JP2005200398A - 脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油脂類とアルコールとを反応させて脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する際に、活性金属成分の溶出がほとんどなく、油脂中に含まれるグリセリド類のエステル交換と遊離脂肪酸のエステル化の両反応に高活性を発揮できる触媒を用いることにより、触媒の回収工程等の煩雑な工程を簡略化又は不要とすることができるとともに、高効率に食用や燃料等の用途に好適な脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する方法、及び、それに用いる触媒を提供する。
【解決手段】油脂類とアルコールとを触媒の存在下に接触させる工程を含んでなる脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法であって、上記触媒は、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とするものである脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法に関する。より詳しくは、燃料、食品、化粧品、医薬品等の用途に有用な脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法、並びに、それに用いる触媒に関する。
脂肪酸アルキルエステルは、植物油脂から得られるものが食用油として用いられ、その他にも、化粧品、医薬品等の分野に用いられている。また、近年では、軽油等に添加される燃料用としても注目されており、例えば、COの排出削減の目的から、植物由来のバイオディーゼル燃料として軽油に数%添加されることになる。また、グリセリンは、主にニトログリセリンの製造原料として用いられており、その他にも、アルキド樹脂等の原料、医薬品、食料品、印刷インキ、化粧品等の様々な分野に用いられている。このような脂肪酸アルキルエステルやグリセリンの製造方法としては、油脂の主成分であるトリグリセリドをアルコールとエステル交換して製造する方法が知られている。
このような製造方法においては、一般に、均一系アルカリ触媒を用いる方法が工業的に用いられているが、煩雑な触媒の分離除去工程が必要となる。また、油脂に含まれる遊離の脂肪酸がアルカリ触媒によってけん化されるため石鹸が副生することになり、多量の水で洗浄する工程が必要であるばかりでなく、石鹸の乳化作用により脂肪酸アルキルエステルの収率が低下し、また、その後のグリセリンの精製プロセスも煩雑となる場合がある。
均一系触媒以外の触媒として固体触媒を用いてエステル交換反応を行う方法が知られている。固体触媒のうち、固体塩基触媒に関して、塩基性イオン交換樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような塩基性イオン交換樹脂を用いる場合、油脂中に不純物として混入する脂肪酸や一方の生成物であるグリセリン、更には油脂中に含まれるリン脂質やタンパク質を取り除くために前処理で用いる鉱酸等が触媒毒として作用するため、触媒活性を維持するために大過剰量のアルコールの使用が必要になる。このため、アルコールの回収に多大なコストがかかることになる。また、油脂に含まれる遊離脂肪酸のエステル化活性を持たないので、エステル交換工程の前に遊離脂肪酸の除去工程、又は、酸触媒による遊離脂肪酸のエステル化工程が必要となり、反応プロセスが煩雑となる。したがって、塩基性イオン交換樹脂を工業的な触媒として利用するためには、これらの点において工夫の余地があった。
また無機固体塩基触媒に関して、例えば、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムからなる不均一固形触媒(例えば、特許文献2参照。)、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムの少なくとも1種を含む固体触媒(例えば、特許文献3参照。)、ハイドロタルサイト触媒(例えば、特許文献4参照。)、カリウム化合物と酸化鉄、またはカリウム化合物と酸化ジルコニウムからなる固体塩基性触媒(例えば、特許文献5参照。)等が提案されている。しかしながら、これらの無機固体塩基触媒は、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の触媒活性成分がリーチングして反応液中に溶出するため、触媒寿命の点や、溶出成分の煩雑な除去工程が必要になる点で、工業的に使用するためには工夫の余地があった。
更にその他の固体酸触媒に関して、カチオン交換樹脂やモンモリロナイト等を用いる方法(例えば、特許文献6参照。)、金属酸化物及び/又は金属水酸化物にリン酸イオンを含有する溶液を接触させた後、焼成して得られたエステル交換触媒を用いる方法(例えば、特許文献7参照。)等が提案されている。しかしながら、このような一般的な固体酸を触媒として用いた場合、油脂中に含まれる微量の金属成分によって、活性点である酸点が被毒される場合がある。また、一般的に、酸触媒は塩基触媒よりもエステル交換反応の活性が低いので、反応温度を高温にすることが必要になるが、アルコール存在下に高温度でこれらの固体酸触媒を用いると、エーテル化物やグリセリンの縮合物等の副生物が発生したり、アルコールが分解してコーキングが起こるために触媒寿命が短くなる等の点から、工業的に満足に使用するためには工夫の余地があった。
更に油脂類と低級アルコールとの間で触媒の存在下にエステル交換反応を行って低級アルキルエステルを製造するに際し、ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物を含んでなる触媒を使用する方法が開示されている(例えば、特許文献8参照。)。このペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物は、強い塩基性を有するものであり、また、セシウム(Cs)化合物を含有するものが好ましいとされている。セシウム(Cs)化合物を含有するものとしては、Ca、Sr、Baを有するものが挙げられている。しかしながら、このようなペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物を用いる場合には、純粋なペロブスカイトは活性が低いため高い反応温度が必要であり、反応温度が高温になると、触媒活性成分が溶出することになり、また、ペロブスカイト結晶格子外に酸化カルシウムやセシウム成分が存在する場合には、活性が高くなり常圧でも反応することができるが、CaやCs等の多量の活性金属成分が反応液中に溶出してしまう問題を有している。
特開昭62−218495号公報(第1頁) 特開昭61−254255号公報(第1頁) 特開2001−271090号公報(第1−2頁) 国際公開第98/56747号パンフレット(要約) 特開2000−44984号公報(第2頁) 特開平6−313188号公報(第2−3頁) 特開2001−17862号公報(第1−3頁) 特開2002−294277号公報(第2頁)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、油脂類とアルコールとを反応させて脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する際に、活性金属成分の溶出がほとんどなく、油脂中に含まれるグリセリド類のエステル交換と遊離脂肪酸のエステル化の両反応に高活性を発揮できる触媒を用いることにより、触媒の回収工程等の煩雑な工程を簡略化又は不要とすることができるとともに、高効率に食用や燃料等の用途に好適な脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する方法、及び、それに用いる触媒を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する方法について種々検討したところ、油脂類とアルコールとを固体触媒の存在下に接触させて脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造する方法が工業的に有用であることに着目し、このような工程において、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする触媒がエステル化とエステル交換とを同時に行うことができる性能を持ち、油脂中に含まれる鉱酸や金属成分の影響を受けず、かつアルコールが分解しない等の作用効果を発揮する触媒であることを見いだした。また、活性金属成分の溶出がほとんどなく触媒寿命が長いことから、従来の方法で使用されている均一系触媒と比較して触媒の回収工程を著しく簡略化または不要とすることができるうえに、反応に繰り返し利用することが可能であることを見い出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。そして、このような触媒において、更に、3族、6族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及びランタノイドの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む形態のものを用いると、反応活性及び/又は触媒寿命が更に向上し、また、活性金属成分の溶出が充分に抑制され、本発明の作用効果をより充分に発揮することができることを見いだした。
すなわち本発明は、油脂類とアルコールとを触媒の存在下に接触させる工程を含んでなる脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法であって、上記触媒は、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とするものである脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法である。本発明はまた、前記触媒が、更に、3族、6族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及びランタノイドの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものである脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法においては、油脂類とアルコールとを、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする触媒の存在下に接触させることとなる。
本発明における触媒としては、上記金属元素を必須成分とすることにより、活性金属成分の溶出が充分に抑制され、また、高い触媒活性を有することから、より効率的に反応を実施することが可能となる。
上記4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする触媒としては、上記必須成分を有する限り特に限定されないが、例えば、単一又は複合酸化物、硫酸塩、リン酸塩、錯体等の形態であることが好適であり、中でも、単一又は複合酸化物であることが好ましい。より好ましくは、Ti、Zr、V、Nb及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とすることが好ましく、特に好ましくは、Ti、V、Nb及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とすることが好ましい。例えば、チタン酸化物、酸化ジルコニウム、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタンバナジウム複合酸化物、チタンニオブ複合酸化物、チタンバナジウムジルコニウム三元系複合酸化物、他の族の金属との複合酸化物等が挙げられる。なお、これらの形態のものを担体上に坦持又は固定化した形態であってもよく、担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、各種ゼオライト、活性炭、珪藻土、酸化ジルコニウム、ルチル型酸化チタン、酸化すず、酸化鉛等が挙げられる。
上記触媒としては、更に、3族、6族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及びランタノイドの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものであることが好ましく、具体的には、Si、Fe、Co、Ce、Zn、Mo、W、Ni、Cu、Sc、Y、La、Sn、Pb、Sb、Bi、Se及びTeからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものであり、中でも、8族、9族、14族及びランタノイドの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものであることがより好ましい。具体的には、Si、Fe、Co、Ceが触媒性能が向上される点で特に好ましい。このような元素は、必須成分を有する触媒の第2成分として用いることが好適である。この場合の「第2成分」とは、上記必須成分に対する付加成分という意味であり、必須成分、第2成分は、それぞれ複数の場合も含むものである。なお、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される金属元素を「必須成分原子」ともいい、3族、6族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及びランタノイドの元素からなる群より選択される元素を「第2成分原子」ともいう。
上記第2成分の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、必須成分原子に対する第2成分原子の存在比は、0.05以上であり、10以下である。0.05以下であると、触媒活性の向上効果が充分には発現されないおそれがあり、10以上であると、触媒の活性金属成分(必須成分及び/又は第2成分)の反応液への溶出を充分には抑制できないおそれがある。下限値として、より好ましくは、0.1であり、さらに好ましくは、0.2である。また上限値としては、より好ましくは、5であり、さらに好ましくは3である。好ましい範囲としては、0.1〜5であり、より好ましくは、0.2〜3である。
上記4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする触媒において、上記必須成分原子と上記第2成分原子とを有する形態としては、例えば、複合酸化物、単一の酸化物の混合体等が好適であり、中でも、上記必須成分原子と上記第2成分原子とを含む複合酸化物であることが好ましい。このような複合酸化物としては、結晶化されたものであっても、非晶質のものであってもよいが、結晶化された形態のものを用いることが好ましく、結晶格子内に必須成分原子と第2成分原子とを有する構造のものが好適である。結晶化されていることにより、触媒活性が更に向上し、また、活性金属成分である必須成分元素及び第2成分元素の溶出を充分に抑制することができることになる。
上記複合酸化物を形成する形態としては特に限定されないが、例えば、酸素原子を介して必須成分原子と第2成分原子とが共有結合した形態;必須成分原子と第2成分原子とが結合したものと、酸素原子とが共有結合した形態;必須成分原子の酸化物と第2成分原子の酸化物との複合物及びそれらの固溶体等が挙げられる。また、複合酸化物や錯体等を担体上に坦持又は固定化した形態であってもよい。
上記複合酸化物としては、例えば、チタンケイ素複合酸化物、チタンバナジウム複合酸化物、チタンニオブ複合酸化物、チタンタンタル複合酸化物、鉄バナジウム複合酸化物、コバルトバナジウム複合酸化物、セリウムバナジウム複合酸化物、モリブデンニオブ複合酸化物、モリブデンタンタル複合酸化物、タングステンニオブ複合酸化物、タングステンタンタル複合酸化物、亜鉛バナジウム複合酸化物、ニッケルバナジウム複合酸化物、銅バナジウム複合酸化物、スカンジウムバナジウム複合酸化物、イットリウムバナジウム複合酸化物、ランタンバナジウム複合酸化物、スズバナジウム複合酸化物、鉛バナジウム複合酸化物、アンチモンバナジウム複合酸化物、ビスマスバナジウム複合酸化物、セレンバナジウム複合酸化物、テルルバナジウム複合酸化物;ケイ素ニオブ複合酸化物、鉄ニオブ複合酸化物、コバルトニオブ複合酸化物、セリウムニオブ複合酸化物、亜鉛ニオブ複合酸化物、ニッケルニオブ複合酸化物、銅ニオブ複合酸化物、スカンジウムニオブ複合酸化物、イットリウムニオブ複合酸化物、ランタンニオブ複合酸化物、スズニオブ複合酸化物、鉛ニオブ複合酸化物、アンチモンニオブ複合酸化物、ビスマスニオブ複合酸化物、セレンニオブ複合酸化物、テルルニオブ複合酸化物;ケイ素タンタル複合酸化物、鉄タンタル複合酸化物、コバルトタンタル複合酸化物、セリウムタンタル複合酸化物、亜鉛タンタル複合酸化物、ニッケルタンタル複合酸化物、銅タンタル複合酸化物、スカンジウムタンタル複合酸化物、イットリウムタンタル複合酸化物、ランタンタンタル複合酸化物、スズタンタル複合酸化物、鉛タンタル複合酸化物、アンチモンタンタル複合酸化物、ビスマスタンタル複合酸化物、セレンタンタル複合酸化物、テルルタンタル複合酸化物等を含む形態の他、これらの化合物を上述した担体に坦持又は固定化させた形態のものを含むことが好適である。
中でも、チタンケイ素複合酸化物、TiVO等のチタンバナジウム複合酸化物、FeVO等の鉄バナジウム複合酸化物、Co等のコバルトバナジウム複合酸化物、CeVO等のセリウムバナジウム複合酸化物、モリブデンニオブ複合酸化物、モリブデンタンタル複合酸化物、タングステンニオブ複合酸化物、タングステンタンタル複合酸化物を含むことが好ましい。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記触媒としては、(1)ハメットの酸度関数が−3.0≦H≦+12.2のチタン含有酸化物触媒である形態、(2)結晶性チタン複合酸化物触媒であって、結晶格子内にチタンを含有する結晶性マイクロポーラスマテリアル触媒、及び/又は、結晶格子内にチタンを含有する結晶性メソポーラスマテリアル触媒である形態、(3)結晶構造が三斜晶系である酸化物である形態の1つ又は2つ以上を組み合わせた形態であることがより好ましい。
上記(1)の形態においては、ハメットの酸度関数が−3.0≦H≦+12.2であるチタン含有酸化物触媒を用いることになる。−3.0未満では、反応温度が高温になるとグリセリンの縮合やアルコールの分解が進行したり、更にはコーキングによって触媒寿命が短くなるおそれがある。+12.2を超えると、反応温度が高温になると触媒活性成分が溶出するおそれがあり、触媒の分離や除去工程が必要となったり、また、触媒としての活性を充分に維持することができなくなったりするおそれがある。下限値として、好ましくは、−1であり、より好ましくは、+1.5であり、更に好ましくは、+3.3である。また上限値として、好ましくは、+10であり、より好ましくは、+9であり、更に好ましくは、+7である。このようなチタン含有酸化物触媒は、チタン含有複合酸化物触媒、及び、上記結晶性チタン複合酸化物触媒であってもよく、結晶性チタン複合酸化物触媒である場合は、ハメットの酸性度関数が−3.0以上、+12.2以下が好ましい。より好ましくは、+1.5以上、+10以下であり、更に好ましくは、+3.3以上、+7以下である。
上記チタン含有酸化物触媒としては、例えば、アナターゼ型TiO、ルチル型TiO、チタニアシリカ、チタニアジルコニア、チタニアマグネシア、チタニアカルシア、チタニアイットリア、チタニアボリア、チタニア−酸化スズ等の複合金属酸化物等が挙げられ、中でも、アナターゼ型TiO、ルチル型TiO、チタニアシリカが好ましい。
上記(2)の形態においては、結晶格子内にチタンを含有する結晶性マイクロポーラスマテリアル、及び/又は、結晶格子内にチタンを含有する結晶性メソポーラスマテリアルである結晶性チタン複合酸化物触媒を用いることになる。
上記結晶性チタン複合酸化物とは、結晶化された複合酸化物であり、チタン原子を必須とする触媒活性を発現するものであることを意味する。このように結晶化され、表面積が大きいことから、触媒としての活性が向上することになる。このような結晶性チタン複合酸化物としては、酸素原子を介してチタン原子とその他の金属原子とが共有結合したものを含むものであることが好ましい。また、結晶格子内にチタン原子を有する構造であるものが好適である。これにより活性金属成分の溶出を充分に抑制することができることから、活性金属成分を分離する工程を省略して製造工程を簡略化することができるうえに、触媒を長期にわたって使用することが可能となる。
また、結晶性チタン複合酸化物としては、結晶性チタノシリケートであることが特に好ましい。結晶性チタノシリケートとは、ケイ素骨格の中に酸素原子を介してチタン原子を取り込んだ構造を有するものであり、チタン原子が溶出しにくく、リーチングが少ないので、触媒の分離や除去工程を簡略化又は不要とすることができ、また、触媒として長期にわたって活性を維持することができる。
上記結晶格子内チタン含有結晶性マイクロポーラスマテリアルとは、結晶化している触媒を構成する結晶格子内にチタン原子を必須として有するものであり、結晶の細孔の大きさで分類された結晶性複合酸化物の中で最も小さい分類に属するものである。好ましい形態としては、直径が2nm未満の細孔を有するものである。
上記結晶格子内チタン含有結晶性マイクロポーラスマテリアルとしては、例えば、MFI型ゼオライト構造を有するチタノシリケート(TS−1)、MFI型チタノアルミノシリケート、MEL型チタノシリケート(TS−2)、MEL型チタノアルミノシリケート、BEA型チタノシリケート、BEA型チタノアルミノシリケート、RUT型チタノシリケート、RUT型チタノアルミノシリケート、MWW型チタノシリケート、MWW型チタノアルミノシリケート、ETS−4型チタノシリケート、ETS−10型チタノシリケート等のゼオライト構造の結晶性マイクロポーラスマテリアル;TAPO−5、TAPO−11、TAPO−34等のチタノアルミノホスフェート類の結晶性マイクロポーラスマテリアル等が挙げられ、中でもTS−1型チタノシリケートが好ましい。
上記結晶格子内チタン含有結晶性メソポーラスマテリアルとは、結晶化している触媒を構成する結晶格子内にチタン原子を必須として有するものであり、結晶の細孔の大きさで分類された結晶性複合酸化物の中で上記結晶格子内チタン含有結晶性マイクロポーラスマテリアルの次に大きい分類に属するものである。好ましい形態としては、直径が2nm以上、20nm以下の細孔を規則的に有するものである。このような結晶格子内チタン含有結晶性メソポーラスマテリアルとしては、例えば、Ti含有MCM−41、Ti含有SBA−1、Ti含有SBA−15等が挙げられる。
上記(3)の形態において、三斜晶系とは、3つの結晶軸がすべて斜交し、各結晶軸の長さが互いに異なる結晶系であり、三斜格子を有するものである。中でも三斜晶系のFeVOを含むものが好ましい。
上記触媒においてはまた、(4)必須金属成分が6配位で酸素原子と結合して形成される八面体骨格により結晶が構成される酸化物である形態が好ましい。中でも、(5)結晶構造がルチル構造である形態、(6)八面体骨格により結晶が構成されるものであり、該八面体の少なくとも1組が辺共有で結合している層状酸化物である形態がより好ましく、これらの1つ又は2つ以上を組み合わせた形態であることも好ましい。
上記(4)の形態では、必須金属成分において、配位子として酸素原子が6つ配位し、該酸素原子を頂点とする八面体骨格を形成しているものである。好ましくは、必須金属成分が八面体骨格中に位置する形態である。金属成分が6配位されていることから、該金属成分が溶出しにくいこととなる。このような触媒の結晶構造としては、ルチル構造やコランダム構造、イルメナイト構造等を挙げることができ、ルチル構造であることが好ましい。このような触媒としては、例えば、ルチル型のTiVO複合酸化物(又は固溶体)等が挙げられる。
上記(5)の形態においては、ルチル構造とは、正方晶系に属し、ABで表される化合物(A:陽性原子、B:陰性原子)により形成される結晶構造である。このような結晶構造においては、A原子がB原子によって八面体的に配位され、各八面体は隣接八面体と頂点又は稜を共有して骨格構造を形成することになる。なお、ルチル構造の化合物は、アナターゼ構造の化合物を焼成することにより得ることが可能である。
上記(6)の形態における辺共有八面体層状酸化物は、八面体中に必須金属成分が閉じ込められている状態であることから、金属の溶出が起こりにくく、辺共有していることにより、安定な酸化物とすることができることとなる。
上記層状酸化物とは、シート状の酸化物が複数積層されて層状構造を形成したものである。好ましくは、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する複合酸化物が複数積層されて層状構造を形成したものである。
また例えば、シート状のチタン含有層状複合酸化物を4級アンモニウム塩を用いて剥離させることによって得られる、いわゆるナノシート構造を有する複合酸化物も好適に使用することができる。
上記触媒としてはまた、下記一般式(1);
ATiMO(2X+3) (1)
(Aは、水素原子又はアルカリ金属原子を表す。Mは、ニオブ原子又はタンタル原子を表す。Xは、7以下の自然数である。)で表される層状化合物であることも好ましい。
上記Aは、水素原子又はアルカリ金属原子であり、中でも、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、セシウム原子が好ましく、より好ましくは、水素原子である。このような層状酸化物としては、チタン含有層状複合酸化物であることが好ましく、中でも、チタン含有層状複合酸化物触媒を好適に用いることができる。
上記層状酸化物としては、例えば、HTiNbO、KTiNbO、CsTiNbO、HTiNbO、CsTiNbO、HTiNbO、KTiNbO、CsTiNbO、HNb、KNb、CsNb、HTiTaO、KTiTaO、CsTiTaO、HNbMoO、KNbMoO、CsNbMoO、HNbWO、KNbWO、CsNbWO、HTaMoO、KTaMoO、CsTaMoO、HTaWO、KTaWO、CsTaWO、リン酸チタン等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、HTiNbO、HTiNbO、HNb、HNbMoO、HNbWOが好ましい。
本発明における触媒としてはまた、焼成したものを用いてもよく、これにより、活性金属成分の溶出を更に抑制することができる。焼成の温度としては、触媒表面積を考慮して設定することが好適であり、例えば、280℃以上、1300℃以下とすることが好ましい。280℃未満であると、溶出を充分に抑制することができないおそれがあり、1300℃を超えると、充分な触媒表面積を得られず脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを高効率で製造できないおそれがある。より好ましくは、400℃以上、1200℃以下である。また、焼成の時間は、30分以上、24時間以内が好適である。より好ましくは、1時間以上、12時間以内である。焼成中の気相雰囲気は、空気、窒素、アルゴン、酸素等が好ましい。より好ましくは、空気中で焼成することである。
本発明はまた、触媒を用いて油脂類とアルコールとを反応させることにより得られる組成物であって、上記組成物は、脂肪酸アルキルエステルを98.00質量%以上、99.92質量%以下含有し、遊離脂肪酸を800ppm以上、4500ppm以下含有する組成物でもある。上記の組成を有することにより、バイオディーゼル燃料用途や、界面活性剤中間原料用途に使用するのに好適なものとなり、中でも、バイオディーゼル燃料に用いることが好ましい。
上記遊離脂肪酸の含有量が800ppm未満であると、精製や洗浄等の工程を簡略化できないことから、エネルギー的に充分に有利になものとできないこととなり、4500ppmを超えると、ディーゼルエンジンの腐食を充分には抑制できなかったり、セタン価が低下するため好ましくない。下限値として、好ましくは、900ppmであり、より好ましくは、1000ppmである。また上限値として、好ましくは、3000ppmであり、より好ましくは、2500ppmである。
上記脂肪酸アルキルエステルの含有量が98.00質量%未満であると、各種用途に充分に好適に用いることができなくなり、99.92質量%を越えると、エネルギー的に充分に有利になものとできないこととなる。下限値として、好ましくは、98.50質量%であり、上限値として、好ましくは、99.90質量%である。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法においては、油脂類とアルコールとを触媒の存在下に接触させる工程を含んでなり、上記触媒は、反応条件下において、油脂類及びアルコールと、生成物(脂肪酸アルキルエステルやグリセリン等)のいずれにも不溶性のものであり、反応生成液であるエステル相とグリセリン相を相分離するより先に、触媒の非存在下にアルコールを留去する形態もまた、好ましい形態の一つである。
上記脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法においては、触媒としては、油脂類及びアルコールと脂肪酸アルキルエステルやグリセリン等の生成物に不溶性のもの(以下、不溶性触媒ともいう)であることが好ましい。油脂類とアルコールとを接触させる反応において、反応が進行すると、脂肪酸アルキルエステルを主に含む相(エステル相)と、副産物であるグリセリンを主に含む相(グリセリン相)とに相分離することになる。この場合、両方の相にアルコールが含まれることになり、その結果、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンが相互に分配する。このとき、触媒の非存在下にアルコールを留去すると、脂肪酸アルキルエステルを主に含む上層とグリセリンを主に含む下層との相互溶解度が低下して、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンの分離を向上できることになり、回収率が向上できる。触媒の活性金属成分が溶出していると、エステル交換反応が可逆反応であることに起因して、上記の工程において逆反応が進行して脂肪酸アルキルエステルの収率が低下することになる。このように、触媒の非存在下に反応液からアルコールを留去した後に相分離を行うことにより、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法において精製が容易になり、収率を向上することができる。なお、微量の水を添加することにより、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとの分離や精製を更に向上することが可能となる。
上記触媒の非存在下とは、不溶性固体触媒をほとんど含まず、かつ、反応後液中に該触媒から溶出した活性金属成分の合計の濃度が、1000ppm以下であることである。また、溶出した活性金属成分とは、操作条件下において、エステル交換反応及び/又はエステル化反応に活性を有する均一系触媒として作用し得る、反応液中に溶解した不溶性固体触媒由来の金属成分を意味する。溶出した活性金属成分の濃度が1000ppmを超えると、前記アルコールの留去工程において逆反応を充分には抑制できないことになり、製造におけるユーティリティの負荷を充分には低減できないことになる。好ましくは、800ppm以下であり、より好ましくは、600ppm以下であり、さらに好ましくは、300ppm以下である。特に好ましくは、実質的に活性金属成分が含有されないことである。
上記反応液中の触媒の活性金属成分の溶出量は、反応後の反応液を、溶液状態のまま蛍光X線分析法(XRF)により測定する。また、より微小量の溶出量を測定する場合には、高周波誘導プラズマ(ICP)発光分析法により測定する。
本発明はまた、上述するような本発明の製造方法に用いる触媒でもある。本発明の触媒は、エステル化とエステル交換とを同時に行うことができる性能を持ち、油脂中に含まれる鉱酸や金属成分の影響を受けず、かつアルコールが分解しない等の作用効果を発揮するものであり、本発明の製造方法において脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを高効率に製造することを可能とするものである。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法は、油脂類とアルコールとを触媒の存在下に接触させる工程を含んでなるものである。
上記工程においては、例えば、下記式に示すように、トリグリセリドとメタノールとのエステル交換反応により、脂肪酸メチルエステルとグリセリンとが生成することになる。
Figure 2005200398
式中、Rは、同一又は異なって、炭素数6〜22のアルキル基又は1つ以上の不飽和結合を有する炭素数6〜22のアルケニル基を表す。
上記製造方法において、上記触媒を用いることによりエステル交換反応とエステル化反応とを行うことができるので、原料である油脂類が遊離脂肪酸を含むものであっても、エステル交換反応工程で同時に遊離脂肪酸のエステル化反応が進行するため、エステル交換反応工程と別にエステル化反応工程を設けなくても脂肪酸アルキルエステルの収率を向上することができる。
上記製造方法においては、上記式に示すように、エステル交換反応により脂肪酸アルキルエステルと共にグリセリンが得られることになる。本発明においては、精製されたグリセリンを工業的に簡便に得ることができる。このようなグリセリンは、化学原料として各種の用途に有用なものである。
上記油脂類としては、グリセリンの脂肪酸エステルを含有するものであり、アルコールと共に脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの原料となるものであればよく、一般的に「油脂」と呼ばれるものを使用することができる。通常では、トリグリセリド(グリセリンと高級脂肪酸とのトリエステル)を主成分として、ジグリセリド、モノグリセリドやその他の副成分を少量含有する油脂を用いることが好ましいが、トリオレイン等のグリセリンの脂肪酸エステルを用いてもよい。
上記油脂としては、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ベニバナ油、アマニ油、綿実油、キリ油、ヒマシ油等の植物油脂;牛脂、豚油、魚油、鯨脂等の動物油脂;各種の食用油の使用済み油(廃食油)が好適であり、これらは、1種のものを用いてもよく、2種以上のものを併用してもよい。
上記油脂類が不純物としてリン脂質やタンパク質等を含む場合、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸を添加して、不純物を除去する脱ガム工程を行ったものを用いることが好ましい。本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法は、触媒が鉱酸によって反応阻害を受けにくいものであるので、脱ガム工程を行った後、油脂類に鉱酸が含まれていても、脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを効率よく製造することができる。
上記アルコールとしては、バイオディーゼル燃料の製造を目的にする場合には、炭素数1〜6のアルコールであることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3のアルコールである。炭素数1〜6のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール等が挙げられる。特に、メタノールが好ましい。これらは、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記アルコールはまた、食用油、化粧品、医薬等の製造を目的とする場合には、ポリオールであることが好ましい。上記ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が好適である。中でも、グリセリンが好ましい。これらは、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、上記アルコールとしてポリオールを用いる場合、後述のように、ジグリセリドを得る方法において好適に用いることができる。
上記脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法においては、油脂類、アルコール及び触媒以外のその他の成分が存在してもよい。
上記アルコールの使用量としては、油脂類とアルコールとの反応における理論必要量の1〜5倍であることが好ましい。1倍未満であると、油脂類とアルコールとが充分には反応しないおそれがあり、転化率を充分には向上できないおそれがある。5倍を超えると、余剰アルコールの回収やリサイクル量が大きくなるためコストがかかるおそれがある。下限値として、より好ましくは、1.1倍であり、さらに好ましくは1.3倍であり、特に好ましくは、1.5倍である。上限値として、より好ましくは4.8倍であり、さらに好ましくは、4.5倍であり、特に好ましくは、4.0倍である。また、より好ましい範囲としては、1.1〜4.8倍であり、さらに好ましくは、1.3〜4.5倍であり、特に好ましくは、1.5〜4.0倍である。
本発明でいうアルコールの理論必要量は、油脂類のけん化価に対応するアルコールのモル数を意味しており、下記式で算出することができる。
アルコールの理論必要量(kg)=アルコールの分子量×[油脂の使用量(kg)×けん化価(g−KOH/kg−油脂)/56100]
上記アルコールがポリオールである場合には、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法により、ジグリセリド類を得ることができる。このような形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。ジグリセリド類は、油脂の可塑性改良用添加剤等として食品分野等で好適に用いることができる。また、ジグリセリド類を食用の油脂とし、各種の食品に配合すると、肥満防止、体重増加抑制作用等を発揮することから、本発明により得られるジグリセリド類を食用の油脂として使用する形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記ジグリセリド類を得る形態において、例えば、ポリオールとしてグリセリンを用いる場合、下記式に示すような反応が進行することとなる。
Figure 2005200398
式中、Rは、同一又は異なって、炭素数6〜22のアルキル基又は1つ以上の不飽和結合を有する炭素数6〜22のアルケニル基を表す。
本発明の方法により、モノグリセリドとジグリセリドを主成分に持つ混合物を得て、これに遊離脂肪酸又はそのアルキルエステルを添加して、リパーゼの存在下で反応させることが好ましく、これにより、高選択率でジグリセリド類を得ることができる。
上記リパーゼとしては、固定化リパーゼ又は菌体内リパーゼであることが好ましい。より好ましくは、1,3位に選択的に作用する固定化リパーゼ又は菌体内リパーゼである。固定化リパーゼとしては、1,3位選択的リパーゼをイオン交換樹脂に固定化して得られたものが好ましい。1,3位選択的リパーゼとしては、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギウス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール(Rhizomucor)属、カンジダ(Candida)属、サーモマイセス(Thermomyces)属、シュードモナス(Pseudomonas)属等の微生物に由来するリパーゼが好適である。
上記リパーゼを作用させる条件としては、良好なリパーゼ活性が得られる条件を適宜選択することができるが、反応温度としては、10〜100℃が好ましく、より好ましくは、20℃以上、80℃以下である。
ジグリセリド類を得る方法としては、触媒を用いて油脂類とポリオールとを反応させる第1反応、及び、得られた混合物にリパーゼを作用させる第2反応とを行う方法が挙げられる。このような方法では、第1反応において触媒としてアルカリを用いた場合、第2反応におけるpHをリパーゼの活性に最適な範囲とするため、第1反応終了後にpHを調整することが必要となる。しかしながら、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法を第1反応として用いることにより、第2反応でpHを調整する必要が低下し、反応プロセスを簡略化することができる。このように、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法を、ジグリセリド類を得る方法において用いることは、好ましい実施形態の一つである。
本発明の脂肪駿アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法における反応温度としては、50〜300℃であることが好ましい。50℃未満であると、反応速度を充分には向上できないおそれがあり、300℃を超えると、アルコールが分解する等の副反応を充分には抑制できないおそれがある。より好ましくは、70℃以上、290℃以下であり、さらに好ましくは、100℃以上、280℃以下である。
上記脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法に用いる触媒は、上記範囲内の反応温度で用いる場合に、活性金属成分が溶出しないものであることが好ましい。このような触媒を用いることにより、反応温度が高温であっても触媒の活性を充分に維持することができ、反応を良好に行うことができる。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法における反応圧力としては、0.1〜10MPaであることが好ましい。0.1MPa未満であると、反応速度を充分に向上できないおそれがあり、10MPaを超えると、副反応が進行しやすくなるおそれがある。また、高圧に耐えうる特殊な装置が必要になり、ユーティリティコストや設備費を充分には低減できなくなる場合がある。より好ましくは、0.2MPa以上、9MPa以下であり、さらに好ましくは、0.3MPa以上、6MPa以下である。
このように反応温度や圧力を充分に低下させた場合においても、本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法においては、上述したように高活性の触媒を用いるため、反応を良好に実施することが可能となる。
なお、前記4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする触媒は、使用するアルコールの超臨界状態で用いることもできる。超臨界状態とは、物質固有の臨界温度及び臨界圧力を超えた領域をいい、アルコールとしてメタノールを使用する場合、温度が239℃以上であり、圧力が8.0MPa以上の条件を指す。該触媒を用いることにより、超臨界条件下においても効率的に脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンを製造することができる。
上記接触工程の好ましい形態としては、バッチ式(回分式)又は連続流通式であり、中でも、触媒分離の工程が不要となることから、固定床流通式であることが好適である。すなわち、上記接触工程は、固定床流通反応装置を使用して行われることが好ましい。
またバッチ式の好ましい形態としては、触媒を油脂類とアルコールとの混合系に投入する形態である。
本発明の製造方法においてはまた、上記触媒を用いることにより反応を繰り返し実施することができるため、反応終了後に未反応原料や中間体グリセリド等を含んでいてもよい。この場合には、例えば、反応終了後の混合液から触媒の非存在下、アルコール及び水等の軽沸分を留去した後、この流出液から未反応のグリセリド類及び遊離脂肪酸を分離及び回収し、原料油脂類とともに再使用することが好ましい。これにより、高純度の脂肪酸アルキルエステルやグリセリンをより高収率で得ることが可能となり、精製コストを更に充分に削減することができる。
本発明の製造方法により得られる脂肪酸アルキルエステルは、工業原料や医薬品等の原料、燃料等として様々な用途に好適に用いられることとなる。中でも、上記製造方法により、植物性油脂や廃食油を原料として得られる脂肪酸アルキルエステルを用いたディーゼル燃料は、その製造工程においてユーティリティーコストや設備費を充分に低減できるとともに、触媒回収工程が不要で触媒を繰り返し利用できるため、製造段階から環境保全効果を充分に発揮することが可能となり、各種の燃料として好適に利用することができる。このような上記製造方法により得られる脂肪酸アルキルエステルを含有するディーゼル燃料もまた、本発明の1つである。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法における製造工程の好ましい形態を図1及び2に示す。
なお、本発明は、これらの形態に限られるものではない。
図1においては、バッチ式により、油脂類としてパーム油を用い、アルコールとしてメタノールを用いて、これらを触媒の存在下に接触させる工程が示されている。このような形態では、パーム油とメタノールとを触媒とともに混合して、反応を行うことになる。この反応液を静置して脂肪酸メチルエステルとグリセリド類とを主に含むエステル相と、グリセリンとメタノールとを主に含むグリセリン相とに分離する。グリセリン相を分離して得られたエステル相にメタノールと触媒とを添加して更に反応を行い、エステル相とグリセリン相とに分離して、脂肪酸メチルエステルとグリセリンとを得ることになる。このような形態においては、反応液を相分離する前であって、ろ過等の工程により固体触媒を液相から分離除去した後に、アルコールを留去することが、脂肪酸メチルエステル類とグリセリンとの分離が向上できる点で好ましい。
このようにして得られた脂肪酸メチルエステル及び/又はグリセリンは、目的に応じて、蒸留塔の操作により、さらに精製することが好ましい。
図2においては、固定床連続流通式反応装置により、油脂類としてパーム油を用いてアルコールとしてメタノールを用いて、これらを固体触媒を固定相とした充填反応塔内で触媒と接触させる工程が示されている。触媒充填反応塔内で反応した反応後液をセトラー内で静置して、エステル相とグリセリン相とに分離する。グリセリン相を分離して得られたエステル相を、さらに触媒充填反応塔内でメタノールと反応させて得られた反応後液からメタノールを留去した後に、セトラー内で静置してエステル相とグリセリン相とに分離して、脂肪酸メチルエステルとグリセリンを得る。このようにして得られた脂肪酸メチルエステル及び/又はグリセリンは、目的に応じて、蒸留塔の操作により、さらに精製することが好ましい。
本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法は、上述のような構成よりなるため、以下のような点で作用効果を発揮することができる。
反応プロセスを簡略化する点に関して、
(1)触媒の分離除去工程を簡略化又は不要とすることができる。
(2)遊離脂肪酸の中和除去工程、又は、酸触媒によるエステル化工程を不要とすることができる。
(3)遊離脂肪酸のけん化が起こらない。
(4)油脂類中の遊離脂肪酸のエステル化が同時に進行する。
精製プロセスを簡略化する、すなわち精製グリセリンを容易に得ることができる点に関して、
(1)触媒分離後にアルコールを留去することができ、逆反応が起こらないので、液−液二相の分配平衡が向上(相互溶解度が低下)して生成物の分離を良好に行うことができる。
(2)更に、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とする結晶性酸化物触媒が、結晶骨格内の必須金属成分を活性種として使用するため、リーチングがなく、触媒を長寿命とすることができる点や、触媒表面に強い酸点又は塩基点を持たないのでアルコールの分解(脱水やコーキング等)が少なく、高選択的に脂肪酸アルキルエステルを得ることができる点、また、油脂中に含まれる微量金属成分や、前処理に用いる鉱酸の影響を受けにくい点が挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例中の転化率、収率は、下記式により算出した。
転化率(%)=(反応終了時の油脂類の消費モル数)/(油脂類の仕込みモル数)×100(%)
メチルエステル収率(モル%)=(反応終了時のメチルエステル生成モル数)/(仕込み時の有効脂肪酸類のモル数)×100(%)
ジグリセリド収率(モル%)=(反応終了時のジグリセリド生成モル数×2)/(仕込み時の有効脂肪酸類のモル数)×100(%)
モノグリセリド収率(モル%)=(反応終了時のモノグリセリド生成モル数)/(仕込み時の有効脂肪酸類のモル数)×100(%)
グリセリンの収率(モル%)=(反応終了時の遊離グリセリンの生成モル数)/(仕込み時の有効グリセリン成分のモル数)×100(%)
なお、有効脂肪酸類とは、油脂類に含まれる脂肪酸のトリグリセリド類、ジグリセリド類、モノグリセリド類、遊離脂肪酸類のことをいう。すなわち、仕込み時の有効脂肪酸類のモル数は、下記式で算出される。
仕込み時の有効脂肪酸類のモル数(モル)=[油脂類の仕込み量(g)×油脂類のけん化価(mg−KOH/g−油脂)/56100]
また、有効グリセリン成分とは、本発明の方法によってグリセリンを生成することができる成分をいい、具体的には、油脂類中に含まれる脂肪酸のトリグリセリド類、ジグリセリド類、モノグリセリド類をいう。有効グリセリン成分の含有量は、油脂類(反応原料)をけん化することによって遊離するグリセリンの存在量をガスクロマトグラフィーによって定量することによって算出される。
触媒調製例1:チタンバナジウム酸化物触媒(触媒A)の調製
メタバナジン酸アンモニウム25.74gを90℃の蒸留水700gに溶解させた溶液中に、三塩化チタン(III)20%水溶液169.66gを滴下した。蒸発乾固後、空気気流下で350℃2時間予備焼成し、引き続いて750℃5時間焼成することによって、チタンバナジウム酸化物触媒(触媒A)を得た。触媒AのX線回折測定の結果、主としてルチル型TiVO構造の複合酸化物と五酸化バナジウムとの混合物であった。
触媒調製例2:鉄バナジウム酸化物触媒(触媒B)の調製
メタバナジン酸アンモニウム14.04gを90℃の蒸留水700gに溶解させた(溶液A)。硝酸鉄(III)9水和物48.48gを蒸留水40gに溶解させた溶液を、溶液Aに滴下し、蒸発乾固した。空気気流下で350℃2時間予備焼成し、引き続いて750℃5時間焼成することによって、鉄バナジウム酸化物触媒(触媒B)を得た。触媒BのX線回折測定の結果、主として三斜晶型FeVO構造の複合酸化物であった。
触媒調製例3:シリカ担持鉄バナジウム酸化物触媒(触媒C)の調製
オキシシュウ酸バナジル7.49gと硝酸鉄(III)9水和物13.45gとをメタノールに均一に溶解させた溶液中に、シリカ粉末10gを混練し、撹拌しながら蒸発乾固した。空気気流下で350℃2時間予備焼成し、引き続いて750℃5時間焼成することによって、シリカ担持鉄バナジウム酸化物触媒(触媒C)を得た。
触媒調製例4:セリウムバナジウム酸化物触媒(触媒D)の調製
硝酸鉄のかわりに硝酸セリウム(III)6水和物53.17gを用いた以外は、触媒調製例2(触媒B)と同様にしてセリウムバナジウム酸化物触媒(触媒D)を得た。触媒DのX線回折測定により、主として二酸化セリウム(IV)とCeVO構造の酸化物であった。
触媒調製例5:コバルトバナジウム酸化物触媒(触媒E)の調製
硝酸鉄の代わりに硝酸コバルト(II)6水和物35.64gを用いた以外は、触媒調製例2(触媒B)と同様にしてコバルトバナジウム酸化物触媒(触媒E)を得た。触媒EのX線回折測定の結果、主としてCo構造の複合酸化物であった。
触媒調製例6:バナジウム酸化物触媒(触媒F)の調製
メタバナジン酸アンモニウム粉体21.06gを空気気流下で500℃3時間焼成することによってバナジウム酸化物触媒(触媒F)を得た。触媒FのX線回折測定の結果、主として五酸化バナジウムであった。
触媒調製例7〜8(触媒G、H)
和光純薬製の酸化ニオブ(Nb)を触媒Gとし、同社製の酸化タンタル(Ta)を触媒Hとして用いた。
触媒調製例9:チタンバナジウムジルコニウム三元系複合酸化物(触媒I)の合成
硝酸ジルコニル(IV)2水和物80.99gを蒸留水1000gに溶解させた(溶液B)。オキシ硫酸チタン(IV)9.21gを23gの蒸留水に溶解させ溶液Bに滴下し、さらに25%アンモニア水溶液48.07gを蒸留水100gで希釈した溶液を滴下し固体を析出させた。得られた固体を蒸留水500mLで6回洗浄した後、120℃で一晩乾燥させた(固体A)。硫酸バナジル(IV)4水和物8.46gを蒸留水25gに溶解させ、先に得られた固体Aと混練し、攪拌しながら蒸発乾固した。空気気流下で350℃2時間予備加熱し、引き続いて750℃5時間焼成することによって、チタンバナジウムジルコニウム三元系複合酸化物(触媒I)を得た。
触媒調製例10:H型ニオベート(触媒J)の調製
炭酸カリウム3.47g、酸化ニオブ(Nb)19.96gを乳鉢内でよく混合し、更に少量の水を加えよく混練した。120℃で4時間乾燥させた後、1100℃で3時間焼成することによって、層状のKNbを得た。これを1N硝酸水溶液(1L)でイオン交換を二度繰り返した後、水洗し、500℃2時間焼成することによって、H型にイオン交換したHNb(触媒J)を得た。
触媒調製例11:H型チタノニオベート(触媒K)の調製
炭酸カリウム(13.9g)を蒸留水(30g)に溶解させた。アナターゼ型酸化チタン(16.0g)と酸化ニオブ(Nb)(26.6g)とを乳鉢内でよく混合した中に、前記の炭酸カリウム溶液を入れて均質になるように混練した。120℃で一昼夜乾燥させた後、1100℃で3時間焼成することによって、K型チタノニオベート(KTiNbO)を得た。これを6N硝酸水溶液(150mL)でイオン交換を二度繰り返した後、水洗し、500℃2時間焼成することによって、H型にイオン交換したHTiNbO(触媒K)を得た。このようにして得られたHTiNbO触媒の酸強度(H)をハメット指示薬法で測定した結果、+3.3から+6.3の間であった。
触媒調製例12:MFIチタノシリケート(TS−1)(触媒L)の調製
窒素雰囲気下で、テトラメチルオルトシリケート96.8gとテトラエチルオルトチタネート4.8gを混合した。この溶液に10%水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液400gを滴下した。90℃で3時間還流させた後、オートクレーブに移し、175℃で48時間水熱合成させた。得られた白色スラリーを遠心分離し、水洗後、空気気流下で550℃3時間焼成することによって、MFI型チタノシリケート(TS−1)触媒(触媒L)を得た。得られたチタノシリケートのTi/Si原子比は1/22であった。こうにして得られたTS−1触媒の酸強度(H)をハメット指示薬法で測定した結果、+6.3から+8.3の間であった。
触媒調製例13:シリカ担持型酸化チタン触媒(触媒M)の調製
チタンテトライソプロポキシド3.56gをイソプロパノールに均一に溶解させた溶液中に、シリカ粉末20gを混練し、攪拌しながら蒸発乾固した。空気気流下で500℃5時間焼成することによって、シリカ担持酸化チタン触媒(触媒M)を得た。このようにして得られたチタニアシリカ触媒の酸強度(H)をハメット指示薬法で測定した結果、+6.3から+8.3の間であった。
実施例1〜13及び比較例1では、分析を簡略化するために、反応原料としては、油脂の模擬液として、トリオレイン又はオレイン酸含有トリオレインを用いた。
実施例1
トリオレイン(60g)、メタノール(20g)及び触媒A(Ti−V)(2.5g)を容量200mLのオートクレーブ内に仕込んだ。窒素置換後、内部を撹拌しながら反応温度150℃で24時間反応させたところ、オレイン酸メチルの収率は79%であり、グリセリンの収率は51%であった。XRF分析で活性溶出成分であるTiとVの合計の濃度が1000ppm以下であることを確認し、更にICP分析を行ったところ、Ti及びVの溶出は認められなかった。
比較例1
実施例1において、触媒としてハイドロタルサイトを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。オレイン酸メチルの収率は77%であり、グリセリンの収率は63%であった。エステル相のXRF分析の結果、表1に記載した通りハイドロタルサイトを構成するマグネシウムのほぼ全量とアルミニウムの約半量とが溶出していた。
実施例2〜13
実施例2〜10では触媒Aのかわりに触媒B〜Jを用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。実施例11〜13では触媒Aのかわりに触媒K〜Mを用い、反応温度を150℃から200℃へ変更させた以外は実施例1と同様にして反応を行った。
Figure 2005200398
実施例14
実施例1において、トリオレインの代わりに、けん化価195.9、有効脂肪酸含有率96.5%、遊離脂肪酸含有率5.1%、水分量0.06%のパーム油を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。脂肪酸メチルエステルの収率は72%、グリセリンの収率は41%、遊離脂肪酸の転化率は64%であった。
実施例15
実施例14において触媒Aのかわりに触媒Kを用い、パーム油、メタノール、触媒の仕込み量をそれぞれ70g、14g、7.8gに変更し、反応濃度を150℃から200℃へ変更した以外は実施例14と同様にして反応を行った。脂肪酸メチルエステルの収率は65%、グリセリンの収率は29%、遊離脂肪酸の転化率は49%であった。また、Tiの溶出は認められなかった。
実施例16
実施例1において反応原料として更にオレイン酸を2.5g添加した以外は実施例1と同様にして反応を行った。オレイン酸メチルエステルの収率は77%、グリセリンの収率は45%であった。また、Ti及びVの溶出は認められなかった。
実施例17
実施例16において、触媒Aのかわりに触媒Kを用い、反応温度を150℃から200℃に変更した以外は実施例16と同様にして反応を行った。オレイン酸メチルエステルの収率は78%、グリセリンの収率は71%であった。また、Tiの溶出は確認されなかった。
実施例18
実施例17において触媒Kのかわりに触媒Lを用いた以外は実施例17と同様にして反応を行った。オレイン酸メチルエステルの収率は81%、グリセリンの収率は74%であった。また、Tiの溶出は確認されなかった。
実施例19
触媒Aを圧縮成型した後、破砕して、300〜850μmの粒径にそろえた。
内径10mm、長さ210mmのSUS−316製直管反応管内に、成型した触媒A15mL(25g)を充填した。反応器出口には、空冷式冷却管を介してフィルターと背圧弁とを取り付けて、圧力制御できるようにした。
精密高圧定量ポンプを使用してトリオレインとメタノールとを、各々、0.192mL/min、0.040mL/min(モル比=1/5)の流量で反応器上部より下向きに流通させながら、背圧弁で反応管内の圧力を2.5MPaに設定した。
反応管部分をGCオーブンを使用して外部から加熱し、温度を150℃に設定した。温度と圧力が安定してから3.5時間後の反応器出口におけるオレイン酸メチルエステルの収率は50%であった。
実施例20
実施例19において、触媒Aのかわりに触媒Kを用い、トリオレインとメタノールの流量をそれぞれ0.170mL/min、0.065mL/min(モル比=1/9)に変更し、反応温度を2.5MPaから3.7MPaに変更し、反応温度を150℃から200℃に変更した以外は実施例19と同様にして反応を行った。温度と圧力が安定してから1.5時間後のトリオレインの転化率は84%であり、オレイン酸メチルエステル収率50%、グリセリン収率15%であった。
実施例21
けん化価195.9、有効脂肪酸含有率96.5%、遊離脂肪酸含有率5.1%、水分量0.06%のパーム油(28g)、グリセリン(9.6g)及び触媒L(1.25g)を容積100mLのオートクレーブ内に仕込んだ。窒素置換後、内部を攪拌しながら反応温度250℃で6時間反応させたところ、転化率75%、ジグリセリド収率20%、モノグリセリド収率55%であった。グリセリン縮合物やエーテル化物の副生はなく、Tiの溶出はなかった。
図1は、本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法における製造工程の好ましい形態の一つを示す模式図である。 図2は、本発明の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法における製造工程の好ましい形態の一つを示す模式図である。

Claims (9)

  1. 油脂類とアルコールとを触媒の存在下に接触させる工程を含んでなる脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法であって、
    該触媒は、4族及び5族の金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を必須成分とするものである
    ことを特徴とする脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  2. 前記触媒は、更に、3族、6族、8族、9族、10族、11族、12族、14族、15族、16族及びランタノイドの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものである
    ことを特徴とする請求項1記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  3. 前記触媒は、ハメットの酸度関数が−3.0≦H≦+12.2のチタン含有酸化物触媒である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  4. 前記触媒は、結晶性チタン複合酸化物触媒であって、結晶格子内にチタンを含有する結晶性マイクロポーラスマテリアル触媒、及び/又は、結晶格子内にチタンを含有する結晶性メソポーラスマテリアル触媒である
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  5. 前記触媒は、必須金属成分が6配位で酸素原子と結合して形成される八面体骨格により結晶が構成される酸化物である
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  6. 前記触媒は、結晶構造が三斜晶系である酸化物である
    ことを特徴とする請求項1、2又は5記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  7. 前記触媒は、結晶構造がルチル構造である
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は5記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  8. 前記触媒は、八面体骨格により結晶が構成されるものであり、該八面体の少なくとも1組が辺共有で結合している層状酸化物である
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は5記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
  9. 前記層状酸化物は、下記一般式(1);
    ATiMO(2X+3) (1)
    (Aは、水素原子又はアルカリ金属原子を表す。Mは、ニオブ原子又はタンタル原子を表す。Xは、7以下の自然数である。)で表される化合物である
    ことを特徴とする請求項8記載の脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセリンの製造方法。
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