JP6523650B2 - ポリアミド樹脂組成物とその成形体、及びポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物とその成形体、及びポリアミド樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い難燃性を有するポリアミド樹脂組成物とその成形体、及びポリアミド樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的特性、電気特性、耐薬品性、成型加工性、及び、はんだ耐熱性などに優れることから、自動車部品、又は、電気・電子部品などの各種分野で使用されている。中でも、ハロゲンを含まない難燃剤であるメラミンシアヌレート系難燃剤を含むポリアミド樹脂組成物は、コネクタなどの電気・電子部品などのように、難燃性やはんだ耐熱性を要求される分野で広く利用されている。
現在では、コネクタ用途等の電気・電子部品用樹脂材料には、IEC60695−2−11規格のグローワイヤー燃焼指数(GWFI:Glow-wire Flammability Index)が850℃レベル以上,又は、IEC60695−2−13規格のグローワイヤー着火温度(GWIT:Glow-wire Ignition Temperature)が775℃レベル以上の高い難燃性が求められている。
上記難燃性規格を満足するポリアミド樹脂組成物が種々検討されてきている(特許文献1〜4等)。特許文献1には、メラミンシアヌレートと界面活性剤を含む難燃性ポリアミド樹脂組成物粒状体とポリアミド樹脂粒状体とを混合してなる難燃性ポリアミド樹脂成形材料が開示されている。特許文献1のポリアミド樹脂成形材料によれば、良好な靱性を有し、シルバーストリークの発生が抑制された難燃性成形品を得ることができる。
特許文献2には、ポリアミド樹脂とトリアジン系難燃剤とカルボン酸アマイド系ワックスを含有する難燃性ポリアミド樹脂組成物が開示されており、GWITが775℃であり、且つ、成形性に優れることが記載されている。
また、特許文献3には、非分岐の熱可塑性ポリアミドと、メラミンシアヌレートと、メラミンシアヌレート以外の窒素含有難燃剤と、リン酸塩系難燃剤とを含有する成形用組成物が開示されており、GWITが775℃超であり、且つ、耐衝撃性や曲げ強度等の機械特性にも優れることが記載されている。
特開平11−302536号公報 特開2005−171232号公報 特表2008−512525号公報 国際公開WO2008/149892号パンフレット
電気・電子機器は潜在的に回路の短絡、劣化等による発火の危険性を有しており、電気電子部品用途の樹脂材料に対する難燃性の要求は益々厳しくなってきており、昨今では、GWITで825℃以上の難燃性が望まれている。本出願人は、ポリアミド樹脂とメラミンシアヌレートと界面活性剤とを溶融混練してなる難燃性ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミドの種類と、メラミンシアヌレートの平均粒径と、界面活性剤の配合比を好適化することにより、GWIT825℃、及び、良好な靱性(引張破断伸度)を実現している(特許文献4)。
しかしながら、特許文献4のGWIT825℃のポリアミド樹脂組成物は流動性が比較的低く、更なる成形性の改良が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、GWIT825℃以上の難燃性を有し、且つ、良好な靱性(引張破断伸度)及び成形性を有するポリアミド樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、GWIT825℃以上の難燃性を有し、且つ、良好な靱性(引張破断伸度)及び成形性を有するポリアミド樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂とメラミンシアヌレート系難燃剤と特定の界面活性剤とを特定の配合比で配合し、更に、メラミンシアヌレート系難燃剤の平均分散粒子径及びその標準偏差を特定の範囲とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂60〜75質量部と、(B)メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の(C)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを含む樹脂組成物であって、
(B)成分の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、
(B)成分と(C)成分との質量比[C]/[B]が0.045超0.09未満であることを特徴としている。
(A)成分は、少なくとも1種の(A1)融点が255〜270℃であるポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)融点が180〜250℃のポリアミド樹脂を含むことが好ましい。
本明細書において、(B)成分の平均分散粒径とは、ポリアミド樹脂組成物を射出成形して128mm×18mm×3mmの成形片を作製し、その成形片をミクロトームにより薄片とした測定試料において、画像解析装置により観察されるメラミンシアヌレート系難燃剤粒子500個の円相当径を反射法により測定した平均値を意味する。
また、本明細書において、ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量(DSC)測定で、次のようにして測定した値とする。示差熱量測定装置を用い、昇温条件を室温から20℃/分として、試料の吸熱ピーク温度(Tm1)を観測した後、Tm1値より50℃高い温度で3分間保持し、次いで20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で試料の吸熱ピーク温度(Tm1)を観測し、そのピークトップを示す温度を融点とする。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、少なくとも1種の(A1)融点が255〜270℃であるポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)融点が180〜250℃のポリアミド樹脂を含む(A)ポリアミド樹脂60〜75質量部と、
(B)メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の(C)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを溶融混練する樹脂組成物の製造方法であって、
(B)成分の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、
(B)成分と(C)成分との質量比[C]/[B]が0.045超0.09未満であることを特徴としている。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、(B)成分の分散性の観点からは、(B)成分の一部と、(A1)成分と、(A2)成分と、(C)成分とを混合した後、この混合により得られた混合物に(B)成分の残りを加えて溶融混練することが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物の製造方法において、成分(A)及び(A1)は、ポリアミド66を含むことが好ましい。また、成分(A)及び(A2)は、ポリアミド6、又は、
ポリアミド6,ポリアミド610,ポリアミド612若しくはポリアミド6Iのうち少なくとも1種の単量体単位と、ポリアミド66の単量体単位とからなるポリアミド共重合体を含むことも好ましい。
本明細書において、「ポリアミドの単量体単位」とは、それぞれのポリアミドの繰り返し単位を意味する。
(B)成分は、メラミンシアヌレートであることが好ましい。
(C)成分は、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートからなる群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
本発明の第1の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴としている。また、本発明の第2の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法により製造されてなるポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴としている。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂60〜75質量部と、メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、これらの合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを含み、メラミンシアヌレート系難燃剤の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、メラミンシアヌレート系難燃剤に対するポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルの質量比が0.045超0.09未満であることを特徴としている。かかる構成によれば、厚さが3mmの試験片でのIEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度(GWIT)が825℃以上の高い難燃性を有し、且つ、良好な靱性(引張破断伸度)及び成形性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法によれば、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を製造することができるので、厚さが3mmの試験片でのIEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度(GWIT)が825℃以上の高い難燃性を有し、且つ、良好な靱性(引張破断伸度)及び成形性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
「ポリアミド樹脂組成物、成形体」
「発明が解決しようとする課題」の項目において記載したように、特許文献4において、本出願人は、ポリアミドの種類と、ポリアミド樹脂組成物中のメラミンシアヌレート系難燃剤の平均分散粒径と、界面活性剤の配合比を好適化することにより、GWIT825℃、及び、良好な靱性(引張破断伸度)を実現しており、特許文献4のGWIT825℃のポリアミド樹脂組成物は、更なる成形性の改良が望まれていた。
本発明者らは、特許文献4のポリアミド樹脂組成物において、GWIT825℃及び、靱性を低下させることなく、成形性(流動性)を向上させる可能性について鋭意検討を行った。その結果、特許文献4において、難燃性と分散性のバランスの観点から好適であるとしていた界面活性剤(C)成分の含有率とは異なる範囲において、ポリアミド樹脂組成物中に分散しているメラミンシアヌレート系難燃剤((B)成分)の平均分散粒径とそのばらつき(標準偏差)、界面活性剤((C)成分)の(B)成分に対する質量比を特定の範囲とすることにより、GWIT825℃以上の難燃性、及び、引張破断伸度2.0%以上の良好な靱性、更に、良好な成形性(流動性)を達成しうることを見出した。
すなわち、本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂60〜75質量部と、(B)メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の(C)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを含む樹脂組成物であって、
(B)成分の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、
(B)成分と(C)成分との質量比[C]/[B]が0.045超0.09未満であることを特徴としている。
まず、各成分について説明する。
[(A)成分:ポリアミド樹脂]
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂((A)成分)は、特に限定されないが、ペレット化や射出成形時の流動性等の加工性や、靱性、又ははんだ耐熱性の観点から、融点が180℃〜270℃の範囲のポリアミド樹脂であることが好ましい。
かかる(A)成分として好適なポリアミド樹脂としては、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンシクロヘキシルアミド(ポリアミド6C)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカラクタム(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)およびこれらのうち少なくとも2種類の異なったポリアミド形成成分を含むポリアミド共重合体、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物のはんだ耐熱性及び加工性の両立の観点からは、(A)成分は、少なくとも1種の(A1)融点が255℃以上270℃以下のポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)融点が180℃〜250℃のポリアミド樹脂を含む、ポリアミド樹脂が好ましい。
(A1)成分としては、はんだ耐熱性の観点でポリアミド66が、好ましい。
(A2)成分としては、成形時の流動性、靭性の改善の観点で、ポリアミド6、及び/又は、ポリアミド6,ポリアミド610,ポリアミド612若しくはポリアミド6Iのうち少なくとも1種の単量体単位と、ポリアミド66の単量体単位とからなるポリアミド共重合体を含むことが好ましく、ポリアミド6、又は、ポリアミド6単量体単位とポリアミド66の単量体単位とからなるポリアミド共重合体(PA66/6)を含むことがより好ましい。PA66/6のポリアミド66単量体単位とポリアミド6単量体単位のモル比としては、流動性とはんだ耐熱性のバランスに優れる点で、ポリアミド66単量体単位60モル%以上95モル%以下、ポリアミド6単量体単位5モル%以上40モル%以下が好ましく、ポリアミド66単量体単位80モル%以上95モル%以下、ポリアミド6単量体単位5モル%以上20モル%以下であることがより好ましい。(A2)成分として、ポリアミド6およびポリアミド共重合体を1種で用いてもよく、2種類以上の混合物として用いてもよい。
(A1)成分と(A2)成分の配合比率は、ポリアミドの合計を100質量%とした時に、はんだ耐熱性と成形時の流動性および靭性のバランスに優れる点で(A1)成分40質量%以上80質量%以下、(A2)成分20質量%以上60質量以下であることが好ましく、(A1)成分50質量%以上70質量%以下、(A2)成分30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
[(B)成分:メラミンシアヌレート系難燃剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれるメラミンシアヌレート系難燃剤(B)は、メラミンまたはその誘導体と、シアヌル酸またはその誘導体との反応物であり、かかる反応物であれば特に限定されない。メラミンシアヌレート系難燃剤は、例えば、シアヌル酸またはその誘導体の水溶液中に、メラミンまたはその誘導体を添加して、90〜100℃程度で撹拌する。反応生成物として得られた沈殿物を濾過乾燥後、粉砕して微粉末とすることにより製造することができる。
好ましいメラミンシアヌレート系難燃剤(B)としては、メラミンとシアヌル酸との等モル反応物であるメラミンシアヌレートが挙げられる。メラミンシアヌレートはその中に未反応のメラミンやシアヌル酸を0.001質量%以上0.30質量%以下含んでいてもよい。このようなメラミンシアヌレートは市販されており、本発明では、工業的に入手可能な市販のメラミンシアヌレートを適宜使用することができる。
ポリアミド樹脂((A)成分)と混合する前のメラミンシアヌレート系難燃剤(B)の中位径(D50)は、特に限定されないが、メラミンシアヌレート系難燃剤の分散性の観点で、1μm〜5μmであることが好ましく、1.5μm〜3μmがより好ましい。メラミンシアヌレート系難燃剤の中位径が1μm以上であることにより、ハンドリングが容易となり、メラミンシアヌレート系難燃剤(B)の凝集性悪化を抑制することができる。メラミンシアヌレート系難燃剤(B)の中位径が5μm以下であることにより、ポリアミド樹脂組成物における分散性とハンドリングとのバランスに優れる。
ここで、中位径(D50)とは、JIS Z8901に定義されているとおり、粒体の粒子径分布において、ある粒子径より大きい粒子の質量が全粒体の質量の50%を占める時の粒子径であり、例えば、レーザー回折散乱法によって測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱法により、横軸に粒子径を縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、この頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径として測定することができる。
ポリアミド樹脂組成物中のメラミンシアヌレート系難燃剤(B)の含有量は、難燃性と引張特性(引張強度及び引張破断伸度)の観点から、ポリアミド樹脂(A)とメラミンシアヌレート系難燃剤(B)の合計100質量部に対して25質量〜40質量部であり、30質量〜40質量部以下であることが好ましく、35質量〜40質量部であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、組成物中に分散しているメラミンシアヌレート系難燃剤(B)粒子は、平均分散粒径が1μm〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下である。平均分散粒径は、耐火性及び引張破断伸度の観点で、2μm〜9μmであることが好ましく、4μm〜9μmであることが最も好ましい。また、組成物中に分散しているメラミンシアヌレート系難燃剤粒子の大きさは、できるだけ均一である方が、耐火性及び引張破断伸度がより良好になることから、分散粒径の標準偏差は小さいほど好ましく、6以下であることが好ましい。
標準偏差の値を6以下した場合、加工性が良好となる効果が確認されている。このような効果が得られるメカニズムについては定かではないが、本発明者は、次に示す界面活性剤(C)がポリアミド樹脂((A)成分)の可塑化剤として作用し、上記耐火性及び引張破断伸度がより良好となる効果と相まって、ポリアミド樹脂組成物の耐火性と引張破断伸度とのバランスが向上したためではないかと推察している。
[(C)成分:界面活性剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物に含まれる界面活性剤((C)成分)は、ポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルを少なくとも1種含む界面活性剤である。
ポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレン多価アルコールと、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、エルカ酸などの脂肪族カルボン酸と、のエステル又はその誘導体が挙げられ、これらは工業的に入手が容易である。メラミンシアヌレート系難燃剤(B)の分散性の観点から、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが好ましく、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸(炭素数12個以上)エステル又はその誘導体がより好ましい。
好適なポリエチレングリコールの高級脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエートが挙げられ、特にポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエートが好ましい。
また、好適なポリエチレングリコールの高級脂肪酸エステル誘導体としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物中の界面活性剤(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)およびメラミンシアヌレート系難燃剤(B)の合計100質量部に対し、1.1質量〜3.5質量部であり、且つ、(B)成分の含有量に対する質量比[C]/[B]が0.045<[C]/[B]<0.09を満足する。
かかる含有量とすることにより、ポリアミド樹脂組成物中において、メラミンシアヌレート系難燃剤(B)が、上記した、含有量、平均分散粒径、標準偏差の範囲である場合に、GWIT825℃、良好な靱性(引張破断伸度)、良好な成形性(流動性)のポリアミド樹脂組成物とすることができる。また、メラミンシアヌレート系難燃剤(B)と界面活性剤(C)を上記の構成とすることにより、成形品とした場合において、バリ、メヤニを生じることが少ない良質な成形品となるという更なる効果が確認されている。この効果が得られるメカニズムは定かではないが、界面活性剤(C)がポリアミド樹脂((A)成分)の可塑化剤として作用しているため、また、(C)成分が(A)成分および/または(B)成分の分解を抑制しているためであると推測される。
ポリアミド樹脂組成物中の界面活性剤(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)およびメラミンシアヌレート系難燃剤(B)の合計100質量部に対して、1.6〜3.0質量部であることが好ましく、1.7〜2.5質量部であることがより好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物中の界面活性剤(C)の含有量の、(B)成分の含有量に対する質量比[C]/[B]は、0.05<[C]/[B]<0.07であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて本実施の形態の目的を損なわない範囲で、慣用的に用いられる充填剤、例えば、ガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維、マイカ、タルク、粘土鉱物、アルミナ、シリカ、およびアパタイトなどの無機充填剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、サクシノグアナミン、ポリリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、およびリン酸アルミニウムなどの難燃剤、チタンホワイトおよびカーボンブラックなどの顔料や着色剤、次亜リン酸ソーダなどの亜リン酸金属塩、ヒンダードフェノールおよびヒンダードアミンに代表される熱安定剤、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルなどの滑剤、種々の可塑剤、ならびに帯電防止剤などの各種添加剤を加えることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、マスターバッチとしても利用することもできる。その場合、マスターバッチとポリアミドと溶融混合し、(B)成分が1〜20質量%の樹脂組成物とすることもできる。
後記実施例(表1)に示されるように、本発明のポリアミド樹脂組成物は、グローワイヤー着火温度(GWIT)が825℃以上であり、且つ、引張破断伸度(%)が2.5以上の良好な靱性を有している。電気・電子部品用樹脂材料用途における良好な靱性、特に、コネクタ用途において優れたピン圧入耐性を有するためには、引張破断伸度(%)は、2.0以上4.0以下であることが好ましく、2.1以上4.0以下がより好ましい。
また、後記実施例には、本発明のポリアミド樹脂の射出成形時の流動性について、評価した結果を示してある。実施例では、射出成形材料の流動性の評価として、バーフロー型(1mm厚,10mm幅)の金型への流動長(充填された長さ)を測定している。実施例に記載の射出成形条件において、本発明のポリアミド樹脂は、流動長15.0cmを超える良好な流動性を有していることが確認されている。
本発明によれば、厚さが3mmの試験片でのIEC60695−2−13規格によるグローワイヤー着火温度(GWIT)が825℃以上の高い難燃性を有し、且つ、良好な靱性(引張破断伸度)及び成形性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
また、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体(第1の成形体)は、高い難燃性を有し、且つ、良好な靱性及び成形性を有していることから、ソケット、スイッチ、ケース、カバー等の、電気電子部品や自動車内外装部品、自動車電装部品等として使われる射出成形体、また、これらの射出成形体の成形材料であるペレットとして好適である。
「ポリアミド樹脂組成物の製造方法」
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、上記した、少なくとも1種の(A1)成分のポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)成分のポリアミド樹脂を含む(A)成分(ポリアミド樹脂)60〜75質量部と、
(B)成分(メラミンシアヌレート系難燃剤)25〜40質量部との合計100質量部と、
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の(C)成分(少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステル)とを溶融混練するものである。本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法では、各成分の配合比、(B)成分の平均分散粒径及び分散粒径の標準偏差、及び、(B)成分と(C)成分との質量比[C]/[B]の範囲は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物と同様の構成としている。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、(A1)成分,(A2)成分,(B)成分,(C)成分全てを一度に溶融混練してもよいが、(B)成分であるメラミンシアヌレート系難燃剤の分散性の観点で、(B)成分の一部を、残りの全成分を溶融混練した後に加えて更に溶融混練してもよい。
(A1),(A2),(A)成分のポリアミド樹脂の形状は特に制限されないが、ペレット状であることが好ましい。この場合、設備簡略化の観点から、(A)成分のポリアミド樹脂ペレットの表面に、(C)成分の界面活性剤を展着させ、その後、更に、(B)成分のメラミンシアヌレート系難燃剤を展着させたブレンド物としてから溶融混練してもよい。かかる構成とする場合にも、分散性の観点で、(B)成分の一部は展着させずに、残りの全成分を溶融混練した後に加えて更に溶融混練してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、溶融混練する方法は特に制限されないが、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを混合する際に、少なくとも1機の原料供給装置を用いて押出機へ供給して溶融混練する方法が好ましい。各成分の押出機への供給は、それぞれ別の原料供給装置を用いてもよいし、1機の原料供給装置を用いてもよい。
押出機としては特に制限されないが、二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては、具体的に、COPERION社製のZSKシリーズ、東芝機械(株)製のTEMシリーズ、日本製鋼所(株)製のTEXシリーズなどが挙げられ、二軸押出機のL/D(スクリュー有効長/スクリュー外径)は、20以上60以下の範囲であることが好ましく、30以上50以下であることが好ましい。
二軸押出機に原料を供給する方法は特に限定されない。原料供給装置は特に限定されず、単軸スクリューフィーダー、二軸スクリューフィーダー、テーブルフィーダー、ロータリーフィーダー、液体供給ポンプなどが使用できる。中でもロスインウェイト式のスクリューフィーダーが、原料供給の変動誤差が少なく好ましい。また、複数種の原料を1機の原料供給装置へ投入する場合は、投入前する原料のうち少なくとも2種の原料をミキサー、コーンブレンダー等で混合してから投入してもよい。
混練溶融する際の温度は、生産性と熱劣化の抑制の観点から、ポリアミド樹脂(A)の融点より5〜30℃高い温度であることが好ましく、5〜20℃高い温度であることがより好ましい。
また、上記本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法で製造されてなるポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体(第2の成形体)は、第1の成形体と同様、高い難燃性を有し、且つ、良好な靱性及び成形性を有していることから、ソケット、スイッチ、ケース、カバー等の、電気電子部品や自動車内外装部品、自動車電装部品等として使われる射出成形体、また、これらの射出成形体の成形材料であるペレットとして好適である。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法において、各成分の好ましい態様及び構成については、上記本発明のポリアミド樹脂組成物と同様である。従って、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法により製造されたポリアミド樹脂組成物及びその成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物及びその成形体と同様の効果を奏する。
本発明にかかる実施例及び比較例について説明する。
(原料物性評価方法)
以下の実施例、比較例において記載した物性評価は、以下のように行った。
<相対粘度RV>
(A)成分((A1)成分,(A2)成分)のポリアミド樹脂の相対粘度RVを、ASTM D789に準じて測定した。具体的には、溶媒として90%ギ酸を用いて、3gサンプル/30mlギ酸の濃度で、25℃の温度条件下で測定した。
<融点>
(A)成分((A1)成分,(A2)成分)のポリアミド樹脂の融点は、パーキンエルマー社製示差熱量測定装置DSC−7を用いて測定した。昇温、降温条件を、それぞれ20℃/分で行った。試料約10mgを室温から昇温させ、吸熱ピーク温度(Tm1)を観測した後、Tm1より20〜50℃高い温度で3分間保持した。次いで室温まで試料を冷却した後に、再度昇温させて吸熱ピークを観測した。そのピークトップが示した温度を融点とした。
<中位径>
(B)成分のメラミンシアヌレート系難燃剤の中位径は、島津製作所(株)製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて測定した。試料を純水に分散させたものを測定試料とし、フローセルを用いて測定を行った。横軸に粒子径を、縦軸に頻度(質量)をとってプロットし、該頻度の累積質量の総和を100%とした時に累積質量が50%となる粒子径を中位径(D50)とした。
(各成分の用意)
[(A)成分:ポリアミド樹脂]
(A1成分)ポリアミド66
まず、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸を等モルずつ含むモノマー混合物を50質量%含有する水溶液15kgを調製した。次に、撹拌装置を有し、かつ下部に抜き出しノズルを有する40L容のオートクレーブ中に、上記のモノマー水溶液を仕込み、50℃で十分にモノマー水溶液を攪拌した。オートクレーブ内を十分に窒素で置換した後、モノマー水溶液を撹拌しながらオートクレーブ内の温度を50℃から約270℃まで昇温して重合した。その際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧で約1.8MPaであったが、かかる圧力が1.8MPa以上にならないよう、水を随時系外に排出した。また、重合時間は、ポリアミド66樹脂の相対粘度(ASTM D789に従った方法で測定した相対粘度RV)が45程度となるように調整した。
オートクレーブ内での重合終了後、下部ノズルからストランド状にポリアミド66樹脂を排出し、水冷及びカッティングを経て、ペレット状のポリアミド66樹脂を得た。このペレットを80℃、24時間の条件で真空乾燥した。真空乾燥後のポリアミド66ペレットに関して、融点は265℃であった。相対粘度RVは45であった。
(A2成分)ポリアミド66/6共重合体
ポリアミド66/6(90質量%/10質量%)共重合体を形成する重合成分(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを等モルずつ含み、更に、ε−カプロラクタムを含むモノマー混合物)の50質量%含有する水溶液30kgを調製した。このモノマー水溶液を、(A1)成分と同様にして重合し、ペレット化し、真空乾燥させてポリアミド66/6共重合体ペレットを得た。得られたペレットの融点は245℃、相対粘度RVは42であった。
[(B)成分:メラミンシアヌレート系難燃剤]
(B1):メラミンシアヌレート 中位径(D50):2.6μm
(B2):メラミンシアヌレート 中位径(D50):4μm(BASF製 MC50)
(B3):メラミンシアヌレート 中位径(D50):190μm(三菱化学工業(株)製 MCA−C0)
(B4):メラミンシアヌレート 中位径(D50):2.4μm
[(C)成分:界面活性剤]
(C1)PEM:ポリオキシエチレンモノラウレート 花王(株)製エマノーン(登録商標)1112
[実施例1]
(A1)PA66、および(A2)PA66/6と(B1)のメラミンシアヌレートを別々のロスインウェイトフィーダー(K−TRON社製LWF−D5)3機を用いて、(C1)の界面活性剤を液体供給ポンプ(富士ポンプ社製3MC051)1機を用いて、二軸押出機(東芝機械(株)製TEM35BS、二軸同方向スクリュー回転型、L/D=47.6)の第一供給口へ供給した。バレル温度270℃、吐出量30kg/hrで押出しを行った。押出機先端ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷、カッティングを行い、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
[実施例2〜3、比較例1〜5]
各成分の組成を表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3及び比較例1〜5のポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
(ポリアミド樹脂組成物の評価)
各実施例及び比較例のポリアミド樹脂組成物ペレットについて評価を行った。各評価項目及びその結果を表1に示す。各評価項目の評価方法は以下のとおりとした。
<平均分散粒径>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定し、射出12秒、冷却18秒の射出成型条件で射出成形し、128mm×18mm×3mmの成形片を得た。この成形片からミクロトーム(ライカマイクロシステムズ(株)製RM2165)を用いて、薄片を作製した。この薄片中のメラミンシアヌレート系難燃剤粒子の円相当径を画像解析装置[顕微鏡部:ニコンE600L、カメラ部:ソニーXC−003、画像処理ソフト:ニレコLUZEX SE]を使用し、反射法により、500個以上の粒子について測定した。その平均値を平均分散粒径、ばらつきぐあいの尺度として標準偏差を算出した。
<引張試験>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成型機(日精樹脂(株)製PS40E)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定し、射出25秒、冷却10秒の射出成形条件で射出成形し、4mm厚みのISO試験片を得た。得られたISO試験片を用いてISO527−1に準じ、引張強度・引張破断伸度の測定を行った。
<グローワイヤー着火温度>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成型機(日精樹脂(株)製FN3000)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃に設定し、射出12秒、冷却12秒の射出成型条件で射出成形し、90mm×60mm×3.0mmの試験片を得た。この試験片のグローワイヤー着火温度をIEC60695−2−13規格に準拠して測定した。グローワイヤー着火温度が825℃以上のものを825℃と記載し、775℃で着火するものを775℃、800℃で着火するものを800℃と記載した。
<流動長>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機(住友重工業(株)製 SE50D)を用いて、シリンダー温度275℃、金型温度80℃に設定し、射出速度200mm/分、射出圧力90MPa、冷却時間20秒で、1mm厚×10mm幅を成形してその流動長(充填された長さ、cm)を評価した。
<バリ>
ポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機(日精樹脂(株)製PS−40E)を用いて、シリンダー270℃、金型温度80℃に設定し、射出7秒、冷却10秒、射出速度40%、射出速度33%で射出成形し、2mm厚みの引張試験用成形品を成形し、目視でバリの有無を評価した。
<メヤニ>
ポリアミド樹脂組成物ペレットの製造の際、各15分間押出しを続け、ダイス口に発生すメヤニの量を観察した。以下の判断基準にてメヤニ抑制を判断した。
表1において、15分間全くメヤニの発生がなかった場合をGood,15分間の間にメヤニの発生が多数認められた場合をNGとして示した。
表1に示されるように、本発明の有効性が確認された。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高い難燃性を有する為、様々な機械工業部品や電気電子部品、特にコネクタなどの産業用材料として有用である。

Claims (13)

  1. (A)ポリアミド樹脂60〜75質量部と、(B)メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、
    前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の (C)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを含む、溶融混練した樹脂組成物であって、
    前記(B)成分の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、
    前記(B)成分と前記(C)成分との質量比[C]/[B]が0.045超0.09未満であるポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)が、ポリアミド66を含む請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記成分(A)が、更に、ポリアミド6を含む請求項2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分が、少なくとも1種の(A1)融点が255〜270℃であるポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)融点が180〜250℃のポリアミド樹脂を含む請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記成分(A1)が、ポリアミド66であり
    前記成分(A2)が、ポリアミド6、及び/又は、
    ポリアミド6,ポリアミド610,ポリアミド612若しくはポリアミド6Iのうち少なくとも1種の単量体単位と、ポリアミド66の単量体単位とからなるポリアミド共重合体を含む請求項4記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(B)成分が、メラミンシアヌレートである、請求項1〜5いずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記(C)成分が、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートからなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1〜6いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
  9. 少なくとも1種の(A1)融点が255〜270℃であるポリアミド樹脂と、少なくとも1種の(A2)融点が180〜250℃のポリアミド樹脂を含む(A)ポリアミド樹脂60〜75質量部と、
    (B)メラミンシアヌレート系難燃剤25〜40質量部との合計100質量部と、
    前記(A)成分と前記(B)成分の合計100質量部に対して1.1〜3.5質量部の(C)少なくとも1種のポリアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルとを溶融混練する樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(B)成分の平均分散粒径が1〜10μmであり、且つ、分散粒径の標準偏差が8以下であり、
    前記(B)成分と前記(C)成分との質量比[C]/[B]が0.045超0.09未満であるポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記(B)成分の一部と、前記(A1)成分と、前記(A2)成分と、前記(C)成分とを混合した後、該混合により得られた混合物に前記(B)成分の残りを加えて溶融混練する請求項9記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記(A1)成分がポリアミド66である請求項9又は10記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  12. 前記成分(A1)が、ポリアミド66であり
    前記成分(A2)が、ポリアミド6、及び/又は、
    ポリアミド6,ポリアミド610,ポリアミド612若しくはポリアミド6Iのうち少なくとも1種の単量体単位と、ポリアミド66の単量体単位とからなるポリアミド共重合体を含む請求項10記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  13. 前記(B)成分が、メラミンシアヌレートである請求項9〜12いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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