JP2014077557A - 加湿エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】加湿能力に優れ、またスケール析出時の性能変化が少なく洗浄が容易であって、使用時における臭気発生を抑制した加湿エレメントを提供する。
【解決手段】表裏の繊維シートと連結糸からなる湿式加湿エレメントであって、構成繊維として仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】表裏の繊維シートと連結糸からなる湿式加湿エレメントであって、構成繊維として仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は加湿用エレメントに関する。さらに詳しくは、加湿性能、耐久性、洗浄性、低臭気性に優れた加湿器用エレメントに関する。
従来、不織布などのシート材料を平面状、プリーツ形状、ならびにコルゲートハニカム形状に成形したエレメントが加湿用途に用いられている。この種の加湿方法では、エレメントに水分を供給し、液体の蒸散作用を利用して気体の加湿を行うため、水中に含まれる不揮発性の無機塩類、高沸点物質、微生物などが気体中に放出されにくいというメリットがある。したがって、超音波振動や液滴噴霧による加湿に代わって広く用いられている。
かかるエレメントとしては、たとえばレーヨンなど素材自体が吸水性を有した親水性繊維を用いる事でシート材料として水分を保持する加湿エレメント(例えば、特許文献1参照)や表面に親水性の無機材を使用して微細な空隙を持たせると共に親水性を付与した加湿エレメント(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
しかしながら、一般家庭ならびに一般工業用では河川、井戸などから取水される水を用いているため、珪素やカルシウム、マグネシウムなどに代表される無機塩類が多く含まれている。本方式では、大気中に放散されないというメリットの反面、エレメント表面に難溶解性の無機塩が堆積する。この場合不織布等からなる加湿エレメントではもみ洗いなどによっても繊維間に付着した堆積物の洗浄は困難であり、素材の強度低下と破損や寸法変化が生じやすい。
無機材を表面に担持させたエレメントに関しても、無機材の内部に析出したスケールを除去することは困難であり、また無機材料は脆いため洗浄による剥離や破損を生じやすい。また、樹脂エマルジョンで接着している場合には酸やアルカリを用いた洗浄には耐性が低い。
上記の問題を解決するものとして、立体織物を基材とした加湿エレメント(たとえば、特許文献3)が開示されている。これらの加湿エレメントは構造体としての蒸散特性のみを考慮しているため、使用時には異臭発生の原因となりやすい。
本発明は、長期間にわたって高い加湿能力を発揮でき、かつ、加湿エレメント上にスケールが析出しても容易に除去可能で、かつ加湿能力を維持でき、また継続使用時における臭気発生を抑制した加湿エレメントを提供することを課題とするものである。
本発明者らが鋭意検討したところ、特定の繊維を用いて加湿エレメレメント構造を得ることで前記問題を解決しうることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.表裏のシート状材料と連結糸からなり、少なくとも1種の仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる加湿エレメント。
2.マルチフィラメントの仮撚糸を用いる上記1に記載の加湿エレメント。
1.表裏のシート状材料と連結糸からなり、少なくとも1種の仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる加湿エレメント。
2.マルチフィラメントの仮撚糸を用いる上記1に記載の加湿エレメント。
加湿能力に優れ、またスケール析出時の性能変化が少なく、洗浄が容易であって、臭気放出を抑制した加湿エレメントを提供することができる。
本発明は、湿潤されたエレメントからの蒸散作用を利用する加湿エレメントにおいて、平面方向に広がりを有する表裏面と、表裏を連結する連結糸からなる三次元構造体を用いることを特徴とする。一般的な不織布などにおいては、平面方向に偏重して繊維が配向しているため厚さや充填率に対して通気抵抗が大きい。またシートの平面(幅・長さ)方向に対し極端な粗密構造を与えることは困難である。一方、発泡ウレタン等においては単位面積当たりに開口径の大きな構造体を得ることは可能であるが、水分の保持ならびに放散性に優れた微細構造とすることは困難である。したがって、表裏を構成する平面と厚さ方向を構成する構造を変化させた上記の三次元構造体を用いることで、加湿特性に優れ、また通気抵抗を低減した加湿エレメントを得ることができる。
繊維からなる三次元構造体を得る方法としては、所望の構造が得られるものであれば特に制限されないが、予め成形された2枚のシート間を縫製により連結する方法、ニードリングにより連結する方法、ダブルラッセル機を用いて表裏のシート面と連結糸からなる立体構造体を同時に成形する方法などを好ましく用いることができる。より好ましくは、ダブルラッセル機を用いることにより得られる立体編物であり、表裏における開口率、開口径、シート厚み等の調整が容易であり、構成繊維に関しても材質や繊度の組み合わせが容易であり、加湿エレメントとして好適な構造体を得ることができる。また、これにより、表裏のシートと連結層を接合する場合に生じる接着強度の問題、接着により生じる開口部の閉塞、開口率の低下などの問題を排除することができる。
従来の発泡ウレタンなどの構造体においては、液状のポリエーテルならびにポリウレタン樹脂を発泡させると同時に重合および架橋を行うため、得られる構造体は耐薬品性、耐加水分解性に劣るため、長期間の水浸漬に耐えられない。また、レーヨン、綿等の吸水性繊維を用いたスパンレース不織布においては、湿潤時の強度が低く、また繊維素材自身が微生物により資化されるという問題がある。無機繊維ならびに無機粒子からなる素材は、熱や微生物への耐性が高いものの脆く破損しやすいという特性を有している。本発明における加湿エレメントは、構成素材として耐久特性に優れた疎水性合成繊維を用いることが好ましい。微生物による代謝産物としては酢酸、n−酪酸、n−吉草酸などの臭気物質が知られており、いずれも水より高沸点かつ極性が小さく、ごく少量でも臭気として感じられる特徴を有している。
前記の合成繊維とは所望の特性が得られるものであれば、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、結晶性ポリスチレン等の脂肪族ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等の脂肪族−芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミドなど、耐加水分解特性に優れる疎水性樹脂素材を用いることが好ましい。低吸水率かつ加水分解特性の低い素材を用いることで、湿潤時の変形や生物、化学的な劣化を抑制し、内部への臭気蓄積を抑制することができる。疎水性合成樹脂として好ましく用いられる繊維素材としては、JIS L 0105により測定される公定水分率が0〜5%であるものが好ましく、0.1〜4%であるものがより好ましく、0.2〜3%であるものが更に好ましく、0.3〜1.5%であるものが最も好ましい。2種以上の素材を組み合わせて用いる場合には、より親水性の素材が上記範囲であることが好ましい。素材としては、親水−撥水特性のバランスおよび構造体安定性の観点からポリエステル系素材が好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
本発明においては、素材、直径、断面形状の異なる2種以上の繊維を組み合わせて用いることも好ましく、この場合は、表裏面に対して連結糸、モノフィラメントに対してマルチフィラメントがより親水性であることが好ましい。親水性の尺度としては、公定水分率を用いることができる。
また、本発明において好ましく用いられる組み合わせとしては、少なくとも一方が熱可塑性であって、エレメント周辺部の少なくとも一部が融着されてなることが好ましい。周辺部を固定することにより、エレメントの剛性が向上するとともに、端面からの繊維脱落やほつれを抑制することができる。少なくとも一方が芯鞘構造もしくはサイドバイサイドなどの、融点差を利用した熱接着繊維であることも好適である。
本発明においては所望の加湿特性が得られる繊維構成ならびに繊度、形状を好ましく用いることができる。例えば、繊維構造としては、全体をモノフィラメントとする構成もしくはマルチフィラメント、複合糸とする構成、各々を組み合わせて用いる構成など必要に応じて選択することができる。
このうち好ましくは、加湿特性を高めるために連結糸に少なくとも1種のマルチフィラメント糸を用いることであり、より好ましくはマルチフィラメントとモノフィラメントを併用することである。マルチフィラメントを用いることで、単位連結あたりの繊維本数と表面積を増やすことができ、また毛細管現象により厚み方向への水供給に有利である。したがって、通気抵抗の上昇を抑制しながら水分の保持と放散速度に対して有利な特性が得られる。また、マルチフィラメントとより繊度の大きなモノフィラメントを併用することで、表裏シート面の耐圧縮性とエレメント全体の形状安定性と加湿特性を両立することができる。
本発明で用いられるマルチフィラメントの単糸直径としては、0.01〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜50μmであり、更に好ましくは1〜30μmであり、最も好ましくは5〜20μmである。0.01μmよりも細い場合には取り扱い性や洗浄耐久性が低下する。その一方で100μmを超えると加湿特性が低下する。更に剛性を高める場合には単糸繊度の異なるマルチフィラメントを組み合わせて用いることが好ましい。
マルチフィラメントは繊維が広がりやすいため、剛性付与に用いる繊維としてはモノフィラメントがより好ましい。同一素材の場合には同一重量において見かけ上占有体積が小さくなり、また、同一繊度の集合体として比較した場合においても、単一糸の方が屈曲や圧力に対する反発性がより大きくなるからである。
構造体としての剛性付与を目的として用いられるモノフィラメントの直径としては、20〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは30〜500μmであり、更に好ましくは40〜300μmであり、最も好ましくは50〜200μmである。20μmより細い場合には、剛性に対する寄与が不十分であり、1000μmよりも太い場合には折り加工が困難となる。
構造体としての剛性付与を目的として用いられるモノフィラメントの直径としては、20〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは30〜500μmであり、更に好ましくは40〜300μmであり、最も好ましくは50〜200μmである。20μmより細い場合には、剛性に対する寄与が不十分であり、1000μmよりも太い場合には折り加工が困難となる。
本発明で用いられる繊維の断面形状としては本発明の趣旨に合致するものであれば特に制限されないが、例えば円形、矩形、多角形、クローバー状、溝を有するものなど好ましく用いる事ができる。より好ましくは少なくとも一部に凹部もしくは溝を有しているものであり、水の浸透性を向上させることができる。
本発明において、特に有利な特性が得られる繊維としては、表裏のメッシュ状シートと連結糸の少なくとも一部の構成部材に、仮撚糸もしくは捲縮糸を用いることである。仮撚糸や捲縮糸を用いることで、加湿時には水分の保持、供給特性に優れるとともに、水供給停止時の水分減少率が穏やかになるため蒸散性を維持しながらエレメントの乾燥を抑制し、急激な湿度変化や臭気放出を軽減することができる。
すなわち、仮撚糸もしくは捲縮糸を用いることでストレート形状の繊維のみからなる引き揃えやマルチフィラメントに比して、繊維同士の配置が規制されるため微細な空隙を維持することが可能となり、剛性維持や通気抵抗低減および保水の面で有利になる。かかる効果は、撚糸を用いた場合にはモノフィラメントと類似の特性になることに対し有利な特性である。また、撚糸を用いた場合には繊維間に蓄積した無機成分や汚れなどを除去することが難しくなるのに対し、圧縮や揉み洗いでの洗浄性の維持に効果的である。
仮撚糸もしくは捲縮糸はモノフィラメントであっても、マルチフィラメントであっても好ましく、より好ましくはマルチフィラメントの仮撚糸である。マルチフィラメントの仮撚糸を用いることで、マルチフィラメントを構成する単繊維間ならびに各々のフィラメント間に空隙を得ることができる。
仮撚糸もしくは捲縮糸は、表裏の繊維シートもしくは連結糸の少なくとも1箇所に好ましく用いることができる。具体的には、より好適な組合せとして連結糸としてストレート形状のモノフィラメントと仮撚糸もしくは捲縮糸からなるマルチフィラメントの組合せを引き揃えもしくは異なる経路として用いる方法、表裏の繊維シートを構成する少なくとも1種の繊維として仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる方法。その前記の両者を組み合わせる方法を好ましく用いることができる。
本発明においては、表裏のシート面において開口部を有していることが好ましい。開口部を有していることで、低通気抵抗と加湿量を両立することができる。開口率としては、少なくとも表裏の一面に対して10%〜95%が好ましく、より好ましくは15〜90%であり、更に好ましくは20〜80%、もっとも好ましくは25〜70%である。
開口率が10%未満であると通気抵抗が高くなり、開口率が95%を超えると加湿量と剛性低下が顕著となる。スケールの堆積は乾燥側(通風の上流側)に生じやすいため、開口部が上流に位置していることがより好ましい。
エレメント全体としての空隙率は、エレメント体積および樹脂体積(密度)から計算される容積比において、0.7〜0.99であることが好ましく、より好ましくは0.8〜0.97であり、最も好ましくは0.85〜0.95である。空隙率が小さすぎる場合には通気が困難となり、スケール堆積時の通気抵抗上昇が起こりやすい。大きすぎる場合には加湿量と剛性低下が顕著となる。
また、本発明においては開口比率のみならず、各々の開口部に関しては特定面積を有してなることが好ましい。単孔のサイズとしては1〜1000mm2であることが好ましく、より好ましくは2〜500mm2であり、更に好ましくは4〜250mm2であり、最も好ましくは8〜125mm2である。開口面積が小さい場合には、スケール析出時の閉塞が起こりやすくなり、大きすぎる場合には加湿量と剛性低下が顕著となる。
開口部が両面にある場合には、上流側における単孔面積がより大きい方が好ましい。スケールの析出は乾燥側に生じやすいため、加湿特性と耐閉塞性の両立のためには有利な構造となる。
開口部の形状としては、スケール成長による閉塞を生じにくい形状として、矩形もしくは楕円形状の場合においては短辺と長辺の比が1:10以下であることが好ましく、より好ましくは1:5以下であり、更に好ましくは1:2以下であり、最も好ましくは、円ならびに正方形、正多角形などに例示される1:1に近いものである。すなわち、シート端部から結晶が成長し開口部が閉塞されるため、最短距離が広いほど耐閉塞性に優れることを意味している。簡単のため矩形および楕円を例示しているが、本内容は多角形や不定形、一部にのみ凸部を有したような開口形状であっても広く適用できる。
ダブルラッセル機を用いてシートを成形する場合においては、従来公知の組織構造体を好ましく用いることができる。たとえば、対向する結節部のみを連結する方法、対向するコースに連結すると共に、ウエール方向にのみ1列もしくはそれ以上交差させて連結する方法、対向するウエールに連結すると共に、コース方向にのみ一列もしくはそれ以上交差させて連結する方法、コースおよびウエール両者とも交差させる方法、コースおよびウエールの少なくとも一方を交差と非交差の両方で連結する方法などを例示することができる。このうち好ましくは、少なくとも1箇所が交差している方法であり、通風ならびにスケール析出時の圧縮変形が抑制されるとともに、加湿量増加の効果が得られる。
従来公知の構成においては、エレメントの開口率や開口面積を大きくした場合には通気抵抗低減と引き換えに、加湿能力が劣るという問題を有していたが、上述したとおり、本発明の構成を用いることによって低通気抵抗でありながら加湿特性に優れたエレメントを得ることができる。
エレメントの形状としては所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、平面状、筒状、ひだおり状、コルゲート状など必要に応じて用いることができる。また、一枚もしくは複数枚数を積層して用いることも、加湿能力を高めるために好ましく用いられる。
本発明においては、シート単独での剛性や水分の浸透性ならびに放散性に優れているため、平面形状で用いることがより好ましい。平面形状で用いる場合にはシートの表面から裏面方向にシートと直交して通風させることにより、通気抵抗を低減しながら加湿特性に優れたエレメントとして使用することができる。
屈曲させて用いる場合には、曲率の大きな面(屈曲の内側)における開口面積、開口率、繊維充填率を少なくとも一つを小さくすることにより、スケール析出時の耐閉塞性を向上させることができる。
水の供給方法としては所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、エレメントの少なくとも一部を水に浸し、毛細管現象にて液面から吸い上げる方法、液滴などをエレメントに注ぐ、吹きかける方法、エレメントの一部を水に浸した後、回転もしくは移動させることにより保水させた部分に通風させる方法、二つ以上の方法を組み合わせて用いることも好ましい。平面形状で用いる場合には、表裏、上端、下端、側方いずれの方向から吸水することも可能である。すなわち、本発明においては連結糸と直交方向に水を供給した場合には、繊維にトラップされ、連結糸と平行に水を供給した場合にはシート平面から厚み方向へと水が浸透する。この場合には吸水浸透方向と通風方向を同一にすることがより好ましい。
本発明においては、繊維素材自身の微生物代謝や繊維素材内部および表面への臭気蓄積を低減し、かつ水洗除去性を付与するために防汚処理されてなることも好ましい。一般的にはSR(Soil release)加工とも称され、界面活性剤や親水性高分子の塗布とは異なり非溶出性、耐久性であることを特徴とする。
防汚加工剤としては弗素やケイ素化合物により、撥水、撥油機能を与えることで付着を抑制する方式と極性基が導入された変性ポリエステル、変性弗素樹脂により水との親和性を増大させることで汚れ落ちを良くする方法が知られているが、本発明においては後者の機能を用いることを特徴とする。
変性ポリエステルとしては所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族二塩基酸とアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体等のポリエステル樹脂が優れた親水性被覆材として採用することができる。
ここでいう芳香族二塩基酸とアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体とは、具体的には、テレフタル酸−アルキレングリコール−ポリアルキレングリコール、テレフタル酸−イソフタル酸−アルキレングリコール−ポリアルキレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸−アルキレングリコール−ポリアルキレングリコールモノエーテル等のブロック共重合体であって、テレフタレート単位:イソフタレート単位=100:0〜50:50(モル比)、テレフタレート単位+イソフタレート単位:ポリアルキレングリコール単位=2〜15:1(モル比)、ポリアルキレングリコールの分子量600〜60000であるものが好ましい。
上記アルキレングリコールにはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール等が含まれ、ポリアルキレングリコールにはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、等が含まれる。また、ポリアルキレングリコールモノエーテルにはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル等が含まれる。
さらには、ブロック共重合体を水中で分散を安定させるためにアニオンもしくはノニオン界面活性剤を加えたものが好ましい。さらには、水分散液の凝集開始温度を調整するために酸もしくは水溶性塩類を添加してもよい。上記ブロック共重合体に例えば適当なアニオン界面活性剤を分散剤として配合して水中に分散させたものとして、高松油脂株式会社製SR−1000、SR−1720、SR−1800、SR−6200などが市販されており好ましく利用することができる。
これらブロック共重合体をシートへ付与し繊維を被覆する方法としては、上述の水中に分散させたブロック共重合体をシートに含浸あるいは噴霧する方法等が挙げられる。また、上述のような後加工によりシートへ付与する方法とは異なって、ブロック共重合体水分散液をポリエステル繊維糸へ直接含浸、コーティング等により付与させた改質ポリエステル繊維糸を使用する方法も好ましく用いることができる。
これらブロック共重合体のシートへの付与量としては0.05〜10重量%、好ましくは1〜7重量%、より好ましくは2〜5重量%である。付着量が少ない場合には防汚性が低下する一方、付着量が多い場合には吸水量の増大により臭気の取り込みが生じる。
本発明においてはとりわけ臭気の発生を抑制することを目的としているため、未使用時にはエレメントへの水分供給が停止され、より好ましくは乾燥状態となるシステムとして用いることが好ましい。特に本発明の組成を用いることで、湿潤状態から乾燥状態に移行する過程において臭気成分の表面濃縮とひき続いての濃縮臭気の放散といった、感覚的に感知されやすい濃度変化を抑制することができる。
本発明の加湿エレメントにおいては、基材自身が微生物耐性を有していることを特徴とするため、原料糸から得られた成形品に対しSR加工のみで用いることも可能であるが、必要に応じて、抗菌および/又は防カビ性を有する薬剤を配合することも好ましい。後加工の場合においては、耐水性を有する樹脂成分と混合担持する事が好ましく、架橋性を有する樹脂エマルジョン、樹脂前駆体および架橋剤などと組み合わせて用いることがより好ましい。また、抗菌、防カビ剤自身がシランカップリング剤としての特性を有した自己架橋薬剤を用いることも好ましい。また、繊維樹脂に対して抗菌、防カビ剤を予め混合して用いることも、耐久性付与のために好ましい方法である。
本発明の加湿エレメントにおいては、原料糸の色調そのもので用いることも、着色して用いることも好ましい。着色時には耐水性を有することが肝要であるため、後加工を行う場合には前述の抗菌加工同様のバインダーを用いることが好ましい。また、染色、原着がなされた原糸を用い、成形品として着色されてなることや模様を有する事も好ましい。
本発明の加湿エレメントにおいては、水を気中放散させる用途に幅広く用いることが可能であり、屋内、車両、航空機などの空調用途、ドレン水や結露水の気中放散など広く用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(加湿特性試験)
加湿特性の試験にはダイキン工業株式会社製、加湿空気清浄機MCK75J−Wを用い、加湿エレメントを装着して、加湿特性試験を実施した。また、試験手順ならびに試験条件としては、日本電機工業会規格であるJEM−1426を参考とした。
(加湿特性試験)
加湿特性の試験にはダイキン工業株式会社製、加湿空気清浄機MCK75J−Wを用い、加湿エレメントを装着して、加湿特性試験を実施した。また、試験手順ならびに試験条件としては、日本電機工業会規格であるJEM−1426を参考とした。
(スケール析出および洗浄試験)
0.10%硫酸カルシウム2水和物の水溶液を用い、連続して蒸散させることによりスケール析出および洗浄試験を行った。各々のエレメントを空気清浄機に装着し20リットルの水分を蒸散させた後に、通常の洗濯機を用い水洗洗浄することにより耐洗濯性の比較を行った。また、水中で20回の手もみ洗いを行うことにより洗浄性の比較を行った。なお、洗浄率の算出は、洗浄後のスケール付着量と、洗浄前のスケール付着量を比較することで重量変化率として算出した。
0.10%硫酸カルシウム2水和物の水溶液を用い、連続して蒸散させることによりスケール析出および洗浄試験を行った。各々のエレメントを空気清浄機に装着し20リットルの水分を蒸散させた後に、通常の洗濯機を用い水洗洗浄することにより耐洗濯性の比較を行った。また、水中で20回の手もみ洗いを行うことにより洗浄性の比較を行った。なお、洗浄率の算出は、洗浄後のスケール付着量と、洗浄前のスケール付着量を比較することで重量変化率として算出した。
(臭気試験)
生物の代謝臭気であり、水との共沸性がない高沸点物質として酢酸を用いた。
イオン交換水に200μL/Lの割合で酢酸を混合し、加湿特性試験同様の手法にて加湿水として使用した。通常運転、水供給停止−通風乾燥における出口臭気強度の変化、運転停止後のエレメント臭気を官能法にて確認した。
生物の代謝臭気であり、水との共沸性がない高沸点物質として酢酸を用いた。
イオン交換水に200μL/Lの割合で酢酸を混合し、加湿特性試験同様の手法にて加湿水として使用した。通常運転、水供給停止−通風乾燥における出口臭気強度の変化、運転停止後のエレメント臭気を官能法にて確認した。
(実施例1)
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントにて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを引き揃えとし、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は31Pa、装置装着時の加湿量は625g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントにて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを引き揃えとし、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は31Pa、装置装着時の加湿量は625g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
(実施例2)
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を330デシテックス−96本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメント糸にて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを交互に一方の表面に連結させ、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は34Pa、装置装着時の加湿量は663g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても96%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を330デシテックス−96本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメント糸にて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを交互に一方の表面に連結させ、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は34Pa、装置装着時の加湿量は663g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても96%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
(実施例3)
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメント糸にて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)の仮撚加工されたポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントの一方のみを交互に一方の表面に連結させ、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は32Pa、装置装着時の加湿量は641g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
ダブルラッセル機を用い、表裏シート面を167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)のポリエチレンテレフタレート製の仮撚加工されたマルチフィラメント糸にて内接円直径6.5mmの6角径メッシュ状シートとし、連結糸としてトータル167デシテックス−48本(単糸繊度3.5デシテックス)の仮撚加工されたポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントと240デシテックスのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントの一方のみを交互に一方の表面に連結させ、連結糸の編み方を相対するコースに連結すると共に、隣り合う一組の結節部から対応するウエールに交差するように連結させた。240mmφに打ち抜いた後、周辺部5mmをヒートシールすることで厚さ10mmのエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は32Pa、装置装着時の加湿量は641g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加ならびにエレメントへの残存臭気は確認されなかった。
(比較例1)
いずれも通常糸を用いた他は実施例1と同様のエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は30Pa、装置装着時の加湿量は580g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。臭気試験において水供給停止後に若干の臭気強度増加が確認された。
いずれも通常糸を用いた他は実施例1と同様のエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は30Pa、装置装着時の加湿量は580g/hであった。洗濯試験の結果100%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても97%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。臭気試験において水供給停止後に若干の臭気強度増加が確認された。
(比較例2)
マルチフィラメントをいずれも撚糸とした他は実施例1と同様のエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は25Pa、装置装着時の加湿量は464g/hであった。洗濯試験の結果92%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても83%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加は確認されなかったがエレメントの乾燥が困難であり残存臭気が確認された。
マルチフィラメントをいずれも撚糸とした他は実施例1と同様のエレメントを作成した。
風量5m2/minにおける通気抵抗は25Pa、装置装着時の加湿量は464g/hであった。洗濯試験の結果92%の粒子が脱落し、外観に変化は見られなかった。また、もみ洗いにおいても83%の粒子が脱落した。スケールが析出した状態での厚み変化は見られなかった。また、臭気試験において臭気強度の増加は確認されなかったがエレメントの乾燥が困難であり残存臭気が確認された。
実施例1〜3と比較例1により放散臭気の抑制効果が得られることが確認される。実施例1〜3と比較例2により仮撚糸もしくは捲縮糸を用いることによる洗浄性、放散性向上が観察される。
加湿能力に優れ、またスケール析出時の性能変化が少なく洗浄が容易であって、使用時における臭気発生を抑制した加湿エレメントが得られ、屋内、車両、航空機などの空調用途、ドレン水や結露水の気中放散など生活環境中において広く用いることができる。
Claims (2)
- 表裏のシート状材料と連結糸からなり、少なくとも1種の仮撚糸もしくは捲縮糸を用いる加湿エレメント。
- マルチフィラメントの仮撚糸を用いる請求項1に記載の加湿エレメント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012223846A JP2014077557A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | 加湿エレメント |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012223846A JP2014077557A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | 加湿エレメント |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014077557A true JP2014077557A (ja) | 2014-05-01 |
Family
ID=50782998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012223846A Pending JP2014077557A (ja) | 2012-10-09 | 2012-10-09 | 加湿エレメント |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014077557A (ja) |
-
2012
- 2012-10-09 JP JP2012223846A patent/JP2014077557A/ja active Pending
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