JP2008137985A - 副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤、及び副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。 - Google Patents
副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤、及び副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高い抗アレルギー効果を有する副腎皮質ホルモン剤を利用し、問題となっているその副作用を増強することなく、その抗アレルギー効果を増強することのできる薬剤及び増強させる方法の提供。
【解決手段】副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを有効成分とすること。又、副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを有効成分とすること。又、副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを併用して使用すること。又、副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを併用して使用すること。
【選択図】なし
【解決手段】副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを有効成分とすること。又、副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを有効成分とすること。又、副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを併用して使用すること。又、副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを併用して使用すること。
【選択図】なし
Description
本発明は、有用な副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させる薬剤及び増強させる方法に関する。さらに詳しくは、本発明はヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンを含有する柑橘類果実あるいはその抽出エキス、さらにはその主成分であるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギンあるいはヘスペリジンの誘導体と副腎皮質ホルモン剤を混合又は併用することにより、副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させる薬剤に関する。
副腎皮質ホルモンとは、副腎皮質で生成、分泌されるステロイドホルモンの総称であり、その生理作用から、体液中の水や塩分の代謝を調節する鉱質コルチコイド(アルドステロン、デオキシコルチコステロン等)と、糖質代謝を調節して肝グリコーゲン貯蔵を促進させる糖質コルチコイド(コルチゾン、ヒドロコルチゾン等)とに大別される。後者は特に抗アレルギー、抗炎症、免疫抑制作用等の多彩な薬理作用を示すため、古くから創薬研究の対象とされてきた。
多数の合成品が検討された結果、抗アレルギー、抗炎症作用の強化された誘導体が見出され、例えばプレドニゾロン、デキサメサゾン、ベタメサゾン等が主に抗アレルギー、抗炎症剤として臨床上広く使用されている。副腎皮質ホルモン剤とは天然の副腎皮質ホルモンその他これらとの合成品であって臨床上使用されている薬剤を意味する。
多数の合成品が検討された結果、抗アレルギー、抗炎症作用の強化された誘導体が見出され、例えばプレドニゾロン、デキサメサゾン、ベタメサゾン等が主に抗アレルギー、抗炎症剤として臨床上広く使用されている。副腎皮質ホルモン剤とは天然の副腎皮質ホルモンその他これらとの合成品であって臨床上使用されている薬剤を意味する。
副腎皮質ホルモン剤においては、たとえ抗アレルギー、抗炎症作用が選択的に強化された誘導体であっても、長期間、大量に使用した場合には、他の薬理作用、例えば糖及びタンパク代謝への作用やナトリウム貯留作用等が副作用として出現し、問題となっている。副腎皮質ホルモン剤の副作用としては、例えば感染症の増悪、副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、精神変調や鬱病、骨粗鬆症や筋肉痛、関節痛、満月様顔貌、浮腫、血圧上昇、白内障や緑内障、挫創、創傷治癒障害等が知られている。
アトピー性皮膚炎はアレルギー反応によって惹起されるといわれており、その治療剤には副腎皮質ホルモンでステロイド剤であるステロイド系の抗炎症剤がその主流を占めているのが現状である。しかし、ステロイド系抗炎症剤は優れた治療効果を有する反面、長期に連用すると、外用剤であっても種々の全身的副作用が発生する。されど、ステロイド系抗炎症剤に替わる優れた非ステロイド系抗炎症剤が開発されていない現状においては、ステロイド系抗炎症剤の副作用を増強させることなく、その効果を増強させる薬剤を見出せれば、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患に有効な優れた薬剤を提供することができる。
一方、ミカン科植物のCitrus属植物やFortunella属植物の果実は柑橘類果実と総称され、世界的に食用とされているものが数多くある。また、柑橘類果実は古来、薬用に供されるものも多く、『第十四改正日本薬局方』には陳皮[ミカン科(Rutaceae)のウンシュウミカン(Citrus unshiu)あるいはCitrus reticulateの成熟した果皮]、枳実・枳殻[ミカン科(Rutaceae)のダイダイCitrus aurantium var. daidai、Citrus aurantium又はナツミカンCitrus natsudaidaiの未熟果をそのまま或いはそれを半分に横切したもの]、橙皮[ミカン科(Rutaceae)のCitrus aurantium又はダイダイCitrus aurantium var. daidaiの成熟した果皮]が収載されている。
これら柑橘類生薬はいずれも特有の芳香と苦味を有し、中国では、陳皮及び橙皮は芳香性苦味健胃薬として用いられ、枳実は堅く充実したうっ滞、うっ血による腫脹の改善を目的とした漢方剤に配合されている。
柑橘類生薬には、精油成分としてリモネン(limonene)、フラバノン配糖体としてヘスペリジン(hesperidin)、ネオヘスペリジン(neohesperidin)、ナリンギン(naringin)、ナリルチン(narirutin)、アルカロイドとしてシネフリン(synephrine)等が含まれている。
ミカン類生薬(陳皮、橘皮、枳実、橙皮)には、消化器系に対する作用や抗アレルギー作用等が証明されている。抗アレルギー作用に関しては、陳皮水製エキスの経口投与によりラット受身皮膚アナフィラキシー反応は抑制される。ウンシュウミカン果実についてもマスト細胞からのcompound 48/80によるヒスタミン遊離抑制作用を指標に、抗アレルギー作用が検討され、成熟したものよりも未成熟なものにより強い作用が認められている(例えば、特許文献1参照。)。また、抗アレルギー作用については、ヘスペリジンが主要な成分と考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
また、フラバノン配糖体のノビレチン、タンゲリチン、3−メトキシノビレチンにもラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用が認められている。また、枳実、枳殻の水抽出エキスや50% エタノール抽出エキスにはラット受身皮膚アナフィラキシー反応やマウス塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎を抑制する作用が報告されている。さらに、未成熟な柑橘類果実に含まれるヘスペリジン自身については、美白効果やシミ、ソバカス等の色素沈着症の改善効果があることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
現在のところ、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息などのアレルギー性疾患を根本的に治療する薬剤として広く応用されるに至っているものはない。そこで、本発明は高い抗アレルギー効果を有する副腎皮質ホルモン剤を利用し、問題となっているその副作用を増強することなく、その抗アレルギー効果を増強することのできる薬剤及び増強させる方法の提供を目的とするものである。
本発明者はミカン科(Rutaceae)Citrus属植物に着目し、その果実、あるいはそれに含まれるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、さらにはヘスペリジンの誘導体が、副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の副腎皮質ホルモン剤は抗アレルギー剤であり、その副腎皮質ホルモン剤と、ミカン科(Rutaceae)Citrus属植物の果実/又はその抽出エキス(柑橘類果実としてウンシュウミカン、ハッサクが好適である。)、あるいはそれらに含まれるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、さらには当該化合物の水溶性を高めた糖転移ヘスペリジンを有効成分とするものである。又、その副腎皮質ホルモン剤と、ミカン科(Rutaceae)Citrus属植物の果実/又はその抽出エキス(柑橘類果実としてウンシュウミカン、ハッサクが好適である。)、あるいはそれらに含まれるヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン、さらには当該化合物の水溶性を高めた糖転移ヘスペリジンを併用して使用するものである。
本発明の薬剤の投与形態については特に制限はなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などの経口剤や、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤、軟膏剤、貼付剤などの非経口剤のいずれによっても投与することができる。
又、併用して使用する場合、柑橘類果実あるいはその抽出エキス、さらにその由来成分は、そのままあるいは種々の投与形態で投与することができ、その投与形態については特に制限がなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などの経口剤としての投与形態があり、かつ、副腎皮質ホルモン剤の投与形態についても特に制限はなく、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤、軟膏剤、貼付剤などの非経口剤として投与することができる。
又、併用して使用する場合、柑橘類果実あるいはその抽出エキス、さらにその由来成分は、そのままあるいは種々の投与形態で投与することができ、その投与形態については特に制限がなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などの経口剤としての投与形態があり、かつ、副腎皮質ホルモン剤の投与形態についても特に制限はなく、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤、軟膏剤、貼付剤などの非経口剤として投与することができる。
このような柑橘類果実あるいはその抽出エキス、その由来成分、さらにその誘導体は、後記実施例に示すように優れた副腎ステロイド剤の副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることができるものである。よって、安全性が高いため、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、湿疹皮膚炎、蕁麻疹、急性または慢性結膜炎、気管支炎、痒み、かぶれなどの治療剤に有用である。
本発明の増強剤の効果を、マウスアレルギーモデルを用いて検討した。以下、ウンシュウミカン果実の50% エタノール抽出エキス、あるいはウンシュウミカン果実の主要成分である、ヘスペリジン及びその誘導体の糖転移ヘスペリジン、さらに、ハッサク果実の主要成分であるネオヘスペリジン、ナリンギンの実験例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.実験方法
検体1;2004年7月に和歌山県有田郡金屋町内で栽培されているウンシュウミカン果実を採取、細切後乾燥し、粉砕、粉末とした。
検体1;2004年7月に和歌山県有田郡金屋町内で栽培されているウンシュウミカン果実を採取、細切後乾燥し、粉砕、粉末とした。
検体2;検体1に10倍量の50%エタノールで熱時2時間1回抽出し、ろ過後、エタノールを減圧下留去し、凍結乾燥させた(以下、温州ミカンエキスとする)(収率:24.5%)。
検体3;ヘスペリジンは市販品(Extrasythese)のものを用いた。
検体4;糖転移ヘスペリジンは市販品(酵素処理ヘスペリジン、林原商事)のものを用いた。
実験例1
温州ミカンエキス(検体2)中のヘスペリジン含量
温州ミカンエキス(検体2)中のヘスペリジン含量
(試験方法)
温州ミカンエキス 300 mgを精秤し、メタノールで溶解後、同溶媒で50 mLにメスアップした。さらに、同溶媒で10倍に希釈し、希釈液をウルトラフリーMC(0.22 μm)(MILLIPORE)にてろ過した後、下記に示した高速液体クラマトグラフィー(HPLC)法を用いて温州ミカンエキスに含まれているヘスペリジン含量を測定した。
ヘスペリジンのHPLC分析用標準品としてhesperidin standard(SSX)を用いた。移動相の調整にはHPLC用蒸留水、HPLC用CH3CN、及び特級リン酸(和光純薬)を用いた。
HPLC分析装置には、バイナリポンプ(島津社製、LC-10AT VP)、デガッサー(島津社製、DGU-12A)、UV-Vis検出器(島津社製、SPD-10AV VP)、カラムオーブン(島津社製、CTO-10AS VP)を用いた。HPLC分析条件は下記に示した。
カラム;TSK gel ODS-120T(250×4.6 mm、4 μm、TOSOH)、移動層;溶液A(0.1% H3PO4/蒸留水:CH3CN=9:1)と溶液B(0.1% H3PO4/蒸留水:CH3CN=2:8)の混液(0 min;A:B=100:0、10 min;70:30、20 min;0:100、30 min;0:100)、流速;0.8 mL/min、カラム温度;37℃、検出波長;280 nm、試料注入量;10 μL。
温州ミカンエキス 300 mgを精秤し、メタノールで溶解後、同溶媒で50 mLにメスアップした。さらに、同溶媒で10倍に希釈し、希釈液をウルトラフリーMC(0.22 μm)(MILLIPORE)にてろ過した後、下記に示した高速液体クラマトグラフィー(HPLC)法を用いて温州ミカンエキスに含まれているヘスペリジン含量を測定した。
ヘスペリジンのHPLC分析用標準品としてhesperidin standard(SSX)を用いた。移動相の調整にはHPLC用蒸留水、HPLC用CH3CN、及び特級リン酸(和光純薬)を用いた。
HPLC分析装置には、バイナリポンプ(島津社製、LC-10AT VP)、デガッサー(島津社製、DGU-12A)、UV-Vis検出器(島津社製、SPD-10AV VP)、カラムオーブン(島津社製、CTO-10AS VP)を用いた。HPLC分析条件は下記に示した。
カラム;TSK gel ODS-120T(250×4.6 mm、4 μm、TOSOH)、移動層;溶液A(0.1% H3PO4/蒸留水:CH3CN=9:1)と溶液B(0.1% H3PO4/蒸留水:CH3CN=2:8)の混液(0 min;A:B=100:0、10 min;70:30、20 min;0:100、30 min;0:100)、流速;0.8 mL/min、カラム温度;37℃、検出波長;280 nm、試料注入量;10 μL。
(試験結果)
その結果、温州ミカンエキスにはヘスペリジンが3.69%含まれていた。
その結果、温州ミカンエキスにはヘスペリジンが3.69%含まれていた。
実験例2
塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼす温州ミカンエキス、それに含まれるヘスペリジン及びその水溶性を高めた糖転移ヘスペリジン並びにハッサク果実の主要成分であるネオヘスペリジン、ナリンギンの影響とプレドニゾロン(副腎皮質ホルモン剤)との併用効果
塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼす温州ミカンエキス、それに含まれるヘスペリジン及びその水溶性を高めた糖転移ヘスペリジン並びにハッサク果実の主要成分であるネオヘスペリジン、ナリンギンの影響とプレドニゾロン(副腎皮質ホルモン剤)との併用効果
(試験方法)
AshersonとPtakの方法(G.L. Asherson, W. Ptak, Immunology, 15, 405-416, 1968)に従って行った。すなわち、ICR系雌性マウス(日本エスエルシー株式会社)の腹部を剪別し、7% picryl chloride(Nakalai Tesque)-ethanol溶液0.1 mLを塗布して感作した。7日後に1% picryl chloride-olive oil溶液0.02 mL宛を両耳朶に塗布して接触性皮膚炎を誘発した。24時間後の耳朶の厚さ、誘発前の耳朶の厚さから腫脹率を求めた。なお、被検体(0.2% CMC・Naに懸濁)はPC-CD感作前日から1日1回7日間投与した。対照薬あるいは併用薬として用いたプレドニゾロン(Nakalai Tesque)は生理食塩液に溶解し、感作日から6日間皮下注射した。なお、実験最終日には麻酔下で副腎、胸腺、脾臓を摘出し、湿重量を測定した。
AshersonとPtakの方法(G.L. Asherson, W. Ptak, Immunology, 15, 405-416, 1968)に従って行った。すなわち、ICR系雌性マウス(日本エスエルシー株式会社)の腹部を剪別し、7% picryl chloride(Nakalai Tesque)-ethanol溶液0.1 mLを塗布して感作した。7日後に1% picryl chloride-olive oil溶液0.02 mL宛を両耳朶に塗布して接触性皮膚炎を誘発した。24時間後の耳朶の厚さ、誘発前の耳朶の厚さから腫脹率を求めた。なお、被検体(0.2% CMC・Naに懸濁)はPC-CD感作前日から1日1回7日間投与した。対照薬あるいは併用薬として用いたプレドニゾロン(Nakalai Tesque)は生理食塩液に溶解し、感作日から6日間皮下注射した。なお、実験最終日には麻酔下で副腎、胸腺、脾臓を摘出し、湿重量を測定した。
(実験結果)
1.塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼす温州ミカンエキスとプレドニゾロンとの併用効果
1)耳浮腫に及ぼす影響
表1にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には71.6±1.0%の浮腫率が認められた。温州ミカンエキスを10、50、200 mg/kgで経口投与したところ、50、200 mg/kg用量投与群はその耳浮腫を有意に抑制した。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかった温州ミカンエキス10 mg/kgとプレドニゾロン0.05、あるいは0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ48.8±1.8%、39.0±1.6%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ31.8、45.5%まで上昇した。また、温州ミカンエキス50 mg/kgにプレドニゾロンを0.05、0.2 mg/kg用量で併用した結果、それぞれ単独での効果に比して抑制率が有意に上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンに温州ミカンエキスを併用することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
1.塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼす温州ミカンエキスとプレドニゾロンとの併用効果
1)耳浮腫に及ぼす影響
表1にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には71.6±1.0%の浮腫率が認められた。温州ミカンエキスを10、50、200 mg/kgで経口投与したところ、50、200 mg/kg用量投与群はその耳浮腫を有意に抑制した。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかった温州ミカンエキス10 mg/kgとプレドニゾロン0.05、あるいは0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ48.8±1.8%、39.0±1.6%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ31.8、45.5%まで上昇した。また、温州ミカンエキス50 mg/kgにプレドニゾロンを0.05、0.2 mg/kg用量で併用した結果、それぞれ単独での効果に比して抑制率が有意に上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンに温州ミカンエキスを併用することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
2)臓器重量に及ぼす影響
表2には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。温州ミカンエキスを10、50、200 mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量はまったく影響を受けなかった。プレドニゾロンは0.05、0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与したところ、1 mg/kg用量で副腎重量を減少させる傾向を示し、胸腺及び脾臓重量に対してはその重量を有意に減少させた。
一方、温州ミカンエキス10、50 mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2 mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、副腎、胸腺及び脾臓重量はプレドニゾロン単独投与群のそれらに比して有意に減少させなかった。
すなわち、表1、2の結果から、温州ミカンエキスはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
表2には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。温州ミカンエキスを10、50、200 mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量はまったく影響を受けなかった。プレドニゾロンは0.05、0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与したところ、1 mg/kg用量で副腎重量を減少させる傾向を示し、胸腺及び脾臓重量に対してはその重量を有意に減少させた。
一方、温州ミカンエキス10、50 mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2 mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、副腎、胸腺及び脾臓重量はプレドニゾロン単独投与群のそれらに比して有意に減少させなかった。
すなわち、表1、2の結果から、温州ミカンエキスはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
2.塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼすヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンとプレドニゾロンとの併用効果
1)耳浮腫に及ぼす影響
表3にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には69.7±0.9%の浮腫率が認められた。ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを5、20、50 mg/kgで経口投与したところ、いずれも20、50 mg/kg投与群にPC-CDによる耳浮腫を有意に抑制する作用が認められた。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかったヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンをそれぞれ5 mg/kgとプレドニゾロン0.05、あるいは0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ37.7±1.8、42.7±1.5%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ45.9、38.7%まで上昇した。また、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジン 20 mg/kgとプレドニゾロンを0.05、0.2 mg/kg用量で併用した結果、それぞれ単独での効果に比して抑制率が有意に上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンにヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを併用投与することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
1)耳浮腫に及ぼす影響
表3にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には69.7±0.9%の浮腫率が認められた。ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを5、20、50 mg/kgで経口投与したところ、いずれも20、50 mg/kg投与群にPC-CDによる耳浮腫を有意に抑制する作用が認められた。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかったヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンをそれぞれ5 mg/kgとプレドニゾロン0.05、あるいは0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ37.7±1.8、42.7±1.5%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ45.9、38.7%まで上昇した。また、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジン 20 mg/kgとプレドニゾロンを0.05、0.2 mg/kg用量で併用した結果、それぞれ単独での効果に比して抑制率が有意に上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンにヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを併用投与することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
2)臓器重量に及ぼす影響
表4には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを5、20、50 mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量はまったく影響を受けなかった。プレドニゾロンは0.05、0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与したところ、0.2、1 mg/kg用量で胸腺重量を有意に減少させた。
一方、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジン5、20 mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2 mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、副腎、胸腺及び脾臓重量はプレドニゾロン単独投与群の臓器重量に比して減少しなかった。
すなわち、表3、4の結果から、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
表4には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンを5、20、50 mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量はまったく影響を受けなかった。プレドニゾロンは0.05、0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与したところ、0.2、1 mg/kg用量で胸腺重量を有意に減少させた。
一方、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジン5、20 mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2 mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、副腎、胸腺及び脾臓重量はプレドニゾロン単独投与群の臓器重量に比して減少しなかった。
すなわち、表3、4の結果から、ヘスペリジンあるいは糖転移ヘスペリジンはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
2.塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)に及ぼすネオヘスペリジンあるいはナリンギンとプレドニゾロンとの併用効果
1)耳浮腫に及ぼす影響
表5にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には69.2±1.8%の浮腫率が認められた。ネオヘスペリジンあるいはナリンギンを5、20、50 mg/kgで経口投与したところ、いずれも20、50 mg/kg投与群にPC-CDによる耳浮腫を有意に抑制する作用が認められた。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかったネオヘスペリジンあるいはナリンギンをそれぞれ5 mg/kgとプレドニゾロン0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ49.5±1.7、30.5±3.9%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ28.4、55.8%まで上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンにネオヘスペリジンあるいはナリンギンを併用投与することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
1)耳浮腫に及ぼす影響
表5にはマウス耳介の浮腫率を示した。対照群には69.2±1.8%の浮腫率が認められた。ネオヘスペリジンあるいはナリンギンを5、20、50 mg/kgで経口投与したところ、いずれも20、50 mg/kg投与群にPC-CDによる耳浮腫を有意に抑制する作用が認められた。陽性対照薬のプレドニゾロンは0.2、1 mg/kgの用量で皮下投与すると、その耳浮腫を有意に抑制した。
単独で有意な抑制効果を示さなかったネオヘスペリジンあるいはナリンギンをそれぞれ5 mg/kgとプレドニゾロン0.2 mg/kgを併用投与したところ、耳の浮腫率はそれぞれ49.5±1.7、30.5±3.9%で、対照群に比して耳浮腫が有意に抑制され、併用群の抑制率はそれぞれ28.4、55.8%まで上昇した。
これらの結果から、副腎皮質ホルモン剤のプレドニゾロンにネオヘスペリジンあるいはナリンギンを併用投与することにより、プレドニゾロンの抗アレルギー効果が相乗的に増強されることが明らかになった。
2)臓器重量に及ぼす影響
表6には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。ネオヘスペリジンあるいはナリンギンを5、20、50mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量は影響を受けなかった。プレドニゾロンは、0.5、0.2、1mg/kgの用量で皮下投与したところ、0.2、1 mg/kg用量で胸腺重量を有意に減少させた。
一方、ネオヘスペリジンあるいはナリンギン5、20mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、胸腺重量はプレドニゾロン単独投与群の臓器重量に比して減少しなかった。
すなわち、表5、6の結果から、ネオヘスペリジンあるいはナリンギンはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
表6には実験終了日に副腎、胸腺及び脾臓を摘出し、その湿重量を測定した結果を示した。ネオヘスペリジンあるいはナリンギンを5、20、50mg/kgの用量で経口投与したが、対照群に比して副腎、胸腺及び脾臓重量は影響を受けなかった。プレドニゾロンは、0.5、0.2、1mg/kgの用量で皮下投与したところ、0.2、1 mg/kg用量で胸腺重量を有意に減少させた。
一方、ネオヘスペリジンあるいはナリンギン5、20mg/kgとプレドニゾロン0.05、0.2mg/kgの併用投与群においてはそれぞれの抗アレルギー効果を相乗的に増強したにも関わらず、胸腺重量はプレドニゾロン単独投与群の臓器重量に比して減少しなかった。
すなわち、表5、6の結果から、ネオヘスペリジンあるいはナリンギンはプレドニゾロンの副作用を増強させることなく、その抗アレルギー効果を増強させることが明らかになった。
Claims (8)
- 副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを有効成分とすることを特徴とする副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤。
- 前記副腎皮質ホルモン剤が抗アレルギー剤であることを特徴とする請求項1記載の副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤。
- 前記柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする請求項1記載の副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤。
- 副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを有効成分とすることを特徴とする副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤。
- 副腎皮質ホルモン剤と柑橘類果実/又はその抽出エキスを併用して使用することを特徴とする副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
- 前記副腎皮質ホルモン剤が抗アレルギー剤であることを特徴とする請求項5記載の副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
- 前記柑橘類果実がウンシュウミカンであることを特徴とする請求項5記載の副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
- 副腎皮質ホルモン剤とヘスペリジン、ネオヘスペリジン、ナリンギン/又は糖転移ヘスペリジンを併用して使用することを特徴とする副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。
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JP2006305087 | 2006-11-10 | ||
JP2007025002A JP2008137985A (ja) | 2006-11-10 | 2007-02-05 | 副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強する薬剤、及び副腎皮質ホルモン剤の副作用を増強させることなく、抗アレルギー効果を増強させる方法。 |
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KR101259791B1 (ko) | 2010-05-04 | 2013-05-02 | 주식회사 제주건국내츄럴 | 감귤류를 함유한 건강보조식품의 제조방법 및 이를 이용한 건강보조식품 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002053485A (ja) * | 2000-08-08 | 2002-02-19 | Oshida Tetsuo | アレルギー性疾患用医薬組成物 |
JP2002121152A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-23 | Chugai Pharmaceut Co Ltd | 外用消炎鎮痛剤 |
JP2005132791A (ja) * | 2003-10-31 | 2005-05-26 | Univ Kinki | 抗アレルギー剤 |
JP2005170804A (ja) * | 2003-12-08 | 2005-06-30 | Univ Kinki | 抗アレルギー剤 |
-
2007
- 2007-02-05 JP JP2007025002A patent/JP2008137985A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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