JP2009263966A - 既設杭の撤去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、少ない機器構成によって既設杭の下方にグラウトを注入して既設杭を押し上げて切断撤去する既設杭の撤去方法を提供する。
【解決手段】既設杭の周囲を回転しながら掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルによって既設杭の周囲の掘削と中心部への貫通孔の穿設を行う第1工程と、穿設された既設杭の貫通孔にグラウト注入用ロッドを挿入する第2工程と、前記グラウト注入用ロッドにグラウトホースを接続する第3工程と、前記グラウト注入用ロッドの下端から既設杭の下方にグラウトを圧入して既設杭を押し上げる第4工程と、押し上げられた既設杭の上部を一定長さで切断し撤去する第5工程と、切断された既設杭に相当する長さだけ短縮されたグラウト注入用ロッドにグラウトホースを接続してグラウトの圧入を再開する第6の工程と、以後第4工程から第6工程を繰り返し行うことによる。
【選択図】図4
【解決手段】既設杭の周囲を回転しながら掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルによって既設杭の周囲の掘削と中心部への貫通孔の穿設を行う第1工程と、穿設された既設杭の貫通孔にグラウト注入用ロッドを挿入する第2工程と、前記グラウト注入用ロッドにグラウトホースを接続する第3工程と、前記グラウト注入用ロッドの下端から既設杭の下方にグラウトを圧入して既設杭を押し上げる第4工程と、押し上げられた既設杭の上部を一定長さで切断し撤去する第5工程と、切断された既設杭に相当する長さだけ短縮されたグラウト注入用ロッドにグラウトホースを接続してグラウトの圧入を再開する第6の工程と、以後第4工程から第6工程を繰り返し行うことによる。
【選択図】図4
Description
本発明は、地中に打ち込まれた既設杭の撤去方法に関する。
一般に既存の建築物を建て替える場合には、該建築物を解体・撤去するとともに、該建築物を支持するために地盤に打ち込まれていた既設の基礎杭をも引き抜いて撤去する必要がある。
従来の既設杭の引き抜き方法としては、クレーンで吊り上げたケーシングを既設杭の周囲にバイブロハンマーによって打ち込んで既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングに設けたチャッキング装置により既設杭をチャッキングして前記ケーシングとともにクレーンで吊り上げて引き抜く方法や、先端にビットを取付けたケーシングを回転しながら既設杭の周囲に貫入して既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングを既設杭の周囲から取り外し、その後にクレーンによって既設杭を引き抜く方法が知られている。
従来の既設杭の引き抜き方法としては、クレーンで吊り上げたケーシングを既設杭の周囲にバイブロハンマーによって打ち込んで既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングに設けたチャッキング装置により既設杭をチャッキングして前記ケーシングとともにクレーンで吊り上げて引き抜く方法や、先端にビットを取付けたケーシングを回転しながら既設杭の周囲に貫入して既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングを既設杭の周囲から取り外し、その後にクレーンによって既設杭を引き抜く方法が知られている。
しかし、上記の従来のケーシングをバイブロハンマーによって既設杭の周囲に打ち込む方法では、騒音と振動を伴い周辺住民への環境公害が生じ、また既設杭をケーシングとともにクレーンで吊り上げて引き抜くため、揚重力の大きい大規模なクレーンを必要とし、施工コストの増大が免れ得ない。
一方、先端にビットを取り付けたケーシングを回転しながら既設杭の周囲に貫入して既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングを既設杭の周囲から取り外してクレーンで既設杭を引き抜く方法では、ケーシングを取り外した後に既設杭の周囲にできた間隙に周辺地盤が崩落して埋まり、既設杭の摩擦抵抗が大きくなってそのままでは引き抜けない事態が生ずることがあるなどの問題があった。
一方、先端にビットを取り付けたケーシングを回転しながら既設杭の周囲に貫入して既設杭と地盤とを縁切りした上、前記ケーシングを既設杭の周囲から取り外してクレーンで既設杭を引き抜く方法では、ケーシングを取り外した後に既設杭の周囲にできた間隙に周辺地盤が崩落して埋まり、既設杭の摩擦抵抗が大きくなってそのままでは引き抜けない事態が生ずることがあるなどの問題があった。
そこで、これを解決するために様々な発明が行われてきている。
例えば、騒音、振動の環境公害に対しては、既設杭を囲撓するようにして回転しながら地中に降下させるケーシングの貫入方法と、前記ケーシングの下部内側に前記既設杭を切断する切断刃を突出させ、ケーシングの回転によって既設杭を地中において切断する方法とで、低騒音、低振動とした発明が、特開2006−16778号公報や、特開2006−257675号公報などに開示されている。
特開2006−16778号は、本発明者らによりなされたものであって「既設杭の外径より大径の短尺なケーシングを回転しながら既設杭をケーシングの長さ分を地中に降下させる第1工程と、ケーシングの下部内面から既設杭の外壁面に向けた切断刃を突出させ、ケーシングの回転により切断刃を既設杭の腹部に切り入れて切断する第2工程と、切断刃の切り入れによって切断された短尺の既設杭部分をケーシングの内側に保持して地上に引き上げる第3工程と、引き上げられた短尺の既設杭部分をケーシングから取り外す第4工程と、短尺の既設杭部分が取り外された短尺なケーシングを再び、地中の前記短尺の既設杭部分が切断撤去されて残置された既設杭を囲撓するごとくして下降させ、前記第1工程〜第4工程を繰り返し採用する工程とからなる」既設杭の切断撤去方法である。
例えば、騒音、振動の環境公害に対しては、既設杭を囲撓するようにして回転しながら地中に降下させるケーシングの貫入方法と、前記ケーシングの下部内側に前記既設杭を切断する切断刃を突出させ、ケーシングの回転によって既設杭を地中において切断する方法とで、低騒音、低振動とした発明が、特開2006−16778号公報や、特開2006−257675号公報などに開示されている。
特開2006−16778号は、本発明者らによりなされたものであって「既設杭の外径より大径の短尺なケーシングを回転しながら既設杭をケーシングの長さ分を地中に降下させる第1工程と、ケーシングの下部内面から既設杭の外壁面に向けた切断刃を突出させ、ケーシングの回転により切断刃を既設杭の腹部に切り入れて切断する第2工程と、切断刃の切り入れによって切断された短尺の既設杭部分をケーシングの内側に保持して地上に引き上げる第3工程と、引き上げられた短尺の既設杭部分をケーシングから取り外す第4工程と、短尺の既設杭部分が取り外された短尺なケーシングを再び、地中の前記短尺の既設杭部分が切断撤去されて残置された既設杭を囲撓するごとくして下降させ、前記第1工程〜第4工程を繰り返し採用する工程とからなる」既設杭の切断撤去方法である。
一方、既設杭と地盤とが縁切りされた後にケーシングを取り外して既設杭を引き上げる方法において周辺地盤が崩落して既設杭が引き抜けなくなる問題については、特開平9−202030号公報に、「地中に埋設されたコンクリート製の既存杭を、先端に杭破砕用ヘッドを装着したアースオーガーによって杭頭部から順次破砕してい所定範囲にわたり既存杭の破砕を完了した後に、破砕されてアースオーガーのオーガースクリューに絡みついた状態の既存杭の補強鋼線とコンクリート破砕片とを、オーガースクリューとともに引き上げて地中から除去するようにした」既存杭除去工法及び同工法に用いる杭破砕用ヘッドの発明が開示されている。
また、特開平6−207412号公報には、「既存杭を収容するように鋼管のケーシングを打設して杭と周囲地盤を縁切りし、その杭を地上からの作業によって撤去する工法において、上記ケーシングの下端に設けたノズルからケーシング内の杭の下端近傍に向かってモルタルを注入する工程、モルタルの注入によって杭を上昇させる工程、杭の上昇に伴ってその上端を支持しながら杭を撤去する工程、モルタルの硬化前にケーシングを撤去する工程を含むことを特徴とするモルタル注入による既存杭の撤去工法」が開示されている。
特開2006−16778号公報
特開2006−257675号公報
特開平9−202030号公報
特開平6−207412号公報
また、特開平6−207412号公報には、「既存杭を収容するように鋼管のケーシングを打設して杭と周囲地盤を縁切りし、その杭を地上からの作業によって撤去する工法において、上記ケーシングの下端に設けたノズルからケーシング内の杭の下端近傍に向かってモルタルを注入する工程、モルタルの注入によって杭を上昇させる工程、杭の上昇に伴ってその上端を支持しながら杭を撤去する工程、モルタルの硬化前にケーシングを撤去する工程を含むことを特徴とするモルタル注入による既存杭の撤去工法」が開示されている。
特許文献1、特許文献3の発明は、前述のように、ケーシングの回転を利用して地中に貫入し、既設杭を地中で切断することから騒音、振動が少なくなり公害問題を生じることなく、かつ既設杭を短く切断して少しずつ撤去できるので、林立したビル間の狭隘な場所で小規模な引き抜き機での作業が可能となるなど、従来の既設杭の撤去方法にはない効果をもたらしたが、既設杭をすべて撤去した後、残された縦穴を埋め戻す作業を行う必要があること、ケーシングに既設杭を切断するための切断刃を取り付けた特殊なケーシングを製作して使用しなければならないことなどの問題がある。
また特許文献3の発明には、地中での既存杭の破砕時や、破砕された補強鋼線とコンクリート片の引き上げ時に、周辺の地盤を崩落させるおそれがあること、また撤去後の縦穴を埋め戻す作業を行う必要があることなどの問題がある。
また特許文献3の発明には、地中での既存杭の破砕時や、破砕された補強鋼線とコンクリート片の引き上げ時に、周辺の地盤を崩落させるおそれがあること、また撤去後の縦穴を埋め戻す作業を行う必要があることなどの問題がある。
そして特許文献4のモルタル注入による既存杭の撤去方法は、撤去と撤去後の空洞へのモルタル注入とが同時に進行するため周辺地盤の崩落のおそれはなく、撤去後の埋め戻しの必要もないなどの優れた効果を備えているが、杭の下端付近にモルタルを注入するための装置の構成が複雑になっているのは否めない。
すなわち同発明の明細書の段落「0007」〜「0011」によれば、杭を収容するように打ち込まれるケーシングには予め注入管が縦方向に付設され、その下端部にはケーシングの中心部に向かってノズルが形成され、かつ上端部には圧縮空気の供給源である空気圧縮機が接続されて、前記ノズルから杭の下端付近に前記圧縮空気を吹き込み、ケーシング内の土壌に杭の中心位置に達するような穿孔を穿ち、次いでケーシングの上部外周に設けた旋回装置によって前記ケーシングを杭の周囲に旋回させ、これに伴うノズルの旋回によって前記穿孔を水平に連続して扇形に拡大し、最終的には円板状の空間を杭の下方に形成し、その空間に前記ノズルからモルタルを注入して、前空間の上方の土壌ともども杭をピストン状に押し上げて撤去すると記述されている。そして、注入管に圧縮空気とモルタルとを交互に切替供給するために供給管の地上部分に三方弁を介してモルタル輸送管を合流させているとしている。
また、ケーシングを振動打ち込み機で打ち込むとしていることから、騒音や振動の問題は解決されていない。
すなわち同発明の明細書の段落「0007」〜「0011」によれば、杭を収容するように打ち込まれるケーシングには予め注入管が縦方向に付設され、その下端部にはケーシングの中心部に向かってノズルが形成され、かつ上端部には圧縮空気の供給源である空気圧縮機が接続されて、前記ノズルから杭の下端付近に前記圧縮空気を吹き込み、ケーシング内の土壌に杭の中心位置に達するような穿孔を穿ち、次いでケーシングの上部外周に設けた旋回装置によって前記ケーシングを杭の周囲に旋回させ、これに伴うノズルの旋回によって前記穿孔を水平に連続して扇形に拡大し、最終的には円板状の空間を杭の下方に形成し、その空間に前記ノズルからモルタルを注入して、前空間の上方の土壌ともども杭をピストン状に押し上げて撤去すると記述されている。そして、注入管に圧縮空気とモルタルとを交互に切替供給するために供給管の地上部分に三方弁を介してモルタル輸送管を合流させているとしている。
また、ケーシングを振動打ち込み機で打ち込むとしていることから、騒音や振動の問題は解決されていない。
本発明は、前記既設杭の撤去方法の諸問題を解決するため、騒音、振動の発生が少なく、少ない機器構成によって既設杭の下方にグラウトが注入でき、注入したグラウトによって既設杭を押し上げて切断、撤去する既設杭の撤去方法を提供するものである。
本願発明者は、上記に鑑み鋭意研究の結果、次の手段によりこの課題を解決した。
(1)既設杭を撤去する既設杭の撤去方法において、
既設杭の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルとを同時に回転降下することによって、前記既設杭の周囲を掘削するとともに既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔を穿設する第1の工程と、
前記ドリルで穿設した既設杭中心部の貫通孔に、該既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間へグラウトを圧入する管状のグラウト注入用ロッドを挿入する第2の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの上端開口部に、高圧グラウトポンプからグラウトを供給するグラウトホースを接続する第3の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの下端から既設杭の下端部と該既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入して、前記既設杭を地上に押し上げる第4の工程と、
地上に押し上げられた既設杭が一定の長さに達したときグラウトの圧入を停止し、前記地上に押し上げたれた既設杭の上部を一定の長さで切断して撤去する第5の工程と、
前記グラウト注入用ロッドを切断された既設杭に相当する長さだけ引き上げた後その開口部にグラウトホースを接続してグラウトの圧入を再開する第6の工程とでなり、
以後第4の工程から第6の工程を複数回繰り返し行って撤去することを特徴とする既設杭の撤去方法。
(2)前記既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入するための空間を確保するため、周囲の地盤から縁切りされた既設杭をクレーン等の引き上げ装置によってグラウトの圧入可能な空間が得られるよう引き上げる工程を、前項(1)に記載の第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に加えることを特徴とする前項(1)に記載の施設杭の撤去方法。
(3)前記グラウト注入用ロッドが、前記所定長さのロッドを複数本接続可能にされてなり、圧入グラウトによって押し上げられた前記既設杭が、所定長さで切断・撤去される都度、前記グラウト注入用ロッドを引き上げ、かつ最上部に位置する所定長さのロッド1本を取り外し、前記既設杭の貫通孔に残されたグラウト注入用ロッドの上端開口部にグラウトホースを接続して撤去作業を継続してなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の既設杭の撤去方法。
(1)既設杭を撤去する既設杭の撤去方法において、
既設杭の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルとを同時に回転降下することによって、前記既設杭の周囲を掘削するとともに既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔を穿設する第1の工程と、
前記ドリルで穿設した既設杭中心部の貫通孔に、該既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間へグラウトを圧入する管状のグラウト注入用ロッドを挿入する第2の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの上端開口部に、高圧グラウトポンプからグラウトを供給するグラウトホースを接続する第3の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの下端から既設杭の下端部と該既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入して、前記既設杭を地上に押し上げる第4の工程と、
地上に押し上げられた既設杭が一定の長さに達したときグラウトの圧入を停止し、前記地上に押し上げたれた既設杭の上部を一定の長さで切断して撤去する第5の工程と、
前記グラウト注入用ロッドを切断された既設杭に相当する長さだけ引き上げた後その開口部にグラウトホースを接続してグラウトの圧入を再開する第6の工程とでなり、
以後第4の工程から第6の工程を複数回繰り返し行って撤去することを特徴とする既設杭の撤去方法。
(2)前記既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入するための空間を確保するため、周囲の地盤から縁切りされた既設杭をクレーン等の引き上げ装置によってグラウトの圧入可能な空間が得られるよう引き上げる工程を、前項(1)に記載の第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に加えることを特徴とする前項(1)に記載の施設杭の撤去方法。
(3)前記グラウト注入用ロッドが、前記所定長さのロッドを複数本接続可能にされてなり、圧入グラウトによって押し上げられた前記既設杭が、所定長さで切断・撤去される都度、前記グラウト注入用ロッドを引き上げ、かつ最上部に位置する所定長さのロッド1本を取り外し、前記既設杭の貫通孔に残されたグラウト注入用ロッドの上端開口部にグラウトホースを接続して撤去作業を継続してなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の既設杭の撤去方法。
本発明により下記の効果が発揮される。
〈1〉既設杭の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルとを同時に回転降下することによって、前記既設杭の周囲を掘削するとともに既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔を穿設し、次いで、前記ドリルで穿設した既設杭中心部の貫通孔に、該既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入する管状のグラウト注入用ロッドを挿入し、高圧グラウトポンプからグラウトホースを介して供給されるグラウトを、前記グラウト注入用ロッドの下端から前記既設杭の下方に圧入して該既設杭を地上に押し上げるので、既設杭下方へのグラウト注入が少ない機材で行え、かつ既設杭の周囲の掘削と中心部の貫通孔の穿設が同時に行え作業効率の向上が図れる。 また、騒音や振動の発生が少なく、環境公害を発生するおそれも少ない。
〈2〉地上に押し上げられた既設杭が一定の長さに達したときグラウトの圧入を停止し、前記地上に押し上げられた既設杭の上部を一定の長さで切断して撤去するので、大規模なクレーンを必要とせず、林立したビル間の狭隘な場所で小規模のクレーンでの既設杭の撤去作業が可能となる。
〈3〉グラウトによって既設杭を押し上げるので、既設杭の撤去後の空洞は形成されず、ケーシング撤去後の周辺地盤崩落のおそれがなく、また既設杭撤去後の埋め戻し作業の必要がなく工期短縮にもつながる。
〈4〉前記既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入するための空間を確保するため、周囲の地盤から縁切りされた既設杭をクレーン等の引き上げ装置によってグラウトの圧入可能な空間が得られるよう引き上げる工程を、請求項1に記載の第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に加えているので、既設杭の下端部と支持地盤との間に確実にグラウトが圧入でき、既設杭の押し上げが的確に行え、撤去作業が効率よく行える。
〈1〉既設杭の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルとを同時に回転降下することによって、前記既設杭の周囲を掘削するとともに既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔を穿設し、次いで、前記ドリルで穿設した既設杭中心部の貫通孔に、該既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入する管状のグラウト注入用ロッドを挿入し、高圧グラウトポンプからグラウトホースを介して供給されるグラウトを、前記グラウト注入用ロッドの下端から前記既設杭の下方に圧入して該既設杭を地上に押し上げるので、既設杭下方へのグラウト注入が少ない機材で行え、かつ既設杭の周囲の掘削と中心部の貫通孔の穿設が同時に行え作業効率の向上が図れる。 また、騒音や振動の発生が少なく、環境公害を発生するおそれも少ない。
〈2〉地上に押し上げられた既設杭が一定の長さに達したときグラウトの圧入を停止し、前記地上に押し上げられた既設杭の上部を一定の長さで切断して撤去するので、大規模なクレーンを必要とせず、林立したビル間の狭隘な場所で小規模のクレーンでの既設杭の撤去作業が可能となる。
〈3〉グラウトによって既設杭を押し上げるので、既設杭の撤去後の空洞は形成されず、ケーシング撤去後の周辺地盤崩落のおそれがなく、また既設杭撤去後の埋め戻し作業の必要がなく工期短縮にもつながる。
〈4〉前記既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入するための空間を確保するため、周囲の地盤から縁切りされた既設杭をクレーン等の引き上げ装置によってグラウトの圧入可能な空間が得られるよう引き上げる工程を、請求項1に記載の第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に加えているので、既設杭の下端部と支持地盤との間に確実にグラウトが圧入でき、既設杭の押し上げが的確に行え、撤去作業が効率よく行える。
本発明の既設杭の撤去方法を実施するための最良の形態を実施例の図に基づいて説明する。
図1は既設杭の周囲をケーシングで掘削するとともに既設杭の中心部に回転ドリルで貫通孔を穿設する第1工程の説明図、図2は穿設された貫通孔にグラウト注入用ロッドを挿入する第2工程の説明図、図3は貫通孔に挿入されたグラウト注入用ロッドにグラウトホースを取り付ける第3工程の説明図、図4はグラウト注入によって既設杭を押し上げる第4工程の説明図、図5は押し上げられた既設杭を切断・撤去する第5工程の説明図、図6は残置された既設杭に挿入されているグラウト注入用ロッドに再度グラウトホースを取り付けてグラウトを注入する第6工程の説明図、図7は既設杭がすべて撤去された時点での状態を示す説明図、図8はケーシングを引き抜く最終工程の説明図、図9は完工時の状態を示す説明図である。
図において1は既設杭、2はケーシング、3は回転ドリル、4はクレーン、5はグラウト注入用ロッド、5aは一定長さの単位ロッド、6は杭切断装置、6aはクランプ装置、6bは切断機、6cはロッド装着腕部、7はグラウトホース、8はグラウト、10は貫通孔、Bは既設杭の支持地盤を示す。
図1は既設杭の周囲をケーシングで掘削するとともに既設杭の中心部に回転ドリルで貫通孔を穿設する第1工程の説明図、図2は穿設された貫通孔にグラウト注入用ロッドを挿入する第2工程の説明図、図3は貫通孔に挿入されたグラウト注入用ロッドにグラウトホースを取り付ける第3工程の説明図、図4はグラウト注入によって既設杭を押し上げる第4工程の説明図、図5は押し上げられた既設杭を切断・撤去する第5工程の説明図、図6は残置された既設杭に挿入されているグラウト注入用ロッドに再度グラウトホースを取り付けてグラウトを注入する第6工程の説明図、図7は既設杭がすべて撤去された時点での状態を示す説明図、図8はケーシングを引き抜く最終工程の説明図、図9は完工時の状態を示す説明図である。
図において1は既設杭、2はケーシング、3は回転ドリル、4はクレーン、5はグラウト注入用ロッド、5aは一定長さの単位ロッド、6は杭切断装置、6aはクランプ装置、6bは切断機、6cはロッド装着腕部、7はグラウトホース、8はグラウト、10は貫通孔、Bは既設杭の支持地盤を示す。
本基礎杭の撤去方法は、まず第1の工程として、図1に示すように、クレーン4に既設杭1の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシング2と、前記既設杭1の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリル3とを吊り下げて両者を同時に回転降下させ、ケーシング2によって前記既設杭1の全長にわたってその周囲を掘削して周囲地盤から縁切りするとともに、既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔10を穿設する。
この際ケーシング2及び回転ドリル3は、当初クレーン4に吊り下げ可能な長さに制限されるが、掘削、穿孔が進むにつれて継ぎ足し、前記既設杭1の全長にわたっての掘削、穿孔を終えるまで継続実施する。
この際ケーシング2及び回転ドリル3は、当初クレーン4に吊り下げ可能な長さに制限されるが、掘削、穿孔が進むにつれて継ぎ足し、前記既設杭1の全長にわたっての掘削、穿孔を終えるまで継続実施する。
そして第2の工程として、図2に示すように、前記ケーシング2を既設杭1の周囲の地盤崩落防止のために既設杭1の周囲に残置するとともに、前記回転ドリル3を撤去した後、該既設杭の上方に杭切断装置6を配設し、さらに前記回転ドリル3で穿設した既設杭1の中心部に穿設された貫通孔10に、該既設杭1の下端部と既設杭の支持地盤Bとの間にグラウト8を圧入するための管状のグラウト注入用ロッド5を挿入する。
なお前記グラウト注入用ロッド5は、一定長さの単位ロッド5aを複数本接続してなり、既設杭1の下部にグラウト8が注入され前記既設杭が押し上げられるに伴って、前記グラウト注入用ロッド6の先端も上方に移動しなければならない事態に対応できるようにしている。
また、前記既設杭1の下端部と既設杭の支持地盤Bとの間にグラウト8を圧入するための空間が得られず、グラウトの圧入ができない場合には、第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に周囲の地盤から縁切りされた既設杭1をクレーン4等の引き上げ装置によってグラウト8の圧入が可能となる空間が得られる程度まで引き上げる工程を加えることが好ましい。
なお前記グラウト注入用ロッド5は、一定長さの単位ロッド5aを複数本接続してなり、既設杭1の下部にグラウト8が注入され前記既設杭が押し上げられるに伴って、前記グラウト注入用ロッド6の先端も上方に移動しなければならない事態に対応できるようにしている。
また、前記既設杭1の下端部と既設杭の支持地盤Bとの間にグラウト8を圧入するための空間が得られず、グラウトの圧入ができない場合には、第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に周囲の地盤から縁切りされた既設杭1をクレーン4等の引き上げ装置によってグラウト8の圧入が可能となる空間が得られる程度まで引き上げる工程を加えることが好ましい。
第3の工程では、図3に示すように、前記グラウト注入用ロッド5を杭切断装置6に上下動可能に備えられたロッド装着腕部6cで保持し、該グラウト注入用ロッド5の上端開口部に、高圧グラウトポンプ(図示せず)からグラウト8を供給するグラウトホース7を接続する。
そして第4の工程では、図4に示すように、前記グラウトホース7を介して既設杭1の下面と該既設杭1の支持地盤Bとの間に、グラウト8を圧入し、前記既設杭1を圧入したグラウト8によって押し上げる。このときグラウト注入用ロッド5も注入されたグラウトによって押し上げられ、前記杭切断装置6に上下動可能に備えられたロッド装着腕部6cも上方に押し上げられる。
そして第4の工程では、図4に示すように、前記グラウトホース7を介して既設杭1の下面と該既設杭1の支持地盤Bとの間に、グラウト8を圧入し、前記既設杭1を圧入したグラウト8によって押し上げる。このときグラウト注入用ロッド5も注入されたグラウトによって押し上げられ、前記杭切断装置6に上下動可能に備えられたロッド装着腕部6cも上方に押し上げられる。
第5の工程では、グラウト8の注入により既設杭1の押し上げ長さがある一定値(例えば1.5〜2m)に達したとき、一旦グラウトホース7をグラウト注入用ロッド5から取り外してグラウト8の圧入を停止する。そして、グラウト8の注入によって押し上げられて地上に一定長さ現出した前記既設杭1を杭切断装置6に備えられたクランプ装置6aによって把持し、杭切断装置6の切断機6bによって、前記切断機6bより上方に押し上げられた既設杭1の部分を切断し、クレーン4を用いて撤去する。
この際、前記グラウト注入用ロッド5の上端が切断機6bより下方に位置するよう、前記一定長さの単位ロッド5aの1又は複数本を除去しておくことが望ましい。
この際、前記グラウト注入用ロッド5の上端が切断機6bより下方に位置するよう、前記一定長さの単位ロッド5aの1又は複数本を除去しておくことが望ましい。
本既設杭撤去方法の第6の工程は、図6に示すように、前記グラウト注入用ロッド5を前記切断された既設杭に相当する長さだけ引き上げ、所定の位置に引き下ろされた前記ロッド装着腕部6cに保持させた後その上端の開口部にグラウトホース7を接続してグラウト8の圧入を再開する。
以後は第4の工程から第6の工程を複数回繰り返し行って既設杭1を複数に切断して撤去する。
図7は、前記既設杭1がすべて撤去され、前記ケーシング2内に既設杭1を押し上げたグラウト8が充填されている状態を示している。
最後の工程は、図8に示すように、地盤内に残置されたケーシング2をクレーン4を用いて回転しながら引き抜く工程であり、ケーシングがすべて引き抜かれると既設杭1の頭部を現出させるために掘削した部分にもグラウトを注入して完工とする(図9参照)。
以後は第4の工程から第6の工程を複数回繰り返し行って既設杭1を複数に切断して撤去する。
図7は、前記既設杭1がすべて撤去され、前記ケーシング2内に既設杭1を押し上げたグラウト8が充填されている状態を示している。
最後の工程は、図8に示すように、地盤内に残置されたケーシング2をクレーン4を用いて回転しながら引き抜く工程であり、ケーシングがすべて引き抜かれると既設杭1の頭部を現出させるために掘削した部分にもグラウトを注入して完工とする(図9参照)。
1:既設杭
2:ケーシング
3:回転ドリル
4:クレーン
5:グラウト注入用ロッド
5a:一定長さの単位ロッド
6:杭切断装置
6a:クランプ装置
6b:切断機
6c:ロッド装着腕部
7:グラウトホース
8:グラウト
10:貫通孔
B:既設杭の支持地盤
2:ケーシング
3:回転ドリル
4:クレーン
5:グラウト注入用ロッド
5a:一定長さの単位ロッド
6:杭切断装置
6a:クランプ装置
6b:切断機
6c:ロッド装着腕部
7:グラウトホース
8:グラウト
10:貫通孔
B:既設杭の支持地盤
Claims (3)
- 既設杭を撤去する既設杭の撤去方法において、
既設杭の外径より大きな内径を有し回転しながら既設杭の周囲を掘削するケーシングと、前記既設杭の中心部に縦穴を穿孔する回転ドリルとを同時に回転降下することによって、前記既設杭の周囲を掘削するとともに既設杭の中心部にその全長にわたる貫通孔を穿設する第1の工程と、
前記ドリルで穿設した既設杭中心部の貫通孔に、該既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間へグラウトを圧入する管状のグラウト注入用ロッドを挿入する第2の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの上端開口部に、高圧グラウトポンプからグラウトを供給するグラウトホースを接続する第3の工程と、
前記グラウト注入用ロッドの下端から既設杭の下端部と該既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入して、前記既設杭を地上に押し上げる第4の工程と、
地上に押し上げられた既設杭が一定の長さに達したときグラウトの圧入を停止し、前記地上に押し上げたれた既設杭の上部を一定の長さで切断して撤去する第5の工程と、
前記グラウト注入用ロッドを切断された既設杭に相当する長さだけ引き上げた後その開口部にグラウトホースを接続してグラウトの圧入を再開する第6の工程とでなり、
以後第4の工程から第6の工程を複数回繰り返し行って撤去することを特徴とする既設杭の撤去方法。 - 前記既設杭の下端部と既設杭の支持地盤との間にグラウトを圧入するための空間を確保するため、周囲の地盤から縁切りされた既設杭をクレーン等の引き上げ装置によってグラウトの圧入可能な空間が得られるよう引き上げる工程を、請求項1に記載の第1の工程と第2の工程の間、又は第2の工程と第3の工程との間に加えることを特徴とする請求項1に記載の施設杭の撤去方法。
- 前記グラウト注入用ロッドが、前記所定長さのロッドを複数本接続可能にされてなり、圧入グラウトによって押し上げられた前記既設杭が、所定長さで切断・撤去される都度、前記グラウト注入用ロッドを引き上げ、かつ最上部に位置する所定長さのロッド1本を取り外し、前記既設杭の貫通孔に残されたグラウト注入用ロッドの上端開口部にグラウトホースを接続して撤去作業を継続してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の既設杭の撤去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008113958A JP2009263966A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 既設杭の撤去方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-04-24 JP JP2008113958A patent/JP2009263966A/ja active Pending
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