JP3931311B2 - ポリエステルエラストマ製管状体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性や透明性を有するポリエステルエラストマ樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位および/またはポリラクトンのような脂肪族ポリエステル単位をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体は、押出成形性、射出成形性に優れ、機械的強度が高く、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などのゴム的性質、低温および高温特性、耐水性、耐薬品性などに優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であるため、自動車部品および電気・電子部品、繊維、フィルムなどに用途を拡大している。
【0003】
このように有用なポリエステルブロック共重合体であるが、溶融時は透明であっても、冷却固化時は白濁して不透明になるため、透光性や透明性を要求される用途には用いることができなかった。特に、管状体においては内容物が見えるように透光性や透明性を要求されることが多いが、この要求を満たすものは提供できない現状にあった。そこで、現状では熱可塑性ポリウレタンエラストマが使用されることが多い。
【0004】
柔軟で透明なポリエステルエラストマ製管状体を製造する技術は、これまでにもなかったわけではなく、例えば、特定のポリオキシアルキレングリコール含量のポリエーテルエステルブロック共重合体を管状体に押出成形した後、該管状体を面積倍率1.05倍〜20倍に延伸し、且つ特定の還元粘度を保持することによって得たポリエステルエラストマ製管状体が特開昭51−31776号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記、特開昭51−31776号公報に開示されたポリエステルエラストマ製管状体は、確かに柔軟性と透明性の付与された管状体であるが、実際には透明なチューブを作るのが難しく、また、成形した管状体を延伸する必要があるため、生産効率が低いうえ、外径や内径が十分コントロールされた一定形状の管状体を得るのが難しかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、透光性や透明性に優れて内容物が確認でき、柔軟性、機械的強度、弾性回復性などのゴム的性質、屈曲疲労性などの耐久性を有し、耐薬品性、耐低温衝撃性に優れ、成形体表面へのブルーミングや熱や光による変色がなく、通常の成形法で安定して成形できるポリエステルエラストマ製管状体について鋭意検討した結果、特定の組成を有するポリエステルブロック共重合体に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体を特定量配合した樹脂組成物、さらにこれにカルボン酸のアルカリ金属塩、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤の4種類から選ばれた1種類以上を配合した樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体を見いだし本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)10〜50重量%と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)90〜50重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)を0.2重量部以上20重量部未満配合してなり、厚さ2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の、透光性あるいは透明性を有するポリエステルエラストマ樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体であり、さらに、カルボン酸のアルカリ金属塩(C)0.01〜3重量部、酸化防止剤(D)0.1〜5重量部、光安定剤(E)0.1〜5重量部および可塑剤(F)1〜50重量部の4種類の中から選ばれた1種類以上を配合してなり、厚さ2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の、透光性あるいは透明性を有するポリエステルエラストマ樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0009】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物におけるポリエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成されるポリエステルであり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであるが、この他に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであっても良い。また、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸を共重合してもよい。さらに3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
【0010】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物におけるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性や吸水特性からポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペートなどが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0011】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物におけるポリエステルブロック共重合体(A)中の高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量は10〜50重量%、低融点重合体セグメント(b)の共重合量は90〜50重量%である。高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量が10重量%未満であると、結晶性が不十分となり成形性や耐熱性が悪くなる。一方、高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量が50重量%をこえると、本発明の目的とする透光性や透明性が十分に発現しない。
【0012】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物におけるポリエステルブロック共重合体(A)は公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。また、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法。高融点結晶性セグメントと低融点重合体セグメントを鎖連結剤でつなぐ方法。さらにポリ(ε−カプロラクトン)を低融点重合体セグメントに用いる場合は、高融点結晶性セグメントにε−カプロラクトンモノマを付加反応させるなど、いずれの方法をとってもよい。
【0013】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物における成分の一つである側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)は、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのエチレン系不飽和カルボン酸との共重合体を、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオンで中和したもので、これらは、例えばデュポン社から”サーリン”または三井・デュポンポリケミカル社から”ハイミラン”として市販されているものである。中でもナトリウムイオンで中和したものが好ましい。
【0014】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物においては、ポリエステルブロック共重合体(A)を100重量部と、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)を0.2重量部以上20重量部未満、好ましくは0.5〜15重量部、特に好ましくは1〜10重量部配合する。側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)の配合量が0.2重量部未満では、透光性や透明性が不十分であるうえ安定な成形性が得られず、20重量部以上では相分離が起こり、機械的な物性と透光性や透明性が低下する。
【0015】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物は、厚さ2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下のものである。ヘイズ値が70%未満のものは目視で透明である。ヘイズ値が70%から85%のものは目視では半透明であるが透光性は有する。これらのものも厚さを1mmよりも薄くすると透明になる。ヘイズ値が85%を越えるものは不透明で透光性も透明性も有しない。これらのものは厚さを0.5mmよりも薄くしても不透明なままである。
【0016】
本発明の管状体に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)を0.2重量部以上20重量部未満配合した樹脂組成物は透光性や透明性に優れるが、ポリエステルブロック共重合体(A)における高融点結晶性重合体セグメント(a)の共重合量が、本発明の請求範囲内において増した場合に、透光性や透明性が若干不足してくることがある。そのような場合は、カルボン酸のアルカリ金属塩(C)を配合することによって、透光性や透明性を向上することができる。この場合、本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物においては、カルボン酸のアルカリ金属塩(C)だけをポリエステルブロック共重合体(A)に配合して透光性や透明性を付与する場合に比べて、少量の添加ですむのでブルーミングや機械的強度の低下がない。ここで用いるカルボン酸のアルカリ金属塩(C)としては、脂肪族、脂環族または芳香族のカルボン酸のナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩が挙げられるが、中でも炭素数10以上の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩、および/またはダイマー酸のアルカリ金属塩が好ましい。これらのカルボン酸のアルカリ金属塩(C)は、0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部を配合する。
【0017】
本発明の管状体は、透光性や透明性に優れて内容物が確認でき、柔軟性、機械的強度、弾性回復性などのゴム的性質、屈曲疲労性などの耐久性を有し、耐薬品性、耐低温衝撃性に優れ、成形体表面へのブルーミングなどがなく、通常の成形法で安定して成形できるが、ポリエステルエラストマ樹脂組成物に酸化防止剤(D)を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ熱による変色に対する耐性を向上させることができる。ここで用いる酸化防止剤(D)としては、分子量が500以上のヒンダードフェノール系化合物、およびホスファイト系化合物やチオエーテル系化合物などの過酸化物分解剤が好ましい。ヒンダードフェノール系ラジカル捕捉剤と、過酸化物分解剤を組み合わせて用いるとさらに好ましい。これらの酸化防止剤(D)は0.1〜5重量部を用いる。
【0018】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物は、光安定剤(E)を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ光による変色に対する耐性を向上させることができる。ここで用いる光安定剤(E)としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ヒンダードアミン系化合物などが好ましい。これらを単独で用いてもよいが、ベンゾトリアゾール系化合物あるいはベンゾフェノン系化合物などの紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系化合物を組み合わせて用いるとさらに好ましい。これらの光安定剤(E)は0.1〜5重量部を配合する。
【0019】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物は、可塑剤(F)を配合することによって、透光性や透明性を保ちつつ柔軟性や溶融流動性を向上させることができる。ここで用いる可塑剤(F)としては、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤、グリコールジベンゾエート系可塑剤などの芳香族エステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤、ペンタエリスリット系可塑剤、芳香族スルホンアミド系可塑剤、フェノール系誘導体のアルキレンオキサイド付加物系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪族エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤などが好ましい。これらの中でも芳香族エステル系可塑剤が特に好ましい。これらの可塑剤(F)は1〜50重量部を配合する。
【0020】
本発明の管状体に用いられるポリエステルエラストマ樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルブロック共重合体、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体、および必要によりカルボン酸のアルカリ金属塩をはじめとする他の添加物を一緒に配合した原料をスクリュー型押出機に供給し溶融混練する方法、またスクリュー型押出機に、まずポリエステルブロック共重合体を供給して溶融し、さらに他の供給口より側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体、および必要によりカルボン酸のアルカリ金属塩をはじめとする他の添加物を供給混練する方法など、適宜採用することができる。
【0021】
本発明においては、上記の樹脂組成物を適宜な形状のダイを有する押出機を用いて溶融押出成形により管状体とする。
【0022】
本発明の管状体は、各種の気体、液体、流動体などを移送するための管状体として使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例によって本発明の効果を説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。また、実施例中に示される物性は次のように測定あるいは評価した。
【0024】
・相対粘度
o−クロロフェノールを溶媒とした0.5%のポリマ溶液を25℃で測定した。
【0025】
・融点
差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
【0026】
・硬度(ショアDスケ−ル)
JIS K7215に従って、デュロメーターDスケールで測定した。
【0027】
・溶融粘度指数(MFR値)
ASTM D1238に従って、温度220℃、荷重2160gで測定した。
【0028】
・ヘイズ値
プレス成形法によって作成した厚さ2mmのシートを用い、直読ヘイズメーター(東洋精機社製NO.206型)で測定した。
【0029】
・管状体の透明性
管状体の中に水を通し、その先端が確認できるかどうかで判定した。
【0030】
○:確認できる。
【0031】
×:確認できない。
【0032】
・耐屈曲疲労性
管状体を恒温槽付きデマッチャ屈曲試験機(東洋精機製作所製)にチャック間距離100mmで取り付け、0℃あるいは100℃で、屈曲回数300回/秒、サンプルストローク距離20mmで試験し、亀裂が発生する回数を測定した。
【0033】
・ブルーミング
管状体を、60℃の恒温槽中で3週間熱処理し、取り出した後、表面への析出状態を目視で観察した。
【0034】
・耐熱変色性
管状体を、80℃の恒温槽中で4週間熱処理し、取り出した後、変色の状態を目視で観察した。
【0035】
・耐光変色性
管状体を、紫外線カーボンアークランプを光源とするフェードオーメーター中で、槽内温度50℃で10時間処理し、取り出した後、変色の状態を目視で観察した。
【0036】
参考例
ポリエステルブロック共重合体(A−1)の製造
テレフタル酸234部、1,4−ブタンジオール228部および数平均分子量約2000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール754部を、チタンテトラブトキシド0.2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1010(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で3時間30分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。本共重合体は、低融点重合体セグメントの共重合量が77重量%、相対粘度2.05、融点168℃、ショア硬度30Dで、冷却固化時は白濁して不透明であった。
【0037】
ポリエステルブロック共重合体(A−2)の製造
テレフタル酸348部、1,4−ブタンジオール340部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール645部を、チタンテトラブトキシド0.2部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1098(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.5部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間45分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。本共重合体は、低融点重合体セグメントの共重合量が63重量%、相対粘度1.96、融点178℃、ショア硬度40Dで、冷却固化時は白濁して不透明であった。
【0038】
ポリエステルブロック共重合体(A−3)の製造
テレフタル酸100部、1,4−ブタンジオ−ル110部、テトラブチルチタネ−ト0.05部を精留塔およびヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。その後、反応物を重合缶に移液し、250℃に昇温しつつ、系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なって相対粘度1.47、融点225℃のポリブチレンテレフタレ−トを得た。該ポリブチレンテレフタレ−トとε−カプロラクトンをそれぞれ700g/hr、1700g/hrで、内径30mmφ、L/D=40、中間部と先端部に長さ200mmの混練ユニットを有するスクリュ−を備えた単軸押し出し機の最後部供給口に供給し、シリンダ−中間部の設定温度を240℃、スクリュ−回転数30rpmで付加重合反応を行った。次に、ダイスからポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行なってペレットとした。該ペレット100部、トリフェニルホスフィン0.1部を内径30mmφ、L/D=40でフルフライトスクリュ−を備えたベント付き単軸押出機を使用して、ベント口の真空度10mmHg、押出温度200℃、スクリュ−回転数60rpmで混練し、脱ε−カプロラクトンと触媒失活を行ない、ダイスからポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。 1H−NMR分析の結果、ポリカプロラクトンからなる低融点共重合体セグメントの共重合量は70重量%であった。本共重合体は、相対粘度1.98、融点173℃、ショア硬度35Dで、冷却固化時は白濁して不透明であった。
【0039】
ポリエステルブロック共重合体(A−4)の製造
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸80モル%、イソフタル酸20モル%、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを使用し、ジカルボン酸成分に対して0.05重量%のテトラチタンブトキシドで重合したポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体320部と、アジピン酸、1,4−ブタンジオール、アジピン酸に対して0.05重量%のテトラチタンブトキシドを用いて重合したポリブチレンアジペート680部とを、窒素雰囲気下、250℃で30分間溶融混合後、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体とポリブチレンアジペートとの合計量に対して0.1重量%のリン酸を添加した。得られたポリマを水中にストランド状に吐出し、カッティングを行ってペレットとした。本共重合体は、低融点重合体セグメントの共重合量が68重量%、相対粘度1.97、融点158℃、ショア硬度38Dで、冷却固化時は白濁して不透明であった。
【0040】
実施例1〜3
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)、(A−3)、(A−4)の3種類のそれぞれ100重量部に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体として三井・デュポンポリケミカル社製の”ハイミラン”1707(イオンタイプはナトリウム)(B)5重量部をドライブレンドし、45mmφのシリンダー径を有する二軸押出機を用いて、表1に示す温度でそれぞれ溶融混練したのちペレット化した。このペレットを80℃で3時間乾燥後、ポリテトラフルオロエチレン製シート(ニチアス(株)製”ナフロン”テープ、TOMBO 9001)にはさみ、溶融混練温度と同じ成形温度でプレスし、60℃で冷却したのち、ポリテトラフルオロエチレン製シートを剥がして、厚み約2mmのシートを成形した。これらのプレスシートのヘイズ値を測定して結果を表1に示す。これらのシートの下に置いた印刷物の文字は、いずれも容易に見ることができた。また、これらの組成物のMFR値も表1に示す。次いで、これらの乾燥ペレットを表1に示すシリンダー温度およびダイ温度で、チューブ用環状ダイを有する40mmφシリンダー径の押出機を用いて押出し、水で冷却して管状体とした。これらの管状体は、いずれも透明性に優れていた。次いで、これらの管状体について100℃で耐屈曲疲労性を評価したが、表1に示すようにきわめて良好だった。
【0041】
【表1】
比較例1〜3
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)、(A−3)、(A−4)の3種類のペレットを、80℃で3時間乾燥後、MFRを測定するとともに、実施例1と同様の方法でプレスシートのヘイズ値を測定した。結果を表1に示す。いずれのシートも不透明で、これらのシートの下に置いた印刷物の文字は見えなかった。次いで、これらの乾燥ペレットを用いて実施例1と同様の方法で管状体を得た。これらの管状体はいずれも透明性を有していなかった。また、100℃で耐屈曲疲労性を評価したが、本発明の管状体と比べると劣っていた。
【0042】
実施例4〜6
参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−2)100重量部に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体として三井・デュポンポリケミカル社製の”ハイミラン”1707(イオンタイプはナトリウム)(B)5重量部、チバ・ガイギー社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤(”イルガノックス”1010)(D−1)0.3重量部、旭電化社製のホスファイト系酸化防止剤(”アデカスタブ”PEP−4C)(D−2)0.3重量部、チバガイギー社製のヒンダードアミン系光安定剤(”キマソーブ”944LD)(E)0.3重量部をドライブレンドし、45mmφのシリンダー径を有する二軸押出機を用いて、220℃で溶融混練したのちペレット化した。このペレットを80℃で3時間乾燥後、実施例1と同じ方法で厚み約2mmのプレスシートを成形し、シートのヘイズ値を測定した。ヘイズ値は81.2%で、シートの下に置いた印刷物の文字は見ることができた。また、この組成物のMFR値は5.7であった。次いで、これらの乾燥ペレットをシリンダー温度230℃、ダイ温度210℃で、実施例1と同様の管状体を得た。また実施例4の配合物に、さらにステアリン酸ナトリウム(C)0.5重量部を配合した組成物を、実施例4と同様にペレット化した。プレスシートのヘイズ値は66.2%、MFRは5.1であった。この組成物を用いて実施例4と同様に管状体を製造した。また実施例4の配合物に、さらに可塑剤としてジプロピレングリコールジベンゾエート(F)5重量部を配合した組成物を、実施例4と同様にペレット化した。プレスシートのヘイズ値は81.5%、MFRは10.2であった。この組成物についても実施例4と同様に管状体を製造した。いずれも内容物が確認できる透明性を有する管状体が得られた。実施例4、実施例5、実施例6で得た管状体について、耐熱変色性と耐光変色性を調べた。いずれも変色しなかった。また、ブルーミングも生じなかった。さらに0℃で耐屈曲疲労性を調べた。いずれも屈曲回数50万回でも亀裂が発生せず、たいへん優れていた。
【0043】
比較例4
ポリエステルブロック共重合体組成物のかわりに、日本ミラクトラン(株)製”ミラクトラン”E490(熱可塑性ポリウレタンエラストマ)を用いて、実施例1と同様に成形体を作った。これについて実施例4、実施例5、実施例6と同様に耐熱変色性と耐光変色性を調べた。どちらの試験でも明らかに黄変していた。さらに0℃で耐屈曲疲労性を調べたところ、屈曲回数5千回で破断した。
【0044】
【発明の効果】
本発明は特定のポリエステルブロック共重合体に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体を特定量配合した、透明性や透光性を有する樹脂組成物から成形したポリエステルエラストマ製管状体を得るものである。さらに酸化防止剤や光安定剤を配合した樹脂組成物を用いることによって変色の小さい管状体を得ることができる。さらに可塑剤を配合することによって柔軟性を高めた管状体を得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属塩を配合するとさらに管状体の透明性が増す。本発明のポリエステルエラストマ製管状体は、透明性や透光性を有し、高温および低温での耐屈曲疲労性に優れ、ブルーミングや変色がなく、内容物が確認できる管状体として有用である。
Claims (5)
- 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)10〜50重量%と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)90〜50重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に、側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)を0.2重量部以上20重量部未満配合してなり、厚さ2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の、透光性あるいは透明性を有するポリエステルエラストマ樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体。
- 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)10〜50重量%と、主として脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)90〜50重量%とを主たる構成成分とするポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に、側鎖にカルボン酸金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)を0.2重量部以上20重量部未満配合し、さらにカルボン酸のアルカリ金属塩(C)0.01〜3重量部、酸化防止剤(D)0.1〜5重量部、光安定剤(E)0.1〜5重量部および可塑剤(F)1〜50重量部の4種類の中から選ばれた1種類以上を配合してなり、厚さ2mmのシートで測定したヘイズ値(曇度)が85%以下の、透光性あるいは透明性を有するポリエステルエラストマ樹脂組成物を成形して得られるポリエステルエラストマ製管状体。
- 高融点結晶性重合体セグメント(a)がポリブチレンテレフタレート単位で構成される請求項1または請求項2記載のポリエステルエラストマ製管状体。
- 低融点重合体セグメント(b)がポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位で構成される請求項1または請求項2記載のポリエステルエラストマ製管状体。
- 側鎖にカルボン酸アルカリ金属塩基を有するエチレン系共重合体(B)が、エチレンとアクリル酸あるいはメタクリル酸等の不飽和カルボン酸との共重合体をナトリウムで中和したものである請求項1または請求項2記載のポリエステルエラストマ製管状体。
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