JP2005200495A - 接着用液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形加工性を損なうことなく接着性を向上させた接着用液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供する。
【解決手段】(A)液晶性樹脂100重量部に対して、(B)鱗片状強化材5〜230重量部を含有せしめてなる接着用液晶性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形加工性を損なうことなく接着性を向上させた接着用液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性樹脂は、優れた流動性、耐熱性、低ガス性および機械的性質を有する点で注目されている。
そして、液晶性樹脂は、上記の特徴を生かして、近年急速に薄くかつ小さくなりつつある高機能製品の部品として使用される傾向にある。このような高機能部品においては、限られた製品スペース内に組み込む必要性から形状の制約が大きく、結果として製品形状が非常に複雑になる場合が多い。この製品形状の複雑化にともない、各パーツの接合においては、例えば接着剤による接合方法が採用されているが、液晶性樹脂は反応基が極めて少なく耐薬品性が良好であるため、接着剤との反応も小さく、他の熱可塑性樹脂と比較して接着性が劣ることが問題となっていた。
このような問題点を克服する方法としては、液晶性樹脂に改質剤を添加する方法が提案されており、例えば液晶ポリエステルにポリアルキレンエーテル化合物を添加する方法(例えば、特許文献1参照)、およびエステル系化合物を添加する方法(例えば、特許文献2参照)などがすでに知られているが、これらの添加剤は、加熱による発生ガス量が極めて多いため、金型汚染や金型腐食などの不具合を生じやすく、液晶ポリエステルの成形加工性が損なわれるという問題があった。
特開平5−140431号公報(段落〔0004〕〜〔0008〕) 特開2003−73555号公報(段落〔0009〕〜〔0010〕)
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
したがって、本発明の目的は、成形加工性を損なうことなく接着性を向上させた接着用液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性樹脂に特定種類・範囲の強化材を添加することにより、成形加工性を維持しながら接着用樹脂成形体として適用できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、上記の目的を達成するために本発明によれば、(A)液晶性樹脂100重量部に対して、(B)鱗片状強化材5〜230重量部を含有せしめてなる接着用液晶性樹脂組成物が提供される。
なお、本発明の接着用液晶性樹脂組成物においては、
前記(B)鱗片状強化材がタルクであること、および
さらに(C)繊維状強化材を含有せしめてなること
が、いずれも好ましい条件として挙げられる。
また、本発明の成形品は、上記の接着用液晶性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、液晶性樹脂の有する優れた耐熱性、流動性、機械特性を損なうことなく、優れた成形加工性と接着性を両立した接着用液晶性樹脂組成物および成形品が得られるため、高機能製品に好適に使用される部品、とりわけ接着を行う成形品の分野に与える効果が大きい。
本発明で用いる(A)液晶性樹脂としては、異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルおよび液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、その具体例としては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、および上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドが挙げられる。
異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルの例としては、好ましくは下記の(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、および、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
Figure 2005200495
(ただし式中のR1 は、
Figure 2005200495
から選ばれた一種以上の基を示し、R2 は、
Figure 2005200495
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示し、構造単位(II)および(III) の合計と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I)は、p−ヒドロキシ安息香酸から生成したポリエステルの構造単位であり、構造単位(II)は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III )は、エチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
Figure 2005200495
であり、R2が
Figure 2005200495
であるものが特に好ましい。
また、液晶性ポリエステルアミドの例としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、p−アミノフェノールとテレフタル酸から生成した液晶性ポリエステルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、p−アミノ安息香酸およびポリエチレンテレフタレートから生成した液晶性ポリエステルアミド(特開昭64−33123号公報)などが挙げられる。
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合体、または、(I)、(II)、(III) および(IV)からなる共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、(III) および(IV)の共重合量は任意である。しかし、流動性の点から次の共重合量であることが好ましい。
すなわち、上記構造単位(III) を含む場合は、耐熱性、難燃性および機械的特性の点から、上記構造単位(I)および(II)の合計は、構造単位(I),(II)および(III) の合計に対して60〜95モル%が好ましく、75〜93モル%がより好ましい。また、構造単位(III) は、構造単位(I),(II)および(III) の合計に対して40〜5モル%が好ましく、25〜7モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の構造単位(II)に対するモル比[(I)/(II)]は、耐熱性と流動性のバランスの点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III) の合計と実質的に等モルである。
一方、上記構造単位(III) を含まない場合は、流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(II)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましい。構造単位(IV)は構造単位(II)と実質的に等モルである。
なお、上記において「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしてはジオキシ単位とジカルボニル単位が等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
なお、本発明で好ましく使用できる上記液晶性ポリエステルを重縮合する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族、脂環式ジオール、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などを、本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。 また、液晶性ポリエステルアミドとしては、上記好ましい液晶性ポリエステルに、さらにp−アミノフェノールおよび/またはp−アミノ安息香酸を共重合したものも好ましく挙げることができる。
本発明における(A)液晶性樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記の好ましく用いられる液晶性ポリエステルの製造において、上記構造単位(III) を含まない場合は下記(1)および(2)の製造方法が、構造単位(III) を含む場合は下記(3)の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、4,4’−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましいときもある。
本発明における(A)液晶性樹脂は、ペンタフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で60℃で測定した値で0.5dl/g以上が好ましく、特に上記構造単位(III) を含む場合は1.0〜3.0dl/gが好ましく、上記構造単位(III) を含まない場合は2.0〜10.0dl/gが好ましい。
また、本発明における(A)液晶性樹脂の溶融粘度は、1〜2,000Pa・sが好ましく、特に2〜1,000Pa・sがより好ましい。
なお、上記の溶融粘度は、液晶性樹脂の融点(Tm)+10℃の条件で、ズリ速度1,000/秒の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定によりポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度Tm1 の観測後、Tm1 +20℃の温度でまで昇温し、同温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度を指す。
本発明で用いる(B)鱗片状強化材としては、ガラスフレーク、タルク、マイカ、ワラステナイトおよびグラファイトなどを挙げることができるが、これらのうちタルクが最も好ましい。
本発明の(B)鱗片状強化材は、(A)液晶性樹脂100重量部に対して、5〜230重量部用いられ、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜80重量部用いられる。(B)鱗片状強化材が上記の範囲よりも少なすぎると成形品のソリが大きくなり、多すぎると成形加工性が阻害されることになるため好ましくない。
本発明の(B)鱗片状強化材の特性を最大限に発揮するために、その数平均粒子径は、1〜100μmが必要であり、好ましくは1〜50μmである。(B)鱗片状強化材の粒子径が小さすぎると接着性が良くなく、大きすぎると成形品のソリが大きくなるという好ましくない傾向が招かれることがある。
さらに、本発明の液晶性樹脂組成物には、(C)繊維状強化材を加えることができ、それらの具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミックス繊維、アスベスト繊維、石こう繊維、ウィスカ(例えばホウ酸アルミウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、石膏ウィスカなど)、および金属繊維(例えばステンレス繊維)などの無機質繊維などを挙げることができる。これらのうちガラス繊維およびウィスカが特に好ましく使用される。
本発明で用いる(C)繊維状強化材は、(A)液晶性樹脂100重量部に対して、5〜100重量部用いられ、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部用いられる。(C)繊維状強化材が多すぎると成形品のソリが大きくなるという好ましくない傾向が招かれることがある。
本発明で用いる(C)繊維状強化材の組成物中の数平均長さは、5〜500μmであり、好ましくは5〜400μm、より好ましくは5〜300μmである。(C)繊維状強化材の長さが長すぎる場合も、成形品のソリが大きくなるという好ましくない傾向が招かれることがある。
また、本発明で用いる(B)鱗片状強化材と(C)繊維状強化材との割合は、(B)>(C)である。(B)<(C)であると、成形品のソリが大きくなる傾向を生じる。
本発明の液晶性樹脂組成物は、さらに(D)高級脂肪酸金属塩を添加することで、成形加工性を向上せしめることが可能である。なお、ここでいう高級脂肪酸とは、炭素数12以上の脂肪酸を意味し、炭素数12〜22の脂肪酸が好ましく、それらの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびベヘニン酸などが挙げられる。また、本発明で用いる高級脂肪酸金属塩としては、130℃以上の融点を有するものが、得られる液晶性樹脂組成物の成形加工性の点から好ましく、200℃以上の融点を有するものがより好ましい。具体的には、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ベヘニン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ベヘニン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、およびステアリン酸ナトリウムが用いられ、好ましくはステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ベヘニン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、およびステアリン酸ナトリウムが用いられ、より好ましくはステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、およびベヘニン酸リチウムが用いられる。
なお、本発明において、高級脂肪酸の融点は、示差熱量測定により室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度により測定することができる。
上記(D)高級脂肪酸金属塩は、液晶性樹脂組成物の成形加工性、機械特性の点から、(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し、通常、1.0重量部以下で用いられ、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.3重量部以下で用いられる。下限については特に制限はないが、0.003重量部以上用いることが好ましい。
本発明の液晶性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、離型剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)を含む着色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性を付与することができる。この場合、接着を阻害しやすいものは好ましくないので、種類および添加量に注意が必要である。
本発明の液晶性樹脂組成物は、溶融混練により製造することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができる。これらのうち、本発明の液晶性樹脂組成物は、強化材を均質に分散性良く混練する必要性から、押出機を用いることが好ましく、二軸押出機を用いることがより好ましく、なかでも中間添加口を有する二軸押出機を用いることが特に好ましい。溶融混練方法は、原料供給口から(A)液晶性樹脂を二軸押出機に供給し、(A)液晶性樹脂を溶融させ、該溶融状態の(A)液晶性樹脂に中間添加口から(B)鱗片状強化材および(C)繊維状強化材を供給するのが好ましい。ただし、(D)高級脂肪酸金属塩は、(A)液晶性樹脂やその他の添加剤とともに二軸押出機中で溶融混練してもよいが、溶融混練押出後のペレットにブレンド(例えばタンブラーミキサ、リボンブレンダなど)するのが、成形加工性を飛躍的に向上させるにはより好ましい。
このようにして得られる本発明の接着用液晶性樹脂組成物は、薄肉流動性に優れ、かつソリ特性も損なうことがないため、公知の成形法により各種成形品に成形されるが、その優れた薄肉流動性を活かして、射出成形することが好ましい。
かくして得られる成形品は、優れた接着性を有し、通常、エポキシ系、シリコーン系、ウレタン系、シアノアクリレート系の接着剤を使った接着用途に使用され、好ましくはエポキシ系、シリコーン系接着用途に使用され、より好ましくはシリコーン系接着用途に使用される。
また、接着時には接着面を荒らして凹凸を付けたり、スキン層を削ったりすることにより接着性が向上する。荒らす方法としては、サンドペーパー、ヤスリなどで表面に摩擦力を与える方法や、レーザーやハンダコテなどで表面に熱エネルギーを与える方法が好ましい。
そして、本発明の液晶性樹脂組成物は、電気、電子、自動車、機械、雑貨などの用途に限定なく、接着用途の成形品として使用できるが、シリコーン接着剤を使った接着用途に使用できる点を利用して、気密性を必要とする部分に接着シール用として好ましく使用できる。
本発明の液晶性樹脂組成物からなる成形品の具体例としては、各種装置のワク・ハウジング、コイル封止部品、気体・液体・固体などを封入した容器、リレー部品、金属インサート部品、カードコネクタ、FPCコネクター、精密部品搬送用容器、光ピックアップレンズホルダ、プリント基板上に実装される成形品などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
[参考例1]
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート216重量部および無水酢酸960重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から330℃まで1.5時間で昇温させた後、325℃、1.5時間で6.5×10-3Paまで減圧し、さらに約0.25時間撹拌を続け重縮合を行った。芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、溶融粘度25Pa・s(324℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性ポリエステル(A1)を得た。
[参考例2]
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル168重量部、テレフタル酸150重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート173重量部および無水酢酸1011重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250から335℃まで1.5時間で昇温させた後、335℃、1.5時間で6.5×10-3Paまで減圧し、さらに約0.25時間撹拌を続け重縮合を行った。芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位10モル当量、エチレンジオキシ単位10モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点328℃、溶融粘度18Pa・s(338℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性ポリエステル(A2)を得た。
[参考例3]
特開昭54−77691号公報に従って、p−アセトキシ安息香酸921重量部と6−アセトキシ−ナフトエ酸435重量部を、撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重縮合を行った。p−アセトキシ安息香酸から生成した構造単位57モル当量および6−アセトキシ−ナフトエ酸から生成した構造単位22モル当量からなる融点283℃溶融粘度30Pa・s(293℃,オリフィス0.5mm直径×10mm、ズリ速度1,000/秒)の液晶性ポリエステル(A3)を得た。
[実施例1〜5,比較例1〜3]
シリンダー設定温度を液晶性樹脂の融点+10℃、スクリュウ回転数を250rpmに設定した、44mm直径の中間添加口を有する2軸押出機(日本製鋼所製TEX−44)を用いて、参考例1〜3で得た液晶性樹脂100重量部を原料供給口から添加して溶融状態とし、(B)鱗片状強化材および(C)繊維状強化材を表1に示す割合で中間添加口から供給し、吐出量50kg/時間で溶融混練してペレットを得た。このペレットを用いて下記の各特性を評価した。その結果を表1に示す。
なお、(B)鱗片状強化材、(C)繊維状強化材および(D)高級脂肪酸金属塩としては、それぞれ下記のものを使用した。
B1:タルク(富士タルク工業社製NK−64 平均粒子径10μm)
B2:タルク(富士タルク工業社製LMS−200 平均粒子径1.7μm)
B3:平均粒子経が34μmのマイカ(山口雲母工業所社製マイカA−31)
C1:ガラス繊維(日本電気硝子社製ECS790DE 平均繊維径6μm)
C2:ミルドガラス繊維(日本電気硝子社製EPG40M 平均繊維径9μm)
C3:ホウ酸アルミウィスカ(四国化成工業社製YS3A 平均繊維径0.8μm)
D1:ステアリン酸リチウム(融点216℃)(勝田化工社製)
[特性の測定法]
(1)接着性:
・シリコーン接着性:ASTM1号ダンベル片を2等分し、スペーサー(厚さ1mm)を挟んで固定し、シリコーン樹脂を流し込んだ(接着面積1.0cm2)。これを120℃、60分硬化して、歪み速度1mm/分の速度で引張試験を行い、最大強度を接着面積で除したものを接着強度とした。なお、シリコーン接着剤としては一液性加熱硬化型(KE1820 信越シリコーン社製)を使用した。接着強度が1.0MPa以上のものを「優れる」(二重丸)、0.5MPa以上のものを「良好」(丸)、それ以下のもの、接着しないものを「劣る」(バツ)とした。
(2)成形加工性:
・薄肉流動性:ペレットをFANUCROBOSHOTα−30i射出成形機(ファナック株式会社製)に供し、射出速度300mm/秒、射出圧力40MPa、シリンダー設定温度は液晶性樹脂の融点の条件で連続成形(射出時間/冷却時間=1.0/10.0秒,スクリュウ回転数100rpm,背圧1MPa,サックバック10mm,金型温度90℃)を行い、図1に示す棒状成形品1(幅12.7mm,厚み0.5mm、サイドゲート(G1)0.5mm×5.0mm)を成形し、成形品の長さを棒流動長として測定した。棒流動長が長いほど、薄肉流動性はよい。棒流動長が、90mm以上のものを「優れる」(二重丸)、50mm以上のものを「良好」(丸)、それよりも小さいものを「劣る」(バツ)とした。
(3)寸法特性:
・低ソリ性:FANUCROBOSHOTα−30i(ファナック株式会社製)に供し、射出速度150mm/秒、充填時間0.1秒、成形温度は液晶性樹脂の融点+15℃の条件で、図2aに示す端子間ピッチ(Lp)が0.4mm、製品の最小肉厚部(Lt)(隔壁部4)が0.2mm、外形寸法が幅3mm×高さ2mm×長さ30mm、平均肉厚が0.3mmのコネクタ型の長尺成形品(コネクター成形品2)を連続成形を行った。 図2aは上記コネクター成形品2の斜視図であり、ピッチ間距離0.4mmで、0.2mmの最小肉厚部である隔壁部4を有する箱形のコネクター成形品2の片側の短尺面3に設置したピンゲートG2(ゲート径0.3mm)から樹脂を充填する。20ショットについて捨てショットを実施後、続く20ショット分の製品のソリ量を測定した。なお、長尺成形品の長尺方向の両端を直線で結んだ線を基準とし、そこからの寸法差をソリ量とした。図2bは上記長尺成形品においてソリ量の測定部位を示す概念図であり、A−B面を基準面aとして、最大変形面bとの差をソリ量とした。ソリ量が0.05mm以下のものを「優れる」(二重丸)、0.10mm以下のものを「良好」(丸)、それよりも大きいものを「劣る」(バツ)とした。
これらの結果を表1に示した。
Figure 2005200495
以上の結果から、本発明の液晶性樹脂組成物は、比較例の樹脂組成物と比較して、成形加工性を損なうことなく、接着性に優れた組成物であることがわかる。
本発明の接着用液晶性樹脂組成物およびそれからなる成形品は、液晶性樹脂の有する優れた耐熱性、流動性、機械特性を損なうことなく、優れた成形加工性と接着性を両立できるので、高機能製品に好適に使用される部品、とりわけ接着を行う成形品、具体的には、各種装置のワク・ハウジング、コイル封止部品、気体・液体・固体などを封入した容器、リレー部品、金属インサート部品、カードコネクタ、FPCコネクター、精密部品搬送用容器、光ピックアップレンズホルダ、プリント基板上に実装される成形品などに好適に使用することができる。
実施例で成形した棒流動長測定用の試験片の概念図である。 図2aは実施例で成形した寸法特性評価用成形品の斜視図であり、図2bは該成形品のソリ量の測定部位を示す概念図である。
符号の説明
1 棒流動試験片
2 コネクター成形品
3 短尺面
4 隔壁部
G1 サイドゲート
G2 ピンゲート
a 基準面
b 最大変形面
Lp 端子間ピッチ
Lt 最小肉厚部

Claims (4)

  1. (A)液晶性樹脂100重量部に対して、(B)鱗片状強化材5〜230重量部を含有せしめてなる接着用液晶性樹脂組成物。
  2. 前記(B)鱗片状強化材がタルクである請求項1記載の接着用液晶性樹脂組成物。
  3. さらに(C)繊維状強化材を含有せしめてなる請求項1または2記載の接着用液晶性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の接着用液晶性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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