JP2005225947A - 無機フィラーおよびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐水性、耐薬品性に優れる無機フィラーおよびこのような無機フィラーを簡便かつ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】 金属もしくは半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子の表面に、当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる酸化物層が形成された、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなり、該酸化物層の表面に、分岐を有するクラックであって、当該分岐を有するクラックを互いに隣り合った分岐点間のクラックユニットおよび端部から直近の分岐点までのクラックユニットに分割した場合において、各クラックユニットの長さおよび最大幅を夫々l(nm)およびw(nm)としたときに、wが20nm以上でありlが500nm以上であり且つw/lが0.02以上となるクラックユニットを有する分岐のあるクラックが、実質的に存在しないことを特徴とする無機フィラー。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無機フィラー、詳しくは、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなる無機フィラーに関する。
窒化アルミニウムや窒化珪素等の非酸化物セラミックスは、高い熱伝導性および高い電気絶縁性等の優れた特徴を有しており、かかる物性を利用して該粒子を合成高分子に配合し、電子部品の種々の放熱材料等として用いることが行われている。例えば、エポキシ樹脂と混合して、トランジスタ、IC、LSI等の半導体封止材としたり、液状シリコーン等の基油と混合して熱伝導性グリースとしたり、その他、パッケージ材、電子部品の接着剤、絶縁保護膜、積層基材の成形材料等として使用することが行われている。また、該液状シリコーン等の基油と混合して熱伝導性グリースとして使用することも行われている。
ところが、非酸化物セラミックス、特に窒化物セラミックスは、耐水性や耐薬品性が悪く、空気中の水分で加水分解し、水酸化アルミニウムとアンモニアを生成し、上記熱伝導性等の優れた性状が損なわれ易い。したがって、窒化物セラミックス粒子を斯様な合成高分子用フィラーとして使用した場合にも、得られる合成高分子組成物は耐水・耐薬品性の悪さが大きな問題であった。
そこで、従来窒化物セラミックスの耐水・耐薬品性を改善するために、種々の手法が提案されており、その中で特に有効な手法として、窒化アルミニウムや窒化珪素を大気中等の酸化性雰囲気中で加熱して表面に酸化物層を形成する技術が知られている(特許文献1〜4参照)。
特開昭62−123071号公報 特開平03−250688号公報 特開2002−226207号公報 特開平11−166074号公報
しかしながら、非酸化物セラミックスの表面に従来の方法でこれら酸化物層を形成した場合、形成された酸化物層は、緻密性が低く、比較的幅が広く枝分かれの多いクラックが数多く発生してしまい、その耐水・耐薬品性の向上効果が十分に実現されていないことが判明した。したがって、かかる技術を非酸化物セラミックス粒子に応用しても、得られる表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子は、無機フィラーとして用いても今一歩満足できるものにはならず、その改善が望まれていた。
また、非酸化物セラミックス粒子の表面改質により耐水・耐薬品性を向上させる方法として、種々の有機化合物又は無機化合物との反応により、表面に有機化合物層、ガラス層、金属塩からなる層等を形成する方法が多数提案されているが、いずれも、効果が十分でなかったり、プロセスが煩雑でコストが高くなったり等の難点を抱えていた。
以上の背景から、本発明は、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子において、安価で簡単な方法により酸化物層の緻密性を向上させ、耐水・耐薬品性に優れる無機フィラーを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を続けてきた。その結果、窒化物アルミニウムを酸化処理するに際し、大気のような酸素を含むガス雰囲気中で窒化アルミニウムを昇温・加熱して行くという従来の酸化法とは異なり、窒化アルミニウムの酸化反応が開始される温度(反応開始温度)に達するまでは酸素ガスを含まない雰囲気中で窒化アルミニウムを加熱し、反応開始温度に達した時点ではじめて窒化アルミニウムと酸素とを接触させて酸化を行なった場合には、上記のような特徴的なクラックの発生が抑制されるという知見を得るに至った。そして、このような挙動は窒化アルミニウムに限らず他の非酸化物セラミックにも見られること、更にこのような方法で表面を酸化した非酸化物セラミックス粒子については酸化物層の緻密性が大きく向上していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、金属または半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子の表面に、当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる酸化物層が形成された表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなり、該酸化物層の表面に、分岐を有するクラックであって、当該分岐を有するクラックを互いに隣り合った分岐点間のクラックユニットおよび端部から直近の分岐点までのクラックユニットに分割した場合において、各クラックユニットの長さおよび最大幅を夫々l(nm)およびw(nm)としたときに、wが20nm以上でありlが500nm以上であり且つw/lが0.02以上となるクラックユニットを有する分岐のあるクラック(以下、特定クラックともいう。)が、実質的に存在しないことを特徴とする無機フィラーである。
また、本発明は、金属若しくは半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子の表面に、当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる酸化物層が形成された、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなり、該酸化物層が、非酸化物セラミックス粒子を酸素を実質的に固溶させない条件下で当該非酸化物セラミックスの酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度に加熱し、次いで加熱された該非酸化物セラミックス粒子を酸素ガスと接触させ、当該非酸化物セラミックスの酸化開始温度より高い温度に保持して当該粒子の表面を酸化することにより形成されたものであることを特徴とする無機フィラーも提供する。
さらに、本発明は、これらの無機フィラーと合成高分子とを含んでなる合成高分子組成物も提供する。
本発明の無機フィラーは、窒化アルミニウム粒子等の非酸化物セラミックス粒子でありながら、表面には、耐水・耐薬品性を低下させるような、幅が広く枝分かれの多いクラックは形成されておらず緻密性が高いため、耐水・耐薬品性に極めて優れる。また、酸化物層が緻密であり、非酸化物セラミックスと該酸化物層の界面の密着強度も高いため、合成高分子等のマトリックス成分に配合して得られる組成物は、機械的強度が良好になる。しかも、簡単な方法で安価に製造可能である。
したがって、本法により得られる表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子は、合成高分子や基油に配合して、種々の電子部品の放熱材料として有用に使用される。特に、エポキシ樹脂に配合し、半導体封止材用として使用すれば、信頼性の高い半導体部品が得られ、最も好ましい。
本発明において、非酸化物セラミックス粒子の素材は、金属若しくは半金属の窒化物又は炭化物で融点若しくは分解温度が後述する酸化開始温度以上のものであれば特に限定されず、公知の非酸化物セラミックスを使用することができる。本発明で好適に使用できる非酸化物セラミックスを具体的に例示すれば、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;炭化珪素、炭化チタン、炭化ジルコニウム等の炭化物系セラミックスを挙げることができる。これらの中でも工業的有用性が高いという理由から窒化アルミニウム又は窒化珪素を使用するのが好適である。
なお、本発明で使用する非酸化物セラミックス粒子は、単結晶或いは多結晶等の結晶性のもの、アモルファス、又は結晶相とアモルファス層が混在するもの、さらには焼結助剤および必要に応じて他の添加剤を添加して非酸化物セラミックス粉末を焼結した焼結体粒子等が使用できる。本発明においては、有用性が高く、安価で入手も容易で、本発明の効果も大きいという理由から、非酸化物セラミックス粒子としては、窒化アルミニウム又は窒化珪素の焼結体粒子等の窒化物セラミックスの焼結体粒子を使用するのが好適である。
たとえば、窒化物セラミックス粒子が窒化アルミニウム焼結体粒子である場合には、窒化アルミニウム粉末にイットリア、カルシア、硝酸カルシウム及び炭酸バリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加して焼結した粒子形状のものが好適に使用できる。特に、特開2003−267708号公報に記載されるような窒化アルミニウム焼結体粒子を用いるのが最も好ましい。
また、窒化物セラミックス粒子が窒化珪素焼結体である場合には、窒化珪素粉末に酸化マグネシウム、酸化第二クロム、アルミナ、イットリア、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化珪素、ホウ素及び窒化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加して焼結した粒子形状のものが好適に使用できる。
非酸化物セラミックス粒子の形状は、球状またはフレーク状のいずれでも良いが、粒径の揃ったものが好ましい。この非酸化物セラミックス粒子の表面には、酸化物層が形成されている。例えば、非酸化物セラミックス粒子が窒化アルミニウム粒子の場合、その表面には酸化アルミニウム層が形成され、同様に非酸化物セラミックス粒子が窒化珪素粒子の場合、その表面には酸化珪素層が形成される。
このように表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子の平均粒子径は、特に制限されるものではないが、0.1〜300μm、好適には1〜100μmであるのが好ましい。
表面の酸化物層の厚みは、十分な耐水・耐薬品性の効果を発揮させるためには、0.1〜100μm、好適には0.1〜50μmであるのが好ましい。
この非酸化物セラミックス粒子の表面に形成される酸化物層は、その緻密性を低下させて耐水・耐薬品性や機械的強度を低下させるような特定クラック、即ち、「分岐を有するクラックであって、当該分岐を有するクラックを互いに隣り合った分岐点間のクラックユニットおよび端部からその直近の分岐点までのクラックユニットに分割した場合において、各クラックユニットの長さおよび最大幅を夫々l(nm)およびw(nm)としたときに、wが20nm以上でありlが500nm以上であり且つw/lが0.02以上となるクラックユニットを有する分岐を有するクラック」が実質的に存在しないという特徴を有する。
上記特定クラックについて図を用いて更に詳しく説明すると、例えば分岐を有するクラック1が図1に示されるような形状を有する場合、2a〜2eが各クラックユニットとなる。そして各クラックユニットについてl、wおよびw/lを求めたとき、wが20nm以上でありlが500nm以上であり且つw/lが0.02以上、好ましくは0.01以上となるクラックユニットが1つでも存在する場合には、この分岐を有するクラック1は特定クラックとなる。また、w/lが0.02以上、好ましくは0.01以上のクラックユニットが全く存在しない場合にはその分岐を有するクラック1は特定クラックとはならない。
このような特定クラックが存在しないことは酸化物層の表面を走査型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。なお、特定クラックが実質的に存在しないとは、一つの試料について任意の視野(半径30000nmの視野)10箇所、好ましくは50箇所を観察したときに観察される特定クラックの数が、1視野当たりの平均で0.2個以下、好ましくは0.1個以下、最も好ましくは0.05個以下であることを意味する。但し、下地の非酸化物セラミックスの形状を反映し、或いは酸化膜の成長の仕方によって酸化物層の表面に凹凸ができることはしばしばあるが、このような場合に観測される凹部はクラックではなく、本発明に言うクラックとは、酸化物層の少なくとも表層部を不連続に切断する割れを意味する。
この表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子は、上記したような良好な酸化物層を有するため、酸化物層を形成することにより期待される効果を十分に発揮することが可能であり、特に、耐水・耐薬品性が大きく向上する。また、酸化物層が緻密であり、非酸化物セラミックスと該酸化物層の界面の密着強度も高いため、合成高分子等のマトリックス成分に配合して得られる組成物は、機械的強度が良好になる。
上記したような特定クラックを有さない緻密な酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子は、如何なる方法により製造しても良いが、一般には次の方法により製造することができる。すなわち、昇温中に酸素を実質的に固溶させることなく非酸化物セラミックス粒子を当該非酸化物セラミックス粒子の酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度に加熱する工程(以下、この工程を単に「昇温工程」ともいう)、および該工程で当該非酸化物セラミックス粒子の酸化開始温度より300℃低い温度以上に加熱された前記非酸化物セラミックス粒子を酸素ガスと接触させた後、当該非酸化物セラミックスの酸化開始温度より高い温度に保持して当該非酸化物セラミックスの表面を酸化して酸化物層を形成する工程(以下、この工程を単に「酸化工程」ともいう)を含む方法により製造することができる。
かかる方法により、上記したような特定クラックを有さない緻密な酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子が得られる理由は、まず、従来の酸化法では昇温工程で雰囲気中の酸素が窒化物セラミックス成形体中に固溶し、粒子温度が酸化反応の反応開始温度に達すると固溶していた酸素が一気に反応するため下地と酸化物層との格子定数の違い等に起因する急激な応力発生によって酸化物層に前記したような特定クラックが発生してしまうことによると推定される。これに対して、上記の酸化法では、昇温中は雰囲気から酸素が非酸化物セラミックス粒子中に実質的に固溶しない状態で行われるため、基材の酸化反応は反応開始温度に達し酸素ガスと接触してから始まり、酸素の拡散律速で徐々に進行するため上記のような特定クラックが発生しないものと考えられる。
なお、この新酸化法で酸化物層を形成した場合、形成される酸化物層の厚みが厚くなるとクラックが発生することもあるが、このときに発生するクラックは、幅が小さく枝分かれも少ないものであり、その数(単位面積当たりのクラック数)も従来法における特定クラックのそれと比べてはるかに少ない。しかも、こうしたクラックは、特定クラックと比較すると、耐水・耐薬品性の低下等を引き起こす程度もはるかに小さい。
上記製造方法では、先ず、昇温工程として、非酸化物セラミックス粒子を、昇温中に酸素を固溶させることなく、当該非酸化物セラミックス粒子の酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度に加熱する。ここで、酸素が非酸化物セラミックス粒子に固溶した状態とは、非酸化物セラミックス素材の副格子位置に酸素原子がランダムに存在する状態を指す。また、昇温中に酸素を実質的に固溶させないとは、酸化工程において形成される酸化物層に特定クラックを発生させるような急激な酸化反応が起こるような酸素の固溶を防止するという意味であり、雰囲気中に極微量存在し得る酸素の固溶や非酸化物セラミックス素材中に不純物や微量成分として含まれる酸化物中の酸素や昇温前に非酸化物セラミックス素材を大気中に放置することによって収着した酸素が昇温中に拡散して固溶するといった、特定クラックの発生に影響を与えない程度の酸素の固溶は上記の「実質的な酸素の固溶」には含まれない。
この昇温工程において、非酸化物セラミックス粒子の雰囲気になる、非酸化物セラミックス粒子中に酸素が固溶しないような雰囲気、即ち、酸素ガスを実質的に含有しない雰囲気は、特に限定されず、例えば不活性ガス雰囲気或いは真空雰囲気等を適宜採択すればよい。加熱炉の構造が簡単であるという理由から不活性ガス雰囲気を採用するのが好適である。不活性ガスとしては窒素ガス、Arガス等が使用できるが、入手の容易さおよび同一純度の不活性ガスであっても窒素ガスの方が酸素を固溶させない効果が高いという理由から窒素ガスを使用するのが好適である。これら不活性ガスは、純度99.999%以上、より好ましくは99.9999%以上、最も好ましくは99.99995%以上の高純度不活性ガスを用いるのが好ましい。
この昇温工程において、得られる表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子の耐水・耐薬品性をより向上させるためには、炉内の実際の雰囲気を、昇温・加熱時に炉壁や被処理物となる非酸化物セラミックス粒子から放出されるガスの影響までをも可及的に排除して加熱するのが好ましい。すなわち、上記の如くに昇温工程における雰囲気を窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすることにより、酸化工程時に上記特定クラックの発生を効果的に抑止することができるが、それだけでは、より高度な耐水・耐薬品性が求められる場合には十分ではなく、こうした場合には、該放出ガスに含まれる酸素分子、さらには酸素ガスと同様に耐水・耐薬品性の低下を引き起こす原因となる水分子等を可及的に少なくするのが好ましい。
具体的には、1mに含まれる昇温時の雰囲気ガスの組成を、酸化性ガスの合計モル数が0.5mmol(0.00112vol.%)以下にするのが好ましい。ここで、酸化性ガスとは酸素ガス、水蒸気、二酸化炭素ガス、一酸化炭素ガス等の非酸化物セラミックスを酸化する能力を有するガスを意味する。効果の観点から、昇温時の雰囲気中に含まれる酸化性ガスの合計濃度、特に酸素および水蒸気の合計濃度は0.1mmol/m以下、特に0.01mmol/m以下であるのが好適である。加熱時の雰囲気ガスの組成は炉から流出したガスを分析することにより確認することができる。
なお、上記昇温工程において、加熱開始してから非酸化物セラミックス粒子の温度がさほど高くならない間は雰囲気制御を厳密に行なう必要はないが、少なくとも非酸化物セラミックス粒子の温度が100℃以上、より好ましくは200℃以上となる加熱過程における雰囲気は、酸素分子と水分子との合計濃度が上記した範囲と成るように管理するのが好ましい。
このようにして昇温する際の雰囲気中に含まれる酸化性ガスの濃度を高度に制御した場合には、得られる表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子は、前記したような特定クラックが見られないというマクロ構造的な特徴を有することに加えて、酸化物層における非酸化物セラミックス基材との界面近傍の領域に空隙が全く見られないというミクロ構造的な特徴を有する。すなわち、かかる非酸化物セラミックス粒子は、通常は0.1〜100μmの厚さである酸化物層における前記非酸化物セラミックスと前記酸化物層の界面から少なくとも20nmの厚さの領域に空隙が実質的に存在しないという特徴を有する。このような非酸化物セラミックス粒子は、非酸化物セラミックス基材部分と酸化物層との密着強度が非常に高く、これに起因して、機械的強度だけでなく耐水・耐薬品性も大きく改善される。
この酸化物層の非酸化物セラミックス基材部分との界面近傍における空隙若しくは気泡が実質的に存在しない領域(以下、空隙非存在領域ともいう。)は、界面からある厚さをもって酸化物層の全面に広がる層状の領域であり、その厚さは酸化物層全体の層厚によらず、20〜100nmの厚さである。ここで空隙若しくは気泡が実質的に存在しないとは、上記空隙非存在領域における空隙率(該領域の全体積に占める空隙の体積の割合)が5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下であることを意味する。上記空隙非存在領域以外の酸化物層領域、特に表層近傍を除く領域には径が50〜100nm程度の大きさの空隙が多く見られるのに対し、該空隙非存在領域ではそのような空隙が殆ど見られず、空隙があったとしてもその径が5nm以下、好ましくは1nm以下のものが殆どである。なお、酸化物層の表層部分については、酸化物層の厚さが厚くなると、空隙数が減少し、空隙径が大きくなる傾向が見られる。
空隙非存在領域の存在は、試料の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察することにより確認することができる。この場合、空隙は、TEM写真において白い若しくは薄い灰色のゆがんだ楕円状(場合によっては多角形の形状に見えることもある)の模様として観察されるが、観察試料の厚さが不均一である場合には判別が困難である。このため、TEM観察を行なう場合の試料の厚さは50〜100nmの範囲で均一な厚さとする必要がある。このような試料の作成は、次のようにして行なうことができる。即ち、TEM観察用の試料作製に広く用いられている集束イオンビーム(FIB)装置において、加速したガリウムイオンで試料の研削を行い、試料表面から見て横幅10〜20μm、縦50〜100nmの領域を残すように周囲を研削する。研削領域の確認は、ガリウムイオンを照射した際に試料から発生する二次電子を検出して像を取得する走査型イオン顕微鏡(SIM)により可能である。一般的にSIMはFIB装置に付随しており、このSIM観察によって正確に研削領域を確認することができ、TEM観察を行なう場合の試料の厚さを50〜100nmの範囲で均一な厚さとすることが可能になる。
上記の如く雰囲気中に含まれる酸化性ガスの濃度を制御する方法は、特に制限されるものではないが、加熱処理前に非酸化物セラミックス粒子を導入した炉内を真空脱気するというディーガス(degas)処理をしてから超高純度不活性ガスを導入して加熱を開始する方法が好ましい。このようなディーガス(degas)処理を行なわない場合には昇温・加熱時に炉壁や非酸化物セラミックス粒子から酸素や水蒸気が放出されるので不活性ガス純度は低下し、加熱時の雰囲気ガスの組成は導入したガスの組成とは同じにはならない。
ディーガス(degas)処理を行なった後に炉内を純度99.999%以上、より好ましくは99.9999%以上、最も好ましくは99.99995%以上の高純度不活性ガスで十分に置換してから当該不活性ガスの流通下で加熱するか又は加熱時の炉内の圧力を常に100Pa以下、好ましくは40Pa以下、最も好ましくは20Pa以下の圧力に保って加熱するのが好適である。ディーガス(degas)処理の方法は、表面に吸着している若しくは内部に吸収されているガスを脱離させることができる方法であれば特に限定されず、室温〜100℃の範囲で、ガスの脱離がなくなるまで減圧下で脱気するのが好適である。脱気時の減圧度(炉内の圧力)は特に限定されないが、100Pa以下、特に20Pa以下であるのが好適であり、1Pa以下とするのが最も好ましい。
上記製法においては、非酸化物セラミックス粒子の酸化が開始されるまでは該粒子中に酸素を実質的に拡散させないことが重要である。このためには酸化反応開始温度までは上記のような雰囲気中で加熱するのが好ましいが、少なくとも非酸化物セラミックスの酸化開始温度より300℃低い温度に加熱した場合には、系内(炉内)に酸素ガスを導入しても昇温速度を制御することにより(実用的に制御可能な昇温速度の範囲、例えば10〜80℃/分、好ましくは30〜50℃/分で昇温しても)問題となるような酸素の拡散を起さず、且つ非酸化物セラミックスに大きなダメージを与えることなく酸化開始温度まで昇温することが可能である。
昇温工程を非酸化物セラミックスの酸化開始温度より300℃を超えて低い温度まで昇温された状態で終え酸化工程に移った場合、酸化物層の形成に悪影響を及ぼす酸素の拡散が加熱工程中で生じるようになり、その場合、非酸化物セラミックス粒子にクラックが発生したりするという問題が生じるおそれがある。用いる炉の性能や非酸化物セラミックスの形状にもよるが、非酸化物セラミックスは前記雰囲気中で被酸化物セラミックスの酸化開始温度より100℃低い温度以上の温度、特に非酸化物セラミックスの酸化開始温度以上の温度に加熱するのが好適である。
ここで酸化開始温度とは、酸化性ガス雰囲気下で非酸化物セラミックス粒子を加熱した場合に急激な酸化反応が開始される温度を意味し、本発明では、反応圧力下に酸素雰囲気中で非酸化物セラミックス粒子を1〜100℃/分、好ましくは75℃/分の昇温速度で加熱したとき、非酸化物セラミック粒子の酸化反応率が臨界的(critical)に変化する温度をいう。該酸化開始温度は上記条件で非酸化物セラミックス粒子を加熱する際の熱重量分析結果において急激な重量変化を開始する温度又は示差熱分析結果において急激な発熱を開始する温度として容易に特定することができる。例えば平均粒径が13μmである窒化アルミニウム粒子の大気圧下における酸化開始温度は、図2に示されるように1100℃である。
以上の昇温工程に続いて、酸化工程では、上記のようにして昇温中に酸素を実質的に固溶させることなく非酸化物セラミックス粒子を、当該非酸化物セラミックス粒子の酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度に加熱された状態で、酸素ガスと接触させる。この操作により、当該非酸化物セラミックス粒子の表面を酸化して酸化物層(該酸化物層は非酸化物セラミックスの構成成分である金属又は半金属の酸化物からなる。)を形成する。
ここで、所定の温度に加熱された非酸化物セラミックス粒子を酸素ガスと接触させる方法は特に限定されず、該非酸化物セラミックス粒子の温度をモニターし、その温度が所定の温度に達したことを確認した後に炉内に酸素ガス又は酸素ガスを含むガスを導入し、これらガスの存在下で非酸化物セラミックス粒子を酸化開始温度以上の温度に保持すればよい。非酸化物セラミックス粒子と酸素ガスとの接触を開始する温度は非酸化物セラミックスの酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度であれば、良好な酸化物層を形成することができるが、より確実に良好な酸化物層が得られるという理由から、非酸化物セラミックスの酸化開始温度より100℃低い温度以上、特に非酸化物セラミックスの酸化開始温度以上であるのが好適である。
上記酸化工程で非酸化物セラミックス粒子を酸化するために使用する酸素ガス又は酸素ガスを含むガス(以下酸化用ガスともいう。)としては、得られる酸化物層に欠陥が少ないという観点から露点が−50℃以下のガスを使用するのが好適であり、−70℃以下の露点を有するものを使用するのが最も好ましい。たとえば、超高純度酸素ガス、超高純度酸素ガスを超高純度不活性ガスで希釈した混合ガス、脱水処理した空気等が好適に使用できる。酸化用ガス中の酸素ガス濃度は、酸化物層の形成速度に影響を与え、一般に酸素濃度が高いほど酸化物層の形成速度は速くなる。このため、効率の観点から酸化用ガスとしては酸素濃度が50vol.%以上、特に99vol.%以上のものを用いるのが好適である。
酸化工程においては、非酸化物セラミックス粒子を酸化開始温度以上の温度で酸化用ガスと接触させる必要があるが、酸化温度が高すぎる場合にはエネルギーコストが高くなるばかりでなく酸化物層の厚さの制御が困難となるので酸化開始温度より500℃高い温度以下、特に酸化開始温度より300℃高い温度以下とするのが好適である。また、酸化時間は、使用する酸化用ガスの酸素濃度、酸化温度および得ようとする酸化物層の厚さに応じて適宜決定すればよい。例えば厚さ1000〜3000nmのα−アルミナ層を有する窒化アルミニウムを得るためには、通常0.5〜50時間酸化開始温度より高い温度で保持すればよい。
なお、昇温工程および酸化工程において、非酸化物セラミックス粒子同士の固着を防止するため、および該非酸化物セラミックス粒子の表面をより均一に酸化するため、これらの工程で該非酸化物セラミックス粒子を流動させるのが好ましい。非酸化物セラミックス粒子を流動させる具体的方法として、回転粉体床を形成する円筒状の回転粉体床反応器の回転軸を水平に配向し、この反応器を回転運動させて反応器内に導入された該粒子を円筒壁内に沿って混合運動させる方法、あるいはガスを流動層反応器の下方から導入することにより、反応器内に堆積した該粒子を上下に混合運動させる方法等がある。
上記酸化処理終了後は、酸化処理された非酸化物セラミックス粒子を冷却して炉内から取り出せばよい。また、冷却時、非酸化物セラミックス粒子や酸化物層が損傷しないように徐冷するのが好適である。
次に、本発明において、上記表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子を無機フィラーとして配合するマトリックス成分について説明する。マトリックス成分は、特に制限されるものではなく、例えば、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂などの合成樹脂;ブタジエン、スチレン−ブタジエン、クロロプレン、ブタジエン−アクリロニトリル等のジエン系ゴム;イソブチレン−イソプレン、エチレン−プロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリン系、シリコーン系、含フッ素化合物系、ウレタン系、ビニル系等の非ジエン系ゴム;スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系などの熱可塑性エラストマー;多硫化ゴム、ブタジエン系などの液状ゴムが使用できる。
また、本発明の無機フィラーは、上記のような合成高分子だけでなく、シリコーン油、液状炭化水素油、フッ化炭化水素油等の基油や、その他オリゴマー等に配合しても良い。
これら組成物中において無機フィラーの配合量は、特に制限されるものではなく、組成物の用途に応じて適宜に決定すればよいが、通常は、均一な配合を行う観点等から全組成物中において30〜90重量%の範囲から採択するのが一般的である。
なお、通常、非酸化物セラミックス粒子は上記合成高分子等のマトリックス成分への分散性が悪いが、本発明の無機フィラーは、カルボキシル化トリオキシエチレントリデシルエーテル、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノステアレート、カルボキシル化ヘプタオキシエチレントリデシルエーテル、テトラグリセリンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエキシエチレンソルビタンモノオレート等の界面活性剤を併用することにより、該分散性を大きく向上させることができる。
本発明の無機フィラーは、非酸化物セラミックス粒子の熱伝導性や電気絶縁性等の良さを利用して、合成高分子に配合し、種々の電子部品の放熱材料として使用するのが好ましい。こうした放熱材料の用途としては、具体的には、半導体封止材、パッケージ材、電子部品の接着剤、絶縁基板、絶縁保護膜、積層基材の成形材料等が挙げられる。
上記用途の中でも、耐水・耐薬品性の良さが顕著に発揮されることから、半導体封止材用であるのが、特に好ましい。このように半導体封止材用として用いる場合、合成高分子は、通常、エポキシ樹脂が使用される。該エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限なく用いられる。例えば、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノールA型等のエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば制限なく用いられる。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。
半導体封止材には、本発明の無機フィラー、上記の如きエポキシ樹脂および硬化剤の他に、さらに必要に応じ例えば低応力化剤、シランカップリング剤、表面処理剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、イオントラップ剤、硬化促進剤あるいは離型剤を配合することができる。
半導体封止材用として用いる場合、本発明の無機フィラーは、全組成物中において20〜80重量%の範囲で配合するのが好ましい。
また、本発明の無機フィラーは、シリコーン油、液状炭化水素油、またはフッ化炭化水素油に配合されて、電子部品の放熱材料として使用される熱伝導性グリースとしても有効に使用される。さらに、シリコーンゴムに配合して、電子部品の熱伝導部品や電気絶縁用部品に成形して用いるのも好適な態様である。
本発明の無機フィラーのマトリックス成分への配合は、そのマトリックス成分の種類に応じて適切な方法を適宜採択して行えばよい、例えば、マトリックス成分が、エポキシ樹脂であり、半導体封止材用であれば、加熱ロール、押出機等の装置によって混練し、冷却粉砕すれば良い。
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
特開2003−267708号公報の実施例1に記載される方法に準じて平均粒径58μmの窒化アルミニウム焼結体粒子を製造した。この窒化アルミニウム焼結体粒子を、内径75mm、長さ1100mmのムライトセラミックスを炉心管とする高温雰囲気炉(株式会社モトヤマ製スーパーバーン改造型)内に導入し、炉内をロータリー真空ポンプにて50Pa以下に減圧した(degas処理)後、窒素ガス(純度99.99995%、露点−80℃)で復圧置換し、流速2(l/分)の窒素流通下で1200℃まで昇温した(昇温速度:3.3℃/分)。被処理物付近温度が1200℃に達したのを確認してから窒素ガスの流通を停止し、代わりに酸素ガス(純度99.999%、露点−80℃)を流速1(l/分)で流通させ、そのまま10時間保持して窒化アルミニウム焼結体粒子の表面を酸化した。その後室温まで冷却し(降温速度3.3℃/分)、本発明の無機フィラーを得た。
上記製造工程において昇温開始と同時に炉から排出されるガスをガスクロマトグラフ(島津製作所製パーソナルガスクロマトグラフGC−8A、検出器:TCD、カラム:ジーエルサイエンス株式会社製SUS3φ×2m、充填剤モレキュラーシーブ13X−S 60/80)に導入し、ガス成分を経時的に分析した。その結果昇温時にはいずれの温度領域においても窒素以外の成分は検出されなかった。酸素を流通させ始めてから10分経過したところで排ガスを分析したところ、流通ガスである酸素の他、反応過程で生成したと考えられる窒素が検出された。窒素のピークは酸素流通開始後が最も高く、温度保持時間が経過するにつれてやや減少した。
得られた表面酸化窒化アルミニウム焼結体粒子を分析用試料(試料1)とし、その酸化物層について、XRD分析、SEMによる表面観察及びTEMによる断面観察を行った。また、その耐水・耐薬品性を評価した。これらの分析および評価テストの具体的方法及び結果を以下に示した。
〔XRD分析〕
試料1について、X線回折装置(理学電機株式会社製X線回折装置RINT1200)を用いてXRD測定を行ったところ、その回折パターンから、該試料の酸化物層はα−アルミナであることが確認された。なお測定は、入射X線Cu−Kα線、管電圧40kV、管電流40mA、受光スリット0.15mm、モノクロ受光スリット0.60mmの測定条件で行った。
〔SEM観察〕
試料1を観察用試料台にカーボンテープを用いて固定した。これをイオンスパッタリング装置(日本電子株式会社製マグネトロンスパッタリング装置JUC−5000)を用いてPtコーティングし、FE−SEM(日本電子株式会社製フィールドエミッション走査電子顕微鏡JSM−6400)にて該試料の酸化物層表面の観察を行った。観察は加速電圧15kV、プローブ電流5×10−11A、エミッション電流8μA、倍率17,000倍で行い、任意の視野を50視野観察し、同箇所を写真撮影した。典型的な写真を図3に、そのイラストを図4に示す。図3に示されるように、酸化物層の表面には隆起による筋状の模様が観察されたがクラックは観察されなかった。なお、任意の視野(半径30000nmの視野)50箇所について同様の観察をしたが、何れの視野においても特定クラックは観測されなかった。また、試料1の断面のSEM観察により酸化物層の厚さを求めたところ、その厚さは平均で3.6μmであった。
〔TEM観察〕
まず、観察用試料を下記方法で作製した。すなわち、試料1を樹脂包埋し、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製集束イオンビーム装置(SMI2200)にて、断面観察のための加工を行った。加速電圧は全て30kVで行った。走査型イオン顕微鏡(SIM)で試料表面を観察しながら、縦50μmを70nmになるまで周囲をドライエッチングした。加工する横幅は任意であるが、今回は20μmとした。研削する深さは、試料断面のSIM観察で酸化物層全体と窒化物セラミックの一部(約1μm)が観察できる深さに設定した。
次に、FEI社製電界放射型透過型電子顕微鏡(TECNAI F20)にて、加速電圧200kV、スポットサイズ1、Gun Lens1、対物絞り100μmで観察した。観察倍率は50000倍にて酸化物層と窒化物セラミックの界面付近の観察を行い、同箇所を写真撮影した。実施例1の典型的な写真を図5に、そのイラストを図6に示す。図5に示されるように、酸化物層には楕円状の気泡(もしくは空隙)が観測されたが、酸化物層の下地との界面近傍には平均厚さ60nmの気泡が実質的に存在しない領域(=空隙非存在領域)が確認された。
〔耐水・耐薬品性試験〕
試料1の2gを30℃のHSO−HPO混酸100ml中に浸漬し、5時間後のAlの溶出量を測定し、AlNに換算して重量減少率を求めた。なお、Alの溶出量はICP(誘電結合型プラズマ発光分光分析)で定量した。その結果、重量減少率は2.5%しかなかった。なお、参照実験として表面酸化処理を施していない窒化アルミニウム焼結体粒子について同様の試験を行なったところ、重量減少率は16.9%であった。
実施例2
窒化アルミニウム焼結体粒子を高温雰囲気炉で酸化処理する際に、加熱前にdegas処理−減圧窒素置換ではなく単に常圧窒素置換だけとし、酸化工程の保持時間を1時間に変更する以外は全て実施例1と同様にして表面酸化窒化アルミニウム焼結体粒子(試料2)を得た。
この製造工程において昇温開始と同時に炉から排出されるガスをガスクロマトグラフ(島津製作所製パーソナルガスクロマトグラフGC−8A)に導入し、ガス成分を経時的に分析した。その結果昇温時には窒素の他、微量の酸素および水が検出された。別途作成した検量線を用いて、基板温度が300℃に達したときに排出されたガス中の酸素および水の濃度を定量したところ、酸素が2.4mmol/m(0.0027vol.%)であり、水が2.0mmol/m(0.0022vol.%)であった。両方の和が0.5mmol/mを超えているので酸化物層と下地の窒化アルミニウムとの界面近傍に気泡(もしくは空隙)が発生すると考えられる。また、酸素を流通させ始めてから10分経過したところで排ガスを分析したところ、流通ガスである酸素の他、反応過程で生成したと考えられる窒素が検出された。窒素のピークは酸素流通開始後が最も高く、温度保持時間が経過するにつれてやや減少した。
試料2の一部を分析用試料とし、それらの酸化物層について、実施例1と同様にX線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分析を行った。その結果、XRD測定の回折パターンからこの試料の酸化物層はα−アルミナであることが確認された。また、試料表面SEM観察を行ったところ、任意の50視野において特定クラックは存在せず、極めて緻密な酸化物層であることが判明した。SEM観察により測定された酸化物層の厚みは0.93μmであった。さらに酸化物層の断面TEM観察を行ったところ、酸化物層全体(酸化物層の下地との界面近傍を含む)にわたり空隙若しくは気泡が存在することが確認された。
さらに、試料2について、実施例1と同じ方法で、耐水・耐薬品性試験を行った。重量減少率は5.1%であった。
比較例1
窒化アルミニウム焼結体粒子を高温雰囲気炉で酸化処理する際に、炉内を窒素置換せずに空気流通下で1200℃まで昇温し、同じく空気流通下に1200℃で1時間保持して酸化工程を行う他は前記実施例1と同様にして表面酸化窒化アルミニウム焼結体粒子(試料3)を得た。得られた試料について前記実施例1で得られた焼結体粒子と同様の分析、評価を行なった。
その結果、酸化物層はα−アルミナであることが確認された。また、SEM観察結果を図7および図8に、TEM観察結果を図9および図10に示す。図7および図8に示されるように、酸化物層表面には特定クラックが観測された。SEM写真に基づいて、試料3の酸化物層表面に存在するクラックについて最も大きなw/lを示すクラックユニットにおけるw、l及びw/lを測定したところ、w=110nm、l=1560nm、w/l=0.072であった。また、任意の視野(半径30000nmの視野)50箇所について同様の観察をしたところ、合計38個の特定クラックが観測された。なお、該試料の断面のSEM観察により酸化物層の厚さを求めたところ、その厚さは平均で1.5μmであった。
また、TEM観察結果を図9および図10に示す。これらの図に示されるように、酸化物層にある気泡は窒化アルミニウム基材部分の界面付近にも存在し、空隙非存在層は認められなかった。
さらに、試料3について、実施例1と同じ方法で、耐水・耐薬品性試験を行ったところ、重量減少率は11.8%であった。
本図は、特定クラックを説明するための図である。 本図は、酸素ガス雰囲気中で窒化アルミニウム粒子を加熱したときの反応率及びDTAの変化パターンを示すグラフである。 本図は、実施例1で得られた表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粒子の酸化物層の表面のSEM写真である。 本図は、図3のSEM写真のスケッチである。 本図は、実施例1で得られた表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粒子の酸化物層の断面のTEM写真である。 本図は、図5のTEM写真のスケッチである。 本図は、比較例1で得られた表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粒子の酸化物層の表面のSEM写真である。 本図は、図7のSEM写真のスケッチである。 本図は、比較例1で得られた表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粒子の酸化物層の断面のTEM写真である。 本図は、図9のTEM写真のスケッチである。
符号の説明
1・・・分岐を有するクラック
2a〜2e・・・クラックユニット
〜l・・・各クラックユニットの長さ
〜w・・・各クラックユニットの最大幅

Claims (6)

  1. 金属もしくは半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子の表面に、当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる酸化物層が形成された、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなり、該酸化物層の表面には、分岐を有するクラックであって、当該分岐を有するクラックを互いに隣り合った分岐点間のクラックユニットおよび端部からその直近の分岐点までのクラックユニットに分割した場合において、各クラックユニットの長さおよび最大幅を夫々l(nm)およびw(nm)としたときに、wが20nm以上でありlが500nm以上であり且つw/lが0.02以上となるクラックユニットを有する分岐のあるクラックが実質的に存在しないセラミックス粒子であることを特徴とする無機フィラー。
  2. 金属若しくは半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子が、その表面に当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる厚さ0.1〜100μmの酸化物層が形成されたセラミックス粒子であって、当該酸化物層における前記非酸化物セラミックスと前記酸化物層の界面から少なくとも20nmの厚さの領域に空隙が実質的に存在しないセラミックス粒子であることを特徴とする無機フィラー。
  3. 金属若しくは半金属の窒化物又は炭化物からなる非酸化物セラミックス粒子の表面に、当該金属または半金属元素と同一の元素の酸化物からなる酸化物層が形成された、表面に酸化物層を有する非酸化物セラミックス粒子からなり、該酸化物層が、非酸化物セラミックス粒子を酸素を実質的に固溶させない条件下で当該非酸化物セラミックスの酸化開始温度より300℃低い温度以上の温度に加熱し、次いで加熱された該非酸化物セラミックス粒子を酸素ガスと接触させ、当該非酸化物セラミックスの酸化開始温度より高い温度に保持して当該粒子の表面を酸化することにより形成されたものであることを特徴とする無機フィラー。
  4. 非酸化物セラミックス粒子が窒化アルミニウム粒子からなり、酸化物層が酸化アルミニウム層からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機フィラー。
  5. 合成高分子と請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機フィラーとを含んでなる合成高分子組成物。
  6. 合成高分子がエポキシ樹脂であり、半導体封止用である請求項5記載の合成高分子組成物。
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