JP2005206836A - 混合樹脂組成物並びにこれを用いてなるシート及び成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 PVC代替樹脂等として好適に用いられ、二次加工性等に優れるポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物、並びにこれを用いたシート及び成形品を得る。
【解決手段】 ポリカーボネート系樹脂(A)1〜99質量%と、カルボン酸単量体単位(イ)として、芳香族ジカルボン酸を80〜100モル%、グリコール単量体単位(ロ)として、1,4−シクロヘキサンジメタノール0.1〜40モル%と、数平均分子量500〜3000のポリアルキレングリコール0.5〜15モル%とを含むポリエステル系樹脂(B)とからなり、好ましくは示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一であり、そのガラス転移温度が、ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の間に位置する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、混合樹脂組成物、これを用いてなるシート及び成形品に関し、より詳しくは、ポリカーボネート系樹脂の透明性、耐衝撃性等の特長を損なうことなく、優れた流動性、二次加工性等を有し、かつ単一のガラス転移温度を有する、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物、並びにこれを用いたシート、成形品に関する。
従来より、透明性及び耐薬品性を有し、かつ諸物性のバランスが良好な樹脂として知られているポリ塩化ビニル(以下、単に「PVC」という)樹脂は、用途に応じて可塑剤や各種の配合剤によりガラス転移温度を幅広く制御できるため、様々な用途に用いられてきた。近年、環境問題等の観点より、PVC樹脂からPVC代替樹脂への転換が活発に検討されている。PVC代替樹脂の有力な候補の1つとして、透明性及び耐衝撃性に優れたポリカーボネート系樹脂があり、様々な用途に利用されている。しかしながら、ポリカーボネート系樹脂は、溶融粘度が高く、流動性が低いため、シート、フィルム、成型品等の二次加工品を成形する際に成形性に劣るという欠点があった。さらにポリカーボネート系樹脂は、PVC樹脂と比較してガラス転移温度が高く、耐熱性は良好であるが、PVC樹脂と同様の温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)で二次加工性(熱収縮性や真空又は圧空成型性等)が必要とされる製品には充分対応することが困難であるという欠点があった。
このようなポリカーボネート系樹脂の問題点を解決するために、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物が従来から多く提案されている。例えば、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレートなどのポリエステル樹脂とを混合した混合樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような従来の混合樹脂組成物から得られる二次加工品は、未だ充分な透明性を満足するものではなかった。これは、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とのエステル交換反応が充分に進行していないためと考えられる。
これに対して、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂のエステル交換反応率を制御することで、流動性が改良され、かつ透明性、耐溶剤性及び耐衝撃性に優れた混合樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、エステル交換反応の制御が難しいことや末端に官能基を有するポリカーボネート樹脂を用いる必要がある等の問題点があった。
また、テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「1,4−CHDM」ともいう)から構成されるポリエステル樹脂において、1,4−CHDMが40モル%以上含有される場合には、ポリカーボネート樹脂と単に溶融混合するだけで相容化し、透明で単一のガラス転移温度と良好な力学特性を有する樹脂組成物が得られることが開示されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、1,4−CHDMが40モル%以上含有されるようなポリエステル樹脂は、通常、ガラス転移温度が80℃以上であるため、ポリカーボネート樹脂との混合樹脂組成物のガラス転移温度をPVC樹脂の二次加工を行う温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)に制御することには制限があった。
さらに、ポリカーボネート樹脂の透明性、耐衝撃性等を損なわずに、流動性を向上させることを目的として、ポリカーボネート樹脂5質量部以上95質量部以下と、ポリエステル樹脂5質量部以上95質量部以下とからなる混合樹脂であって、ポリエステル樹脂の少なくとも1種類が、テレフタル酸系成分からなるジカルボン酸系重縮合成分と、40モル%以上の1,4−CHDMとを含有するポリエステル樹脂であり、該樹脂の質量比が全体のポリエステル樹脂成分の10%以上である混合樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、この混合樹脂組成物は、透明性と耐衝撃性をバランス良く併有するものではなく、未だ満足できるものではなかった。
特開昭58−18391号公報(特許請求の範囲) 特開平10−87973号公報(特許請求の範囲) 特開2002−12748号公報(特許請求の範囲) Res.Discl.(UK),229,182(1983).
本発明の課題は、透明性、耐衝撃性、流動性及び二次加工性等に優れ、単一のガラス転移温度を有し、PVC代替材料として好適に用いられる、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物、並びにこれを用いてなるシート及び成形品を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート系樹脂と特定のポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物を溶融混合すると相溶性を示し、該混合樹脂組成物を用いることにより上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の混合樹脂組成物、該組成物を用いてなるシート及び成形品により達成される。
(1) ポリカーボネート系樹脂(A)1質量%以上99質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)1質量%以上99質量%以下とからなる混合樹脂組成物において、前記ポリエステル系樹脂(B)が、カルボン酸単量体単位(イ)として、全カルボン酸単量体単位(イ)中に芳香族ジカルボン酸単位を80モル%以上100モル%以下含有すると共に、グリコール単量体単位(ロ)として、全グリコール単量体単位(ロ)中に1,4−シクロヘキサンジメタノール単位0.1モル%以上40モル%以下と、数平均分子量500以上3000以下のポリアルキレングリコール単位0.5モル%以上15モル%以下とを含有するポリエステル系樹脂であることを特徴とする混合樹脂組成物。
(2) 示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定される前記混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であり、かつ、該ガラス転移温度が前記ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度と前記ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度との間に位置する上記(1)に記載の混合樹脂組成物。
(3) 前記ポリカーボネート系樹脂(A)が芳香族ポリカーボネート樹脂である上記(1)又は(2)に記載の混合樹脂組成物。
(4) 前記ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が0℃以上50℃以下である上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
(5) 前記混合樹脂組成物がポリカーボネート系樹脂(A)75質量%以上95質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)5質量%以上25質量%以下とからなる上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
(6) 前記混合樹脂組成物がポリカーボネート系樹脂(A)30質量%以上75質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)25質量%以上70質量%以下とからなる上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
(7) 前記混合樹脂組成物のガラス転移温度が50℃以上100℃以下である上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
(8) 上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の混合樹脂組成物を用いてなることを特徴とするシート。
(9) 上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の混合樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
本発明によれば、透明性、耐衝撃性、流動性及び二次加工性等に優れ、単一のガラス転移温度を有し、PVC代替樹脂として好適に用いられる、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物、並びにこれを用いてなるシート及び成形品を提供することができる。
以下、本発明の混合樹脂組成物、シート及び成形品について詳細に説明する。
なお、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲からわずかに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含されるものである。
〔混合樹脂組成物〕
本発明の混合樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂(A)と、ポリエステル系樹脂(B)とからなり、前記ポリエステル系樹脂(B)が、カルボン酸単量体単位(イ)として、全カルボン酸単量体単位(イ)中に芳香族ジカルボン酸単位を80モル%以上100モル%以下含有すると共に、グリコール単量体単位(ロ)として、全グリコール単量体単位(ロ)中に1,4−シクロヘキサンジメタノール単位0.1モル%以上40モル%以下と、数平均分子量500以上3000以下のポリアルキレングリコール単位0.5モル%以上15モル%以下とを含有するポリエステル系樹脂である。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂(A)は、芳香族ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族ポリカーボネート系樹脂は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。
本発明に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、ホスゲン法、エステル交換法、ピリジン法等、公知のいずれの方法を用いてもかまわない。以下一例として、エステル交換法による芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法を説明する。
エステル交換法は、2価フェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。2価フェノールの代表例としては、ビスフェノール類が挙げられ、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、すなわちビスフェノールAが好ましく用いられる。また、ビスフェノールAの一部又は全部を他の2価フェノールで置き換えてもよい。他の2価フェノールとしては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンや1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのような化合物、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなアルキル化ビスフェノール類、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
炭酸ジエステルの代表例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリカーボネート系樹脂(A)の重量平均分子量は、力学特性と成形加工性のバランスから、通常、10,000〜100,000、好ましくは20,000〜50,000の範囲である。なお、本発明においては、ポリカーボネート系樹脂(A)を一種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
次に本発明の混合樹脂組成物を構成するポリエステル系樹脂(B)について説明する。ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸単量体単位(イ)は、芳香族ジカルボン酸単位を全カルボン酸単量体単位(イ)中に80モル%以上、好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むことが望ましい。芳香族ジカルボン酸は、得られるポリエステル系樹脂(B)に耐熱性及び力学強度を付与するものであり、全カルボン酸単量体単位(イ)中に80モル%以上含まれれば、得られるポリエステル系樹脂(B)が良好な耐熱性及び力学強度を示すようになる。一方、芳香族ジカルボン酸単位の含有量の上限は特に制限はないが、100モル%以下であることが好ましい。
含まれる芳香族ジカルボン酸単位は特に制限はないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4又は2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の各単位が挙げられる。芳香族ジカルボン酸単位は、そのエステルとして重合に供される場合もある。芳香族ジカルボン酸のエステル単位は特に制限はないが、上記の芳香族ジカルボン酸のエステル単位が好ましく、具体的には低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等の各単位が挙げられる。
また、カルボン酸単量体単位(イ)は、脂肪族ジカルボン酸単位を少量(通常、20モル%未満の範囲)含んでもよい。脂肪族ジカルボン酸単位としては特に制限はなく、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等の各単位が挙げられる。
ポリエステル系樹脂(B)を構成するグリコール単量体単位(ロ)は、1,4−CHDM単位を0.1モル%以上40モル%以下と、数平均分子量が500以上3000以下のポリアルキレングリコール単位を0.5モル%以上15モル%以下含むグリコールからなる。グリコール単量体単位(ロ)は、上記したグリコール単位以外には特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール(副成する成分も含む)、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−又はシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などの各単位で構成されていてもよい。
上記グリコール単位は1種のみを単独で、又は2種以上を混合して含むことができる。また、ポリエステル系樹脂に色調、透明性、耐熱性、耐衝撃性等を適宜付与することもできる。得られるポリエステル樹脂の成形時における熱安定性を付与する点や安価で工業的に入手が容易であること等を考慮すると、グリコール単量体単位(ロ)としては、エチレングリコール単位を用いることが好ましい。
グリコール単量体単位(ロ)に含まれる1,4−CHDMは、得られるポリエステル系樹脂(B)に主に耐衝撃性を付与するものである。従来、テレフタル酸単位と、エチレングリコール単位及び1,4−CHDM単位とからなるポリエステル系樹脂と、ポリカーボネート系樹脂とを混合させて混合樹脂組成物を得る場合、ポリエステル系樹脂とポリカーボネート系樹脂とを良好に相容化させ、透明な単一のTg及び良好な力学特性を併有する樹脂組成物を得るためには、1,4−CHDM単位は少なくとも40モル%含有させるのが一般的であった(例えば、Res.Discl.(UK),229,182(1983)参照)。しかしながら、1,4−CHDM単位が40モル%以上含有されるようなポリエステル系樹脂は、通常、Tgが80℃程度以上であるため、ポリカーボネート系樹脂との混合樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)をPVC樹脂の二次加工を行う温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)に制御することは困難であった。本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート系樹脂と特定のポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物であれば、ポリエステル系樹脂中の1,4−CHDM単位の含有量が40モル%以下であっても相溶性を有することを見出した。
ポリエステル系樹脂(B)における1,4−CHDM単位の含有量が、グリコール単量体単位(ロ)中0.1モル%以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)に耐衝撃性を付与することができ、また、その上限が40モル%であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度を極端に低下させることもなく好ましい。本発明においては、1,4−CHDM単位の含有量は、全グリコール単量体単位(ロ)中に1モル%以上より好ましくは10モル%以上であり、また上限は38モル%以下、より好ましくは35モル%以下であることがさらに望ましい。なお、1,4−CHDMには、シス型とトランス型の2種類の異性体が存在するが、いずれであってもよい。
グリコール単量体単位(ロ)中に含まれる、数平均分子量が500以上3000以下のポリアルキレングリコール単位は、得られるポリエステル樹脂に主に柔軟性と低いガラス転移温度(0℃以上50℃以下)を付与するものである。ポリアルキレングリコールの数平均分子量が500以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)に十分な柔軟性を付与でき、また上限が3000であれば、他の成分やポリマーとの相溶性が低下したり、重合反応が停滞したり、得られるポリエステル樹脂の力学強度が低下したりすることを抑えることができる。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは800以上、さらに好ましくは1000以上であり、かつ上限は2000であることが好ましい。
また、上記ポリアルキレングリコールは、数平均分子量の異なるものを複数種併用してもよい。複数種併用する場合は、均一に混合した状態での数平均分子量が前記範囲内であることが好ましい。なお、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等の一般的な方法により測定することができる。
上記ポリアルキレングリコールの含有量は、全グリコール単量体単位(ロ)中、0.5モル%以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)に柔軟性や低いガラス転移温度を付与でき、また上限が15モル%であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)の熱安定性や力学強度の低下を抑えることができる。本発明においては、数平均分子量が500以上3000以下のポリアルキレングリコールの含有量は、全グリコール単量体単位(ロ)に対して1モル%以上、より好ましくは3モル%以上であり、上限は12モル%、好ましくは10モル%であることが望ましい。
上記ポリアルキレングリコール単位の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等の各単位が挙げられ、中でもポリテトラメチレングリコール単位であることが好ましい。これらのポリアルキルグリコール単位は、1種のみを単独、又は2種以上を混合して使用できる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)は、上述したように芳香族ジカルボン酸を80モル%以上100モル%以下含むカルボン酸単量体単位(イ)と、1,4−CHDM0.1モル%以上40モル%以下と、数平均分子量500以上3000以下のポリアルキレングリコール0.5モル%以上15モル%以下とを含むグリコール単量体単位(ロ)とから構成されるポリエステル系樹脂である。得られるポリエステル系樹脂(B)の柔軟性、溶融粘度、透明性、機械特性、耐溶剤性等を調整するために、さらに3価以上の多価カルボン酸化合物単位及び/又は3価以上の多価アルコール単位を少量(通常、0.05モル%以上2モル%以下程度)共重合させてもよい。
ここで、3価以上の多価カルボン酸化合物単位としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物等の各単位が挙げられる。また、3価以上の多価アルコール単位としては、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の各単位が挙げられる。これらは1種のみを単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
3価以上の多価カルボン酸化合物単位及び/又は3価以上の多価アルコール単位のうち、多価カルボン酸化合物単位のみを含有させる場合、多価カルボン酸化合物単位の含有量は上記全カルボン酸単量体単位(イ)中、通常、0.05モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また上限は2モル%、好ましくは1モル%である。
また、多価アルコール単位のみを含有させる場合には、多価アルコールの含有量は上記全グリコール単量体単位(ロ)中、通常、0.05モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また、上限は2モル%、好ましくは1モル%である。
一方、多価カルボン酸化合物単位と多価アルコール単位を併用する場合は、3価以上の多価カルボン酸化合物単位の上記全カルボン酸単量体単位(イ)中の含有量と、3価以上の多価アルコールの上記全グリコール単量体単位(ロ)中の含有量の合計が、通常、0.05モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、また2モル%以下、好ましくは1モル%以下である。これら多価カルボン酸化合物単位及び/又は多価アルコール単位の含有量が、上記それぞれの場合において、0.05モル%以上含まれれば、得られるポリエステル系樹脂(B)の柔軟性や溶融粘度の改良効果が十分得られ、また含有量が2モル%以下であれば、ゲル化して反応の制御が困難になることはなく、得られるシートや成形品にフィッシュアイの発生を抑えることができる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)は、公知の直接重合法やエステル交換法等により製造でき、必要に応じて、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン等のエステル化触媒、エステル交換触媒や、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を使用することができる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂(B)のテトラクロロエタン/フェノール(重量比1/1)を溶媒として30℃で測定した固有粘度は、0.4dl/g以上、好ましくは0.7dl/g以上であり、1.5dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下の範囲のものである。固有粘度が0.4dl/g以上であれば、得られるポリエステル系樹脂(B)の耐湿性や力学強度が極端に低下することがなく、一方、固有粘度が1.5dl/g以下であれば、比較的短時間で重合反応を行えるため、生産サイクルやコストの点において好ましい。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂(B)は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の混合樹脂組成物は、上記ポリカーボネート系樹脂(A)1質量%以上99質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)1質量%以上99質量%以下とからなる混合樹脂組成物であるが、その混合質量比は、目的とする用途に応じて調整することが好ましい。例えば、ポリカーボネート系樹脂(B)の耐熱性、透明性、及び耐衝撃性などの特長を損なうことなく、流動性を向上させたい場合には、混合樹脂組成物の混合質量比をポリカーボネート系樹脂(A)75質量%以上95質量%以下、ポリエステル系樹脂(B)5質量%以上25質量%以下とすればよい。また、PVC樹脂と同様の温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)において二次加工性(熱収縮性や真空・圧空成型性など)を付与させたい場合には、混合樹脂組成物の混合質量比をポリカーボネート系樹脂(A)30質量%以上75質量%以下、ポリエステル系樹脂(B)25質量%以上70質量%以下、より好ましくは、ポリカーボネート系樹脂(A)40質量%以上70質量%以下、ポリエステル系樹脂(B)30質量%以上60質量%以下とすればよい。
次に、本発明の混合樹脂組成物のガラス転移温度について説明する。
本発明の混合樹脂組成物は、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一であり、該ガラス転移温度は、ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度とポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度の間に位置する温度であることが好ましい。
ここで、混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であるとは、混合樹脂組成物を日本工業規格JISK7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示すピークが1つだけ現れるという意味である。混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であることにより、得られるシートが良好な相溶性と優れた透明性とを実現できる。相溶性が良好なことは、上記DSC測定のほか、動的弾性測定などによっても確認することができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、示差走査熱量測定により測定されるガラス転移温度が通常150℃程度であるため、例えば、ポリカーボネート系樹脂(A)30質量%以上75質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)25質量%以上70質量%以下の混合樹脂組成物でPVC樹脂と同様な温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)において二次加工性を付与するためには、すなわち、混合樹脂組成物のガラス転移温度を50℃以上、好ましくは55℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、上限の温度を100℃、好ましくは95℃、さらに好ましくは85℃とするためには、ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が0℃以上、好ましくは5℃以上であり、かつ上限が50℃、好ましくは45℃であることが好ましい。
混合樹脂組成物のガラス転移温度が50℃以上であれば、十分な耐熱性が得られやすくなり、一方、ガラス転移温度が100℃以下であれば、PVC樹脂と同様の温度域における二次加工性が得られる。また、ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が0℃以上であれば、原料ペレットがブロッキングにより取り扱いが困難になることを抑えることができ、一方、ガラス転移温度が50℃以下であれば、混合樹脂組成物のガラス転移温度を低下させる効果を発揮することができる。
本発明の混合樹脂組成物には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、成形加工性やシートの諸物性を改良・調整する目的のため、ポリエステル系樹脂(B)以外のポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、加水分解防止剤(カルボジイミド化合物の単量体又は重合体など)、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を適宜添加してもかまわない。
また、本発明の混合樹脂組成物は、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法、インフレーション法などの方法を用いて、特に限定されるものではないが、通常5μm以上3000μm以下の厚さのフィルム、シートあるいはプレート(以下、フィルム、シートあるいはプレートを単にシートと略記する)に好適に成形される。溶融混練には、一般的に使用される単軸押出機、二軸押出機、ニーダーやミキサーなどが使用でき、特に制限されるものではないが、混合樹脂組成物の均一分散性、得られるシートの力学強度の安定性から二軸押出機を用いることが好ましい。
また、本発明においては、溶融混練時にポリカーボネート系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との間で発生する反応(エステル交換反応など)をできるだけ抑制することが好ましい。過度に反応が進行すると、得られる混合樹脂組成物の熱的性質の劣化のみならず、着色やガス生成によりシートに発泡現象が現れる場合があり好ましくない。このため、使用する原料の触媒の種類(Ge系触媒が好ましく使用される)と原料中に残存している触媒量、あるいは、溶融混練時の温度と滞留時間、必要に応じて、リン系化合物(リン酸又は亜リン酸系化合物等)などエステル交換抑制剤の添加などにも注意を払うことが好ましい。
例えば、Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、混合樹脂組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね320℃以下、好ましくは240℃以上280℃以下の範囲が好適である。また、得られたシートをさらに一軸方向及び/又は二軸方向に延伸加工を行うことができる。さらに必要に応じてシートには、印刷、エンボス加工、電子線加工、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工を施すことができる。
本発明の混合樹脂組成物から得られたシートは、透明性、耐衝撃性、破断強伸度などの力学特性に優れ、かつPVC樹脂と同様な温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)で二次加工性等が可能である。そのため、本発明の混合樹脂組成物の用途は特に制限されるものではないが、従来PVC樹脂が用いられていた用途に好適に用いられ、例えば、建材、内装部品、透明シート、樹脂被覆金属板用シート、成型(真空・圧空成型、熱プレス成型など)用シート、着色プレート、透明プレート、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シュリンクチューブ等に使用できる。
以下に実施例で本発明をさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
なお、本明細書中に表示される原料及びシートについての種々の測定値及び評価は次のようにして行った。ここで、シートの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向と呼ぶ。
(1)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、シートから切り出した試料10mgをJIS K7121に準じて、加熱速度を10℃/分で−40℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、−40℃で1分間保持した後、加熱速度10℃/分で再昇温した時のサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。
(2)ポリエステル系樹脂の組成分析
ポリエステル系樹脂を重クロロホルム(溶媒)に溶解させた溶液(試料濃度:100mg/1ミリリットル溶媒)を試料とし、この溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)によりHをモニターすることにより分析し、カルボン酸単量体単位に関しては全カルボン酸単量体単位に対するモル%を、グリコール単量体単位に関しては全グリコール単量体単位に対するモル%を求めた。
(3)平均屈折率
JIS K7142に準じて、ナトリウムD線(589nm)を光源として、(株)アタゴ製アッベ屈折計を用いて測定した。
(4)ヘーズ(曇価)
JIS K7105に準じて得られたシートのヘーズ値を測定した。
(5)引張弾性率
JIS K7127に準じて、温度23℃、試験速度5mm/分の条件で試料の横方向について測定した。
(6)引張破壊強さ、引張破壊伸び
JIS K7127に準じて、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で試料の横方向について測定した。
(7)耐衝撃性
ハイドロショット高速衝撃試験器((株)島津製作所製「HTM−1型」)を用いて、縦方向100mm×横方向100mmの大きさに切り出したシートを試料とし、クランプで固定し、温度0℃でシート中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与え、試料が破壊するときのエネルギー(kgf・mm)を測定した。
(8)流動開始温度
得られたシートをはさみで小さく刻み乾燥後、(株)島津製作所製の「高化式フローテスターCFT−500C型」により内径1mm、長さ2mmのノズルを用いて、昇温速度3℃/分、荷重3.92MPa(40kgf/cm2)の条件で測定した。
(実施例1)
表1に示すようにポリカーボネート系樹脂(A)として、乾燥した芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、「ノバレックス7025A」、Tg:149.5℃、平均屈折率:1.5858)(以下、単にPCと略記することがある)75質量%と、ポリエステル系樹脂(B)として、乾燥した透明軟質ポリエステル樹脂(三菱レイヨン(株)製、「ダイヤナイトDN−124」、Tg:19.1℃、カルボン酸単量体単位(イ):テレフタル酸100モル%、グリコール単量体単位(ロ):エチレングリコール66モル%、ジエチレングリコール2モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール26モル%、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール6モル%、平均屈折率:1.5461)(以下、単にPET−1と略記することがある)25質量%とからなる混合樹脂組成物を、Tダイを備えたφ40mm同方向二軸押出機(L/D=36)を用いて設定温度270℃で溶融混練し、80℃(実施例2以降において、キャストロールの温度は、シートのキャストロールへの密着状態を確認しながら、樹脂組成物のTg−20℃前後の温度で適宜調整した)のキャストロールでキャスト製膜することにより厚さ150μmのシートを得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
表1に示すように、実施例1においてポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ90質量%及び10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にシートを得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
表1に示すように、実施例1においてポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ95質量%及び5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にシートを得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
表1に示すように、実施例1においてポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ100質量%及び0質量%に変更した以外は、実施例1と同様にシートを得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)や力学特性などの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
表2に示すように、実施例1においてポリカーボネート系樹脂(A)として使用したPCとポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1の混合比をそれぞれ50質量%及び50質量%に変更した以外は、実施例1と同様にシートを得た。続いて、得られたシートをテンタ−延伸設備を用いて、延伸温度95℃、横方向に3.0倍延伸した後、冷風で急冷して、厚み50μmの熱収縮性シートを得た。得られたシートを用いて評価したガラス転移温度(Tg)(図1参照)や得られた熱収縮性フィルムを用いて評価した力学特性などの評価結果を表2に示す。なお、熱収縮率は、得られた熱収縮性シートを縦方向100mm×横方向100mmの大きさに切り出し、80℃の温水バスに10秒間浸漬し、横方向の収縮量を測定し、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で求めた。
(比較例2)
表2に示すように、実施例4においてポリエステル系樹脂(B)として使用したPET−1に代えて、非晶性ポリエステル樹脂[イーストマンケミカル(株)製、「EASTAR PETG Copolyester6763」、Tg:79.0℃、カルボン酸単量体単位(イ):テレフタル酸100モル%、グリコール単量体単位(ロ):エチレングリコール68モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール32モル%、平均屈折率:1.5667](以下、単にPET−2と略記することがある)を使用した以外は、実施例4と同様にシートを得た。続いて、得られたシートをテンタ−延伸設備を用いて、延伸温度95℃、横方向に3.0倍延伸しようと試みたが、フィルム破断のため延伸不可であった。また、得られたシートは、79.4℃と134.8℃の2箇所にガラス転移温度(Tg)を示した(図2参照)。
Figure 2005206836
Figure 2005206836
表1及び2より、本発明で規定するポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物は、単一のガラス転移温度を有し、ポリカーボネート系樹脂の透明性、耐衝撃性などの特長を大きく損なうことなく、流動性(実施例1〜3)や二次加工性(実施例4)などに優れることがわかる。これに対して、ポリカーボネート樹脂単独では、耐衝撃性や透明性などは良好なものの、流動性に劣り(比較例1)、また、本発明で規定する範囲外のポリエステル系樹脂を用いた場合には、ポリカーボネート系樹脂との相溶性に劣り、PVC樹脂と同様な温度域(通常、50℃以上100℃以下程度)での二次加工性(熱収縮性など)の付与が困難であることがわかる(比較例2)。
実施例4で得られたシートのガラス転移温度(Tg)を示すDSCサーモグラムである。 比較例2で得られたシートのガラス転移温度(Tg)を示すDSCサーモグラムである。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート系樹脂(A)1質量%以上99質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)1質量%以上99質量%以下とからなる混合樹脂組成物において、前記ポリエステル系樹脂(B)が、カルボン酸単量体単位(イ)として、全カルボン酸単量体単位(イ)中に芳香族ジカルボン酸単位を80モル%以上100モル%以下含有すると共に、グリコール単量体単位(ロ)として、全グリコール単量体単位(ロ)中に1,4−シクロヘキサンジメタノール単位0.1モル%以上40モル%以下と、数平均分子量500以上3000以下のポリアルキレングリコール単位0.5モル%以上15モル%以下とを含有するポリエステル系樹脂であることを特徴とする混合樹脂組成物。
  2. 示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定される前記混合樹脂組成物のガラス転移温度が単一であり、かつ、該ガラス転移温度が前記ポリカーボネート系樹脂(A)のガラス転移温度と前記ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度との間に位置する請求項1に記載の混合樹脂組成物。
  3. 前記ポリカーボネート系樹脂(A)が芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1又は2に記載の混合樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度が0℃以上50℃以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
  5. 前記混合樹脂組成物がポリカーボネート系樹脂(A)75質量%以上95質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)5質量%以上25質量%以下とからなる請求項1乃至4のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
  6. 前記混合樹脂組成物がポリカーボネート系樹脂(A)30質量%以上75質量%以下と、ポリエステル系樹脂(B)25質量%以上70質量%以下とからなる請求項1乃至4のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
  7. 前記混合樹脂組成物のガラス転移温度が50℃以上100℃以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の混合樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の混合樹脂組成物を用いてなることを特徴とするシート。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載の混合樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形品。
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