JP2023029450A - 基材飛散防止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、飛散防止性基材の形成方法及び基材飛散防止塗膜の形成キット - Google Patents

基材飛散防止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、飛散防止性基材の形成方法及び基材飛散防止塗膜の形成キット Download PDF

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Abstract

【課題】基材が破損した際のその基材の飛散を十分に防止できる、基材飛散防止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、飛散防止性基材の形成方法及び基材飛散防止塗膜の形成キットを提供する。【解決手段】ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョンを含み、チキソトロピー性を有する、基材飛散防止塗膜用組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、基材飛散防止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、飛散防止
性基材の形成方法及び基材飛散防止塗膜の形成キットに関する。
建築物の窓や自動車の窓には、窓が破損した際にガラスが飛散しないように、窓貼り用
ガラス飛散防止用フィルムが貼られている。しかしながら、窓貼り用ガラス飛散防止用フ
ィルムは、経年劣化が激しい、すりガラスや型板ガラスといった凹凸を有するガラスに用
いることが困難である、特別な技術を有していない一般消費者による貼付が難しい、等の
問題点を有することが知られている。
従来、窓ガラスのようなガラスを始めとした、破損した際に飛散するような基材に対し
て、その飛散を防止する様々な種類のフィルムの検討がなされている。例えば、特許文献
1には、第1のポリエステル基材層、紫外線吸収剤を含む接合層、第2のポリエステル基
材層、及び厚さ100μm以上のアクリル系感圧接着層をこの順で含む、ガラス飛散防止
用フィルムが開示されている。特許文献1に記載されているようなフィルムは、模様など
の凹凸を有する型板ガラスの内面に対して良好に追従して高い接着力で接着することがで
き、剥がしたときに型板ガラスの内面に付着する接着剤残渣を少なくできることが開示さ
れている。
特許文献2には、特定の物性を有する粘着剤を用い、プラスチックフィルム、特に付加
性能を持たせたポリエステルフィルムと組み合わせることが開示されている。特許文献2
では、そのような組み合わせにより、自動車や建物等の窓ガラスに貼り付ける際の施工性
が良く、かつ剥離の際糊残りが生じず、さらには高透明で、熱線や紫外光の透過を押さえ
、また飛散防止性能に優れる窓貼り用積層フィルムを提供できることが開示されている。
一方、施工性を改善するために、溶液型の塗料を塗布することで基材飛散防止塗膜を形
成することも行なわれている。例えば、特許文献3には、主剤として、(a)カプロラク
トン変性アクリル樹脂50~60重量%、(b)アクリルポリオール10~20重量%、
(c)ポリウレタン樹脂10~20重量%、(d)反応触媒剤0.1~1.5重量%、(
e)湿潤添加剤0.1~1.5重量%、(f)顔料1.0~1.5重量%、及び(g)溶
剤5~20重量%を含み、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー系樹
脂を含むガラス飛散防止塗膜が開示されている。
特開2018-65320号公報 特開2000-96009号公報 特開2017-109918号公報
しかしながら、本発明者が、上記特許文献1及び2を始めとする従来のフィルムを詳細
に検討したところ、基材、特にすりガラス等の表面に凹凸を有する基材に貼り付けるには
、その密着性に更に改善の余地があることが分かった。密着性が良好でない場合、そのよ
うなフィルムを用いても、表面に凹凸を有する基材の飛散を十分に防止するのは困難であ
る。また、従来の基材飛散防止塗膜用組成物をガラスのような基材に塗布して塗膜を形成
する方法では、施工性は優れているものの、基材の飛散を十分に防止できるほどの厚さを
有する塗膜を形成するのは困難であることが分かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材が破損した際のその基材の飛散
を十分に防止できる、基材飛散防止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、
飛散防止性基材の形成方法及び基材飛散防止塗膜の形成キットを提供することを目的とす
る。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の組成及び特性を有す
る基材飛散防止塗膜用組成物及び基材飛散防止塗膜が、基材、特にすりガラスのような表
面に凹凸を有する基材が破損した際のその基材の飛散を十分に防止できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョンを含み、チキソトロピー性を有す
る、基材飛散防止塗膜用組成物。
[2]
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度が、-50℃以上-10℃以下
である、[1]記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[3]
チキソトロピーインデックスが、2以上である、[1]又は[2]に記載の基材飛散防
止塗膜用組成物。
[4]
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、30MPa以上の破断強度を有し、200%
以上の破断伸度を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組
成物。
[5]
赤外線吸収剤を更に含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用
組成物。
[6]
紫外線吸収剤を更に含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用
組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物の固化物である、基
材飛散防止塗膜。
[8]
ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含む基材飛散防止塗膜であって、前記基材飛散防止
塗膜の表面は、凹凸を有する、基材飛散防止塗膜。
[9]
赤外線吸収剤を更に含む、[8]記載の基材飛散防止塗膜。
[10]
紫外線吸収剤を更に含む、[8]又は[9]に記載の基材飛散防止塗膜。
[11]
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度が、-50℃以上-10℃以下
である、[8]~[10]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜。
[12]
前記基材飛散防止塗膜は、表面の基準厚さからの最大凸部高さが100μm以上200
0μm以下であり、表面の基準厚さからの最深部深さが50μm以上1500μm以下で
ある、[7]~[10]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜。
[13]
基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置される[7]~[12]のいずれか1
つに記載の基材飛散防止塗膜と、を備える、飛散防止性基材。
[14]
前記基材と前記基材飛散防止塗膜との間に、カチオン性の水性シーラーの固化物をさら
に備える、[13]記載の飛散防止性基材。
[15]
前記カチオン性の水性シーラーは、ポリウレタン樹脂の水性エマルジョンを含む、[1
4]記載の飛散防止性基材。
[16]
前記基材は、無機ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び繊維強化プラス
チック、並びに、飛散防止フィルムを備えた、無機ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、及び繊維強化プラスチックからなる群より選択される1種以上である、[13
]~[15]のいずれか1つに記載の飛散防止性基材。
[17]
[1]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物を基材の表面に塗布
する工程と、塗布した前記基材飛散防止塗膜用組成物を乾燥させる工程と、を含む、飛散
防止性基材の形成方法。
[18]
カチオン性の水性シーラーを基材の表面に塗布する工程と、塗布した前記カチオン性の
水性シーラーを乾燥させる工程と、前記カチオン性の水性シーラーの固化物の表面に[1
]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する工程と、塗布し
た前記基材飛散防止塗膜用組成物を乾燥させる工程と、をこの順で含む、飛散防止性基材
の形成方法。
[19]
前記基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する前記工程と、前記基材飛散防止塗膜用組成物
を乾燥させる前記工程と、をこの順で2回以上繰り返す、[17]又は[18]に記載の
飛散防止性基材の形成方法。
[20]
前記基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する前記工程において、ローラー塗布により前記
基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する、[17]~[19]のいずれか1つに記載の飛散
防止性基材の形成方法。
[21]
前記ローラー塗布は、前記基材の表面又は前記カチオン性の水性シーラーの表面と接触
する塗布面を有するローラーを用いるローラー塗布であり、
前記ローラーは、前記塗布面に凹凸形状を有する、[20]記載の飛散防止性基材の形
成方法。
[22]
[1]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物と、カチオン性の水
性シーラーと、を含む、基材飛散防止塗膜形成キット。
本発明によれば、基材が破損した際のその基材の飛散を十分に防止できる、基材飛散防
止塗膜用組成物、基材飛散防止塗膜、飛散防止性基材、飛散防止性基材の形成方法及び基
材飛散防止塗膜の形成キットを提供することができる。
本発明の基材飛散防止塗膜を形成した基材の一例を部分的に示す概略断面図である。 本発明の基材飛散防止塗膜の形成方法に用いるローラーの一例を示す概略斜視図である。 本実施形態の基材飛散防止塗膜の赤外線遮蔽能を評価する実施例データである。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本
実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を
付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない
限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限
られるものではない。
図1は、本発明の基材飛散防止塗膜(以下、単に「塗膜」とも呼ぶ。)が形成された基
材の一例を部分的に示す概略断面図である。この断面図は、基材飛散防止塗膜が形成され
た基材(以下、「飛散防止性基材」とも呼ぶ。)を、基材の厚み方向と平行に切断した際
に現れる断面を表す。飛散防止性基材100は、基材110と、基材飛散防止塗膜120
と、基材110と基材飛散防止塗膜120との間に配置されるカチオン性の水性シーラー
(以下、単に「シーラー」とも呼ぶ。図示せず。)とを備える。基材飛散防止塗膜120
は、表面に凹凸を有し、カチオン性の水性シーラーを介して基材110上に接着される。
基材飛散防止塗膜120は、後述の基材飛散防止塗膜用組成物(以下、単に「塗膜用組成
物」とも呼ぶ。)の固化物である。
(基材)
基材110は、飛散し得るものであれば特に限定されず、シーラーを介して塗膜を形成
できるものであればよい。基材の材質としては、例えば、無機ガラス(例えば、板ガラス
及び網入りガラス等)のようなガラス、並びに、アクリル樹脂及びポリカーボネート樹脂
のような樹脂が挙げられ、樹脂に繊維を含浸させた繊維強化樹脂(繊維強化プラスチック
)であってもよい。また、基材の用途としては、例えば、建築物用の窓、自動車若しくは
列車等に用いられる車両用窓、ショーウィンドウ、ステンドグラス、水槽、太陽光ガラス
パネル、及び鏡面が挙げられる。
さらに、基材の表面形状は、平滑である必要はなく、すりガラスや型板ガラスのように
、表面に凹凸を有していてもよく、曲面であってもよいし、立体構造を有していてもよい
。また、基材は1種の材料からなるものであってもよく、2種以上の材料からなるもので
あってもよい。例えば、ガラス表面にほこりのような汚れや付着物が付いている場合でも
、その上に本実施形態の塗膜用組成物を塗布し乾燥させて塗膜を形成することにより、基
材の飛散を防止する性質(本明細書において、「基材飛散防止性」と呼ぶ。)に優れた塗
膜を形成することができる。したがって、本実施形態によると、例えば、飛散防止フィル
ムを剥離したことによって接着剤の残渣が付着した基材(例えば、ガラス、アクリル樹脂
、ポリカーボネート樹脂又は繊維強化プラスチック)に対しても、基材飛散防止性に優れ
た塗膜を形成することができる。さらに基材は、飛散防止フィルムが貼付されたガラス、
アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂又は繊維強化プラスチックであってもよい。飛散防
止フィルムは、経年劣化により脆化していてもよく、白化していてもよく、劣化していて
もよく、例えば、一部がひび割れたり、剥離したり、脱落したりしていてもよい。そのよ
うなフィルムの基材飛散防止性は著しく損なわれている場合があるものの、そのフィルム
を剥がすことなく本実施形態の塗膜用組成物をその上に塗布し乾燥させて形成した塗膜は
、良好な基材飛散防止性を示す。
(基材飛散防止塗膜用組成物)
本実施形態の基材飛散防止塗膜用組成物は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エ
マルジョンを含有し、さらにチキソトロピー性を有し、基材が破損した際のその基材の飛
散を防止する塗膜(本明細書において、「基材飛散防止塗膜」とも呼ぶ。)の形成に用い
られる。このような塗膜用組成物を用いることで、基材に、簡便に良好な基材飛散防止性
を付与することができる。また、本実施形態の塗膜用組成物は、水性塗料であり、有機溶
剤を含まない、又は含んだとしても少量であるため、塗膜を形成する際に、臭気が低減さ
れ、環境衛生上好ましい。さらに、本実施形態の塗膜用組成物は、すりガラスや型板ガラ
ス等の表面に凹凸を有する基材に対しても良好な塗布性をもって塗布することができるた
め、そのような表面に凹凸を有する基材に対しても優れた基材飛散防止性を付与すること
ができる。また、飛散防止フィルム、特に経年劣化した飛散防止フィルムの上にも、良好
な塗布性をもって塗布することができるため、フィルムが貼付された基材に対しても優れ
た基材飛散防止性を付与することができる。これにより、塗膜用組成物は、飛散防止性が
付与された基材のメンテナンスにも用いることができる。更に、本実施形態の塗膜用組成
物は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むため、塗膜用組成物により形成される基材
飛散防止塗膜は、優れた耐水性、耐摩耗性、防火性及び耐候性を有する。
(チキソトロピー性)
本実施形態において、チキソトロピー性とは、定常状態(例えば、せん断応力を印加し
ていない状態)では粘度が比較的高い状態であって、せん断応力を印加すると粘度が低下
し、せん断応力の印加をやめると元の粘度に戻る性質を示す。本実施形態の塗膜用組成物
は、チキソトロピー性を有することによって、基材に塗布する際には粘度が低下し、塗布
しやすくなる一方、塗布した後は粘度が上昇し、液だれを防ぐことができる。これにより
、塗布した塗膜用組成物の乾燥を経て得られる塗膜は、基材上に満遍なく、かつ基材との
高い密着性を有して形成されるので、良好な基材飛散防止性を有することができる。また
、特別な技術を有しない一般消費者によっても、容易に基材飛散防止塗膜を形成すること
ができる。
チキソトロピー性は、動的粘弾性測定装置(例えば、東機産業株式会社製のBH型粘度
計)によって測定されるチキソトロピーインデックスTIによって表される。本実施形態
において、チキソトロピーインデックスTIは、下記式(1)で定義される。
TI=(回転数2rpmにおける液温23℃での粘度)/(回転数20rpmにおけ
る液温23℃での粘度)…(1)
チキソトロピーインデックスTIが1に近いほど、ニュートン液体としての挙動を示し
、チキソトロピーインデックスTIが大きいほど、高いチキソトロピー性を有する。
本実施形態において、塗膜用組成物のチキソトロピーインデックスTIは、1より大き
ければ特に限定されないが、基材飛散防止性を更に向上させると共に塗膜形成時の施工性
をより高める観点から、例えば、2以上であることが好ましい。チキソトロピーインデッ
クスTIが上記の範囲にあることで、塗膜用組成物は、基材に塗布する際の低粘度と、塗
布した後の高粘度との差がより大きくなるため、基材上に更に満遍なく、かつ基材とのよ
り高い密着性を有して形成されるので、一層良好な基材飛散防止性を有することができる
。また、塗膜形成時の施工性を一層高めることができる。同様の観点から、チキソトロピ
ーインデックスTIは、3以上であるとより好ましく、4以上であるとより一層好ましく
、5以上であると更に好ましい。チキソトロピーインデックスTIの上限は特に限定され
ないが、チキソトロピーインデックスTIは、例えば、8以下であってもよく、7以下で
あってもよい。
本実施形態において、塗膜用組成物のチキソトロピーインデックスTIは、ポリカーボ
ネート系ウレタン樹脂の平均粒径を調整することで制御することができる。具体的には、
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の平均粒径は、0.01μm以上1.5μm以下である
と好ましく、0.02μm以上1.0μm以下であるとより好ましく、0.03μm以上
0.5μm以下であるとより一層好ましい。また、後述のチキソトロピー性付与剤を塗膜
用組成物に添加することで、チキソトロピーインデックスTIを上記の範囲にすることも
できる。具体的には、塗膜用組成物に添加するチキソトロピー性付与剤の種類や含有量に
よって、チキソトロピーインデックスTIを上記の範囲にすることができる。
(粘度)
本実施形態において、塗膜用組成物の粘度は、特に限定されないが、塗膜の厚さを好ま
しい範囲に調整する観点、及び塗膜形成時の施工性を高める観点から、例えば、23℃に
おいて、10Pa・s以上60Pa・s以下であることが好ましく、15Pa・s以上4
0Pa・s以下であることがより好ましく、20Pa・s以上35Pa・s以下であるこ
とがより一層好ましい。塗膜用組成物の粘度が上記の範囲にあることで、塗膜用組成物の
塗布性と基材飛散防止性は、一層良好なものとなる。なお、塗膜用組成物の粘度は、動的
粘弾性測定装置(例えば、東機産業株式会社製のBH型粘度計)によって測定される。
本実施形態において、塗膜用組成物の粘度は、塗膜用組成物全量に対する、水や有機溶
剤のような後述する溶媒の含有量、並びに増粘剤としての役割も有するチキソトロピー性
付与剤の種類や含有量を調整することで上記の範囲にすることができる。なお、溶媒の含
有量を減らすことで塗膜用組成物の粘度を上昇させることができる傾向にある。例えば、
溶媒の含有量は、塗膜用組成物の全量に対して、15質量%以上90質量%以下であるこ
とが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
(ポリカーボネート系ウレタン樹脂)
本実施形態におけるポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョンは、水を主成
分とした溶媒とその溶媒中に分散したポリカーボネート系ウレタン樹脂の粒子とを含むエ
マルジョンである。この水性エマルジョンは、ポリカーボネートポリオールとポリイソシ
アネートとを、水を主成分とした溶媒中で乳化重合させることで得られる。本発明者は、
鋭意研究を重ねた結果、塗膜用組成物が、ポリエーテル系ウレタン樹脂やポリエステル系
ウレタン樹脂を含む場合よりも、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含む場合に、基材飛
散防止塗膜の基材飛散防止性が一層高くなることを明らかにした。これは、塗膜用組成物
が、高い弾性を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むことにより、基材に対する
密着性がより向上すると共に、基材が破損した際の塗膜の基材への追随性が一層高まる結
果であると考えられるが、その要因はこれに限定されない。
更に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、難燃性が高いため、本実施形態の塗膜用組
成物は防火性に優れるものである。また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、太陽光に
対して長時間曝露させた場合にも、変色、及び変質を生じにくいため、本実施形態の塗膜
用組成物は耐候性に優れるものである。
本実施形態の塗膜用組成物において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂粒子の平均粒径
は、エマルジョンの状態を維持できる粒径であれば特に限定されず、例えば、0.01μ
m以上1.5μm以下であってもよく、0.02μm以上1.0μm以下であってもよい
し、0.03μm以上0.5μm以下であってもよい。樹脂粒子の平均粒径は、レーザ回
折式粒子径分布測定装置(例えば、濃厚系粒径アナライザー、大塚電子株式会社製、製品
名「FPAR-1000」)によって測定される。
また、本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは
、-50℃以上-10℃以下であることが好ましく、-40℃以上-15℃以下であるこ
とがより好ましく、-35℃以上-20℃以下であることがより一層好ましい。ガラス転
移温度Tgが-10℃以下であると、-10℃を超える場合と比較して、低温にあっても
、塗膜用組成物の固化により形成された塗膜は優れた基材飛散防止性を保つことができる
。また、ガラス転移温度Tgが-50℃以上であると、-50℃未満である場合と比較し
て、塗膜用組成物の固化により形成された塗膜は、常温において一層優れた基材飛散防止
性を有する傾向にある。樹脂のガラス転移温度Tgは、動的粘弾性測定装置(例えば、T
Aインスツルメント社製、製品名「RSA3」)や、熱機械分析装置(例えば、日立ハイ
テクサイエンス社製、製品名「TMA-7000」)を用いて測定することができる。
本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度Tgは、ポリ
カーボネート系ウレタン樹脂の分子量を調整すること、及び変性基を導入することで制御
することができる。
本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の100%モジュラスは、5M
Pa以上50MPa以下であることが好ましく、7MPa以上45MPa以下であること
がより好ましく、10MPa以上40MPa以下であることがより一層好ましい。ポリカ
ーボネート系ウレタン樹脂の100%モジュラスが上記の範囲にあることで、塗膜用組成
物の固化により形成された塗膜は、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。なお
、本実施形態において、樹脂の100%モジュラスとは、樹脂を100%伸ばすために必
要な応力のことを意味し、引張試験機(例えば、株式会社島津製作所製、製品名「オート
グラフAG-I」)を用いて、樹脂を引っ張ることで測定される。なお、単位「MPa」
と「N/mm2」は同値である。
本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断強度は、30MPa以上
であることが好ましく、35MPa以上であることがより好ましく、40MPa以上であ
ることがより一層好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断強度が上記の範囲に
あることで、塗膜用組成物の固化により形成された塗膜は、一層優れた耐衝撃性を有し、
一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断
強度の上限は、特に限定されないが、500MPaであってもよく、400MPaであっ
てもよく、300MPaであってもよい。なお、本実施形態において、樹脂の破断強度は
、引張試験機(例えば、株式会社島津製作所製、製品名「オートグラフAG-I」)を用
いて、樹脂を引っ張ることで測定される。
本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断伸度は、200%以上で
あることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、300%以上であること
がより一層好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断強度が上記の範囲にあるこ
とで、塗膜用組成物の固化により形成された塗膜は、一層優れた柔軟性を有し、一層優れ
た基材飛散防止性を有する傾向にある。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の破断伸度の上
限は、特に限定されないが、1000%であってもよく、900%であってもよく、80
0%であってもよい。なお、本実施形態において、樹脂の破断伸度は、引張試験機(例え
ば、株式会社島津製作所製、製品名「オートグラフAG-I」)を用いて、樹脂を引張る
ことで測定される。
本実施形態において、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の100%モジュラス、破断強
度、及び破断伸度は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の分子量を調整すること、及び変
性基を導入することで制御することができる。また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の
100%モジュラス、破断強度、及び破断伸度は、2種以上のポリカーボネート系ウレタ
ン樹脂を組み合わせることで、調節してもよい。
また、基材飛散防止性を一層高める観点から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有
量は、塗膜用組成物の全量に対して、3質量%以上85質量%以下であることが好ましく
、10質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上75質量%
以下であることがより一層好ましい。ポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有量が塗膜用
組成物の全量に対して3質量%以上であると、3質量%未満である場合と比較して、基材
飛散防止性が一層高くなる。また、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有量が塗膜用組
成物の全量に対して85質量%以下であると、85質量%を超える場合と比較して、塗膜
用組成物の粘度が好ましい範囲に保たれ、塗膜形成時の施工性が一層高くなる傾向にある
本実施形態で用いるポリカーボネート系ウレタン樹脂は、従来公知の方法で作製しても
よく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、タケラックW-635(三井化
学社製商品名〉、エテルナコールUW-3100(宇部興産社製商品名)、エテルナコー
ルUW-5502(宇部興産社製商品名)、ユーコートUX-485(三洋化成社製商品
名)、WBR-2101(大成ファインケミカル社製商品名)、メルシ5030(トーヨ
ーポリマー社製商品名)、メルシ5045(トーヨーポリマー社製商品名)、及びR-4
000(楠本化成社製商品名)等が挙げられる。ポリカーボネート系ウレタン樹脂は1種
を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(溶媒)
本実施形態の溶媒は、水を主成分とする。したがって、塗膜を形成する際の臭気が低減
され、環境衛生上好ましい。本実施形態において、溶媒とは、塗膜用組成物中の液体であ
って、樹脂成分以外のものをいう。本実施形態における溶媒は、水が主成分であれば特に
限定されないが、有機溶剤や後述する造膜助剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、
特に限定されないが、例えば、炭化水素、ケトン、アルコール、酢酸エステル、及びグリ
コールエーテルが挙げられる。有機溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用
いられる。
環境衛生上好ましい観点から、塗膜用組成物の全量に対する、造膜助剤以外の有機溶剤
の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好
ましく、5質量%以下であることがより一層好ましく、3質量%以下であることが更に好
ましく、1質量%以下であることが更により一層好ましい。また、同様の観点から、塗膜
用組成物の全量に対する、造膜助剤を含む有機溶剤の含有量は、20質量%以下であるこ
とが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが
より一層好ましい。
(添加剤)
本実施形態の塗膜用組成物は、基材飛散防止性を一層高める観点、及び施工性を一層高
める観点から、本発明の課題の解決を阻害しない範囲で、バインダー、硬化助剤、チキソ
トロピー性付与剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、及び赤外線吸収剤のような添加剤を含んで
いてもよい。特に、塗膜用組成物は、バインダーを含むことが好ましい。また、本実施形
態の塗膜用組成物は、上述のとおりチキソトロピー性を有するため、後述するように、基
材に十分な厚さの塗膜を形成することができる。したがって、塗膜用組成物が紫外線吸収
剤、及び/又は赤外線吸収剤を含む実施形態では、従来の塗膜用組成物により形成される
塗膜と比較して、紫外線吸収剤、及び/又は赤外線吸収剤の効果を一層発揮することがで
きる。
バインダーとしては、水性エマルジョンのバインダーとして用いることができるもので
あれば特に限定されず、例えば、アクリル系スチレン樹脂、アクリル系ウレタン樹脂、ア
クリル系シリコン樹脂、及び変性ポリエステル系ウレタン樹脂のような樹脂が挙げられる
。バインダーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。本実施形態の塗膜
用組成物がバインダーを含有することで、塗膜用組成物の固化により形成された塗膜は、
柔軟性、可撓性、及び基材との密着性が一層向上し、一層優れた基材飛散防止性を有する
傾向にある。上記効果を一層有効かつ確実に奏する観点から、バインダーとしては、変性
ポリエステル系ウレタン樹脂が好ましく、アクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂がよ
り好ましい。バインダーの含有量としては、バインダーとしての機能をより十分かつ確実
に発揮すると共に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂による効果の低下をより有効かつ確
実に防ぐ観点から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂100質量部に対して、10質量部
以上500質量部以下であることが好ましく、15質量部以上450質量部以下であるこ
とがより好ましく、20質量部以上400質量部以下であることがより一層好ましい。な
お、バインダーとして樹脂を用いる場合は、取扱い性の観点から樹脂エマルジョンの形態
で用いることが好ましい。
硬化助剤としては、特に限定されないが、例えば、水性イソシアネート硬化剤、ポリカ
ルボジイミド硬化剤、オキサゾリン硬化剤、メラミン硬化剤、ポリエチレンイミン硬化剤
、アジリジン硬化剤、ジルコニウム硬化剤及びエポキシ硬化剤が挙げられる。硬化助剤は
1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。その含有量としては、ポリカーボ
ネート系ウレタン樹脂とバインダーとの合計の全量100質量部に対して、1質量部以上
50質量部以下であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下であることがより好
ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより一層好ましい。硬化助剤を上記の
範囲で添加することで、本実施形態の塗膜用組成物を基材に塗布後、これを室温に放置し
ておくだけで、ウレタン樹脂と硬化助剤とが架橋構造を形成する結果、塗膜と基材との密
着性に更に優れると同時に、膜強度、耐薬品性、耐水性、又は基材飛散防止性のような各
種の特性に更に優れる塗膜が形成される。上記の硬化助剤は、例えば、基材に塗布する直
前に、塗膜用組成物中に添加することが好ましい。
チキソトロピー性付与剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセ
ルロース、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのようなセルロース化
合物、並びに、それらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸、
及び変性ポリ(メタ)アクリル酸のようなポリカルボン酸、並びにそれらのアルカリ金属
塩、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、及びエチレン-ビニルアルコー
ル共重合体のようなポリビニルアルコール系重合体、ポリエーテルポリオール系ウレタン
樹脂のようなポリカーボネート系ウレタン樹脂以外のウレタン樹脂が挙げられる。チキソ
トロピー性付与剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。その含有量と
しては、塗膜用組成物のチキソトロピーインデックスTIが、2以上になるように調整さ
れることが好ましく、3以上になるように調整されることがより好ましく、4以上になる
ように調整されることがより一層好ましく、5以上になるように調整されることが更に好
ましい。チキソトロピー性付与剤を上記の範囲で添加することで、塗膜用組成物は、ガラ
ス等に塗布する際には粘度が低下し、塗布した後は粘度が上昇するため、塗膜形成時の施
工性を一層高めることができ、基材飛散防止性が一層良好なものとなる。
造膜助剤としては、水性エマルジョンの造膜性を補助できるものであれば特に限定され
ず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコ
ール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ブチルカルビトール、ジプロピレング
リコールメチルエーテルアセテート、テキサノール、及び2,2,4-トリメチル-1,
3-ペンタンジオールジイソブチレートが挙げられる。造膜助剤は1種を単独で、又は2
種以上を組み合わせて用いられる。その含有量としては、造膜助剤としての機能をより十
分かつ確実に発揮すると共に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂による効果の低下をより
有効かつ確実に防ぐ観点から、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とバインダーとの合計の
全量100質量部に対して、0質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量
部以上45質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上40質量部以下である
ことがより一層好ましい。
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収することができるものであれば特に限定されず、
例えば、サリチル酸メチル、p-tert-ブチルフェニル-サリシレート、及びp-オ
クチルフェニル-サリシレートのようなサリチル酸誘導体;2-ヒドロキシ-4-メトキ
シベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、及び4-ドデ
シロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノンのような芳香族ケトン類;2-(2’-ヒドロ
キシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t
ert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2-(2’-ヒドロ
キシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾールのようなトリア
ゾール誘導体;2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレートの
ようなアクリル酸誘導体;並びに、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄
、及び酸化チタンのような無機化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は1種を単独で、又は
2種以上を組み合わせて用いられる。その含有量としては、ポリカーボネート系ウレタン
樹脂とバインダーとの合計の全量100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以
下であることが好ましく、0.3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、
0.5質量部以上5質量部以下であることがより一層好ましい。紫外線吸収剤を上記の範
囲で添加することで、透明性を損なうことなく、塗膜に紫外線遮蔽能を付与し、室内装飾
の変色や劣化を低減することができる。紫外線吸収剤としては、好ましくは、トリアゾー
ル誘導体が用いられる。
赤外線吸収剤としては、赤外線を吸収することができるものであれば特に限定されず、
例えば、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、アン
トラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合
物、フタリド化合物、ITO(In23-TiO2系)、ATO(ZnO-TiO2系)、
スズ含有化合物、アンチモン含有化合物、スズ-アンチモン系酸化物、及びジチオール金
属錯体が挙げられる。赤外線吸収剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いら
れる。その含有量としては、ポリカーボネート系ウレタン樹脂とバインダーとの合計の全
量100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.
3質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上5質量部以下
であることがより一層好ましい。赤外線吸収剤を上記の範囲で添加することで、透明性を
損なうことなく、塗膜に赤外線遮蔽能を付与し、室内の温度変化を低減することができる
。赤外線吸収剤としては、好ましくは、スズ-アンチモン系酸化物が用いられる。
本実施形態の塗膜用組成物は、本発明の課題の解決を阻害しない範囲で、その他、着色
料、消泡剤、酸化防止剤、消臭剤、抗菌性付与剤、防カビ剤、及び香料のような添加剤を
含んでいてもよい。
(透過率)
本実施形態の塗膜用組成物は、塗膜が良好な採光性を備えるために、可視光を透過する
ことが好ましい。具体的には、下記のようにして作製される厚さ70μmの平滑な塗膜を
有する試料の透過率が、750nmの波長を有する可視光に対して、85%以上であるこ
とが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、厚さ140μmの平滑な塗
膜を有する試料の透過率が、750nmの波長を有する可視光に対して、80%以上であ
ることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。さらに、厚さ320μmの平
滑な塗膜を有する試料の透過率が、750nmの波長を有する可視光に対して、60%以
上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。試料は、厚さ5mmの
石英ガラスに塗膜用組成物を塗布し乾燥させて、石英ガラス上に所定の厚さの平滑な塗膜
を形成することで、上記石英ガラスと石英ガラス上に形成された上記塗膜とからなる試料
として作製される。また、透過率は、上記の試料に対して、紫外可視分光光度計を用いた
透過スペクトルを測定することで得られる。上記所定の厚さの塗膜を有する試料の透過率
が上記の範囲にあることによって、塗膜用組成物を塗布することにより形成される塗膜は
、採光性に優れ、建築物の窓ガラスや工場の採光ガラスに用いることが有利になる。
(基材飛散防止塗膜)
本実施形態の基材飛散防止塗膜は、例えば、上記の基材飛散防止塗膜用組成物を固化さ
せることにより得られる。本実施形態の基材飛散防止塗膜は、ポリカーボネート系ウレタ
ン樹脂を含有し、また、表面に凹凸を有するのが好ましい。ここで、塗膜の「表面」とは
、基材側とは反対側の面を意味する。本実施形態の塗膜は、上記の構成を備えることによ
って、破損した基材の飛散を十分に防止することができる。本発明者は、鋭意研究を重ね
た結果、塗膜が、ポリエーテル系ウレタン樹脂やポリエステル系ウレタン樹脂を含む場合
よりも、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含む場合に、その基材飛散防止性が一層高く
なることを明らかにした。その要因としては、塗膜用組成物の項で説明したことが考えら
れるが、それに限定されない。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、本実施形態の塗膜は、表面に凹凸を有することに
よって、表面が平滑である場合と比較して、塗膜にひび割れが生じにくくなることを明ら
かにした。塗膜用組成物の固化は、塗膜表面から基材側(以下、「塗膜深部」と呼ぶ。)
へと逐次進行するため、塗膜の表面が平滑である場合、塗膜表面が完全に固化し流動性を
失った後に塗膜深部の固化及び収縮が生じると考えられ、これにより塗膜にひび割れが生
じる。しかしながら、塗膜が表面に凹凸を有すると、塗膜の表面積が上昇し、塗膜深部の
乾燥速度が上昇し、これにより、塗膜表面が完全に固化する前に塗膜深部の固化が始まり
、ひび割れが生じにくくなると考えられる。また、塗膜が表面に凹凸を有すると、塗膜表
面の局所的な弾性が上昇し、よりひび割れが生じにくくなると考えられる。ただし、上記
効果の要因はこれらに限定されない。
一般的に塗膜のひび割れは、塗布する面積当たりの一回の塗膜用組成物の塗布量を多く
したときに特に顕著に表れるため、一回当たりに塗布できる塗膜用組成物の量は限られる
。表面が平滑である塗膜を形成する場合、上記のようにひび割れが生じやすいため、一回
当たりに塗布できる塗膜用組成物は比較的少量である。したがって、この場合、塗膜の厚
さを十分な基材飛散防止性を発揮できる程度に厚くすることは困難である。しかしながら
、本実施形態の塗膜は、塗膜表面に凹凸を有することで、上記のようにひび割れが生じに
くいため、比較的多量の塗膜用組成物を一度に塗布できる。したがって、この場合、塗膜
の厚さは十分に厚くなり、塗膜は十分な基材飛散防止性を発揮できる。
本実施形態の塗膜を形成する場合の、一回当たりに塗布する塗膜用組成物の量は、ひび
割れを生じさせずに、一層良好な基材飛散防止性を基材に付与する観点から、0.1kg
/m2以上2.0kg/m2以下であることが好ましく、0.2kg/m2以上1.5kg
/m2以下であることがより好ましく、0.2kg/m2以上1.0kg/m2以下である
ことがより一層好ましく、0.2kg/m2以上0.7kg/m2以下であることが更に好
ましい。一回当たりに塗布する塗膜用組成物の量が2.0kg/m2以下であると、2.
0kg/m2を超える場合と比較して、塗膜はひび割れを生じにくくなる。また、一回当
たりに塗布する塗膜用組成物の量が0.1kg/m2以上であると、0.1kg/m2未満
である場合と比較して、基材飛散防止性が一層高くなる。
また、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、塗膜は、表面に凹凸を有することによって
、表面が平滑である場合と比較して、複数回塗り(重ね塗り)をした場合に一層厚い塗膜
を形成できることを明らかにした。これは、塗膜上に更に塗膜用組成物を塗布する場合、
塗膜が表面に凹凸を有すると、上記凹凸が塗布した塗膜用組成物を保持することで、十分
な量の塗膜用組成物を塗布できるようになることによると考えられるが、要因はこれらに
限定されない。したがって、塗膜が表面に凹凸を有すると、従来よりも一層厚くすること
ができ、基材飛散防止性が一層高くなる。
さらに、塗膜が表面に凹凸を有すると、基材に意匠性を付与することができる。凹凸の
パターンは特に限定されず、任意に選択することができる。塗膜の凹凸のパターンとして
、例えば、ドット状、ストライプ状、ランダム状、チェック状、ヘリンボーン状、及びハ
ニカム状が挙げられる。
本実施形態の塗膜の厚さは、特に限定されないが、良好な基材飛散防止性を基材に付与
する観点から、基準厚さが、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であるこ
とがより好ましく、100μm以上であることがより一層好ましい。また、基準厚さは、
塗膜の透明性を更に高める観点から、2000μm以下であることが好ましく、1000
μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがより一層好ましい。本
実施形態において塗膜の基準厚さは、塗膜用組成物の粘度を調整することで上記の範囲に
制御することができる。塗膜用組成物の粘度を高くすると、塗膜用組成物を一度塗布する
ことにより形成される塗膜の基準厚さを厚くすることができる傾向にある。また、塗膜用
組成物を複数回に分けて重ね塗りすることで基準厚さを厚くすることもできる。複数回に
分けて重ね塗りする場合、下地となる塗膜は表面に凹凸を有することが好ましい。これに
より、その上に塗布する塗膜用組成物を保持しやすくなるので、液だれを一層抑制するこ
とができると共に、塗膜の厚さを一層厚くすることが可能となる。
本実施形態の塗膜表面の凹凸について、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する
観点から、本実施形態の塗膜の基準厚さからの最大凸部高さは、100μm以上2000
μm以下であることが好ましく、200μm以上1500μm以下であることがより好ま
しく、250μm以上1000μm以下であることがより一層好ましい。基準厚さからの
最大凸部高さが2000μm以下であると、2000μmを超える場合と比較して、基材
飛散防止性が一層高くなる。また、基準厚さからの最大凸部高さが100μm以上である
と、100μm未満である場合と比較して、ひび割れが一層生じにくくなり、一層厚い塗
膜を形成することができる傾向にある。なお、本実施形態の塗膜の基準厚さからの最大凸
部高さは、例えば、塗膜用組成物の塗布を、適宜凹凸形状を調整したローラーを用いたロ
ーラー塗布により行うことで制御できる。
本実施形態の塗膜表面の凹凸について、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する
観点から、本実施形態の塗膜の基準厚さからの最深部深さは、50μm以上1500μm
以下であることが好ましく、100μm以上1000μm以下であることがより好ましく
、100μm以上500μm以下であることがより一層好ましい。基準厚さからの最深部
深さが1500μm以下であると、1500μmを超える場合と比較して、基材飛散防止
性が一層高くなる。また、基準厚さからの最深部深さが50μm以上であると、50μm
未満である場合と比較して、ひび割れが一層生じにくくなり、一層厚い塗膜を形成するこ
とができる傾向にある。なお、本実施形態の塗膜の基準厚さからの最深部深さは、例えば
、塗膜用組成物の塗布を、適宜凹凸形状を調整したローラーを用いたローラー塗布により
行うことで制御できる。
なお、上記した塗膜の基準厚さ、基準厚さからの最大凸部高さ、及び基準厚さからの最
深部深さは以下のように算出する。まず、塗膜をガラスカッター、はさみ、レーザーカッ
ター等により、塗膜の厚み方向と平行に切断することで断面を露出させる。この際、塗膜
は基材に接着していてもよいし、基材から剥離した後に切断してもよい。その後、顕微鏡
や高倍率カメラ等により拡大することで、露出した断面の画像又は映像を得る。このよう
にして得られた塗膜の断面画像又は映像を、画像処理ソフト等により解析することで、塗
膜の厚さの平均値を算出し、これを塗膜の基準厚さとする。また、塗膜の断面画像等にお
いて最も塗膜が厚い部分を、最大凸部とし、最大凸部の厚さから塗膜の基準厚さを引いた
値を、基準厚さからの最大凸部高さとする。さらに、塗膜の断面画像等において最も塗膜
が薄い部分を、最深部とし、塗膜の基準厚さから最深部の厚さを引いた値を、基準厚さか
らの最深部深さとする。したがって、塗膜の基準厚さ、基準厚さからの最大凸部高さ、基
準厚さからの最深部深さ、最大凸部の厚さ及び最深部の厚さについて、以下の式(2)、
(3)が成り立つ。
最大凸部の厚さ=基準厚さ+基準厚さからの最大凸部高さ…(2)
最深部の厚さ=基準厚さ-基準厚さからの最深部深さ…(3)
ここで、上記した塗膜の基準厚さ、基準厚さからの最大凸部高さ、及び基準厚さからの
最深部深さには、上記解析を1cmの長さの断面につき3回行った平均値を用いる。
本実施形態の塗膜表面の硬度は、特に限定されないが、日本産業規格JIS K 56
00-5-4:1999に準じて測定される引っかき硬度(鉛筆法)がH~5Hの間(両
端の値を含む)であると好ましい。塗膜表面の硬度が上記の範囲内にあることにより、塗
膜は、耐衝撃性とひっかき強度のバランスに一層優れる傾向にある。なお、塗膜の引っか
き硬度(鉛筆法)は、例えば、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有量を調整すること
で制御することができる。
本実施形態の塗膜の破断強度は、60℃において、1.0MPa以上であることが好ま
しく、1.5MPa以上であることがより好ましく、2.0MPa以上であることが一層
好ましい。塗膜の破断強度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、高温においても、
一層優れた耐衝撃性を有し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態
の塗膜の60℃における破断強度の上限は特に限定されないが、200MPaであっても
よく、100MPaであってもよく、50MPaであってもよい。
本実施形態の塗膜の破断強度は、23℃において、1.0MPa以上であることが好ま
しく、1.5MPa以上であることがより好ましく、2.0MPa以上であることが一層
好ましい。塗膜の破断強度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、一層優れた耐衝撃
性を有し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態の塗膜の23℃に
おける破断強度の上限は特に限定されないが、200MPaであってもよく、100MP
aであってもよく、50MPaであってもよい。
本実施形態の塗膜の破断強度は、-5℃において、5.0MPa以上であることが好ま
しく、6.5MPa以上であることがより好ましく、8.0MPa以上であることが一層
好ましい。塗膜の破断強度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、低温においても、
一層優れた耐衝撃性を有し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態
の塗膜の-5℃における破断強度の上限は特に限定されないが、200MPaであっても
よく、150MPaであってもよく、100MPaであってもよい。塗膜の破断強度は実
施例に記載の方法により測定することができる。なお、塗膜の破断強度は、例えば、ポリ
カーボネート系ウレタン樹脂の破断強度、及び/又はポリカーボネート系ウレタン樹脂の
含有量を調整することで制御することができる。
本実施形態の塗膜の破断伸度は、60℃において、150%以上であることが好ましく
、170%以上であることがより好ましく、200%以上であることが一層好ましい。塗
膜の破断伸度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、高温においても、一層優れた耐
衝撃性を有し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態の塗膜の60
℃における破断伸度の上限は特に限定されないが、500%であってもよく、400%で
あってもよく、300%であってもよい。
本実施形態の塗膜の破断伸度は、23℃において、100%以上であることが好ましく
、120%以上であることがより好ましく、140%以上であることが一層好ましい。塗
膜の破断伸度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、一層優れた耐衝撃性を有し、一
層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態の塗膜の23℃における破断伸
度の上限は特に限定されないが、500%であってもよく、400%であってもよく、3
00%であってもよい。
本実施形態の塗膜の破断伸度は、-5℃において、80%以上であることが好ましく、
90%以上であることがより好ましく、100%以上であることが一層好ましい。塗膜の
破断伸度が上記の範囲内にあることにより、塗膜は、低温においても、一層優れた耐衝撃
性を有し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。本実施形態の塗膜の-5℃に
おける破断伸度の上限は特に限定されないが、400%であってもよく、300%であっ
てもよく、250%であってもよい。塗膜の破断伸度は実施例に記載の方法により測定す
ることができる。なお、塗膜の破断伸度は、例えば、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の
破断伸度、及び/又はポリカーボネート系ウレタン樹脂の含有量を調整することで制御す
ることができる。
本実施形態の塗膜の目付量は、0.06kg/m2以上1.8kg/m2以下であること
が好ましく、0.09kg/m2以上1.5kg/m2以下であることがより好ましく、0
.12kg/m2以上1.3kg/m2以下であることがより一層好ましい。目付量が1.
8kg/m2以下であると、1.8kg/m2を超える場合と比較して、塗膜の透明性が一
層向上する。また、目付量が0.06kg/m2以上であると、0.06kg/m2未満の
場合と比較して、より良好な基材飛散防止性を基材に付与することができる。
本実施形態の塗膜に含まれるポリカーボネート系ウレタン樹脂は、上記塗膜用組成物に
含まれるポリカーボネート系ウレタン樹脂と同じであってもよく、又はこれを硬化助剤に
よってさらに硬化させたものであってもよい。硬化助剤としては上述のものが挙げられる
。本実施形態の塗膜に含まれるポリカーボネート系ウレタン樹脂の好ましいガラス転移温
度Tg、100%モジュラス、破断強度、及び破断伸度は、上記したものと同じである。
本実施形態の塗膜において、基材飛散防止性を一層高める観点から、ポリカーボネート
系ウレタン樹脂の含有量は、塗膜の全量に対して、10質量%以上100質量%以下であ
ることが好ましく15質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、20質量%
以上80質量%以下であることがより一層好ましい。
本実施形態の塗膜は、基材飛散防止性を一層高める観点から、本発明の課題の解決を阻
害しない範囲で、バインダーを含んでいることが好ましい。バインダーとしては、上記塗
膜用組成物に含まれるバインダーと同じであってもよく、又はこれを硬化助剤によってさ
らに硬化させたものであってもよい。硬化助剤としては上述のものが挙げられる。本実施
形態の塗膜がバインダーを含有することで、塗膜は、柔軟性、可撓性、及び基材との密着
性が一層向上し、一層優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。バインダーの含有量と
しては、バインダーとしての機能をより十分かつ確実に発揮すると共に、ポリカーボネー
ト系ウレタン樹脂による効果の低下をより有効かつ確実に防ぐ観点から、塗膜の全量に対
して、0質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上85質量%以
下であることがより好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより一層好ま
しい。
本実施形態の塗膜は、基材飛散防止性以外の効果を付与する観点から、本発明の課題の
解決を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色料、チキソトロピー性付与
剤、造膜助剤、消泡剤、酸化防止剤、消臭剤、抗菌性付与剤、防カビ剤、香料等の添加剤
を含んでいてもよい。紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、チキソトロピー性付与剤、及び造膜
助剤の例及び好ましい含有量は、上記したとおりである。
(飛散防止性基材)
本実施形態の飛散防止性基材100は、図1に示すように、基材110と、基材110
の片面に位置する塗膜120と、基材110と塗膜120との間に位置するシーラーとを
含む基材であって、基材110と塗膜120とがシーラーを介して接着されることにより
、飛散防止性を備えた基材である。基材及び塗膜は、上記した構成を有する。飛散防止性
基材は、建築物の窓ガラスや自動車の窓ガラスのような既設された基材上に、塗膜を形成
することで得られてもよい。あるいは、飛散防止性基材は、それを設置すべき場所に設置
する前に、基材上に予め塗膜を形成してから、上述の場所に設置してもよい。本実施形態
の飛散防止性基材は、上記の構成を備えるため、衝撃を受けて破損する場合でも、その破
片が飛散することを抑制することができる。また、飛散防止性基材は、塗膜を備えること
により、優れた耐貫通性をも有する。また、本実施形態の飛散防止性基材は、表面に凹凸
を有しながらも良好な透明性を備えることのできる塗膜を含むため、良好な採光性を備え
ながらも、飛散防止性基材を隔てた両側の空間からの互いの視認を抑制できる。したがっ
て、飛散防止性基材は、例えば、プライバシーを保護する建築物用窓ガラスに用いると有
用である。さらに、本実施形態の飛散防止性基材は、厚くできる塗膜を含むため、優れた
防音性や結露防止性を有する窓ガラスとして用いると有用である。
(カチオン性の水性シーラー)
本実施形態のカチオン性の水性シーラーは、カチオン性の水性樹脂エマルジョンを含む
水性シーラーであって、基材と塗膜との接着性を向上させることができるものであれば特
に限定されない。本実施形態においてシーラーを用いると、塗膜の基材からの剥離や変質
をより有効に抑制することができる。また、シーラーを用いると、基材にアルカリ成分が
含まれる場合に、経時的に基材から溶出し得るアルカリ成分に塗膜が侵されるのを一層有
効に防ぐことができる。さらに、本実施形態のカチオン性の水性シーラーは、水性である
ため、環境衛生上好ましく基材に塗布することができる。
シーラーに含まれるカチオン性の樹脂としては、カチオン性基を有する樹脂であれば特
に限定されないが、例えば、カチオン性基を有する、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、
エポキシ樹脂が挙げられる。カチオン性の樹脂は1種を単独で又は2種を組み合わせて用
いられる。シーラーと塗膜との接着性を一層向上させる観点及び耐アルカリ性を付与する
観点から、本実施形態のカチオン性の水性シーラーは、ポリウレタン樹脂の水性エマルジ
ョンを含有することが好ましい。また、本実施形態のカチオン性の水性シーラーは、さら
にアクリル樹脂を含むことがより好ましい。シーラーがアクリル樹脂を含むことで、シー
ラーと塗膜との接着性、及び基材と塗膜との接着性が一層向上する。カチオン性の樹脂に
おける、カチオン性基としては、特に限定されないが、例えば、3級のアミノ基が挙げら
れる。また、シーラー中における、樹脂粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば
、0.01μm以上1.5μm以下であってもよく、0.02μm以上1.0μm以下で
あってもよいし、0.03μm以上0.5μm以下であってもよい。
上記のカチオン性の水性シーラーは、従来公知の方法で作製してもよく、市販品を用い
てもよい。市販品としては、例えば、パーフェクトシーラー(日本パーミル社製商品名)
等が挙げられる。
本実施形態のシーラーの塗布量は、基材と塗膜用組成物との密着性を高められれば特に
限定されないが、0.01kg/m2以上1.0kg/m2以下であることが好ましく、0
.02kg/m2以上0.9kg/m2以下であることがより好ましく、0.03kg/m
2以上0.7kg/m2以下であることがより一層好ましい。シーラーの塗布量が上記の範
囲にあることで、基材と塗膜用組成物との密着性が一層向上し、飛散防止性基材は、一層
優れた基材飛散防止性を有する傾向にある。
(飛散防止性基材の形成方法)
本実施形態の飛散防止性基材の形成方法(以下、「飛散防止性基材形成方法」とも呼ぶ
。)は、カチオン性の水性シーラーを基材の表面に塗布する工程と、カチオン性の水性シ
ーラーを乾燥させる工程と、基材飛散防止塗膜用組成物をカチオン性の水性シーラーの固
化物の表面に塗布する工程と、基材飛散防止塗膜用組成物を乾燥させる工程とをこの順で
含むことによって、簡便かつ環境衛生上好ましく、基材飛散防止性に優れる飛散防止性基
材100を形成することができる。また、カチオン性の水性シーラーを基材の表面に塗布
する工程を含むことで、基材と塗膜との接着性を一層高めることができ、基材飛散防止性
が一層高まり、さらには、塗膜が基材から剥がれ難くなる。基材が無機ガラスである場合
は、特に有効である。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、シーラー及び塗膜用組成物を塗布する
工程は、エアスプレー塗布、エアレススプレー塗布、浸漬処理塗布、刷毛塗り、スクリー
ン印刷、吹き付け塗布、コテ施工、及びローラー塗布のような種々の方法を用いることが
できる。これらの中でも、ローラー塗布を用いることが好ましい。ローラー塗布は、通常
のローラー塗布に用いられるローラーによるものであればよく、上記の基材の表面又はカ
チオン性の水性シーラーの表面と接触する塗布面を有するローラーを用いるローラー塗布
であってもよい。このようなローラー塗布を用いることで、建築物の窓ガラスのような既
に設置された基材に対しても、大面積の範囲に、簡便に、均一なシーラー又は基材飛散防
止塗膜を形成することができる。特に、本実施形態の塗膜用組成物はチキソトロピー性を
有するため、ローラー塗布によっても容易に基材に満遍なく塗布することができ、得られ
る塗膜の基材への密着性も良好なものとなる。したがって、基材飛散防止性が一層良好な
ものとなる。
ローラーは、例えば、図2の概略斜視図に示すような構成を備える。図2によると、ロ
ーラー200は、円柱状であってその円柱の側面に塗布面を有するローラー本体210と
、ローラー本体210をその円柱の中心を軸にして回転させるための回転軸部材220と
、ローラー200を把持して用いるための把手240と、その把手240と回転軸部材2
20とを接続する接続用部材230とを備える。上記ローラー塗布による塗膜用組成物の
塗布は、上記ローラーの、基材の表面又はカチオン性の水性シーラーの表面に対し接触す
る塗布面に、塗膜用組成物を付着させる工程と、基材の表面又はカチオン性の水性シーラ
ーの表面上にその塗膜用組成物を接触させた状態でローラー本体をローラーの円柱の中心
を軸にして回転して動かす工程とを含むことで、塗膜用組成物を塗布面から基材の表面に
転写させることができる。したがって、下記のように塗布面が凹凸を有している場合、そ
の凹凸に対応したパターン状に塗膜用組成物が塗布される。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、塗布面に凹凸を有するローラーを用い
たローラー塗布を採用することが好ましい。本発明者は、このようなローラーを用いたロ
ーラー塗布を採用することで、塗布した塗膜用組成物に凹凸が生じ、飛散防止性基材の作
製の際の、塗膜のひび割れを一層低減できることを明らかにした。これは、基材飛散防止
塗膜の項で上記した要因によると考えられるが、これに限られない。また、そのようなロ
ーラー塗布を採用することで、厚い塗膜を一層簡便に形成することができ、飛散防止性基
材は基材飛散防止性が一層高くなる。さらに、そのようなローラー塗布を採用することで
、塗布した塗膜用組成物に凹凸が生じ、意匠性のある飛散防止性基材を形成することがで
きる。凹凸のパターンは特に限定されず、任意に選択することができる。塗膜の凹凸のパ
ターンとして、例えば、ドット状、ストライプ状、ランダム状、チェック状、ヘリンボー
ン状、ハニカム状が挙げられる。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、塗膜表面に所望の凹凸形状を形成する
には、上記ローラーの塗布面の表面形状を適宜選択し、そのローラーにより所望の凹凸形
状を有する塗膜を形成すればよい。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、塗膜用組成物を乾燥する工程は、特に
限定されないが、自然乾燥であってもよいし、塗膜用組成物を加熱することによる、加熱
乾燥であってもよい。加熱乾燥の場合は、塗膜用組成物が分解しないために、塗膜用組成
物に対する加熱温度が150℃以下であると好ましく、100℃以下であるとより好まし
い。本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、環境負荷を軽減する観点から自然乾
燥が好ましい。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、塗膜用組成物を塗布する工程及び塗膜
用組成物を乾燥する工程は、両者をセットとして、上記セットを2回以上繰り返してもよ
い。2回以上繰り返すことで、形成する塗膜をより厚くすることができ、基材飛散防止性
に一層優れた飛散防止性基材を形成することができる。塗膜の表面が凹凸を有している場
合、塗膜上に更に塗膜用組成物を塗布する際、上記凹凸が塗布した塗膜用組成物を保持す
ることで、より十分な量の塗膜用組成物を塗布できるようになる。そのため、より一層厚
い塗膜を形成することができ、基材飛散防止性がより一層高い飛散防止性基材を形成する
ことができる。
本実施形態の飛散防止性基材形成方法において、カチオン性の水性シーラーを塗布する
工程に先立って、基材の表面を洗浄する工程を含んでいてもよい。基材の洗浄工程は、特
に限定されないが、純水による超音波洗浄であってもよいし、純水を高圧で噴射する高圧
洗浄であってもよい。上記超音波洗浄及び高圧洗浄は、中性洗剤などの洗剤を含む洗浄液
を用いてもよいが、洗浄液は純水によって洗い流されることが好ましい。
(基材飛散防止塗膜形成キット)
本実施形態の基材飛散防止塗膜形成キットは、基材飛散防止塗膜用組成物と、カチオン
性の水性シーラーとを含む。これにより、特別な技術を有しない一般消費者でも、簡便か
つ環境衛生上好ましく、基材飛散防止塗膜を形成することができる。本実施形態の基材飛
散防止塗膜形成キットはさらに、施工性を向上させる観点から、塗布面に凹凸を有するロ
ーラーを含んでいてもよい。基材飛散防止塗膜形成キットに含まれるローラーの塗膜面の
表面形状は、所望する塗膜表面の形状に応じて適宜変更してもよい。本実施形態の基材飛
散防止塗膜形成キットにおいて、基材飛散防止塗膜用組成物、カチオン性の水性シーラー
及びローラーの構成及び好ましい態様は、上記したものと同じである。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限
定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である
。例えば、本発明に係る飛散防止性基材の別の実施形態では、基材飛散防止塗膜は、基材
の両面に形成されていてもよい。この場合、上記した飛散防止性基材100に挙げた効果
と同様の効果を奏するとともに、両面に塗膜を備えることにより、一層高い基材飛散防止
性を有する。
また、本発明に係る飛散防止性基材の別の実施形態では、シーラーを含まなくてもよく
、したがって基材と塗膜とが直接接触していてもよい。シーラーを基材表面に塗布しない
ことで、一層簡便に飛散防止性基材を提供することができる。この形態は、塗膜との接着
性がよい、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、又は繊維強化プラスチックを基材とし
て用いる場合に、特に有用である。
したがって、本発明に係る飛散防止性基材の形成方法の別の実施形態では、基材の両面
に塗膜用組成物を塗布してもよいし、シーラーを用いなくてもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
〔樹脂の物性の測定方法〕
実施例において、樹脂の100%モジュラス、破断強度、及び破断伸度のような物性は
、引張試験機(株式会社島津製作所製、製品名「オートグラフAG-I」)を用いて、樹
脂を引っ張ることで測定した。上記測定は、日本産業規格(JIS K 6251:20
17)に従い、ダンベル状3号形の試料を用いた。
〔塗膜用組成物の物性の測定方法〕
実施例において、塗膜用組成物の粘度、及びチキソトロピーインデックスTIのような
物性は、動的粘弾性測定装置(東機産業株式会社製のBH型粘度計)を用いて、23℃、
特定の回転条件で測定した。チキソトロピーインデックスTIは、回転数2rpmにおけ
る粘度、及び回転数20rpmにおける粘度を測定し、上記式(1)に従い算出した。粘
度は、回転数2rpmにおける粘度を測定した。
〔塗膜用組成物の調製〕
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョン(不揮発分:37質量%、アニオ
ン性、樹脂粒子の平均粒径:40nm、樹脂のTg:-25℃、乾燥塗膜物性:100%
モジュラス;15MPa、破断強度;48MPa、破断伸度;350%)80質量部、バ
インダーとしてアクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂の水性エマルジョン(不揮発分
:37質量%、アニオン性、樹脂粒子の平均粒径:60nm、樹脂のTg:-20℃、乾
燥塗膜物性:100%モジュラス;12MPa、破断強度;42MPa、破断伸度;43
0%)20質量部、造膜助剤としてテキサノール10質量部、消泡剤として高粘度用変性
シリコン系消泡剤0.80質量部、チキソトロピー性付与剤・増粘剤としてポリエーテル
ポリオール系ウレタン樹脂(ADEKA社製、製品名「アデカノールUH-420」)0
.75質量部、及び変性ポリアクリル酸系高分子型粘弾性調整剤(固形分:12%、粘度
:25Pa・s、pH:10.5)0.30質量部、並びに水1質量部を混合、攪拌して
、塗膜用組成物を得た。塗膜用組成物のチキソトロピーインデックスTIは、5.5であ
り、粘度は、30Pa・sであった。
〔シーラーの準備〕
カチオン性の水性シーラーとして、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の混合物(日本
パーミル社製、製品名「パーフェクトシーラー」)を準備した。
(耐衝撃性試験1)
[比較例1]
試料1として、約15年前にガラス飛散防止用フィルムを貼付した既設プラントのサッ
シ付き窓ガラスを外して準備した。ガラス飛散防止用フィルムは、その劣化に起因すると
考えられる脆化及び白化が認められた。また、ガラス飛散防止用フィルムを剥がそうと試
みたが、フィルムの脆化及び粘着剤の強い粘着性に起因して剥がすことはできなかった。
その試料1に、1mの高さから直径4cm、質量260gの鉄球を落下させ、衝突させた
ところ、フィルム及び窓ガラスが破損し飛散した。すなわち、ガラス飛散防止用フィルム
によるガラス飛散防止性は既に滅失していることが分かった。
[実施例1]
試料1の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が0.8kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料1上に水性シーラーを介して目付量が0
.28kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは280μm、基準厚さからの最大凸部高さは470μm、最深
部深さは160μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した側
に、1mの高さから直径4cm、質量260g鉄球を落下させ、衝突させたところ、窓ガ
ラスにひび割れが認められたものの、基材飛散防止塗膜に破損は認められず、ガラスの飛
散も認められなかった。すなわち、本発明の基材飛散防止塗膜によるガラス飛散防止効果
が認められた。
(耐衝撃性試験2)
[比較例2]
試料2として、630mm×555mm×厚さ3mmのサッシ付き窓ガラスを準備した
。その試料2に、1.25mの高さから直径6.4cm、質量1kgの鉄球を落下させ、
衝突させたところ、窓ガラスが破損し飛散した。
[実施例2]
試料2の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に0.4kg/m
2塗布し、更に常温にて乾燥することにより、基材である試料2上に水性シーラーを介し
て目付量が0.14kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た
。基材飛散防止塗膜における基準厚さは140μm、基準厚さからの最大凸部高さは44
0μm、最深部深さは100μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜
を形成した側に、1.50mの高さから直径6.4cm、質量1kg鉄球を落下させ、衝
突させたところ、窓ガラスにひび割れが認められず、基材飛散防止塗膜の破損も認められ
なかった。一方、得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成していない側に、1
.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させたところ、窓ガラ
スが破損し、基材飛散防止塗膜も一部破損し、ガラスが僅かに飛散した。
[実施例3]
試料2の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が0.4kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料2上に水性シーラーを介して目付量が0
.14kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは140μm、基準厚さからの最大凸部高さは440μm、最深
部深さは100μmであった。耐衝撃性試験2の結果は実施例2と同様であった。
[実施例4]
試料2の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が0.6kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料2上に水性シーラーを介して目付量が0
.21kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは210μm、基準厚さからの最大凸部高さは460μm、最深
部深さは120μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した側
に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させたところ、
窓ガラスにひび割れは認められたものの、基材飛散防止塗膜に破損は認められず、ガラス
の飛散も認められなかった。一方、得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成し
ていない側に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させ
たところ、窓ガラスが破損し、基材飛散防止塗膜も一部破損したものの、ガラスの飛散は
認められなかった。
[実施例5]
試料2の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が0.8kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料2上に水性シーラーを介して目付量が0
.28kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは280μm、基準厚さからの最大凸部高さは470μm、最深
部深さは160μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した側
に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させたところ、
窓ガラスにひび割れは認められたものの、基材飛散防止塗膜に破損は認められず、ガラス
の飛散も認められなかった。一方、得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成し
ていない側に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させ
たところ、窓ガラスが破損し、基材飛散防止塗膜も一部破損したものの、ガラスの飛散は
認められなかった。基材飛散防止塗膜の目付量が0.21kg/m2である実施例4と比
べて、窓ガラス及び基材飛散防止塗膜の破損の程度は低減された。
[実施例6]
試料2の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が1.0kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料2上に水性シーラーを介して目付量が0
.35kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは350μm、基準厚さからの最大凸部高さは470μm、最深
部深さは160μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した側
に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させたところ、
窓ガラスにひび割れは認められず、基材飛散防止塗膜の破損は認められず、ガラスの飛散
も認められなかった。また、得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成していな
い側に、1.50mの高さから直径8cm、質量2kg鉄球を落下させ、衝突させたとこ
ろ、窓ガラスにひび割れは認められたものの、基材飛散防止塗膜の破損は認められず、ガ
ラスの飛散も認められなかった。
(耐衝撃性試験3)
[比較例3]
試料3として、厚さ6.8mmの網入りガラスを準備した。試料3を、ガラスが割れる
まで複数回ハンマーで叩いたところ、ガラス片が飛散した。
[実施例7]
試料3の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が0.6kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料3上に水性シーラーを介して目付量が0
.21kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは210μm、基準厚さからの最大凸部高さは460μm、最深
部深さは120μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した面
を、基材であるガラスが割れるまで複数回ハンマーで叩いた。その結果、基材であるガラ
スにひび割れが生じたが、ガラス片はほとんど飛散せず、微細なガラス片の飛散のみが認
められた。
[実施例8]
実施例7と同様にして、基材である試料3上に水性シーラーを介して目付量が0.21
kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。得られた飛散防止
性基材の基材飛散防止塗膜を形成していない面を、基材であるガラスが割れるまで複数回
ハンマーで叩いた。その結果、基材であるガラスにひび割れが生じたが、ガラス片はほと
んど飛散せず、微細なガラス片の飛散のみが認められた。また、基材飛散防止塗膜を形成
した面に衝撃を与えた実施例7に比べて、飛散防止性基材の変形が抑制された。このこと
から、基材飛散防止塗膜が、基材において、衝撃が与えられる面と反対の面に形成されて
いる場合、基材の変形を抑制する効果があることが示唆された。
[実施例9]
試料3の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを、図2に示すようなローラー
を用いたローラー塗布により塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、図2に示すようなローラーを用いたローラー塗布に
より、上記のようにして調製した塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し、更に常
温にて乾燥した。この塗布及び乾燥を、塗膜用組成物の塗布量が1.0kg/m2になる
ように2回繰り返すことにより、基材である試料3上に水性シーラーを介して目付量が0
.35kg/m2である基材飛散防止塗膜を形成した飛散防止性基材を得た。基材飛散防
止塗膜における基準厚さは350μm、基準厚さからの最大凸部高さは470μm、最深
部深さは160μmであった。得られた飛散防止性基材の基材飛散防止塗膜を形成した面
を、基材であるガラスが割れるまで複数回ハンマーで叩いた。その結果、基材であるガラ
スにひび割れが生じたが、ガラス片はほとんど飛散せず、微細なガラス片の飛散も認めら
れなかった。
(塗膜の耐衝撃性の評価)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。150mm
×70mm×厚さ0.8mmのSPCC-SB鋼板の片面全体に対して、カチオン性の水
性シーラーを、刷毛を用いて塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0
.05kg/m2であった。次いで、刷毛を用いて、塗膜用組成物を上記の水性シーラー
上に、塗膜用組成物の塗布量が0.6kg/m2になるよう塗装間隔を5時間取り、2回
に分けて塗布した。その後、以下の養生条件(A)にて養生した。
養生条件(A):23±2℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿室で24時間養生後、更
に50±2℃の恒温槽内で72時間養生した。
上記のようにして得られた試料を用いて、塗膜の耐衝撃性を評価した。具体的には、以
下のとおりである。日本産業規格JIS K 5600-5-3:1999の「6.デュ
ポン式」に準じた装置を用いて、撃ち型と受け台の半径を6.35mm、おもりの質量を
1000g、落下高さを500mmとして、試料の塗膜面に衝撃を与えた。その結果、試
料の塗膜面に、割れ、及び、はがれ等の異常は認められず、塗膜が耐衝撃性に優れること
がわかった。
(付着性試験)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。150mm
×70mm×厚さ2.0mmのガラス板の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラー
を、刷毛を用いて塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0.05kg
/m2であった。次いで、刷毛を用いて、塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に、塗膜
用組成物の塗布量が0.6kg/m2になるよう塗装間隔を5時間取り、2回に分けて塗
布した。その後、上記の養生条件(A)にて養生した。
上記のようにして得られた試料を用いて、塗膜の付着性を評価した。具体的には、以下
のとおりである。日本産業規格JIS K 5600-5-6:1999に準じて、カッ
ト数を格子パターンの各方向で11個(ます目の数が100個)とし、カットの間隔を1
mmとし、単一刃切込み工具(手動)を切込み工具として用いて、試料の塗膜面に切込み
を入れた。その結果、カットの縁は完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがなく(上
記JIS規格における分類0)、塗膜が付着性に優れることがわかった。
(ひっかき硬度の測定)
上記付着性試験と同様にして、ガラス板に塗膜が形成された試料を得た。得られた試料
を用いて、日本産業規格JIS K 5600-5-4:1999に準じて、試料の塗膜
面の引っかき硬度(鉛筆法)を測定した。その結果、試料の塗膜面における、凝集破壊が
認められない最も硬い鉛筆硬度は3Hであった。
(耐水性試験)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。150mm
×70mm×厚さ2.0mmのガラス板の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラー
を、刷毛を用いて塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0.05kg
/m2であった。次いで、刷毛を用いて、塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に塗布し
、上記の養生条件(A)にて養生した。塗膜用組成物の塗布量は、0.1kg/m2であ
った。
得られた試料を用いて、日本産業規格JIS K 5600-6-1:2016の「7
.方法1(浸せき法)」に準じて、試料の塗膜面の耐水性を測定した。試料を、23℃の
蒸留水に168時間浸漬した後、試料の塗膜面を観察したところ、膨れ、割れ、はがれ、
軟化、光沢の低下、及び変色等の異常は認められず、塗膜が耐水性に優れることがわかっ
た。
(耐摩耗性試験)
上記付着性試験と同様にして、ガラス板に塗膜が形成された試料を得た。得られた試料
を用いて、日本産業規格JIS H 8682-3:2013に準じて、試料の塗膜面の
耐摩耗性を測定した。試料の塗膜が形成されている面に対して、研削材(炭化ケイ素質C
#36)を、研削材の落下速度が400g/minとなるようにして、10L落下させた
後、試料の塗膜面を観察した。その結果、試料においてガラス板が露出している箇所は認
められず、塗膜が耐摩耗性に優れることがわかった。
(引張性能試験)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。ポリエチレ
ン板上に、ヘラを用いて、塗膜用組成物を塗布し、上記の養生条件(A)にて養生した。
乾燥後の塗膜厚さは、1.0mmであった。得られた塗膜をポリエチレン板からはがして
、ダンベル状3号形に加工した後、引張試験の試料に用いた。引張試験は、日本産業規格
JIS A 6021:2011に準じて、引張速度を500mm/min、試験温度を
60℃、23℃又は-5℃として実施した。なお、伸び率は、破断時のつかみ間の伸び率
とした。その結果、60℃における引張強さ(破断強度)及び伸び率(破断伸度)は、そ
れぞれ3.6N/mm2及び240%であり、23℃における引張強さ(破断強度)及び
伸び率(破断伸度)は、それぞれ2.6N/mm2及び150%であり、-5℃における
引張強さ及び伸び率は、それぞれ9.3N/mm2及び110%であった。
(ホルムアルデヒド放散量の測定)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。アルミニウム
板上に、刷毛を用いて、塗膜用組成物を、塗膜用組成物の塗布量が0.6kg/m2にな
るよう塗装間隔を5時間取り、2回に分けて塗布した。その後、以下の養生条件(B)に
て養生した。
養生条件(B):日本産業規格JIS K 5600-1-6の標準条件(23±2℃
、相対湿度50±5%)により、7日間養生した。
上記のようにして得られた試料を用いて、日本産業規格JIS K 5601-4-1
:2012の「5.デシケータ法」に準じて、塗膜からのホルムアルデヒドの放散量を測
定した。なお、結晶皿の水量は100mLとした。その結果、塗膜からのホルムアルデヒ
ドの放散量は検出限界(0.03mg/L)以下であった。
(防火性試験)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。0.27m
m厚の亜鉛メッキ鋼板(東亜理科製)の片面全体に対して、カチオン性の水性シーラーを
、刷毛を用いて塗布し、更に常温にて乾燥した。水性シーラーの塗布量は0.1kg/m
2であった。次いで、刷毛を用いて、塗膜用組成物を上記の水性シーラー上に、塗膜用組
成物の塗布量が0.6kg/m2になるよう塗装間隔を5時間取り、2回に分けて塗布し
た。その後、上記の養生条件(A)にて養生した。
上記のようにして得られた塗膜が形成された亜鉛メッキ鋼板を3枚準備して、塗膜の防
火性の評価に用いた。なお、塗膜の防火性は、国際規格ISO 5660-1:2015
に準拠して評価した。試験機として、コーンカロリーメータ(輻射強度:50kW/m2
)を用いて、20分間の測定を行った。その結果、全試験体において、総発熱量が規定値
(8MJ/m2)以下であり;変形、溶融、及び亀裂等の防火上有害な変形の有無が認め
られず;かつ、最高発熱速度が継続して200kW/m2を超過した時間が規定値(10
秒)以下であった。以上から、上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組
成物を用いて形成される塗膜が、不燃材料としての規定値を満たしていることがわかった
(耐候性試験)
上記付着性試験と同様にして、ガラス板に塗膜が形成された試料を得た。得られた試料
を用いて、塗膜の耐候性を評価した。具体的には、以下のとおりである。日本産業規格J
IS B 7753:2007「サンシャインカーボンアーク灯式の耐光性試験機及び耐
候性試験機」の「4.種類」中の「b)サンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機」
に準じたサンシャインメーターを用いて、試料を計5000時間照射した。試験開始から
、500時間経過毎(ただし、試験開始から1500時間経過したときの観察は実施して
いない。)に試料の外観を観察したが、いずれの観察においても、試料の塗膜には、膨れ
、割れ、及び剥がれ等の発生は認められなかった。
また、日本産業規格JIS K 5600-4-7:1999に準じて、試験開始から
、500時間経過毎(ただし、試験開始から1500時間経過したときのデータは取得し
ていない。)に、塗膜の鏡面光沢度を測定した。その結果、鏡面光沢度は、試験前では9
3;500時間経過後では111;1000時間経過では108;2000時間経過後で
は97;2500時間経過では90;3000時間経過では82;3500時間経過後で
は75;4000時間経過では75;4500時間経過後では63;5000時間経過で
は59であった。以上から、上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成
物を用いて形成される塗膜が、優れた耐候性を有することがわかった。
(赤外線遮蔽能の評価)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。本項におい
て、当該塗膜用組成物を「サンプルA」という。
サンプルAに、赤外線吸収剤として、スズ-アンチモン系酸化物を添加し、塗膜用組成
物を調製した。本項において、当該塗膜用組成物を「サンプルIR」という。サンプルI
Rにおいて、赤外線吸収剤は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョン80
質量部、及びアクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂の水性エマルジョン20質量部の
合計100質量部に対して、1.25質量部添加した。
サンプルAに、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール誘導体を、赤外線吸収剤とし
て、スズ-アンチモン系酸化物をそれぞれ添加し、塗膜用組成物を調製した。本項におい
て、当該塗膜用組成物を「サンプルUV-IR」という。サンプルUV-IRにおいて、
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョン80質量部、及びアクリル変性ポリ
エステル系ウレタン樹脂の水性エマルジョン20質量部の合計100質量部に対して、紫
外線吸収剤を1.00質量部、赤外線吸収剤を1.25質量部、それぞれ添加した。
上記のようにして得られた各サンプルの赤外線遮蔽能の評価を、以下のようにして行っ
た。まず、厚さが3mmの透明ガラス基板に、上記の各サンプルをそれぞれ、スピンコー
ター(ミカサ社製、製品名「1H-D7」)を用いて、塗膜が所定の厚さ(サンプルA、
サンプルIR、及びサンプルUV-IRのそれぞれにつき、100μm、200μm、及
び300μmの3枚)になるように塗布し、常温にて乾燥させた。比較例として、厚さが
3mmの透明ガラス基板を用いた。また、参考例として、厚さが3mmの透明ガラス基板
に、厚さが76μm又は148μmの市販の赤外線遮蔽フィルムを貼付したものを準備し
た。
次に、上記のようにして得られた各サンプルが塗布されたガラス基板、サンプルが塗布
されていない比較例としてのガラス基板、及び赤外線遮蔽フィルムが貼付された参考例と
してのガラス基板のそれぞれを、ハロゲンヒーター(Ushio社製、「赤外線ランプQ
IR100-1050/ZD/CL150」)の直下8cmに設置した。なお、各サンプ
ルが塗布されているか、又はフィルムが貼付されているガラス基板は、当該塗布又は貼付
されている面が、ハロゲンヒーターに対向するように設置した。また、ガラス基板からハ
ロゲンヒーターと反対方向に8cm離れた箇所に断熱材を設置し、断熱材と、ハロゲンヒ
ーターとが、ガラス基板を挟んで16cmの間隔になるようにした。
続いて、ハロゲンヒーターの照射を開始すると共に、ガラス基板の表面(ハロゲンヒー
ターに対向する面)、ガラス基板の裏面(ハロゲンヒーターに対向する面とは反対の面)
、及びガラス基板のハロゲンヒーターと反対方向に設置した断熱材の表面(ハロゲンヒー
ター及びガラス基板に対向する面)の表面温度の測定を開始した。表面温度の測定には、
熱電対を用い、10秒間隔で測定を続けた。各表面温度が安定した後、表面温度の測定の
開始から40分経過後から60分経過するまでの測定値の相加平均を算出することで、各
ガラス基板の赤外線遮蔽能を評価した。結果を図3に示す。
図3から、いずれのサンプルにおいても、比較例のガラス基板と比較して、断熱材の表
面温度が低く、赤外線遮蔽能が高いことがわかった。特に、サンプルIR及びサンプルU
V-IRを用いた実施例では、断熱材の表面温度が、赤外線遮蔽フィルムを貼付した参考
例と同程度であり、サンプルIR及びサンプルUV-IRを塗付したガラス基板が一層優
れた赤外線遮蔽能を有することがわかった。また、サンプルIR及びサンプルUV-IR
を用いた実施例では、ガラス基板の表面及び裏面の表面温度がいずれも、比較例よりも高
く、塗膜の赤外線吸収剤が効率的に赤外線を吸収していることがわかった。
(紫外線の遮蔽能の測定)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を調製した。本項におい
て、当該塗膜用組成物を「サンプルA」という。
サンプルAに、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール誘導体を添加し、塗膜用組成
物を調製した。本項において、当該塗膜用組成物を「サンプルUV」という。サンプルU
Vにおいて、紫外線吸収剤は、ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョン80
質量部、及びアクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂の水性エマルジョン20質量部の
合計100質量部に対して、1.00質量部添加した。
サンプルAに、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール誘導体を、赤外線吸収剤とし
て、スズ-アンチモン系酸化物をそれぞれ添加し、塗膜用組成物を調製した。本項におい
て、当該塗膜用組成物を「サンプルUV-IR」という。サンプルUV-IRにおいて、
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョン80質量部、及びアクリル変性ポリ
エステル系ウレタン樹脂の水性エマルジョン20質量部の合計100質量部に対して、紫
外線吸収剤を1.00質量部、赤外線吸収剤を1.25質量部、それぞれ添加した。
上記のようにして得られた各サンプルの赤外線遮蔽能の評価を、以下のようにして行っ
た。まず、厚さが5mmの透明石英ガラス基板に、上記の各サンプルをそれぞれ、スピン
コーター(ミカサ社製、製品名「1H-D7」)を用いて、塗膜が所定の厚さ(サンプル
A、サンプルUV、及びサンプルUV-IRのそれぞれにつき、100μm、200μm
、及び300μmの3枚)になるように塗布し、常温にて乾燥させた。
次に、上記のようにして得られた各サンプルが塗布された石英ガラス基板のそれぞれに
ついて、紫外可視分光光度計(Shimazu社製、製品名「UV-1280」)を用い
て、波長300nm(UV-B)、及び波長350nm(UV-A)の遮蔽率を求めた。
波長300nm(UV-B)の遮蔽率の測定結果を表1に、波長350nm(UV-A)
の遮蔽率の測定結果を表2にそれぞれ示す。なお、遮蔽率は、紫外可視分光光度計により
測定される透過率T(%)を用いて、100-T(%)として計算した。
Figure 2023029450000002
Figure 2023029450000003
(透過率の測定1)
上記耐衝撃性試験における塗膜用組成物と同様の塗膜用組成物を、石英ガラス基板に塗
布することで、塗膜の厚さが異なる3種類の透過率測定用の試料を得た。なお、塗膜用組
成物の塗布には、スピンコーター(ミカサ社製、製品名「1H-D7」)を用いた。紫外
可視分光光度計(Shimazu社製、製品名「UV-1280」)を用いて、上記のよ
うにして各試料の750nmの波長での透過率を測定した。その結果、厚さ70μmの塗
膜を有する試料では96.9%、厚さ140μmの塗膜を有する試料では94.3%、厚
さ320μmの塗膜を有する試料では88.6%であった。
(透過率の測定2)
上記赤外線及び紫外線の遮蔽能の測定試験における塗膜用組成物である、サンプルA、
サンプルUV、サンプルIR、及びサンプルUV-IRの可視光透過率を測定した。具体
的には、以下のとおりである。まず、石英ガラス基板に、上記の各サンプルをそれぞれ、
スピンコーター(ミカサ社製、製品名「1H-D7」)を用いて、塗膜が所定の厚さ(サ
ンプルA、サンプルUV、サンプルIR、及びサンプルUV-IRのそれぞれにつき、1
00μm、200μm、及び300μmの3枚)になるように塗布し、常温にて乾燥させ
た。
次に、上記のようにして得られた各サンプルが塗布された石英ガラス基板のそれぞれに
ついて、紫外可視分光光度計(Shimazu社製、製品名「UV-1280」)を用い
て、波長750nmの透過率を求めた。測定結果を表3に示す。
Figure 2023029450000004
表3から、いずれのサンプルにより得られた塗膜も可視光透過率が十分高く、全ての塗
膜において、紫外線及び/又は赤外線を遮蔽しながらも、可視光を十分に透過することが
できることがわかった。
本発明の基材飛散防止塗膜用組成物は、基材が破損した際のその基材の飛散を十分に防
止できるので、ガラス等の基材の飛散を防止する必要がある場合において、産業上の利用
可能性がある。
100…飛散防止性基材、110…基材、120…基材飛散防止塗膜、200…ローラ
ー、210…ローラー本体、220…回転軸部材、230…接続用部材、240…把手。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョンを含み、チキソトロピー性を有する、カチオン性の水性シーラーと組み合わせて用いるための基材飛散防止塗膜用組成物。
[2]
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度が、-50℃以上-10℃以下である、[1]記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[3]
チキソトロピーインデックスが、2以上である、[1]又は[2]に記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[4]
前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、30MPa以上の破断強度を有し、200%以上の破断伸度を有する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[5]
赤外線吸収剤を更に含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[6]
紫外線吸収剤を更に含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[7]
ポリエーテルポリオール系ウレタン樹脂を更に含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[8]
アクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂を更に含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
[9]
ポリエーテルポリオール系ウレタン樹脂及びアクリル変性ポリエステル系ウレタン樹脂を更に含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の基材飛散防止塗膜用組成物。

Claims (22)

  1. ポリカーボネート系ウレタン樹脂の水性エマルジョンを含み、チキソトロピー性を有す
    る、基材飛散防止塗膜用組成物。
  2. 前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度が、-50℃以上-10℃以下
    である、請求項1記載の基材飛散防止塗膜用組成物。
  3. チキソトロピーインデックスが、2以上である、請求項1又は2に記載の基材飛散防止
    塗膜用組成物。
  4. 前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂は、30MPa以上の破断強度を有し、200%
    以上の破断伸度を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組成
    物。
  5. 赤外線吸収剤を更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組
    成物。
  6. 紫外線吸収剤を更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組
    成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組成物の固化物である、基材
    飛散防止塗膜。
  8. ポリカーボネート系ウレタン樹脂を含む基材飛散防止塗膜であって、前記基材飛散防止
    塗膜の表面は、凹凸を有する、基材飛散防止塗膜。
  9. 赤外線吸収剤を更に含む、請求項8記載の基材飛散防止塗膜。
  10. 紫外線吸収剤を更に含む、請求項8又は9に記載の基材飛散防止塗膜。
  11. 前記ポリカーボネート系ウレタン樹脂のガラス転移温度が、-50℃以上-10℃以下
    である、請求項8~10のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜。
  12. 前記基材飛散防止塗膜は、表面の基準厚さからの最大凸部高さが100μm以上200
    0μm以下であり、表面の基準厚さからの最深部深さが50μm以上1500μm以下で
    ある、請求項7~10のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜。
  13. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置される請求項7~12のいずれか1項
    に記載の基材飛散防止塗膜と、を備える、飛散防止性基材。
  14. 前記基材と前記基材飛散防止塗膜との間に、カチオン性の水性シーラーの固化物をさら
    に備える、請求項13記載の飛散防止性基材。
  15. 前記カチオン性の水性シーラーは、ポリウレタン樹脂の水性エマルジョンを含む、請求
    項14記載の飛散防止性基材。
  16. 前記基材は、無機ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び繊維強化プラス
    チック、並びに、飛散防止フィルムを備えた、無機ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネ
    ート樹脂、及び繊維強化プラスチックからなる群より選択される1種以上である、請求項
    13~15のいずれか1項に記載の飛散防止性基材。
  17. 請求項1~6のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組成物を基材の表面に塗布す
    る工程と、塗布した前記基材飛散防止塗膜用組成物を乾燥させる工程と、を含む、飛散防
    止性基材の形成方法。
  18. カチオン性の水性シーラーを基材の表面に塗布する工程と、塗布した前記カチオン性の
    水性シーラーを乾燥させる工程と、前記カチオン性の水性シーラーの固化物の表面に請求
    項1~6のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する工程と、塗布した
    前記基材飛散防止塗膜用組成物を乾燥させる工程と、をこの順で含む、飛散防止性基材の
    形成方法。
  19. 前記基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する前記工程と、前記基材飛散防止塗膜用組成物
    を乾燥させる前記工程と、をこの順で2回以上繰り返す、請求項17又は18に記載の飛
    散防止性基材の形成方法。
  20. 前記基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する前記工程において、ローラー塗布により前記
    基材飛散防止塗膜用組成物を塗布する、請求項17~19のいずれか1項に記載の飛散防
    止性基材の形成方法。
  21. 前記ローラー塗布は、前記基材の表面又は前記カチオン性の水性シーラーの表面と接触
    する塗布面を有するローラーを用いるローラー塗布であり、
    前記ローラーは、前記塗布面に凹凸形状を有する、請求項20記載の飛散防止性基材の
    形成方法。
  22. 請求項1~6のいずれか1項に記載の基材飛散防止塗膜用組成物と、カチオン性の水性
    シーラーと、を含む、基材飛散防止塗膜形成キット。
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