JP2005350615A - 2軸延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】受像紙、印画紙を製造する際のコーティング工程での受像層を形成する際の欠点による歩留まり低下を回避し、染料インキ受容層形成工程の簡略化を達成するための、2
軸延伸ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】フィルム中にポリエステルに非相溶な樹脂を0.05〜12重量%含有し、見かけ比重が0.6〜1.3g/cm3、かつ少なくとも一方の面における表面配向度が1〜3であることを特徴とする2軸延伸ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、高クッション性を有する2軸延伸ポリエステルフィルムであり、感熱転写方式の印刷装置、例えば、デジタルカメラと使用する写真用プリンターやビデオプリンターなどで使用される受像紙、印画紙、または、一般のラベルプリンタ用受像媒体に用いられ、染料受容媒体として好適な2軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
ハードコピー技術における記録方法の一つとして、ノンインパクト、操作、保守が容易、低コストおよび小型化、高速化が可能等の特徴を持つ感熱転写記録方式が注目されている。中でも、昇華型は銀塩写真に匹敵する画質を実現できることから、コンビニエンスストアや駅などに設置された写真プリンタ、その応用によるパーソナル写真プリンタの販売台数も伸張しており、今後の汎用的な普及が期待されている。感熱転写記録方式は、染料含有層であるインキ層を有する転写フィルム(インキリボン)と受像紙のインキ受容層とを重ね合わせて密着させ、ビデオ信号で制御されたサーマルヘッドの熱エネルギーによって、インキリボン側からの溶融または昇華して移行する染料成分または色材を、印刷用受像シート上に微細な網点(ドット)状に転写して印字する方式である。従来、このような感熱転写記録方式に用いられる印刷用受像シートは天然紙もしくは厚手のポリオレフィンフィルムを基材とし、その表層にポリプロピレン系の合成紙や、酸化チタン、炭酸カルシウムなどを含有させた白色ポリエステルフィルム、硫酸バリウム等の無機系微粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を含有せしめた空洞含有プラスチックフィルムを積層し、さらに印字機能を高め、画質向上と画像の堅牢性向上ために最表層に受容層を設けたものが一般的に用いられている。例えば特許文献1に示されるような積層シートを形成するものである。印画面側にこれら空洞含有プラスチックフィルムが用いられるのは、表面平滑性と適度のクッション性を合わせ持つため、転写時のヘッド、リボンと基材表面で均一な接触を可能とするため、天然紙だけでは避けられない、表面の凹凸による印画欠点をなくすことができるため、良好な印画性能を持った受容紙が得られるためである(特許文献2参照)。
この受容紙を形成する方法は、例えば一般的には白色ポリエステルフィルム基材上に、グラビアコーティング法、バーコーティング法などにより、白色顔料を含有した白色着色層などを塗布し、その上に染料受容層、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂およびシリコン樹脂の混合物を塗布して適切に乾燥することによる。これらは受容紙の製造プロセスにおいて、プラスチック系フィルムの製造と、染料受容層の加工は別々の工程となってしまう。このとき、コーティングおよび乾燥工程に起因する、染料受容層のスジやピンホールなどの欠点による歩留まり低下問題も誘発し、また乾燥工程で発生するメチルエチルケトンやトルエンなどの可燃性有機溶媒の回収の問題などは、技術的に解決されてきているものの、依然として対策が必要とされており、受像紙としての性能を損なわないままに、その問題の軽減、および根本的解決が強く求められてきている。この複数工程に渡る受容紙製造プロセスは、必然的に受容紙全体のコスト増の要因となり受容紙の価格低減の障害ともなっている。このため感熱転写方式による画像印刷方法の普及への障害である、受像紙製造コストについての改善への必要性は強くなってきている。
特開平8−11444号公報(図1および実施例1〜3) 特開2000−198277号公報(第0004〜0007欄)
本発明の目的は、上記した従来技術の課題である、受像紙、印画紙を製造する際のコーティング工程での受像層を形成する際の欠点による歩留まり低下を回避し、染料インキ受容層形成工程の簡略化を達成するための、2軸延伸ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
上記課題を達成するために本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、次の構成を有する。すなわち、フィルム中にポリエステルに非相溶な樹脂を0.05〜12重量%含有し、見かけ比重が0.6〜1.3g/cm3、かつ少なくとも一方の面における表面配向度が1〜3であることを特徴とする2軸延伸ポリエステルフィルムである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、十分な染料受容性を有し、かつ断熱性とクッション性を併せ持った2軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができた。それにより、コーティング工程での欠点による歩留まり低下を回避し、染料インキ受容層形成工程の簡略化を達成することができた。
以下、本発明の最良の実施形態の例を示す。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル系樹脂としては、エステル結合の点からエチレンテレフタレート及び/又はエチレンナフタレート単位を主構成成分とするものが好ましい。構成は単層フィルムであっても、2層以上の積層フィルムでも良いが、好ましくは、2層以上の積層フィルムである。共重合成分として、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ブタンジオールから選ばれる1種以上を含有する共重合ポリエステルが好ましく、その他の共重合成分として公知のジカルボン酸およびジオールを用いることができる。公知のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどをあげることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、のうち1成分以上を共重合成分として含有し、さらに好ましくは、イソフタル酸、もしくは1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち一つ以上を含有する。このポリエステルの中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、無機粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
上記で述べたようなポリエステル系樹脂の極限粘度(25℃のオルソクロロフェノール中で測定)は、0.40〜1.20dl/gが好ましく、0.50〜0.80dl/gがより好ましく、0.55〜0.75dl/gが更に好ましい。さらに、蒸着膜との接着性の点から基材となるポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量は25〜60当量/トンが好ましく、さらに好ましくは35〜55当量/トンである。カルボキシル末端基量が25当量/トン未満であると蒸着膜との密着性が低下するため好ましくない。またカルボキシル末端基量が60当量/tを越えると着色したり、ポリエステルフィルムの製膜性が悪化するので好ましくない。
本発明では、少なくとも一方の面のポリエステル分子の表面配向度を1〜3に制御することが必要である。ここでいう表面配向度とは、Ymax/Yminで表されるものをいい、Ymaxは表面配向パラメータYの最大値を表し、Yminはその最小値を表す。Yは配向パラメータとして、フィルム表面を10°ごとに面内回転させて測定したFTIR−S偏光ATR法の1回反射スペクトル上で、1340cm-1における吸収強度(I1340)と1410cm-1における吸収強度(I1410)の比として次式より求められる。
Y=I1340/I1410
表面配向度は、好ましくは1〜2.3、より好ましくは1〜1.9である。表面配向度の特に好ましい状態は、1〜1.7である。
表面配向度を上記範囲にするためには、低配向性の樹脂を少なくとも一方の面に積層して表面配向度を低く抑えたフィルムを製造する方法、結晶性の低い、あるいは非晶性の樹脂、またはそれらを含有する樹脂を少なくとも一方の面に積層してフィルムを製造し、インラインで、もしくは製造した後にオフラインで熱処理を加えることで表面配向を緩和をさせる方法、製造されたフィルムの少なくとも一方の面に熱エネルギーを付与し、表面配向を緩和させる方法、さらには揮発性の有機溶媒を一方の面に塗布することで表面配向を緩和させる方法などがあり、いずれの方法によってもポリエステルフィルムの表面配向を緩和させることができる。これらの方法のうち、製造方法として好ましい例は、結晶性の低い樹脂、例えば、具体的にはイソフタル酸、もしくは1,4−シクロヘキサンジメタノールのうち一つ以上を共重合成分として含有するポリエステル樹脂を、少なくとも一方の面に積層してフィルムを製造し、次いで200〜250度で熱処理を加えることで表面配向緩和を進行させる方法によるものである。表面配向度を1〜2.3にするためには、共重合成分をイソフタル酸、もしくは1,4−シクロヘキサンジメタノールのうちのいずれとしてもよく、1〜1.7とするには、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分とすることが特に好ましい。
感熱転写印刷においては、サーマルヘッドの熱エネルギーにより、転写フィルムから染料もしくは色材は溶融または昇華され、密着した受像紙表面の染料受容層内部へ染料が浸散することにより銀塩写真に近い自然な画像を再現することが可能になっている。ガラス転移温度以上に熱せられた受容層は、配向や結晶化による分子の緊張が無い状態でより多くの染料を浸透、拡散、定着するために、高い染料受容性を追求するためには、より表面配向度を低く制御する、具体的には配向をさせないようにするか、配向を緩和させることが必要となってくるのである。
また、本発明では、フィルムにクッション性と断熱性を付与するために、内部に微細な空洞を多数含有することが望ましい。この結果、フィルムの見かけ比重は、0.6〜1.3g/cm3であることが必要である。好ましくは0.7〜1.2g/cm3、より好ましくは0.7〜1.1g/cm3である。ここで、見かけ比重とは、正方形もしくは長方形にカットされたフィルム片を精秤した重量(g)を、同じフィルム片の平均実測厚さ、幅、長さから計算される体積(cm3)で除することにより求められるものをいい、具体的には下記の特性の測定方法および評価方法で規定したとおりである。見かけ比重がここで示した範囲を外れて低くなると、フィルムの強度が低下し、フィルムが破断しやすくなるため、製造方法としても不利となるため、量産には不向きであることに加え、印刷媒体として用いるときの要求強度を満たすこともできなくなってしまう。逆に見かけ比重が、ここで示す範囲よりも高くなると、例えば感熱転写印刷方式のように、ヘッドが接触する印刷方式の場合に、適切なクッション性を発揮できずに、染料インクを含有したインクシートとの密着性が低下して印刷欠点を抑えることができず、またサーマルヘッドからの熱エネルギーの不必要な拡散を引き起こし、印刷感度が低下するなどの印刷仕上がりに問題を引き起こすことが判っている。
フィルム中に微細な空洞を形成し、見かけ比重を0.6〜1.3g/cm3とする方法としては、(1) ポリエステルに発泡剤を含有させ、押出や製膜時の加熱により発泡、あるいは化学的分解により発泡させて空洞を形成する方法、(2) ポリエステルの押出時にガスまたは気化可能物質を添加する方法、(3) ポリエステルに該ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂(非相溶樹脂)を添加し、それを一軸または二軸延伸することにより微細な空洞を発生させる方法、(4) 前記の非相溶樹脂の代わりに空洞形成性の無機系微粒子を適量添加する方法等が好ましく用いられている。本発明の目的の範囲内であれば、いずれの方法を用いてもよいが、製膜性、内部に含有せしめる空洞の量の調整し易さ、より微細で均一な大きさの空洞の形成し易さ、さらに軽量性などの総合的な点から、上記(3)の非相溶樹脂を使用した方法は、さらに好適に見かけ比重を0.7〜1.2g/cm3とすることができるため好ましく用いられる。ここで言う非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に空洞を形成せしめる効果が大きい樹脂が好ましい。より具体的に述べれば、非相溶樹脂とは、ポリエステルと上記非相溶樹脂とを溶融した系を、公知の方法、好ましくは、示差走査熱量計(DSC)、動的粘弾性測定等で測定した場合に、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以降、Tgと省略する)以外に該非相溶樹脂に相当するTgが観察される樹脂である。
このような非相溶樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であって、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。かかる点から該非相溶樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらの非相溶樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン樹脂が好ましく、さらにはポリメチルペンテンが最も好ましく、見かけ比重を0.7〜1.1g/cm3とすることも可能となる。該ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの空洞形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
本発明における微細な空洞とは、感熱転写記録媒体として使用されるときの感度向上のためフィルム自身に断熱性やクッション性を付与せしめることに寄与できるものであり、ポリエステル中に含有させた該非相溶樹脂を核として生成されたものであることが最も好ましい。さらに、該ポリエステルフィルムの断面(厚み方向)を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)などによって観察したとき、空洞部分の断面積(ただし、空洞生成の核となる非相溶樹脂部分は除く)の平均値が1〜25μm2であるものが好ましく、より好ましくは1.5〜20μm2、さらに2〜15μm2であることが好ましい。
本発明による2軸延伸ポリエステルフィルム中の非相溶樹脂の含有量は、0.05〜12重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜11重量%、さらには0.05〜10重量%の範囲であることが好ましく、特に好ましいのは、0.1〜9重量%、さらに望ましいのは1〜9重量%の範囲である。2軸延伸ポリエステルフィルムが2層以上に積層されたフィルムである場合は、非相溶樹脂を核とする微細な空洞を含む層における非相溶樹脂の含有量は、0.05〜14重量%であること好ましく、より好ましくは1〜13重量%で特に好ましいのは2〜11重量%である。逆に添加量が上記範囲より多い場合には、延伸時にフィルム破れ等が生じやすくなって、生産性が低下する場合がある。
また、本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、非相溶樹脂の分散径が小さくなることで延伸により発生する空洞をより微細化でき、結果的にフィルムの白色性や製膜性を向上させることができるので、前述したポリエステルと非相溶樹脂の他に、さらに分散剤を添加することが、より好ましい。上記の効果を示す分散剤としては、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体または共重合体、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、界面活性剤、熱接着性樹脂等を用いることができる。もちろん、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。かかる分散剤は、あらかじめ重合反応において分散剤を共重合化したポリエステルとして使用しても、直接そのまま使用してもよい。
本発明における2軸延伸ポリエステルフィルムの非相溶樹脂の平均分散径は、好ましくは1〜7μm、更に好ましくは1〜5μmである。非相溶樹脂の平均分散径が7μmを超えると、感熱転写時にその部分がヌケ欠点となったり、製膜時フィルムが破断しやすくなるため好ましくない。
本発明における分散剤の添加量は、0.05〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量%、さらにより好ましくは0.2〜5重量%である。添加量が0.05重量%より少ない場合は空洞を微細化する効果が小さくなることがある。また添加量が10重量%より多い場合には、逆に非相溶樹脂を添加する効果が小さくなり白色性の低下やコスト上昇などの問題が発生しやすい。
また、本発明においてはフィルムに酸化防止剤を、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%含有せしめることにより一層安定したポリマー押出、製膜を行うことが可能となる。酸化防止剤としては特にヒンダードフェノール系の酸化防止剤が分散性の点から好ましい。
この様にして得られた微細な空洞を含有する2軸延伸ポリエステルフィルムの空洞率は15〜50体積%であることが好ましい。空洞率が15体積%より小さい場合は、十分なクッション性を得られないため転写の感度が悪くなったり、画像の均一性が損なわれたりすることがある。また空洞率が50%より大きくなると、耐折れしわ性が悪化したり、製膜時の破断が発生しやすくなる等問題が発生することがある。
本発明による2軸延伸ポリエステルフィルムは、印刷媒体として用いられるのに良好な白色性を有していることが必要である。白色度は、50〜130%であることが望ましく、55〜125%であることがより好ましい。特に好ましいのは、60〜125%である。白色度が低くなり過ぎると、印刷に用いられたときの、画質や発色性を低下させることになる。微細は空洞を含有するフィルムは、その光を散乱する性能から、高い白色度を維持しているが、後に示すように無機粒子を含有させることにより、さらにその白色度を向上させることが可能である。
本発明による2軸延伸ポリエステルフィルムは、単層フィルムでも、2層以上積層されたフィルムでもかまわない。表面配向度を効果的に低減させるためには、好ましくは、2層以上の積層フィルムであり、製造工程上有利で、更に好ましいものは、フィルムの両面にスキン層(A層)を有して、中央層(B層)を有する、A/B/Aの構成となる3層に積層されたフィルムである。
単層フィルムでは、多数の微細な空洞の空洞開始剤や開放された空洞がフィルム表面に出現することにより、表面の平滑性を損う問題があり、また製造においてはフィルム破れが発生し易く、製膜が不安定なため、結果的にコストが高くなることがある。さらに単層フィルムは、微細な空洞を含有せしめるために非相溶樹脂を添加した場合、その種類によっては、分散している粒子状の非相溶樹脂が脱落し、長時間製膜している間に、製膜装置と接触する部分(ドラム、ロール、コーターなど)を汚染することがある。この汚染がフィルム特性に好ましくない影響を与えたり、対策として定期的に洗浄を行なうことで生産性の低下やコスト上昇を招くことになる等の問題が発生しやすい。
そこで、2層以上の積層構成とし、A層を、染料インク受容性、平滑性、白色性あるいは光沢を発現させる層として表面に設け、多数の微細な空洞を有するB層をクッション性、断熱性などを発現させる層とすることで、感熱転写記録方式を一例とする、印刷受容媒体、またはその基材として必要な特性を満足させることを可能にしたものである。
本発明における、2軸延伸ポリエステルフィルムのA層に直接印刷をする際には、印刷時のインキリボンとの良好な剥離性や、印刷機内部での良好な走行性が必要とされるため、無機粒子を含有することが好ましい。かかる無機系微粒子は、フィルム中での平均粒子径が、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.05〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1.5μmである。かかる平均粒子径が上記範囲外である場合、凝集などによる無機系微粒子の均一分散性不良、あるいは粒子自身によってフィルム表面の光沢または平滑性が低下する場合があるので好ましくない。無機粒子のフィルム全体に対する添加量は0.01〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜35重量%であり、さらに好ましくは0.01〜30重量%である。特に2層以上の積層フィルムとした場合は、無機粒子を少なくとも一つの層に集中、限定させることが可能となるので、フィルム全体に対する添加量として好ましいものは、0.01〜20重量%、より好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.01〜5%である。添加量が上記範囲より多い場合には、平滑性が極端に低下するだけでなく、延伸時にフィルム破れ等の不都合を生じる場合がある。この無機粒子は1種類でも良いし、2種類以上を使用しても良い。たとえば、白色性を主に調整する無機粒子と空洞率を主に調整する他種の空洞形成性の無機粒子というように組み合わせると、高い白色度を達成しつつ、断熱性も向上させることが出来るためより好ましい。
A層に含まれる無機粒子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、リン酸カルシウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウムおよびフッ化カルシウム等を使用することができる。より好ましくは酸化チタンと炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムの組み合わせであり、白色度調整をチタン量で行い、走行性に代表されるハンドリング性を炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムの量で調整すると望むべき白色度と印刷性を達成しやすい。B層に空洞形成性の無機粒子を添加する場合として代表的なものは炭酸カルシウムと硫酸バリウムが好ましく用いられ、この場合にはB層に含まれる無機粒子は0〜50重量%であることが好ましく、0.01〜40重量%であることが特に好ましい。
またA層に入れる粒子としては、インキリボンとの剥離特性の要請から、有機粒子も用いることができる。架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム、アクリル粒子、イミド粒子などを挙げることができる。
さらに、白色顔料を含有するポリエステルフィルムに、より鮮明で青味のある白色性を与え、高級なイメージを持たせるためには、A層のインキ受容性を阻害しない範囲で、少なくともA層に蛍光増白剤を含有させることもできる。ここで含有させる蛍光増白剤は、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫色〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白色度、青味を助長させる化合物である。蛍光増白剤としては、商品名“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独、場合によっては2種以上の併用であってもよいが、本発明では、特に耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性がよく均一分散できると共に、着色が少なく、樹脂に悪影響を及ぼさないものの選択が望ましい。
フィルム中における蛍光増白剤の含有量は、0.005〜1重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%の範囲にあるものがより好ましい。含有量が上記範囲より少ないと充分な増白効果が得にくく、上記範囲を越えるものは均一分散性の低下や、いわゆる「濃度消光」と呼ばれる増白効果の低下あるいは着色による白色度の低下等を招き易い。
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを2層以上の積層フィルムとする場合においては、A層の合計厚さはフィルム全体の厚さの5%以上50%以下が好ましく、より好ましくは7%以上40%以下であり、より好ましくは8%以上30%以下である。A層は、B層の片側のみ、もしくは両側にあっても良く、両側にある場合は、ここで言うところのA層の厚みは、両方の合計厚さとなる。
フィルム全体の厚みは特に限定されないが、20〜150μmであることが、耐折れしわ性等の加工性、白色性、断熱性、印刷特性のバランスの点から好ましく、より好ましくは積層フィルム全体の厚みが25〜100μmであるのがよい。
また、本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいては、A層側に、追加的に外観光沢度改善などのため、受容層や他素材とのラミネート加工を施すことができる。その際の密着性を向上させるために、低温プラズマ処理やコロナ放電処理、コーティングなどによる表面改質が行われても良く、中でもコーティングは優れた密着性を発現出来るとともに、帯電防止効果を付与することもできるために特に好ましい。帯電防止効果の付与は受容紙の搬送性を改善したり、ゴミなどの付着防止の面で好ましく、染料インキ受容面側から測定した表面比抵抗が105〜1013Ω/□であることが好ましい。特に好ましくは105〜1012Ω/□、特に好ましくは105〜1011Ω/□である。表面比抵抗が小さいほど、加工工程や印刷機内の搬送、あるいはサーマルヘッド通過時の摩擦帯電が抑制でき(帯電防止性を付与)、給紙性が向上するため、より良好な印刷特性が発現される。帯電防止性を付与する手段は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような帯電防止剤をフィルム中に分散させる方法、汎用の帯電防止剤単独の層、あるいはバインダー樹脂を併用した層を設ける方法などのいずれかを採用することができるが、限定されるものではない。
本発明において、帯電防止剤をフィルム中に分散させる方法は、一例としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの帯電防止剤が0.5〜20重量%濃度含有するポリエステルチップを重合生成して、これを任意の割合でフィルム原料中に含有させるものである。帯電防止剤は、フィルム中の0.5〜2000ppm、好ましくは1〜1000ppm、さらに好ましくは、5〜800ppmの濃度で含有する。また、塗布層を設ける場合の方法は、2軸延伸ポリエステルフィルムの表面に乾燥して設ける方法が好ましい。形成塗液の塗布方法としては、例えばリバース(ロール)コート、グラビアコート、ナイフコート、エアーナイフコート、ロールコート、ブレードコート、ビードコート、回転スクリーンコート、スロットオリフィスコート、ロッドコート、バーコート、ダイコート、スプレーコート、カーテンコート、ダイスロットコート、チャンプレックスコート、ブラシコート、ツーコート、メータリングブレード式のサイズプレスコート、ビルブレードコート、ショートドウェルコート、ゲートロールコート、グラビアリバースコート、エクストルージョンコート、押出コートなどの方法を用いることができる。
また塗布工程としては、ポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布する方法(インラインコート)、製膜後のフィルム上に塗布、乾燥する方法(オフラインコート)のいずれの方法であってもよいが、インラインコートは、均一塗布、薄膜塗布および経済性などの点でより優れた方法である。また、コート前のフィルムには塗布性改良を目的として、予めその表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などの前処理を施しておくことも可能である。
また、該塗布層形成塗液の液媒体は、水系、溶剤系あるいは両者混合系のいずれの液媒体でもよいが、インラインコート法により塗布層を設ける場合には、取扱性や防爆などの安全性の点で水系または水を主体とした両者混合系の液媒体が好ましく用いられる。
塗布厚みは、0.005〜10μmが好ましく、より好ましくは0.01〜1μmである。塗布層の厚みが0.005μmより薄い場合、帯電防止性が不十分となり易い。一方、塗布層の厚みが10μmより厚い場合には、コート時に塗布層形成塗液の塗布性が低下したり、高コストとなって経済性が低下したりすることがあるため好ましくない。
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを感熱転写記録方式を一例とする、印刷受像シート、またはその基材として用いる際には、単独で用いても、他の素材と貼合わせて用いてもよいが、染料インキ受容性を発揮する面の反対面を基材シートと貼合せて用いることが好ましい。基材シートに使用できる材料は、各種紙類、例えば普通紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、樹脂含浸紙、エマルジョン含浸紙、ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、グラシン紙、ラミネート紙など、加工紙やラミネート紙、または合成紙、例えばポリスチレン系合成紙やポリオレフィン系合成紙、また各種プラスチックフィルム、例えばポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルムなど、また不織布などを好適に使用することができる。
次に、本発明によるポリエステルフィルムの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではない。
押出機(A)と押出機(B)を有する複合共押出製膜装置において、ポリエステル層(B)を形成するため、真空乾燥した無機粒子を含有するポリエステルのチップと必要に応じて真空乾燥したポリエステルに非相溶樹脂のチップとを、非相溶樹脂および無機粒子を1〜35重量%となるように混合し、これを260〜300℃に加熱された押出機(B)に供給し、溶融押出後10〜50μmカットのフィルターにて濾過した後に、Tダイ複合口金内に導入する。この原料には、必要に応じて分散剤を0.05〜10重量%添加してもよい。また、非相溶樹脂の添加は、予めマスターチップとしたものを真空乾燥して使用してもよい。一方、ポリエステル層(A)を積層するため、低融点の共重合ポリエステルのチップおよび任意の割合で共重合ポリエステルチップとポリエチレンテレフタラートのチップを混合したものと、無機系微粒子のマスターチップを、無機系微粒子が1〜35重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥する。この原料には、必要に応じて蛍光増白剤を0.01〜1.5重量%添加せしめてもよい。次に、この乾燥原料を、260〜300℃に加熱された押出機(A)に供給し、同様に溶融、濾過してTダイ複合口金内に導入する。Tダイ複合口金内では押出機(B)のポリマーが中央部に押出機(A)のポリマーが印刷面側の一方の面の表層、もしくは両面の表層になるように積層してシート状に共押出成形し、溶融積層シートを得る。
この溶融積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを70〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。
続いて、易接着もしくは帯電防止コーティングを実施する際には、長手方向に延伸したフィルムのポリエステル層(A)側にコロナ放電処理を施した後、該処理面に塗布層形成塗液を塗布する。この塗布層形成塗液を塗布されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜150℃に加熱した雰囲気中で長手方向に直角な方向(横方向)に2〜5倍に延伸する。
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍とするが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率が6倍未満であると得られるフィルムの白色性やフィルム強度が不十分となり、逆に面積倍率sが20倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
このようにして得られた二軸延伸積層フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて150〜240℃で1〜30秒間の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の白色積層ポリエステルフィルムを得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
(1)表面配向度Y(Ymax/Ymin
表面配向度は、配向パラメータYより定義されるものである。配向パラメータYの測定は、FTIR−S偏光ATR法の1回反射における赤外線吸収スペクトル解析による。フィルムの測定面を1回反射ATR付属装置にセットし、1回反射のスペクトルを測定した後に、ベースラインを適正化した後に1340cm-1における吸収強度(I1340)と1410cm-1における吸収強度(I1410)を数値化する。ここで、1340cm-1の吸収バンドはωCH2縦揺れ振動で、トランス体の存在を示し、その強度はトランス体の濃度、すなわちポリエステル分子が伸張された、配向の強い状態を定量的に示すものである。1410cm-1の吸収バンドはC=C伸縮振動で、面内回転での吸収強度が一定となるために、基準バンドとして吸収強度の規格化を実施するためのものである。また、配向パラメータYは次式で表され、配向分布は、フィルムの長手方向を起点として、10°毎に面内回転させ、0°〜170°の範囲でそれぞれ同様に測定する。
Y=I1340/I1410
その18点の配向パラメータの中での最大値をYmax, 最小値をYminとしてYmax/Yminを表面配向度とする。
測定装置,条件は次のとおりである。
分光器:FTS−55A(BioRad DIGILAB社製FTIR)
付属装置:1回反射ATR付属装置(シーガル)
光源:特殊セラミックス
検出器:MCT(HgCdTe)
分解能:4cm-1
積算回数:256回
IRE:Ge
入射角:45°
偏光子:ワイヤーグリッド,S偏光
理論検出深度:約0.3μm(1000cm-1において)
であり、共存する含有物質や塗布物質の赤外線吸収バンドと、1340cm-1における吸収バンド、もしくは1410cm-1における吸収バンドが重なってしまう場合は、差分スペクトル法を用いることで、強度比を算出する方法を採用する。
(2)見かけ比重
フィルムを100mm×100mmの大きさにカットし、10枚準備し、それぞれ電子天秤にて精秤する。校正されたデジタルマイクロメータ(M−30,ソニー・プレシジョン・テクノロジー(株)製)にて1枚につき8点の厚みを測定し、各サンプル毎に平均厚みを算出し、次式により計算される。
見かけ比重(g/cm3)=精秤重量(g)÷{平均厚み(μm)×100(mm)×100(mm)÷106}。
(3)白色度
2軸延伸ポリエステルフィルムについて、分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、ASTM−E313に準拠した光学条件にて色の3刺激値であるX値、Y値、Z値を測定し、次式により白色度を計算して求めた。これは積層フィルムの場合、A層側から測定する。
白色度(%)=4×0.847×Z値−3×Y値
(4)フィルム中に含まれる無機粒子の平均粒子径
2軸延伸フィルムの断面観察より求めることができる。フィルムサンプルを水滴中に設置し、電動式ミクロトーム(ST−201:株式会社日本ミクロトーム研究所製)の冷却ステージにて、最大冷却設定で凍結させたサンプルをスチールナイフで観察面(フィルム製膜方向の垂直方向)に合わせて切断し、切断面を白金でスパッタリングし、断面観察サンプルを調整する。透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、フィルム断面を3,000〜200,000倍に拡大観察して、断面写真を撮影した。次に、この断面写真の粒子部分をマーキングして、該マーキング部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を使用して画像処理を行い、視野内の少なくとも100個以上で100〜500個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、粒子の平均粒子径とした。
(5)表面比抵抗
温度23℃、相対湿度65%で24時間放置して調湿した後、同条件下でデジタル超高抵抗微少電流計R8340((株)アドバンテスト製)を用いて印加電圧100Vで測定した。この値の小さいものほど、帯電防止性が良好である。
(6)印刷性
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムを紙基材に接着剤により貼り付け、感熱転写記録用の印刷用受像シートとした。秤量125g/m2の紙の両側に受像層が外側になるように貼合せをおこない、キャノン社製カードフォトプリンター「CP−300」(キャノン製)と専用のインキリボン(カラーインク、ペーパーセット KL−36IPに付属のもの)を用いて、該受容シートの受容層形成面にテスト印画を行い、下記により判定した。
○:きれいであり良好。
△:僅かに「欠け」が見られるものの、おおむねきれいであり良好。
×:「欠け」や「つぶれ」が複数箇所見られる。
(7)画像濃度(印刷感度)
上記(6)印刷性の評価方法と同様にして、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)のそれぞれベタ印刷物を得た。得られた印画物をマクベス濃度計を用いて反射濃度を測定し、3色(N=5回)の平均濃度を求めた。 次に同様にして東レ(株)製 ルミラーE60(50μm)について上記と同様にして平均濃度を求めこれを基準とし、印刷感度の評価を行った。
◎:103%以上
○:101〜103%
△:100〜101%
×:100%未満。
(8)製膜安定性
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、製造上に不可欠な製膜安定性について、下記のとおりに評価する。
◎:破れ発生無し
○:破れが点発するが、比較的安定
△:破れ多発し、連続製膜が困難
×:製膜できない
実用的な安定性があるのは○以上である。
以下に実施例、および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
(実施例1)
押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、共重合成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール(以降CHDM)を33mol%含有するポリエチレンテレフタレートに、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを7重量%(以下wt%とする)、蛍光増白剤として“ユビテック”(チバガイギー社)を全体の0.15wt%となるように含有させ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以降DBS)を200ppm含有させたものを、真空乾燥した後、押出機(A)側に供給し、常法により280℃で溶融してTダイ複合口金に導入し、これをポリエステル層(A)とした。一方、ポリエチレンテレフタラート93wt%にポリメチルペンテン(三井化学(株)製:以降PMP)を5wt%、さらに分散剤として分子量4,000のポリエチレングリコール(以降、PEG)を1wt%、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを1wt%となるように添加したものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(B)側に供給し、280℃で溶融押出後35μmカットフィルターにより異物濾過を行ったのちに、Tダイ複合口金に導入し、これをポリエステル層(B)とした。
次いで、該口金内でA層がB層の両面に積層されるよう合流せしめた後、シート状に共押出して溶融積層シートとした。そして、該積層シートを、表面温度22℃に保たれたキャスティングドラム上に静電荷法で密着冷却固化させて未延伸積層フィルムとした。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い78℃で加熱したロール群で予熱した後、95℃の加熱ロールを用いて長手方向(縦方向)に2.8倍延伸し、21℃のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の130℃の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に130℃の加熱ゾーンで長手方向に直角な方向(横方向)に3.2倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の熱処理を施し、さらに220℃で2%横方向に弛緩処理を行った後、更に150℃で2%弛緩処理を行い、次いで均一に除冷後に巻き取って、40μmの積層ポリエステルフィルムを得た。積層比率は、A/B/A層で、それぞれ3.7/32.6/3.7μmである。また貼り合わせることにより、印刷性および、印刷感度評価のために、該フィルムを使用して印刷用受像シートを得た。
かくして得られた積層ポリエステルフィルムの特性は、表1のとおりであって、印刷性、画像濃度、に優れていることが分かる。
実施例2
A層に含有させる無機粒子を平均粒子径1.3μmの炭酸カルシウムとして、含有率を14wt%とし、共重合成分として17.5mol%のイソフタル酸(IPA)を含有するポリエチレンテレフタラートとした。またB層のポリエチレンテレフタラートを92wt%とし、PEGを1wt%、無機粒子を平均粒子径1.3μmの炭酸カルシウムとして含有率を2wt%として混合した原料とする以外は、実施例1と同様にして40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
実施例3
B層の原料を、PMPを18wt%、ポリエチレンテレフタラートを80wt%、分散剤としてPEGを1wt%、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを1wt%を混合した原料とした。A層の原料は、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを7wt%、蛍光増白剤として“ユビテック”(チバガイギー社)を0.15wt%含有させ、共重合成分としてCHDMを33mol%含有するポリエチレンテレフタレート約95重量%を混合させたものを使用した。
一軸延伸フィルムの段階で、A層側をコロナ放電処理を施した後に、帯電防止層形成塗液をメタリングバーを用いたバーコート方式で塗布し、テンター内での延伸と同時に乾燥させ、帯電防止層を形成した。
その他は実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
実施例4
B層の原料を、10wt%のポリスチレン(PSt)と、分散剤としてPEGを1wt%、88wt%のポリエチレンテレフタラート、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを1wt%を使用した以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
実施例5
B層の原料を、10wt%のポリプロピレン(PP)と、分散剤としてPEGを1wt%、88wt%のポリエチレンテレフタラート、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを1wt%を使用した以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
実施例6
A層に含まれる無機粒子を酸化チタン2wt%とし、B層の原料を、33wt%の硫酸バリウム(平均粒子径0.6μm)と、1wt%のPMP、分散剤としてPEGを1wt%と、65wt%のポリエチレンテレフタラートを使用した以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
比較例1
A層の原料を平均粒子径0.6μmの酸化チタンを7wt%含有する通常のフィルム用ポリエチレンテレフタラートを原料とした点以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。結果を表2に示す。
比較例2
A層に無機粒子を含有せず、共重合成分としてCHDMを33mol%含有するポリエチレンテレフタレートとし、B層の原料を、PMPを28wt%、ポリエチレンテレフタラートを71wt%、分散剤としてPEGを1wt%を混合した原料を使用した点以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。これは製膜性が著しく低下し、破れが多発した。
比較例3
平均粒子径0.6μmの酸化チタンを7wt%と、“ユビテック”を全体の0.15wt%となるように含有させ、ポリエチレンテレフタラート92.85wt%を混合してTダイ口金で、単層の未延伸フィルムとし、実施例1と同様の延伸を施し、40μmの単層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
比較例4
B層の原料を、PMPを0.04wt%、ポリエチレンテレフタラートを97.96wt%、分散剤としてPEGを1wt%、平均粒子径0.6μmの酸化チタンを1wt%を混合した原料を使用した点以外は、実施例1と同様にして、40μmの積層ポリエステルフィルム、および貼り合わせた印刷用受像シートを得た。
Figure 2005350615
Figure 2005350615
本発明の2軸延伸ポリエステルフィルムは、染料インキの受容性を有しているために、印刷および印画媒体として利用される。単体で用いてもよく、また各種の紙、加工紙、合成紙を支持体として貼り合わせて用いられてもよい。特にデジタル信号による感熱転写方式による印刷記録媒体の印刷面を形成するのに好適である。

Claims (5)

  1. フィルム中にポリエステルに非相溶な樹脂を0.05〜12重量%含有し、見かけ比重が0.6〜1.3g/cm3、かつ少なくとも一方の面における表面配向度が1〜3であることを特徴とする2軸延伸ポリエステルフィルム。
  2. 白色度が50〜130%であることを特徴とする、請求項1に記載の2軸延伸ポリエステルフィルム。
  3. フィルム中に含まれた平均粒子径が0.05〜10μmである無機粒子を0.01〜40重量%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の2軸延伸ポリエステルフィルム。
  4. 表面比抵抗が105〜1013Ω/□であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2軸延伸ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の2軸延伸ポリエステルフィルムを基材シートに貼り合わせたことを特徴とする受像シート。
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