JP2005226268A - 鋼管矢板の打設方法 - Google Patents

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弘介 横山
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Abstract

【課題】鋼管矢板を地盤へ打設する際に、地盤の硬軟に関わらず、鋼管矢板の貫入抵抗を飛躍的に軽減することを可能にすること。
【解決手段】ダウンザホールドリル2を利用して、鋼管矢板300が追随して下降するように、継手303の下端側と対向する位置の地盤500bを先行掘削する。この際、ダウンザホールドリル1を併用して、鋼管矢板300が追随して下降するように、本管301の下端側と対向する位置の地盤500aについても先行掘削してもよい。このようにダウンザホールドリルを利用して鋼管矢板300の直接打設を補助することにより、従来と比較して、鋼管矢板を打設する際の貫入抵抗(特に、継手303の下端に作用する貫入抵抗)を大幅に軽減することが可能になる。その結果、従来と比較して、鋼管矢板の打ち込みの鉛直精度を飛躍的に向上させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、鋼管矢板を打設するための方法に関する。
以下、図10〜図12に基づいて、本発明の背景となる従来技術について説明する。
図10は、鋼管矢板300を示す全体図である。この図10において、図10(A)は、鋼管矢板300の正面図である。また、図10(B)は、図10(A)のX−X線に沿った断面図である。
図11は、図10に示す鋼管矢板300を、従来の方法に従って打設している様子を示す図である。この図11において、図11(A)は、地盤500に打設されている鋼管矢板300を示す正面図である。また、図11(B)は、図11(A)に示す様子の上面図である。
図12は、図11に示す鋼管矢板300が、地盤500に打設されている様子を詳細に示す正面図である。
図10に示すように、鋼管矢板300は、本管(矢板本体)301と、この本管の両側に一体的に設けられた略管状の継手303と、を有している。本管301は、内側に形成された内空部304と、上端(図10(A)の上側)に位置する上開口部と、下端(図10(A)の下側)に位置する下開口部と、を有している。同様に、それぞれの継手303も、内側に形成された内空部305と、上端に位置する上開口部と、下端に位置する下開口部と、を有している。また、各継手303の長さ方向(杭長方向)には、スリット307が形成されている。そのため、継手303は、略C字状の横断面を有するようになっている(図10(B)参照)。
このような構成を有する鋼管矢板300は、砂質土、シルト等の軟弱地盤に対する高い水平耐力を有しているという特徴を持っている。この特徴を生かすべく、複数の鋼管矢板300をその側部の継手303を介して相互連結(図11参照)したものが、仮締め切りなどの仮設工事において広く用いられるようになっている。
また、近年では、兵庫県南部地震における被災の教訓に鑑み、加えて、鋼管矢板の性能が高く評価されていることもあり、鋼管矢板は、耐震構造を考慮した土留め壁、井筒基礎等の永久構造物などに広汎に用いられるに至っている。さらに、この鋼管矢板は、従来の軟弱層ばかりでなく、礫質土、硬質地盤に対しても適用されるに至っている。
このような特徴を有する鋼管矢板300を打設する際には、まず、所定の圧入装置(図示せず)によって、当該鋼管矢板を圧入自在に一体的に把持する。次に、この圧入装置を利用した圧入作業により、鋼管矢板300を、地盤500に対して所定深度圧入する(図11参照)。そして、従来は、鋼管矢板300の打設に際しては、目詰まり防止のために継手303の内空部305に間詰めを行うことなく、地盤500へ圧入していた。
しかしながら、このような従来より行われている鋼管矢板の圧入方法には、以下のような問題があった。
すなわち、間詰めを行わない従来の方法によれば、粒径の小さい玉石や砂礫501等が、スリット307から継手303の内空部305に進入し(図12の矢印a〜c参照)、また、掘削ずり503等が、下開口部から継手303の内空部305に進入して(図12の矢印d参照)、目詰まりを生じさせる。そして、この継手303における目詰まりが原因となって、鋼管矢板300の打設時において、継手303に貫入抵抗が生じる。その結果、この貫入抵抗によって、鋼管矢板300の打ち込みの鉛直精度が低下するだけでなく、場合によっては、施工自体が困難になることもあった。また、隣設することとなる鋼管矢板300(後行打設の鋼管矢板)の打ち込みの際において、すでに打設してある鋼管矢板(先行打設の鋼管矢板)の継手の内側が更に圧密度を増して、施工が不能になるという問題も生じていた。
上述した問題を解決すべく、単に鋼管矢板に圧入力を加えただけでは打設不能な地盤(硬質地盤)に対して打設を行う必要がある場合には、硬質地盤用オールケーシング工法や、ダウンザホールハンマを用いる工法等が利用されるに至っている。
具体的には、上記オールケーシング工法においては、まず、硬質地盤を掘削して、鋼管矢板断面を内包自在な径を有する杭孔を形成する。次に、鋼管矢板を圧入力のみで自在に打設することができるように、形成された杭孔に対して砂置換を行うようになっている。
一方、上記ダウンザホールハンマを用いる工法においては、まず、鋼管矢板の本管の内空部にダウンザホールハンマを挿入する。そして、このダウンザホールハンマを用いて、本管の下端と向き合う位置の地盤を先行掘削することにより、鋼管矢板の打設時における圧入補助(すなわち、貫入抵抗の軽減)を行うようになっている。
しかしながら、上述した方法を利用した場合であっても、以下に述べるような問題が生じていた。
まず、硬質地盤用オールケーシング工法や、ダウンザホールハンマを用いる工法等を利用した場合には、工程が長期化し、コストが増大するという問題が生じる。
また、ダウンザホールハンマを用いる場合においては、打設される鋼管矢板の「本管」の下端側と対向する位置の地盤については、先行して掘削されるようになっているので、全く先行掘削しない場合と比較すれば、ある程度は鋼管矢板を圧入し易くはなる。しかしながら、「継手」の下端側と対向する位置の地盤については、先行掘削による圧入補助が行われていない。したがって、ダウンザホールハンマを用いる従来の工法によっても、継手における目詰まりが原因となって、鋼管矢板の打設時において、継手に貫入抵抗が生じる。その結果、継手に作用する貫入抵抗によって、鋼管矢板の打ち込みの鉛直精度が低下するだけでなく、場合によっては、施工自体が困難になることもあった。
そこで、上述した従来技術に鑑み、本発明の目的は、鋼管矢板を打設する際に、地盤の硬軟に関わらず当該鋼管矢板の貫入抵抗(特に継手に作用する貫入抵抗)を飛躍的に軽減して、鋼管矢板の打設を円滑に進めることを可能にする打設方法を提供することにある。
(1) 上記目的を達成するために、本発明の方法は、矢板本体と継手とを有する鋼管矢板を地盤に打設する際に、掘削装置を利用して前記鋼管矢板の打設を補助する方法であって、
前記継手の内空部に前記掘削装置を挿入して、当該継手の下端開口部から、前記掘削装置の掘削ビットを突出させ、
前記鋼管矢板が追随して下降するように、前記継手の下端開口部から突出した前記掘削ビットによって、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を先行掘削するようになっている。
(2) また、上記目的を達成するために、本発明の方法は、矢板本体と、当該矢板本体の外壁に一体的に設けられた継手と、を有する鋼管矢板を地盤に打設する方法であって、
前記矢板本体の下端側と対向する位置の地盤を掘削するとともに、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を掘削し、
前記掘削に追随するように、前記鋼管矢板を下降させるようになっている。
(3) さらに、上記目的を達成するために、本発明の方法は、内側に内空部を有し、上端と下端に開口部が形成された矢板本体と、
内側に内空部を有し、上端と下端に開口部が形成され、前記矢板本体の外壁に一体的に設けられた継手と、
を有する鋼管矢板を、前記矢板本体用の第1のダウンザホールドリルおよび前記継手用の第2のダウンザホールドリルを利用して、地盤に打設する方法であって、
前記矢板本体の内空部に前記第1のダウンザホールドリルを挿入して、当該矢板本体の下端開口部から、当該第1のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させ、
前記継手の内空部に前記第2のダウンザホールドリルを挿入して、当該継手の下端開口部から、当該第2のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させ、
前記第1のダウンザホールドリルの掘削ビットによって、前記矢板本体の下端側と対向する位置の地盤を、杭芯に沿って掘削し、
前記第1のダウンザホールドリルによる掘削と同時に、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットによって、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を、前記杭芯とほぼ並行な線に沿って掘削し、
前記地盤を掘削する前記第1および第2のダウンザホールドリルの掘進に追随するように前記鋼管矢板を下降させて、前記地盤掘削と前記鋼管矢板の追随下降をほぼ同時に行うようになっている。
(4) 上記(3)記載の方法において、好ましくは、前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、回転反力を確保するために、前記鋼管矢板に固設されている。
(5) 上記(3)記載の方法において、好ましくは、前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、回転反力を確保するために、前記第1のダウンザホールドリルを駆動させるための駆動装置に固設されている。
(6) 上記(3)乃至(5)の何れかに記載の方法において、好ましくは、 前記第2のダウンザホールドリルは、ドリルシャフトを有しており、
前記ドリルシャフトは、当該ドリルシャフトの掘進方向とほぼ平行な線上に一体的に設けられた被係合片を有しており、
前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、前記ドリルシャフトを回転させるための回転機構を有しており、前記ドリルシャフトの掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することなく当該ドリルシャフトを昇降自在に支持するように構成され、
前記回転機構は、前記ドリルシャフトの被係合片と係合するようになっている係合片を有しており、
前記回転装置が作動している間は、前記ドリルシャフトの掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することなく、前記回転機構の係合片が前記ドリルシャフトの被係合片と係合して、その結果、前記回転装置の回転駆動が前記回転機構を介して前記ドリルシャフトに伝達されるようになっている。
(7) 上記(3)乃至(6)の何れかに記載の方法において、好ましくは、
前記鋼管矢板の継手は、下端近傍の内壁に係止部を有しており、
前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、地盤掘削時において前記継手の下端開口部から突出する突出部を含んでおり、
前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させる工程では、前記突出部が、当該継手の下端開口部から突出するようになっており、
前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットによって地盤を掘削している間は、当該掘削ビットの突出部が前記係止部の下端側に当接することによって、当該突出部が前記継手の内空部に進入することを規制し得るようになっている。
(8) 上記(7)記載の方法において、好ましくは、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、前記ドリルシャフトに直接又は間接的に連結されているとともに、前記継手の係止部の上端側と当接することとなる当接部を有しており、
掘削作業の間において、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットが前記ドリルシャフトから離脱した際には、前記当接部が前記係止部の上端側に当接して、当該掘削ビットの脱落を防止するようになっている。
(9) 上記(7)又は(8)記載の方法において、好ましくは、前記継手の下端近傍に設けられた係止部は、
略円形の中空部を有する略リング状または略円筒状に形成されているとともに、
前記鋼管矢板の打設方向に直交する面上において、前記係止部の中空部の中心位置が、前記継手の重心位置から、前記矢板本体の遠心方向に所定距離だけ偏倚するように、取り付けられている。
(10) 上記(7)乃至(9)の何れかに記載の方法において、好ましくは、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、前記突出部の径が拡大した状態にある拡径状態と、前記突出部の径が縮小した状態にある縮径状態と、の間で自在に変位することができるように構成されており、
前記継手の下端開口部から突出した前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットの突出部は、前記地盤を掘削する際に、前記拡径状態にセットされるようになっており、
前記拡径状態においては、前記突出部は前記係止部の下端側に当接して、当該突出部が前記継手の内空部に進入することを規制するようになっており、
前記縮径状態においては、前記突出部は、前記係止部の下端側に当接することなく、前記継手の内空部に進入し得るようになっている。
(11) 上記(7)乃至(10)の何れかに記載の方法において、好ましくは、前記第1及び第2のダウンザホールドリルによる掘削が完了した際には、前記拡径状態にある掘削ビットを、縮径状態にセットし、
前記掘削ビットが縮径状態にセットされた状態で、前記第2のダウンザホールドリルを、前記継手の内空部を介して引き上げるようになっている。
上述した本発明によれば、継手の下端側と対向する位置の地盤について(好ましくは、併せて矢板本体の下端側と対向する位置の地盤についても)、当該鋼管矢板が追随して下降するように、ダウンザホールドリル(掘削装置)による先行掘削が行われるようになっている。このようにダウンザホールドリルを利用して鋼管矢板の直接打設を補助することにより、従来と比較して、鋼管矢板を打設する際の貫入抵抗(特に、継手の下端に作用する貫入抵抗)を大幅に軽減することが可能になる。その結果、打設時において、継手に作用する貫入抵抗が原因で鋼管矢板に杭芯ずれが生ずることがないので、従来と比較して、鋼管矢板の打ち込みの鉛直精度を大幅に向上させることができる。また、ダウンザホールドリルによる掘削とほぼ同時に鋼管矢板の打設を行うことができるので、地盤の固さに関わらず、継手に何等損傷を生じさせることなく比較的短期間で効率よく鋼管矢板を打設することが可能になる。
また、本発明によれば、鋼管矢板の打設は、鋼管矢板の下端側(先端側)で杭芯に沿って地盤を先行掘削しつつ、当該鋼管矢板を追随下降させることにより行われるようになっている。その結果、たとえばバイブロハンマ等の杭打装置を用いて、鋼管矢板の上端側(頭部)に打撃を与えながら当該鋼管矢板を打ち込む場合と比較すると、打撃に伴う衝撃が継手に作用しないだけでなく、鋼管矢板を杭芯に沿って形成された孔に導くことができるので、鋼管矢板を確実に鉛直に打設することが可能になる。
さらに、バイブロハンマ等の杭打装置を用いて鋼管矢板を打設する場合には、打撃ポイントが鋼管矢板の下端(すなわち対象地盤)から所定距離だけ離れているため、鋼管矢板の打ち込み時において杭心ずれが生じやすい。しかも、打撃時において、たとえば継手の下端に障害物が当った場合には、バイブロハンマによる強力な打撃力によって継手が強く障害物に押し付けられて、激しい損傷を蒙る虞もある。これに対し、本発明では、鋼管矢板の頭部に打撃を与えるという方法ではなく、鋼管矢板の継手下端(好ましくは併せて矢板本体の下端からも)から突き出た掘削ビットによって、打設対象地盤を先行掘削するとともに、鋼管矢板を掘進に伴って牽引するようになっているので、地盤の硬軟や障害物の有無に関わらず、継手に損傷,目詰まり等生じさせることなく、鋼管矢板を鉛直に打設することが可能になる。
さらに、本発明によれば、継手の下端側と対向する位置の地盤(好ましくは、併せて矢板本体の下端側と対向する位置の地盤)を掘削するための工程と、鋼管矢板を孔底へ引き込むための工程と、を同時に行うことが可能である。すなわち、たとえば予め杭孔を形成するための削孔工程を実施して、次いで形成された杭孔に鋼管矢板を挿入する工程を実施するような方法の場合には、少なくとも削孔工程と挿入工程については、時間を異にして実施する必要がある。これに対し、本発明においては、削孔工程と鋼管矢板引き込み工程とを「同時」に進めることができるので、上記方法と比較して極めて効率的に打設作業を進めることが可能になる。
さらに、本発明によれば、打設される鋼管矢板は、ダウンザホールドリルによる掘削を実施している間は孔壁を支持する役割を担っており、また、打設後においては、鋼管矢板本来の機能を発揮するようになっている。すなわち、たとえば予め杭孔を形成するために、ケーシングパイプ等を用いて孔壁を支持しながら削孔して、次いで形成された杭孔に鋼管矢板を挿入する工程を実施するような方法の場合には、鋼管矢板とは別にケーシングパイプ等のガイド部材を用いる必要があるだけでなく、圧入等されたケーシングパイプを、鋼管矢板の打設前に引き抜く必要がある。これに対し、本発明においては、鋼管矢板は、打設作業時においては孔壁を支持する役割も担っているし、また、打設後においては引き抜くことなく、そのまま鋼管矢板本来の用途に供することができるようになっている。したがって、本発明は、作業効率の点において優れているのみならず、鋼管矢板とは別にケーシングパイプ等を必要とすることがないので、施工コストの点においても極めて優れた効果を達成することができる。
さらに、本発明によれば、鋼管矢板の打設後において、継手の内空部には、目詰まり(継手の内空部に流入して来る玉石、砂礫、掘削ずり等の塊)は生じないようになっている。したがって、たとえば、鋼管矢板を仮締め切り等に用いる際に行うグラウト材等の注入工程において、継手の内空部に当該グラウト材等を十分に注入することが可能になる。その結果、従来と比較して、複数の鋼管矢板によって構成される壁体の止水性を、飛躍的に向上させることが可能になる。
本発明に係る鋼管矢板の打設方法は、本管(矢板本体)と継手を有する鋼管矢板を、本管用の第1のダウンザホールドリル(第1の掘削装置)および継手用の第2のダウンザホールドリル(第2の掘削装置)を利用して、地盤に打設する方法である。
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る鋼管矢板の打設方法の第1の実施形態について説明する。
[ダウンザホールドリルの概略構成]
まず最初に、適宜図10を参照しながら、図1に基づいて、本発明において用いられる第1及び第2のダウンザホールドリル1,2の概略構成について説明する。図1は、本発明において用いられる鋼管矢板300、第1及び第2のダウンザホールドリル1,2、アースオーガ4、回転装置6等の概略構成を示す正面図である。なお、鋼管矢板の構成の詳細については、従来技術の説明との関係で参照した図10に示す。
第1のダウンザホールドリル1は、鋼管矢板300が追随して下降するように、当該鋼管矢板の本管301の下端側と対向する位置の地盤(本管301の下側端面と向かい合う地盤領域)を先行掘削する目的で用いられる。この第1のダウンザホールドリル1は、ドリルシャフト(回転ロッド)11と、径を自在に拡縮可能な掘削ビット13とを有している。ドリルシャフト11は、回転自在に構成され、鋼管矢板300の本管301内を挿通可能に形成されている。掘削ビット13は、ドリルシャフト11の下端側に設けられており、縮径状態で鋼管矢板300の本管301内を挿通可能に構成されている。
第1のダウンザホールドリル1を実際に使用する際には、当該第1のダウンザホールドリルは、一端(掘削ビット13)が本管301の下端開口部から突出するように、本管の内空部304に挿入されるようになっている。
また、第1のダウンザホールドリル1の上端側には、モータ,減速機,エアスイベル等を備えたアースオーガ(駆動装置)4が設けられており、当該アースオーガによって、第1のダウンザホールドリル1に駆動力が付与されるようになっている。このアースオーガ4は図示しない杭打機に装着されており、また、当該アースオーガ4のスリーブ41を介して上記第1のダウンザホールドリル1が吊り下げられている。
一方、第2のダウンザホールドリル2は、鋼管矢板300が追随して下降するように、当該鋼管矢板の継手303の下端側と対向する位置の地盤(継手303の下側端面と向かい合う地盤領域)を先行掘削する目的で用いられる。この第2のダウンザホールドリル2は、上記第1のダウンザホールドリル1と比較すると小径であり、ドリルシャフト(回転ロッド)21と、径を自在に拡縮可能な掘削ビット23とを有している。ドリルシャフト21は、回転自在に構成され、鋼管矢板300の継手303内を挿通可能に形成されている。掘削ビット23は、ドリルシャフト21の下端側に設けられており、縮径状態で鋼管矢板300の継手303内を挿通可能に構成されている。
第2のダウンザホールドリル2を実際に使用する際には、当該第2のダウンザホールドリルは、一端(掘削ビット23)が継手303の下端開口部から突出するように、継手の内空部305に挿入されるようになっている。
また、第2のダウンザホールドリル2の上端側には、後述する回転装置6が設けられている。この回転装置6によって、第2のダウンザホールドリル2に回転力が付与されるようになっている。
[回転装置,ドリルシャフト]
次に、図1〜図3に基づいて、第2のダウンザホールドリル2、及び当該第2のダウンザホールドリルに回転力を付与するための回転装置6の構成について説明する。
図2は、図1に示す鋼管矢板300の継手303、第2のダウンザホールドリル2の一部、回転装置6等の構成を詳細に示す拡大正面図である。
図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。
第2のダウンザホールドリル2を回転駆動させるための回転装置6は、回転反力を確保するために、図2及び図3に示すように、第1のダウンザホールドリル1を駆動させるためのアースオーガ4に固設されている。このような取り付け構成によれば、懸垂状態で回転掘削を行う第2のダウンザホールドリル2を、作動可能に(すなわち回転駆動力を掘削ビット23に伝達することができるように)、簡単に設置することが可能になる。
上記回転装置6は、第2のダウンザホールドリル2のドリルシャフト21を回転させるための回転機構を有している。回転機構の一部であるロータリーテーブル61には、図3に示すように、第2のダウンザホールドリル2のドリルシャフト21が挿通するようになっている挿通孔が形成されている。この挿通孔の周囲には、それぞれがドリルシャフト21の被係合片22(後述)と係合するようになっている複数(本実施形態では4つ)の係合片63が設けられている。複数の係合片63は等間隔に配置されており、各係合片はロータリーテーブル61(挿通孔)の中心方向に延出している。
一方、第2のダウンザホールドリル2のドリルシャフト21は、当該ドリルシャフトの掘進方向(長さ方向)とほぼ平行な線上に一体的に設けられた複数(本実施形態では4つ)の被係合片22を有している(図2参照)。上述した回転装置6のロータリーテーブル61は、このドリルシャフト21の掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することがないように、挿通孔を挿通するドリルシャフト21を昇降自在に支持(上下方向スライド自在に保持)するようになっている。すなわち、ドリルシャフト21は、回転装置6のロータリーテーブル61と嵌合したままの状態で、上昇方向または下降方向に自在に移動できるようになっている。
回転装置6が作動している間は、ドリルシャフト21の掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することなく、ロータリーテーブル61の係合片63がドリルシャフト21の被係合片22と係合して、その結果、回転装置6の回転駆動がドリルシャフト21に伝達されるようになっている。なお、ドリルシャフト21が回転しているときであっても、当該ドリルシャフトの上昇方向または下降方向の移動は何ら妨げられないことに留意されたい。
上述した構成によれば、地盤掘削に伴って、第2のダウンザホールドリル2のドリルシャフト21が降下または上昇した際においても、ドリルシャフト21の昇降動作(振動による上下動を含む)に関わらず当該ドリルシャフトに対して十分な回転力を付与することができる。
また、上述した構成によれば、第2のダウンザホールドリル2を回転駆動させるための回転装置6は、ドリルシャフト21を昇降自在かつ回転自在に支持するようになっている。これにより、本管301の下端側を先行掘削している第1のダウンザホールドリル1から、継手303側に衝撃が伝達された場合であっても、当該衝撃を、ドリルシャフト21の昇降動作によって吸収させることができる(ただし、ドリルシャフト21の回転には何ら影響はない)。その結果、第1のダウンザホールドリル1から伝達される衝撃が、第2のダウンザホールドリル2に及ぼす影響を可及的に軽減することができる。また、第1のダウンザホールドリル1の掘進速度と、第2のダウンザホールドリル2の掘進速度とが異なる場合であっても、当該掘進速度の差を、ドリルシャフト21の昇降動作によって吸収させることができる。
[ケーシングトップ,掘削ビット]
次に、図4に基づいて、継手303の下端側に設けられたケーシングトップ8、および第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23の構成について説明する。図4は、図1に示す鋼管矢板300の継手303の下端側及びその近傍、並びに第2ダウンザホールドリル2の掘削ビット23を詳細に示す拡大正面図である(鋼管矢板300及びケーシングトップ8,9を断面で示す)。
本発明において用いられる鋼管矢板300の継手303は、下端近傍の内壁に、略円形の中空部を有する略リング状のケーシングトップ(係止部)8を有している。このケーシングトップ8は、溶接等の方法で継手303に一体に固着されている。このようなリング状部材であるケーシングトップ8を設けることにより、第2のダウンザホールドリル2によって削孔すべき位置が杭芯から外れることを防止することができるようになっている。
ケーシングトップ8の中空部は、継手303の内径よりも小さな径を有している。(図4において、継手303の内径を符号D1で示し、ケーシングトップ8の中空部の径を符号D2で示す。)なお、本発明において、ケーシングトップ8の形状は、必ずしもリング状に限定されず、たとえば円筒状であってもよい。
継手303に挿入される第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23は、ドリルシャフト21に連結されている。この掘削ビット23は、ケーシングトップ8の中空部を介して継手303の下端開口部から突出する突出部24と、当該ケーシングトップ8の上端側と当接することとなる当接部25と、を有している。突出部24の先端面には、杭孔底部の地盤と接することとなる多数のチップ(図示せず)が設けられている。
上述した構成を有する掘削ビット23は、突出部24の径が拡大した状態にある「拡径状態」と、突出部24の径が縮小した状態にある「縮径状態」と、の間で自在に変位することができるようになっている。図4において、縮径状態の突出部の径を符号D3で示し、拡径状態の突出部(仮想線で示す)の径を符号D4で示す。なお、本発明において、突出部の「径」とは、突出部24が回転しているときに、当該突出部の外側部分によって形成される「回転軌跡の径」をいう。したがって、突出部24の横断面(掘進方向に直交する方向の断面)の形状は、必ずしも円形に限定されないことに留意されたい。
第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23によって地盤を掘削している間は、当該掘削ビットの突出部24は、拡径状態にセットされるようになっている。この拡径状態においては、掘削ビット23の突出部24は、ケーシングトップ8の中空部の径(すなわちケーシングトップ8の内径)よりも大きな径を有している。したがって、拡径状態においては、突出部24はケーシングトップ8の下端側に当接して、当該突出部が継手303の内空部305に進入することを規制し得るようになっている。
一方、縮径状態においては、掘削ビット23の突出部24は、ケーシングトップ8の中空部の径(すなわちケーシングトップ8の内径)よりも小さな径を有している。したがって、この縮径状態においては、突出部24は、ケーシングトップ8の下端側に当接することなく、継手303の内空部305に進入し得るようになっている。
なお、掘削作業の間において、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23がドリルシャフト21から不意に離脱した際には、当接部25がケーシングトップ8の上端側に当接して、掘削ビット23の脱落を防止するようになっている。
上述した構成によれば、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23は、径を自在に拡縮できるように構成されている。これにより、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23を、縮径状態で自在に、継手303の内空部305に挿通させることができる。また、継手303の下端側と対向する地盤を掘削する際には、掘削ビット23を拡径状態にセットすることによって、掘削領域を広げることができる。その結果、打設時において継手303に作用する貫入抵抗(先端抵抗や周面摩擦を含む)を、より効果的に軽減することができる。
また、上述した構成によれば、第2のダウンザホールドリル2によって地盤を掘削している間は、当該第2のダウンザホールドリルの掘削ビット23の突出部24が、継手303に設けられたケーシングトップ8の下端側に当接するようになっている。このような構成により、地盤を掘削している際に、掘削ビット23が地盤から離れ、当該掘削ビット23の全体が継手303の内空部305に完全に進入してしまうことを防止することができる。
さらに、上述した構成によれば、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23は、継手303のケーシングトップ8の上端側と当接して、当該第2のダウンザホールドリル2が継手303の下端から必要以上に突出することを防止するようになっている。これにより、第1のダウンザホールドリル1と比較して、小径で脆弱な第2のダウンザホールドリル2が、過度に突出して、第1のダウンザホールドリル1による掘削(衝撃)の影響を蒙るという事態が生ずるのを防止することができる。その結果、第1のダウンザホールドリル1による掘削衝撃によって、第2のダウンザホールドリル2の機能が低下することや、第2のダウンザホールドリル2に破損が生じることを防止することができる。
さらに、上述した構成によれば、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23とドリルシャフト21の間に過負荷がかかり、破断が生じた場合においても、掘削ビット23の当接部25がケーシングトップ8の上端側に当接するので、当該掘削ビット23の孔底への脱落を防止することができる。
[鋼管矢板の打設手順]
次に、図5に基づいて、上述した構成に従って鋼管矢板を打設する際の手順について説明する。図5は、本発明に係る鋼管矢板の打設方法の実施態様の概略を示す正面図である(先行して打設された既打設の鋼管矢板を仮想線で示し、当該既打設の鋼管矢板に隣接して打設されている鋼管矢板を実線で示す)。
本発明に従って鋼管矢板を打設する際には、まず、図5に示すように、本管301の内空部304に第1のダウンザホールドリル1を挿入して、当該第1のダウンザホールドリルの掘削ビット13の突出部14を、本管301の下端開口部から突出させる。
また、同様にして、継手303の内空部305に第2のダウンザホールドリル2を挿入して、当該第2のダウンザホールドリルの掘削ビット23の突出部24を、継手303の下端開口部から突出させる。
次に、ドリルシャフト11,21を正回転させることによって、第1及び第2のダウンザホールドリル1,2の掘削ビット13,23を、それぞれ、拡径状態にセットする。掘削ビット13,23のセットが完了したら、鋼管矢板300の傾きに注意しながら掘削打設を開始する。
掘削打設作業においては、まず、アースオーガ4、回転装置6、図示しないエア供給装置等を駆動させる。そして、鋼管矢板300の引き込みが突出部14の掘進に追随するように、第1のダウンザホールドリル1の掘削ビット13によって、本管301の下端と対向する位置の地盤500aを、杭心に沿って先行掘削する。同様にして、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23によって、継手303の下端と対向する位置の地盤500bを、杭心とほぼ並行な線に沿って先行掘削する。
地盤掘削中においては、エア供給装置からの圧縮エアで打撃を与えつつ、掘削ビット13,23を回転させながら対象となる地盤500a,500bを掘削する。掘削することによって生じた掘削土は、ダウンザホールドリル1,2に打撃を加える圧縮エアを利用して、地上に吹き上げられるようになっている。
上述した掘削打設作業の間においては、掘削ビット13,23の当接部15,25が、衝撃に伴う上下動により、ケーシングトップ8,9の上端側に当接するようになっている(図4参照)。そのため、ダウンザホールドリル1,2による衝撃力が、当接部15,25及びケーシングトップ8,9を介して鋼管矢板300に伝達され、さらに、その衝撃力に鋼管矢板300の自重が加わって、掘進に伴って当該鋼管矢板が牽引される。これにより、鋼管矢板が、孔底に引き込まれるように、掘削ビット13,23の掘進に追随して鉛直性を保持しながら下降することとなる。このようにして、地盤500を掘削する第1および第2のダウンザホールドリル1,2の掘進に追随するように鋼管矢板300が杭孔に引き込まれ、打設が進められる。
なお、この掘削打設作業においては、鋼管矢板300は、当該鋼管矢板の継手303に、先行打設した鋼管矢板(隣接することとなる既打設の鋼管矢板)の継手303をスライド且つ係合させながら、打設されることとなる。したがって、鋼管矢板(後行打設する鋼管矢板)は、最初に打設される鋼管矢板を除いて、先行打設した鋼管矢板をガイドにして打設される。
第1及び第2のダウンザホールドリル1,2による掘削が完了した際には、ドリルシャフト11,21を逆回転させて、拡径状態にある掘削ビット13,23を縮径状態にセットする。そして、掘削ビット13が縮径状態にセットされた状態で、第1のダウンザホールドリル1のドリルシャフト11及び掘削ビット13を、本管301の内空部304を介して引き上げる。同様に、掘削ビット23が縮径状態にセットされた状態で、第2のダウンザホールドリル2のドリルシャフト21及び掘削ビット23を、継手303の内空部305を介して引き上げる。以上の手順を、打設すべき鋼管矢板300の数に応じて繰り返す。
なお、本発明において、拡径状態における掘削ビット13,23の径は特に限定されないことに留意されたい。たとえば、第1のダウンザホールドリル1の掘削ビット13は、拡径状態における突出部14の回転軌跡の径が本管301の外径を超える程度の径を有するように構成されてもよい。また、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23は、拡径状態における突出部24の回転軌跡の径が継手303の外径を超える程度の径を有するように構成されてもよい。掘削ビット13,23をこのように構成した場合には、鋼管矢板300の引き込みに先行して、当該鋼管矢板の下側端面と向かい合う位置において、本管301および継手303の横断面を包含する径(すなわち鋼管矢板300の横断面の外周径を超える程度の径)を有する杭孔が形成されることとなる。その結果、本管301および継手303の下端にほとんど貫入抵抗を生じさせることなく、且つ、鋼管矢板300の外周にほとんど摩擦抵抗を生じさせることなく、当該鋼管矢板を、掘削ビット13,23による先行掘削に追随して円滑に引き込むことが可能になる。
また、別の態様においては、第1のダウンザホールドリル1の掘削ビット13は、拡径状態における突出部14の回転軌跡の径が本管301の内径とほぼ同程度の径(或いはやや小さい径)を有するように構成されてもよい。また、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23は、拡径状態における突出部24の回転軌跡の径が継手303の内径とほぼ同程度の径(或いはやや小さい径)を有するように構成されてもよい。掘削ビット13,23をこのように構成した場合には、鋼管矢板300の引き込みに先行して、当該鋼管矢板の下側端面と向かい合う位置において、本管301および継手303の横断面よりやや小さい径を有する杭孔が形成されることとなる。その結果、鋼管矢板300の引き込みに際して、本管301および継手303の下端に多少貫入抵抗が生じることとなるが、一方において、過大な径を有する杭孔が形成されないので、打設後における鋼管矢板300の周囲の地盤に緩みが生じることを防止することができる。
[本発明の方法によって達成される優れた効果]
上述した本発明によれば、「本管301」の下端側と対向する位置の地盤500aに加えて、「継手303」の下端側と対向する位置の地盤500bについても、当該鋼管矢板の引き込みに先行して、第2のダウンザホールドリル2による掘削が行われるようになっている。このようにダウンザホールドリルを利用して鋼管矢板300の直接打設を補助することにより、従来と比較して、鋼管矢板を打設する際の貫入抵抗(特に、継手303の下端に作用する貫入抵抗)を大幅に軽減することが可能になる。その結果、打ち込み時において、継手303に作用する貫入抵抗が原因で鋼管矢板に杭芯ずれが生ずることがないので、従来と比較して、鋼管矢板の打ち込みの鉛直精度を向上させることができる。また、ダウンザホールドリルによる掘削とほぼ同時に鋼管矢板の打設を行うことができるので、地盤の固さに関わらず、比較的短期間で効率よく鋼管矢板を建て込むことが可能になる。
また、本発明によれば、鋼管矢板の打設後において、継手303の内空部305には、目詰まり部(継手303の内空部305に流入して来る玉石、砂礫、掘削ずり等)は生じないようになっている。したがって、たとえば、鋼管矢板を仮締め切り等に用いる際に行うグラウト材等の注入工程において、継手303の内空部305に当該グラウト材等を十分に注入することが可能になる。その結果、従来と比較して、複数の鋼管矢板によって構成される壁体の止水性を、飛躍的に向上させることが可能になる。
[第2の実施形態]
次に、図6及び図7に基づいて、本発明に係る鋼管矢板の打設方法の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る本発明において用いられる鋼管矢板300の継手303の下端付近、および第2のダウンザホールドリル2の一部を詳細に示す拡大正面図である。
図7は、図6のB−B線に沿った断面図である。
本発明の第2実施形態で用いられる各種装置,部材等は、継手303の下端に設けるケーシングトップの構成を変更した点を除いて、上述した第1実施形態で用いられる各種装置,部材等と同様の構成を有している。したがって、上記第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を用いるとともに、適宜その説明を省略する。
第2実施形態において、略円形の中空部を有する略リング状のケーシングトップ(係止部)8bは、鋼管矢板300の継手303の下端近傍に設けられるようになっている。ただし、本実施形態においては、ケーシングトップ8bは、継手303に対して同軸状には設けられていない。
すなわち、第2実施形態で用いられるケーシングトップ8bは、鋼管矢板300の打設方向に直交する面上において、ケーシングトップ8bの中空部の中心位置C1が、継手303の重心位置C2から、本管301の遠心方向に所定距離だけ偏倚するように、取り付けられるようになっている(図6において、偏倚量を符号D5で示す)。
上述した第2実施形態に係る本発明によれば、第1実施形態と同様の効果を達成することができる。加えて、本実施形態によれば、第2のダウンザホールドリル2の掘削ビット23が、掘削動作時に鋼管矢板300の本管301に干渉(接触)した場合であっても、当該掘削ビット23によって本管301に破損が生じることを防止することができるという優れた効果を達成することもできる。
[本発明の変形例]
以上、本発明に係る鋼管矢板の打設方法の実施形態について詳細に説明した。ただし、本発明の構成は、上述した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において種々の改変が可能であることに留意されたい。
たとえば、第2のダウンザホールドリル2を回転駆動させるための回転装置6は、必ずしもアースオーガ4に固設されている必要はなく、回転反力を確保し且つスライド自在にドリルシャフトを保持することが可能であれば如何なる場所に固設されてもよい。
したがって、回転装置6は、たとえば、鋼管矢板300の本管301に固設されてもよく、或いは、図8及び図9に例示するように継手303に固設されてもよい。図8は、本発明の変形例において用いられる鋼管矢板300の継手303、第2のダウンザホールドリル2、回転装置6等の構成を詳細に示す拡大正面図である。図9(A)は図8のC−C線に沿った断面図であり、図9(B)は図8のD−D線に沿った断面図である。
また、本発明において、必ずしも第1のダウンザホールドリルは用いられる必要はなく、たとえば、一般的に用いられている杭圧入引き抜き機と、第2のダウンザホールドリルを併用して、本発明に係る打設方法を実施することも可能である。
また、本発明において用いられる掘削装置の種類は、必ずしもダウンザホールドリルに限定されるものではなく、一般的に用いられている種々の掘削装置を用いることが可能である。
本発明は、鋼管矢板を打設する際に、地盤の硬軟に関わらず鋼管矢板の貫入抵抗を飛躍的に軽減して、鋼管矢板の打設を円滑に進めることを可能にする打設方法を提供するのに好適に用いられる。
本発明において用いられる鋼管矢板、第1及び第2のダウンザホールドリル、アースオーガ、回転装置等の概略構成を示す正面図である。 図1に示す鋼管矢板の継手、第2のダウンザホールドリルの一部、回転装置等の構成を詳細に示す拡大正面図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 図1に示す鋼管矢板の継手の下端側、および第2ダウンザホールドリルの掘削ビットを詳細に示す拡大正面図である(鋼管矢板及びケーシングトップを断面で示す)。 本発明に係る鋼管矢板の打設方法の実施態様の概略を示す正面図である(先行打設の鋼管矢板を仮想線で示し、当該先行打設の鋼管矢板に隣接して打設されている鋼管矢板を実線で示す)。 第2実施形態に係る本発明において用いられる鋼管矢板の継手の下端付近、および第2のダウンザホールドリルの一部を詳細に示す拡大正面図である。 図6のB−B線に沿った断面図である。 本発明の変形例において用いられる鋼管矢板の継手、第2のダウンザホールドリル、回転装置等の構成を詳細に示す拡大正面図である。 (A)は図8のC−C線に沿った断面図であり、また、(B)は図8のD−D線に沿った断面図である。 (A)は鋼管矢板の正面図であり、また、(B)は(A)のX−X線に沿った断面図である。 図10に示す鋼管矢板を、従来の方法に従って打設している様子を示す図であって、(A)は地盤に打設されている鋼管矢板を示す正面図であり、また、(B)は(A)に示す様子の上面図である。 図11に示す鋼管矢板が、地盤に打設されている様子を詳細に示す正面図である。
符号の説明
1 第1のダウンザホールドリル(第1の掘削装置)
11 ドリルシャフト
13 掘削ビット
14 突出部
15 当接部
2 第2のダウンザホールドリル(第2の掘削装置)
21 ドリルシャフト
22 被係合片
23 掘削ビット
24 突出部
25 当接部
4 アースオーガ(駆動装置)
6 回転装置
61 ロータリーテーブル
63 係合片
8 ケーシングトップ(係止部)
8b ケーシングトップ(係止部)
9 ケーシングトップ(係止部)
300 鋼管矢板
301 本管(矢板本体)
303 継手
304 内空部(本管の内空部)
305 内空部(継手の内空部)
307 スリット
500 地盤
501 砂礫
503 掘削ずり

Claims (11)

  1. 矢板本体と継手とを有する鋼管矢板を地盤に打設する際に、掘削装置を利用して前記鋼管矢板の打設を補助する方法であって、
    前記継手の内空部に前記掘削装置を挿入して、当該継手の下端開口部から、前記掘削装置の掘削ビットを突出させ、
    前記鋼管矢板が追随して下降するように、前記継手の下端開口部から突出した前記掘削ビットによって、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を先行掘削することを特徴とする鋼管矢板の直接打設を補助する方法。
  2. 矢板本体と、当該矢板本体の外壁に一体的に設けられた継手と、を有する鋼管矢板を地盤に打設する方法であって、
    前記矢板本体の下端側と対向する位置の地盤を掘削するとともに、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を掘削し、
    前記掘削に追随するように、前記鋼管矢板を下降させることを特徴とする鋼管矢板の打設方法。
  3. 内側に内空部を有し、上端と下端に開口部が形成された矢板本体と、
    内側に内空部を有し、上端と下端に開口部が形成され、前記矢板本体の外壁に一体的に設けられた継手と、
    を有する鋼管矢板を、前記矢板本体用の第1のダウンザホールドリルおよび前記継手用の第2のダウンザホールドリルを利用して、地盤に打設する方法であって、
    前記矢板本体の内空部に前記第1のダウンザホールドリルを挿入して、当該矢板本体の下端開口部から、当該第1のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させ、
    前記継手の内空部に前記第2のダウンザホールドリルを挿入して、当該継手の下端開口部から、当該第2のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させ、
    前記第1のダウンザホールドリルの掘削ビットによって、前記矢板本体の下端側と対向する位置の地盤を、杭芯に沿って掘削し、
    前記第1のダウンザホールドリルによる掘削と同時に、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットによって、前記継手の下端側と対向する位置の地盤を、前記杭芯とほぼ並行な線に沿って掘削し、
    前記地盤を掘削する前記第1および第2のダウンザホールドリルの掘進に追随するように前記鋼管矢板を下降させて、前記地盤掘削と前記鋼管矢板の追随下降をほぼ同時に行うようにすることを特徴とする鋼管矢板の打設方法。
  4. 前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、回転反力を確保するために、前記鋼管矢板に固設されていることを特徴とする請求項3記載の鋼管矢板の打設方法。
  5. 前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、回転反力を確保するために、前記第1のダウンザホールドリルを駆動させるための駆動装置に固設されていることを特徴とする請求項3記載の鋼管矢板の打設方法。
  6. 前記第2のダウンザホールドリルは、ドリルシャフトを有しており、
    前記ドリルシャフトは、当該ドリルシャフトの掘進方向とほぼ平行な線上に一体的に設けられた被係合片を有しており、
    前記第2のダウンザホールドリルを回転駆動させるための回転装置は、前記ドリルシャフトを回転させるための回転機構を有しており、前記ドリルシャフトの掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することなく当該ドリルシャフトを昇降自在に支持するように構成され、
    前記回転機構は、前記ドリルシャフトの被係合片と係合するようになっている係合片を有しており、
    前記回転装置が作動している間は、前記ドリルシャフトの掘進方向及び反掘進方向の移動を規制することなく、前記回転機構の係合片が前記ドリルシャフトの被係合片と係合して、その結果、前記回転装置の回転駆動が前記回転機構を介して前記ドリルシャフトに伝達されるようになっていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の鋼管矢板の打設方法。
  7. 前記鋼管矢板の継手は、下端近傍の内壁に係止部を有しており、
    前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、地盤掘削時において前記継手の下端開口部から突出する突出部を含んでおり、
    前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットを突出させる工程では、前記突出部が、当該継手の下端開口部から突出するようになっており、
    前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットによって地盤を掘削している間は、当該掘削ビットの突出部が前記係止部の下端側に当接することによって、当該突出部が前記継手の内空部に進入することを規制し得るようになっていることを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の鋼管矢板の打設方法。
  8. 前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、前記ドリルシャフトに直接又は間接的に連結されているとともに、前記継手の係止部の上端側と当接することとなる当接部を有しており、
    掘削作業の間において、前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットが前記ドリルシャフトから離脱した際には、前記当接部が前記係止部の上端側に当接して、当該掘削ビットの脱落を防止するようになっていることを特徴とする請求項7記載の鋼管矢板の打設方法。
  9. 前記継手の下端近傍に設けられた係止部は、
    略円形の中空部を有する略リング状または略円筒状に形成されているとともに、
    前記鋼管矢板の打設方向に直交する面上において、前記係止部の中空部の中心位置が、前記継手の重心位置から、前記矢板本体の遠心方向に所定距離だけ偏倚するように、取り付けられていることを特徴とする請求項7又は8記載の鋼管矢板の打設方法。
  10. 前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットは、前記突出部の径が拡大した状態にある拡径状態と、前記突出部の径が縮小した状態にある縮径状態と、の間で自在に変位することができるように構成されており、
    前記継手の下端開口部から突出した前記第2のダウンザホールドリルの掘削ビットの突出部は、前記地盤を掘削する際に、前記拡径状態にセットされるようになっており、
    前記拡径状態においては、前記突出部は前記係止部の下端側に当接して、当該突出部が前記継手の内空部に進入することを規制するようになっており、
    前記縮径状態においては、前記突出部は、前記係止部の下端側に当接することなく、前記継手の内空部に進入し得るようになっていることを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載の鋼管矢板の打設方法。
  11. 前記第1及び第2のダウンザホールドリルによる掘削が完了した際には、前記拡径状態にある掘削ビットを、縮径状態にセットし、
    前記掘削ビットが縮径状態にセットされた状態で、前記第2のダウンザホールドリルを、前記継手の内空部を介して引き上げることを特徴とする請求項7乃至10の何れかに記載の鋼管矢板の打設方法。
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