JP2005156006A - 加湿器用エレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】加湿量と耐久性に優れた加湿器用エレメントを提供することを目的とする。
【解決手段】抗菌防黴性物質を含有する吸水性シートからなり、(1)コルゲート、(2)ハニカム、(3)プリーツ、及び(4)プレーン積層形状から選ばれた少なくとも一つの構造を構成単位とする加湿器用エレメントにおいて、該吸水性シートが、繊維径3〜20μmの繊維を20〜80質量%含有し、該吸水性シートの構成繊維の少なくとも一部が熱融着していることを特徴とする加湿器用エレメントを提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は加湿器用エレメントに関する。さらに詳しくは、特定の構成の吸水性シートからなる構造体を構成単位とし、加湿性能、耐久性等に優れた加湿器用エレメントに関する。
近年、一般家庭においても、乾燥した室内の相対湿度を上げるために、水道水を蒸発させることにより室内を加湿する加湿器が利用されている。加湿器には、超音波により水を霧状にして放出する超音波方式のものと、水を加熱して沸騰蒸発させる加熱方式のものと、吸水性を有する加湿器用エレメントに水を含ませ、送風し気化させる気化方式(自然蒸発式)のものに大別される。
超音波方式や加熱方式のものは装置が比較的小型で多量の加湿量が得られる。しかしながら、超音波方式では水中のカルシウム、マグネシウム等の不純物が水と一緒に空気中に放出されるために衛生面で問題を有している。また、加熱方式は消費電力が大きいために電気代が高くなる等の問題を有している。一方、気化方式の加湿器は、不純物が空中に放出されることもなく、ランニングコストが少ない等の利点を有する。気化式の加湿器用エレメントには、商品設計が容易な点から、吸水性あるいは親水性を有する不織布、特殊紙を加工したものが広く利用されている。
不織布からの水蒸散性を利用した加湿器用媒体、エレメントとしては、厚手の不織布・シート(例えば特許文献1参照)を所望の形状に打ち抜いて使用するもの、あるいは薄手の不織布(例えば特許文献2参照)をコルゲートあるいはプリーツ加工行い、エレメント形状に成形したものが用いられている。また、薄手の不織布に開孔を設け、通気性、比表面積を増やし、加湿効率を上げた商品がある。これらの商品には、親水処理、抗菌・防かび処理を行い、耐久性を付与する試みがなされている。
通常、加湿器用エレメントを用いる加湿機あるいは加湿機能を有する機器においては、初期の加湿性能は優れているが、繰り返しの使用によりエレメント自体の吸水性が劣化すること、水中の金属イオン、不純物等がエレメントを構成する不織布に沈着し、不織布の多孔性が失われ、風量が低下すること、および不織布の吸水性が劣化することが原因で、性能が低下する問題があった。
開孔を設けた不織布の利用は、スパンレース法により目の粗い支持体上で処理することで得られたものなどが使用されており、一定の効果はあるものの、かかる方法においては大きく明瞭な開孔を設けることは技術上困難であり、開孔エッジに順次不純物が沈着し、開孔が閉孔してしまうという問題があった。また、このような開孔不織布は吸水経路が無孔の不織布に比べ小さいので、不純物の沈着により不織布の吸水性の劣化も速い物である。
特開平1−283129号公報 特開平8−159526公報
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、吸水性と耐久性に優れた吸水性シートならびに加湿器用エレメントを提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、
(1)抗菌防黴性物質を含有する吸水性シートからなり、コルゲート、ハニカム、プリーツ、及びプレーン積層形状から選ばれた少なくとも一つの構造を構成単位とする加湿器用エレメントにおいて、該吸水性シートが、繊維径3〜15μmの繊維を20〜80質量%含有し、該吸水性シートの構成繊維の少なくとも一部が熱融着していることを特徴とする加湿器用エレメントである。
(2)好ましくは一個当たりの面積が0.75〜15mm2、ピッチが3〜20mmであって、かつエッジが明瞭である開孔を設けた前記吸水性シートであることを特徴とする加湿器用エレメントである。
(3)さらに好ましくは、開孔の配列が千鳥状であることを特徴とする加湿器用エレメントである。
本発明者の加湿器用エレメントは、特定の吸水性シートを用いて得られる。加湿性能に優れ、繰り返しの吸水、放湿を経ても、加湿性能の劣化が少なく、耐久性を有する効果を発揮出来る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用する吸水性シートとは、加湿器用エレメントを構成する構造体の基材となるシートで、加湿器に必要とされる水分を吸い上げる特長を有するものである。加湿器の設計により、その必要とする“吸水”のレベルを一概に規定することは難しい。市販品を調査した結果、バイレック法にて10分間の吸水速度が80〜120mm/分であった。120mm/10分以上であると、加湿器において蒸発する水に対して、吸水による水の供給が十分に行き届くと判断できる。以上から、本発明においては、バイレック法にて10分間に120mm以上の吸い上げ高さを示すものを吸水性シートとして用いた。
吸水性シートの製造方法について特に制限はない。織物、編み物、不織布、フィルム等のシート状物から適宜選択することができるが、安価で、繊維配合、目付、厚みなどを制御しやすい点、穴開け加工等の後加工を行いやすい点から、不織布が好ましい基材の一つである。不織布の製法としてはスパンボンド法、メルトブロー法、乾式法(サーマルボンド法、レジンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法)、湿式法等の方法から少なくとも一つの方法を選択し用いることができる。必要に応じて、これらの複数の方法を組み合わせることができる。
中でも、湿式法は本発明で主として使用する3〜15μmの繊維とその他の構成繊維を均一に混合できること、できあがったシートの目付け分布が均一で、必要以上に目付けを上げる必要がないこと、吸水のむらが少ないことから、もっとも好ましい方法であり、後述する開孔が均一にあけることができる点からも好ましい方法である。
本発明で使用する吸水性シートを構成する繊維について説明を行う。
本発明で使用する繊維としては、親水性を阻害しないもの、コルゲート、プリーツ加工適性を発現するものであれば特に制限はない。中でも黴やバクテリア等に耐久性のある繊維を使用することが好ましく、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ナイロン系繊維などの有機合成繊維、難燃性が必要とされる場合は塩化ビニール・塩化ビニリデン系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維などのエンプラ繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維等の無機繊維が例示される。しかしながら、後述する抗菌防黴剤を併用すれば、親水性を阻害しない繊維として、レーヨン繊維、木材パルプ、非木材パルプ、獣毛繊維やシルク繊維(親水化したもの)等を用いることも可能である。
使用する繊維は、繊維径は3〜15μmの範囲のものを用いる。この範囲の繊維を用いることで吸水性シート内における表面積が大きくなり、毛細管現象による吸い上げ効果が大きくなる。しかしながら、3μmより小さい場合は、シートが高密度となり吸水性が阻害されるので好ましくない。15μmを超えると繊維間が広くなり、繊維間の表面張力を十分に利用できないため、吸水性が低下し好ましくない。さらに好ましくは、3〜10μmの範囲のものである。
本発明においてはこの様な繊維を、20〜80質量%使用することが、吸水性を維持する上で必要である。20質量%より少ない場合は、繊維間隔が広くなり好ましくない傾向にある。80質量%より多い場合はシートが高密度となり好ましくない傾向にある。
本発明において、シートを構成する繊維の少なくとも一部分が融着していることが好ましい。融着がないと吸水性シートの強度が弱く、コルゲート、プリーツ等の後加工が出来ないので、加湿用エレメントを得ることが出来ない。吸水性シートの強度維持だけでなく開孔加工、エレメント構成単位から加湿用エレメントへの加工(型付け、枠付け等)を潤滑に行うためにも必要不可欠な要素である。
構成する繊維の少なくとも一部分が融着している状態とは、構成繊維の少なくとも一部分が融着している状態、部分的に加熱加圧あるいはピンソニック等によりドット状に部分的に融着させる方法、低融点の繊維を一部混合し加熱融着させる方法等により融着している状態が挙げられる。融着させる面積、融着させるための低融点繊維の混合量等は、本発明の加湿器用エレメントの性能を阻害しない範囲、すなわち吸水性シートの吸水速度が120mm/10分以下にならないよう適宜調整することが必要である。
この吸水速度を発現する為の好ましい低融点繊維の配合量は、40質量%以下である。30重量%を超えると、太い繊維を多く含む配合では吸水速度が低下するため好ましくない傾向にある。
次に本発明で使用する抗菌防黴剤について説明する。
本発明に係わる抗菌防黴剤とは、細菌類に対して有効な抗菌作用と黴類に対して有効な防黴作用を併せ持ち、好ましくは抗ウイルス性を有する薬剤であり、例えば細菌類の繁殖を抑制または死滅させ、且つ黴類の繁殖または発芽を抑制するなどの効果を発現するものである。具体的には、ベンズイミダゾール系、イソチアゾリン系、ピリチオン系、有機ヒ素系、有機銅系、有機ヨード系、有機銀系などの抗菌防黴剤が挙げられる。
本発明で用いる吸水性シートに抗菌防黴剤を担持させる方法としては、上記の吸水性シート基材にバインダーを利用して塗工または含浸するなどの方法によって抗菌防黴剤を担持させる方法、および基材の原料となる樹脂や金属などに練り混みなどの手段によって担持する方法が挙げられる。また、上記の方法以外に湿式抄紙法における内添のように原料繊維をシート化する過程で、抗菌防黴剤を内添担持させる方法が挙げられる。
抗菌防黴剤を基材の吸水性シートに担持させるには、基材との反応により定着させること、あるいは接着剤を用いて定着させる方法が挙げられる。接着剤としては、水系、溶剤系などの液状のもの、粉体状のもの、繊維状のものが挙げられる。
具体的には、液状のものとしては、天然ゴム、SBR、NBR等のラテックス、アクリル酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、ポリビニルアルコール、これらの共重合体のエマルジョン等の有機系バインダー、アルミナゾル、シリカゾル、水ガラス等の無機系バインダーが挙げられる。粉体状のものとしてはホットメルト系樹脂が挙げられる。繊維状のものとしては、基材不織布の構成繊維を溶融させ抗菌防黴剤を融着させる方法、フィブリル化繊維などによる凝集体により定着させる方法が挙げられる。これらの中から吸水性を阻害しないものを適宜使用することができる。
本発明においては、以上の方法を単独もしくは複数組み合わせて使用することができるが、中でも湿式抄紙法によって作製された繊維状シートにおいて、繊維状バインダーを用いて、シート内に内添する方法が好ましい。塗工または含浸に用いられる接着剤や練り込んだ樹脂などで抗菌防黴剤の表面の一部が被覆されることが無く、比表面積を有効に使える為、少量で特に優れた抗菌防黴性が得られる。
本発明でいう湿式抄紙法には、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、または複数の抄紙機を組み合わせたコンビネーションマシン等を用いることができる。湿式抄紙法においては、例えば不織布を基材とする吸水性シートの主成分である繊維成分を、予め水中に分散させ、必要に応じて叩解等の処理を施した繊維分散液に、抗菌防黴剤、定着剤及び所望により凝集剤等と混合し凝集体とした後、繊維分散液に混合したのち、湿式抄紙法によりウェブ化するができる。
定着剤しては先にあげたもののほかに、比表面積の大きな微細繊維状物を用いて、抗菌防黴剤との凝集体を作り、吸水性シート基材に定着させる方法が、基材の均一性、抗菌防黴剤の定着の強さの面からも好ましい方法である。具体的には、重叩解した木材パルプ、爆砕パルプ、バイオセルロースあるいは麻、シルク等の天然繊維、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリベンザゾール等の剛直性有機合成繊維にこれらの処理を施したものが例示される。
吸水性シートの目付は、30〜300g/m2が好ましい。30g/m2より小さいと厚みが薄くなり、剛度が小さくなるので、プリーツやコルゲートの加工が難しいための好ましくない傾向にある。また、加湿器用エレメントの強度も小さいものとなり好ましくない傾向にある。300g/m2より大きいと厚みが大きくなり、加湿器用エレメント内での吸水性シートの占有体積が大きくなり、加湿器用エレメントの通気度が低下するので好ましくない傾向にある。
吸水性シートの密度は、0.2〜0.4g/cm3の範囲が好ましい。0.2g/cm3未満の場合、保水性は大きいが、繊維間が広く吸水性は低下し、加湿性能が低下する。また、吸水性シートが柔らかく、コルゲート加工、プリーツ加工等の加湿用エレメントへの加工が困難となり好ましくない傾向にある。0.4g/cm3を超えると保液性、吸水性とも低下し好ましくない傾向にある。
この様にして得られた吸水性シートを、(1)コルゲート、(2)ハニカム、(3)プリーツ、(4)プレーン形状から選ばれた少なくとも一つの構造を構成単位とすることを特徴とする加湿器用エレメントとすることが出来る。
コルゲートもしくはハニカム形状の場合について、コルゲート形状を代表に説明する。コルゲート形状の構造体は、JIS Z 1516記載の「外装用段ボール」に準拠して作製される。例えば、プレーン形状のライナー上に、波状のフルート中しんを接合した片段ボールを順次接着剤で積層させて、任意の寸法にトリミングして、コルゲートブロックを作製する。このコルゲートブロックのライナー面に対して、垂直あるいは一定の角度で斜めに切断してコルゲート状加湿器用エレメントとすることができ、水を吸い上げた状態にて、この切断面に空気を当て、加湿器用フィルター内部を通風させることによって、加湿した空気を外部に提供することができる。
フルート中芯の山の間隔は1mm以上、山の高さは1mm以上の範囲で所望する加湿量・通気量により、任意に選択することができる。
ハニカム形状の構造体についてもコルゲート同様に、加湿器用フィルターの内部を吸水性シートと平行あるいは一定の角度で通風させること加湿することができる。
プリーツ形状の構造体は、プリーツ加工機によっていわゆるヒダ折り加工することにより製造することが出来る。山の高さは、好ましくは10〜100mmの範囲で、ピッチは好ましくは1〜10mmの範囲で所望する加湿量・通気量により、任意に選択することができる。通風の方向は吸水性シートを厚さ方向に通気させる方向であり、吸水性シートの通気度が低い場合は、後述する開孔を設けて通気度を上げることが好ましい。
プレーン形状の構造体は、所望の形状に加工した後、一定のピッチで概ね平行になるように並べて、その間隔を通風させることにより加湿する。やはり、その好ましいピッチは1〜10mmの範囲で、所望する加湿量・通気量により、任意に選択することができる。必要に応じて、吸水性シートに開孔を設けること、通風方向に対して一定の角度をつけることも好ましい方法である。
以上に述べた構造体は、単独あるいは複数を組み合わせて用いることが可能である。構造体の形状を枠により、維持補強することも可能である。枠の材質は吸水性シートと同材質のシート、あるいは加湿器用エレメントの材質を極端に阻害しないものであれば問題はない。
本発明の加湿器用エレメントが、コルゲート、ハニカム構造体の場合は、耐水性のある接着剤、ホットメルト樹脂などを用い製造する。先に述べた枠による補強においても、同様の接着剤を用いることが出来る。
次に、本発明の開孔、特にエッジが明瞭な開孔について説明する。エッジが明瞭な開孔とは、吸水性シートの部分の繊維が開孔部分に実質的にはみ出ていない状態、あるいは開孔内部に繊維が残っていない状態をいう。
明瞭な開孔を開ける方法としては、熱で溶融する方法、パンチングであける方法が好ましい方法として挙げられる。
従来法による開孔方法として、不織布製法の中では、スパンレース法が挙げられる。この方法は、プレーンなカードウェブをナックルの高いメッシュ上に乗せ、高圧水流を噴射して繊維を偏在化させることで開孔を設ける方法であるが、繊維を柱状水流で動かす事により開孔を作るので、エッジが明瞭になりにくく、開孔内部とともに、繊維が残りやすく、明瞭なエッジを得ることが難しい。この吸水性シートは、コルゲートおよびハニカム構造体、プレーン構造体のように、吸水性シートと平行あるいは平行に近い角度で通風する加湿器用フィルターには使用することができるが、プリーツ状構造体のように、吸水性シートの厚み方向に通気させる加湿器用フィルターに使用する場合には、後述する理由により好ましくない傾向にある。
開孔を開ける目的は、通気性を向上させることによって、加湿器用エレメント内に複雑な風の流れを起こし、出来るだけ空気の通過経路を長く複雑にすることで、吸水性シートとの接触時間を長くして、加湿量を大きくすることにある。しかしながら、開孔のエッジが明瞭でない場合、エッジ部分に用水由来の無機物、黴や菌類が付着しやすく、加湿用水由来のカルシウム等の沈着物により、開孔が閉塞し、通気が低下するため、加湿量が経時的に低下する。
一方、エッジが明瞭な場合は、カルシウム等の沈着はエッジ部分に集中せず吸水性シート内に均一に発生するため、開孔の閉塞が抑制され、経時的な加湿量の低下も抑制される。
本発明の開孔の形状について特に制限はないが、加湿用水から発生する添着物により開孔が閉塞しにくい形状としては、円、あるいは真円に近い楕円が好ましい形状である。開孔の面積は0.75〜20mm2が好ましい。
0.75mm2より小さいと、開孔が閉塞し易い。20mm2より大きいと、空気が選択的に開孔に流れ込み乱流効果が少なくなる。また、シート強度が低下することによって、加湿器用エレメントの強度が低下し好ましくない傾向にある。さらに、大きな空隙に選択的に、空気が流れ、通気の方向にむらが出来、加湿量が低下する。
開孔のピッチとしては、3〜20mmが好ましい。
3mmより小さいと開孔数が大きくなる。すなわち開孔面積が大きくなり、吸水性シートの性能が低下する。また、シート強度が弱くなる。さらには後述するプリーツやコルゲート加工において、折り目や屈曲が開孔部分と重なった場合、山の高さが不揃いとなり、外観が悪くなるだけでなく、加湿器用エレメントの強度が維持できにくい。20mmより大きいと開孔の効果が少ない。
開孔の配列としては、ランダム、縦横一列に並んだ並行配列、2列以上の隣り合う列あるいは2行以上の行が重ならない様に互い違いに並んだ千鳥配列等がある。
プリーツ加工、コルゲート加工では、折り曲げ加工時、段付け加工時に、開孔部分と非開孔部分とでは山にかかる場合には加工性が異なる。開孔数が多すぎたり、ピッチが細かくなると山の高さを均一に加工するのが難しくなる。並列配列にくらべ千鳥配列では開孔が山にかかる数が少なくなるので、加工し易くなるため、さらに好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、本実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」および「%」は、各々「質量部」および「質量%」であることを意味する。
本発明における評価方法について以下に説明する。
<吸水速度>
吸水性シートを、幅20mm、長さ250mmに裁断した後、試験片の一端10mmを20℃の純水に浸漬し、10分間に水が試験片中を水面より上昇した距離(mm)を求めた。吸水性の指標とした。
<コルゲート加工性>
本発明の吸水性シートを用い、コルゲート加工機で段の高さ3.6mm、ピッチ6.4mmのフルートを作製し、これに耐水性アクリル樹脂を用い、同じ吸水性シートからなるライナーと接着し、単段コルゲートとしたのち、複数枚積層し、多段コルゲートブロックを作成した。
目潰れが無く良好なものを◎、多少目潰れがあるが問題のないものを○、目潰れが多いものを△、コルゲート加工できないものを×とした。
<プリーツ加工性>
プリーツ加工機で、50mmの山高さでプリーツ加工を施した。山の高さが揃っているものを○、山の高さがやや不揃いだがエレメントを作成可能なものを△、山の高さが不揃いでエレメント作成が困難な物を×とした。
<初期加湿量>
加湿器用エレメントを、国産の500g/時間クラスのハイブリッドタイプの加湿器に装着し、20℃、30%RHの条件にて、ハイブリッドモードでの連続運転を行い、加湿器運転開始後1時間後から7時間後までの6時間に、水が減った重量を測定し、時間当たりの加湿量とした。なお用水は、東京都葛飾区の三菱製紙株式会社、総合研究所、商品開発センターの水道水を用いた。
<耐久性>
タンク容量は4リットルである。同じ加湿器に加湿器用エレメントを装着し、加湿器が空になるまでの連続運転を行い、再度用水を加え連続加湿運転を行う作業を繰り返した。この間エレメントの洗浄は行わず、それぞれの回数ごとの時間当たりの加湿量を測定し、加湿量の経時変化を測定した。カタログ値の半分(250g/時間)まで低下した場合を寿命とし、その回数を記載した。また、そのときの加湿器用エレメントの外観状態を付記した。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
以下の表1の配合にて、湿式法を用いて、100g/m2の吸水性シートを作成した。該吸水性シートを用いてコルゲート加工を施し、加湿器用エレメントを得た。
繊維としては、表1記載のポリエステル繊維、低融点繊維(熱融着性繊維)としてユニチカ社製、メルティ4080、2.2dt×5mm)、抗菌防黴剤として、以下のパルプ状抗菌防黴剤を調整し用いた。表1に配合を記載する。
パルプ状抗菌防黴剤の調整法は以下の通り。カルボキシメチル基置換度0.22(DS=0.22)のカルボキシメチルセルロース化パルプ(CMCパルプ)の分散液(固形分1000g)に硝酸銀0.5モルを加え、pHを5.5に調節してから、30分間攪拌する。0.1モル/リットルの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム液を、該CMCパルプ分散液に加えられた硝酸銀と等モル相当量を添加した。さらに30分間攪拌してから、硫酸でpHを4まで下げた後、脱水し、再び500mlの水を加え、攪拌水洗して脱水し、パルプ状の抗菌防黴剤を得た。
該吸水性シートを中しんおよびライナーに用いて、JIS Z 1516「外装用段ボール」に準拠して、ピッチ6.5mm、高さ3mmで片面段ボールを形成し、該片面段ボールを積層接着してコルゲート構造体とした。これを100mm幅×175mm高さ×50mm厚にトリミングし、加湿器用エレメントとした。
(比較例6)
12μm×25mm長のPET繊維/15μm×51mm長のレーヨン繊維=30/7090g/からなるパラレルのカードウェブを、17メッシュのプラスチックワイヤー上に積載し、高圧水流を噴射して、得られたウェブ乾燥重量90部に対し、乾燥重量でガラス転移点10℃のアクリル酸エステルエマルジョン7部と上で用いた物と同じ抗菌剤3部の分散液を付与して、吸水性シートとし、実施例1と同じ方法で加湿用エレメントを得た。
実施例1〜5、比較例1〜6の測定結果を表2に記載する。
Figure 2005156006
Figure 2005156006
<結果評価>
表2より、本発明の加湿器用フィルターは加湿量に優れ、特に経時劣化が少ないことが判る。茶褐色や茶色に変色したのは、水中の微量鉄分が堆積し、サビとなったものである。茶褐色は長期渡り使用したので堆積が多いもの、茶色は堆積が少ないものと推定される。また、黒く変色しているものや異臭が強いものは、黴や菌が発生したものであり、実施例にはそのような現象は見られない。
(実施例6〜10)
実施例2で用いた吸水性シートに、表3に示す条件の開孔を設けた。なお、一つの開孔の形状は円形とした。該吸水性シートを実施例1と同じ方法で加湿用エレメントを得た。加湿用エレメントの測定結果について、表3に記載する。
Figure 2005156006
<結果評価>
実施例6〜10に見られるように、加湿器用エレメントは通風経路が複雑になり、加湿量がさらに向上している事が判る。また、並列配列と千鳥配列を比べた場合、千鳥配列の方が、コルゲートブロックを切断するときに、切断面にかかる孔数が少ないので、加工が容易であった。
(実施例11)
実施例7で得られた開孔を設けた吸水性シートを用いて、山高さ50mmにプリーツ加工施し、100mm巾にスリットして、山のピッチ5mm(35山)にて、吸水性シートの枠を設けて、プリーツ構造体を製造し、加湿器用エレメントとした。なお、プリーツ構造体において、山同士が接触するのを防止するため、山の折り目と直交方向に、太さ2mmの糸状のホットメルトを2.54cm間隔で吸水性シート表面に塗布(ビード加工)した。
(実施例12)
実施例8で使用した吸水性シートを用いる以外は、実施例11と同じ方法で加湿器用エレメントを得た。
(比較例7)
比較例6で作成した吸水性シートを用い、実施例11と同じ方法で加湿用エレメントを得た。以下実施例11、比較例7の結果を表4に記載する。
Figure 2005156006
<結果評価>
実施例より、本発明の加湿器用エレメントは加工性、加湿量に優れ、特に経時劣化が起こりにくいことが判る。また、千鳥配列とすることで、折り目が安定して
本発明の加湿器用エレメントは、加湿量、耐久性に優れ、加湿器用吸水材、水蒸散板だけでなく、結露吸水材、調湿板、濾過材などの広範な分野で活用することができる。

Claims (3)

  1. 抗菌防黴性物質を含有する吸水性シートからなり、(1)コルゲート、(2)ハニカム、(3)プリーツ、及び(4)プレーン積層形状から選ばれた少なくとも一つの構造を構成単位とする加湿器用エレメントにおいて、該吸水性シートが、繊維径3〜15μmの繊維を20〜80質量%含有し、該吸水性シートの構成繊維の少なくとも一部が熱融着していることを特徴とする加湿器用エレメント。
  2. 一個当たりの面積が0.75〜20mm2、ピッチが3〜20mmであって、エッジが明瞭である開孔を設けた吸水性シートであることを特徴とする請求項1記載の加湿器用エレメント。
  3. 開孔の配列が千鳥状であることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載の加湿器用エレメント。

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