JP2010255894A - 加湿エレメントおよびその使用方法 - Google Patents

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義幸 北川
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Abstract

【課題】加湿能力に優れ、またスケール析出時の性能変化が少なく洗浄が容易な加湿エレメントおよび、加湿方法を提供する。
【解決手段】少なくとも表裏2面の繊維シート材と両シートを連結する繊維からなり、表裏のシート間に空隙を有する加湿エレメントを用いる。また、表裏のシート面に対し実質的に直交方向に通風を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、加湿エレメントおよびその使用方法に関する。
従来、不織布などのシート材料を平面状、プリーツ形状、コルゲートハニカム形状に成形したエレメントが加湿用途に用いられている。この種の加湿方法は、実質的に水滴を飛散させない通風条件において好ましく用いられており、蒸散作用を利用して気体の加湿を行う。この方法においては水中に含まれる不揮発性の無機塩類、高沸点物質、微生物などが気体中に放出されにくいというメリットがあるため、超音波振動や液滴の噴霧による霧化加湿に代わって近年広く用いられている。
これは、エレメントを湿潤状態とし、表面および/または内部に通風することで気体中の水分量を増加させる。かかるエレメントを湿潤状態にする方法としては、たとえばレーヨンなど素材自体が吸水性を有した親水性繊維を用いることでシート材料として水分を保持する加湿エレメント(例えば特許文献1参照)や表面に親水性の無機材を使用して微細な空隙を持たせると共に親水性を付与した加湿エレメント(例えば特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、一般家庭ならびに一般工業用において使用されるに水においては、河川、井戸などから取水される水を用いているため、珪素やカルシウム、マグネシウムなどに代表される無機塩類が多く含まれている。そのため、気体が蒸散してゆく過程においてエレメント表面にスケールや水垢と称される難溶解性の無機塩が次第に堆積するという現象が生じる。この場合、従来用いられてきた不織布等からなる加湿エレメントでは洗浄が困難であり、繊維構造体のみならず素材内部まで変化が生じるため、加湿能力の不可逆的な低下や外観上の品位に劣るという問題がある。また、洗浄による破損や寸法変化が生じやすい問題がある。
無機材を表面に担持させたエレメントに関しても、無機材の内部に析出したスケールを除去することは困難であり、また無機材料は脆いため洗浄による剥離や破損を生じやすい問題がある。また、樹脂エマルジョンで接着している場合には酸やアルカリを用いた洗浄には耐性が低い問題がある。
また、レーヨン、綿など素材自身が吸水性を有する場合には微生物に対する耐久性が低く、カビや臭気の発生原因になりやすいという問題がある。
特開2004−308938号公報 特開2006−43582号公報
本発明は、このような課題を解決するものであり、長期間にわたって高い加湿能力を発揮でき、かつ、加湿エレメント上にスケールが析出しても容易に除去可能で、かつ加湿能力を維持できる気化フィルタおよび加湿装置を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.少なくとも表裏2面の繊維シート材と両シートを連結する繊維からなり、表裏のシート間に空隙を有してなる加湿エレメント。
2.少なくとも2種類の繊維からなる上記1に記載の加湿エレメント。
3.2種類の繊維の繊度が異なる上記2に記載の加湿エレメント。
4.連結糸が少なくとも2種類の繊維からなる上記1〜3のいずれかに記載の加湿エレメント。
5.太繊度の繊維がモノフィラメントであって、細繊度の繊維がマルチフィラメントである上記1〜4のいずれかに記載の加湿エレメント。
6.ダブルラッセル機により得られる三次元編物よりなる上記1〜5のいずれかに記載の加湿エレメント。
7.上記1〜6のいずれかの加湿エレメントの表裏シート面に対し、実質的に直交方向に通風させる加湿エレメント使用方法。
本発明によれば、初期および長期間にわたって高い加湿能力を発揮し、かつ、スケールが析出しても容易に除去可能な加湿エレメントが得られる。
本発明は、湿潤されたエレメントからの蒸散作用を有する加湿エレメントにおいて、並行に存在する表裏シート面と、それら表裏面を連結する連結糸からなる三次元構造を有する繊維構造体を用いることを特長とする。
一般的な不織布等においては、平面方向に偏重して繊維が配向しており、シートの平面(幅・長さ)方向に対し極端な粗密構造を与えることは困難である。一方、発泡ウレタン等においては単位面積当たりに開口径の大きな構造体を得ることは可能であるが、水分の保持ならびに放散性に優れた微細構造とすることは困難である。したがって、表裏面を構成する平面の構造と厚さ方向を構成する構造を異なる構造とした上記の三次元構造体を用いることで、加湿特性に優れ、また通気抵抗を低減した加湿エレメントを得ることができる。
繊維からなる三次元構造体を得る方法としては、所望の構造が得られるものであれば特に制限されないが、予め成形された2枚のシート間を縫製により連結する方法、ニードリングにより連結する方法、ダブルラッセル機を用いて表裏のシート面と連結糸からなる立体構造体を同時に成形する方法などを好ましく用いることができる。より好ましくはダブルラッセル機を用いることにより得られる立体編物であり、表裏における開口率、開口径、シート厚み等の調整が容易であり、構成繊維に関しても材質や繊度の組み合わせが容易であり、加湿エレメントとして好適な構造体を得ることができる。また、これにより、表裏のシートと連結層を接合する場合に生じる接着強度の問題、接着により生じる開口部の閉塞、開口率の低下などの問題を排除することができる。
従来の発泡ウレタンなどの構造体においては、液状のポリエーテルならびにポリウレタン樹脂を発泡させると同時に重合および架橋を行うため、得られる構造体は耐薬品性、耐加水分解性に劣るため、長期間の水浸漬に耐えられない。また、レーヨン、綿等の吸水性繊維を用いたスパンレース不織布においては、湿潤時の強度が低く、また繊維素材自身が微生物により資化されるという問題がある。無機繊維ならびに無機粒子からなる素材は、熱や微生物への耐性が高いものの脆く破損しやすいという特性を有している。本発明における加湿エレメントは、構成素材として耐久特性に優れた合成繊維を用いることを特徴とする。
前記の合成繊維に使用される合成樹脂は、所望の特性が得られるものであれば良く、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、結晶性ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミド系樹脂など、耐加水分解特性に優れる樹脂素材を用いることが好ましい。低吸水率かつ加水分解特性の低い素材を用いることで、湿潤時の変形や生物、化学的な劣化を抑制することができるからである。好ましく用いられる繊維素材としては、JIS L−0105により測定される公定水分率として0〜10%であり、より好ましくは、0.1〜7.5%であり、さらに好ましくは0.2〜6%であり、最も好ましくは0.3〜1.5%である。2種以上の素材を組み合わせて用いる場合には、より親水性の素材の公定水分率が上記範囲であることが好ましい。素材としては、親水−撥水特性のバランスおよび構造体安定性の観点からポリエステル系素材が好ましく、もっとも好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
本発明においては、前述のように2種以上の素材を組み合わせて用いることも好ましく、この場合は、表裏面を構成する繊維に対して連結糸を構成する繊維がより親水性であることが好ましい。なお、親水性の尺度としては、表面処理を実施していない場合には素材の公定水分率の大小で、親水加工を実施している場合には水滴を保持させた場合の接触角の大小にて比較できる。
また、本発明において好ましく用いられる2種以上の素材の組み合わせとしては、少なくとも一方が熱可塑性であって、エレメント周辺部の少なくとも一部が融着されてなることが好ましい。周辺部を固定することにより、エレメントの剛性が向上するとともに、端面からの繊維脱落やほつれを抑制することができるからである。少なくとも一方が芯鞘構造もしくはサイドバイサイドなどの、融点差を利用した熱接着繊維であることも好ましい実施形態である。
本発明においては所望の加湿特性が得られる繊維構成、繊度および形状を用いることができる。例えば、繊維構成としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、複合糸等が用いることができ、各々を組み合わせて用いる構成など必要に応じて選択することができる。
このうち好ましくは、加湿特性を高めるために、連結糸に少なくとも1種のマルチフィラメント糸を用いることであり、より好ましくはマルチフィラメントとモノフィラメントを併用することである。マルチフィラメントを用いることで、単位連結あたりの繊維本数と表面積を増やすことができ、毛細管現象により厚み方向への水供給に有利であるからである。それにより、通気抵抗の上昇を抑制しながら水分の保持と放散速度に対して有利な特性が得られる。
また、マルチフィラメントとより繊度の大きなモノフィラメントを併用することで、表裏シート面の耐圧縮性とエレメント全体の形状安定性と加湿特性を両立することができる。
なお、2種以上の素材を組み合わせて用いる場合には、モノフィラメントに対してマルチフィラメントがより親水性であることが好ましい。
本発明で用いられるマルチフィラメントの単糸直径としては、0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜30μmであり、最も好ましくは5〜20μmである。0.01μmよりも細い場合には取り扱い性や洗浄耐久性が低下し、一方、100μm以上では加湿特性が低下するからである。さらに剛性を高める場合には単糸直径の異なるマルチフィラメントを組み合わせて用いることが好ましい。
マルチフィラメントは繊維が広がりやすいため、剛性付与に用いる繊維として、モノフィラメントを用いることが好ましい。同一素材の場合には、同一重量において見かけ上の占有体積が小さくなり、また、同一直径の繊維の集合体として比較した場合においても、モノフィラメントの方が屈曲や圧力に対する反発性がより大きくなるからである。
構造体としての剛性付与を目的として用いられるモノフィラメントの単糸直径としては、20〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは30〜500μmであり、さらに好ましくは40〜300μmであり、最も好ましくは50〜200μmである。20μmより細い場合には、剛性に対する寄与が不十分であり、1000μmよりも太い場合には折り加工が困難となるからである。
本発明で用いられる繊維の断面形状としては本発明の趣旨に合致するものであれば特に制限されないが、例えば円形、矩形、多角形、クローバー状、溝を有するものなどを好ましく用いることができる。より好ましくは少なくとも一部に凹部もしくは溝を有しているものであり、水の浸透性を向上させることができるからである。
本発明においては、表裏シート面において開口部を有していることが好ましい。開口部を有していることで、低通気抵抗と加湿量を両立することができるからである。開口率としては、少なくとも表裏の一面に対して10%〜95%が好ましく、より好ましくは15〜90%であり、さらに好ましくは20〜80%、最も好ましくは25〜70%である。開口率が10%未満であると通気抵抗が高くなり、開口率が95%を越えると加湿量と剛性低下が顕著となるからである。スケールの堆積は乾燥側(通風の上流側)に生じやすいため、開口部が上流に位置していることがより好ましい実施形態である。
エレメント全体としての空隙率は、エレメント体積および樹脂体積(密度)から計算される容積比において、0.7〜0.99であることが好ましく、より好ましくは0.8〜0.97であり、さらに好ましくは0.85〜0.95である。空隙率が小さすぎる場合には通気が困難となり、スケール堆積時の通気抵抗上昇が起こりやすく、大きすぎる場合には加湿量と剛性低下が顕著となるからである。
また、本発明においては開口率のみならず、各々の開口部の単孔面積が特定面積を有してなることが好ましい。単孔面積としては1〜1000mmであることが好ましく、より好ましくは2〜500mmであり、さらに好ましくは4〜250mmであり、最も好ましくは8〜125mmである。単孔面積が小さい場合には、スケール析出時の閉塞が起こりやすくなり、大きすぎる場合には加湿量と剛性低下が顕著となるからである。
開口部が両面にある場合には、上流側における単孔面積がより大きい方が好ましい。スケールの析出は乾燥側に生じやすいため、加湿特性と耐閉塞性の両立のためには有利な構造となる。
開口部の形状としては、スケール成長による閉塞を生じにくい形状として、矩形または楕円形状の場合においては短辺と長辺の比が1:10以下であることが好ましく、より好ましくは1:5以下であり、さらに好ましくは1:2以下であり、最も好ましくは、円、正方形または正多角形などに例示される短辺と長辺の比が1に近づくほど好ましい。すなわち、開口部の端部から結晶が成長し開口部が閉塞されるため、開口部の形状が、開口部の外周から開口部の中心までの距離のうちの、最も短い距離が長くなる形状である円、正方形または正多角形などの形状が、最も耐閉塞性に優れることとなるからである。ただし、例示しやすい形状として矩形および楕円を例示しているが、不定形、一部にのみ凸部を有したような開口形状も広く適用できる。
ダブルラッセル機を用いてシートを成形する場合においては、従来公知の組織構造体を好ましく用いることができる。たとえば、対向する結節部のみを連結する方法、対向するコースに連結すると共に、ウエール方向にのみ1列もしくはそれ以上交差させて連結する方法、対向するウエールに連結すると共に、コース方向にのみ一列もしくはそれ以上交差させて連結する方法、コースおよびウエール両者とも交差させる方法、コースおよびウエールの少なくとも一方を交差と非交差の両方で連結する方法などを例示することができる。このうち好ましくは、少なくとも1箇所が交差している方法であり、通風ならびにスケール析出時の圧縮変形が抑制されるとともに、加湿量増加の効果が得られるからである。
従来公知の構成においては、エレメントの開口率や開口面積を大きくした場合には通気抵抗低減と引き換えに、加湿能力が劣るという問題を有していたが、上述したとおり、本発明の構成を用いることによって、低通気抵抗でありながら加湿特性に優れたエレメントを得ることができる。
エレメントの形状としては所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、平面状、筒状、ひだおり状、コルゲート状など必要に応じて用いることができる。また、一枚もしくは複数枚数を積層して用いることも、加湿能力を高めるために好ましく用いられる。
本発明においては、シート単独での剛性や水分の浸透性ならびに放散性に優れているため、平面形状で用いる事がより好ましい。平面形状で用いる場合にはシートの表面から裏面方向にシートと直交して通風させることにより、通気抵抗を低減しながら加湿特性に優れたエレメントとして使用することができる。
エレメントを屈曲させて用いる場合には、曲率の大きな面(屈曲の内側)における開口面積、開口率、繊維充填率の少なくとも一つを小さくすることにより、スケール析出時の耐閉塞性を向上させることができる。
エレメントへの水の供給方法としては、所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、エレメントの少なくとも一部を水に浸し、毛細管現象にて液面から吸い上げる方法、液滴などをエレメントに注ぐ、吹きかける方法、エレメントの一部を水に浸した後、回転もしくは移動させることにより保水させた部分に通風させる方法、これらの二つ以上の方法を組み合わせて用いる方法が好ましい。エレメントを平面形状で用いる場合には、表裏、上端、下端、側方いずれの方向から吸水することも可能である。すなわち、本発明においては連結糸と直交方向に水を供給した場合には、繊維にトラップされ、連結糸と平行に水を供給した場合にはシート平面から厚み方向へと水が浸透する。この場合には吸水浸透方向と通風方向を同一にすることがより好ましい。
本発明の加湿エレメントにおいては素材自身が水分浸透性ならびに蒸散性に優れた特性を有しているため、原料糸から得られた成形品をそのまま用いることができる。必要に応じて、界面活性剤、吸水樹脂等による化学的親水処理、オゾン処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの物理的な親水処理を実施することもできる。この場合は、原料糸、シート形状、製品形状いずれの段階での処理であってもかまわない。
化学的な親水処理の場合には、カルボキシル基よりも酸性度の高い官能基を有するか、エーテル、エステル、アミド型など金属との反応性を有していないものであることが好ましい。例えばポリスチレンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などベンゼンスルホン酸構造を有するもの、ポリエチレンスルホン酸、リグニンスルホン酸など脂肪族鎖にスルホン酸構造を有するもの、ナフタレンスルホン酸など他の芳香族スルホン酸などを一例として上げることができる。酸型の親水剤を用いる場合には、水中に含まれる金属イオン、例えば鉄、マグネシウム、カルシウムとの間に生じる塩が解離性であることが肝要であるため、酸型であってもよいし、金属塩型であっても好ましく用いることができる。
その他の非解離性親水剤に関しては、金属との反応により不溶性塩を生じがたいため、化学反応による親水特性の低下が起こりにくい。
本発明の加湿エレメントにおいては、構成素材自身が微生物耐性を有していることを特徴とするため、原料糸から得られた成形品をそのまま用いることができる。必要に応じて、抗菌および/または防カビ性を有する薬剤を用いることも好ましい。後加工の場合においては、耐水性を有する樹脂成分と混合担持することが好ましく、架橋性を有する樹脂エマルジョン、樹脂前駆体および架橋剤などと組み合わせて用いることがより好ましい。また、抗菌、防カビ剤自身がシランカップリング剤としての特性を有した自己架橋薬剤を用いることも好ましい。また、繊維樹脂に対して抗菌、防カビ剤を予め混合して用いることも、耐久性付与のために好ましい方法である。
本発明の加湿エレメントにおいては、原料糸の色調そのもので用いることも、着色して用いることもできる。着色時には耐水性を有することが肝要であるため、後加工を行う場合には前述の抗菌加工同様のバインダーを用いることが好ましい。また、染色、原着がなされた原糸を用い、成形品として着色されてなることや模様を有することも好ましい実施形態である。
本発明の加湿エレメントにおいては、水を気中放散させる用途に幅広く用いることが可能であり、屋内、車両、航空機などの空調用途、ドレン水や結露水の気中放散など広く用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(加湿特性試験)
加湿特性の試験には、ダイキン工業株式会社製、加湿空気清浄機MCK75J−Wを用い、加湿エレメントを装着して、加湿特性試験を実施した。また、試験手順ならびに試験条件としては、日本電機工業会規格であるJEM−1426を参考とした。
(スケール析出および洗浄試験)
0.10%硫酸カルシウム2水和物の水溶液を用い、連続して蒸散させることによりスケール析出および洗浄試験を行った。各々のエレメントを空気清浄機に装着し20リットルの水分を蒸散させた後に、通常の洗濯機を用い水洗洗浄することにより耐洗濯性の比較を行った。また、水中で20回の手もみ洗いを行うことにより洗浄性の比較を行った。なお、洗浄率の算出は、洗浄後のスケール付着量と、洗浄前のスケール付着量を比較することで重量変化率として算出した。
(実施例1)
ダブルラッセル機を用い、連結糸として167デシテックス48フィラメント(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを、表裏編地用糸として167デシテックス48フィラメント(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントを供給し、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させ、表裏面を、連結糸で連結させた、空隙を持つ立体的な構造体を得た。得られた構造体を240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。風量5m/minにおける通気抵抗は28Pa、装置装着時の加湿量は603g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。
(実施例2)
ダブルラッセル機を用い、連結糸として167デシテックス48フィラメント(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを、表裏編地用糸として167デシテックス48フィラメント(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントを供給し、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、対向する結節部から対応する直近のウエールに連結させ、表裏面を、連結糸で連結させた、空隙を持つ立体的な構造体を得た。得られた構造体を240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることでエレメントを成型した。風量5m/minにおける通気抵抗は30Pa、装置装着時の加湿量は586g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても98%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。
(実施例3)
実施例1に対し、ポリエステル系水系バインダー、顔料、防カビ剤、ポリエーテル系界面活性剤の混合物を担持し100℃にて乾燥したものを性能評価に用いた。風量5m/minにおける通気抵抗は30Pa、装置装着時の加湿量は615g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。
(実施例4)
実施例1の連結糸を240デシテックスのモノフィラメントのみとし、厚さ20mmとしたものを240mmφに裁断し、エレメントとし性能評価に用いた。風量5m/minにおける通気抵抗は24Pa、装置装着時の加湿量は202g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても99%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。
(実施例5)
実施例1の連結糸、表裏編地共に構成繊維をマルチフィラメントのみとし、を240mmφに裁断したものをエレメントとし性能評価に用いた。風量5m/minにおける通気抵抗は41Pa、装置装着時の加湿量は525g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても96%の粒子が脱落した。ただし、スケールが析出した状態では厚みが6mmまで圧縮されていた。
(比較例1)
3デシテックスのポリエステル繊維60重量%と1.5デシテックスのレーヨン繊維40重量%からなるスパンレース不織布75g/mを作成し、次いでアクリルエマルジョンにて樹脂含浸し乾燥することで、目付80g/mのレジンボンド不織布を得た。本シートを240mmφに裁断したものをエレメントとし性能評価に用いた。風量5m/minにおける通気抵抗は73Pa、装置装着時の加湿量は202g/hであった。洗濯試験の結果、92%の粒子が脱落したが、風合いは硬く、また14%の収縮が見られた。また、もみ洗いにおいて85%の粒子が脱落した。
(比較例2)
厚さ15mm、13セル/25mmの開放セルを有するポリエステル系ウレタンシートを240mmφに裁断し、エレメントとして性能評価に用いた。
風量5m/minにおける、通気抵抗は25Pa、装置装着時の加湿量は257g/hであった。洗濯試験の結果、堆積物が100%脱落し、もみ洗いにおいても99%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかったが、ウレタンシートは耐水性に乏しく、連続的に水分を保持させ加湿する用途には不適であった。また、スケール洗浄用に使用される、酸性およびアルカリ性洗剤に対する耐性も不良であった。
(比較例3)
比較例1の不織布を山間隔6mm、山高さ18mmとしホットメルト樹脂を用いて、ひだおり加工し、240mmφに裁断したものをエレメントとして性能評価に用いた。風量5m/minにおける通気抵抗は27Pa、装置装着時の加湿量は557g/hであった。洗濯試験の結果、形状が保持できず再利用は不可能であった。同様にもみ洗いも不可能であった。
実施例1〜5および比較例1〜3より、実施例のエレメントを用いることで、スケールの洗浄性に優れたエレメントが得られることがわかる。
また、実施例1〜4と実施例5の結果より、連結糸にモノフィラメントを用いることで耐変形性により優れたエレメントが得られることがわかる。
また、実施例1〜3および5と、実施例4の結果より、連結糸にマルチフィラメントを用いることで、加湿特性により優れたエレメントが得られることがわかる。
実施例1〜3と実施例4および5の結果より、連結糸にマルチフィラメントとモノフィラメントを用いることで、加湿特性と耐変形性により優れたエレメントが得られることがわかる。
本発明により、長期間にわたって高い加湿能力を発揮でき、かつ、気化フィルタ上にスケールが析出しても加湿能力を維持でき、かつ洗浄再生が容易なる気化フィルタおよび加湿装置を提供できるため、家庭用・業務用加湿装置および空気調和装置への展開用途が期待できる。

Claims (7)

  1. 少なくとも表裏2面の繊維シート材と両シートを連結する繊維からなり、表裏のシート間に空隙を有してなる加湿エレメント。
  2. 少なくとも2種類の繊維からなる請求項1に記載の加湿エレメント。
  3. 2種類の繊維の繊度が異なる請求項2に記載の加湿エレメント。
  4. 連結糸が少なくとも2種類の繊維からなる請求項1〜3のいずれかに記載の加湿エレメント。
  5. 太繊度の繊維がモノフィラメントであって、細繊度の繊維がマルチフィラメントである請求項1〜4のいずれかに記載の加湿エレメント。
  6. ダブルラッセル機により得られる三次元編物よりなる請求項1〜5のいずれかに記載の加湿エレメント。
  7. 請求項1〜6のいずれかの加湿エレメントの表裏シート面に対し、実質的に直交方向に通風させる加湿エレメント使用方法。
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