JP2005171232A - 難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 IEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度が775℃以上であり、UL−94規格による難燃性がV−0水準であり、電気的安全性が優れた製品が得られる、難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 粘度数が85〜140のポリアミド樹脂100重量部、トリアジン系難燃剤21〜35重量部、およびカルボン酸アマイド系ワックス0.01〜0.3重量部を含有してなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 粘度数が85〜140のポリアミド樹脂100重量部、トリアジン系難燃剤21〜35重量部、およびカルボン酸アマイド系ワックス0.01〜0.3重量部を含有してなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、電気的安全性が優れた製品が得られる、難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
電気・電子部品としてのコネクターは、電気・機器相互間または機器内部で電気・電子回路を接続する装置(デバイス)として、家電機器、通信機器、OA機器、コンピューター、カーエレクトロニクス機器などの部品として広く使用され、電気・電子分野において不可欠なものである。このようなコネクター製造用材料としては、難燃性ポリアミド樹脂組成物が多く使用されている。ところが上記の多岐に亘る用途においてより高い電気的安全性を確保にするため、最近IEC60695−2−13規格におけるグローワイヤー着火温度(この試験に合格する温度)(以下、この温度を単にグローワイヤー着火温度と記載する)が、725℃以上から775℃以上に改訂された。このため、従来コネクター製造用材料として使用されている難燃性ポリアミド樹脂組成物では、改訂後のグローワイヤー着火温度に合格できないことがわかった。
従来知られて難燃性コネクター用材料として代表的なものは、ポリアミド樹脂とシアヌル酸メラミンとからなるポリアミド樹脂組成物である(特許文献1〜特許文献5)。これら刊行物に記載されたポリアミド樹脂組成物は、十分な難燃性を発揮し、プレートアウトやブルーミングなどの不都合がない優れた樹脂組成物である。しかしながら、これら刊行物に記載されたポリアミド樹脂組成物には、グローワイヤー着火温度に関する記載は全くない。改訂後のグローワイヤー着火温度に合格できるように、刊行物に記載されたポリアミド樹脂組成物に、難燃剤としてのシアヌル酸メラミンの配合量を多くすると、成形性や機械的強度が低下するという欠点があった。
特開平5−17683
特開平9−143365
特開平11−12461
特開平11−12462
特開平11−26060
本発明は、かかる状況にあって、改定後のグローワイヤー着火温度に合格できる製品が得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明の目的は、プレートアウトやブルーミングなどの不都合が生じず、成形性や機械的強度に優れ、かつ、グローワイヤー着火温度が775℃以上で、改訂後の規格に合格する製品が得られる、難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、粘度数が85〜140のポリアミド樹脂100重量部、トリアジン系難燃剤21〜35重量部、およびカルボン酸アマイド系ワックス0.01〜0.3重量部を含有してなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供するものである。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物およびコネクターは、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性に優れている。特に、厚さが3mmの試験片でグローワイヤー着火温度が775℃以上で、改訂後のIEC60695−2−13規格に合格する。
2.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は難燃性に優れ、厚さが0.8mmの試験片で、UL―94規格による燃焼性がV−0水準である。
3.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、プレートアウトやブルーミングなどの不都合が生じないので、外観の優れた製品が得られる。
4.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性が良好であり、かつ、成形性(成形品の離型性)にも優れているので、製品製造の際の生産性が高い。
5.本発明に係るコネクターは、難燃性や電気的安全性に優れ、電気機器相互間または機器内部で、電気・電子回路を接続する装置(デバイス)として有用である。
1.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性に優れている。特に、厚さが3mmの試験片でグローワイヤー着火温度が775℃以上で、改訂後のIEC60695−2−13規格に合格する。
2.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は難燃性に優れ、厚さが0.8mmの試験片で、UL―94規格による燃焼性がV−0水準である。
3.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、プレートアウトやブルーミングなどの不都合が生じないので、外観の優れた製品が得られる。
4.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性が良好であり、かつ、成形性(成形品の離型性)にも優れているので、製品製造の際の生産性が高い。
5.本発明に係るコネクターは、難燃性や電気的安全性に優れ、電気機器相互間または機器内部で、電気・電子回路を接続する装置(デバイス)として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂は、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、または、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド類である。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン類と、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸類とを重縮合させて得られる重合体、またはこれらの共重合体が挙げられる。
より具体的には、例えば、ポリアミド4、6、7、8、11、12、6・6、6・9、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、6T/6I、MXD6などが挙げられ、複数種のポリアミド樹脂の混合物であってもよい。特に好ましいポリアミド樹脂としては、難燃性、機械的強度、成形性などの観点から、ポリアミド6、共重合ポリアミド6/6・6、および/または、ポリアミド6・6が挙げられる。ポリアミド樹脂は、その末端が分子量調節も兼ねてカルボン酸またはアミンで封止されたものであってもよい。
本発明において好適なポリアミド樹脂は、特定の範囲内の重合度(または分子量)、すなわち特定の範囲の粘度数を有するものが好ましい。好ましい粘度数は、JIS K6933−1999に準拠し、96%硫酸を用い、濃度5mg/ml、温度23℃で測定した値が85〜140、好ましくは90〜135、より好ましくは95〜130の範囲のものである。粘度数が85より低いと、溶融粘度が小さいため成形が困難になり、機械的強度も低下する。また粘度数が140より高くても、射出成形用材料としては溶融流動性を損ない、さらにUL94規格の水準V−0の難燃性を達成することが困難になり好ましくない。このような粘度数のポリアミド樹脂としては、粘度数の高いポリアミド樹脂と粘度数の低いポリアミド樹脂の2種類以上を配合して本発明の粘度数となるようにした混合物であってもよい。粘度数のより好ましい範囲は、95〜130である。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物には、トリアジン系難燃剤を配合する。トリアジン系難燃剤としては、下記一般式(1)または(2)で表される化合物、メラミン類およびシアヌル酸メラミン等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、シアヌル酸、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレート、トリ(n−プロピル)シアヌレート、メチルシアヌレート、ジエチルシアヌレートなどが挙げられる。上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、イソシアヌル酸、トリメチルイソシアヌネート、トリエチルイソシアヌレート、トリ(n−プロピル)イソシアヌレート、ジエチルイソシアヌネート、メチルイソシアヌレートなどが挙げられる。
メラミン類としては、メラミン、メラミン誘導体、メラミンと類似の構造を有する化合物、および、メラミンの縮合物などが挙げられる。メラミン類の具体例としては、例えば、メラミン、アンメリド、アンメリン、ホルモグアナミン、グアニルメラミン、シアノメラミン、アリールグアナミン、メラム、メレム、メロンなどが挙げられる。
シアヌル酸メラミンとしては、シアヌル酸とメラミンとの等モル反応物が挙げられる。また、シアヌル酸メラミン中のアミノ基または水酸基のいくつかが、他の置換基で置換されていてもよい。シアヌル酸メラミンは、例えば、シアヌル酸の水溶液とメラミンの水溶液とを混合し、90〜100℃の温度範囲で攪拌下反応させ、生成した沈殿を濾過することによって得ることができる。シアヌル酸メラミンは、白色の固体であり、微粉末状に粉砕して使用するのが好ましい。勿論、市販品をそのまま、またはこれを粉砕して使用することもできる。
トリアジン系難燃剤としては、好ましくは、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル酸メラミン、シアヌル酸メレムなどが挙げられる。分解物が成形物の表面に浮き出すブルーミングなどの不都合がないという観点から、より好ましくは、シアヌル酸メラミンに代表されるシアヌル酸類とメラミン類との等モル反応物が挙げられる。
トリアジン系難燃剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し21〜35重量部の範囲とする。トリアジン系難燃剤の配合量が21重量部未満であると、IEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度が775℃に達せず、35重量部を越えるとUL94規格による難燃性試験において、ドリッピング時に液滴が消炎しきらずに落下して綿着火を生じる現象が起こりやすくなるため、難燃性が低下し、また機械的強度も低下し、コネクターなどの射出成形品としての特性を維持できなくなる。トリアジン系難燃剤の配合量は、難燃性とグローワイヤー着火温度特性、機械的特性のバランスの観点から、好ましくは22〜33重量部であり、中でも好ましいのは24〜30重量部である。
ポリアミド樹脂にポリアミド樹脂にトリアジン系難燃剤を配合する方法としては、目的の成形品を成形する直前までの任意の段階で、従来から知られている種々の方法によることができる。例えば、(1)各成分を所定の割合で秤量し、ブレンダーで混合し、得られた混合物を単軸または二軸押出機により溶融混練、ペレット化する方法、(2)あらかじめ所定量より多いトリアジン系難燃剤をポリアミド樹脂で練り込んだマスターペレットを調整し、これを希釈用ポリアミド樹脂とドライブレンドする方法、などが挙げられる。溶融混練する場合、樹脂温度が290℃を超えないようにすることが好ましい。290℃を超えると難燃剤が分解し、本発明で目的とするグローワイヤー着火温度が775℃に達しない。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物には、カルボン酸アマイド系ワックスを配合する。カルボン酸アマイド系ワックスは、ポリアミド樹脂組成物に配合されたトリアジン系難燃剤と相俟って難燃性を向上させ、成形性(成形品の離型性など)および機械的強度を改良する。カルボン酸アマイド系ワックスは、高級脂肪族モノカルボン酸と多塩基酸の混合物とジアミンとの脱水反応によって得られるものをいう。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。多塩基酸としては、二塩基酸以上のカルボン酸で、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、および、フタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類、および、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸などの脂環式ジカルボン酸類が挙げられる。前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
カルボン酸アマイド系ワックスとしては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合したものが好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを反応させ、重縮合させたものが最も好ましい。
カルボン酸アマイド系ワックスの配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し0.01〜0.3重量部とする。配合量が0.01重量部未満であると成形性の改良が不十分であり、0.3重量部を超えると難燃性が低下し、プレートアウトやブルーミングなどの不都合が生じる。配合量の好ましい範囲は、0.05〜0.15重量部である。カルボン酸アマイド系ワックスを配合することにより、樹脂組成物の難燃性、グローワイヤー着火温度特性を低下させることなく、コネクターなど製品を射出成形する際、製品の離型性を向上させ、生産性を高めることができる。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤー着火温度規格を不合格にさせない範囲で、トリアジン系難燃剤以外の難燃剤、顔料、染料、充填材、核剤、発泡剤、離型剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、防錆剤、その他の従来から知られている各種樹脂添加剤を配合することができる。本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物を用いて、コネクターなどの成形品を製造するにあたっては、上記ドライブレンド物やペレット形態のポリアミド樹脂組成物を、従来から知られている成形法、例えば、射出成形法、押出成形法などによって溶融させ、所望の製品を得ることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載した例に制限されるものではない。なお、以下の記載の例において、使用した各成分の特性などの詳細は次のとおりである。また、これら成分より構成される樹脂組成物、得られた製品についての評価試験、以下に記載の方法で行った。
[使用した各成分の略号、物性など]
(A−1)PA6:粘度数が100のポリアミド6である。
(A−2)PA6:粘度数が120のポリアミド6である。
(A−3)PA6:粘度数が150のポリアミド6である。
(A−4)PA66:粘度数が120のポリアミド6・6である。
(A−5)PA66:粘度数が140のポリアミド6・6である。
(B)MX44:シアヌル酸メラミン(三菱化学社製、商品名:MX44)である。
(C−1)WH255:カルボン酸アマイド系ワックス(共栄社化学製の離型剤、ステアリン酸、エチレンジアミン、セバシン酸の重縮合物、商品名:WH255)である。
(C−2)110P:ポリエチレンワックス系離型剤(三井化学製、商品名:ハイワックス110P)である。
(A−1)PA6:粘度数が100のポリアミド6である。
(A−2)PA6:粘度数が120のポリアミド6である。
(A−3)PA6:粘度数が150のポリアミド6である。
(A−4)PA66:粘度数が120のポリアミド6・6である。
(A−5)PA66:粘度数が140のポリアミド6・6である。
(B)MX44:シアヌル酸メラミン(三菱化学社製、商品名:MX44)である。
(C−1)WH255:カルボン酸アマイド系ワックス(共栄社化学製の離型剤、ステアリン酸、エチレンジアミン、セバシン酸の重縮合物、商品名:WH255)である。
(C−2)110P:ポリエチレンワックス系離型剤(三井化学製、商品名:ハイワックス110P)である。
[各種物性の評価方法]
(1)粘度数:JIS K6933−1999に準拠し、96%硫酸を用い、濃度5mg/ml、温度23℃で測定した。
(2)難燃性:UL−94規格に準拠し、大きさが127mm×12.7mmで、厚さが0.8mmの試験片について測定した。この試験による難燃性は、V−0が良好で、V−2はV−0より劣る。
(3)グローワイヤー着火温度(℃):IEC60695−2−13規格に準拠し、厚さが3mの試験片について測定した。着火温度が775℃以上のものを775℃と記載し、725℃で着火するものを725℃、750℃で着火するものを750℃と記載した。
(4)成形性:射出成形機(日本製鋼所製、型式:J75ED)によって、シリンダー温度270℃、32個取りのコネクター(成形品全体の重量:35g、コネクター1個の重量:0.8g)成形用射出成形金型を使用し、射出時間0.4秒、冷却時間4秒のサイクルでコネクターを成形した際に、製品コネクターが金型キャビテイに残るものを×、金型キャビテイに残らないものを○と判定した。
(1)粘度数:JIS K6933−1999に準拠し、96%硫酸を用い、濃度5mg/ml、温度23℃で測定した。
(2)難燃性:UL−94規格に準拠し、大きさが127mm×12.7mmで、厚さが0.8mmの試験片について測定した。この試験による難燃性は、V−0が良好で、V−2はV−0より劣る。
(3)グローワイヤー着火温度(℃):IEC60695−2−13規格に準拠し、厚さが3mの試験片について測定した。着火温度が775℃以上のものを775℃と記載し、725℃で着火するものを725℃、750℃で着火するものを750℃と記載した。
(4)成形性:射出成形機(日本製鋼所製、型式:J75ED)によって、シリンダー温度270℃、32個取りのコネクター(成形品全体の重量:35g、コネクター1個の重量:0.8g)成形用射出成形金型を使用し、射出時間0.4秒、冷却時間4秒のサイクルでコネクターを成形した際に、製品コネクターが金型キャビテイに残るものを×、金型キャビテイに残らないものを○と判定した。
[実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例6]
<樹脂組成物の調製>
ポリアミド樹脂と各種添加剤を表−1に示す配合量(重量部)で秤量し、タンブラーミキサーで混合し、混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所製、型式:TEX30HCT、30mmφ)によって、実施例3と実施例4以外はシリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件下で溶融・混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。なお、実施例3と実施例4では、シリンダー温度270℃、としてペレット化したものである。
<樹脂組成物の調製>
ポリアミド樹脂と各種添加剤を表−1に示す配合量(重量部)で秤量し、タンブラーミキサーで混合し、混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(日本製鋼所製、型式:TEX30HCT、30mmφ)によって、実施例3と実施例4以外はシリンダー温度240℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件下で溶融・混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。なお、実施例3と実施例4では、シリンダー温度270℃、としてペレット化したものである。
<試験片の作成、評価試験>
原料ポリアミド樹脂の粘度数はペレット化前のものについて測定し、成形性、難燃性、グローワイヤー着火温度の評価試験は、各々の試験項目に応じたペレットから試験片を射出成形法で作成して行った。評価結果を、表―1に示す。なお、比較例3の組成物については、表−1では離型性の試験結果は○であるが、難燃性試験片は厚さが0.8mmと薄いために試験片の製造が困難で、試験片表面にシルバーストリークが発生し外観は不良で、また試験片は脆かった。
原料ポリアミド樹脂の粘度数はペレット化前のものについて測定し、成形性、難燃性、グローワイヤー着火温度の評価試験は、各々の試験項目に応じたペレットから試験片を射出成形法で作成して行った。評価結果を、表―1に示す。なお、比較例3の組成物については、表−1では離型性の試験結果は○であるが、難燃性試験片は厚さが0.8mmと薄いために試験片の製造が困難で、試験片表面にシルバーストリークが発生し外観は不良で、また試験片は脆かった。
表−1より、次のことが明らかとなる。
1.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は成形性に優れ、この樹脂組成物から得られる成形品は、UL−94規格による難燃性はV−0と優れ、かつ、グローワイヤー着火温度が775℃以上であり、改訂後の規格に合格する(実施例1〜実施例4参照)。
2.これに対して、シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する量以下の比較例1の組成物は、グローワイヤー着火温度が改訂後の規格に合格できない。また、シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する量以上の比較例4のものは、改訂後のグローワイヤー着火温度規格に合格する775℃以上であるが、UL―94規格による難燃性はV−2で優れているとはいえない。
3.シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する範囲で配合しても、カルボン酸アマイド系ワックスが配合されていない比較例2の樹脂組成物は、成形性に劣る。
4.粘度数が請求項1で規定する範囲外のポリアミド樹脂を配合した比較例3の樹脂組成物は、上記のとおり、流動性が劣り薄い試験片は成形し難く、成形できたとしても表面外観が劣る。また、本発明に係るコネクターは、複数本の電線やケーブルなどをコネクターに挿入できる構造にされたものであり、電線やケーブルが挿入されたコネクターは、例えば嵌合部を嵌合し電線ケーブルなどを固定する際に使用される。従って、成形性が劣ると実用性がない。
5.また、カルボン酸アマイド系ワックスの配合量が請求項1で規定する量以上の比較例5のものは、UL−94規格による難燃性はV−2で、グローワイヤー着火温度が750℃であり、改訂後の合格温度775℃に達しない。
6.さらに、カルボン酸アマイド系ワックスの代りにポリエチレンワックス系離型剤を配合した比較例6の組成物は、UL−94規格による難燃性はV−2で、グローワイヤー着火温度が750℃であり、改訂後の合格格温度の775℃に達しない。
1.本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は成形性に優れ、この樹脂組成物から得られる成形品は、UL−94規格による難燃性はV−0と優れ、かつ、グローワイヤー着火温度が775℃以上であり、改訂後の規格に合格する(実施例1〜実施例4参照)。
2.これに対して、シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する量以下の比較例1の組成物は、グローワイヤー着火温度が改訂後の規格に合格できない。また、シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する量以上の比較例4のものは、改訂後のグローワイヤー着火温度規格に合格する775℃以上であるが、UL―94規格による難燃性はV−2で優れているとはいえない。
3.シアヌル酸メラミンの配合量が請求項1で規定する範囲で配合しても、カルボン酸アマイド系ワックスが配合されていない比較例2の樹脂組成物は、成形性に劣る。
4.粘度数が請求項1で規定する範囲外のポリアミド樹脂を配合した比較例3の樹脂組成物は、上記のとおり、流動性が劣り薄い試験片は成形し難く、成形できたとしても表面外観が劣る。また、本発明に係るコネクターは、複数本の電線やケーブルなどをコネクターに挿入できる構造にされたものであり、電線やケーブルが挿入されたコネクターは、例えば嵌合部を嵌合し電線ケーブルなどを固定する際に使用される。従って、成形性が劣ると実用性がない。
5.また、カルボン酸アマイド系ワックスの配合量が請求項1で規定する量以上の比較例5のものは、UL−94規格による難燃性はV−2で、グローワイヤー着火温度が750℃であり、改訂後の合格温度775℃に達しない。
6.さらに、カルボン酸アマイド系ワックスの代りにポリエチレンワックス系離型剤を配合した比較例6の組成物は、UL−94規格による難燃性はV−2で、グローワイヤー着火温度が750℃であり、改訂後の合格格温度の775℃に達しない。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、以上詳細に説明したとおり、電気機器相互間または機器内部で電気・電子回路を接続するデバイス(装置)として、家電機器、通信機器、OA機器、コンピューター、カーエレクトロニクス機器などの部品として広く使用されるコネクター用材料として有用である。また、本発明に係るコネクターは、複数本の電線やケーブルなどをコネクターに挿入できる構造にされたものであり、電線やケーブルが挿入されたコネクターは、例えば嵌合部を嵌合し電線ケーブルなどを固定する際に使用される。
Claims (7)
- 粘度数が85〜140のポリアミド樹脂100重量部、トリアジン系難燃剤21〜35重量部、およびカルボン酸アマイド系ワックス0.01〜0.3重量部を含有してなることを特徴とする、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 厚さが3mmの試験片で、IEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度が775℃以上である、請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 厚さが0.8mmの試験片で、UL―94規格による燃焼性がV−0水準である、請求項1および請求項2に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、共重合ポリアミド6/6・6、ポリアミド6・6からなる群より選ばれた一種以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- トリアジン系難燃剤が、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル酸メラミン、シアヌル酸メレムからなる群より選ばれた一種以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- カルボン酸アマイド系ワックスが、ステアリン酸、セバシン酸およびエチレンジアミンを重縮合させたものである、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とするコネクター。
Priority Applications (1)
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