JP2005222793A - 車両用前照灯 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロービーム用配光パターンを形成するように構成されたプロジェクタ型の車両用前照灯において、側方挿入型の灯具構成を採用した場合においても、ロービーム配光パターンの拡散領域の明るさを十分に確保可能とする。
【解決手段】 光源バルブ22を、光軸Axから下方に離れた位置において側方からリフレクタ24に挿入固定することにより、その反射面24aにおける光軸側方領域を配光制御用として有効利用可能とする。また、光源バルブ22とシェード32との間に、光源22aからの光をリフレクタ24と投影レンズ28との間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させる付加リフレクタ34を設けることにより、ロービーム用配光パターンの拡散領域を明るくするとともにその拡散領域を車幅方向外側へ拡張する。
【選択図】 図6

Description

本願発明は、ロービーム用配光パターンを形成するための光照射を行うように構成された車両用前照灯に関するものであり、特に、いわゆるプロジェクタ型の車両用前照灯に関するものである。
一般に、プロジェクタ型の車両用前照灯は、車両前後方向に延びる光軸上に投影レンズが配置されるとともに、その後方側焦点よりも後方側に光源が配置されており、この光源からの光をリフレクタにより光軸寄りに反射させるように構成されている。
そして「特許文献1」や「特許文献2」には、このようなプロジェクタ型の車両用前照灯において、その光源が、光軸の側方からリフレクタに挿入固定された光源バルブの発光部により構成された、いわゆる側方挿入型の灯具構成が記載されている。
その際「特許文献2」に記載された車両用前照灯は、投影レンズの後方側焦点近傍に、リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェードが設けられており、これによりロービーム用配光パターンを形成するための光照射を行うように構成されている。
実開平2−47704号公報 特開2001−229715号公報
上記「特許文献1」および「特許文献2」に記載されているような側方挿入型の灯具構成を採用すれば、灯具の前後長を短くしてそのコンパクト化を図ることができる。
しかしながら、これら「特許文献1」および「特許文献2」に記載された車両用前照灯においては、光源バルブが光軸と同一水平面上においてリフレクタに挿入固定されているので、次のような問題がある。
すなわち、プロジェクタ型の車両用前照灯においては、リフレクタの反射面における光軸側方領域が、ロービーム用配光パターンの拡散領域を形成するのに適しているが、光源バルブが光軸と同一水平面上においてリフレクタに挿入固定されていると、反射面の光軸側方領域に光源バルブの挿入固定用の孔が形成されることとなるので、該光軸側方領域を配光制御用として有効に利用することができず、このためロービーム用配光パターンの拡散領域の明るさを十分に確保することが困難となってしまう、という問題がある。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロービーム用配光パターンを形成するように構成されたプロジェクタ型の車両用前照灯において、側方挿入型の灯具構成を採用した場合においても、ロービーム配光パターンの拡散領域の明るさを十分に確保することができる車両用前照灯を提供することを目的とするものである。
本願発明は、リフレクタに対する光源バルブの挿入固定位置に工夫を施すとともに、所定の付加リフレクタを備えた構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る車両用前照灯は、
車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、この投影レンズの後方側焦点よりも後方側に配置された光源と、この光源からの光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させるリフレクタと、上記後方側焦点近傍において上記光軸近傍に上端縁が位置するように配置され、上記リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェードとを備えてなり、ロービーム用配光パターンを形成するための光照射を行うように構成された車両用前照灯において、
上記光源が、上記光軸から下方に離れた位置において該光軸の側方から上記リフレクタに挿入固定された光源バルブの発光部により構成されており、
上記光源バルブと上記シェードとの間に、上記光源からの光を、上記リフレクタと上記投影レンズとの間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させる付加リフレクタが設けられており、この付加リフレクタからの反射光により、上記リフレクタで反射して上記投影レンズを透過した上記光源からの光により形成される基本配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する付加配光パターンを形成するように構成されている、ことを特徴とするものである。
上記「光源バルブ」の種類は特に限定されるものではなく、例えば、放電バルブやハロゲンバルブ等が採用可能である。
上記光源バルブのリフレクタへの挿入固定は「光軸から下方に離れた位置」において行われているが、この挿入固定位置の光軸からの下方変位量は特に限定されるものではない。その際、リフレクタの反射面における光軸近傍領域で反射した光源バルブからの光が該光源バルブによって遮蔽されてしまうのを未然に防止する観点からは、下方変位量を10mm以上の値に設定することが好ましく、15mm以上の値に設定することがより好ましい。一方、光源バルブからリフレクタの反射面への入射光束を十分に確保する観点からは、下方変位量を30mm以下の値に設定することが好ましい。
上記「付加リフレクタ」は、光源バルブとシェードとの間に設けられ、光源からの光をリフレクタと投影レンズとの間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させ、これにより基本配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する付加配光パターンを形成するように構成されたものであれば、その大きさや反射面形状等は特に限定されるものではない。
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用前照灯はプロジェクタ型の車両用前照灯として構成されているが、その光源バルブは車両前後方向に延びる光軸の側方からリフレクタに挿入固定されているので、灯具の前後長を短くしてそのコンパクト化を図ることができる。
その際、光源バルブの挿入固定は、光軸から下方に離れた位置で行われているので、リフレクタの反射面における光軸側方領域を配光制御用として有効に利用することができる。そして、この光軸側方領域からの反射光によりロービーム用配光パターンの拡散領域を形成して、この拡散領域に十分な明るさを確保することができる。
また、光源バルブとシェードとの間には、光源からの光をリフレクタと投影レンズとの間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させる付加リフレクタが設けられており、これにより基本配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する付加配光パターンを形成するようになっているので、ロービーム用配光パターンの拡散領域を車幅方向外側へ拡張することができる。
その際、付加リフレクタは光源バルブとシェードとの間に設けられているので、シェードによって遮蔽されるべき光源からの直射光を、この付加リフレクタによって前方照射光として有効に利用することができ、しかも、この付加リフレクタを設けたことによってリフレクタからの反射光が余分に遮蔽されてしまうのを未然に防止することができる。
このように本願発明によれば、ロービーム用配光パターンを形成するように構成されたプロジェクタ型の車両用前照灯において、側方挿入型の灯具構成を採用した場合においても、ロービーム配光パターンの拡散領域の明るさを十分に確保することができる。
しかも本願発明においては、付加配光パターンの形成により、ロービーム配光パターンの拡散領域を車幅方向外側へ拡張することができるので、車幅方向外側の車両斜め前方路面の視認性を高めることができ、これにより車両旋回時等における走行安全性を高めることができる。
さらに本願発明においては、付加リフレクタが光源バルブとシェードとの間に設けられているので、灯具の上下幅を大きくすることなく上記作用効果を得ることができる。
上記構成において、光源がバルブ中心軸に沿って延びる線分光源として構成されている場合には、光源からシェードへ向かう直射光は、バルブ中心軸と略直交する方向への出射光となるので、その光量はかなり多くなる。したがって、上記構成に示すように、光源バルブとシェードとの間に付加リフレクタを設けて、光源からシェードへ向かう直射光を前方照射光として有効利用することが、光源からの出射光に対する光束利用率を高める上で特に効果的である。
上記構成において、付加リフレクタの反射面形状が特に限定されないことは上述したとおりであるが、光源を第1焦点とするとともにリフレクタと投影レンズとの間の所定点を第2焦点とする略楕円状の水平断面形状を有する構成とすれば、該付加リフレクタからの反射光を一旦収束させた後に水平方向に拡散させることができるので、この反射光をリフレクタと投影レンズとの間の隙間を容易に通すことができるとともに該反射光により車幅方向外側の車両斜め前方路面を幅広く照射することができる。
また上記構成において、付加リフレクタを、その反射面から前方側へ延びるように延長形成された反射面延長部を有する構成とすれば、該反射面延長部からの反射光により付加配光パターンを一層明るいものとすることができる。
この場合において、付加リフレクタの車幅方向外側に、光源からの光を該付加リフレクタの反射面延長部へ向けて反射させる第2付加リフレクタを設け、この第2付加リフレクタからの反射光により、付加配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する第2付加配光パターンを形成するようにすれば、ロービーム用配光パターンの拡散領域を車幅方向外側へさらに拡張して、車幅方向外側の車両斜め前方路面の視認性を一層高めることができる。
その際、この第2付加リフレクタの反射面を、光源を第1焦点とするとともに該第2付加リフレクタと付加リフレクタとの間の所定点を第2焦点とする略回転楕円面状の表面形状を有する構成とすれば、該反射面延長部による反射光制御を精度良く行うことができる。
また上記構成において、投影レンズの前方側に、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて後方へ回り込むように形成された透光カバーが設けられた構成とし、この透光カバーの回り込み部分を透して、付加リフレクタからの反射光を車両斜め前方へ向けて照射する構成とすれば、該付加リフレクタからの反射光がランプボディ等によって不用意に遮蔽されてしまうのを未然に防止することができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1および2は、本願発明の一実施形態に係る左側の車両用前照灯10Lを示す側断面図および平断面である。
これらの図に示すように、この車両用前照灯10Lは、車両の左前端部に配置される灯具であって、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、車両前後方向に延びる光軸Axを有する灯具ユニット20Lが、エイミング機構50を介して上下方向および左右方向に傾動可能に収容されてなっている。
そして、このエイミング機構50によるエイミング調整が完了した段階では、灯具ユニット20Lの光軸Axは、車両前後方向に対して0.5〜0.6°程度下向きの方向に延びるようになっている。
透光カバー14は、車両前端部の左側コーナ部の車体形状に沿って、その車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて後方へ回り込むように形成されている。また、上記灯室内には、透光カバー14に沿うようにしてエクステンションパネル16が設けられている。このエクステンションパネル16には、灯具ユニット20Lをその前端部近傍において囲む開口部16aが形成されている。
図3および4は、灯具ユニット20Lを単品で示す側断面図であり、図5および6は、その平断面図である。
これらの図にも示すように、灯具ユニット20Lは、プロジェクタ型の灯具ユニットであって、光源バルブ22と、リフレクタ24と、ホルダ26と、投影レンズ28と、シェード32と、付加リフレクタ34とを備えてなっている。
投影レンズ28は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸レンズからなり、光軸Ax上に配置されている。そして、この投影レンズ28は、その後方側焦点Fを含む焦点面上の像を反転像として前方へ投影するようになっている。
光源バルブ22は、放電発光部を光源22aとするメタルハライドバルブ等の放電バルブであって、その光源22aはバルブ中心軸Ax1方向に延びる線分光源として構成されている。そして、この光源バルブ22は、投影レンズ28の後方側焦点Fよりも後方側でかつ光軸Axから下方に離れた位置(例えば光軸Axから20mm程度下方に離れた位置)において、光軸Axの右側方からリフレクタ24に挿入固定されている。この挿入固定は、バルブ中心軸Ax1を光軸Axと直交する鉛直面内において水平方向に延びるように設定した状態で、光源22aの発光中心を光軸Axの鉛直下方に位置決めするようにして行われている。
リフレクタ24は、光源バルブ22からの光を前方へ向けて光軸Ax寄りに反射させる反射面24aを有している。この反射面24aは、略楕円状の断面形状を有しており、その離心率は鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。そしてこれにより、図3および5に示すように、この反射面24aで反射した光源22aからの光を、鉛直断面内においては後方側焦点F近傍に略収束させるとともに、水平断面内においてはその収束位置をかなり前方へ移動させるようになっている。
このリフレクタ24における反射面24aの下部右側領域には、バルブ挿入固定部24bが反射面24aから突出するようにして形成されており、このバルブ挿入固定部24bの左側面部にはバルブ挿入孔24cが形成されている。そして、このリフレクタ24は、その3箇所に形成されたエイミングブラケット24dにおいて、エイミング機構50を介してランプボディ12に支持されている。
ホルダ26は、リフレクタ24の前端開口部から前方へ向けて略筒状に延びるように形成されており、その後端部においてリフレクタ24に固定支持されるとともに、その前端部において投影レンズ28を固定支持している。このホルダ26の下半部は、その大半が切欠き部26aとして形成されている。
シェード32は、ホルダ26の内部空間における略下半部に位置するようにして、該ホルダ26と一体で形成されている。このシェード32は、その上端縁32aが投影レンズ28の後方側焦点Fを通るように形成されており、これによりリフレクタ24の反射面24aからの反射光の一部を遮蔽して、投影レンズ28から前方へ出射する上向き光の大半を除去するようになっている。その際、このシェード32は、側面視においてその上端縁32aから前方斜め下方へ向けて略直線状に延びるように形成されている。
付加リフレクタ34は、光源バルブ22とシェード32との間に設けられており、その下端部に形成されたフランジ部34bにおいてリフレクタ24の底面壁24eに固定されている。そして、この付加リフレクタ34は、光源22aからの光を、ホルダ26の切欠き部26a(すなわちリフレクタ24と投影レンズ28との間の隙間)を通して、車両左斜め前方(すなわち車幅方向外側の車両斜め前方)へ向けて反射させるようになっている。
図6に示すように、この付加リフレクタ34の反射面34a1は、その水平断面形状が、光源22aの発光中心を第1焦点とするとともにリフレクタ24と投影レンズ28との間の所定点Aを第2焦点とする略楕円形状に設定されており、その鉛直断面形状が、光源22aの発光中心を焦点とするとともに光軸Axよりもやや下向きで前方へ延びる軸を有する略放物線形状に設定されている。
この付加リフレクタ34は、その反射面34a1から前方側へ延びるように延長形成された反射面延長部34a2を有している。この反射面延長部34a2は、その水平断面形状が、反射面34a1の前端縁(図1、3および4において2点鎖線でその位置を示す)から左斜め前方へ延びる略直線形状に設定されており、その鉛直断面形状は、反射面34a1と同様の略放物線形状に設定されている。そして、この反射面延長部34a2は、光源22aからの光を、反射面34a1からの反射光よりもさらに車両側方寄りの方向へ向けて反射させるようになっている。
なお、図1に示すように、エクステンションパネル16の開口部16aは、投影レンズ28の前方近傍において灯具ユニット20Lを囲むように形成されているが、その左側部分に関しては、図2に示すように、ホルダ26の後端部近傍において灯具ユニット20Lを囲むように形成されている。そしてこれにより、付加リフレクタ34からの反射光を、エクステンションパネル16によって不用意に遮蔽してしまわないようにしている。
図7は、車両用前照灯10Lから前方へ照射される光により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンを透視的に示す図である。
同図に示すように、このロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に水平カットオフラインCL1とこの水平カットオフラインCL1から所定角度(例えば15°程度)で立ち上がる斜めカットオフラインCL2とを有しており、両カットオフラインCL1、CL2の交点であるエルボ点Eの位置は、灯具正面方向の消点であるH−Vの0.5〜0.6°程度下方の位置に設定されている。そして、このロービーム用配光パターンPLにおいては、エルボ点Eを囲むようにして高光度領域であるホットゾーンHZが形成されている。
このロービーム用配光パターンPLは、基本配光パターンPOと、2つの付加配光パターンPa1、Pa2との合成配光パターンとして形成されている。
基本配光パターンPOは、ロービーム用配光パターンPLの基本形状をなす配光パターンであって、リフレクタ24で反射して投影レンズ28を透過した光源22aからの光によって形成されるようになっている。そして、水平および斜めカットオフラインCL1、CL2は、シェード32の上端縁32aの反転投影像として、基本配光パターンPOにおいて形成されるようになっている。
一方、付加配光パターンPa1、Pa2は、基本配光パターンPOの左側拡散領域の明るさを補強するとともにロービーム用配光パターンPLを基本配光パターンPOよりも左側へ大きく拡げるために付加的に形成される配光パターンであって、付加リフレクタ34で反射してリフレクタ24と投影レンズ28との間の隙間(すなわちホルダ26の切欠き部26a)を通して車両左斜め前方へ向かう光源22aからの光によって形成されるようになっている。
その際、付加配光パターンPa1は、付加リフレクタ34の反射面34a1からの反射光によって形成される配光パターンであり、付加配光パターンPa2は、付加リフレクタ34の反射面延長部34a2からの反射光によって形成される配光パターンである。
付加配光パターンPa1は、付加リフレクタ34の反射面34a1が、略楕円状の水平断面形状を有するとともに略放物線状の鉛直断面形状を有していることから、横長で略均一な光度分布を有する配光パターンとなっている。また、付加配光パターンPa2も、付加リフレクタ34の反射面延長部34a2が、略直線状の水平断面形状を有するとともに略放物線状の鉛直断面形状を有していることから、横長で略均一な光度分布を有する配光パターンとなっている。このとき、反射面34a1からの反射光よりも反射面延長部34a2からの反射光の方が、車両側方寄りの方向へ照射されるので、付加配光パターンPa2は付加配光パターンPa1の左端部と部分的に重複するように形成される。
これら各付加配光パターンPa1、Pa2は、その上端縁が水平カットオフラインCL1よりも僅かに下方に位置しているが、これは、反射面34a1および反射面延長部34a2の鉛直断面形状を構成する放物線の軸が、光軸Axよりもやや下向きで前方へ延びるように設定されていることによるものである。
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用前照灯10Lは、ロービーム用配光パターンPLを形成するための光照射を行うプロジェクタ型の車両用前照灯として構成されているが、その光源バルブ22は車両前後方向に延びる光軸Axの側方からリフレクタ24に挿入固定されているので、灯具の前後長を短くしてそのコンパクト化を図ることができる。
その際、光源バルブ22の挿入固定は、光軸Axから下方に離れた位置で行われているので、リフレクタ24の反射面24aにおける光軸側方領域を配光制御用として有効に利用することができる。そして、この光軸側方領域からの反射光によりロービーム用配光パターンPLの拡散領域を形成して、この拡散領域に十分な明るさを確保することができる。
また、光源バルブ22とシェード32との間には、光源22aからの光をリフレクタ24と投影レンズ28との間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させる付加リフレクタ34が設けられており、これにより基本配光パターンPOの車幅方向外側端部と部分的に重複する付加配光パターンPa1、Pa2を形成するようになっているので、ロービーム用配光パターンPLの拡散領域を車幅方向外側へ拡張することができる。
その際、付加リフレクタ34は光源バルブ22とシェード32との間に設けられているので、シェード32によって遮蔽されるべき光源22aからの直射光を前方照射光として有効に利用することができ、しかも、この付加リフレクタ34を設けたことによってリフレクタ24からの反射光が余分に遮蔽されてしまうのを未然に防止することができる。
このように本実施形態によれば、ロービーム用配光パターンPLを形成するように構成されたプロジェクタ型の車両用前照灯において、側方挿入型の灯具構成を採用した場合においても、ロービーム配光パターンPLの拡散領域の明るさを十分に確保することができる。
しかも本実施形態においては、付加配光パターンPa1、Pa2の形成により、ロービーム配光パターンPLの拡散領域を車幅方向外側へ拡張することができるので、車幅方向外側の車両斜め前方路面の視認性を高めることができ、これにより左方向への車両旋回時等における走行安全性を高めることができる。
さらに本実施形態においては、付加リフレクタ34が光源バルブ22とシェード32との間に設けられているので、灯具ユニット20Lの上下幅を大きくすることなく上記作用効果を得ることができる。
本実施形態のように、光源22aがバルブ中心軸Ax1に沿って延びる線分光源として構成されている場合には、光源22aからシェード32へ向かう直射光の光量がかなり多くなるので、光源バルブ22とシェード32との間に付加リフレクタ34を設けて、光源22aからシェード32へ向かう直射光を前方照射光として有効利用することが、光源22aからの出射光に対する光束利用率を高める上で特に効果的である。
また本実施形態においては、付加リフレクタ34の反射面34a1が、光源22aを第1焦点とするとともにリフレクタ24と投影レンズとの間の所定点Aを第2焦点とする略楕円状の水平断面形状を有しているので、該付加リフレクタ34からの反射光を一旦収束させた後水平方向に拡散させることができる。そしてこれにより、この付加リフレクタ34からの反射光を、リフレクタ24と投影レンズ28との間の隙間を容易に通すことができるとともに該反射光により車幅方向外側の車両斜め前方路面を幅広く照射することができる。
その際、付加リフレクタ34は、その反射面34a1から前方側へ延びるように延長形成された反射面延長部34a2を有しているので、該反射面延長部34a2からの反射光により付加配光パターンPa1、Pa2を一層明るいものとすることができる。
本実施形態においては、投影レンズ28の前方側に、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて後方へ回り込むように形成された透光カバー14が設けられており、この透光カバー14の回り込み部分を透して、付加リフレクタ34からの反射光を車両斜め前方へ向けて照射するように構成されているので、該付加リフレクタ34からの反射光がランプボディ12等によって不用意に遮蔽されてしまうのを未然に防止することができる。
次に、本実施形態に係る右側の車両用前照灯10Rについて説明する。
図8に示すように、この車両用前照灯10Rは、車両の右前端部に配置される灯具であって、その灯具ユニット20Rにおけるリフレクタ24の反射面形状およびシェード32の形状に関しては、車両用前照灯10Lの灯具ユニット20Lにおけるリフレクタ24およびシェード32を平行移動させた構成となっているが、それ以外の透光カバー14や付加リフレクタ34等の灯具構成要素に関しては、車両用前照灯10Lと左右対称の構成となっている。
この車両用前照灯10Rにおいても、図9に示すように、付加配光パターンPa1、Pa2の形成により、ロービーム配光パターンPLの拡散領域の明るさを十分に確保することができるとともに、その拡散領域を車幅方向外側(すなわち車両右斜め前方)へ拡張することができる。そしてこれにより、車幅方向外側の車両斜め前方路面の視認性を高めて、右方向への車両旋回時等における走行安全性を高めることができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図10は、本変形例に係る左側の車両用前照灯の灯具ユニット120Lを単品で示す平断面図である。
同図に示すように、本変形例においては、付加リフレクタ34の左側(すなわち車幅方向外側)に第2付加リフレクタ36が設けられている。この第2付加リフレクタ36は、その下端部に形成されたフランジ部36bにおいてリフレクタ24の底面壁24eに固定されている。
そして、この第2付加リフレク36は、光源22aからの光を付加リフレクタ34の反射面延長部34a2へ向けて反射させ、これにより図11に示すように、付加配光パターンPa2の車幅方向外側端部と部分的に重複する第2付加配光パターンPbを形成するようになっている。
その際、この第2付加リフレクタ36の反射面36aは、光源22aの発光中心を第1焦点とするとともに該第2付加リフレクタ36と付加リフレクタ34との間の所定点Bを第2焦点とする略回転楕円面状の表面形状を有している。そしてこれにより、所定点Bからの発散光が付加リフレクタ34の反射面延長部34a2に入射するものとして、該反射面延長部34a2による反射光制御を精度良く行うことができるようにするとともに、第2付加配光パターンPbの水平方向拡散角を十分に確保するようにしている。
本変形例の構成を採用することにより、ロービーム用配光パターンPLの拡散領域を車幅方向外側へさらに拡張することができ、これにより車幅方向外側の車両斜め前方路面の視認性を一層高めることができる。
なお、このような灯具ユニット120Lと同様の構成を、右側の車両用前照灯の灯具ユニットに採用した場合においても、同様の作用効果を得ることができることはもちろんである。
上記実施形態および変形例においては、光源バルブ22がリフレクタ24に対して真横の方向から挿入されているものとして説明したが、この真横の方向に対して多少挿入角度がずれていても、その上下方向あるいは前後方向のズレが30°程度以下であれば、上記実施形態および変形例と略同様の作用効果を得ることができる。
本願発明の一実施形態に係る左側の車両用前照灯を示す側断面図 上記車両用前照灯を示す平断面図 上記車両用前照灯の灯具ユニットを単品で示す側断面図であって、リフレクタで反射した光の光路を示す図 上記灯具ユニットを単品で示す側断面図であって、付加リフレクタで反射した光の光路を示す図 上記灯具ユニットを単品で示す平断面図であって、リフレクタで反射した光の光路を示す図 上記灯具ユニットを単品で示す平断面図であって、付加リフレクタで反射した光の光路を示す図 上記車両用前照灯から前方へ照射される光により灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンを透視的に示す図 上記実施形態に係る右側の車両用前照灯を示す側断面図 図8の車両用前照灯から前方へ照射される光により上記仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンを透視的に示す図 上記実施形態の変形例を示す、図6と同様の図 上記変形例の作用を示す、図7と同様の図
符号の説明
10L、10R 車両用前照灯
12 ランプボディ
14 透光カバー
16 エクステンションパネル
16a 開口部
20L、20R、120L 灯具ユニット
22 光源バルブ
22a 光源
24 リフレクタ
24a 反射面
24b バルブ挿入固定部
24c バルブ挿入孔
24d エイミングブラケット
24e 底面壁
26 ホルダ
26a 切欠き部
28 投影レンズ
32 シェード
32a 上端縁
34 付加リフレクタ
34a1 反射面
34a2 反射面延長部
34b フランジ部
36 第2付加リフレクタ
36a 反射面
36b フランジ部
50 エイミング機構
A、B 所定点
Ax 光軸
Ax1 バルブ中心軸
CL1 水平カットオフライン
CL2 斜めカットオフライン
E エルボ点
F 後方側焦点
HZ ホットゾーン
PL ロービーム用配光パターン
PO 基本配光パターン
Pa1、Pa2 付加配光パターン
Pb 第2付加配光パターン

Claims (7)

  1. 車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、この投影レンズの後方側焦点よりも後方側に配置された光源と、この光源からの光を前方へ向けて上記光軸寄りに反射させるリフレクタと、上記後方側焦点近傍において上記光軸近傍に上端縁が位置するように配置され、上記リフレクタからの反射光の一部を遮蔽するシェードとを備えてなり、ロービーム用配光パターンを形成するための光照射を行うように構成された車両用前照灯において、
    上記光源が、上記光軸から下方に離れた位置において該光軸の側方から上記リフレクタに挿入固定された光源バルブの発光部により構成されており、
    上記光源バルブと上記シェードとの間に、上記光源からの光を、上記リフレクタと上記投影レンズとの間の隙間を通して車幅方向外側の車両斜め前方へ向けて反射させる付加リフレクタが設けられており、この付加リフレクタからの反射光により、上記リフレクタで反射して上記投影レンズを透過した上記光源からの光により形成される基本配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する付加配光パターンを形成するように構成されている、ことを特徴とする車両用前照灯。
  2. 上記光源が、バルブ中心軸に沿って延びる線分光源として構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  3. 上記付加リフレクタの反射面が、上記光源を第1焦点とするとともに上記リフレクタと上記投影レンズとの間の所定点を第2焦点とする略楕円状の水平断面形状を有している、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用前照灯。
  4. 上記付加リフレクタが、上記反射面から前方側へ延びるように延長形成された反射面延長部を有している、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用前照灯。
  5. 上記付加リフレクタの車幅方向外側に、上記光源からの光を該付加リフレクタの上記反射面延長部へ向けて反射させる第2付加リフレクタが設けられており、この第2付加リフレクタからの反射光により、上記付加配光パターンの車幅方向外側端部と部分的に重複する第2付加配光パターンを形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項4記載の車両用前照灯。
  6. 上記第2付加リフレクタの反射面が、上記光源を第1焦点とするとともに該第2付加リフレクタと上記付加リフレクタとの間の所定点を第2焦点とする略回転楕円面状の表面形状を有している、ことを特徴とする請求項5記載の車両用前照灯。
  7. 上記投影レンズの前方側に、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて後方へ回り込むように形成された透光カバーが設けられており、
    この透光カバーの回り込み部分を透して、上記付加リフレクタからの反射光を車両斜め前方へ向けて照射するように構成されている、ことを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の車両用前照灯。
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