JP2005181767A - ポリイミド製無端ベルトの製造方法。 - Google Patents

ポリイミド製無端ベルトの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来より電子写真装置に用いられているポリイミド製無端ベルトのトナーのクリーニング性と光沢度は充分なものではなかった。
【解決手段】 研磨材としてラッピングフィルムを用い、研磨時のワークの平均周速が0.5m/秒以上で、少なくとも外周表面を研磨することにより、上記問題を解決できることを見出した。更にこの製造方法に、ラッピングフィルムとポリイミド製無端ベルト間の接圧力を1kPa以上として研磨する、ラッピングフィルムを面方向に回転させて研磨する、ポリイミド製無端ベルトに含フッ素化合物を添加する、ポリイミド製無端ベルトに含有される粉体の全量と触媒の全量と抵抗制御剤の全量とポリアミック酸全量の10〜50重量%と溶剤全量の10〜80重量%からなる紛体分散液を作製するステップを介する、前記粉体分散液に超音波処理を施す手法を1つ以上組み合わせると、より効果が高いことを見出した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、特に電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合装置などに代表される電子写真装置に用いるポリイミド製無端ベルトの製造方法に関する。
ポリイミド成型体は一般的に耐熱性、耐候性、機械特性が優れていることから寸法安定性が高い(例えば、非特許文献1参照)。この高い寸法安定性を必要とする成型体として、電子写真装置用エンドレスベルトが挙げられる。電子写真装置は、導電性材料からなる感光体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光などで静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像してトナー像とする。次いでこのトナー像を直接または中間転写体を介して用紙などの記録媒体に転写することにより所望の画像を得る装置である。
ここで、感光体上のトナー像を中間転写体に一次転写し、次いで中間転写体上のトナー像を紙などの記録媒体へ二次転写する方法、即ち中間転写方式を採用した電子写真装置に用いられる中間転写体材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(例えば、特許文献1参照)、ポリカーボネート(例えば、特許文献2参照)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とポリカーボネートとのブレンド(例えば、特許文献3参照)などの熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電剤を分散させた導電性樹脂エンドレスベルトが開示されている。
しかしながら上記中間転写体材料では、機械強度不足によるクラック発生や、駆動時の中間転写体の負荷で変形し、良好な転写画像が得られない問題があった。この問題を解決するために、高い機械強度を有するポリイミド樹脂を中間転写体材料として用いることが検討されている(例えば、特許文献4参照)。
ところで、中間転写体材料に要求される特性の一つに、トナーのクリーニング性が挙げられる。トナーのクリーニング性は、トナーの剥離性と、中間転写体に接触するクリーニングブレードの滑り性に大きく影響され、それらが高い程トナーの剥離性が良いとされている。
しかしながら、中間転写体に用いた導電性材料の大きさや形状によっては、著しく表面粗さが大きくなってしまう場合があり、これがトナーのクリーニング性を悪化させてしまう。また、中間転写体材料に要求される重要な特性の一つである高光沢性をも損ねてしまう。高光沢性は中間転写体上のトナーの有無を判別するために必要とされる特性である。これらの不具合は針状フィラーを導電性材料とした場合において特に顕著である。
「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、日本ポリイミド協会編、2002年 特開平5−200904号公報 特開平3−89357号公報 特開平6−149083号公報 特開平10−171265号公報
本発明は、電子写真装置の中間転写用、定着用、又はその両方の用途に良好に用いられうる、トナーのクリーニング性、光沢度の優れた電子写真装置用ポリイミド製無端ベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、研磨材としてラッピングフィルムを用い、研磨時のワークの平均周速が0.5m/秒以上で、少なくとも外周表面を研磨することにより、上記問題を解決できることを見出した。
更にこの製造方法に、ラッピングフィルムとポリイミド製無端ベルト間の接圧力を1kPa以上として研磨する、ラッピングフィルムを面方向に回転させて研磨する、ポリイミド製無端ベルトに含フッ素化合物を添加する、ポリイミド製無端ベルトに含有される粉体の全量と触媒の全量と抵抗制御剤の全量とポリアミック酸全量の10〜50重量%と溶剤全量の10〜80重量%からなる紛体分散液を作製するステップを介する、前記粉体分散液に超音波処理を施す手法を1つ以上組み合わせると、より効果が高いことを見出した。
本発明によれば、トナーのクリーニング性と光沢度の高いポリイミド製無端ベルトを得る事ができる。
次に、本発明の実施の形態をより詳しく説明する。
本発明のポリイミド製無端ベルトの製造方法は、研磨材としてラッピングフィルムを用い、研磨時のワークの平均周速が0.5m/秒以上で、少なくとも外周表面を研磨することを特徴とし、トナーのクリーニング性、光沢度の高い電子写真装置用に好適に用いることのできるポリイミド製無端ベルトを得ることを可能とする。
本発明では、ポリイミド製無端ベルトを研磨するための研磨材に、高分子フィルムに研磨粒子をロール塗布して得られるラッピングフィルムを用いる。類似の研磨材として、研磨粒子を高分子フィルムに静電塗布したタイプの研磨テープが挙げられるが、静電塗布方式では研磨粒子の凝集物が鋭利な形状となってフィルム状に形成されてしまい、この鋭利な凝集物がポリイミド製無端ベルト表面に深い溝を付けてしまうため、好ましくない。一方、ラッピングフィルムでは、このような鋭利な凝集物が生じにくい。
本発明におけるラッピングフィルムの種類は特に限定されず、ポリエステルなどの高分子フィルムに酸化アルミニウム、酸化クロム、ダイアモンド等の微細な研磨粒子をコーティングさせた一般的に市販されているものを使用することができる。特にチップポケット方式のラッピングフィルムは研磨時に発生する粉塵による傷を軽減できることから好適に用いることができる。研磨粒子のサイズは、ポリイミド製無端ベルトへの過剰なダメージがないようにするために、その平均粒径は50μm以下が望ましい。また、メッシュサイズは400番以上、好適には500から20000番が研磨効率に優れているという点で望ましい。
ラッピングフィルムによる研磨方法として、ワークのポリイミド製無端ベルトを平均周速0.5m/秒以上で回転させると表面仕上がりが向上できることを本発明により見出した。更に、3.0〜10.0m/秒の範囲で回転させることが望ましい。これは、周速を0.5m/秒以上とすることでワークの単位面積当たりのラッピングフィルムとの接触回数が大きくなり、特に周速3.0m/秒以上から研磨効率が急激に向上するためである。しかしながら、周速を10.0m/秒より大きくすると、ワークに対するダメージリスクが大きくなり、またラッピングフィルムの研磨粒子が脱落しやすく好ましくない。
ワークの回転方法は、ポリイミド製無端ベルトの内径にフィットする硬質の筒または円柱にポリイミド製無端ベルトをはめ、これを旋盤にて回転させる方法や、2本以上のロール間にポリイミド製無端ベルトを張り、1つ以上のロールを駆動させることにより回転を得る方法等が挙げられるが、特に限定は無い。
更に本発明において、ラッピングフィルムとポリイミド製無端ベルトとの接圧を1kPa以上、好ましくは2〜5kPaとすると表面粗さが小さくなり、表面仕上がりが向上することも見出した。これは1kPa以上の圧力を与えることにより、ラッピングフィルム上の研磨粒子が効果的にワークと接触するためであると推定される。また、2kPa以上の圧力を与えると、ラッピングフィルムとワークとの点接触もしくは線接触状態が面接触の状態に近くなるため、研磨効率が急激に大きくなる為と推定される。しかしながら、5kPaより大きい圧力を加えると、ワークの回転に支障をきたす場合があり、また研磨粒子が脱落する可能性があり好ましくない。
ワークを高速回転させるだけでなく、ラッピングフィルムを面方向に回転させると飛躍的に研磨効率が高くなることをも本発明者らは発見した。ここで”面方向に回転”とは、面上で面に平行にラッピングフィルムを回転運動させることを言う。回転速度は100rpm以上、更には、200から10000rpmが研磨効率に優れているという点で望ましい。回転させるラッピングフィルムの形状に特に限定はないが、フィルムのエッジがポリイミド製無端ベルト表面に接触する際のダメージを軽減するため、角のない形状、特に円形、更には真円であることが望ましい。また、応力緩和の点から中央部を円状、更には真円に繰り抜いたドーナツ状であると尚良い。ラッピングフィルム回転方法は特に限定は無いが、ディスクグラインダー、電子ポリッシャー、電動ドリル等の一般的な回転機の先端にラッピングフィルムを貼り付ける等をして実現することができる。
ポリイミド製無端ベルトの研磨効率を上げる一つの要因として、外周表面の滑り性を向上せしめることが考えられる。そのためには、外表面の表面自由エネルギー及び動摩擦係数を低減する方法が極めて効果的である。
表面自由エネルギーは、水の静的接触角を測定することでその高低を見積もることができ、水の静的接触角が大きいほど、表面自由エネルギーが低い関係を有する。実用的なトナーの剥離性を考慮した場合、当該ポリイミド製無端ベルト外表面における水に対する静的接触角が、80°以上、更には90°以上であることで、研磨効率をより好ましく向上せしめることが可能となる。
本発明に係る水の静的接触角とは、試験片を23℃、55%RHの雰囲気に24時間静置した後、同雰囲気下において、試験片表面に蒸留水20μLを滴下して、その接触角度を、例えば、協和界面科学社製の静的接触角計CA−DT型を用いて1分後の値を直読することにより測定される値である。
動摩擦係数に関しては、実用的には、当該ポリイミド製無端ベルト外周表面の動摩擦係数が0.40以下であることで、良好な研磨効率を得ることが可能である。動摩擦係数の下限は特に規定されないが、実質的な下限としては、0.10である。
本発明に係る動摩擦係数とは、JIS K7125に準じた以下の方法で得られるものである。即ち、滑り片の接触面にJIS L3201に規定されたフェルトを接着する代わりに、ポリイミド製無端ベルトから切り出した同面積の試験片を平滑に固定することを除いて、JIS K7125に従って得られる値である。従って、得られる動摩擦係数は、ポリイミド製無端ベルトの外周表面同士の動摩擦係数となる。
ポリイミド製無端ベルトの外周表面の動摩擦係数を所定の範囲内に設定する方法として、含フッ素化合物を該無端ベルトに添加することが挙げられる。含フッ素化合物の種類や添加方法には特に限定は無く、該無端ベルトの外周表面にフッ素樹脂を塗布した複数層構造とする方法、該無端ベルト中にフッ素樹脂を分散せしめる方法など、従来既知の方法を用いることができる。しかしながら、研磨による含フッ素化合物層の剥離等を考慮すると、単層構造とする方法が特に好ましい。そのため、ポリイミド製無端ベルト中にフッ素樹脂を分散せしめることで、特に好ましく目的が達成されうる。ここでいう単層構造とは、ポリイミド製無端ベルトの厚み方向において、明確な界面が存在しない構造のことを指す。従って、ポリイミド製無端ベルトの厚み方向において、フッ素樹脂やその他ポリイミド製無端ベルトの性能を規定する添加物の濃度が、連続的に変化する構造であっても構わない。
上記ポリイミド製無端ベルト中にフッ素樹脂を分散せしめる方法は特に限定されず、ポリアミック酸溶液とフッ素樹脂若しくはフッ素樹脂の分散液を混合する方法、フッ素樹脂の分散液中で、ポリアミック酸の重合反応を行う方法などが例示されうる。フッ素樹脂が溶剤に可溶である場合、当然、分散液の代わりに溶媒を用いることとなるが、特に問題なく使用できる。
上記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンなど、その分子中にフッ素原子を有する重合体であれば、問題なく使用可能である。しかしながら、ポリイミド製無端ベルト焼成のために与えられる熱に耐えうることや、耐磨耗性などの観点から、フッ素樹脂が、少なくともポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から選ばれる、少なくとも1種以上の樹脂を含むことで、特に好ましく目的が達成されうる。
フッ素樹脂の導入量は、多すぎると最終的に得られるポリイミド製無端ベルトの機械特性が低下する恐れがあり、逆に少なすぎると該無端ベルトの動摩擦係数を好適な範囲に制御できない恐れがある。上記要請から、ポリイミド樹脂の乾燥重量100重量部に対して、フッ素樹脂が、3〜50重量部、更には5〜40重量部導入されていることが好ましい。
更に本発明により、粉体の分散性を向上せしめると、粉体の凝集物が減少することにより研磨後の表面仕上がりが向上することが明らかとなった。粉体の分散性を向上せしめる方法として、ポリイミド製無端ベルトに含有される粉体の全量と触媒の全量と抵抗制御剤の全量とポリアミック酸全量の10〜50重量%と溶剤全量の10〜80重量%からなる紛体分散液を作製し、これを残りの原料と混合する方法が最も適している。これは、硬化剤とポリアミック酸全量の50〜90重量%と溶剤全量の20〜90重量%以外の全ての原料が既に混合された状態で粉体分散状態が安定化されることから、分散後の混合による粉体の再凝集が最小限に抑制されるためである。更に再凝集を抑制するため、粉体分散液に超音波処理を施すと尚良い。
本発明に係るポリイミド製無端ベルトは、樹脂の主成分がポリイミドであることが重要である。ここで、樹脂の主成分とは、全樹脂成分中、ポリイミドが50重量%以上であることを言う。ポリイミドは、ポリアミック酸の硬化反応により得られるものであり、ポリアミック酸は、酸二無水物成分、好ましくは芳香族テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機極性溶媒中で重合反応させて得られるものである。
テトラカルボン酸二無水物成分としては特に制限はなく、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3′,4,4′−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4′−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4′−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。単独で用いる場合には、ピロメリット酸二無水物若しくはビフェニルテトラカルボン酸類二無水物が機械強度を好適な範囲に制御しやすいので好ましく、2種以上組み合わせて用いる場合においても、全酸二無水物成分を基準として50モル%以上のピロメリット酸二無水物若しくは50モル%以上のビフェニルテトラカルボン酸類二無水物を用いることが好ましい。上記ビフェニルテトラカルボン酸類二無水物は、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、若しくは、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
次に用いられるジアミン成分は、ジアミンであれば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4′−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4′−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3′−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4′−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノ−5,5′−ジメトキシビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノ−2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3′−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4′−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4′−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2′−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン等を挙げることができる。これらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。単独で用いる場合には、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル若しくはフェニレンジアミン類が機械強度を好適な範囲に制御しやすいので好ましく、2種以上組み合わせて用いる場合においても、全ジアミン成分を基準として50モル%以上の4,4′−ジアミノジフェニルエーテル若しくは50モル%以上のフェニレンジアミン類を用いることが好ましい。上記フェニレンジアミン類は、p−フェニレンジアミン、若しくは、m−フェニレンジアミンが特に好ましい。
ここで該ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独または混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。また、水は、ポリアミック酸の分解を促進するため、可能な限り除去することが好ましい。
ポリアミック酸溶液に対し脱水閉環剤及び触媒を用いてイミド化を促進するポリイミドの成型方法は、熱による方法や光による方法などに比べて、生産性向上や、弾性率などのその他物性を好適に制御できることからよく用いられている。ここでいう硬化剤とは、ポリアミック酸に対する脱水閉環剤であれば制限無く用いることが可能で、例えばその主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種類以上の混合物が、好ましく用いうる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する。
また、ここでいう触媒とは硬化剤のポリアミック酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であり、その主成分として、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンが好ましく例示されうる。そのうち、イミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの置換ピリジンなどの置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物であることが好ましい。
さらに、粘度調整や溶解性の点から、硬化剤及び触媒を含有する溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択され得る。
本発明に係るポリイミド製無端ベルトは、ポリイミド樹脂を含めば、その他の成分は特に限定されず、最終的に得られるポリイミド製無端ベルトの特性を制御するために、有機若しくは無機材料を問わず、さまざまな材料を含有することができる。例えば、抵抗値の制御の目的には、カーボンブラックをはじめとする導電性無機粉体を樹脂中に適量混合する方法が最も効果的である。カーボンブラック以外にも小径金属粒体、金属酸化物粒体、また酸化チタンや各種無機粒体・ウイスカーを金属酸化物など導電性物質で皮膜形成したもの等でも同様の効果を得ることができる。さらには、LiCl等のイオン導電性物質の添加も可能である。熱伝導性を制御する目的には、例えば窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、炭化珪素、珪素、シリカ、グラファイト等を用いることができる。中でも、熱伝導機能が高く、離型効果を発揮し、化学的に安定で、無害であるという点で、窒化ホウ素が特に好ましい。導入される無機粉体の量は、少なすぎるとその効果を十分に発揮できない恐れがあり、多すぎるとポリイミド製無端ベルトの機械特性を著しく低下せしめる恐れがある。そのため、ポリイミド製無端ベルトに導入される無機粉体の量は、ポリイミド樹脂100重量部に対し、3〜90重量部、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは10〜70重量部であることで、得られるポリイミド製無端ベルトの特性を好適に制御しうる。このような粉体の中でも、針状フィラーはその形状の異方性ゆえに、ポリイミド製無端ベルトの導電性や機械特性の向上に大きく寄与することから好ましく添加される。ここでいう針状フィラーとは径に対して長手方向の長さが2倍以上のものを言う。これらの粉体、特に針状フィラーが添加されたポリイミド製無端ベルトは表面粗さが大きく、トナーのクリーニング性や光沢を著しく損なう要因となるため、研磨による表面仕上げが必要となる。
本発明に係るポリイミド製無端ベルトとは、中空状成形体を意味し、その径や厚みの大小を問わない。従ってベルトと呼ばれる事の多い大口径のものにも、チューブと呼ばれる事の多い小口径のものについても適用することができる。また、シームレスの成形体であっても、フィルムを重ねあわせや突き合わせの手段を用いつなぎ合わせ中空状成形体としたものについても適用することができる。但し、本発明のポリイミド製無端ベルトを、例えば電子写真装置の中間転写体として用いる場合には、微細な段差であっても画質の低下に繋がるおそれがあるため、フィルムの重ね合わせや突き合わせの手段でつなぎ合わせた無端ベルトよりもシームレスの成形体の方が好ましい。
ポリイミド製無端ベルトの厚さは、厚すぎると靭性が著しく低下するため好ましくなく、薄すぎると座屈が発生しやすくなるため好ましくない。この要請から、本発明のポリイミド製無端ベルトの厚さは、50〜150μm、より好ましくは60〜100μmであることで、ポリイミド製無端ベルトとして良好に用いることができる。ポリイミド製無端ベルトの厚さは、例えば、マイクロゲージ等を用いて容易に測定できる。
本発明に係るポリイミド製無端ベルトの体積抵抗率は、その用途を考慮すると106〜1011Ω・cmであることが好ましい。該無端ベルトをレーザービームプリンターの中間転写体として用いた場合、体積抵抗率が上記範囲より小さすぎると白抜けが発生し、また、逆に大きすぎると転写チリが発生するため好ましくない。
同様に、本発明に係るポリイミド製無端ベルトの表面抵抗率は、その用途を考慮すると107〜1012Ω/□であることが好ましい。該無端ベルトをレーザービームプリンターの中間転写体として用いた場合、表面抵抗率が上記範囲より小さすぎると白抜けが発生し、また、逆に大きすぎると転写チリが発生するため好ましくない。
次にポリイミド製無端ベルトを製造する具体的方法について、一例を示して説明する。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶媒中で重合反応させてポリイミド樹脂前駆体酸溶液、すなわちポリアミック酸溶液を調製する。この場合、前述した理由により、50モル%以上のピロメリット酸二無水物若しくは50モル%以上のビフェニルテトラカルボン酸類二無水物と、50モル%以上の4,4′−ジアミノジフェニルエーテル若しくは50モル%以上のフェニレンジアミン類を含むジアミン成分とを反応させて得たポリアミック酸が好ましい。
またこの際、該溶液に針状フィラーやカーボンブラックをはじめとする無機粉体やPTFE粒子を適量混入せしめることも適宜選択され得る。針状フィラー、無機紛体、PTFE粒子等の添加物を混入せしめる手法としては、有機溶媒中に添加物を混入せしめ、しかる後に該有機溶媒中で上記成分を重合反応せしめる方法、重合反応の途中段階もしくは反応終了後の溶液に前記添加物もしくはその分散液を混入せしめる方法等が挙げられる。針状フィラーや無機紛体を分散させ、その凝集体のサイズを縮小化する手法としては、ミキサーや攪拌子による攪拌、平行ロール、超音波分散、ボールミルなどの物理的手法、さらには分散剤の導入などの化学的手法が例示されうるが、これらに限定されるものではない。
ポリイミド製無端ベルトの表面にフッ素樹脂層を設ける場合は、ポリアミック酸を含有する有機溶媒溶液とフッ素樹脂を混合する工程を経ずに形成することができる。フッ素樹脂層を設ける手段としては、フッ素樹脂分散液若しくは溶液を、ポリイミド製無端ベルトの表面にスプレーや浸漬などの方法で塗布することが挙げられるが、特に限定されるものではない。
上述の手段で得られたポリイミド製無端ベルト原料を、筒状やフィルム状に成形する。ポリイミド製無端ベルト原料をその形状に成形する方法は特に限定されず、ポリイミド製無端ベルト原料をダイスから押し出す方法、金型をポリイミド製無端ベルト原料に浸漬する方法、該原料を円筒状塗布型に噴霧する方法等が挙げられる。さらに、筒状の場合には、遠心力を応用して筒状塗布膜の厚みを一定化させる、所謂遠心成形法も用いることができる。この工程でポリイミド製無端ベルト原料を100℃程度、実質的には70℃〜140℃の温度範囲で加熱することで、硬化反応を促進させることも適宜選択されうる。
上記硬化反応は、熱のみで行う方法や、触媒及び硬化剤を用いる方法、光照射による方法等を単独で、若しくは併用して行うことができる。
上述のプロセスを経て自己支持性が発現し半硬化状態になった塗布膜を、さらに加熱することにより、溶媒を除去するとともに硬化反応をほぼ完全に終了させる。加熱の工程は、樹脂の収縮に起因する厚みムラや成形不良を防ぐため、筒状に成形した場合は、筒状塗布膜の内部に円筒若しくは円柱成形型を挿入することが好ましく、また、フィルム状に成形した場合は、平面方向にある張力を掛けた状態で加熱することが好ましい。フィルム状に成形した場合は、適当な大きさにスリットし、その端部を重ね合わせや突き合わせにより筒状に加工する。
筒状に成型した場合、ポリイミド製無端ベルトを円筒若しくは円柱成形型に挿入された状態のまま旋盤にセッティングし、これを回転させる。また、内部に円筒若しくは円柱成形型を持たせない場合は、2本以上のロール間にポリイミド性無端ベルトを張り、これを回転させる。この回転状態にあるポリイミド製無端ベルトにラッピングフィルムを押し当て、研磨を行なう。
このようにして、目的のポリイミド製無端ベルトを得ることができる。
本発明に係る実施例を以下に説明する。
(実施例1)
攪拌翼がついた容器に、モレキュラーシーブにて十分に脱水したジメチルホルムアミド(DMF)を1500g入れ、4、4′−ジアミノジフェニルエーテル200gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。この系を約0℃に冷却し、ピロメリット酸二無水物218gを徐々に加え、よく攪拌した。系の粘度が約3×102Pa・sになったところで攪拌を停止し、ポリイミド前駆体溶液を得た。
次に大塚化学社製フィラーBK−400HRを60gとDMF300gを別の容器に入れ、よく攪拌し、さらに超音波分散機にかけることで分散液中のフィラーを均一に分散させた。BK−400HRはその表面にカーボンをコートしたチタン酸カリウムからなる針状フィラーである。
上記で得られた針状フィラー分散液を、118g採取し、よく攪拌した。このビーカー中に、上記で得られたポリイミド前駆体溶液300gを溶かし入れた。次いで該溶液中に、ダイキン工業(株)製のポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)の有機溶媒分散液(商品名:ポリフロンPTFEタフコートエナメル)TC−7809BK(固形成分21重量%)を、91g混練した。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して、針状フィラーを約30重量部、及び、PTFEを約30重量部含有する、ポリアミック酸を含有する溶液を調製した。
更に、上記溶液に、触媒であるイソキノリンを20g、硬化剤である無水酢酸を32g混練した。
上記で得られたポリアミック酸を含有する溶液を、内径82mm、外径83.5mm、長さ450mmの筒状空間中に均一に注入し、塗布膜に自己支持性が発現するまで23℃・55%RHの雰囲気中に10分間静置した。前記筒状空間は、外径82mm、長さ450mmのSUS製内筒を、内径83.5mm、長さ450mmのSUS製外筒に挿入することで形成されるものである。次いで、該塗布膜を前記内筒及び外筒から取り外し、外径80mmのSUS製円筒焼成型に装着し、100℃から380℃まで、約30分かけて昇温した。系を室温まで冷却した後、外径80mmのSUS製円筒焼成型に装着されたポリイミド製無端ベルトを旋盤にセットし、周速4.0m/秒にて回転させた。この回転された状態のポリイミド製無端ベルトに#1000のラッピングフィルムを3kPaで押し当て、次に#2000、#4000、#6000、#8000のラッピングフィルムを同様に押し当てた。この様にして目的とするポリイミド製無端ベルトを得ることができた。
得られたポリイミド製無端ベルトに対し、中間転写体として用いた場合の画像評価、トナーのクリーニング性、光沢度の評価を行った。
画像評価は、以下の手順で行った。得られたポリイミド製無端ベルトを、複写機である(株)リコー製フルカラー複写機プリテールに搭載し中間転写体として用い、A4サイズの画像を10000枚形成せしめた。その後、さらに1枚の画像を形成せしめ、その画像の評価を行った。白抜け、転写チリ、転写ずれ、ボソツキがない良好な画像を○、それ以外を×とした。
トナーのクリーニング性は、以下の手順で評価した。前述した10001枚の画像形成の後、ポリイミド製無端ベルトの外表面に粘着セロハンテープを貼り、次いで、当該テープを剥がして、目視にてセロハンテープ上のトナーの有無を確認した。上記複写機は、樹脂ブレードによりポリイミド製無端ベルト上のトナーをクリーニングする機構になっており、トナーの剥離性及びクリーニングブレードの滑り性が劣ると、ポリイミド製無端ベルト上にトナーが残存する。従って、セロハンテープ上にトナーがほとんど確認できない場合はクリーニング性○、トナーが付着している場合はクリーニング性×とした。
光沢度は日本電色製VGS−300Aを用いて測定した。上記の評価を行った結果、画像、トナーのクリーニング性はいずれも○であった。光沢度は入射角20°において51%、75°において72%と高い値を示した。
(実施例2)
研磨時に用いるラッピングフィルムを面方向に1600rpmで回転させること以外は実施例1と同様な手法でポリイミド製無端ベルトを作製した。
実施例1と同様の画像評価、トナーのクリーニング性評価を行った。その結果、画像、トナーのクリーニング性はいずれも○であった。特に実施例1に比べ、トナーのクリーニング性が更に向上した。光沢度は入射角20°において91%、75°において99%と高い値を示した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で得られたポリイミド前駆体溶液65gと大塚化学社製フィラーBK−400HRを20gとDMF229gとイソキノリン34gを別の容器に入れ、10000rpmで回転させた内部せん断式の湿式分散機にて30分間分散処理した。BK−400HRはその表面にカーボンをコートしたチタン酸カリウムからなる針状フィラーである。さらに超音波分散機にかけることで分散液中のフィラーを均一に分散させた。
上記で得られた針状フィラー分散液の全量を、ポリアミック酸溶液235gに加え、よく攪拌した。更に、この溶液に、硬化剤である無水酢酸を81g混練した。その後、実施例1と同様の方法でポリイミド製無端ベルトを得た。ただし、研磨に用いたラッピングフィルムは#1000と#2000の2種類のみである。
実施例1と同様の画像評価、トナーのクリーニング性評価を行った。その結果、トナーのクリーニング性はいずれも○であった。特に実施例1に比べ、トナーのクリーニング性が更に向上した。更に、用いたラッピングフィルムの種類が少なく、ラッピングフィルムを面方向に回転させていないにも関わらず、光沢度は入射角20°において90%、75°において93%と高い値を示した。
(比較例1)
実施例1、2で用いたラッピングフィルムの代わりに、静電塗布方式により作製された研磨テープを用いて研磨を行なったポリイミド製無端ベルトを作製した。
その結果、画像評価は○であったが、トナーのクリーニング性は×であった。光沢度は、入射角75°における光沢度が71%であったものの、20°においては30%と低い値を示した。
上記の如く、実施例のポリイミド製無端ベルトは、トナーのクリーニング性も良く、電子写真記録装置の中間転写体として用いた場合にも、安定して良好な画像を提供可能なポリイミド製無端ベルトを提供することができる。これに対して、比較例のポリイミド製無端ベルトではクリーニング性不良が生じており、また光沢も低く、良好なポリイミド製無端ベルトが得られなかった。
以上、本発明に係るポリイミド製無端ベルトについて説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。例示するまでもなく記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。
本発明は電子写真装置の高性能化に寄与するものである。

Claims (6)

  1. 研磨材としてラッピングフィルムを用い、研磨時のワークの平均周速が0.5m/秒以上で、少なくとも外周表面を研磨することを特徴とするポリイミド製無端ベルトの製造方法。
  2. 研磨材とワーク間の接圧力が1kPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド製無端ベルトの製造方法。
  3. 研磨材を面方向に回転させて研磨することを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載のポリイミド製無端ベルトの製造方法。
  4. ポリイミド製無端ベルトに含フッ素化合物を添加することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイミド製無端ベルトの製造方法。
  5. ポリアミック酸溶液に対し脱水閉環剤及び触媒を用いるポリイミドの硬化反応により得られるポリイミド製無端ベルトにおいて、含有される粉体の全量と触媒の全量と抵抗制御剤の全量とポリアミック酸全量(あわせて100重量%)の10〜50重量%と溶剤全量の10〜80重量%からなる紛体分散液を作製するステップを介することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のポリイミド製無端ベルトの製造方法。
  6. 前記粉体分散液が超音波処理されていることを特徴とする請求項5に記載のポリイミド製無端ベルトの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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