JP2008248048A - 高熱伝導熱可塑性樹脂成型材 - Google Patents

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正博 鈴木
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淳 金井
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Abstract

【課題】
熱可塑成形材に熱伝導率が高く、形状及び熱伝導率の異方性が高い充填材を添加すると、粘度増加による成形性の低下と熱伝導異方性の増大が顕著となる。
【解決手段】
本発明は、主としてポリアリーレンサルファイドを含む熱可塑性樹脂から成る母材相、及び熱硬化性樹脂からなり絶縁性充填材を含む連結相から成ることを特徴とする耐熱性樹脂組成物であって、良好な成形性を有し、熱伝導率が高く、その異方性が小さいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性、あるいは放熱性に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂組成物、及びその成形品に関するものである。
近年、各種電気・電子機器の高性能化・小型軽量化が進んでおり、実装部品、あるいは周囲部品の発熱によって機器が高温状態にさらされるため、各種部材の劣化や実装部品の機能低下の懸念がある。特に、自動車の制御システムは、従来、機械的に動作していた各部の機構を電動化し、それらを電気的に連携させ制御する方式へ移行しつつあり、電子部品はより分散してより熱源に近い位置に配置される傾向にある。更に、パワートレインの電動化の流れの中で、実装部品そのものに対する高出力化(高電圧化,大電流化),コンパクト化の要求も増大の一途を辿っており、発熱量も急速に増大している。このような高発熱化,高温化の傾向は、車載機器に限らず、あらゆる電気・電子機器において同様に見受けられ、また、益々顕著になると予想される。そのような状況に対応するため、電気・電子機器を構成する各部材の放熱性を向上させる技術への要求は高まっている。
ポリアリーレンサルファイド(以下、PASと略記する)は、機械的特性,絶縁性,耐熱性,成形性,寸法安定性,耐薬品性に優れた代表的な熱可塑性樹脂である。ポリアリーレンサルファイドの代表例として、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略記する)が挙げられる。ポリアリーレンサルファイドを用いた熱可塑成形材料は、多くの電気・電子機器において、構造部材等に用いられている。ポリアリーレンサルファイド成型材は、従来金属材料が用いられていた部材に適用することで、絶縁性であるが故に絶縁構造を簡略化でき、成形加工性の向上によるコストダウンができ、ならびに軽量化できる。
ポリアリーレンサルファイドの熱伝導率は金属材料やセラミック材料に比べて低く、放熱性の観点からその適用範囲が制限される。そのため、樹脂よりも熱伝導率の高い充填材(フィラ)を添加し、高熱伝導化,高放熱化がされている。一般には熱伝導率の高い、金属やカーボンなどの導電性物質を充填する。充填材としては、タルク,シリカ,アルミナ,マグネシア等が挙げられる。高い熱伝導率を有する物質を(体積分率で)多く充填するほど、熱伝導率を向上させることができる。しかし、充填材の添加により、成形性,機械特性,絶縁性が低下する。また、充填材の種類によっても、特性,特徴は種々異なり、目的に合った充填材の組合せや配合の調整が必要になる。
特開2004−137401号公報(特許文献1)や特開2005−162918号公報(特許文献2)には、金属ダイキャスト部材の代替など、絶縁性を求めない用途でカーボン繊維や黒鉛を添加することにより放熱性を高める方法が開示されている。
特許第2878921号公報(特許文献3)代表的な高熱伝導性のセラミックとして、アルミナ(酸化アルミニウム),ベリリア(酸化ベリリウム),マグネシア(酸化マグネシウム)等の酸化物,窒化ホウ素,窒化ケイ素,窒化アルミニウム等の窒化物、あるいは炭化ケイ素等の炭化物を開示している。
特開2005−306955号公報(特許文献4)には、充填材の添加による問題点を改善する目的で、ポリアリーレンサルファイド以外の樹脂を添加する工夫を提案されている。具体的には、充填材を配合した後に、液晶性ポリマー(光学異方性溶融相を形成し得る溶融加工性ポリマー)を配合し、充填材の添加によって低下した成形時の流動性を改善する提案がなされている。
特開2004−137401号公報 特開2005−162918号公報 特許第2878921号公報 特開2005−306955号公報
導電性の充填材を用いる方法は、樹脂の絶縁性を低下させる。絶縁性を損なうことにより、ポリアリーレンサルファイド成形材よりなる部材の適用範囲が限定されることとなる。また、金属材料を充填する場合は、重量増をもたらす。そのため導電性充填材の添加量を少なくすれば、高熱伝導化の目的が達成しづらいという問題がある。
一方、非導電性のセラミックの場合、絶縁性を低下させる問題はないものの、ベリリアは毒性が高く、使用に難がある。アルミナは硬度が高く、混練機,成形機等の加工機器の磨耗が問題となる。マグネシアは吸湿劣化し易い問題がある。窒化物や炭化物は、一般に硬度が高い点で、アルミナと同様に適用に課題が多い。
非導電性のセラミックである六方晶系の窒化ホウ素(以下、BNと略記する)は硬度が低く、加工機器の磨耗の問題がない。しかし、板状の結晶構造を有しており、丸みを帯びた形状の充填材に比べると増粘しやすい。窒化ホウ素は成形時の流動や圧縮の方向に応じて配向しやすい。板状結晶の面内方向の熱伝導率が厚さ方向に比して非常に高く、熱伝導率に異方性が生じやすいという問題がある。さらに形状および熱伝導率の異方性が大きいため、成形品においても充填材が配向し、熱伝導率や機械的特性に異方性が生じる課題がある。さらに窒化ホウ素は樹脂との濡れ性が低く、板状結晶を有する窒化ホウ素の添加により流動粘度も増大する。
そこで本願発明の課題は、形状または熱伝導率の異方性を有する充填材を熱可塑性樹脂に使用し、絶縁性・熱伝導性の異方性の少ない樹脂成形材及びそのための樹脂組成物を提供することにある。また、良好な成形性を有し、絶縁性・熱伝導率が高く、その異方性が小さいポリアリーレンサルファイドベース成形材料及び、それからなる成形品を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本願発明は、熱可塑性樹脂と、熱硬化性樹脂と、充填材とよりなる樹脂成形体であって、熱硬化性樹脂が充填材を連結する形で硬化している樹脂成形体である。本発明の樹脂成形体は、いわゆる海島構造を有し、熱可塑性樹脂のマトリクス(母材相)中に熱硬化性樹脂が島状に分散されている。熱硬化性樹脂により異方性を有する充填材を固め、熱硬化性樹脂ごと熱可塑性樹脂に分散させることにより、成形性よく、異方性の少ない樹脂成形体を提供できる。本発明の樹脂成形体は、インバータ等に使用される絶縁性の筐体として最適である。
熱可塑性樹脂としては、ポリアリーレンサルファイド(PAS)またはその混合物が好ましい。上記充填材は、熱伝導性または形状に異方性があり、かつ熱伝導率の高いものであり、窒化ホウ素が望ましい。また、その他の絶縁性充填材を添加しても良い。その他の充填材としては、ガラス繊維をはじめとする無機繊維や、有機繊維等、ポリアリーレンサルファイドよりも高い熱伝導率を有する各種非導電性繊維が考えられる。
また、本発明による樹脂成形体の製造方法は、形状または熱伝導率の異方性の大きい充填材を、熱硬化性樹脂材料に混合して分散させ、前記熱硬化性樹脂を硬化させ、硬化した熱硬化性樹脂を粉砕し、充填材の分散した熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂と混合して成形体用樹脂組成物とし、該樹脂組成物を加熱して軟化させ所望の形状に成形することを特徴とする。
また、本発明の樹脂組成物は、硬化した熱硬化性樹脂と、硬化した熱可塑性樹脂の混合物であり、熱硬化性樹脂中に充填材が分散されていることを特徴とする。樹脂組成物は加熱して成形され、成形体とするため、形状はなんでもよく、例えば粒状またはシート状である。本発明の樹脂組成物は良好な成形性を有する。
上記構成によれば、熱可塑性樹脂の成形材料の各種問題点を解消できる。特に、熱伝導率が高く硬度が低い窒化ホウ素を添加し、樹脂の異方性なく樹脂成形体の熱伝導率を向上させることができる。併せて、熱伝導率や機械的特性に異方性が生じる点,樹脂との濡れ性が低い点,流動粘度が増大する点など、板状結晶を有する窒化ホウ素の添加による課題を解消できる。
上記構成によれば、熱的,機械的異方性の発現を抑制する、特に熱伝導異方性を低減する効果がある。従って、本発明によれば耐熱性及び放熱性に優れた成形品を提供することができ、電気・電子機器用絶縁筐体等の製造に適用できる。
以下、上記本願発明について詳細を具体的に説明する。
図1は、本発明の樹脂成形品の例である。熱可塑性樹脂中に、熱硬化性樹脂が島状に散在しており、熱硬化性樹脂中に板状,繊維状の充填材が分散されている例である。
本発明の母材となる熱可塑性樹脂に用いるポリアリーレンサルファイドは、−Ar−S−(Arはアリーレン基)を繰り返し単位として含む重合体である。Arとしては、例えばo−フェニレン基,m−フェニレン基,p−フェニレン基、などが挙げられる。樹脂中に同一のArのみを含むものであっても、複数種類のArが混在するものでも良い。代表的なものは、p−フェニレン基を主として含むポリフェニレンサルファイドである。
母材相樹脂は、ポリアリーレンサルファイド単独であっても、あらかじめポリアリーレンサルファイドとその他の熱可塑性樹脂を混合したものでも良い。他の樹脂を混合することにより、混練及び成形時の粘度を低減したり、連結相との親和性を向上させる効果がある。混合する樹脂としては、ポリエステル,ポリフェニレンエーテル(PPE),ポリプロピレン(PP),ポリカーボネート(PC),ポリアミドなどが適用できる。ポリエステルの例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が挙げられる。
本発明の連結相を構成する樹脂は、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂である。予め充填材を連結する形で硬化した熱可塑性樹脂(この樹脂相を連結相と称する)が、母材である樹脂との混練及び成形の過程で、充填材の配向を抑制することにより、熱的,機械的異方性の発現を抑制する効果がある。例えば、エポキシ樹脂としては、種々の多官能エポキシ樹脂などが適用可能である。特にビスフェノールA型エポキシ樹脂や、ビフェニル型エポキシ樹脂をはじめとするメソゲン含有エポキシ樹脂は、熱伝導率が高い熱硬化性樹脂であるので望ましい。熱硬化性樹脂の硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン,ジアミノジフェニルエタン,1,5−ナフタレンジアミン(1,5−NDA)等のアミン系硬化剤や、フェノールノボラックをはじめとするノボラック系硬化剤が適用可能である。
本発明の充填材は、高熱伝導化の観点から六方晶系の窒化ホウ素が最も望ましい。窒化ホウ素を充填材として使用すると、予め熱硬化性樹脂との混練及び硬化過程を経ることにより、窒化ホウ素表面が樹脂でコーティングされ、母材相を形成する熱可塑性樹脂との濡れ性が改善し、流動粘度を低減できる。また、窒化ホウ素と他の充填材を混合してもよく、他の充填材としては、アルミナ,シリカ,マグネシア等の酸化物、及びこれらの複合酸化物,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム、及びこれらの複塩,窒化アルミニウム,窒化ケイ素等の窒化物、及びこれらの複合窒化物が挙げられる。また、繊維状の非導電性充填材を混合することにより、成形品の熱伝導性,強度,靭性が向上する。たとえば、ガラス繊維や、全芳香族ポリアミド,全芳香族ポリエステル,ポリベンゾオキサゾール(PBO)等の有機繊維が適用可能である。
熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,充填材の比率は、必要とする熱伝導率や、成形時の成形温度に基づき適宜調整可能であるが、例えば熱可塑性樹脂50vol% に対し、充填材35〜40vol%,熱硬化性樹脂を10〜15vol%程度がよい。
これらの充填材は、連結相を形成する樹脂、母材相を形成する樹脂に混合する前に、予め表面処理剤(所謂カップリング剤)で処理しておくことが好ましい。充填剤と樹脂の濡れ性を向上させ、成形材の流動性を高くできる。また、成形品の機械的特性を向上させることができる。表面処理剤としては、シラン系化合物,チタネート系化合物,シアネート系化合物などが挙げられる。これらの表面処理剤は、連結相を構成する樹脂に添加する方法で用いることも出来る。
本発明によれば、良好な成形性を有し、熱伝導率が高く、その異方性が小さいポリアリーレンサルファイドベース成形材料を提供することができる。このような成形材料を用い、耐熱性及び放熱性に優れた成形品を提供することができ、電気・電子機器用絶縁筐体等の製造に適用できる。
(実施例1)
熱硬化性樹脂の樹脂主剤としてビフェニル型エポキシ樹脂モノマー(ジャパンエポキシレジン製YL−6121H)、樹脂硬化剤として1,5−ナフタレンジアミン(和光純薬製),充填材として平均粒径5μmの窒化ホウ素粉末(電気化学工業製)、溶媒としてメチルエチルケトン(和光純薬製)を含む樹脂ワニスを作製した。樹脂主剤と硬化剤の混合比率は1:1当量とし、充填材量は硬化後に熱硬化性樹脂相におけるフィラの体積比率が75vol%になるように配合した。このワニス中に、ガラス繊維不織布を含浸し、加熱乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを更に、温度205℃,2時間の加熱により硬化して、シート状の熱硬化性樹脂の硬化物を得た。この硬化物シートを粉砕機により粉砕し、熱硬化性のエポキシ樹脂により連結された充填材を含む粉末(熱硬化性樹脂粉末)を得た。この熱硬化性樹脂粉末を、温度300℃に設定した2軸押し出し機中で熱可塑性樹脂のポリフェニレンサルファイドに少量ずつ加えながら混練を繰り返し、樹脂組成物中の窒化ホウ素量が体積比で35%になるまで添加して、実施例成形材料1を得た。
(実施例2,3)
実施例2は、樹脂中の充填材の量を減らして混合した例である。実施例成形材料1の樹脂組成物中の窒化ホウ素量を体積比で26%に変えて実施例成形材料2とした。実施例3は、樹脂中の充填材の量を増やして混合した例である。実施例成形材料1の樹脂組成物中の窒化ホウ素量を体積比で42%とし、実施例成形材料3とした。
(実施例4)
実施例成形材料2の熱硬化性樹脂を変更した例である。熱硬化性樹脂を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製EP828)に変えて、実施例成形材料4とした。
(実施例5)
実施例5は、実施例成形材料2の熱硬化性樹脂の樹脂硬化剤をフェノールノボラック
(PN)硬化剤とした例である。実施例2と同様に、フェノールノボラックをエポキシ樹脂に対する当量比1:1で用い、実施例成形材料5とした。
(実施例6)
実施例6は、実施例成形材料1のポリフェニレンサルファイド樹脂を、ポリフェニレンサルファイド樹脂とポリプロピレン(PP)との混合材に変えた例である。ポリフェニレンサルファイド樹脂に重量比で10%に相当するポリエチレンを混合し、2軸混練機を用いて300℃で混練した。混練した樹脂を熱可塑性樹脂として用い、実施例成形材料6とした。
(実施例7)
実施例7は、実施例成形材料2に、他の充填材として短繊維を追加した例である。窒化ホウ素を混合し、硬化した熱硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂の2軸押出機での混練の際に、ポリベンゾオキサゾール繊維チョップ(東洋紡株式会社製:短繊維のポリベンゾオキサゾール繊維:PBO)を混合し、実施例成形材料7とした。混合量は、成形材全体に対して、体積比で窒化ホウ素が26%、PBOが15%となるようにした。加えた短繊維は、熱可塑性樹脂中に分散する。短繊維(繊維チョップ)を加えることにより強度が向上する。また、PBOを加えることで高熱伝導化させることができる。
(実施例8)
実施例8は、充填材としてシリカ粉末を混合した例である。
窒化ホウ素とシリカ粉末を体積比で窒化ホウ素:シリカ=26:9になるように混合し、熱硬化性樹脂中に添加して、実施例成形材料8を得た。充填材全体では、35体積%となるようにした。
(比較例)
熱可塑性樹脂のポリフェニレンサルファイドに窒化ホウ素粉末をそのまま混合した比較例試験片1〜3を作成した。
充填材として、平均粒径5μmの窒化ホウ素粉末(電気化学工業製)を用いた。窒化ホウ素粉末を、温度300℃に設定した2軸押し出し機中で熱可塑性樹脂ポリフェニレンサルファイドに少量ずつ加えながら混練を繰り返し、樹脂組成物中の窒化ホウ素量が所定量となるまで添加して比較例成形材料を得た。成形材料に含まれる窒化ホウ素量は、体積比で35%(比較例1),26%(比較例2),42%(比較例3)とした。
Figure 2008248048
(試験例)
比較例1,2,3は、本発明の実施例1,2,3と窒化ホウ素量が同等で、本発明の構成を用いない例である。上記実施例成形材料1〜8,比較例成形材料1〜3を温度300℃,圧力2MPaのホットプレスにて板状に成形し、この板状成形品から、各物性測定に適当な寸法を切り出し試験片とした。各成形材料について、熱伝導率,粘度,曲げ強度を評価した。結果をまとめて表1に示す。
熱伝導率は、フラッシュ法装置(NETZSCH社製XeフラッシュアナライザLFA447型)を用いて行った(ASTM E1461準拠)。同装置で測定した熱拡散率に、アルキメデス法により測定した密度とDSC法により測定した比熱を乗じて、熱伝導率を求めた。本発明により、成形材の熱伝導率を向上させつつ熱伝導率の異方性は、比較例1,2,3において2.2〜2.6であるのに対し、実施例1,2,3において1.2〜1.3と低減できた。また、実施例1,2,3の結果よりあきらかな通り、成形材の熱伝導率は窒化ホウ素の増加に伴い増大しているが、その異方性は1.2〜1.3と低い値に留まっている。
実施例2,4,5の比較より、成形材の特性が、連結相を形成する樹脂の特性を反映して異なることがわかる。すなわち、連結相を形成する樹脂の熱伝導率の高低に対応して、成形材の熱伝導率が、実施例2,5,4の順になっている。また、連結相を形成する樹脂の耐熱性の高低に対応して、成形材の熱分解温度が、実施例5,2,4の順になっている。ただし、これらの樹脂が本発明における連結相として機能していることにより、本発明の効果である、熱伝導率の異方性低減の効果はいずれの構成でも発現していると考えられる。
粘度は、フローテスタ(島津製作所製CFT500型)を用いて、300℃にて測定した(JIS K7210付属書C(参考試験))。曲げ強度は、オートグラフ(島津製作所製DSS5000型)を用いた3点曲げ法(JIS K7171準拠)により測定した。成型時の粘度は比較例1,2,3において15kPa・s以上であるのに対し、実施例1,2,3において15kPa・s以下であり、成形材の熱伝導率を向上させつつ粘度を低く保つことができる。また、実施例6より、母材相を構成する熱可塑樹脂に低粘度の熱可塑性樹脂(実施例6ではポリプロピレン)を混合することにより、実施例1に比して成形材の粘度が低減されることがわかる。
また、実施例2,3,5の成形材については、熱重量分析法により熱分解温度を評価した。熱分解温度は、成形材中の樹脂重量に対して重量減少が2%に達した温度で定義した。実施例2,3,5の試料の熱分解温度は、それぞれ320℃,360℃,290℃であった。
実施例7の結果、母材相を構成する熱可塑性樹脂に比べて、熱伝導率と強度の高い繊維(実施例7ではポリベンゾオキサゾール繊維)を添加することにより、実施例2よりも成形材の熱伝導率と強度を向上させることができる。
本発明においては、窒化ホウ素とその他の充填材を併用することが可能である。実施例8は、実施例2の構成に充填材としてシリカを追加した配合、あるいは、実施例1の構成において充填材の窒化ホウ素の一部をシリカで置き換えた配合である。実施例8の熱伝導率は、充填材35vol% の全てが熱伝導率に勝る窒化ホウ素である実施例1に比べて低いが、窒化ホウ素量が等しい実施例2よりも高い。シリカには異方性がないため、成形材の熱伝導率異方性には変化がなかった。成形材の粘度は、実施例1よりも低く、実施例に2に近い値となった。複数種の充填材を配合することで、本発明の効果を発現しつつ、ここでは示していないその他の物性、例えば、熱膨張係数などを調整することができる。
本発明による成形材料の部分断面図である。
符号の説明
1 熱可塑性樹脂相(母材相)
2 熱硬化性樹脂相(連結相)
3 板状充填材
4 繊維状充填材

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂中に島状に散在する熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された充填材と、を有することを特徴とする樹脂成形品。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンサルファイドを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
  3. 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
  4. 前記充填材は、平板状、または棒状の形状を有することを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
  5. 前記充填材は、熱伝導率の異方性のある充填材であることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
  6. 前記充填材として、窒化ホウ素を含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品。
  7. ポリアリーレンサルファイドを主成分として含む熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂中に分散された島状に存在する熱硬化性樹脂と、充填材と、よりなることを特徴とする樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の樹脂組成物において、熱伝導異方性が2以下であることを特徴とする組成物。
  9. 絶縁性充填材を熱硬化性樹脂に混合し、前記絶縁性充填材が分散した熱硬化性樹脂を硬化し、前記硬化した熱硬化性樹脂を粉砕し、前記粉砕された熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に混合することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項9に記載の樹脂組成物の製造方法において、前記熱可塑性樹脂が、ポリアリーレンサルファイドを主成分とすることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  11. 電気・電子機器用の絶縁筐体であって、前記筐体は樹脂成形品よりなり、前記樹脂成形品は熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂中に島状に散在する熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂中に分散された充填材と、を有することを特徴とする絶縁筐体。
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