JP2005154612A - フェノールアラルキル樹脂の製造方法 - Google Patents

フェノールアラルキル樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させるものであり、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率に製造する方法を提供する。
【解決手段】 フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として反応させることを特徴とするフェノールアラルキル樹脂の製造方法。フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を用いることが好ましく、また、リン酸類としてはリン酸が好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノールアラルキル樹脂の製造方法に関するものである。
フェノールアラルキル樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を反応させた通常のフェノール樹脂と比べて、芳香族に結合している水酸基が少なく、熱分解しにくいことから、その硬化物は耐熱性、耐アルカリ性に優れていることが知られている。
フェノールアラルキル樹脂の製造方法としては、例えば、フェノール類1モルに対しアラルキルエーテル類0.3〜0.9モル前後の反応モル比で、反応温度を130〜200℃前後とし、触媒をフェノール類とアラルキルエーテル類との重量和に対して、0.001〜10.0重量%前後用いて反応を行うことが知られている。
ここで触媒としては、粒状粘土、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄などのフリーデルクラフト型触媒、塩化第二銅、硫酸第二銅、塩化第二水銀、塩化第一水銀、塩化銀、硫酸銀、硫酸水素ナトリウムなどの銅、水銀、銀又はナトリウム化合物、硫酸及びジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジイソプロピル硫酸などのジアルキル硫酸が用いられている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
また同様に、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅、硫酸第二水銀、硫酸第一水銀、塩化第二水銀、硫酸第一水銀、硫酸銀、塩化銀、硫酸水素ナトリウム、硫酸等の無機化合物、モノエチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸が用いられている(例えば、特許文献4ないし5参照。)。
これらの触媒を用いた場合は、いずれも生成する樹脂中に未反応フェノール類が残り、これを取り除く操作が必要となってくる。特に低分子量のフェノールアラルキル樹脂を合成する場合、過剰のフェノール類を仕込んで反応させたのち、多量のフェノール類等の低核体成分を取り除く操作が必要となるため、収率が低下するという問題があった。
これは、上記いずれの触媒も、触媒としての作用の強弱はあるものの、反応確率が低分子量成分、及び、高分子量成分のいずれの領域においても、ほぼ同じであるために起こる問題であった。
このような問題に対して、フェノールアラルキル樹脂を製造する際に、触媒として有機ホスホン酸を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
特公昭47−15111号公報 特公昭52−14280公報 特公昭61−15882公報 特開平4−178423号公報 特開平4−154832号公報 特開2002−80567号公報
本発明は、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として用いて反応させるものであり、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率に製造する方法を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(3)により達成される。
(1)フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として反応させることを特徴とするフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
(2)上記フェノール類1モルに対して、リン酸類0.2モル以上を用いる上記(1)に記載のフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
(3)上記リン酸類は、リン酸である上記(1)又は(2)に記載のフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
本発明の製造方法により、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率に製造することができる。
以下に、本発明のフェノールアラルキル樹脂の製造方法について詳細に説明する。
本発明のフェノールアラルキル樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として反応させることを特徴とする。
本発明の製造方法において用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の製造方法において用いられるアラルキルエーテル類としては特に限定されないが、例えば、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)、α,α’−ジエトキシ−p−キシレン、α,α’−ジメトキシ−m−キシレン、α,α,α’−トリメトキシ−p−キシレンなどが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
フェノール類とアラルキルエーテル類との反応モル比は特に限定されないが、フェノール類1.0モルに対して、アラルキルエーテル類0.1〜3.0モル、好ましくは0.5〜1.0モルである。
アラルキルエーテル類の量が上記下限値より少ないと、反応速度が遅くなり効率的でないことがある。また、生成する樹脂中の未反応フェノール類の含有量が多くなる。また、上記上限値を超えると、反応条件によっては樹脂のゲル化が起こることがある。
本発明の製造方法においては、触媒としてリン酸類を用いる。
ここでリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
リン酸類水溶液の形態で用いる際のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類水溶液中のリン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアラルキルエーテル類との反応を効率的に進行させることができる。
ここでリン酸類の量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類水溶液を用いて反応させる系において、フェノール類やアラルキルエーテル類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
本発明の製造方法においては、フェノール類とアラルキルエーテル類との反応速度を大きくするために、上記リン酸類とともに、他の触媒を併用することもできる。
ここで併用する触媒としては、例えば塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅、硫酸第二水銀、硫酸第一水銀、塩化第二水銀、硫酸第一水銀、硫酸銀、塩化銀、硫酸水素ナトリウム、硫酸等の無機化合物、モノエチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸を用いることができる。
これらの併用触媒の中でも、反応速度を大きくするという目的のためには、特にモノエチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸を用いることが好ましい。
この併用触媒の添加量は特に限定されないが、フェノール類に対して0.001〜7重量%とすることが好ましい。併用触媒の添加時期については特に限定されないが、リン酸類触媒によりフェノール類とアラルキルエーテル類とを反応させ、未反応のフェノール類及びアラルキルエーテル類がほとんどなくなった後に添加するのが好ましい。
本発明の製造方法においては、触媒としてリン酸類を用いる。これにより、低分子量成分の反応を促進することができるが、例えば、5核体成分以上の高分子量成分に対しては、反応速度が相対的に小さくなり、分子量を増大させる効果は小さい。このため、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、高分子量を有するフェノールアラルキル樹脂を製造する場合には、上記の併用触媒の使用は有効な手段である。
本発明の製造方法において、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応系中の水分含有率としては特に限定されないが、1〜40重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%である。
ここで、反応系中の水分含有率とは、反応系内に存在するフェノール類、アラルキルエーテル類、リン酸類水溶液、フェノールアラルキル樹脂などの合計量に対する、反応系内に存在する水分の合計量の重量比率を指す。本発明の製造方法において反応系内に存在する水分としては、リン酸類水溶液中の水分が挙げられる。
反応系中の水分含有率は、反応系内に存在する水分量を、仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
この水分含有率を、好ましくは上記の範囲内で反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率で得ることができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、フェノール類とアラルキルエーテル類との反応を効率的に進行させることができる。
フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応温度としては特に限定されないが、80℃〜240℃であることが好ましい。さらに好ましくは100〜200℃である。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアラルキルエーテル類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、フェノールアラルキル樹脂の分解を抑制することができる。
本発明の製造方法における反応形態としては特に限定されないが、例えば、フェノール類とアラルキルエーテル類とを常圧蒸留反応下で反応させる方法があり、本方法によれば、温度及び水分のコントロールが容易で、反応時に生成するメタノールなどの留去ができ、好ましい条件である。
このほかの反応方法としては、例えば、反応溶媒としてメタノール、アセトン等の有機溶剤を使用する方法、ブタノール、プロパノールなどの非水系溶媒を使用する溶剤還流蒸留反応、密閉装置あるいは連続式混合装置などを用いて高温・高圧で反応させる方法、などが挙げられる。
なお、反応時には、必要に応じて消泡剤、界面活性剤等を反応安定化のために使用することができる。また、反応時の攪拌速度は特に限定されないが、速い方が好ましい。
フェノールアラルキル樹脂の合成終了後には、必要により、水や有機溶剤、さらには未反応フェノール類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことも可能である。
本発明の製造方法におけるフェノール類とアラルキルエーテル類との反応は、フェノール類とアラルキルエーテル類を一括して仕込み、この後触媒を添加して反応させる方法、あるいは、反応時の発熱を抑えるために、フェノール類と触媒とを仕込んでから、アラルキルエーテル類を逐次添加して反応させる方法、などにより実施することができる。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、以上に説明した方法によりフェノー
ルアラルキル樹脂を合成した後、反応系の水洗を行い、フェノールアラルキル樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下である。
これにより、水洗後、常圧蒸留もしくは減圧蒸留を行うとき、フェノールアラルキル樹脂の分解を抑制することができる。
ここで水洗を行う方法としては特に限定されないが、例えば、フェノールアラルキル樹脂を含む有機相と、リン酸類水溶液を含む水相とを、遠心分離により分離する。次いで、得られた有機相を、純水やイオン交換水で水洗を行うことにより、フェノールアラルキル樹脂中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とすることができる。また、この水洗を複数回数実施することにより、リン酸類の濃度を0.1重量%以下とすることができる。
また、さらに、リン酸類の濃度が上記上限値以下になるまで水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和することが好ましい。これにより、リン酸類の有する触媒活性を失活させることができるので、この後の工程で、高温で蒸留反応を行う場合でも、フェノールアラルキル樹脂の分解を抑制することができる。
ここで用いられるアルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどを用いることができる。アルカリ性物質の形態としては特に限定されないが、水溶液の形態で用いることが好ましい。
本発明の製造方法で得られたフェノールアラルキル樹脂中の未反応フェノール類の含有量としては特に限定されないが、5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3重量%以下である。
本発明の製造方法においては、フェノール類とアラルキルエーテル類とをリン酸類を用い、フェノール類やアラルキルエーテル類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液からなる水相との間で液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とすることができる。また、必要に応じて、未反応フェノール類を除去するために、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を併せて行うこともできる。
なお、本発明の製造方法において、未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。
本発明の製造方法において、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を用いて反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率で得ることができる理由は、以下のように考えられる。
本発明の製造方法において用いられるリン酸類は、非常に水溶性が高く水和しやすい、そして、フェノール類、アラルキルエーテル類には溶解性が小さく、これらが反応したフェノールアラルキル樹脂に対しては、その分子量の増大ととも溶解性が更に低下する性質を有している。
このため反応時には、触媒であるリン酸類を多量に含んだ水相と、フェノール類、アラルキルエーテル類、及び、フェノールアラルキル樹脂からなる触媒がほとんど存在しない有機相とに相分離した状態となる。フェノール類及びアラルキルエーテル類のモノマーは比較的水相に溶出しやすく、フェノールアラルキル樹脂の低分子量成分も少量ではあるが溶出され、溶出した部分は反応が進行する。一方、高分子量成分ではほとんど溶出がないため、反応が実質的に進行しない。
このように、本発明の製造方法による反応系においては、低分子量成分と高分子量成分とが、上記水相への溶解性の差異による反応速度差を生じ、フェノール類モノマーや2核体成分等の低分子量成分が選択的に反応するとともに、生成したフェノールアラルキル樹脂が過度に高分子量化することを抑制することができる。これにより、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率に製造することができるものである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
<実施例1>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1236部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.70)、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、130℃の常圧蒸留下で3時間反応を行った後、150℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応生成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。
次いで、メチルエチルケトン500部と純水400部を添加して、60℃まで温度を下げて樹脂相と分離した水相を除去した。さらに純水1000部を添加し、樹脂相と分離している水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後の樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノールアラルキル樹脂1725部を得た。
<実施例2>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1466部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.83)、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、130℃の常圧蒸留下で3時間反応を行った後、150℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応生成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。
次いで、メチルエチルケトン1000部と純水400部を添加して、60℃まで温度を下げて樹脂相と分離した水相を除去した。さらに純水1000部を添加し、樹脂相と分離している水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後の樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノールアラルキル樹脂1733部を得た。
<実施例3>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1236部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.70)、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、150℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った後、ジエチル硫酸を2.18部添加し、150℃の常圧蒸留下で1時間反応を行った。反応終了後、反応生成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。
次いで、メチルエチルケトン500部と純水400部を添加して、60℃まで温度を下げて樹脂相と分離した水相を除去した。さらに純水1000部を添加し、樹脂相と分離し
ている水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後の樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノールアラルキル樹脂1740部を得た。
<実施例4>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1236部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.70)、85%リン酸水溶液429部(フェノール類1モルに対して0.35モルに相当)を添加し、150℃の常圧蒸留下で3時間反応を行った後、170℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応組成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。
その後、メチルエチルケトン500部と純水400部を添加して、60℃まで温度を下げて樹脂相と分離した水相を除去した。さらに純水1000部を添加し、樹脂相と分離している水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後の樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノールアラルキル樹脂1715部を得た。
<実施例5>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1236部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.70)、85%リン酸水溶液429部(フェノール類1モルに対して0.35モルに相当)を添加し、150℃の常圧蒸留下で3時間反応を行った後、170℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応生成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。
次いで、メチルエチルケトン500部と純水2500部を添加して、60℃まで温度を下げて樹脂相と分離した水相を除去した。さらに純水2500部を添加し、樹脂相と分離している水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後の樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、検出限界以下であった。
その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノールアラルキル樹脂1706部を得た。
<比較例1>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)800部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.45)、ジエチル硫酸2.76部を添加し、150℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応組成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。その後、常圧蒸留を行って150℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って270℃まで昇温し、樹脂1525部を得た。
<比較例2>
攪拌装置及び温度計を備えた3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン(PXDM)1256部(反応モル比 PXDM/フェノール=0.70)、ジエチル硫酸2.18部を添加し、150℃の常圧蒸留下で2時間反応を行った。反応終了後、反応組成物中の未反応フェノール量をガスクロマトグラフィーで測定した。その後、常圧蒸留を行って150℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って200℃まで昇温し、樹脂1540部を得た。
実施例および比較例で得られた樹脂の性状について、表1に示す。
Figure 2005154612
<評価方法>
(1)反応終了後の未反応フェノール量、及び、樹脂中の未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K 0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
(2)軟化点:JIS K 2531 に準拠して測定した。
(3)50%エタノール溶液動粘度:樹脂を用いて50重量%のエタノール溶液を調製し、25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
(4)収得量:仕込みフェノール類1000部に対する、収得樹脂量(部)で表した。
実施例1〜5はいずれも、フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を用いて反応させる本発明の製造方法により得られた樹脂であり、未反応フェノール類の含有量が少なく、高い収得量で樹脂を合成することができた。
比較例1は、実施例1と同等水準の粘度特性を有する樹脂を合成する目的で、従来の方法で、フェノール類を過剰気味に反応させたが、反応終了時の未反応フェノール類量が多く、収得量が低下した。
また、比較例2は、実施例1、3、4、5と同量のフェノール類、アラルキルエーテル類を原料として、従来の方法で反応させたが、粘度特性が大きく変わり、未反応フェノール類量も増加して収得量が低下した。
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノールアラルキル樹脂を高収率に得ることができる製造方法である。本発明の製造方法により得られたフェノールアラルキル樹脂は、例えば、成形材料、摩擦材、砥石、封止材等のバインダーとして好適に使用されるものである。

Claims (3)

  1. フェノール類とアラルキルエーテル類とを、リン酸類を触媒として反応させることを特徴とするフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
  2. 前記フェノール類1モルに対して、リン酸類0.2モル以上を用いる請求項1に記載のフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
  3. 前記リン酸類は、リン酸である請求項1又は2に記載のフェノールアラルキル樹脂の製造方法。
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