JP2017014074A - 酸化アルミニウム被覆無機物粒子及びその製造方法 - Google Patents

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悠平 桑名
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Abstract

【課題】金属窒化物粒子の表面を酸化アルミニウムにて被覆する方法を提供すること。
【解決手段】金属窒化物を主成分とする原料粉体と、体積平均粒径が前記原料粉体よりも小さく酸化アルミニウムを含む被覆粉体とを混合して混合物にする混合工程と、前記混合物を加熱して前記原料粉体を前記被覆粉体で被覆する被覆工程とを有する。酸化アルミニウム粒子間の焼結温度は酸化アルミニウム粒子と金属窒化物粒子との間の焼結温度よりも高いため、金属窒化物粒子と酸化アルミニウム粒子とを混合して加熱により、最初に金属窒化物粒子と酸化アルミニウム粒子との間の焼結が進行し、その後に酸化アルミニウム粒子間の焼結が進行する。酸化アルミニウム粒子間の焼結が進んでいないと酸化アルミニウム粒子が存在する部分で分離可能になるので金属窒化物粒子の表面に酸化アルミニウム粒子が被覆した状態になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化アルミニウム被覆無機物粒子及びその製造方法に関する。
金属窒化物粒子はそれぞれ特有の性質により種々の用途に用いられている有用な材料である。例えば窒化アルミニウムは熱伝導性の高さから電子基板のフィラーや半導体封止材のフィラーなどに用いられている。
ところで、金属窒化物粒子のうち、耐化学性、耐衝撃性、耐摩耗性などの物性向上を目的として、粒子表面を表面改質する要望のあるものがある。窒化アルミニウムでは耐水性を向上させたいとする要望がある。
この課題を解決する従来技術としては窒化アルミニウム粒子の表面を酸化させて酸化アルミニウムの層を形成する方法が開示されている(特許文献1〜3)。また、窒化アルミニウム粉末の表面に酸化アルミニウム以外の金属酸化物粒子を付着させて加熱することにより、少なくともアルミン酸塩から構成される連続した酸化物層を形成する方法が開示されている(特許文献4)。特許文献4の0009及び0010段落などでは酸化アルミニウムを表面に形成することは好ましくない旨開示している。但し、特許文献4では窒化アルミニウムと酸素との反応により表面に酸化アルミニウムを含むことがある旨開示している(特許文献4の0037及び0038段落)。
更に、窒化アルミニウムの表面にベーマイト被膜を形成させ、シランカップリング剤で処理する方法が開示されている(特許文献5)。
また、酸化マグネシウムも有用な材料であり、耐化学性の向上のため、表面へのスピネル層の形成(特許文献6)や、リン酸マグネシウムでの被覆(特許文献7)による表面改質が開示されている。
特開2012−206865号公報 特開2001−294492号公報 特許第4277134号公報 特開2005−294805号公報 特許第4170570号公報 特開2003−34522号公報 特開2014−136654号公報
ところで、酸化アルミニウムは化学的特性に優れると共に、熱伝導性にも優れている。そのため、特許文献1〜3では窒化アルミニウムの表面に酸化アルミニウムの層を形成したのであるが、特許文献4にて開示されたように、酸化により酸化アルミニウムの層を形成する方法では多孔質になるなど望ましい性質の層を形成することは困難であった。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、無機物粒子に対して、表面を酸化アルミニウムにて被覆する方法、及び、酸化アルミニウムにて緻密に被覆した酸化アルミニウム被覆無機物粒子を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する本発明の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法は、無機物を主成分とする原料粉体と、体積平均粒径が前記原料粉体よりも小さく酸化アルミニウムを含む被覆粉体とを混合して混合物にする混合工程と、前記混合物を加熱して前記原料粉体を前記被覆粉体で被覆する被覆工程とを有する。
酸化アルミニウム粒子間の焼結温度は、酸化アルミニウム粒子と窒化物などの無機物との間の焼結温度よりも高いため、窒化物(特に金属窒化物)と酸化アルミニウム粒子とを混合して加熱することにより、最初に窒化物と酸化アルミニウム粒子との間の焼結が進行し、その後に酸化アルミニウム粒子間での焼結が進行することになる。酸化アルミニウム粒子間での焼結が進んでいないと酸化アルミニウム粒子が存在する部分で分離可能になるので窒化物の表面に酸化アルミニウム粒子が被覆した状態、すなわち酸化アルミニウム被覆無機物粒子を得ることが可能になる。酸化アルミニウム粒子間の焼結の程度を制御することは、窒化物と酸化アルミニウム粒子との間の焼結が酸化アルミニウム粒子間での焼結よりも早く進行するため容易である。更に、酸化アルミニウムの粒径は原料粉体の粒径よりも小さいために原料粉体への酸化アルミニウム粒子の被覆が達成しやすい。無機物として金属酸化物などの酸化物を用いた場合でも酸化アルミニウム間ではその他の酸化物との間よりも焼結が進行し難く、酸化アルミニウムと原料粉体との間の焼結が先に進行するために上述した窒化物と同様に酸化アルミニウム被覆無機物粒子を好適に得ることができる。
上記(1)の製造方法に対して以下の(2)〜(6)に記載の事項のうちの1つ以上を組み合わせることができる。
(2)前記被覆工程は前記被覆粉体同士で一体化するまで加熱する工程である。被覆粉体同士で一体化するような条件まで加熱を行うことで緻密な被覆を実現できる。被覆粉体に含まれる酸化アルミニウムはコアになる原料粉体の近傍から順に一体化していくことが判明しており、被覆粉体の一体化が進行しても粒子としても状態は変わらないようにすることができる。
(3)前記被覆工程における加熱は800℃以上1500℃以下である。この温度範囲を採用することにより金属窒化物粒子と被覆粉体との焼結が確実に進行する。
(4)前記被覆粉体を混合する量は、前記原料粉体の質量を基準として、0.5〜20%である。
(5)前記原料粉体の体積平均粒径をA[μm], 前記被覆粉体の体積平均粒径をB[μm]としたとき、Log(A/B)の値が0.5以上5以下である。
(6)前記原料粉体が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び/又は、酸化マグネシウムを含む。
(7)上記課題を解決する酸化アルミニウム被覆無機物粒子は、無機物を主成分とするコア部分と、前記コア部分を緻密に被覆する酸化アルミニウムからなる被覆部分と、を有する粒径が500μm以下である。
上述の(7)の酸化アルミニウム被覆無機物粒子は、以下の(8)〜(12)の事項のうちの1つ以上を組み合わせることができる。
(8)金属窒化物を主成分とする原料粉体と、体積平均粒径が前記原料粉体よりも小さく酸化アルミニウムを含む被覆粉体とを混合して混合物にする混合工程と、
前記混合物を加熱して前記原料粉体を前記被覆粉体で被覆する被覆工程と、
を有する製造方法にて製造しうる。
この酸化アルミニウム被覆無機物粒子は上述した(1)〜(6)に開示した製造方法にて製造しうるものである。概略的には(7)の酸化アルミニウム被覆無機物粒子と同じものであると考えられるが、ナノメートルオーダー〜マイクロメートルオーダーの粒子であるため細部の形態については必ずしも適正に特定できないものである。
(9)前記被覆部分は膜状である。
(10)酸化アルミニウムは、前記原料粉体の質量を基準として、0.5〜20%である。
(11)前記原料粉体が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び/又は、酸化マグネシウムを含む。
(12)前記原料粉体が金属窒化物である。
金属窒化物粒子を熱処理により酸化することで金属酸化物からなる被膜を形成する代わりに被覆粉体にて表面を被覆し焼結することで緻密な被膜を形成することができる。金属酸化物粒子を湿式処理により表面改質する代わりに被覆粉体にて表面を被覆し焼結することで緻密な被膜を形成することができる。また、粒子内部の金属窒化物を化学的特性に優れた酸化アルミニウムにより被覆した酸化アルミニウム被覆無機物粒子を提供できる。
実施例において得られた試験例1−6を観察したSEM写真である。 実施例において得られた試験例1−8を観察したSEM写真である。
本発明の酸化アルミニウム被覆無機物粒子及びその製造方法について以下実施形態に基づき説明を行う。
(酸化アルミニウム被覆無機物粒子)
本実施形態の酸化アルミニウム被覆無機物粒子は金属窒化物などの無機物を主成分とするコア部分と、コア部分を被覆する酸化アルミニウムからなる被覆部分とを有する。粒径は500μm以下であり、特に限定しないが下限値としては0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、5.0μm、10.0μmが採用でき、上限値としては200μm、150μm、100μm、80μm、50μm、30μmが採用できる。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。被覆部分はコア部分が表面に露出しないように隙間無く覆っていることが好ましい。また、被覆部分は僅かにひび割れが生じていても良い。更に、後述する製造方法にて製造した場合には被覆部分に原料になる被覆粉体由来の粒子が認識できるものであっても良い。ここで、表面を隙間無く覆っているかどうか(緻密かどうか)の判断はコア部分に含まれる金属窒化物を侵食する薬品に浸漬したときに、コア部分の大きさに相当する金属窒化物粒子単独で同じ薬品に浸漬したときに溶け出す分解生成物量を示す指標であるPCT抽出水EC値に比べて3分の1以下になることを意味する。つまり、この値が加熱前の原料粉体の値の3分の1以下になっていれば確実に緻密に表面を覆っていることが分かる。なお、今回はECの値にて評価を行う方法を記載しているが、その他の方法でも同様に緻密かどうかの評価はできるものと考える。例えば、原料粉体に対する被覆の有無により、原料粉体において問題になる反応における、反応速度が3分の1以下になったり、反応が停止するまで進行させたときに3分の1以下しか反応が進行しないことを判断基準にすることができる。PCT抽出水EC値は実施例の(分析:PCT抽出水)にて記載した方法にて行う。
コア部分は無機物を主成分とする。コア部分の形態は球状、丸み状、破砕状など特に限定しない。球状・丸み状であれば最終的な酸化アルミニウム被覆無機物粒子の形態も球状に近づけやすくなるため好ましい。コア部分の大きさは特に限定しないが下限値としては0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μm、5.0μm、10.0μmが採用でき、上限値としては200μm、150μm、100μm、80μm、50μm、30μmが採用できる。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
無機物としては特に限定しないが、窒化物(特に金属窒化物)、酸化物(特に金属酸化物)、炭化物などや、いわゆるセラミックスが例示できる。
金属窒化物としては特に限定しないがAlN、TiN、ZrN、NbN、VN、TaN、CrN、HfN、Si、GaN、LiNが例示できる。特に(熱伝導率の高い)AlN(窒化アルミニウム)が望ましい。
無機酸化物としては酸化マグネシウム、酸化イットリウム、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化アルミニウムなどである。焼結助剤などとして少量の不純物(イットリウム、カルシウム、マグネシウムなどが例示できるがこれらに限らない、全体の20%以下)が存在していても構わない。
無機物が主成分であるとはコア部分の質量を基準として50%以上が無機物であることを意味し、80%以上であることが好ましく、不可避不純物以外は無機物であることが更に好ましい。無機物がコア部分にどのように含まれるかは限定されない。無機物以外に含まれる物質としてはいわゆる有機物であり、高分子材料、有機物の結晶などを含んでも良い。
被覆部分は酸化アルミニウムからなり、不可避不純物を含んでも良い。酸化アルミニウムはαアルミナ、γアルミナ、θアルミナ、これらうちの2以上の混合物などどのようなものでも良い。コア部分との間では焼結乃至結晶相転移がされていると推測されるが、特に限定しない。被覆部分はコア部分の表面を隙間無く被覆できることが好ましい。具体的には被覆部分はコア部分の質量を基準として0.5〜20%であることが好ましい。下限値としては1.0%、3.0%、5.0%が例示でき、上限値としては18%、15%、13%、10%が例示できる。上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。被覆部分は多孔質でないことが好ましい。「多孔質でない」とは被覆部分を通じてコア部分に液体が浸透しないような状態である。液体が浸透しないかどうかは前述の隙間がない状態を判別する方法が利用できる。被覆部分は膜状であることが好ましい。膜はコア部分の表面を1つの膜にて被覆することが望ましいが、コア部分の表面を幾つかの部分に分割して被覆する形態であっても良い。幾つかの部分に分割して被覆する場合にはSEMにて観察したときにひび割れているように見えたり、複数の膜が重なり合っているように見えたりする。特に被覆部分の表面は滑らかであることが好ましい。
コア部分の形態としては金属窒化物粒子などの無機物からなる粒子を製造したときの形態そのままであることが通常であると考えられる。被覆部分については後述する本実施形態の製造方法にて得られうる形態を採用することができる。
(酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法)
本実施形態の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法は混合工程と被覆工程とを有する。
混合工程は原料粉体と被覆粉体とを混合して混合物にする工程である。原料粉体、被覆粉体とも、乾粉形態が望ましいが、溶剤に分散されたものであってもよい。混合の割合は特に限定しない。原料粉体と被覆粉体との混合比はそのまま原料粉体の表面を覆う被覆の厚さや形態に影響を与える。被覆粉体の割合が多くなると被覆が厚くなる。混合の割合としては被覆粉体の割合を原料粉体の質量を基準として0.5〜20%であることが好ましい。下限値としては1.0%、3.0%、5.0%が例示でき、上限値としては18%、15%、13%、10%が例示できる。上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。特に原料粉体の表面積に応じて被覆粉体の添加量を決定することができる。被覆粉体は原料粉体の表面に1層〜3層程度の厚さで被覆することが期待されるため、原料粉体の表面積と被覆粉体の粒径(投影面積)とから、必要な量の被覆粉体の量を計算することができる。
原料粉体と被覆粉体との混合は混合機、粉砕機などのその他類似の装置を用いて常法にて行うことができる。混合時には液体を加えてスラリー状にして行うこともできる。液体としては原料粉体及び被覆粉体との間で望まない反応が進行しないものが選択される。また、スラリー中には液体に溶解可能で後述する被覆工程での加熱により分解・揮散するような高分子材料を添加することもできる。更に、スラリー状態で混合した後、液体を蒸散除去することもできる。
原料粉体は金属窒化物などの無機物を主成分とする。無機物について、及び主成分とするとの意味については上述した通りである。原料粉体の形態については上述したコア部分の説明がそのまま適用できる。原料粉体(金属窒化物)の製造方法は特に限定しない。金属窒化物の製造方法としては直接窒化法、還元窒化法、火炎燃焼法が例示できる。金属窒化物を製造した後に粉砕により粒径を制御した粒子状にしたり、金属窒化物を形成する反応を粉体状態で行ったりできる。酸化物などの他の無機物についても窒化物と同様である。
被覆粉体については酸化アルミニウムからなる。酸化アルミニウム以外にも無機酸化物、炭化物、窒化物などのセラミックスなどを僅かな割合(例えば10質量%以下)であれば含んでいても良い。例えば粒径の小さい(10nm程度)シリカを添加することができる。被覆粉体は原料粉体表面に対して容易且つ均一に分散させるため、分散性に優れる球状、丸み状であることが望ましいが、鱗片状、板状、破砕状、その他の形状であっても良い。
被覆粉体は体積平均粒径が原料粉体よりも小さく、更には殆ど(例えば体積基準で95%以上)の粒径が原料粉体よりも小さいことが好ましい。例えば原料粉体の体積平均粒径をA、被覆粉体の体積平均粒径をBとしたときに、Log(A/B)が0.5以上5以下に収まることが好ましい。被覆粉体の製造方法は特に限定しないが、ゾルゲル法が例示できる。
被覆工程は加熱により原料粉体の表面を被覆粉体で被覆する。加熱することで原料粉体の表面と被覆粉体との間で焼結が進行して原料粉体の表面に被覆粉体由来の被覆部分が形成される。被覆部分は被覆粉体の間でも焼結などにより結合することで、上述した酸化アルミニウム被覆無機物粒子の欄にて説明したように、原料粉体の表面を露出することが抑制できる。ここで、原料粉体と被覆粉体との間の方が被覆粉体同士よりも焼結が進みやすいために原料粉体の表面に被覆粉体を充分な強度で結合させても最終的に得られる酸化アルミニウム被覆無機物粒子を凝集させずに済ませることができるか、又は、凝集しても簡単にバラバラな状態にまで解砕することができる。
加熱の条件は原料粉体と被覆粉体との間の焼結が進行し、近接する原料紛体を被覆する被覆粉体との間では強固な結合が生じない程度にする。焼結を進行させるには温度を高くし、加熱時間を長くする。加熱温度の下限としては原料粉体と被覆粉体との間で結合が生起する温度(例えば焼結や結晶相転移が進行する温度)で有り、上限としては原料粉体や被覆粉体が溶融して融和する温度である。従って溶融する温度である融点を超える温度であっても原料粉体や被覆粉体同士が融解して1つになってしまうようではない限りはその温度を上限値として採用して加熱できる場合も考えられる。なお、融点未満にする方が好ましい。
具体的に好ましい加熱温度としては下限値が800℃、900℃、950℃、1000℃が、上限値としては1500℃、1300℃、1200℃、1100℃が、それぞれ例示できる。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。好ましい加熱時間としては下限値として0.5時間、1.0時間、2時間、2.5時間、4時間、5時間、6時間が例示できる。上限値としては2日、1日などが例示できる。下限値以上の時間加熱すると充分に焼結が進行する。上限値以下にすると、加熱に必要なエネルギーを低減できる。上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
加熱雰囲気は特に限定しない。安定性の高い物質である酸化アルミニウムからなる被覆粉体が最表面に付着した状態で加熱しているために雰囲気による影響は小さいものと推測される。例えば大気中などのような酸化雰囲気、不活性ガス中などのような不活性雰囲気、その他、窒素ガス雰囲気、水素などの還元雰囲気などが挙げられる。
加熱を行う方法としては特に限定しないが、原料粉体と被覆粉体の混合物を静置したまま加熱する方法を含むことが望ましい。静置状態での加熱を行うことにより原料粉体の表面への被覆粉体の充分な固着を実現することができる。更に静置したまま加熱する方法、混合しながら加熱する方法を組み合わせることも可能である。例えば静置状態で加熱して原料粉体と被覆粉体とを固着させた後、混合しながら加熱を行うことにより被覆表面を緻密化することができる。また、混合しながら加熱した後に静置した状態で加熱することができる。混合しながら加熱する場合には混合物を揺動したり回転させたりしながら行うことができる。
加熱を行った後、冷却を行うが冷却の方法は特に限定しない。冷却速度としても特に限定されず、冷却速度を制御しても良いし、しなくても良い。冷却速度を制御する場合には1℃/分〜10℃/分〜50℃/分などと言った冷却速度が採用できる。
被覆工程後に得られた酸化アルミニウム被覆無機物粒子が凝集している場合には解砕することができる。
本発明の酸化アルミニウム被覆無機物粒子及びその製造方法について以下実施例に基づき説明する。
(試験試料の調製)
表1に示した金属窒化物(原料粉体に相当)、酸化アルミニウム粒子(被覆粉体に相当)とを用いて以下のように各試験例の酸化アルミニウム被覆無機物粒子を製造した。
表1中の各粉体は以下の通りである。
窒化原料粉体
1:体積平均粒径5μm(トクヤマ社製、HF-05)
2:体積平均粒径20μm(ThRuTek社製、AlN200AF)
3:窒化ケイ素(納徳社製)
被覆粉体
A:粒径20nm−25nm、γアルミナ(TECNAN社製、TECNAPOW−AL2O3)
B:一次粒子粒径0.014μm、θアルミナ(大明化学社製、TM-100)
C:粒径0.05μm、γアルミナ―αアルミナ(85:15)(Praxair社製、ポリッシングアルミナパウダー0.05B)
原料粉体100質量部と被覆粉体5質量部(または2.5質量部、0質量部)をミキサーで混合した。この混合物を酸化アルミニウムるつぼに10g入れ、マッフル炉(ヤマト科学製、FP-101)で20℃/分で昇温させて目的の温度に到達させた。その後その温度で5時間保持した後、10℃/分で室温まで冷却した。降温速度は実施例3〜10については2℃/分で室温まで冷却した。得られた粉体は1100℃で加熱した試料は僅かに凝集していたが、それ以外は解砕をしなくても粉末状であった。1100℃で凝集していたものも僅かなエネルギー投入にて解砕できた。得られた酸化アルミニウム被覆無機物粒子のうちの一部を観察したSEM写真を図1(試験例1−6)及び図2(試験例1−8)に示す。表面は平滑であり緻密であることが伺える。
(分析:PCT抽出水)
容器に各試験例の試験試料を5gとイオン交換水50gを入れて10秒間撹拌後密閉し、121℃、24時間加熱処理し、その抽出水の電気伝導度(EC)/pHを測定した。結果を表1に示す。表1におけるECの値の単位はμS/cmである。
耐水性が悪いと水と反応してアンモニウムイオンが生じ、抽出水の電気伝導度(EC値)とpHが大きくなる。この値が低下したということは、反応生成物であるアンモニウムイオンが生じにくくなっていること、すなわち耐水性を獲得したことを意味する。本試験で用いた原料粉体ではこの値が加熱などを行っていない物と比べて最低でも3分の1以下になっており緻密な被膜が形成されて高い耐水性を実現できたものと考えられる。
試験例1−1と1−2との比較から被覆粉体の量が2.5%から5.0%に多くすることでECの値が良くなることが分かった。試験例1−2と1−6との比較から加熱温度を1000℃から1100℃に上昇させることでECの値が良くなることが分かった。試験例1−1と2−3との比較から加熱温度は700℃から1000℃に上昇させることによりECの値を優れた値にすることができた。
試験例1−1、1−2、2−1、及び2−2を比較することにより被覆粉体により原料粉体の表面を被覆する効果が明らかになった。試験例2−2では被覆粉体無しで加熱を行うことで原料粉体の表面に窒化アルミニウムの酸化により生じた酸化アルミニウムが生じている。その結果、試験例2−2では加熱を行っていない試験例2−1よりもECの値が優れることになった。但し、試験例2−2ではECの値が試験例1−1、1−2程は優れていないことが判った。これは試験例2−2では窒化アルミニウムの酸化により生じた酸化アルミニウムは多孔質であるためと考えられる。
このような被覆粉体による被覆の形成の効果は被覆粉体を変更しても認められていることが分かった。同様に原料粉体の種類によらずECの値の低下が観察されたことから酸化アルミニウムによる緻密な被膜の形成は化学的安定性の向上に大きく寄与することが分かった。なお、今回の実施例ではECにより緻密性を評価したが、その他の検出方法でも同様の化学的安定性の向上効果を検出することができるものと考えられる。

Claims (12)

  1. 無機物を主成分とするコア部分と、
    前記コア部分を緻密に被覆する酸化アルミニウムからなる被覆部分と、
    を有する粒径が500μm以下である酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  2. 前記原料粉体が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び/又は、酸化マグネシウムを含む請求項1に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  3. 前記原料粉体が金属窒化物である請求項1又は2に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  4. 無機物を主成分とする原料粉体と、体積平均粒径が前記原料粉体よりも小さく酸化アルミニウムを含む被覆粉体とを混合して混合物にする混合工程と、
    前記混合物を加熱して前記原料粉体を前記被覆粉体で被覆する被覆工程と、
    を有する製造方法にて製造しうる請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  5. 前記被覆部分は膜状である請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  6. 酸化アルミニウムは、前記原料粉体の質量を基準として、0.5〜20%である請求項1〜5の何れか1項に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子。
  7. 無機物を主成分とする原料粉体と、体積平均粒径が前記原料粉体よりも小さく酸化アルミニウムを含む被覆粉体とを混合して混合物にする混合工程と、
    前記混合物を加熱して前記原料粉体を前記被覆粉体で被覆する被覆工程と、
    を有する酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
  8. 前記被覆工程は前記被覆粉体同士で一体化するまで加熱する工程である請求項7に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
  9. 前記被覆工程における加熱は800℃以上1500℃以下である請求項7又は8に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
  10. 前記被覆粉体を混合する量は、前記原料粉体の質量を基準として、0.5〜20%である請求項7〜9の何れか1項に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
  11. 前記原料粉体の体積平均粒径をA[μm],前記被覆粉体の体積平均粒径をB[μm]としたとき、Log(A/B)の値が0.5以上5以下である請求項7〜10の何れか1項に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
  12. 前記原料粉体が窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及び/又は、酸化マグネシウムを含む請求項7〜11に記載の酸化アルミニウム被覆無機物粒子の製造方法。
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