JP2005170804A - 抗アレルギー剤 - Google Patents

抗アレルギー剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2005170804A
JP2005170804A JP2003409420A JP2003409420A JP2005170804A JP 2005170804 A JP2005170804 A JP 2005170804A JP 2003409420 A JP2003409420 A JP 2003409420A JP 2003409420 A JP2003409420 A JP 2003409420A JP 2005170804 A JP2005170804 A JP 2005170804A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
naringin
neohesperidin
antiallergic
antiallergic agent
fruit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003409420A
Other languages
English (en)
Inventor
Michitoku Kubo
道▲徳▼ 久保
Hideaki Matsuda
秀秋 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kinki University
Original Assignee
Kinki University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kinki University filed Critical Kinki University
Priority to JP2003409420A priority Critical patent/JP2005170804A/ja
Publication of JP2005170804A publication Critical patent/JP2005170804A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract


【課題】 有用な抗アレルギー作用を有し、かつ副作用がなく長期間に渡り服用できる抗アレルギー剤および食品を提供することである。さらに抗アレルギー剤の製造方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明の抗アレルギー剤および食品はネオヘスペリジン、ナリンギン、ネオヘスペリジンおよびナリンギンを有効成分とするものである。また本発明の抗アレルギー剤および食品はネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有するものである。ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含む柑橘類果実を60%以上のエタノール水溶液でネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを抽出して優れた抗アレルギー作用を有する抗アレルギー剤を製造する方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗アレルギー作用を介して種々のアレルギー疾患を改善、治療するネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含有する柑橘類果実を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤に関する。
従来、抗アレルギー剤および抗炎症剤としては、グルココルチコイド型の副腎皮質ホルモン剤や、インドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症剤などが用いられている。しかしながら、ステロイドホルモン剤は抗アレルギー作用および抗炎症作用を有するものの副作用が強いという問題があり、また、インドメタシンなどは抗炎症作用のみを有するため抗アレルギー剤としては有用でなかった。
また、薬物の投与で一時的に症状が抑制されることがあっても、効果および副作用の面で、充分とはいえない実状にある。かかる現状において、各種アレルギー疾患の中でも、特に気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎などに対して強い抗アレルギー効果を有し、しかも長時間の投与に耐え得る安全性の高い治療薬であって、かつ経口投与可能な新しい治療薬の開発が望まれている。
一方、ミカン科植物のCitrus属植物やFortunella属植物の果実は柑橘類果実と総称され、世界的に食用とされているものが数多くある。また、柑橘類果実は古来、薬用に供されるものも多く、『第十四改正日本薬局方』には陳皮[ミカン科
(Rutaceae)のウンシュウミカン(Citrus unshiu)あるいはCitrus reticulataの成熟した果皮]、枳実・枳殻[ミカン科(Rutaceae)のダイダイCitrus aurantium var.
daidai、Citrus aurantium又はナツミカンCitrus natsudaidaiの未熟果をそのまま或いはそれを半分に横切したもの]、橙皮[ミカン科(Rutaceae)のCitrus aurantium又はダイダイCitrus aurantium var. daidaiの成熟した果皮]が収載されている。
これら柑橘系生薬はいずれも特有の芳香と苦味を有し、中国では、陳皮および橙皮は芳香性苦味健胃薬として用いられ、枳実は堅く充実したうっ滞、うっ血による腫脹の改善を目的とした漢方方剤に配合される。
柑橘系生薬には、精油成分としてリモネン(limonene)、フラボノイド配糖体としてヘスペリジン(hesperidin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ナリンギン(
naringin)、アルカロイドとしてシネフリン(synephrine)などが含まれている。
ミカン類生薬(陳皮、橘皮、枳実、橙皮)には、消化器系に対する作用や抗アレルギー作用などが証明されている。抗アレルギー作用に関しては、陳皮水製エキスの経口投与によってラット受身皮膚アナフィラキシー反応は抑制される。典型的な従来の技術は、特許文献1に記載されている。特許文献1には、ウンシュウミカン果実についてマスト細胞からのcompound 48/80によるヒスタミン遊離抑制作用を指標に、抗アレルギー作用を検討され、成熟したものよりも未成熟なものにより強い作用があることが記載されている。また、ヘスペリジンが主要成分と考えられている。たとえば、特許文献2参照。また、フラボノイド成分のノビレチン、タンゲリチン、3−メトキシノビレチンにもラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用が認められている。また、枳実、枳殻の水エキスや50%エタノールエキスにはラット受身皮膚アナフィラキシー反応やマウス塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎を抑制する作用が報告されている。
特開昭63−170323 特開平4−295428
特許文献1記載の技術は、有効成分として柑橘類の未成熟な果実の水溶性エキスを含有してなる抗アレルギー剤を提供するものである。特許文献2記載の技術はヘスペリジンを有効成分としてなる抗アレルギー剤を提供するものである。しかし、ヘスペリジンは極めて水に難溶性故、柑橘類の未成熟な果実を水で抽出した抗アレルギー剤に抗アレルギー効果は期待できない。
柑橘類の未成熟な果実から抽出されるエキスにおいて抗アレルギー作用をもたらす成分としてヘスペリジンが知られていた。しかし、柑橘類果実に含まれるネオヘスペリジンおよびナリンギンについて抗アレルギー作用が存在することは知られていない。
本発明の目的は、長時間の投与に耐え得る安全性の高い治療薬若しくは食品であって抗アレルギー効果に優れ、気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎などを予防・改善することができる抗アレルギー剤若しくは食品を提供することにある。
かかる事情により、本発明者らは鋭意研究を行った結果、ネオヘスペリジンおよびナリンギン、並びにネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含有する柑橘類果実がジニトロフルオロベンゼン誘発3相性皮膚反応試験において極めて強い抗アレルギー作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ナリンギン(naringin)は下記の化学構造式で示される化合物である。
Figure 2005170804
ここで、Glcはグルコースを示し、Rhaはラムノースを示す。
すなわち、本発明は、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤である。
本発明のネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実とは、ミカン科Citrus属植物を基原とする柑橘類果実を意味するものである。
本発明のネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含む柑橘類果実のエキスは、一般の抽出方法によって得られる。すなわち、果実を細切後、水あるいは任意の濃度で調製したエタノールで抽出、ろ過後、そのろ液から抽出溶媒を留去後、抽出エキスを得る。また、果実の乾燥粉末は、一般の乾燥方法によって得られる。すなわち、果実をそのままあるいは細切後、日陰あるいは陽干し、あるいは乾燥機を用いて乾燥し、粉末としたものである。生果実を絞った果汁、生果実をペースト状にしたもの、などその剤型は問われない。
このようにして、得られるエキスあるいは粉末などは、そのままあるいは必要に応じて他の公知の添加剤、たとえば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを混合して常法により、顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤、ドライシロップ剤、液剤などの経口剤とすることができる。
また、本発明の食品は、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含む柑橘類果実からの抽出物もしくはネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含む柑橘類果実の乾燥粉末またはネオヘスペリジンもしくはナリンギン、またはネオヘスペリジンおよびナリンギンを含有するものである。具体的には、これらを含有するマーマレード、ジャム、アイスクリーム、飴、チューイングガム、牛乳、ヨーグルト、乳清飲料、乳酸菌飲料、ジュース、飲料、プディング、水羊羹などとすることができる。本発明の食品には、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ビタミンC、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などの通常食品原料として使用されるものを適宜配合することにより製造することができる。
本発明の抗アレルギー剤の有効成分であるネオヘスペリジンあるいはナリンギンは1日0.001g〜20g用いる。1日0.1g〜20g用いる。特に1日0.5gから5g用いることが好ましい。ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含有する柑橘類果実エキスあるいは粉末は、1日0.1g〜20g用いる。特に1日0.5gから10g用いることが好ましい。
本発明は、ネオヘスペリジンを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤である。
本発明に従えば、ネオヘスペリジンは、抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制する。したがって、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
また本発明は、ナリンギンを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤である。
本発明に従えば、ナリンギンは、抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制する。したがって、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
また本発明は、ネオヘスペリジンおよびナリンギンを有効成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤である。
本発明に従えば、ネオヘスペリジンおよびナリンギンは、抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制する。したがって、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
また本発明は、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤である。
本発明に従えば、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有するので抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制する。したがって、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支喘息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
また本発明は、前述の抗アレルギー剤を含むことを特徴とする食品である。
本発明に従えば、抗アレルギー作用のあるネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つ、もしくはネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有する抗アレルギー剤が食品に含まれることによって抗アレルギー剤の摂取を容易にすることができる。
また本発明は、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含有する柑橘類果実をエタノール水溶液で抽出する工程を含むことを特徴とする抗アレルギー剤の製造方法である。
本発明に従えば、水に比較してネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つが多量に含まれているエキスを抽出することができる。
本発明は、前記エタノール水溶液中のエタノールの濃度が60%以上であることを特徴とする。
本発明に従えば、エタノール濃度が60%以上であると抽出されるエキス中に急激にネオヘスペリジンおよびナリンギンの含有量が増加する。したがって、多量のネオヘスペリジンおよびナリンギンが含まれているエキスを抽出することができる。
本発明によれば、本発明の抗アレルギー剤の有効成分であるネオヘスペリジンは、抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制するので、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支ぜん息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
本発明によれば、本発明の抗アレルギー剤の有効成分であるナリンギンは、抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制するので、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支ぜん息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
本発明によれば、ネオヘスペリジンおよびナリンギンを含むので抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制するので、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支ぜん息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
本発明によれば、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有するので抗アレルギー作用を有し、3相性皮膚反応試験に惹起されるアレルギー性の炎症像を抑制するので、アトピー性皮膚炎、花粉症、気管支ぜん息などのアレルギー性疾患の改善、治療に有効である。
本発明によれば、抗アレルギー剤を食品に含むことによって摂取を容易にすることができる。
本発明によれば、ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つが多量に含まれている抗アレルギー作用を有するエキスを抽出することができる。またエタノールは、長年の使用により安全性が確認されている。
本発明によれば、60%以上のエタノール水溶液で柑橘類果実を抽出することによりネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つをさらに多量に含有するエキスを抽出することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
試験例1
[ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)誘発3相性皮膚反応に及ぼすネオヘスペリジン、ナリンギンおよびダイダイ果実の影響]
被検体の調製;2003年、8月1日、和歌山県有田郡金屋町で栽培されているダイダイ果実を採取、細切後乾燥した。乾燥後、さらに粉砕し、10倍量の50%エタノールで2時間、2回、約85℃で抽出した。抽出後、ろ紙ろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、凍結乾燥を施して得たダイダイ果実エキス(収率;41.0%)を被検体に供した。ネオヘスペリジンおよびナリンギンは市販品(SIGMA社製)を被検体に供した。
(試験方法)
1)ジニトロフェニル化卵白アルブミン(DNP−OVA)の調製
卵白アルブミン(ovalbumin、type V)およびKCOを各2gずつ100mlの水に溶解し、この溶液に2gのジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(
dinitrobenzenesulfonic acid sodium salt)を加え、遮光下で37℃にて、24時間スターラーで攪拌し、得られた反応液を水で2日間透析後、その内液を凍結乾燥し、調製した。
2)DNFB誘発3相性皮膚反応試験
ICR系雌性マウスにゲル状の水酸化アルミニウム(aluminumhydroxide gel)1mgとDNP−OVA 10μgを含む生理食塩液0.2mLを腹腔内投与し、能動的に感作する。その1週間後、0.1% DNFBエタノール溶液を両耳の表裏に10μlずつ塗布し、誘発24時間後に充分に腫脹しているマウス(浮腫率10%以上)を選別する。その後、選別したマウスに再度感作し、1週間後に反応を惹起する。耳介の厚さは反応惹起前および惹起後1、24時間および8日後にdial thickness gaugeを用いて測定し、耳介浮腫率として算定する。反応を惹起した時点から1時間後の耳介浮腫率をIPR(
Immediate Phase Response)浮腫率、24時間後の耳介浮腫率をLPR(Late Phase
Response)浮腫率、8日後の耳介浮腫率をvLPR(very Late Phase Response)浮腫率とする。なお、被検体は反応惹起1時間前および惹起2日後から8日後まで連日経口投与する。被検体および陽性対照薬は、0.2%カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC・Na)溶液に溶解あるいは懸濁し、ネオヘスペリジン、ナリンギンあるいはダイダイ果実エキスは水に懸濁し、マウス体重10gあたり0.2mLの用量で経口投与した。結果を表1および2に示す。
抑制率は、次式により求めた。
抑制率(%)=(検体無添加である対照の浮腫率−被検体の浮腫率)
/(検体無添加である対照の浮腫率)×100
表1は、3相性皮膚反応に及ぼすダイダイ果実エキスの影響を示す。
Figure 2005170804
表2は、3相性皮膚反応に及ぼすネオヘスペリジン及びナリンギンの影響を示す。
Figure 2005170804
マウスに3相性皮膚反応を惹起させたところ、IPRにおいては19.7±1.3%、LPRにおいては18.1±1.2%、vLPRにおいては19.7±0.9%の耳浮腫が観察された。ダイダイ果実エキスは200mg/kg用量の経口投与で、いずれの耳浮腫も有意に抑制した。
ナリンギンは20mg/kgの用量で、IPRおよびvLPRの耳浮腫を有意に抑制し、投与量を100mg/kgまで増加すると、IPR、LPR、vLPRに惹起される耳浮腫を有意に抑制した。
ネオヘスペリジンは20あるいは100mg/kgの用量で、vLPRに惹起される耳浮腫を有意に抑制した。
試験例2
[ダイダイ果実中のネオヘスペリジンあるいはナリンギンの含量]
(1)ネオヘスペリジン、ナリンギンの検量線の作成
ネオヘスペリジンあるいはナリンギンの標準品(EXTRASYNTHESE社製)をメタノールにて500μg/mLに調製後、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、25.0、50.0、100.0、250.0、500.0μg/mLに調製後、ウルトラフリーMC(0.22μm)(MILLIPORE社製)を用いてろ過したものを検量線作成用の溶液とする。これについて、下記の条件により、高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析を行い、得られた標準品のピーク面積から各成分の検量線を作成する。
(2)HPLCの分析条件および装置
装置 バイナリポンプ:G1312A(Agilent社製)
脱気装置:G1379A DEDASSER(Agilent社製)
検出器:UV−Vis検出器G1314A VWD(Agilent社製)
カラム恒温槽:G1316A COLCOM(Agilent社製)
オートサンプラ:G1313A ALS(Agilent社製)
カラム YMC−Pack Pro C18(250×4.6mm i.d.)(YMC社製)
ガードカラム C−KGC−324ASC−3(YMC社製)
移動相 アセトニトリル(acetonitrile)/10mM HPO(20:80(v/v))
流速 1.0mL/min
温度 37℃
検出波長 280nm
注入量 10μL
データ処理ソフト Xcalibur(Thermo Finnigan社製)
(3)ダイダイ果実中のネオヘスペリジン、ナリンギンの定量
2003年、8月5日、和歌山県有田郡金屋町で栽培されているダイダイ果実を採取、細切後乾燥した。乾燥後、さらに粉砕したもの500mgに100mLメタノールを加え、30分間、3回還流下抽出した(約80℃の水浴下)。抽出液をろ紙ろ過後、ろ液をエバポレーターで濃縮し、メタノールで一定量にメスアップした後、ウルトラフリーMC(0.22μm)(MILLIPORE)を用いてろ過した後、HPLC分析を行った。これについて、(1)で求めた検量線から果実中の各成分の含量を算出した。
ダイダイ果実の乾燥粉末をメタノールで抽出し、ネオヘスペリジンおよびナリンギンの含量を測定した結果、それぞれ16.9、9.4%であった。
試験例3
[ダイダイ果実エキスおよび乾燥果実中のネオヘスペリジンおよびナリンギン含量の測定]
1.被検エキスの調製
ダイダイ抽出エキスの作成:実験材料には和歌山県産のダイダイ(産地;和歌山県有田郡金屋町歓喜寺地区、平成15年8月に採取したもの)を研究室にてスライス後自然乾燥した物を用いた。
検体1:この実験材料を粉砕後、10倍量の水で2時間、2回熱時(約100℃)還流抽出した。抽出液をガーゼろ過後、エバポレーターでエタノールを留去した後、凍結乾燥し、得られたエキスを被検エキスとした。(収率;40.0%)
検体2:検体1の水を20%エタノールで熱時(約85℃)抽出した以外は同様にして得られたエキス(収率;37.1%)。
検体3:検体1の水を40%エタノールで熱時(約85℃)抽出した以外は同様にして得られたエキス(収率;38.3%)。
検体4:検体1の水を60%エタノールで熱時(約80℃)抽出した以外は同様にして得られたエキス(収率;37.1%)。
検体5:検体1の水をエタノールで熱時(約80℃)抽出した以外は同様にして得られたエキス(収率;35.9%)。
2.被検エキス中のナリンギン、ネオヘスペリジン量の測定
1)1.で調製した被検エキス中のネオヘスペリジンおよびナリンギン量を測定した。すなわち、被検エキス200〜500mgを100mlメタノールで30分、3回還流下抽出した(水浴80℃)。抽出液を濾紙濾過後、濾液をエバポレーターで濃縮し、メタノールで20mlにメスアップした後、ウルトラフリーMC(0.22μm)
(MILLIPORE)を用いて濾過した後、HPLC分析を行った。
2)検量線の作成:ネオヘスペリジンの標準品(EXTRASYNTHESE製)(Lot.03052706)およびナリンギンの標準品(EXTRASYNTHESE製)(Lot.03020407)をメタノールにて500μg/mlに調製後、10、25、50、75、100、250、500μg/mlに調製後、ウルトラフリーMC(0.22μm)(MILLIPORE)を用いて濾過したものを検量線作成用の溶液とした。これについて、下記の条件により、HPLC分析を行い、得られたピーク面積から検量線を作成した。
―HPLC分析条件―
装置 バイナリポンプ゜:G1312A(Agilent社製)
脱気装置:G1379A DEDASSER(Agilent社製)
検出器:UV−Vis検出器G1314A VWD(Agilent社製)
カラム恒温槽:G1316A COLCOM(Agilent社製)
オートサンプラ:G1313A ALS(Agilent社製)
カラム YMC−Pack Pro C18(150×4.6mm i.d.)(Lot.041593842(w))(YMC製)
ガードカラム C−KGC−324ASC−3(YMC社製)
移動相 アセトニトリル(acetonitrile)/10mM HPO(20:80(v/v))
流速 0.5mL/min
温度 37℃
検出波長 280nm
注入量 10μL
データ処理ソフト Xcalibur(Thermo Finnigan社製)
ネオヘスペリジンの保持時間(R.T.) 28min
ナリンギンの保持時間(R.T.) 20min
表3は、ダイダイ果実からのエキス収率とネオヘスペリジン含量を示す。
Figure 2005170804
ダイダイ果実を水で抽出したエキス(検体1)1g中には9.2mgのネオヘスペリジンが含まれ、エキス中の含量から求められる乾燥果実1g中のネオヘスペリジン含量(%)は0.37%である。抽出溶媒を水からエタノールに変えると、エタノール濃度が増加するにつれて抽出されてくるネオヘスペリジン含量は増加する。エタノール濃度が40%の場合と比較するとエタノール濃度が60%の場合にはネオヘスペリジン含量が約2.6倍と増加している。エタノール濃度を60%以上とすることによってネオヘスペリジンが多量に含まれている抗アレルギー剤を製造することができる。本発明において、エタノール濃度が60パーセント以上のエタノール水溶液とは、エタノール濃度が100%である場合も含むものとする。エタノールは水に比べて高価なことからエタノール濃度を60%近傍(50%以上70%以下)にして抽出することにより抗アレルギー作用が高く、かつ、安価な抗アレルギー剤を製造することができる。
表4は、ダイダイ果実からのエキス収率とナリンギン含量を示す。
Figure 2005170804
ダイダイ果実を水で抽出したエキス(検体1)1g中には16.7mgのナリンギンが含まれ、エキス中の含量から求められる乾燥果実1g中のナリンギン含量(%)は0.67%である。抽出溶媒を水からエタノールに変えると、エタノール濃度が増加するにつれて抽出されてくるナリンギン含量は増加する。エタノール濃度が40%の場合と比較するとエタノール濃度60%の場合にはナリンギン含量が約2.7倍と増加している。エタノール濃度を60%以上とすることによってナリンギンが多量に含まれている抗アレルギー剤を製造することができる。エタノールは水に比べて高価なことからエタノール濃度を60%近傍(50%以上70%以下)にして抽出することにより抗アレルギー作用が高く、かつ、安価な抗アレルギー剤を製造することができる。

Claims (7)

  1. ネオヘスペリジンを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤。
  2. ナリンギンを有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤。
  3. ネオヘスペリジンおよびナリンギンを有効成分として含むことを特徴とする抗アレルギー剤。
  4. ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを組成とする柑橘類果実を有効成分として含有することを特徴とする抗アレルギー剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の抗アレルギー剤を含むことを特徴とする食品。
  6. ネオヘスペリジンおよびナリンギンのうち少なくとも1つを含有する柑橘類果実をエタノール水溶液で抽出する工程を含むことを特徴とする抗アレルギー剤の製造方法。
  7. 前記エタノール水溶液中のエタノールの濃度が60%以上であることを特徴とする請求項6記載の抗アレルギー剤の製造方法。
JP2003409420A 2003-12-08 2003-12-08 抗アレルギー剤 Pending JP2005170804A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409420A JP2005170804A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 抗アレルギー剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409420A JP2005170804A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 抗アレルギー剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005170804A true JP2005170804A (ja) 2005-06-30

Family

ID=34730807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003409420A Pending JP2005170804A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 抗アレルギー剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005170804A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008137985A (ja) * 2006-11-10 2008-06-19 Univ Kinki 副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤、及び副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
JP2009544604A (ja) * 2006-07-20 2009-12-17 オーラルデント・リミテッド 口腔用組成物、及びそれらの製造及び使用
JP2012232938A (ja) * 2011-05-02 2012-11-29 Nakano Bc Kk 抗アレルギー剤
EP2783690A4 (en) * 2011-11-25 2015-06-24 Natural Medicine Inst Zhejiang Yangshengtang Co Ltd NEW USE OF NEOHESPERIDINE

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009544604A (ja) * 2006-07-20 2009-12-17 オーラルデント・リミテッド 口腔用組成物、及びそれらの製造及び使用
JP2008137985A (ja) * 2006-11-10 2008-06-19 Univ Kinki 副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤、及び副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
JP2012232938A (ja) * 2011-05-02 2012-11-29 Nakano Bc Kk 抗アレルギー剤
EP2783690A4 (en) * 2011-11-25 2015-06-24 Natural Medicine Inst Zhejiang Yangshengtang Co Ltd NEW USE OF NEOHESPERIDINE
US10335356B2 (en) 2011-11-25 2019-07-02 Natural Medicine Institute Of Zhejiang Yangshengtang Co., Ltd. Use of neohesperidin
US11260011B2 (en) 2011-11-25 2022-03-01 Natural Medicine Institute Of Zhejiang Yangshengtang Co., Ltd. Use of neohesperidin

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10245238B2 (en) Composition for oral intake
KR101874462B1 (ko) 오미자 잎 추출물을 유효성분으로 포함하는 아토피 피부염의 예방, 개선 또는 치료용 조성물
KR101734896B1 (ko) 감나무 추출물을 유효성분으로 포함하는 각막 손상의 예방, 개선 또는 치료용 조성물
JPH1072357A (ja) 抗アレルギー剤
US20040076690A1 (en) Compositions for weight loss with improved taste
JP5027502B2 (ja) 骨粗鬆症予防または治療剤
JP3621517B2 (ja) 抗アレルギー・抗炎症剤及び抗アレルギー・抗炎症食品
JPH07119176B2 (ja) 抗活性酸素作用組成物並びにこれを有効成分とする抗活性酸素剤、食品、化粧料及び医薬品
JP2005170804A (ja) 抗アレルギー剤
JP3130327B2 (ja) 肝機能障害予防剤及び肝機能障害予防作用を有する機能性食品
JP6131828B2 (ja) ケルセチンとp−クマル酸との反応生成物
JP4537024B2 (ja) 炎症疾患予防・治療剤
WO2005094858A1 (ja) 抗糖尿病用組成物
JP2003063974A (ja) 抗酸化剤、一酸化窒素産生抑制剤、抗潰瘍剤およびその薬剤成分を含有する加工食品
KR102604237B1 (ko) 지용성 비타민 흡수 강화용 조성물
JP4030495B2 (ja) 抗アレルギー剤
JP4371431B2 (ja) 抗アレルギー性組成物
JP2005089374A (ja) 血糖値上昇抑制機能性飲食品
JP2012131760A (ja) 脂肪酸吸収抑制剤
JP2005082546A (ja) α−グルコシダーゼ阻害剤
KR102003354B1 (ko) 꼬리겨우살이 추출물을 유효성분으로 포함하는 항당뇨용 조성물
JP2008037785A (ja) 抗アレルギー剤
JP2005022994A (ja) 血糖上昇抑制用組成物
WO2024142285A1 (ja) 睡眠改善剤
JP2002080385A (ja) 金属沈着抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070717

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071016

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071217

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20071220

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20080111