JP2005163268A - 拘束土構造物およびその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 中詰材20の背面部を、鋼製の壁面材10に接続した補強シート30で袋状に包み込み、緊張して転圧して拘束土単体50を構築する。
複数の拘束土単体50を積層して拘束土構造物を得る。
【選択図】 図1
Description
この種の盛土構造物にあっては、盛土層の間に介在させる補強シートの一端を、各盛土層の一方(前面)に積み上げたコンクリート製または網製の各壁面材の裏面に接続することで、壁面材に作用する土圧を補強シートの摩擦抵抗を利用して支持し、また盛土構造物内の滑りを補強シートにより抑制している。なお、盛土構造物の背面側は裏込土砂を充填して空隙処理を行っている。
また一部に支持地盤として不適な地盤が存在する場合は、地盤の一部をコンクリートで置き換え、これを支持地盤として盛土構造物を構築することも知られている。
<1>各盛土層の上下面は補強シートでサンイドイッチ状に挟み込まれるが、盛土層の背面部(後部)は開放されたままである。
そのため、補強領域における盛土を十分に締め固めることができない。
殊に、盛土層に大きな鉛直荷重や地震時の水平力が加わると、盛土層の背面部(後部)から土砂が側方移動して盛土構造物の不等沈下を誘発する。
<2>地形が急峻で、盛土構造物の背面側スペースが不足する現場では、安定した地山を掘削する必要があり、掘削量が増加して工期と工費の負担が増す。
<3>コンクリート等の基礎工を構築する場合、不適な地盤を掘り下げてからコンクリート等にて置き換えることから、施工に長時間を要するうえに工費が嵩む問題がある。
本発明は工期と工費を大幅に改善することにある。
本発明は擁壁及びコンクリートの基礎工の代替や地形が急峻な箇所での補強盛土箇所に適用できるようにすることにある。
本発明は上記した何れかひとつの拘束土構造物およびその施工方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は前記拘束土構造物において、硬質の壁面材が断面L字形を呈することを特徴とするものである。
本発明は、前記拘束土構造物において、補強シートの巻き返し端を壁面材に接続したことを特徴とするものである。
さらに本発明は、前記拘束土構造物の施工方法において、中詰材の背面部の補強シートを型枠等で成形しながら中詰材の転圧を行うことを特徴とするものである。
本発明は、前記拘束土構造物の施工方法において、前記補強シートで包み込んだ中詰材を再度転圧することで中詰材の背面部を側方へ強制的に変形させて補強シートを緊張することを特徴とするものである。
本発明は、背面部において安定した地山に拘束土構造物の補強シートを沿わす場合の施工方法において、転圧を行った後に、前記補強シートを緊張して中詰材の上面に巻き込んで端部を固定することを特徴とするものである。
<1>拘束土単体の中詰材の側方移動がほとんどない程度まで転圧できる。
そのため、上載荷重が作用すると、補強シートを介した中詰材の拘束力が増すと共に、中詰材の側方移動を拘束して中詰材の背面部の側方移動を確実に防止できる。
<2>中詰材を補強シートで包み込んだ範囲が補強領域となるので、拘束土構造物の断面幅を過剰に広く設計したり、安定した地山を掘削する必要がない。
<3>補強シートを強制的に緊張することで、補強シートの弛みをなくし、中詰材の拘束効果が高まる。
<4>転圧の際、成型用の型枠等を使用することで中詰材の背面部の孕み出しを阻止して確実に締め固めをすることができる。
<5>補強シートで包み込んだ中詰材を再度転圧することで、中詰材の背面部を側方へ強制的に変形させて補強シートを緊張することができる。
そのため、中詰材の拘束効果がさらに高まり、拘束土構造物の安定性が格段に向上する。
<6>本発明は補強盛土工としてだけでなく、一部に支持地盤として不適な地盤が存在する場合、不適な地盤のみ取り除き直接構築すればコンクリート等の基礎工の代替として適用することができ、従来の基礎工を構築する場合と比べて施工性と経済性を大幅に改善できる。
<1>拘束土構造物の概要
図1は完成した拘束土構造物のモデル図を示す。
拘束土構造物は法面側に多段的に積み上げる鋼製の壁面材10と、壁面材10に接続した補強シート30で中詰材20を袋状に包み込み、補強シート30を転圧し緊張して構築した複数の拘束土単体50の積層体により構成する。
以降に主要な使用資材について説明する。
図2,3に示すようにL字形を呈する壁面材10は、金属製の帯網材をほぼ中間部で屈曲して水平部11と起立部12とを有する法面形成材で、例えばエキスパンドメタル、溶接金網、有孔板等の公知の網体を使用できる。
水平部11と起立部12の交差角度は、法面勾配に合わせて適宜の角度に設定する。
水平部11と起立部12の間に棒状の斜材15を掛け渡すと共に、斜材15の両端部の屈曲した鉤部を水平部11と起立部12に夫々貫通させて掛止することで、土圧による起立部12の変形を防止する。
壁面材10の断面形状はL形が望ましいが、断面形状がI形のものや平面形状がπ形を呈するものであってもよい。
また壁面材10は網体に限定されず、コンクリートパネルやコンクリートブロック等も適用可能であり、またその大きさも寸法的な制約を受けない。
本発明は拘束土構造物の主体となる中詰材20を包み込んで外部から拘束することにより補強力を得るものである。
したがって、締め固めが可能な性質であればよく、一般土砂、現地発生土、産廃土砂等、各種骨材、コンクリートガラ等を単種で、または複数種の混合体を使用することが可能である。
また土砂については砂質土、粘性土の別を問わない。
補強シート30は単に水平に敷設するだけの部材ではなく、中詰材30の背面部を巻き込むためのシートで、その全長は水平敷設長に巻き込み長さを加えた長さに設定する。
補強シート30としては、例えば樹脂製ネットにアラミド繊維製の芯材を埋め込んで製造した耐候性と引張強度に優れたアデム(前田工繊株式会社製)が好適である。
補強シート30のその他の素材としては、繊維補強した樹脂ネット、延伸した樹脂ネット、メッシュ状織編布を固め加工したジオテキスタイル、ジオグリッド等の引張強度が大きい公知のネットやシート状物も使用可能であり、また通常の織編布や不織布を使用してもよい。
上記した資材を使用した拘束土構造物の施工方法について説明する。
図4に示すように、地盤に壁面材10aの水平部11を直接着床させた後、ピン16を打設して固定すると共に、壁面材10aの背面側に所定の長さの補強シート30aを敷設する。
補強シート30aの図の左端部と壁面材10aの水平部11を重合させ、その重合部を連結コイル17の巻き付けや、連結ピンの差込み、或いは結束などの公知の手段で連結する。
つぎに補強シート30の右方を軽く巻くり上げ、その外側に型枠40を設置する。型枠40は内側に湾曲した成形面41を有すると共に、成形面41の外側に支持脚42を設けて形成した仮設型枠で、中詰材20の側方変形を拘束しながら成形面41の形状に合わせて成形するために機能する。
成形面41は図示するような円弧面に限定されず、種々の形状を採用できる。
図5に示すように、補強シート30aの右方を型枠40の外方に払い除けた状態で、壁面材10aと型枠41の間の全領域に中詰材20aをまき出す。
中詰材20aは層状に壁面材10aの起立部12の高さまでまき出す。
その後、公知の締固機を用いて締め固める(一次転圧)。
一次転圧に伴う中詰材20aの側方変形に関し、層状にまき出した中詰材20aの前方(法面側)は壁面材10aにより支持され、また中詰材20aの後方(背面側)は型枠40により支持されるため、一段目の中詰材20aの前後端だけでなく全体を均等に締め固めることができる。
また中詰材20aの後方(背面側)を転圧する際、型枠40の成形面41と対向して、補強シート30aの内側に成形面41と対応する形状の型枠(図示せず)を設置して転圧してもよい。内側に型枠を設置する場合、内部の型枠は撤去せずに残存させることなる。
続いて図6に示すように、一段目の補強シート30aの右方を一段目の中詰材20aの背面に巻き込みながら、一段目の補強シート30aを壁面材10aへ向け緊張してその緊張端を一段目の中詰材20aに固定する。
本例では一段目の補強シート30aの右方を二段目用の補強シート30bの途中で連結して実質的にシート全体の長さを延長し、二段目の補強シート30bの左端を緊張して、二段目の補強シート30bに接続した二段目の壁面材10bと共に一段目の中詰材20aに固定した場合を示すが、図9に示すように長めに設定した一段目の補強シート30aの端部を二段目の壁面材10bに緊張して固定するようにしても良い。要は一段目の中詰材20aの背面を巻き込んだ一段目の補強シート30aが緩まないように、その端部を固定できればよい。
一段目の補強シート30aに張力をかけながら巻き込むのは、補強シート30aの弛みを解消することと、一段目の中詰材20aの拘束力を増すためである。
つぎに図7に示すように抜き型枠40を撤去して一段目の中詰材20aの背面部を転圧(二次転圧)して拘束土単体50を得る。
型枠40による支持のない状態で中詰材20aの背面部を転圧することで、中詰材20aを強制的に側方移動させて更なる締め固めを行い、また補強シート30aに対しては緊張力が更に付与される結果、中詰材20aの拘束力がさらに増す。補強シート30の背面部は丸みを帯びた形状に変形する。
図8に示すように一段目の中詰材20aの背面部に、中詰材20aと等しい高さまで裏込材21aを投入して転圧する。
以上の工程を経て一段目の拘束土単体50aの施工を終了する。
図1に示すように本発明に係る拘束土構造物は、補強シート30で緊張して包囲され、かつ側方移動がほとんどない程度まで転圧して形成した複数の拘束土単体50の積層構造体である。
そのため、拘束土構造物に大きな鉛直荷重や地震時の水平力が加わっても、中詰材20の全体の側方移動を防止できる。殊に中詰材20の背面部の側方移動を確実に防止できる。
本発明に係る拘束土構造物は、従来のコンクリート製の置き換え基礎の代替として使用することが可能である。
拘束土構造物を従来のコンクリート等の基礎工の代替として使用する場合、その上部に道路などの構造物を構築したり、或いは公知の補強盛土を重ねて構築したりしても良い。
また本発明に係る拘束土構造物だけを積み上げて従来の擁壁工の代替として使用することも勿論可能である。
また複数の壁面材10を階段状に積み上げ、拘束土単体50の露出部を利用して植生や植栽を行って緑化を図ることも可能である。
20,20a,20b 中詰材
30,30a,30b 補強シート
40 型枠
50 拘束土単体
Claims (7)
- 壁面側を硬質の壁面材で被覆した拘束土構造物であって、
中詰材を、壁面材に接続した補強シートで袋状に包み込み、上載荷重、自重及び転圧により補強シートを緊張させて盛土材を拘束し構築した拘束土単体よりなり、
前記拘束土単体を多段的に積層したことを特徴とする、
拘束土構造物。 - 請求項1において、硬質の壁面材が断面L字形を呈することを特徴とする、拘束土構造物。
- 請求項1において、補強シートの巻き返し端を壁面材に接続したことを特徴とする、拘束土構造物。
- 壁面側を硬質の壁面材で覆い、壁面材の背面側に拘束土単体を積層した拘束土構造物の施工方法であって、
補強領域を超える長さの補強シートの一端を壁面材に接続して敷設し、
前記補強シート上に中詰材をまき出して転圧を行い、
中詰材を包み込むように、前記補強シートを中詰材の上面に巻き込んで端部を固定して拘束土単体を構築し、
前記拘束土単体を多段的に積層して構築したことを特徴とする、
拘束土構造物の施工方法。 - 請求項4において、中詰材の背面部の補強シートを型枠等で成形しながら中詰材の転圧を行うことを特徴とする、拘束土構造物の施工方法。
- 請求項4または請求項5において、転圧を行った後に、前記補強シートを緊張して中詰材の上面に巻き込み端部を固定することを特徴とする、拘束土構造物の施工方法。
- 請求項4乃至請求項6の何れかにおいて、前記補強シートで包み込んだ中詰材を再度転圧することで中詰材の背面部を側方へ強制的に変形させて補強シートを緊張することを特徴とする、拘束土構造物の施工方法。
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