フィンガー部材25は、板部材25Wの上部にワーク把持部25Hを一体に備えた構造をなし、板部材25Wの下端部には1対のピン孔25A,25Cが貫通形成されている。一方、第2フィンガー部材26は、斜め上方に向かって延びた帯板部材26Wの上端部にワーク把持部26Hを備えた構造になっている。帯板部材26Wは、中間部分がクランク状に屈曲しており、その屈曲部分を挟んだ両側に1対のピン孔26B,26Dが貫通形成されている。
また、第1及び第2の両フィンガー部材25,26は、図7(A)に示すように、互いに鋏状に交差されて、その交差部分より先端側のワーク把持部25H,26H同士が対向配置された状態になっている。そして、各フィンガー部材25,26に備えた1対のピン孔のうち、両ワーク把持部25H,26Hの接合面から最も離れた側のピン孔25A,ピン孔26Bに貫通したピン31,31が、第1スライドベース22の対向壁22Tにおける1対のピン孔22A,22Aと対向壁24の図示しない1対のピン孔にそれぞれ嵌合され、また、第2スライドベース23の対向壁23Tにおける1対のピン孔23A,23Aと対向壁24の図示しない1対のピン孔にそれぞれ嵌合されている。これにより、第1及び第2のフィンガー部材25,26が、第1スライドベース22又は第2スライドベース23に対してピン31,31を中心にそれぞれ回動可能となっている。
また、第2フィンガー部材26の残りのピン孔26Dと、第1フィンガー部材25の残りのピン孔25Cとは、図7(A)に示すように上下に並んでおり、これらピン孔25C,26Dに、帯板状のフィンガーリンク部材27の両端部のピン孔27C,27Dが重ねられ、そこにピン33,32がそれぞれ嵌合されている。これにより、第1及び第2のフィンガー部材25,26が、互いに連動して第1スライドベース22及び第2スライドベース23に対して回動し、ワーク把持部25H,26Hが接近及び離間する。
なお、このように第1及び第2のフィンガー部材25,26及びフィンガーリンク部材27が組み付けられた状態で、フィンガーリンク部材27は、第2フィンガー部材26における帯板部材26Wのうち第1フィンガー部材25と反対側の段差部分に収まり、帯板部材26Wにおける一方の対向壁24と隣接する側の側面とフィンガーリンク部材27の側面とがほぼ面一になっている。
さて、両ワーク把持部25H,26Hは、図7(A)に示すように、互いに対称状態に対向している。そして、ワーク把持部25H,26Hが最も接近して両ワーク把持部25H,26Hの下端部が接合された全体形状は、上方側が開放した円弧溝を有する溝形部材になる。即ち、ワーク把持部25H,26Hは、そのような溝形部材形を2分割した構成物の一方と他方の形状になっている。
各フィンガー21は、後述する各プランジャ50(本発明に係る「フィンガー駆動部」に相当する)によって駆動される。フィンガー21と後述するプランジャ50との間には、揺動部材28が連結されている。そして、プランジャ50の往復運動が、揺動部材28の軸力として各フィンガー21に伝達され、ワーク把持部25H,26Hが開閉される。具体的には、揺動部材28は、図6に示すように、上下方向に延びた帯板状をなし、上下の両端部にピン孔28B,28Cを備える。また、揺動部材28の上端部は、第1フィンガー部材25の板部材25Wとフィンガーリンク部材27との間に挟まれかつ第1フィンガー部材25における板部材25Wの下方に配置されている。そして、その揺動部材28の上端部のピン孔28Cに、フィンガーリンク部材27のピン孔27C及び第1フィンガー部材25のピン孔25Cに嵌合されたピン33が挿通されている。これにより、揺動部材28の軸力を受けて、第1及び第2のフィンガー部材25,26が回動する。
詳細には、図7(A)に示すように、ワーク把持部25H,26Hの下端部が互いに接近した状態(これを、以下、「ワーク把持部25H,26Hが閉じた状態」という)から揺動部材28が下方に引かれると、図7(B)に示すように、第1フィンガー部材25が同図における反時計回り方向に回動して、一方のワーク把持部25HがワークWの左斜め下方に離間する。このとき、フィンガーリンク部材27も下方に下げられるので、これにより、第2フィンガー部材26が同図における時計回り方向に回動し、他方のワーク把持部26Hが、一方のワーク把持部25Hと対称的にワークWの右斜め下方に離間する。これにより、図7(B)に示すように、ワーク把持部25H,26Hが互いに離間した状態(これを、以下、「ワーク把持部25H,26Hが開いた状態」という)になる。ワーク把持部25H,26Hが開いた状態から揺動部材28が上方に移動すると、上記動作とは逆に両フィンガー部材25,26及びフィンガーリンク部材27が作動してワーク把持部25H,26Hが閉じられる。そして、この揺動部材28がプランジャ50の往復動によって上下動される。
即ち、各フィンガー21は、プランジャ50の往復運動を揺動部材28の軸方向で受け、ワーク把持部25H,26Hの開閉運動に変換する把持動作変換機構29(図6参照)を備えており、その把持動作変換機構29は、上述の如く、1対のフィンガー部材25,26を第1スライドベース22及び第2スライドベース23に回動可能に軸支するとともに鋏状に交差させて、その交差部分より先端側のワーク把持部25H,26H同士を対向配置し、両フィンガー部材25,26に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材27を設け、さらに、第1フィンガー部材25に、揺動部材28の一端を回動可能に連結した構成になっている。
また、フィンガー21は、ワーク把持部25H,26Hが開いた状態になると、図7(B)に示すように各ワーク把持部25H,26Hがパンチ12より下方(図7(B)における基準線L1より下方)に位置した状態になる。そして、この状態で第1スライドベース22と第2スライドベース23が後述するようにスライド移動しても、ワーク把持部25H,26Hの先端はパンチ12に干渉せずにパンチ12の下方を通過することができる。
図1,3に示すように、上記した複数のプランジャ50は、第1スライドベース22と第2スライドベース23の下方に配置された固定ベース10に組み付けられている。固定ベース10は、全体としてワーク搬送方向に延びた略角柱状をなし、プレス機のベース部11Bに固定されている。固定ベース10には、係合溝10Aの長手方向に沿って複数のプランジャ収容部屋46が横並びに形成されている。そして、プランジャ収容部屋46の下壁に貫通形成された断面矩形のガイド孔48が、プランジャ50を挿通している。また、係合溝10Aの底面とプランジャ収容部屋46との間には、揺動部材28を挿通するための連絡溝47が形成されている。そして、各プランジャ収容部屋46内で、プランジャ50の上端部と各フィンガー21の揺動部材28とが連結されている。
プランジャ50は、図3に示すように、角柱部51の上端面から円柱部52を延長した構造になっている。そして、この角柱部51が上記した断面矩形のガイド孔48を貫通することで、プランジャ50の回り止めが図られかつ角柱部51の軸方向に直動可能となっている。また、角柱部51の下端部から下端突部51Bがプレス機のベース部11B側に張り出しており、調整ボルト53がこの下端突部51Bを上下に貫通している。そして、その調整ボルト53の上端部に、後述する押下レバー55が待機している。
プランジャ50のうち円柱部52の上端部には、スリット52Aが形成されている。そして、揺動部材28の下端部をスリット52A内に配した状態でピン34にて結合されている。また、そのピン34は、円柱部52の外周面から両側方に突出した状態になっている。
円柱部52の外周面には、ピン34より下方側に圧縮コイルバネ54(本発明に係る「弾性部材」に相当する)が挿入されている。この圧縮コイルバネ54は、ガイド孔48の開口縁とピン34との間で突っ張り状態になっている。なお、圧縮コイルバネ54の両端部には座金54Z,54Zが設けられている。そして、プランジャ50は、押下レバー55によって下方に押し下げられる一方、この押し下げがなくなると圧縮コイルバネ54の弾発力によって上方に戻される。
図3に示した押下レバー55は、各プランジャ50に対応させて複数設けられている。各押下レバー55は、略水平に延び、プランジャ50と反対側の中間部を軸体55Aによって回動可能に軸支されている。また、押下レバー55のプランジャ50と反対側には、それら全部の押下レバー55を横切るように第1カムシャフト99が延びており、この第1カムシャフト99がプレス機の駆動源(例えば、電動モータ)に連結されている。この第1カムシャフト99に備えた複数のカム98が各押下レバー55に備えた一対のカムフォロア55Fに当接している。そして、第1カムシャフト99がプレス機の動力を受けて回転すると、その回転に伴って、各カム98により各押下レバー55が上方に押し上げられ、これにより、各プランジャ50が下方に押し下げられる。
なお、第1スライドベース22と第2スライドベース23には、各フィンガー21と対応した位置に、各フィンガー21の揺動部材28を挿通するための挿通孔41、41Aが形成されている。
図1に示すように本実施形態の第2カムシャフト61の側方には、第1てこ部材77が設けられている。そして、第2カムシャフト61に備えたカム61A,61Bと第1てこ部材77に備えた1対のカムフォロア77F,77Fとから、いわゆる確動カムが構成され、これにより第2カムシャフト61の回転に連動して第1てこ部材77が揺動する。また、図5に示すように第1てこ部材77に隣接して第2てこ部材87が設けられ、第2カムシャフト61にはカム61A,61Bに隣接して同形状のカム81A,81Bが備えられている。そして、第2てこ部材87に備えた1対のカムフォロア87F,87Fとから確動カムが構成され、これにより第2カムシャフト61の回転に連動して第2てこ部材87が揺動する。
第1てこ部材77,第2てこ部材87にはそれぞれ、上下方向に延びて第1スライドベース22,第2スライドベース23に対してワーク搬送方向で離れた位置で対峙した作用部77A,87Aが備えられている。そして、作用部77Aのうち第1てこ部材77の揺動中心80からの揺動半径r5の位置と、第1スライドベース22の端部とが第1リンク部材78によって連絡されている。また、作用部87Aのうち第2てこ部材87の揺動中心80からの揺動半径r6の位置と、第2スライドベース23の端部とが第2リンク部材79によって連絡されている。ここで、揺動半径r6は、揺動半径r5より大きくなっている。これにより、カム61A,61Bとカム81A,81Bとは同形状であるから、それぞれのてこ部材77,87が揺動したときには、第1スライドベース22の移動量は、第2スライドベース23の移動量のr5/r6倍となって、第2スライドベース23が第1スライドベース22よりも多く移動する。そして、第2スライドベース23の直動ピッチが、前記したワーク搬送方向の始端側(図1の右側)から1,2番目の両ダイ11,11間のピッチP1と一致し、第1スライドベース22の直動ピッチが、それ以外のダイ11,11間のピッチP2と一致している。
作用部77Aと第1スライドベース22の端部とを連結する第1リンク部材78は、作用部77Aと連結されたジョイント78Aと第1スライドベース22と連結されたジョイント78Cと、ジョイント78A,78Cとに連結された調整ネジ78Bとから構成されている。ジョイント78A,78Cは一方に右めねじ他方に左めねじが加工され、それに対応して調整ネジ78Bの両端には右ねじと左ねじが加工され、ジョイント78A,78Cの雌ねじに螺合されている。そして、調整ネジ78Bを回転することにより作用部77Aと第1スライドベース22との間の距離を変更でき、第1スライドベース22が直動したときの停止位置を調整することができる。同様に、作用部87Aと第2スライドベース23の端部とを連結する第2リンク部材79は、作用部87Aと連結されたジョイント79Aと第2スライドベース23と連結されたジョイント79Cと、ジョイント79A,79Cとに連結された調整ネジ79Bとから構成されている。そして、調整ネジ79Bを回転することにより作用部87Aと第2スライドベース23との間の距離を変更でき、第2スライドベース23が直動したときの停止位置を調整することができる。
このように構成された本実施形態のトランスファ装置20によって、ストッパやギヤ又追加の駆動源を設けずに、複数のワークを異なるピッチで搬送することができ、従来のものより高速運転が可能になる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、押下レバー55の往復回動により、プランジャ50を往復直動させていたが、押下レバー55の回動端部に直に揺動部材28の下端部を連結してもよい。
(2)前記実施形態では、板材を打ち抜いて絞り加工するプレス機を例示したが、本発明におけるプレス機には、このようなプレス機に限定されるものではなく、例えば、鍛造機も本発明に係るプレス機に含まれる。
(3)前記実施形態では、第1てこ部材77と第2てこ部材87をそれぞれ駆動するカム61A,61Bとカム81A,81Bとは同形状にし(すなわちカムライズは同じ)、第1てこ部材77と第2てこ部材87との揺動中心80からの揺動半径を違わせることによって、第1スライドベース22と第2スライドベース23の移動量(ピッチ)を違わせていたが、第1てこ部材77と第2てこ部材87との揺動中心80からの揺動半径は同じにし、カム61A,61Bとカム81A,81Bのカムライズを違わせることによって、第1スライドベース22と第2スライドベース23の移動量(ピッチ)を違わせてもよい。また揺動中心80からの揺動半径を違わせるとともに、カム61A,61Bとカム81A,81Bのカムライズを違わせて、第1スライドベース22と第2スライドベース23の移動量(ピッチ)を違わせてもよい。また前記実施形態では、スライドベースは異なるピッチで搬送される第1スライドベース22と第2スライドベース23の2つであったが、それぞれ異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能な3個以上のスライドベースを設けてもよい。この場合、工程別に3種類以上の送りピッチでワークを搬送可能となる。
本発明の実施形態に係るトランスファ装置の正面図 トランスファ装置の主要部を示す正面図 図1のA−A矢視におけるトランスファ装置の側断面図 図1のB−B矢視におけるトランスファ装置の側断面図 図1のC矢視におけるトランスファ装置の側面図 フィンガーの分解斜視図 (A)フィンガーが閉じた状態の正面図、(B)フィンガーが開いた状態の正面図 各スライドベースがワーク搬送方向の前方に移動した状態のトランスファ装置の正面図
符号の説明
10 固定ベース
10A 係合溝
11 ダイ
12 パンチ
20 トランスファ装置
21 フィンガー
22 第1スライドベース
23 第2スライドベース
25,26 フィンガー部材
25H,26H ワーク把持部
27 フィンガーリンク部材
28 揺動部材
29 把持動作変換機構
46 プランジャ収容部屋
48 ガイド孔
50 プランジャ(フィンガー駆動部)
53 調整ボルト
54 圧縮コイルバネ(弾性部材)
55 押下レバー
61 第2カムシャフト
77 第1てこ部材
78 第1リンク部材
79 第2リンク部材
80 揺動中心
81A,81B カム
87 第2てこ部材
98 カム
99 第1カムシャフト
P1,P2 ピッチ
r5〜r6 揺動半径

Claims (9)

  1. 1列に並んだ複数のフィンガーによって複数のワークを異なるピッチで搬送するトランスファ装置であって、
    設定されたピッチでワーク搬送方向に直動可能で前記フィンガーが取り付けられた第1スライドベースと、
    前記第1スライドベースに同一直線状に並んだ状態で案内されて相対移動可能に取り付けられ、前記第1のスライドベースとは前記異なるピッチでワーク搬送方向に直動可能でかつ前記フィンガーが取り付けられた第2スライドベースと、
    前記第1スライドベース及び前記第2スライドベースに取り付けられた各フィンガーを開閉駆動するための複数のフィンガー駆動部と、
    前記第1スライドベースをワーク搬送方向に直動可能に案内するとともに、前記複数のフィンガー駆動部を前記ワーク搬送方向に移動不能に保持しかつ前記ワーク搬送方向と直交する方向に移動可能に案内する固定ベースと、
    前記各フィンガーと前記各フィンガー駆動部との間に連結されて前記各スライドベースの直動に伴って揺動するとともに、前記フィンガー駆動部の駆動力を前記フィンガーに伝達する複数の揺動部材と、
    前記ワーク搬送方向において前記第1スライドベースから離れた位置に配置され、所定の駆動源からの駆動力を受けて揺動される第1てこ部材と、
    前記第1てこ部材に隣接して配置され、前記駆動源からの駆動力を受けて揺動される第2てこ部材と、
    前記第1スライドベースと前記第1てこ部材の間に連結された第1リンク部材と、
    前記第2スライドベースと前記第2てこ部材の間に連結された第2リンク部材とを備え
    前記第1スライドベースは前記第1てこ部材の揺動により前記第1リンク部材を介して前記固定ベースに案内されてワーク搬送方向に直動し、前記第2スライドベースは前記第2てこ部材の揺動により前記第2リンク部材を介して前記第1スライドベースに同一直線状に並んだ状態で案内されてワーク搬送方向に直動し、前記複数のフィンガー駆動部が前記固定ベースにワーク搬送方向に移動不能に保持されてワーク搬送方向と直交する方向に移動し前記複数の揺動部材を介することにより、前記第1スライドベースと前記第2スライドベースに取り付けられた各フィンガーは、それぞれ前記異なるピッチでワーク搬送方向に直動し開閉駆動されるようにしたことを特徴とするトランスファ装置。
  2. 前記ワーク搬送方向の始端部に配置された前記第2スライドベースの直動ピッチは、前記第1スライドベースの直動ピッチよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載のトランスファ装置。
  3. 前記各フィンガーに設けられ、前記第1スライドベース及び前記第2スライドベースに回動可能に軸支された1対のフィンガー部材と、
    前記1対のフィンガー部材のそれぞれに形成されて互いに対向し、間に前記ワークを挟んで把持する1対のワーク把持部と、
    前記各フィンガーに設けられ、前記各フィンガー駆動部の往復運動を、前記揺動部材の軸方向で受け、前記1対のワーク把持部の開閉運動に変換する把持動作変換機構とを備えたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置。
  4. 前記ワークは、前記トランスファ装置により間欠的に搬送された位置においてパンチ及びダイによって成形され、前記ワーク把持部が開いた状態で前記各スライドベースを往復動させたときに前記フィンガー部材が、前記パンチから離れた位置を通過するように構成したことを特徴とする請求項に記載のトランスファ装置。
  5. 前記1対のフィンガー部材を前記スライドベースに回動可能に軸支すると共に鋏状に交差させて、その交差部分より先端側の前記ワーク把持部同士を対向配置し、
    一方と他方の前記フィンガー部材に両端部が回動可能に連結されたフィンガーリンク部材を設け、さらに、前記フィンガーリンク部材及び/又は一方の前記フィンガー部材に、前記揺動部材の一端を回動可能に連結して前記把持動作変換機構が構成されたことを特徴とする請求項3又は4に記載のトランスファ装置。
  6. 前記フィンガー駆動部が一方向に移動するときに弾性変形される弾性部材を備え、前記フィンガー駆動部が他方向に移動するときの前記弾性部材の弾発力によって、前記1対のワーク把持部が閉じられるように構成したことを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のトランスファ装置。
  7. 前記第1てこ部材と前記第2てこ部材とは、カムの回転に従動するカムフォロアを一方端に取り付け、共通の揺動中心で揺動可能に支持され,前記第1てこ部材の他方端の前記第1リンク部材との連結位置と,前記第2てこ部材の他方端の前記第2リンク部材との連結位置とは、前記揺動中心からの距離が異なるように構成したことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置。
  8. 前記第1てこ部材と前記第2てこ部材は前記所定の駆動源からそれぞれ個別の前記カムを介して揺動されるように構成したことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置。
  9. 前記第1リンク部材及び/又は前記第2リンク部材にはリンク長さを調整するための長さ調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のトランスファ装置。
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