JP2005211856A - 親水性機能を担持した構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非溶剤系の水系の塗料、コーテイング剤などが広く利用されるようになつているが、耐汚染性が劣るため汚れやすい、耐候性が劣るため変色しやすい、耐水性が劣るため剥離したり溶解するなどの課題が残されている。
【解決手段】
カルボキシル変性した種ラテツクスへの特定モノマ−により導入した基の中和又は4級アンモニウム塩化により負の表面電位を有するアニオン性及び/またはノニオン性の樹脂エマルジョンの粒子表面にカチオン性を付与させて得られた両性重合体エマルジョンに、アニオン性コロイダルシリカを吸着・分散させた防汚コート剤を、接触角60°以上の疎水性材料に塗布する。
【選択図】 なし

Description

本発明は親水性機能を担持した構造体に関する。
塗料分野においては環境汚染の防止対策として有機溶剤型塗料から,親水性水溶性樹脂,水分散性樹脂をベースとする水性塗料への変換が進行している。
また,汚れを落としやすくするためには親水性の塗膜が適していることから,
水性塗料が注目されている。
しかしながら,水分散性樹脂は乳化重合する際に界面活性剤を使用することから,耐汚染性,耐水性,耐候性などになお改良されるべき点が残されている。
特開平10−7940号 特開2000−170078号 特開2001−106791号
この改良策として,例えばアクリル樹脂の乳化重合時にシラン化合物を導入してシラン変性アクリル樹脂とすることにより塗膜の性能を向上することが検討されてきた。
しかしながら,シリコン変性アクリル樹脂にしても保存安定性,防汚性の点に課題がある。
また,有機・無機混合系の親水性付与剤は無機系のものに比べて,親水性能が低く防汚効果に乏しいといった問題があった。
本発明は,このような状況に鑑みて,検討されたものであり,以下のことを特徴とする発明である。
すなわち請求項1記載は,カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし,これを化1で示されるモノマー,

またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加重合して得られるシード重合体の化2で示される基を,

酸または塩で中和するか,または4級化剤で4級アンモニウム塩化することにより,負の表面電位を有するアニオン性及び/またはノニオン性の樹脂エマルジョン粒子表面にカチオン性を付与させて得られた両性重合体エマルジョンに,アニオン性コロイダルシリカが分散され,該両性重合体エマルジョン粒子表面に,該アニオン性コロイダルシリカが吸着・分散された防汚コート剤を,疎水性材料に塗布してなることを特徴とする親水性機能を担持した構造体である。
(ただし,式中のRはHまたはCHを,Rは炭素数2〜5のアルキル基を,R及びRはH又は炭素数1〜5のアクリル基を,Aは化3で示される。

,R,Rは単量体が水に対し難溶性または不溶性である範囲で選ばれる。)
また,請求項2記載の発明は,該疎水性材料の水の静的接触角が60°以上であることを特徴とする請求項1記載の親水性機能を担持した構造体である。
更に,請求項3記載の発明は,該疎水性材料の水の静的接触角が60°以上となるようアンダーコート層を形成してなることを特徴とする請求項1記載の親水性機能を担持した構造体である。
更にまた,請求項4記載の発明は,該防汚コート剤の塗布厚みが1μm以上でも成膜可能である請求項1記載の親水性機能を担持した構造体である。
本発明では,疎水性材料に,両性重合体エマルジョンにアニオン性コロイダルシリカが分散された防汚コート剤を塗布することにより,成膜性,接着性,耐水性などの特性と,親水性とが複合された特性とを備えたものとなる。
以下,本発明について詳細に説明する。
カルボキシル変性する合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンに使用される種ラテックスの合成ゴム系ラテックス,合成樹脂系エマルジョンには通常公知のものを使用できる。
例えば,合成ゴム系ラテックスとしてはスチレン・ブタジエンゴムラテックス,アクリロニトリル・ブタジエンゴム,メチルメタアクリレート・ブタジエンゴム,クロロプレンゴムなどが挙げられる。
また,合成樹脂系エマルジョンには各種アクリル酸エステルなどのアクリル系モノマーを使用して調製されたアクリル酸エステル樹脂系エマルジョン,酢酸ビニル或いは酢酸ビニルとアクリル酸エステル,ベオバ,スチレンなどのコモノマーとを共重合した酢酸ビニル樹脂系エマルジョン,塩化ビニルと酢酸ビニル,エチレン,アクリル酸エステルなどコモノマーとが重合された塩化ビニル樹脂系エマルジョン,スチレンとアクリル酸エステル,酢酸ビニルなどコモノマーとが共重合されたスチレン樹脂系エマルジョン,エチレン・酢酸ビニル共重合系エマルジョンなどが挙げられる。
カルボキシル変性する方法としては,(メタ)アクリル酸,ケイヒ酸,クロトン酸,マレイン酸,フタル酸,イタコン酸,などカルボキシル基を含有するモノマー,ビニルスルホン酸,スチレンスルホン酸,アクリル酸−2−エチルスルホン酸など分子内にスルホン酸基を持つモノマー,アクリル酸2−ヒドロキシエチルりん酸エステル,メタクリル酸2−ヒドロキシりん酸エステルなどりん酸基を持つモノマーなどを共重合して導入するか,若しくはグラフト反応などにより重合体に導入する方法などを採用することができる。
化1で示されるモノマーとしては,ジエチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルアクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート,ジプロピルアミノエチルメタアクリレート,ジプロピルアミノエチルメタアクリレート,ジブチルアミノエチルメタアクリレート,t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド,ジプロピルアミノプロピルメタクリルアミド,ジブチルアミノプロピルメタクリルアミド,ジブチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
種ラテックスに対する化1で示されるモノマーの割合は5〜50重量%,好ましくは10〜30重量%である。5重量%以下ではカチオン性が少なすぎて所期のカチオン性が得られない。また,50重量%以上とカチオン性基が過剰になり適合しなくなる。
また,化1で示されるモノマーとともに,これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーを併用してもよい。その具体例として,アクリル酸メチル,アクリル酸エチ,アクリル酸ブチル,アクリル酸プロピル,アクリロニトリル,スチレン,酢酸ビニル,ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
カチオン性を付与させて得る両性重合体エマルジョンの合成方法には,種ラテツクスを水で希釈するか,希釈せずに系のpHを2〜8に調整し,化1で示されるモノマーを添加し,重合開始剤の存在下,温度50〜80℃に保ちながら攪拌してシード重合する方法が採用される。
重合開始剤には,通常の乳化重合に用いられる,過硫酸アンモニウム,過硫酸カリウム,過酸化水素,アゾビスイソブチロニトリル,ベンゾイルパーオキサイド,並びにパーオキサイド類とアスコルビン酸,多価金属塩,酸性亜硫酸ナトリウムなどの還元剤とを組み合わせたレドツクス系などが挙げられる。これらの開始剤の使用量はモノマーに対して0.5〜5.0重量%が適当である。
界面活性剤として,ノニオン型界面活性剤,アニオン系界面活性剤が使用される。界面活性剤の使用量は種ラテックスの固形分に対して0.1〜8重量%が適合している。0.1重量%以下では凝固物防止効果が得られない。8重量%以上では発泡が激しくなり好ましくない。
カチオン系界面活性剤を使用する方法では,両性重合体エマルジョン表面全体がカチオン性を示すため,アニオン性コロイダルシリカと混合した場合に全面がアニオン性コロイダルシリカに覆われてしまいコートした場合に成膜性が低下するため好ましくない。
化1で示されるモノマーを使用する方法のほか,カチオン化の方法として得られたシード重合物を室温で攪拌しながら酸若しくは塩で中和するか,又は4級化剤で4級アンモニウム塩化する方法が採用される。
酸としては無機酸或いは有機酸,塩としては硫酸水素ナトリウム,リン酸第二水素ナトリウムなどの酸性塩,4級化剤としては塩化メチル,塩化エチル,臭化メチル,ヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキル,ベンジルクロリド,硫酸ジメチル,パラトルエンスルホン酸メチルなどのアルキル化剤が使用できる。
本発明の親水性機能を担持した構造体は,以上のように調製された両性重合体エマルジョンの周囲に,アニオン性コロイダルシリカが電気的に吸着・分散されて防汚コート剤を疎水性基材に塗布したものであって,場合によってははアニオン性コロイダルシリカが電気的に吸着・分散された後,合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンが配合された防汚コート剤を塗布することもできる。
アニオン性コロイダルシリカは,負に帯電した無定形シリカ粒子がコロイド状に水中に分散された超微粒子シリカ粉末であって,水性分散液として市販されている粒子径が1〜100nmのものが使用される。具体的には,アデライト(旭電化工業製),カタロイド(触媒化成工業製),スノーテックス(日産化学工業製)などがある。
なお,アニオン性コロイダルシリカはpHが3以下では水性エマルジョンと混合した場合に樹脂分を吸着した凝集物を生じやすくなり,またpHが10以上だと水性エマルジヨンと混合した場合に安定性が低下しやすいためpHが3〜10の範囲で使用されることが好ましい。更にゼータ電位が負の値を示すことが好ましい。
該両性重合体エマルジョンに対する該アニオン性コロイダルシリカの混合割合は,該両性重合体エマルジョン固形分100重量部に対して,該アニオン性コロイダルシリカ100〜500重量部が適合している。100重量部以下では両性重合体エマルジョンが不安定になりやすいため適さない。一方,500重量部以上の場合は防汚コート剤の塗膜が割れやすくなるため好ましくない。
該両性重合体エマルジョンに該アニオン性コロイダルシリカを攪拌しながら除除に添加すると,分散液は一時凝集して高粘度になるが,更に該アニオン性コロイダルシリカを添加して行くと再び流動性が回復する。分散液は更に充分な攪拌処理すると均一分散して,該両性重合体エマルジョンの周囲に該アニオン性コロイダルシリカが電気的に吸着された状態で分散されたシリカ−樹脂複合粒子に仕上げられ,透明の皮膜を形成できるようになる。なお,分散液のゼータ電位は負の値を示す。
攪拌手段には攪拌機,ボールミル,ホモジナイザー,超音波などの方法があるが,この中でも超音波にて分散させることが望ましい。
本発明で用いる防汚コート剤は該分散液の状態として使用できるが,前記のように合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを更に混合した状態としても使用できる。このように合成ゴムラテックスや合成樹脂系エマルジョンを更に混合したものでは成膜性,密着性,耐水性などを更に向上させることができる。
該分散液に合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを更に混合して防汚コート剤を調製する場合は,該分散液の固形分100重量部に対して,合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを固形分100重量部以下で混合し,防汚コート剤が調製される。100重量部以上では防汚性能を低下させるため好ましくない。
なお,防汚コート剤として各種の基材等に対する密着性を確保するために,適宜粘着付与樹脂(以下TFという)が配合される。該TFは防汚コート剤の形態によって樹脂エマルジョン状又は固形状態で使用することができる。
TFには変成ロジン,重合ロジン,フェノール樹脂,アルキルフェノール樹脂等のフェノール系,クマロンインデン系,脂肪族炭化水素系,テルペン樹脂等の芳香族石油系等が使用できる。これらのTFは粉末状態ないし粉末状で乳化されたもの,水溶性高分子等で表面処理したのち乳化されたもの等があり,使用状況に照らして採用される。カルボキシル変性や水酸基変性をさせたものも使用できる。
その他,配合材料として,老化防止を向上させる目的で酸化亜鉛,酸化カルシウム,酸化マグネシウム等の金属酸化物が配合される。
更に着色のために適宜,公知な染料や顔料が適宜配合され,増量剤として,炭酸カルシウム,クレー,カオリン,シリカ粉末等の無機フィラーも適宜配合することができる。
その他,これら以外に防汚コート剤の安定化の為に配するアンモニア,トリエタノールアミン,モルホリン等の塩基性化合物,炭酸カルシウム,シリカ,タルク等の充填材,防腐剤,防かび剤,消泡剤,増粘剤または粘度調整剤等が必要により添加されて調製されてもよい。
防汚コート剤が塗布される疎水性材料としては,例えば有機基材,無機有機複合基材,金属基材,ガラス基材,ホーロー基材,水ガラス基材,無機基材等が挙げられる。
有機基材としては,特に制限されないが,例えばプラスチック,木,木材,紙等が挙げられる。プラスチック基材としては,特に制限されないが,例えばポリカーボネート樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂,アクリル樹脂,ABS樹脂,軟質塩化ビニル樹脂,硬質塩化ビニル樹脂,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリエステル樹脂,ビニルエステル樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑性プラスチック,および,これらのプラスチックをナイロン繊維等で強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
金属基材としては,特に制限されないが,例えば,非金属(例えば,アルミニウム,アルミニウム合金,銅,亜鉛等),鉄,鋼(例えば,圧延鋼,溶融亜鉛メッキ鋼,ステンレス鋼,ブリキ,その他金属全般が挙げられる。ガラス基材としては,特に制限されないが,ナトリウムガラス,石英ガラス,無アルカリガラス等が挙げられる。
前記ホーローとは,金属表面にガラス質のホーローぐすりを焼き付け被覆したものである。無機基材としては,特に制限されないが,例えば,アルミナ,ジルコニア,炭化ケイ素,窒化ケイ素等が挙げられる。
有機基材のフィルムとしては,アクリル樹脂フィルム,塩化ビニル樹脂フィルム,PET樹脂フィルム,ウレタン樹脂フィルム等が挙げられる。
無機有機複合材としては,特に制限されないが,例えば上記のプラスチックをガラス繊維,カーボン繊維等の無機繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
前記塗装基材を構成する有機被膜として,特に制限されないが,たとえば,アクリル系,アルキド系,ポリエステル系,ビニルエステル系,ウレタン系,アクリルシリコーン系,塩化ゴム系,フェノール系,メラミン系等の有機樹脂を含むコーティング剤の硬化被膜等が挙げられる。
更にこれらの表面に無機骨材と有機樹脂を混合した塗剤をはじめとする塗料を塗布したものが挙げられる。
親水性を高めるには材料表面の疎水性が高い程よく,水の静的接触角で60°以上が好ましく,疎水性を付与するため下地剤を塗布してもよい。
本発明において,前記塗布液を基材表面に塗布する方法は,公知の方法から適宜選択することができ,エアーガン,エアレスガン,エアゾールスプレ等を用いたスプレーコーティング法,ディップコーティング法,スピンコーティング法,フローティング法,ロールコーティング法,刷毛塗り,スポンジ塗り等が挙げられるが,より好ましく低圧スプレーもしくは短毛ウーローラーが良い。また,前記塗布液を基材表面に塗布する前の処理として,各種シャンプー,プライマー,洗浄剤,コンパウンド類,帯電防止剤等を用いることができる。
塗布液を基材表面に塗布した後の乾燥方法は,塗布液,基材の種類・性質に応じて適宜行えば良く,自然乾燥,加熱,赤外線等の何れの方法でも良い。熱処理の方法としては,基材表面に塗布液を塗布した後熱処理するが,塗布及び熱処理の回数は2回以上であっても良い。塗布のみを複数回繰り返した後一度で熱処理すること,塗布と熱処理の一連の操作を複数回行うなど,様々な方法がある。
以下,実施例,比較例により本発明について説明する。配合は重量部を単に部として表示する。なお,本発明は実施例に限定されるものではない。
(1)ノニオン性エマルジョンベースの両性重合体エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部,アクリル酸ブチル,アクリル酸1.5部,水200部,ノニオン系界面活性剤(ノイゲンEM−250 第一工業製薬株式会社製)5部を仕込み攪拌して混合乳化した乳化液を調製する。その後,攪拌機,温度計,還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部に,温度80℃に保った該乳化液を2時間かけて滴下し乳化重合して種ラテックスとなるベースエマルジョンを合成した。ゼータ電位は−36mVのアニオン型であつた。
該ベースエマルジョンを温度60℃に保った状態で,該ベースエマルジョン100部に対してジエチルアミノエチルジメタクリレート7部を1時間かけて滴下し,1時間攪拌したのち,過硫酸アンモニウム0.5部を添加し更に1時間反応させた。その後ノニオン系界面活性剤(エマルゲン840S 花王株式会社製)1部を添加したのちにパラスルホン酸メチル6部を添加し,4時間還流してカチオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分30%,pH7,ゼータ電位は+42mVであつた。また,0℃での成膜性を確認できた。
(2)アニオン性エマルジョンベースの両性重合体エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部,アクリル酸ブチル100部,アクリル酸1部,水200部,アニオン系界面活性剤(レベノールWX 花王株式会社製)5部を仕込み攪拌して混合乳化して乳化液を調製する。その後,攪拌機,温度計,還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に,温度80℃に保った該乳化液を2時間かけて滴下し乳化重合して種ラテックスとなるベースエマルジョンを合成した。ゼータ電位は−45mVであつた。
該ベースエマルジョンを60℃に保った状態で,該ベースエマルジョン100部に対してジエチルアミノエチルジメタクリレート7部を1時間かけて滴下し,1時間攪拌したのち,過硫酸アンモニウム0.5部を添加し更に1時間反応させた。その後ノニオン系界面活性剤(エマルゲン840S 花王株式会社製)1部を添加したのちパラトルエンスルホン酸6部を添加し,4時間還流してカチオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分30%,pH7,ゼータ電位は+27mVであつた。また,0℃での成膜性を確認できた。
(3)アニオン性樹脂エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部,アクリル酸ブチル100部,アクリル酸1部,水200部,アニオン系界面活性剤(レベノールWX 花王株式会社製)6部を混合し乳化して乳化液を調製する。その後,攪拌機,温度計,還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に,温度70℃に保った該乳化液を2時間かけて滴下しつつ乳化重合を進めてアニオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分45%,pH2.5,ゼータ電位は−36mVであつた。
(4)参考樹脂エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部,アクリル酸ブチル100部,アクリル酸1.5部,水200部,カチオン系界面活性剤4部を混合して乳化物を調製する。
その後,攪拌機,温度計,還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に,該乳化物を70℃に保ったまま2時間かけて滴下して乳化重合を進めてアクリル系樹脂エマルジョンを調製した。固形分45%,pH2.5,ゼータ電位は+50mVであつた。0℃での成膜性は確認できた。
実施例1
(1)で調製した両性重合体エマルジョン35部に対して,水200部を混合したのち,アニオン性コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)65部を5分間で滴下しながら充分に攪拌処理して実施例1の防汚コート剤とし,表面接触角84°で厚み3mmのポリカーボネート板に厚み10μm塗布して実施例1の親水性機能を担持した構造体を得た。
実施例2
実施例1において,表面接触角84°で厚み3mmのポリカーボネート板に代えて,表面接触角72°で厚み1mmのポリエチレンテレフタレートを用いた以外は同様に実施して,実施例2の親水性機能を担持した構造体を得た。
実施例3
実施例1において,表面接触角84°で厚み3mmのポリカーボネート板に代えて,表面接触角87°で厚み1mm,塩化ビニールシートを用いた以外は同様に実施して,実施例3の親水性機能を担持した構造体を得た。
実施例4
表面接触角18°で厚み0.1mmのポバールフィルムに,アクリルエマルジョンを塗布して100℃で2時間乾燥後,水の接触角が70°以上になったことを確認し,実施例1と同様の防汚コート剤を厚み10μm塗布して,実施例4の親水性機能を担持した構造体を得た。
実施例5
実施例3において,防汚コート剤の塗布厚みを2μmとした以外は同様に実施して,実施例5の親水性機能を担持した構造体を得た。
実施例6
無機骨材を60%含有した樹脂系塗材(JOLYPATE JP−100 アイカ工業株式会社製)が塗布された表面に,実施例1と同様の防汚コート剤を10μm塗布して,実施例7の親水性機能を担持した構造体を得た。
比較例1
実施例1において,防汚コート剤を塗布しなかったものを比較例1の疎水性構造体とした。
比較例2
実施例5において,防汚コート剤の無機物系防汚コート剤(シンスイフロー MS−1200 大日本色材工業株式会社製)とした以外は同様に実施して,無機コート剤を担持した構造体を得た。
比較例3
実施例4において,アクリルエマルジョンを塗布しなかった以外は同様に実施して,比較例3の疎水性構造体とした。
比較例4
実施例5において,防汚コート剤を無機物系防汚コート剤(シンスイフロー MS−1200 大日本色材工業株式会社製)とし,かつ膜厚を0.2μmとした以外は同様に実施して,無機コート剤を担持した構造体を得た。
評価結果を表1に示す。
評価方法を以下に示す。
成膜性
実施例の親水性機能を担持した構造体,比較例の疎水性構造体を,25℃の環境で塗膜の成膜状態を観察する。
接触角
協和界面科学株式会社の接触角計(機種CA−X型)を使用し,水滴を成膜した表面に1滴垂らした際の接触角を測定する。
防汚性
実施例の親水性機能を担持した構造体,比較例の疎水性構造体を,1日養生し,南向き45℃の角度で2ヶ月屋外暴露試験を行い,表面状態(汚染の様子,剥離の有無等)を目視にて評価した。◎は雨スジ,黒ずみなし。×は雨スジ,黒ずみあり。
耐水性
実施例の親水性機能を担持した構造体,比較例の疎水性構造体を,1日養生し,常温の水に1日浸漬したのち塗膜の状態を観察する。異常のない場合を「良好」とする。

Claims (4)

  1. カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし、これを化1で示されるモノマー、

    またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加重合して得られるシード重合体の化2で示される基を、

    酸または塩で中和するか、または4級化剤で4級アンモニウム塩化することにより、負の表面電位を有するアニオン性及び/またはノニオン性の樹脂エマルジョン粒子表面にカチオン性を付与させて得られた両性重合体エマルジョンに、アニオン性コロイダルシリカが分散され、該両性重合体エマルジョン粒子表面に、該アニオン性コロイダルシリカが吸着・分散された防汚コート剤を、疎水性材料に塗布してなることを特徴とする親水性機能を担持した構造体。
    (ただし、式中のRはHまたはCHを、Rは炭素数2〜5のアルキル基を、R及びRはH又は炭素数1〜5のアクリル基を、Aは化3で示される。

    、R、Rは単量体が水に対し難溶性または不溶性である範囲で選ばれる。)
  2. 該疎水性材料の水の静的接触角が60°以上であることを特徴とする請求項1記載の親水性機能を担持した構造体。
  3. 該疎水性材料の水の静的接触角が60°以上となるようアンダーコート層を形成してなることを特徴とする請求項1記載の親水性機能を担持した構造体。
  4. 該防汚コート剤の塗布厚みが1μm以上でも成膜可能である請求項1記載の親水性機能を担持した構造体。
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