JP2005205905A - 感熱転写記録用二軸配向白色フィルムおよびそれからなる感熱転写記録用受容シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 β晶比率が30%以上で、融解温度が140〜172℃のポリプロピレン樹脂のフィルムからなる、実質的に無核のボイドを有し、空隙率が30〜80%で、フィルムの長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が10〜70MPaの範囲であり、表面光沢度が10〜145%の範囲であることを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
【選択図】図2
Description
(1)β晶比率が30%以上で、融解温度が140〜172℃のポリプロピレン樹脂のフィルムからなる、実質的に無核のボイドを有し、空隙率が30〜80%で、フィルムの長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が10〜70MPaの範囲であり、表面光沢度が10〜145%の範囲であることを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム(第1の形態)。
(2)β晶比率が30%以上で、融解温度が140〜172℃のポリプロピレン樹脂からなり、無核のボイドを有し、空隙率が30〜80%で、フィルムの長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が10〜70MPaの範囲であるコア層(A層)の少なくとも片面に、表面光沢度が10〜145%のスキン層(B層)を積層してなる感熱転写記録用二軸配向白色フィルム(第2の形態)。
(3)実質的に無核のボイドを有するポリプロピレン樹脂からなるコア層(A層)の少なくとも片面に表面光沢度が10〜145%の範囲であるスキン層(B層)を積層したフィルムであって、長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が30〜100MPaの範囲であり、β晶活性を有することを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム(第3の形態)。
(1)本発明の白色フィルムは、実質的に無核のボイドを多数有し、低比重で、白色度、光学濃度、クッション率が高く、表面光沢度を特定の範囲としたことにより、感熱転写記録用受容シートに用いた時に受容シートの感度が高く、画像が鮮明に印画される。
(2)本発明の白色フィルムは、柔軟かつ滑り性が良好であり、従来の白色フィルムに比較して折れしわ耐 性に優れる。以上のことから、加工性に優れる。
(3)本発明の白色フィルムは、実質的にボイドが無核であることにより、フィルム製膜工程及び受容シー ト製造工程においてボイド形成剤が脱落しない。以上のことから、工程通過性に優れる。
(4)本発明の白色フィルムは、実質的にボイドが無核であることにより、フィルム製膜工程及び受容シート製造工程においてボイド形成剤が脱落しない。以上のことから、生産性に優れる。
(5)本発明の白色フィルムは、ポリプロピレン樹脂の融解温度と、長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和を適正な範囲とすることにより、優れた寸法安定性を有し、該フィルムを基材として用いた感熱転写記録用受容シートも優れた寸法安定性を有する。
本発明では、“実質的に無核のボイドを有する”ことを、下記の通り、特定条件で調整したフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で特定条件にて観察した際に、1000μm2当たりの全ボイド数と核を有するのボイド数を計測し、核を有するボイドが全ボイドに占める比率(百分率)が5%以下である場合と定義し、上記以外の場合を無核のボイドを有さないと定義する。この際、本来核を有するボイドでも、上記手法で無核のボイドとして検出される場合もあるが、核を有さないボイドの比率が上記範囲であれば、本発明の目的が達成される。
(1)ボイド形成剤として非相溶性樹脂や無機粒子もしくは有機粒子を用い、無核のボイドを有さない場合に比較して、ボイド形成剤の分散性不良や凝集に起因する不均一で粗大なボイドが少なく、均一かつ緻密なボイドを形成できる。
(2)粗大なボイドが少ないため、低比重のフィルムとしても折れしわ耐性に優れる。
(3)ボイド形成剤が製膜工程や加工工程でフィルムから脱落し、工程を汚したり、それによりフィルム破れが発生するようなトラブルを未然に防止できる。
(4)フィルム全体のクッション率が高い。
(5)下記に定義する特に白色度が高く、b値を低く好ましい範囲にできることから、感熱転写記録用受容シートとして用いた際に、上記したボイド形成剤を含有し、無核のボイドを有さないフィルムに比較して、飛躍的に感度を高められる。
[化合物1]
下記化学式で表される、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドなどに代表されるアミド系化合物
R2−NHCO−R1−CONH−R3
[ここで、式中のR1は、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基または炭素数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R2、R3は同一または異なる炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
R5−CONH−R4−NHCO−R6
[ここで、式中のR4は、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジアミン残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジアミン残基または炭素数6〜12の複素環式ジアミン残基または炭素数6〜28の芳香族ジアミン残基を表し、R5、R6は同一または異なる炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
[化合物2]
有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物。
L、a、bなる尺度はRichard S.Hunterにより工夫され、色差計で使用する尺度であり、色差計は色の品質管理に適当なるもので、米国及び国内で多く用いられている。色差計では、色立体における試料の色の位置をL、a、b値により定めることができる。L値が大きいほど明度が高く、すなわち明るいことを示す。a値が(+)側に大きいほど、赤の度合いが大きく、(−)側に大きいほど、緑の度合いが大きいことを示す。b値が(+)側に大きいほど、黄の度合いが大きく、(−)側に大きいほど、青の度合いが大きいことを示す。
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
凍結ミクロトーム法を用い、−100℃で白色フィルムの横方向―厚み方向断面を採取した。得られた白色フィルムの断面に、Ptをコートした後、下記条件にて走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察し、断面像を採取した。なお、サンプル調製および断面観察は、(株)東レリサーチセンター(TRC)にて行った。
・装置 :(株)日立製作所製超高分解能電解放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)S−900H
・加速電圧:2kV
・観察倍率:5000倍。
白色フィルムの比重は、高精度電子比重計SD−120L(ミラージュ貿易(株)製)を用い、30mm×40mmのサイズに切り出したサンプルについて、JIS K 7112(1999)のA法(水中置換法)に準じて23℃、65%RHにて測定した。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られた比重の平均値を当該サンプルの比重とした。
[フィルム全体に関する確認]
Seiko Instruments製熱分析装置RDC220型を用いて、JIS K 7122(1987)に基づいて測定した。5mgの白色フィルム(サンプル)をアルミニウムパンに封入して装填し、当該装置にセットした。窒素雰囲気下で、10℃/分の速度で30℃から280℃まで昇温した(以下、この際得られる熱量曲線をファーストランの熱量曲線と略称する場合がある)。この時の主ピーク温度を融解温度(Tm)とした。昇温完了後、280℃で5分間待機させた。引き続き、10℃/分の速度で30℃まで冷却した。冷却完了後、30℃で5分間待機させた。次いで、再度10℃/分の速度で280℃まで昇温した(以下、この際得られる熱量曲線をセカンドランの熱量曲線と略称する場合がある)。この際に得られるセカンドランの熱量曲線において、140℃以上160℃未満にβ晶の融解に伴う吸熱ピークが観測される場合に、該フィルム(原料ポリプロピレン)がβ晶活性を有するものと判定した。なお、ここでいう吸熱ピークとは、融解熱量が10mJ/mg以上であるものをいう。また、融解熱量は、熱量曲線が昇温に伴いベースラインから吸熱側にずれ、次いでベースラインの位置に戻るまでのベースラインと熱量曲線で囲まれる面積であり、融解開始温度位置からベースライン上に熱量曲線の交点まで高温側に直線を引き、この面積をコンピュータ処理して求めた。なお、熱量曲線が吸熱側にずれ、完全にベースラインの位置に戻らず、再び吸熱側にずれる場合には、再び吸熱側にずれ始める極大点からベースラインに垂線を下ろし、熱量曲線とベースラインと垂線で囲まれる面積とすればよい。
・サンプル:本発明のフィルムを、方向を揃えて、熱プレス調整後のサンプル厚さが1mm程度になるよう重ね合わせた後、これを0.5mm厚みのアルミ板で挟み、280℃で熱プレスして融解・圧縮させた。得られたシートを、アルミ板ごと100℃の沸騰水中に5分間浸漬して結晶化させ、その後25℃の雰囲気下で冷却して得られるシートを幅1mmに切り出したものを測定に供した。
・X線回折装置:理学電気(株)製 4036A2
・X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
・出力 :40kV、20mA
・スリット系 :2mmφ−1°−1°
・検出器 :シンチレーションカウンター
・計数記録装置:理学電気(株)製 RAD−C型
・測定方法 :2θ/θスキャン(ステップスキャン、2θ範囲10〜55°、0.05°ステップ、積算時間2秒)。
[B層に関する確認]
上記同様の手法により、B層の樹脂全体について熱量曲線を採取し、判定した。なお、サンプルの形状は、B層の樹脂全体であれば、何を用いても構わないが、取り扱いが容易なので、チップ状であることが好ましい。また、白色フィルムのスキン層(B層)から、カッターナイフなどでB層を必要量削り取ることにより、サンプルを準備してもよい。
フィルムの配向状態を、フィルムに対して以下に示す3方向からX線を入射したX線回折写真から判別する。
・Through入射:フィルムの縦方向(MD)・横方向(TD)で形成される面に垂直に入射
・End入射 :フィルムの横方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射
・Edge入射 :フィルムの縦方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射。
・X線発生装置 :理学電気(株)製 4036A2型
・X線源 :CuKα線(Niフィルター使用)
・出力 :40Kv、20mA
・スリット系 :1mmφピンホールコリメータ
・イメージングプレート:FUJIFILM BAS−SR
・撮影条件 :カメラ半径40mm、露出時間5分。
・無配向 :いずれの方向のX線回折写真においても実質的にほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・縦一軸配向:End入射のX線回折写真においてほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・二軸配向 :いずれの方向のX線回折写真においてもその配向を反映した、回折強度が均等ではない回折像が得られる。
本発明では、フィルムが上記の二軸配向の基準を満たせばよい。
観察倍率を10000倍にしたこと以外は、(1)と同様の方法で、白色フィルムのスキン層(B層)の断面を観察し、観察箇所を変えて断面像を10点採取した。
・スキャナ :セイコーエプソン(株)製GT−7600U
・ソフト :EPSON TWAIN ver.4.20J
・イメージタイプ:線画
・解像度 :600dpi。
得られた画像を、(株)プラネトロン製Image−Pro Plus、Ver.4.0 for Windouwsを用いて、画像解析を行った。この際、取り込んだ断面像のスケールを使用して空間校正を行った。なお、測定条件は、以下の通りに設定した。
・カウント/サイズオプション内の表示オプション設定で、アウトラインの形式を塗りつぶしにする。
・オブジェクト抽出オプション設定で、境界上の除外をなし(None)にする。
・測定の際の輝度レンジ選択設定を暗い色のオブジェクトを自動抽出にする。
上記条件下で、10枚の断面像のスキン層の全面積、即ち測定の対象とした矩形対象領域(Rectangular AOI)の面積に対する、ボイド(黒く塗りつぶした部分)の面積の比を百分率で算出し、スキン層の空隙率とした(単位:%)。
上記(2)の方法にて求めたフィルムの比重(d1)を測定する。これとは別に、このフィルムを280℃の熱プレスによって熱融解して圧縮し、完全に空孔を排除したシート作成し、次に該シートを30℃の水に浸漬して急冷したシートの見掛け比重(d2)を同様に測定する。フィルムの空隙率は下記式にて求めた。
第1の形態の白色フィルム全体の空隙率(%)=(1−d1/d2)×100
第2、第3のコア層(A層)の空隙率は、下記(17)で求めた各層の厚みを基に、上記第1の形態の白色フィルム全体の空隙率と同様にして求めた値から、上記(5)のスキン層の空隙率を差し引いた値とした。
JIS B 0601(2001)に基づいて、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−30HK)および三次元粗さ分析装置(形式:SPA−11)を使用し、第1の形態の白色フィルムではいずれか一方の表面であり、第2、3の形態の白色フィルムではB層の表面について、以下の条件より求めた。
・触針走査方向:フィルムの横方向
・測定モード :触針式(STYLUS)
・処理モード :8(ROUGHNESS)
・測定長さ :1mm
・触針径 :円錐型0.5μmR
・荷重 :16mg
・カットオフ :250μm
・測定ライン数 :30本
・走査速度 :100μm/秒
・ピッチ :X方向4μm、Y方向10μm
・SLOPE COMP:ON
・GAIN :×1
・測定面積 :0.2988mm2
・標準面積 :0.1mm2。
・X・Y軸方向記録倍率:100倍
・Z軸方向倍率 :10000倍(レコーダー上で粗さ曲線の倍率が大きすぎて場合は、適宜5000倍としてもよい)
・レコーダー速度 :40μm/秒
・Y記録ピッチ :2mm。
JIS Z1702に規定された方法に従い、長手方向(MD)および幅方向(TD)それぞれについて、株式会社オリエンテック製の引張り試験機テンシロンを用いて、25℃、65%RHの雰囲気中にて測定した。長手方向(MD)および幅方向(TD)の2%伸長時の強度(F2値)は、フィルムサンプルから、MD、TDそれぞれの方向に長さ15cm、幅1cmのサイズに切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸長して、伸度2%に対する試料にかかる応力を測定した
(9)光学濃度(OD)
マクベス製光学濃度計TR−927を用いて測定した。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたODを該サンプルのODとした。
JIS Z 8741(1997)に基づいて、スガ試験機(株)製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用い、入出角度60°の条件下で、第1の形態の白色フィルムではいずれか一方の表面について、第2、3の形態の白色フィルムではB層の表面について、表面光沢度を測定した(単位:%)。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られた表面光沢度の平均値を該サンプルの表面光沢度とした。
日本電色工業(株)製の分光式色彩計SE−2000を用いて、反射法の条件下、フィルムの受容層を形成する面について、L、a、b値とX、Y、Z値を測定する。白色度はY、Z値を用いて下記式にて求めた(単位:%)。
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られた白色度、L、a、b値の平均値を該サンプルの白色度、L、a、b値とした。
アイソタクチックインデックス(II)は、沸騰n−ヘプタン抽出残分から求める。試料を沸騰n−ヘプタンで一定時間抽出し、抽出されない部分の重量(%)を求めてアイソタクチックインデックスを算出する。
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたIIの平均値を該サンプルのIIとした。
ポリプロピレンおよび熱可塑性エラストマーは、JIS K 7210(1995)の条件Mに準拠して測定する(230℃、2.16kg)。エチレン系樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件Dに準拠して測定する(190℃、2.16kg)。ポリカーボネートは、JIS K 7210(1995)の条件Wに準拠して測定する(300℃、1.2kg)。ポリメチルペンテンは、ASTM D 1238に従って測定する(260℃、5.0kg)。
ポリプロピレン樹脂およびフィルムを走査型差動熱量計(DSC)を用いて、JIS K−7122に準拠して測定する。具体的には、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で250℃まで昇温させ、その後5分間保持した後に10℃/分の冷却速度で20℃まで冷却する。次いで、再度10℃/分の速度で昇温していった際に、145℃〜157℃間にピークを持つポリプロピレン由来のβ晶の融解に伴う吸熱ピークの融解熱量の和(ΔHu−1)と、160℃以上にピークを持つβ晶以外のポリプロピレン由来の結晶の融解に伴う吸熱ピークの融解熱量の和(ΔHu−2)から次式で求める。この時、ΔHu−1とΔHu−2の間に、微少な吸発熱ピークが生じる場合があるが、このピークは削除する。
(15)非相溶性樹脂の平均分散径
RuO4染色超薄切片法により未延伸シートの横方向−厚み方向の超薄切片(サンプル)を採取した。得られたサンプルを透過型電子顕微鏡を用いて、下記条件で観察した。なお、サンプル調製および観察は、(株)東レリサーチセンター(TRC)にて行った。
・装置 :(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡(H−7100FA)
・加速電圧:100kV
・観察倍率:20000倍。
堀場製作所製CAPA500を用いて、遠心沈降法により測定した体積平均粒径を平均粒径とした(単位:μm)。
上記(5)において、観察箇所を変えて、スキン層(B層など)の厚みを10箇所測定し、それらの平均値をそれぞれスキン層(B層など)の厚みとした(単位:μm)。この際、観察倍率は、できるだけ高く、即ち精度良く測定できる倍率であれば、任意に設定することができる。また、コア層の厚みは、下記(18)から求めた白色フィルム全体の厚みから、上記スキン層の厚みを差し引くことにより、算出した。
ポリプロピレンを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の不純物・添加物を除去した。その後、130℃で2時間以上真空乾燥したものをサンプルとする。該サンプルを溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(単位:%)。
[測定条件]
・装置 :Bruker社製DRX−500
・測定核 :13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
・測定濃度 :10重量%
・溶媒 :ベンゼン:重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液
・測定温度 :130℃
・スピン回転数 :12Hz
・NMR試料管 :5mm管
・パルス幅 :45°(4.5μs)
・パルス繰り返し時間:10秒
・データポイント :64K
・換算回数 :10000回
・測定モード :complete decoupling。
[解析条件]
LB(ラインブロードニングファクター)を1としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、更にソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmとss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)のピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。
(1)mrrm
(2)(3)rrrm(2つのピークとして分割)
(4)rrrr
(5)mrmm+rmrr
(6)mmrr
(7)mmmr
(8)ss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)
(9)mmmm
(10)rmmr。
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B 7503(1997)、PEACOCK社製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)に、ダイヤルゲージスタンド(No.7001DGS−M)に設置する。これより得られるフィルム厚み(d0)を測定する。さらに、ダイヤルゲージ押さえ部分に500gfの荷重をかけた時の厚み(d500)を測定し、クッション率を下記式により算出した(単位:%)。
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたクッション率の平均値を当該サンプルのクッション率とした。
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B 7503(1997)、PEACOCK社製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型、125gf荷重)を用いて、フィルムの縦方向および幅方向に10cm間隔で10点測定し、それらの平均値を当該サンプルのフィルム厚みとした(単位:μm)。
ホルムアミドとエチレングリコールモノエーテルとの混合液を用いて、JIS K 6768(1999)に基づいて測定した(単位:mN/m)。
白色フィルムの表面(受容層形成面と反対面)に厚さ65μmの粘着剤付き上質紙(コクヨ(株)ワープロ用ラベルシート、タイ−2110−W)を均一に貼り合わせ、折れしわ評価用のサンプルを作製した。該サンプルを長さ200mm、幅15mmに切り出し、一端を固定し、200gの重りをワイヤーにて両サイドに繋げた直径5mmの鉄の円芯を軸に、該シートのフィルム面を内側にして180°折り返しながら、残る一端を200mm/秒で引張った。フィルム面上のしわの発生状態を、実体顕微鏡を用いて10倍で観察し、以下の基準で判定した。
B:1mm以上の長さを有するしわが2〜4個/cm発生した
C:1mm以上の長さを有するしわが5〜8個/cm発生した
D:1mm以上の長さを有するしわが9個以上/cm発生した。
京都電子工業(株)製の迅速熱伝導率計を用いて、下記方法にて求めた。
プローブ :標準プローブ(0.023〜12W/mK)
リファレンス:発泡ポリエチレン(λ=0.0347)
シルコンゴム(λ=0.2342)
石英(λ=1.4183)
測定方法
[1]リファレンスの上に試料を置き、その上からプローブをセットする。
[2]プローブである熱電対が検出する温度が一定になるまで待ち、温度が一定になったら、30〜82℃まで加熱を開始して、その時の昇温カーブの傾きが試料+リファレンスの熱伝導率となる。
[3]上記3種類のリファレンスについてそれぞれ[1][2]の方法で熱伝導率を測定して、リファレンスの熱伝導率(λ)と、測定値との差値εのグラフを描き、試料の熱伝導率を下記式より算出した。
λ:試料の熱伝導率[W/mK]
q:ヒーターの単位時間、単位長さ当たりの発熱量[W/m]
t1、t2:測定時間[sec]
T1、T2:時間t1、t2での温度[K]
(24)実効延伸倍率
溶融ポリマーを口金から押し出し、金属ドラム上で固化させてシート状に冷却固化せしめた未延伸シートに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの縦方向、幅方向に平行になるように刻印した。その後、引き続き延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を縦方向に10升目分、幅方向に10升目分測定し、これらの平均値をそれぞれ縦方向、横方向の実効延伸倍率とした。
本発明の白色フィルムを、厚さ150μmの紙に貼合せた。その後、マイクログラビアコーターを用いて、塗工量が乾燥時で3g/m2となるように、フィルム表面に受容層を形成するための以下のコーティング剤を塗布し、感熱転写記録用受容シートを作製した。
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン200):20部
シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、X−22−3000T):2部
トルエン:39部
メチルエチルケトン:39部。
上記(25)において、得られた感熱転写記録用受容シートの受容層側の面、およびその反対側の面に、それぞれセロファンテープ(ニチバン(株)製、18mm幅)を互いに平行になり、同じ部分で対向するように、15cmの長さに貼り合わせた。その後、受容層側の面を利き手とは反対の手で抑え、受容層側のセロファンテープを約45°の角度の方向に利き手で急速に剥離した。この際、セロファンテープに移行した受容層(受容シートのその他の層を含む)の割合を観察し、以下の基準で評価した。
5m幅の二軸配向白色フィルムを製膜し、10000m巻き取る際にフィルムの破れを観察し、以下の基準で判定した。
工業的に実用に供することができるのは、◎と○と判定されるフィルムである。
上記(27)において、製膜機に配置された金属製ロール、特に延伸ロールに非相溶性樹脂や粒子の脱落に起因する白粉が付着していないか、または、受容シートの製造工程における金属製のロールまたはニップロールを観察し、以下の基準で判定した。
(実施例1)
公知のホモポリプロピレン樹脂(以下H−PPと略称する)(三井化学(株)製、MFR:4g/10分、II:98.5%)99.9重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(新日本理化(株)製、NU−100)0.1重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。該β晶核剤添加PP(以下β晶PPと略称する)のβ晶比率は82%であった。
H−PP(住友化学(株)製、WF836DG3、MFR:7g/10分、II:96%)89.8重量%と、メタロセン触媒にて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、“カーネル”KS560、MFR:17g/10分(190℃)、以下m−LLDPEと略称する)10重量%と、β晶核剤として、NU−100を0.2重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。該β晶PPのβ晶比率は88%であった。次に、該β晶PPを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、単層口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より30℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。このときの金属ドラムとの接触時間は、35秒であった。
実施例1において、β晶PPを、H−PP50重量%とβ晶核剤添加ポリプロピレン(Sunoco Chemicals製“BEPOL”、タイプ:B−022−SP、以下BEPOLと略称する)50重量%の混合物とした以外は、実施例1と同様にして、二軸配向白色フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。
実施例4では、実施例2のm−LLDPEの代わりに、水添スチレン−ブチレン共重合体(JSR社製“ダイナロン”1320P、以下H−SBRと略称する)を添加混合し、実施例5では、実施例2において、β晶核剤NU−100の添加量を0.02重量%とし、また、m−LLDPEの代わりに、エチレン・プロピレンラバー(三井化学(株)製“タフマー”P0480、以下EPRと略称する)を添加混合した以外は実施例2と同様にして、二軸配向白色フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。実施例2のフィルムと同様に、フィルムの空隙率が高く、白色度、光学濃度、クッション率が高いにも関わらず、柔軟で折れしわ耐性に優れている。また、本白色フィルムの特性が本発明の範囲にあることから、感熱転写記録用の受容シートとして感度が高いものであることが分かる。
実施例2のβ晶PPの樹脂組成をA層として、これを200℃に加熱された押出機(a)に供給し、溶融して複合口金内に導入した。一方、B層の樹脂組成として、エチレン含有量4重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(以下EPC−1と略称する)(住友化学(株)製、FM401G、、MFR:7g/10分)に平均粒径1.9μmのシリカ0.3重量%を添加混合して、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
実施例1において、縦延伸されたフィルムのD面側の表面にコロナ放電処理をした後、B層としてポリエステルウレタン系水分散性樹脂“ハイドラン”AP−40F(大日本インキ化学工業(株)製、固形分濃度30%、以下PEUと略称する)100重量部と水溶性の有機溶剤としてN−メチルピロリドンを15重量部混合したコーティング剤に、架橋剤としてメラミン化合物“ベッカミン”APM(大日本インキ化学工業(株)製)を5重量部加え、さらに架橋促進剤として水溶性の酸性化合物の“キャタリスト”PTS(大日本インキ化学工業(株)製)を2重量部と、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.2重量部添加混合したコーティング剤をコーティングバーにて6μmコートし、引き続き実施例1と同様に幅方向に10倍延伸して二軸配向白色フィルムを得た。該フィルムの厚み構成は、B層/A層=0.2μm/35μmであった。次に、実施例2と同様にして感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。なお、本フィルムの色調及び平均表面粗さはB層面について測定した。B層を積層したことにより表面光沢度及び折れしわ耐性がさらに向上し、また、表面が平滑になり、感熱転写記録用の受容シートとして感度は高いものであった。
実施例2で得られた二軸配向白色フィルムの片面に、B層として実施例7の混合コーティング剤をオフラインのグラビアコーターにて塗布して、110℃で熱風乾燥し、B層厚み1μmを形成して巻き取った以外は、実施例2と同様にして、感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。B層を積層したことにより、表面光沢度及び折れしわ耐性がさらに向上した。また、本白色フィルムの特性が本発明の範囲にあることから、感熱転写記録用の受容シートとして感度が高いものであることが分かる。
実施例6において、B層の樹脂組成の代わりに、H−PP(WF836DG3を47.5重量%と、高結晶性ポリプロピレンF300SV(出光石油化学(株)製、、MFR:3g/10分、II:98%)47.5重量%の混合物)と、融解温度が240℃のポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、“TPX”MX−004、MFR:26g/10分、以下PMPと略称する)5重量%を混合し、290℃に加熱された押出機(b)に供給し、溶融して複合口金内に導入し、押出機(a)のポリマーの両表層に押出機(b)のポリマーを積層してシート状に共押出成形し、表面温度110℃に加熱されたキャストドラム上で密着させ、非ドラム面側より90℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製した。このときの金属ドラムとの接触時間は、35秒であった。該未延伸積層フィルムを145℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、MD方向に5倍延伸し、30℃の冷却ロールで冷却した。
公知のホモポリプロピレン樹脂(以下H−PPと略称する)(三井化学(株)製、MFR:4g/10分、II:98.5%)99.9重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミド(新日本理化(株)製、NU−100)0.1重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。該β晶核剤添加PP(以下β晶PPと略称する)のβ晶比率は82%であった。
H−PP(住友化学(株)製、WF836DG3、MFR:7g/10分、II:96%)94.8重量%と、メタロセン触媒にて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(三菱化学(株)製、“カーネル”KS560、MFR:17g/10分(190℃)、以下m−LLDPEと略称する)5重量%と、β晶核剤として、NU−100を0.2重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。該β晶PPのβ晶比率は88%であった。次に、該β晶PPを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、単層口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より30℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。このときの金属ドラムとの接触時間は、35秒であった。
実施例10において、β晶PPを、H−PP50重量%とβ晶核剤添加ポリプロピレン(Sunoco Chemicals製“BEPOL”、タイプ:B−022−SP、以下BEPOLと略称する)50重量%の混合物とした以外は、実施例10と同様にして、二軸配向白色フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。
実施例13では、実施例11のm−LLDPEの代わりに、水添スチレン−ブチレン共重合体(JSR社製“ダイナロン”1320P、以下H−SBRと略称する)を添加混合し、実施例14では、実施例11において、β晶核剤NU−100の添加量を0.02重量%とし、また、m−LLDPEの代わりに、エチレン・プロピレンラバー(三井化学(株)製“タフマー”P0480、以下EPRと略称する)を添加混合した以外は実施例11と同様にして、二軸配向白色フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。実施例11のフィルムと同様に、フィルムの空隙率が高く、白色度、光学濃度、クッション率が高いにも関わらず、柔軟で折れしわ耐性に優れている。また、本白色フィルムの特性が本発明の範囲にあることから、感熱転写記録用の受容シートとして感度が高いものであることが分かる。
実施例11のβ晶PPの樹脂組成をA層として、これを200℃に加熱された押出機(a)に供給し、溶融して複合口金内に導入した。一方、B層の樹脂組成として、エチレン含有量4重量%のエチレン・プロピレンランダム共重合体(以下EPC−1と略称する)(住友化学(株)製、FM401G、、MFR:7g/10分)に平均粒径1.9μmのシリカ0.3重量%を添加混合して、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
実施例10において、縦延伸されたフィルムのD面側の表面にコロナ放電処理をした後、B層としてポリエステルウレタン系水分散性樹脂“ハイドラン”AP−40F(大日本インキ化学工業(株)製、固形分濃度30%、以下PEUと略称する)100重量部と水溶性の有機溶剤としてN−メチルピロリドンを15重量部混合したコーティング剤に、架橋剤としてメラミン化合物“ベッカミン”APM(大日本インキ化学工業(株)製)を5重量部加え、さらに架橋促進剤として水溶性の酸性化合物の“キャタリスト”PTS(大日本インキ化学工業(株)製)を2重量部と、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を0.2重量部添加混合したコーティング剤をコーティングバーにて6μmコートし、引き続き実施例10と同様に幅方向に10倍延伸して二軸配向白色フィルムを得た。該フィルムの厚み構成は、B層/A層=0.2μm/35μmであった。次に、実施例11と同様にして感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。なお、本フィルムの色調及び平均表面粗さはB層面について測定した。B層を積層したことにより表面光沢度及び折れしわ耐性がさらに向上し、また、表面が平滑になり、感熱転写記録用の受容シートとして感度は高いものであった。
実施例11で得られた二軸配向白色フィルムの片面に、B層として実施例16の混合コーティング剤をオフラインのグラビアコーターにて塗布して、110℃で熱風乾燥し、B層厚み1μmを形成して巻き取った以外は、実施例11と同様にして、感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。B層を積層したことにより、表面光沢度及び折れしわ耐性がさらに向上した。また、本白色フィルムの特性が本発明の範囲にあることから、感熱転写記録用の受容シートとして感度が高いものであることが分かる。
実施例15において、B層の樹脂組成の代わりに、H−PP(WF836DG3を47.5重量%と、高結晶性ポリプロピレンF300SV(出光石油化学(株)製、、MFR:3g/10分、II:98%)47.5重量%の混合物)と、融解温度が240℃のポリメチルペンテン樹脂(三井化学(株)製、“TPX”MX−004、MFR:26g/10分、以下PMPと略称する)5重量%を混合し、290℃に加熱された押出機(b)に供給し、溶融して複合口金内に導入し、押出機(a)のポリマーの両表層に押出機(b)のポリマーを積層してシート状に共押出成形し、表面温度110℃に加熱されたキャストドラム上で密着させ、非ドラム面側より90℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製した。このときの金属ドラムとの接触時間は、35秒であった。該未延伸積層フィルムを145℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、MD方向に5倍延伸し、30℃の冷却ロールで冷却した。
(実施例19)
A層の樹脂組成として、実施例11のH−PP96.8重量%に、主鎖骨格中に長鎖分岐を有する高溶融張力ポリプロピレン(High Melt Strength−PP、以下HMS−PPと略称する)として、Basell社製HMS−PP(タイプ名:PF−814)を3重量%と、β晶核剤として、NU−100を0.2重量%の比率で混合した樹脂組成100重量部に、酸化防止剤としてチバガイギー(株)製IRGANOX1010を0.15重量部、熱安定剤としてチバガイギー(株)製IRGAFOS168を0.1重量部添加し、加熱された二軸押出機に供給した。300℃で溶融・混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた。一方、B層の樹脂として、三井化学(株)製H−PPのF107BV(MFR:7g/10分、II:98%;以下、単にF107BVと略称する場合がある)99.8重量%に、平均粒径1.7μmの球状シリカ粒子(水澤化学(株)製、AMT−20S;以下、単にSiO2と略称する場合がある)0.2重量%、、加熱された二軸押出機に供給した。280℃で溶融・混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた。
(実施例20)
実施例19において、H−PP94.8重量%に、NU−100を0.2重量%、ポリオレフィン系エラストマー樹脂として、メタロセン触媒法による超低密度ポリエチレン(デュポンダウエラストマージャパン(株)製、“エンゲージ”8411;MFR:18g/10分(190℃)(以下、単にVLDPEと略称する場合がある)5重量%の比率で混合した樹脂組成100重量部に、酸化防止剤として、チバガイギー(株)製IRGANOX1010を0.15重量部、熱安定剤として、チバガイギー(株)製IRGAFOS168を0.1重量部添加し、加熱された二軸押出機に供給した。300℃で溶融・混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた。B層の樹脂は、実施例10のB層と同じチップを用いた。C層の樹脂として、住友化学(株)製エチレン・プロピレンランダム共重合体(エチレン共重合量:1重量%、MFR:4g/10分;以下、単にEPC−2と略称する場合がある)99.75重量%に、平均粒径2μmの架橋ポリメチルメタクリレート粒子(以下、PMMAと略称する)0.25重量%を添加し、加熱された二軸押出機に供給した。280℃で溶融混・混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた。
(実施例21)
実施例19において、B層をA層の両面に積層し、フィルムの厚み構成をB層/A層/B層=2/21/2μmとしたこと以外は同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製した。また、得られた白色フィルムを基材として用い、実施例10と同様の条件でD面側のB層上に受容層を形成し、受容シートを作製した。
(実施例22)
実施例21において、B層をA層の両面に積層し、フィルムの厚み構成をB層/A層/B層=3/54/3μmとしたこと以外は同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製した。また、得られた白色フィルムを基材として用い、実施例10と同様の条件でD面側のB層上に受容層を形成し、受容シートを作製した。
(実施例23)
実施例21において、縦延伸倍率をさらに6倍に上げ、押出機の吐出量調整にてフィルムの厚み構成をB層/A層/B層=3/29/3μmとしたこと以外は同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製した。また、得られた白色フィルムを基材として用い、実施例10と同様の条件でD面側のB層上に受容層を形成し、受容シートを作製した。
実施例23に同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製したB層上に、グラビアコーターを用いて、下記組成のアンカー層を乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布した。
[アンカー層組成]
・大日本インキ化学工業(株)製ポリエステルウレタン系水分散性樹脂(“ハイドラン”AP−40F;固形分濃度30%):100重量部
・N−メチルピロリドン:5重量部
・大日本インキ化学工業(株)製メラミン化合物“ベッカミン”APM:5重量部
・大日本インキ化学工業(株)製水溶性酸性化合物(“キャタリスト”PTS):1重量部
・球状シリカ粒子(平均粒径0.1μm):0.2重量部
得られた白色フィルムを基材として用い、実施例1と同様の条件でアンカー層上に受容層を形成し、受容シートを作製した。
(比較例1)
実施例1のNU−100の代わりに、β晶核剤としてキナクリドン系核剤(東洋曹達(株)“Rubicron”400RG、以下400RGと略称する)を用い、金属ドラムの表面温度を30℃として未延伸フィルムを作製した以外は、実施例1と同様に二軸配向白色フィルムと感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。本フィルムは、β晶PPのβ晶比率が25%と低いために、フィルム内の空隙率が低くて均一性に劣り、そのため、比重が高く、F2値が高くて折れしわ耐性に劣り、また、白色度、光学濃度OD、クッション率が低く、L、a、bの値も本発明のフィルムの範囲外であり、熱伝導率が高く、感熱転写記録用の受容シートとして感度に劣るものであった。
実施例1のH−PPの代わりに、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー(株)製、タイプ=PC540R、MFR=5g/10分、以下EPC−3と略称する)を用いた以外は、実施例1と同様に二軸配向白色フィルムと感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。本フィルムはβ晶比率が低く、白色度、光学濃度OD、クッション率が低く、L、a、bの値も本発明のフィルムの範囲外であり、また、樹脂の融解温度が132℃と低いために、感熱転写記録用受容シートとして用いたときに、転写時の熱によって記録紙が収縮してカールし、感度に劣るものであった。
実施例1のβ晶PPの代わりに、H−PPを84.9重量%と、β晶核剤NU100を0.1重量%と、ポリスチレン(旭化成(株)製、“スタイロン”666、、Tg80℃、以下PSと略称する)15重量%の混合物を用い押出機の温度を260℃とし、金属ドラムの表面温度を30℃として未延伸フィルムを作製した以外は、実施例1と同様に二軸配向白色フィルムと感熱転写記録用の受容シートを得た。かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。本フィルムは、製膜中にPSが脱落して延伸ロールに付着して工程通過性に劣り、また、平均表面粗さが大きく、そのため表面光沢度が低く、感熱転写記録用の受容シートとして感度に劣るものであった。
実施例1の代わりにH−PPを69.9重量%と、β晶核剤NU−100を0.1重量%と、と平均粒径4μmの炭酸カルシウム(CaCO3)(白石カルシウム(株)製)30重量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様に二軸配向白色フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4示した。本フィルムは、フィルム内のボイドがCaCO3を核としたボイドであるために、気泡形状が非常に大きく、製膜工程及び感熱転写記録用受容シートを製造する際にCaCO3が脱落して工程通過性に劣り、F2値が低くて生産性に劣り、さらに、フィルムの空隙率は80%を超え、比重も0.2未満と低く、またL、a、b値を見ると、L値が低く、a値は+6、b値は+1.0であり、フィルムが黄色みがかっており、感熱転写記録用の受容シートに写真を印画した時に画像が全体的に暗くなり、全体的に赤色や黄色が強くなり、受容紙として好ましくない。
実施例1のH−PPの代わりに、高結晶性ポリプロピレンF300SVを用いた以外は、実施例1と同様に二軸延伸フィルム及び感熱転写記録用シートを得た。樹脂組成を表1に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。本フィルムは、融解温度が172℃を越えるため製膜時にフィルム破れが多発して生産性に劣り、得られたフィルムの平均表面粗さRaが1μmと大きくなり、表面光沢度が10%未満と低く、感熱転写記録用の受容シートとして感度に劣るものであった。
実施例1のH−PPの代わりに低密度ポリエチレン(住友化学(株)製、“スミカセン”L705、MFR:7g/10分(190℃)、以下PEと略称する)59.9重量%と、NU100を0.1重量%と、平均粒径4μmの炭酸カルシウム(CaCO3)(白石カルシウム(株)製)を40重量%添加混合して、二軸押出機に供給して200℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、60℃で2時間乾燥した。次に該混合樹脂を200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、表面温度30℃に加熱されたキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より30℃の冷風を吹き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。なお、金属ドラムとの接触時間は、35秒であった。
実施例19において、B層およびC層の樹脂の代わりに、β晶核剤を添加したエチレン・プロピレンブロック共重合体(Sunoco Chemicals製、“BEPOL”BI−4020−SP;MFR:2g/10分(以下、単にb−BEPOLと略称する場合がある。)を用いた以外は実施例19と同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製した。また、得られた白色フィルムを基材として用い、実施例10と同様の条件でB層上に受容層を形成し、受容シートを作製した。なお、得られた白色フィルムの厚み構成は、B層/A層/B層=3/29/3μmであった。
(比較例8)
実施例21において、A層樹脂として、β晶核剤のNU−100を添加せず、B層の樹脂として、H−PP80重量%に、公知の無機粒子である、炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製;平均粒径:4μm;以下、単にCaCO3と略称する場合がある)を20重量%の比率で添加し、加熱された二軸押出機に供給した。200℃で溶融・混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを用いた以外は、実施例19と同様の条件で二軸配向白色フィルムを作製した。また、得られた白色フィルムを基材として用い、実施例10と同様の条件でB層上に受容層を形成し、受容シートを作製した
かくして得られた二軸配向白色フィルムの樹脂組成を表1、2に、フィルム特性と感熱転写記録用の受容シートの特性を表3、4に示した。得られた白色フィルムは、A層中にボイドを有さず、フィルム表面の凹凸が大きく、かつ表面光沢度が著しく低くなった。さらに、受容シートも光沢感が無く、スキン層に大量の空隙を有するため、製膜工程および受容シートへの加工工程において、脱落したCaCO3粒子が白粉として工程を汚し、工程通過性に劣っていた。加えて、受容層の接着力が低かった。このため、熱伝導率が高く、B層上に受容層を形成した感熱転写記録用受容シートは、極めて感度が低かった。
2・・β晶部分の融解熱量ΔHu−1
3・・α晶部分の融解熱量ΔHu−2
4・・ボイド
5・・ボイド核
Claims (15)
- β晶比率が30%以上で、融解温度が140〜172℃のポリプロピレン樹脂からなるフィルムであって、実質的に無核のボイドを有し、空隙率が30〜80%で、フィルムの長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が10〜70MPaの範囲であり、表面光沢度が10〜145%の範囲であることを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- β晶比率が30%以上で、融解温度が140〜172℃のポリプロピレン樹脂からなり、実質的に無核のボイドを有し、空隙率が30〜80%で、長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が10〜70MPaの範囲であるコア層(A層)の少なくとも片面に、表面光沢度が10〜145%のスキン層(B層)を積層してなることを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 実質的に無核のボイドを有するポリプロピレン樹脂からなるコア層(A層)の少なくとも片面に、表面光沢度が10〜145%の範囲であるスキン層(B層)を積層したフィルムであって、長手方向と幅方向の2%伸長時の強度(F2値)の和が30〜100MPaの範囲であり、β晶活性を有することを特徴とする感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 該スキン層(B層)の樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 該スキン層(B層)が非相溶性樹脂、無機粒子、有機粒子から選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2〜4のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- フィルムの比重が0.2〜0.8の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の感熱転写用記録用二軸配向白色フィルム。
- 光学濃度(OD)が0.4〜1の範囲である請求項1〜6のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- クッション率が15〜30%の範囲である請求項1〜7のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 少なくとも片面の平均表面粗さ(Ra)が0.02〜1μmである請求項1〜8のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 白色度が50%以上、L値が50以上、a値が−2〜5、b値が−5〜−0.01である請求項1〜9のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 熱伝導率が0.14W/mK以下である請求項1〜10のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 該スキン層(B層)の空隙率が0.1〜5%である請求項2〜11のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルム。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の感熱転写記録用二軸配向白色フィルムの少なくとも片面に受容層を設けた感熱転写記録用受容シート。
- 受容層とフィルムのスキン層(B層)間にアンカー層を設けた請求項13に記載の感熱転写記録用受容シート。
- アンカー層が、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂から構成される請求項14に記載の感熱転写記録用受容シート。
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