JP3682880B2 - 防汚コート剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種の基材などの表面に塗布される塗料、コーテイングなどの用途に使用される防汚コート剤とその製造方法に関するものである。
【0002】
【特許文献1】
特開平10−7940号
【特許文献2】
特開2001−106791号
【0003】
【従来の技術】
塗料分野においては環境汚染の防止対策として有機溶剤型塗料から、親水性水溶性樹脂、水分散性樹脂をベースとする水性塗料への変換が進行している。
また、汚れを落としやすくすめためには親水性の塗膜が適していることから、水性塗料が注目されている。
しかしながら、水分散性樹脂は乳化重合する際に界面活性剤を使用することから、耐汚染性、耐水性、耐候性などになお改良されるべき点が残されている。
【0004】
この改良策として、例えばアクリル樹脂の乳化重合時にシラン化合物を導入してシラン変性アクリル樹脂とすることにより塗膜の性能を向上することが検討されてきた。しかしながら、シリコン変性アクリル樹脂にしても保存安定性、防汚性の点に課題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑みて、本発明になる防汚コート剤を検討した結果、開発されたもので以下詳細に説明する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし、これを下記一般式[I]で示されるモノマー、またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加重合して得られるシード重合体の一般式[I]で示されるモノマーによって導入された
【化8】
を、酸または塩で中和するか、または4級化剤で4級アンモニウム塩化することにより、負の表面電位を有するアニオン性及び/またはノニオン性の樹脂エマルジョン粒子表面にカチオン性を付与させて得られた両性重合体エマルジョンに、該両性重合体エマルジョンの固形分100重量部に対して100〜500重量部のアニオン性コロイダルシリカが分散された分散液からなり、該両性重合体エマルジョン粒子表面に、該アニオン性コロイダルシリカが吸着・分散されていることを特徴とする防汚コート剤である。
一般式
【化9】
(ただし、式中のR1はHまたはCH3を、R2は炭素数2〜5のアルキル基を、R3及びR4はH又は炭素数1〜5のアルキル基を、Aは
【化10】
を示し、R1、R3、R4は単量体が水に対し難溶性または不溶性である範囲で選ばれる。)
請求項2に記載の発明は、カチオン性を付与された両性重合体エマルジョンに、アニオン性コロイダルシリカが吸着・分散されたのち、合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンが追加、混合されて仕上げられていることを特徴とする請求項1記載の防汚コート剤である。
請求項3に記載の発明は、カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし、この種ラテックスを中和してpH6以上とした後、下記一般式[I]で示されるモノマー、またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加した後、ラジカル重合開始剤を用いて重合して得られるシード重合体に、酸または塩を添加して一般式[I]で示されるモノマーによって導入された
【化11】
を中和するか、または4級化剤を添加して一般式[I]で示されるモノマーによって導入された
【化12】
を4級アンモニウム塩化し、負の表面電位を有するアニオン性及び / またはノニオン性の樹脂エマルジョン粒子表面にカチオン性を付与させて得られた両性重合体エマルジョンに、該両性重合体エマルジョンの固形分100重量部に対して100〜500重量部のアニオン性コロイダルシリカを分散して、該両性重合体エマルジョンの周囲に、該アニオン性コロイダルシリカを吸着・分散させて仕上げることを特徴とする防汚コート剤の製造方法である。
一般式
【化13】
(但し、式中のR 1 はHまたはCH 3 を、R 2 は炭素数2〜5のアルキル基を、R 3 及びR 4 はH又は炭素数1〜5のアルキル基を、Aは
【化14】
を示し、R 1 、R 3 、R 4 は単量体が水に対し難溶性または不溶性である範囲で選ばれる。)
請求項4に記載の発明は、カチオン性を付与された両性重合体エマルジョンにアニオン性コロイダルシリカを吸着・分散させたのち、合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを追加、配合して仕上げることを特徴とする請求項3記載の防汚コート剤の製造方法である。
【0007】
カルボキシル変性する合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンに使用される種ラテックスの合成ゴム系ラテックス、合成樹脂系エマルジョンには公知のものを使用できる。
合成ゴム系ラテックスの具体例としてはスチレン・ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、メチルメタアクリレート・ブタジエンゴム、
クロロプレンゴムなどのカルボキシル変性したものなどが挙げられる。
合成樹脂系エマルジョンには各種アクリル酸エステルなどのアクリル系モノマーを使用して調製されたアクリル酸エステル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル或いは酢酸ビニルとアクリル酸エステル、ベオバ、スチレンなどのコモノマーとを共重合した酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、塩化ビニルと酢酸ビニル、エチレン、アクリル酸エステルなどコモノマーとが重合された塩化ビニル樹脂系エマルジョン、スチレンとアクリル酸エステル、酢酸ビニルなどコモノマーとが共重合されたスチレン樹脂系エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合系エマルジョンなどをカルボキシル変性したものなどが挙げられる。
【0008】
カルボキシル変性には、(メタ)アクリル酸、ケイヒ酸、クロトン酸、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、などカルボキシル基を含有するモノマー、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸−2−エチルスルホン酸など分子内にスルホン酸基を持つモノマー、アクリル酸2−ヒドロキシエチルりん酸エステル、メタクリル酸2−ヒドロキシりん酸エステルなどりん酸基を持つモノマーなどを共重合して導入するか、若しくはグラフト反応などにより重合体に導入する方法などを採用することができる。
【0009】
一般式〔I〕で示されるモノマーとしては、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタアクリレート、ジプロピルアミノエチルメタアクリレート、ジブチルアミノエチルメタアクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジプロピルアミノプロピルメタクリルアミド、ジブチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジブチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0010】
種ラテックスに対する一般式〔I〕で示されるモノマーの割合は5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。5重量%以下ではカチオン性が少なすぎて所期のカチオン性が得られない。また、50重量%以上ではカチオン性基が過剰になり適合しなくなる。
【0011】
また、一般式〔I〕で示されるモノマーとともに、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマーを併用してもよい。その具体例として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0012】
カチオン性を付与させて得る両性重合体エマルジョンの合成方法には、種ラテツクスを水で希釈するか、希釈せずに系のpHを2〜8に調整し、一般式〔I〕で示されるモノマーを添加し、重合開始剤の存在下、温度50〜80℃に保ちながら攪拌してシード重合する方法が採用される。
【0013】
重合開始剤には、通常の乳化重合に用いられる、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、並びにパーオキサイド類とアスコルビン酸、多価金属塩、酸性亜硫酸ナトリウムなどの還元剤とを組み合わせたレドツクス系などが挙げられる。これらの開始剤の使用量はモノマーに対して0.5〜5.0重量%が適当である。
【0014】
界面活性剤として、ノニオン型界面活性剤、アニオン系界面活性剤が使用される。界面活性剤の使用量は種ラテックスの固形分に対して0.1〜8重量%が適合している。0.1重量%以下では凝固物防止効果が得られない。8重量%以上では発泡が激しくなり好ましくない。
カチオン系界面活性剤を使用する方法では、両性重合体エマルジョン表面全体がカチオン性を示すため、アニオン性コロイダルシリカと混合した場合に全面がアニオン性コロイダルシリカに覆われてしまいコートした場合に成膜性が低下するため好ましくない。
【0015】
一般式〔I〕で示されるモノマーを使用する方法のほか、カチオン化の方法として得られたシード重合物を室温で攪拌しながら酸若しくは塩で中和するか、又は4級化剤で4級アンモニウム塩化する方法が採用される。酸としては無機酸或いは有機酸、塩としては硫酸水素ナトリウム、リン酸第二水素ナトリウムなどの酸性塩、4級化剤としては塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキル、ベンジルクロリド、硫酸ジメチル、パラトルエンスルホン酸メチルなどのアルキル化剤が使用できる。
【0016】
本発明の防汚コート剤は、以上のように調製された両性重合体エマルジョンの周囲に、アニオン性コロイダルシリカが電気的に吸着・分散されて仕上げられることを特徴とするものであつて、場合によつては更に合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンが配合されて親水性の防汚コート剤に仕上げることもできる。
【0017】
アニオン性コロイダルシリカは、負に帯電した無定形シリカ粒子がコロイド状に水中に分散された超微粒子シリカ粉末であつて、水性分散液として市販されている粒子径が1〜100nmのものが使用される。具体的には、アデライト(旭電化工業製)、カタロイド(触媒化成工業製)、スノーテックス(日産化学工業製)などがある。
なお、アニオン性コロイダルシリカはpHが3以下では水性エマルジョンと混合した場合に樹脂分を吸着した凝集物を生じやすくなり、またpHが10以上では水性エマルジヨンと混合した場合に安定性が低下しやすいためpHが3〜10の範囲で使用されることが好ましい。更にゼータ電位が負の値を示すことが好ましい。
【0018】
該両性重合体エマルジョンに対する該アニオン性コロイダルシリカの混合割合は、該両性重合体エマルジョン固形分100重量部に対して、該アニオン性コロイダルシリカ100〜500重量部が適合している。100重量部以下では両性重合体エマルジョンが不安定になりやすいため適さない。一方、500重量部以上の場合は防汚コート剤の塗膜が割れやすくなるため好ましくない。
該両性重合体エマルジョンに該アニオン性コロイダルシリカを攪拌しながら除除に添加すると、分散液は一時凝集して高粘度になるが、更に該アニオン性コロイダルシリカを添加して行くと再び流動性が回復する。分散液は更に充分な攪拌処理すると均一分散して、該両性重合体エマルジョンの周囲に該アニオン性コロイダルシリカが電気的に吸着された状態で分散されたシリカ−樹脂複合粒子に仕上げられ、透明の皮膜を形成できるようになる。なお、分散液のゼータ電位は負の値を示す。
攪拌手段には攪拌機、ボールミル、ホモジナイザー、超音波などの方法があるが、この中でも超音波にて分散させることが望ましい。
【0019】
本発明の防汚コート剤は該分散液の状態として使用できるが、前記のように合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを更に混合した状態としても使用できる。このように合成ゴムラテックスや合成樹脂系エマルジョンを更に混合したものでは成膜性、密着性、耐水性などを更に向上させることができる。
【0020】
該分散液に合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを更に混合して防汚コート剤を調製する場合は、該分散液の固形分100重量部に対して、合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを固形分100重量部以下で混合し、防汚コート剤が調製される。100重量部以上では防汚性能を低下させるため好ましくない。
【0021】
なお、防汚コート剤として各種の基材等に対する密着性を確保するために、適宜粘着付与樹脂(以下TFという)が配合される。該TFは防汚コート剤の形態によつて樹脂エマルジョン状又は固形状態で使用することができる。
TFには変成ロジン、重合ロジン、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂等のフェノール系、クマロンインデン系、脂肪族炭化水素系、テルペン樹脂等の芳香族石油系等が使用できる。これらのTFは粉末状態ないし粉末状で乳化されたもの、水溶性高分子等で表面処理したのち乳化されたもの等があり、使用状況に照らして採用される。カルボキシル変性や水酸基変性をさせたものも使用できる。
【0022】
その他、配合材料として、老化防止を向上させる目的で酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物が配合される。
更に着色のために適宜、公知な染料や顔料が適宜配合され、増量剤として、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、シリカ粉末等の無機フィラーも適宜配合することができる。
その他、これら以外に防汚コート剤の安定化の為に配するアンモニア、トリエタノールアミン、モルホリン等の塩基性化合物、炭酸カルシウム、シリカ、タルク等の充填材、防腐剤、防かび剤、消泡剤、増粘剤または粘度調整剤等が必要により添加されて調製されてもよい。
【0023】
以下、実施例、比較例により本発明について説明する。配合は重量部を単に部として表示する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0024】
(1)ノニオン性エマルジョンベースの両性重合体エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部、アクリル酸ブチル、アクリル酸1.5部、水200部、ノニオン系界面活性剤(ノイゲンEM−250 第一工業製薬株式会社製)5部を仕込み攪拌して混合乳化した乳化液を調製する。その後、攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部に、温度80℃に保った該乳化液を2時間かけて滴下し乳化重合して種ラテックスとなるベースエマルジョンを合成した。ゼータ電位は−36mVのアニオン型であつた。
該ベースエマルジョンを温度60℃に保った状態で、該ベースエマルジョン100部に対してジエチルアミノエチルメタクリレート7部を1時間かけて滴下し、1時間攪拌したのち、過硫酸アンモニウム0.5部を添加し更に1時間反応させた。その後ノニオン系界面活性剤(エマルゲン840S 花王株式会社製)1部を添加したのちにパラトルエンスルホン酸メチル6部を添加し、4時間還流してカチオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分30%、pH7、ゼータ電位は+42mVであつた。また、0℃での成膜性を確認できた。
【0025】
(2)アニオン性エマルジョンベースの両性重合体エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸1部、水200部、アニオン系界面活性剤(レベノールWX 花王株式会社製)5部を仕込み攪拌して混合乳化して乳化液を調製する。その後、攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に、温度80℃に保った該乳化液を2時間かけて滴下し乳化重合して種ラテックスとなるベースエマルジョンを合成した。ゼータ電位は−45mVであつた。
該ベースエマルジョンを60℃に保つた状態で、該ベースエマルジョン100部に対してジエチルアミノエチルメタクリレート7部を1時間かけて滴下し、1時間攪拌したのち、過硫酸アンモニウム0.5部を添加し更に1時間反応させた。その後ノニオン系界面活性剤(エマルゲン840S 花王株式会社製)1部を添加したのちパラトルエンスルホン酸メチル6部を添加し、4時間還流してカチオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分30%、pH7、ゼータ電位は+27mVであつた。また、0℃での成膜性を確認できた。
【0026】
(3)アニオン性樹脂エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸1部、水200部、アニオン系界面活性剤(レベノールWX 花王株式会社製)6部を混合し乳化して乳化液を調製する。その後、攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に、温度70℃に保つた該乳化液を2時間かけて滴下しつつ乳化重合を進めてアニオン型樹脂エマルジョンを調製した。固形分45%、pH2.5、ゼータ電位は−36mVであつた。
【0027】
(4)参考樹脂エマルジョンの調製
メタクリル酸メチル100部、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸1.5部、水200部、カチオン系界面活性剤4部を混合して乳化物を調製する。
その後、攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコ中で過硫酸アンモニウム1部を溶解した60℃の温水50部中に、該乳化物を70℃に保つたまま2時間かけて滴下して乳化重合を進めてアクリル系樹脂エマルジョンを調製した。固形分45%、pH2.5、ゼータ電位は+50mVであつた。0℃での成膜性は確認できた。
【0028】
実施例1
(1)で調製した両性重合体エマルジョン35部に対して、水200部を混合したのち、アニオン性コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)65部を5分間で滴下しながら充分に攪拌処理して実施例1の防汚コート剤とした。
【0029】
実施例2
実施例1の防汚コート剤100部に、(3)で調製したアニオン性樹脂エマルジヨン30部を添加・混合したものを実施例2の防汚コート剤とした。
【0030】
実施例3
(2)で調製した両性重合体エマルジョン35部に対して、水200部を混合したのちアニオン性コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)65部を5分間で滴下し充分に攪拌して実施例3の防汚コート剤とした。
【0031】
比較例1
(4)で調製した樹脂エマルジヨン35部に、水200部を混合し、アニオン性コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)65部を5分間かけて滴下しながら充分に攪拌して、比較例1のコート剤とした。
【0032】
比較例2
比較例1で調製した防汚コート剤100部に(3)で調製したアニオン性樹脂エマルジョンを30部添加した分散液を比較例2のコート剤とした。
【0033】
比較例3
(3)で調製したアニオン性樹脂エマルジョン35部に対して、水200部を混合し、アニオン性コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)65部を5分間かけて滴下し、充分に攪拌して比較例3のコート剤とした。
【0034】
実施例、比較例の防汚コート剤について、防汚性、成膜性並びに耐水性について測定・評価した結果は表1の通りであつた。
また、実施例1の防汚コート剤をポリエステル樹脂フィルム(以下PETと記載)上に塗布して調製した塗膜の断面を透過型電子顕微鏡(以下TEMと記載)により観察した映像(倍率25万倍)写真である図1に示す通り両性重合体エマルジョン(白い部分)の周囲にアニオン性コロイダルシリカ(黒い部分)が吸着的に分散しているため、両性重合体エマルジョン粒子の形状が保たれている。一方、比較例3の塗膜断面のTEM映像写真(倍率25万倍)である図2に示すようにエマルジョン(白い部分)周囲にアニオン性コロイダルシリカ(黒い部分)が均一に吸着、分散しておらず、両性重合体エマルジョン同士が融着していることが認められ、このことから接触角が大きくなり防汚性が悪くなるものと推定される。
【0035】
【表1】
評価方法
成膜性
PETにコート液約40g/m2を塗布し、25℃の環境で塗膜の成膜状態を観察する。
接触角
協和界面科学株式会社の接触角計(機種CA−X型)を使用し、水滴を成膜した表面に1滴垂らした際の接触角を測定する。
防汚性、その他評価
厚さ6mmのスレート板に水性アクリル樹脂系塗材(ジョリパツトJP-100アイカ工業株式会社製)を鏝により2kg/m2塗布し、3日間養生したのち、その表面に実施例の防汚コート剤及び比較例のコート剤を約40g/m2塗布し更に1日養生したものを南向き45℃の角度で2ヶ月屋外暴露試験を行い、表面状態(汚染の様子、剥離の有無等)を目視にて評価した。◎は雨スジ、黒ずみなし。×は雨スジ、黒ずみあり。
耐水性
試験1にてPET上に塗布した防汚コート剤、コート剤を1日養生後、常温の水に1日浸漬したのち塗膜の状態を観察する。異常のない場合を「良好」とする。
【0036】
【発明の効果】
本発明になる防汚コート剤は、両性重合体エマルジョンにアニオン性コロイダルシリカが分散されたもので、TEMの撮影に見られるように前者の周囲に後者が電気的に吸着され分散された状態に仕上げられていて、前者の成膜性、接着性、耐水性などの特性と、接触角の測定結果から明らかなように後者の持つ親水性とが複合された特性が得られるため、実施例に観察されるとおり防汚性、成膜性、耐水性などの性能を備えたものに仕上げられている。
このため、防汚性を求められる塗料のトツプコート剤のほか、各種用途のコーテイング材として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の防汚コート剤をPET上に成膜させた部分の断面をTEM(倍率 25万倍)で観察した写真。
【図2】 比較例3の防汚コート剤をPET上に成膜させた部分の断面をTEM(倍率 25万倍)で観察した写真。
Claims (4)
- カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし、これを下記一般式[I]で示されるモノマー、またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加重合して得られるシード重合体の一般式[I]で示されるモノマーによって導入された
一般式
- カチオン性を付与された両性重合体エマルジョンに、アニオン性コロイダルシリカが吸着・分散されたのち、合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンが追加、混合されて仕上げられていることを特徴とする請求項1記載の防汚コート剤。
- カルボキシル変性した合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを種ラテックスとし、この種ラテックスを中和してpH6以上とした後、下記一般式[I]で示されるモノマー、またはこれらと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとの混合物を添加した後、ラジカル重合開始剤を用いて重合して得られるシード重合体に、酸または塩を添加して一般式[I]で示されるモノマーによって導入された
一般式
- カチオン性を付与された両性重合体エマルジョンにアニオン性コロイダルシリカを吸着・分散させたのち、合成ゴムラテックスまたは合成樹脂系エマルジョンを追加、配合して仕上げることを特徴とする請求項3記載の防汚コート剤の製造方法。
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