JP2005172809A - ひび割れ検知材およびその製造方法、ひび割れ検知システムならびにひび割れ検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のひび割れ検知材は、構造物表面に貼り付けられるひび割れ検知材10であって、導電性の線条体11と線条体11を被覆した絶縁体12,12とを有する。本発明のひび割れ検知システムは、上記のひび割れ検知材10で形成された導電回路と、該導電回路を通電する通電手段と、該導電回路の通電状態を測定する測定手段と、測定手段で測定した導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を判定する判定手段とを具備する。本発明のひび割れ検知方法は、構造物表面に、導電性を有する線条体を絶縁体で被覆して導電回路を貼り付けて形成し、該導電回路の通電状態を測定し、その導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を検知する。
【選択図】 図1
Description
従来、構造物のひび割れを検知する方法としては、目視検査、ハンマーによる打音検査、超音波による検査等が行われていた。しかしながら、目視検査、ハンマーによる打音検査においては、ひび割れの有無は各検査者の判断に委ねられており、検査者毎に結果が異なる可能性があった。したがって、ひび割れ検知の正確性が低かった。また、超音波による検査では、検査者が構造物表面に超音波を照射し、超音波反射の状態をモニタで観察してひび割れを判定しなければならないから、効率的ではなかった。
さらには、ひび割れによって破断した導電回路を補修する場合には、補修する箇所の周囲の塗装を剥がし、再び塗装しなければならないので、効率的でなかった。
本発明のひび割れ検知材においては、絶縁体がアクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル酸エチル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
また、本発明のひび割れ検知材においては、線条体が金属箔であることが好ましい。
さらに、本発明のひび割れ検知材においては、テープ状であることが好ましい。
その場合、金属箔は、幅が0.5〜20mm、厚みが3〜30μmであることが好ましい。
また、絶縁体の幅方向の中央部に絶縁体より幅狭の金属箔が積層され、金属箔の側端部から絶縁体の側端部までの長さが片側につき0.5〜20mmであり、絶縁体の厚みが20〜200μmであることが好ましい。なお、ここでいう絶縁体の厚みとは、線条体を被覆する絶縁体そのものの厚みのことであり、線条体を挟んだ状態の絶縁体の厚みのことではない。
本発明のひび割れ検知材の製造方法は、金属箔を絶縁体の間に挟んだ後、絶縁体を熱圧着することを特徴とする。
本発明のひび割れ検知システムは、上記ひび割れ検知材で形成された導電回路と、該導電回路を通電する通電手段と、該導電回路の通電状態を測定する測定手段と、測定手段で測定した導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
本発明のひび割れ検知方法は、構造物表面に、導電性を有する線条体を絶縁体で被覆して導電回路を貼り付けて形成し、
該導電回路の通電状態を測定し、その導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を検知することを特徴とする。
本発明のひび割れ検知材の製造方法によれば、導電性の線条体と該線条体を被覆した絶縁体とを有するひび割れ検知テープを簡便に製造できる。
本発明のひび割れ検知システムおよびひび割れ検知方法によれば、構造物のひび割れを正確に検知できる。
図1は、本実施形態例のひび割れ検知材であるひび割れ検知テープを示す断面図である。このひび割れ検知テープ10は、コンクリート構造物20表面(図2参照)に貼り付けられるものであり、帯状の線条体11が、この線条体11より幅広の2枚の帯状の絶縁体12,12で挟まれ、被覆されたものである。つまり、ひび割れ検知テープ10は、線条体11が絶縁体12,12で密封されたものである。
また、上記に挙げた樹脂の中でも、アクリル樹脂、EVA、エチレン−アクリル酸エチル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。アクリル樹脂では、温度によらず、ひび割れに応じて破断するものが得られる。また、アクリル樹脂では、それを構成する成分に応じてガラス転移温度を容易に変えることができるので、構造物が建設される環境に応じたひび割れ検知テープを容易に製造できる。
また、絶縁体がEVA、エチレン−アクリル酸エチル樹脂である場合には、絶縁体の熱圧着性が高くなるため、ひび割れ検知テープ10を熱圧着(ヒートシール)で容易に製造できるようになる。
熱圧着の際の温度としては絶縁体12の材質にもよるが50〜150℃とすることが好ましい。50℃未満であると圧着力が不十分で剥離することがあり、150℃を超えると溶融しすぎて形状を保てないことがある。
ここで、導電回路21は、コンクリート構造物20表面にできるだけ均一なパターンで形成されている。通電手段22としては直流電源が使用され、判定手段24としてはコンピュータが使用される。
また、導電回路21を形成する際には、ひび割れ検知テープ10の片面に接着剤を塗布し、コンクリート構造物20表面に貼り付ける。
よって、判定手段24における比較において、測定された抵抗値が設定値より低いとき(図3における範囲A)には、コンクリート構造物20表面に貼られたひび割れ検知テープに変化がないから、コンクリート構造物20にひび割れが生じていないと判定する。一方、測定された抵抗値が設定値より高くなったとき(図3における範囲B)には、ひび割れ検知テープが破断もしくは破断寸前になったのでひび割れが生じたと判定する。そして、その判定結果をモニタ25に表示させて監視者に知らせる。
このように、このひび割れ検知方法では、ひび割れ検知テープ10で形成された導電回路21の通電状態を測定し、その通電状態に基づいてひび割れの発生を検知する。
また、ひび割れ検知テープは、線条体を2枚の絶縁体で挟んで被覆したものであり、乾式の積層法で製造できるので、線条体中に絶縁体に含まれる樹脂成分が取り込まれにくい。したがって、導電性が低くなることが防止されており、ひび割れを正確に検知できる。
さらには、ひび割れによって破断した導電回路を補修する場合には、導電回路をなすひび割れ検知テープの一部(破断した部分)または全部を剥がし、導電回路を形成するようにひび割れ検知テープを貼り替えればよい。しかも、テープの剥離、接着は特殊な工具、特殊な技能を必要とせず、また、工程数も少ないので、効率的である。
また、ひび割れ検知テープの片面には接着層が設けられていてもよい。接着層が設けられていれば、ひび割れ検知テープを構造物に貼り付ける際に、接着剤を塗布しなくてもよい。
ただし、ひび割れ検知材がテープ状である方がひび割れに追随して破断しやすいので、ひび割れをより正確に検知できる。
絶縁体がアクリル樹脂からなる例を示す。
帯状のアクリル樹脂製絶縁体(第1のアクリル樹脂製絶縁体)の幅方向中央部に、導電性を有する線条体である帯状の銅箔を重ね、さらに、この上に別の帯状のアクリル樹脂製絶縁体(第2のアクリル樹脂製絶縁体)を重ねて、ヒートロールにより、温度60±10℃、圧力3〜5kPaで熱圧着して、帯状の銅箔を帯状のアクリル樹脂製絶縁体で被覆したひび割れ検知テープを作製した。なお、第1のアクリル樹脂製絶縁体および第2のアクリル樹脂製絶縁体の膜厚は約150μm、銅箔の膜厚は10μmである。また、アクリル樹脂製絶縁体をなすアクリル樹脂のガラス転移温度、銅箔および最終的なテープの幅を表1に示す。
絶縁体がEVAからなる例を示す。
表2に示す組み合わせで、2枚の帯状のEVA製絶縁体[東ソー株式会社製メルセンフィルムMX−106(厚さ;50μm)、日本マタイ株式会社製エルファンOH−501(厚さ;100μm)、幅;6mm,10mm]の間に、銅箔[福田金属箔粉工業社製、幅;2mm、厚さ;8μm,15μm]からなる線条体を挟んだ。その際、銅箔をEVA製絶縁体の幅方向の中央部に配置し、銅箔の側端部から絶縁体の側端部までの長さが片側につき2mmまたは4mmになるようにした。そして、2枚の絶縁体をヒートロールにより、温度120±10℃、圧力1〜3kPaで熱圧着して、銅箔がEVA製絶縁体で密封されたひび割れ検知テープを得た。
得られたひび割れ検知テープの長さ方向の両端部をそれぞれスレート板に貼り合わせ、両端部の銅箔をテスタに接続した。そして、スレート板を引張速度0.5mm/分で引っ張って擬似的にひび割れを再現させた。そして、電気抵抗が無限大になったときの変位を測定した。その結果を表2に示す。
Claims (9)
- 構造物表面に貼り付けられるひび割れ検知材であって、導電性の線条体と該線条体を被覆した絶縁体とを有することを特徴とするひび割れ検知材。
- 絶縁体がアクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル酸エチル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載のひび割れ検知材。
- 線条体が金属箔であることを特徴とする請求項1または2に記載のひび割れ検知材。
- テープ状であることを特徴とする請求項3に記載のひび割れ検知材。
- 金属箔は、幅が0.5〜20mm、厚みが3〜30μmであることを特徴とする請求項4に記載のひび割れ検知材。
- 絶縁体の幅方向の中央部に絶縁体より幅狭の金属箔が積層され、金属箔の側端部から絶縁体の側端部までの長さが片側につき0.5〜20mmであり、絶縁体の厚みが20〜200μmであることを特徴とする請求項4または5に記載のひび割れ検知材。
- 金属箔を絶縁体の間に挟んだ後、絶縁体を熱圧着することを特徴とするひび割れ検知材の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のひび割れ検知材で形成された導電回路と、該導電回路を通電する通電手段と、該導電回路の通電状態を測定する測定手段と、測定手段で測定した導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を判定する判定手段とを具備することを特徴とするひび割れ検知システム。
- 構造物表面に、導電性を有する線条体を絶縁体で被覆して導電回路を貼り付けて形成し、
該導電回路の通電状態を測定し、その導電回路の通電状態に基づいてひび割れの発生を検知することを特徴とするひび割れ検知方法。
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