JP2005218444A - 細胞培養容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 近年細胞を積極的に利用してその機能の再生をはかることを目的とした再生医療の分野が発展してきた。この細胞の培養、増殖は生体外の容器内で行われるが、まだ十分な細胞増殖能を有する容器が得られていない。培地への異物の混入が抑制され、細胞増殖能に優れ、大量培養に適した細胞培養容器の開発が求められている。
【解決手段】 本発明の細胞培養容器は、ポリマーシートで成型された容器において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された細胞培養容器、とりわけポリマーシートで成型された容器の表面、例えば内表面において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された細胞培養容器は、培地への異物の混入が抑制され、しかも優れた細胞増殖能を有し、より効率的な大量細胞培養が可能である。

Description

本発明は、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されてなるプラスチック製細胞培養容器に関する。
近年、機能障害や機能不全に陥った生体組織および臓器に対して、細胞を積極的に利用して、その機能の再生をはかることを目的とした再生医療の分野が発展してきた。哺乳動物から健常な細胞取り出し、該細胞を生体外で培養した後、再び生体に戻す技術もこの一環である。
従来、哺乳動物の付着細胞や懸濁細胞を生体外で行う培養は、ポリスチレン製のシャーレの中で行われてきた。しかし、このような容器はガス透過性が低いため、細胞増殖に必要な酸素や二酸化炭素の交換を十分行うために、培養液の液厚を3mm程度とし、容器中に空気層を設けなくては、十分な細胞増殖が得られなかった。従って、細胞を大量に培養するときには、無駄な空間があるため、多くのスペースを必要としていた。
かかる問題を解決すべく、アイオノマーで形成された細胞培養容器(特許文献1)、ポリエチレンシートで形成された細胞培養容器(特許文献2〜4)、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂とポリ−4−メチルペンテン−1樹脂以外のポリオレフィン樹脂で形成された細胞培養容器(特許文献5)、含フッ素溶融樹脂からなる培養器(特許文献6,7)等が報告されている。これらの細胞培養容器は、ガス透過性が高く、容器一杯に培養液を充填し、培養することが可能である。従ってポリスチレン製のシャーレで培養するよりも培養スペースを小さくできるため、大量培養に適している。
しかしながら、さらに培養スペースを効率化するために、優れた細胞増殖効果を有し、大量培養に適した細胞培養容器が必要とされている。
特開昭60−160881号公報 実開平1−99200号公報 特開平2−255077号公報 特開平3−172169号公報 特開2001−190267号公報 特開昭63−198972号公報 実開昭62−68599号公報
従来の細胞培養容器よりも培地への異物の混入を抑制し、細胞増殖能に優れ、大量培養に適した細胞培養容器の開発が求められている。
本発明は、
(1)ポリマーシートで成型された容器において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された細胞培養容器、
(2)ポリマーシートで成型された容器の表面において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(3)ポリマーシートで成型された容器の内表面において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(4)ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、シリカ系ポリマーまたはポリオレフィンである上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(5)ポリマーが、ポリエチレンである上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(6)酸素透過係数が、約100〜5000cm/m・24hr・atmである上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(7)二酸化炭素透過係数が、約1000〜20000cm/m・24hr・atmである上記(1)項に記載の細胞培養容器、
(8)ポリマーシートで成型された容器と、フッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させることにより得られる、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されたポリマーシートで成型されてなる細胞培養容器、
(9)フッ素ガスの含有量が不活性ガスに対して約0.1〜20.0容量%である上記(8)項に記載の細胞培養容器、
(10)ポリマーシートで成型された容器の内表面とフッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させる上記(8)項に記載の細胞培養容器、
(11)ポリマーシートで成型された容器と、フッ素ガスとを不活性ガス存在下で反応させることを特徴とするポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されたポリマーシートで成型された細胞培養容器の製造方法、及び
(12)ポリマーシートで成型された容器の内表面とフッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させる上記(11)項に記載の細胞培養容器の製造方法に関する。
本発明の細胞培養容器は、従来の細胞培養容器よりも培地への異物の混入を抑制し、細胞増殖能に優れ、しかも大量培養に適している。本発明の細胞培養容器では、従来の容器に比べて、細胞をより高密度に培養でき、より多数の細胞を得ることができる。さらに一定数の細胞を得るためには、より小容量の培地での培養、増殖が可能となる。
本発明の細胞培養容器は、細胞を培養するためのプラスチック容器であり、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換(以下、フッ素置換ともいう)されることを特徴としている。フッ素置換とは、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置き換わることを意味し、一部とはフッ素原子の置換前のポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の数の割合を100%とした場合、フッ素原子に置換した数が約0.1〜99.9%、好ましくは約0.5〜50%、さらに好ましくは約1〜10%である。最も好ましくは約2〜5%である。
本発明のポリマー容器の形状は特に限定されるものではなく、例えばバッグ、ボトルなどが挙げられる。とりわけ大量生産が容易であり、軽量である可撓性のシートで形成されたバッグ形状が好ましい。さらに、細胞懸濁液を導入・導出するポートをそれぞれ設けることが、取り扱いの上で好ましい。
また、ポリマーは、構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素ガスによりフッ素原子に置換されうるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、シリカ系ポリマーまたはポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂が挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリ4−メチルペンテンなどが挙げられるが、中でもポリエチレンが好ましい。
また、本発明の細胞培養容器において、フッ素置換は、ポリマー容器の内表面、外表面または両面のいずれであってもよい。ポリマー容器の内表面がフッ素置換されていることが好ましい。
本発明の細胞培養容器は、細胞を培養するにあたり十分な通気性を有していることが好ましい。具体的には、酸素透過係数が約100〜5000cm/m・24hr・atm、好ましくは約1100〜3000cm/m・24hr・atm、さらに好ましくは約1250〜2750cm/m・24hr・atmであり、二酸化炭素透過係数が約1000〜20000cm/m・24hr・atm、好ましくは約3000〜11500cm/m・24hr・atmであり、さらに好ましくは約5000〜9000cm/m・24hr・atmである。
本発明におけるフッ素置換は、ポリマーシートで成型された容器の内表面または/及び外表面と、フッ素含有ガスとを不活性ガス存在下で反応させることで達成されるが、同様の効果が得られる方法であれば、これに限定されるものではない。不活性ガスは、窒素、アルゴンなどフッ素置換反応を阻害しないものであればよい。不活性ガスに対するフッ素ガスの含有量は約0.1〜20.0容量%、好ましくは約0.1〜10容量%である。温度条件は約−20〜150℃、好ましくは約0〜40℃である。反応温度は高いほどフッ素置換の反応速度が増すが、火災などの災害に注意する必要がある。また、圧力条件は、約0.01〜10.0atm、好ましくは約0.01〜2.0atm、さらに好ましくは常圧付近である。反応時間は、反応温度、圧力条件により異なるが、例えば約25℃で圧力条件が常圧(大気圧)付近であれば約30秒〜200分、好ましくは約1分〜200分、より好ましくは約1分〜20分である。
本発明の細胞培養容器は、成型したポリマー容器に直接フッ素置換を施す方法、またはあらかじめフッ素置換したポリマーを容器に成型する方法で製造することができる。ここで、ポリマー容器の製造はプラスチックシートを用いて常法により実施できる。プラスチックシートの厚みは、通常約50〜300μmが好適に用いられる。例えば、ポリマー容器がバッグ状である場合、インフレーション法、Tダイ法などで可撓性シートを作成し、ヒートシール法によって成型することができる。
成型したポリマー容器に直接フッ素置換を施す方法は、例えばポリマーをインフレーション法やTダイ法により作成したシートを、細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けてバッグ状に成型し、該流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、フッ素を含有した不活性ガスを流すことにより行われる。インフレーション法の条件は、ポリマーの種類によって異なり、例えば、ポリエチレンを使用する場合、溶融温度は約160〜180℃、引取速度は約10〜30m/minでポリエチレンシートを作成することができる。フッ素置換反応は、フッ素ガスを約0.1〜20.0容量%、好ましくは約0.1〜10容量%含有した不活性ガスを使用する。
あらかじめフッ素置換したポリマーを容器に成型する方法しては、片面のみがフッ素置換されたポリマーを作成し、該ポリマーのシートにポートを設けた状態でバッグに成型する方法が挙げられる。例えば、特開昭62−140821号公報に記載された方法またはこれに準じた方法により片面のみがフッ素置換されたポリマーのシートからバッグを作成することができる。具体的にはポリマーをインフレーション法によりシート状に成型する際に、内部にフッ素ガスを約0.1〜20.0容量%、好ましくは約0.1〜10容量%含有した不活性ガスを流すことでフッ素置換反応を行う。インフレーション法における条件は、ポリマーの種類によって異なり、例えば、ポリエチレンを使用する場合、溶融温度は約160〜180℃、引取速度は約10〜30m/minで作成することができる。このようにして得たシートを、温度約170〜190℃におけるヒートシール法によりバッグ状に成型することにより本発明の細胞培養容器を製造することができる。
さらに、上記フッ素置換反応は、プラズマ処理、コロナ放電処理などの処理と併用することにより、一層効果的に行うことができる。例えば、コロナ放電の場合、電圧約10〜30kV、好ましくは約15〜25kVであり、周波数は約10〜30kHz、約15〜25kHzである。加えて、材料の融点より約20〜130℃低い温度で加熱するとさらに好ましい。加熱方法は、赤外線照射、熱風吹きつけなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記製造方法によって得られた細胞培養容器を用いた細胞培養は、常法に従って実施できる。例えば、培養する細胞は、臍帯血細胞、造血幹細胞、リンパ球細胞、ハイブリドーマなどの浮遊細胞、肝細胞などの臓器を形成する実質細胞等が挙げられる。また、用いる培地は市販されている基礎培地でよく、イーグルMEM培地、DMEM培地、RPMI1640、HamF10培地、HamF12培地などが挙げられる。播種する細胞の濃度は、好ましくは約1.0×10〜5.0×10cells/ml、さらに好ましくは、約1.0×10〜2.0×10cells/mlであり、より高密度で培養することができ、細胞の大量培養が可能となる。
以下に本発明を、実施例、実験例により具体的に説明する。
実施例1
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製)をTダイ法によりシート(厚み:100μm)を作成した。Tダイ法における条件は、溶融温度170℃、引っ張り速度25m/minとした。このシートを6×10センチ四方にカットし、2枚のポリエチレンシートの間に細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けた状態で重ね、縁部をヒートシール法によりバッグ状に成型することでポリエチレンバッグの細胞培養容器を作成した。この細胞培養容器の流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、大気圧下、30℃でフッ素ガス10容量%を含有した窒素ガスを1分間流すことにより、細胞培養容器を製造した。
実施例2
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製)をTダイ法によりシート(厚み:100μm)を作成した。Tダイ法における条件は、溶融温度170℃、引っ張り速度25m/minとした。このシートを6×10センチ四方にカットし、2枚のポリエチレンシートの間に細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けた状態で重ね、縁部をヒートシール法によりバッグ状に成型することでポリエチレンバッグの細胞培養容器を作成した。この細胞培養容器の流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、大気圧下、30℃でフッ素ガス10容量%を含有した窒素ガスを1分または180分間流すことにより、細胞培養容器(2種類)を製造した。
実施例3
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製)をインフレーション法によりシート(厚み:100μm)を作成した。インフレーション法における条件は、溶融温度170℃、引っ張り速度25m/minとした。このシートを10センチ四方にカットし、2枚のポリエチレンシートの間に細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けた状態で重ね、縁部をヒートシール法によりバッグ状に成型することでポリエチレンバッグの細胞培養容器を作成した。この細胞培養容器の流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、大気圧下、25℃でフッ素ガス15容量%を含有した窒素ガスを1分間流すことにより、細胞培養容器を製造した。
実施例4
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製)をインフレーション法によりシート(厚み:100μm)を作成した。インフレーション法における条件は、溶融温度170℃、引っ張り速度25m/minとした。このシートを10センチ四方にカットし、2枚のポリエチレンシートの間に細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けた状態で重ね、縁部をヒートシール法によりバッグ状に成型することでポリエチレンバッグの細胞培養容器を作成した。この細胞培養容器の流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、大気圧下、25℃でフッ素ガス5容量%を含有した窒素ガスを5分間流すことにより、細胞培養容器を製造した。
実施例5
直鎖状低密度ポリエチレン(三井化学社製)をインフレーション法によりシート(厚み:100μm)を作成した。インフレーション法における条件は、溶融温度170℃、引っ張り速度25m/minとした。このシートを10センチ四方にカットし、2枚のポリエチレンシートの間に細胞懸濁液の流入ポートおよび流出ポートを設けた状態で重ね、縁部をヒートシール法によりバッグ状に成型することでポリエチレンバッグの細胞培養容器を作成した。この細胞培養容器の流入ポートおよび流出ポートからバッグ内部に、大気圧下、25℃でフッ素ガス10容量%を含有した窒素ガスを10分間流すことにより、細胞培養容器を製造した。
実験例1 フッ素ガス処理容器の内表面ポリマーの元素分析値及びガス透過性
実施例1で得られた細胞培養容器、比較対照として、(1)実施例1に記載のフッ素ガスで処理する前のポリエチレン容器(PE)、(2)フッ素ガスで処理されていないポリテトラフルオロエチレン(厚み:100μm)容器(PTFE)及び(3)フッ素ガスで処理されていないテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(厚み:100μm)容器(FEP)の内表面の元素分析値並びに容器の酸素ガス及び二酸化炭素(炭酸ガス)の透過性を測定した。
元素分析値は、蛍光X線分析(島津蛍光X線分析装置XRF―1700)を用いて測定した。酸素及び二酸化炭素のガス透過性はJIS K 7126法(ISO 2556に記載の方法)に準拠し、ガス透過性測定装置(MT−C3、東洋精機製作所)を用いて測定した。
結果を表1に示す。

表1 内表面ポリマーの元素分析値及びガス透過性
Figure 2005218444
供試サンプル(実施例1)は比較対照(1)とほぼ同等のガス透過性を示した。比較対照(3)の酸素透過性は、供試サンプル(実施例1)の約80%であるが、培養液のpH値維持に必要な二酸化炭素透過性は、供試サンプル(実施例1)の約40%と低い値であった。
供試サンプル(実施例1)のバッグ状容器の外表面では、フッ素原子が検出限界以下であり、バッグ状容器のフッ素ガス処理によりフッ素原子で置換されている部分は、バッグ状容器の内表面のごく浅い部分であることが示された。
実験例2 細胞増殖試験
実施例1で得られた細胞培養容器、及び比較対照として実施例1に記載のフッ素ガス処理前の直鎖状低密度ポリエチレン容器に、ヒト白血病細胞株のMOLT−4細胞を懸濁した10%牛胎児血清を含んだRPMI1640培地(MOLT−4細胞株の播種濃度:1.0×10cells/ml)5mlをそれぞれ加え、37℃/5%二酸化炭素/99%RH(相対湿度)で10日間培養を行った。培養5日目より、バッグ状容器から培養液の一部をサンプリングし、ヘモサイトメーターによりバッグ状容器内の細胞濃度を算出した。
結果を表2に示す。

表2 MOLT−4細胞濃度(×10cells/ml)
Figure 2005218444
本発明の実施例1の細胞培養容器は、比較対照のフッ素置換されていないポリエチレン容器より優れた細胞増殖能を示すことは明らかである。
実験例3 細胞増殖試験
実施例2で得られた2種類の細胞培養容器〔フッ素ガス処理時間が1分間で製造された容器(本発明(1))及びフッ素ガス処理時間が180分間で製造された容器(本発明(2))〕、及び比較対照として市販のポリスチレン製の培養フラスコ(25cmフラスコ、カタログ番号430639、コーニング社製、米国)に、ヒト白血病細胞株のMOLT−4細胞を懸濁した10%牛胎児血清を含んだRPMI1640培地(MOLT−4細胞株の播種濃度;1.0×10cells/ml)5mlを加え、37℃/5%二酸化炭素/99%RH(相対湿度)で、6日間培養を行った。バッグ状容器から培養液の一部をサンプリングし、実験例2に記載の方法と同様な方法によりバッグ状容器内の細胞濃度を算出した。
結果を表3に示す。

表3 MOLT−4細胞濃度
Figure 2005218444
本発明の細胞培養容器(フッ素ガス処理時間が1分間)は、明らかに比較対照の容器より優れた細胞増殖倍率を示す。
実験例4 フッ素ガス処理容器の内表面ポリマーの元素分析値及び水接触角
実施例2で得られた2種類の細胞培養容器〔フッ素ガス処理時間が1分間で製造された容器(本発明(1))及びフッ素ガス処理時間が180分間で製造された容器(本発明(2))〕、及び比較対照として市販のポリスチレン製の培養フラスコ(25cmフラスコ、カタログ番号430639、コーニング社製、米国)の内表面ポリマーの元素分析値(炭素原子及びフッ素原子)及び水接触角を表4に示す。
元素分析は、実験例1に記載の方法と同様に行い、水接触角はJIS K 6768 (ISO 8296)に記載の方法で測定した。

表4 元素分析値及び水接触角
Figure 2005218444
水接触角度から、本発明の細胞培養容器(フッ素ガス処理時間が1分間)の内表面は、やや親水性を示すことが明らかとなった。
本発明の細胞培養容器は、優れた細胞増殖能を有し、培地への異物の混入を抑制し、より効率的な大量細胞培養ができる。

Claims (12)

  1. ポリマーシートで成型された容器において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された細胞培養容器。
  2. ポリマーシートで成型された容器の表面において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. ポリマーシートで成型された容器の内表面において、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換された請求項1に記載の細胞培養容器。
  4. ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、シリカ系ポリマーまたはポリオレフィンである請求項1に記載の細胞培養容器。
  5. ポリマーが、ポリエチレンである請求項1に記載の細胞培養容器。
  6. 酸素透過係数が、約100〜5000cm/m・24hr・atmである請求項1に記載の細胞培養容器。
  7. 二酸化炭素透過係数が、約1000〜20000cm/m・24hr・atmである請求項1に記載の細胞培養容器。
  8. ポリマーシートで成型された容器とフッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させることにより得られる、ポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されたポリマーシートで成型されてなる細胞培養容器。
  9. フッ素ガスの含有量が不活性ガスに対して約0.1〜20.0容量%である請求項8に記載の細胞培養容器。
  10. ポリマーシートで成型された容器の内表面とフッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させる請求項8に記載の細胞培養容器。
  11. ポリマーシートで成型された容器と、フッ素ガスとを不活性ガス存在下で反応させることを特徴とするポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子に置換されたポリマーシートで成型された細胞培養容器の製造方法。
  12. ポリマーシートで成型された容器の内表面とフッ素ガスとを、不活性ガス存在下で反応させる請求項11に記載の細胞培養容器の製造方法。
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