JPH11279265A - フェノール系樹脂の製造方法 - Google Patents

フェノール系樹脂の製造方法

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JPH11279265A JP7812898A JP7812898A JPH11279265A JP H11279265 A JPH11279265 A JP H11279265A JP 7812898 A JP7812898 A JP 7812898A JP 7812898 A JP7812898 A JP 7812898A JP H11279265 A JPH11279265 A JP H11279265A
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嘉久 曽根
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価な原料を使用し、また不純物が少なく、品
質が安定で、半導体封止用のエポキシ樹脂硬化剤などの
用途に適した高純度のフェノール系樹脂を製造する方法
の提供。 【解決手段】フェノール類(A)と、ビスハロメチル芳
香族化合物[R1 −(CH2 X)2(例:ジ(クロロメ
チル)ベンゼン)](B)及び芳香族アルデヒド化合物
(C)を、酸触媒の存在下、特に反応開始剤として水を
添加し、加水分解で発生するハロゲン化水素を縮合反応
開始の触媒として用いることからなるフェノール系樹脂
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種バインダー、
コーティング材、積層材料、成形材料等に有用なフェノ
ール系重合体の製造方法に関する。特に電子材料用のエ
ポキシ硬化剤やエポキシ樹脂の原料に好適な、不純物の
少ない高純度の重合体を効率的に得る製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フェノールホルムアルデヒド樹脂は、安
価な耐熱性樹脂として各種の用途に広く使用されてい
る。また、通常のフェノール樹脂の各特性を向上する目
的で、構造の異なる各種の樹脂が開発され、すでに公知
となっている。
【0003】特に、特公昭47−15111号公報など
に記載の、α,α′−ジメトキシ−p−キシレンなどの
アラルキル化合物とフェノール類との縮合反応によって
得られる重合物は、フェノールアラルキル樹脂として、
優れた耐熱性、電気特性、耐湿耐薬品性により、各種用
途に広く使用されている。更にフェノールアラルキル樹
脂は、近年ではICの高密度化、小型薄型化、表面実装
化に伴い、耐湿性が要求される封止材分野での硬化剤と
しての利用が広がっている。
【0004】これに対し、特許第2533276号公
報、特開平6−256474号公報には、フェノール類
とキシリレン化合物、およびベンズアルデヒドなどで代
表される芳香族アルデヒド類との共縮合物が開示されて
いる。このフェノール系樹脂は、フェノールアラルキル
樹脂に比べて低粘度、高Tg、低ソリで、成形性が優れ
る等の特長があり、耐熱性が要求される構造部材やIC
の封止材分野での硬化剤として利用されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】上記のフェノール系樹脂の製造方法は、キ
シリレン化合物として、一般式Ph−(CH2 OR)2
で表されるグリコール類またはアルコキシ類(Phはフ
ェニレン基、Rは水素、アルキル基等)を原料とするも
のであり、これらの化合物は通常ビスハロメチル化合物
(Ph−(CH2 X)2 )から製造されるので原料とし
て高価であるのみならず、この方法では共縮合反応はパ
ラトルエンスルホン酸やトリフルオロメタンスルホン酸
などの酸触媒の存在下で行うことが必要である。
【0006】しかしこの酸触媒を用いて製造されたフェ
ノール系樹脂においては、反応に用いる酸触媒を反応生
成物から完全に分離することは困難で、得られる樹脂は
酸性物質を僅かに含有している。そのため、不純物を特
に嫌うような用途にはそのままでは適用できず、水洗に
よる触媒の除去などが必要である。また、残存する酸性
物質が製造過程で分子量分布の変化、粘度上昇、フェノ
ール類モノマーの再生などの問題を引き起こし、品質が
安定しないという欠点を有している。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、安価な原料を用い、不純物が少なく高純度で、
かつ粘度などの品質が安定したフェノール系樹脂を効率
的に得る製造方法を提供することをその目的とする。
【0008】本発明者は、上記の目的を達成するため、
触媒種や除去方法などを鋭意検討した結果、アラルキル
化合物として芳香族環に2個のハロメチル基が置換した
ビスハロメチル化合物を用いることにより、原料が安価
となり、しかも上記ビスハロメチル化合物を用いること
により、パラトルエンスルホン酸のような触媒を添加し
なくても、反応開始剤として水を用い、加水分解で発生
するハロゲン化水素を縮合反応開始の触媒として用いる
ことができ、高純度でかつ品質の安定したフェノール系
樹脂の製造法を見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、フェ
ノール類と、下記一般式(1) R1 −(CH2 X)2 ・・・(1) で表されるビスハロメチル化合物、及び下記一般式
(2) R2 −CHO・・・・(2) で表される芳香族アルデヒド化合物(式中、R1 及びR
2 は同一または異なるフェニレン基、アルキル置換フェ
ニレン基、ジフェニレン基、ジフェニレンオキサイド
基、ナフチレン基であり、Xはハロゲン原子である。)
とを、酸触媒の存在下で縮合反応させることを特徴とす
るフェノール系樹脂の製造方法であり、特に好ましい実
施態様として、反応開始剤として水を添加し、加水分解
で発生するハロゲン化水素を縮合反応開始の触媒として
用いることを特徴とするフェノール系樹脂の製造方法で
ある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、原料として前記一般
式(1)で表されるビスハロメチル化合物(以下化合物
(1)と呼ぶ)を用いる。このようなビスハロメチル化
合物の具体例としては、ジ(クロロメチル)ベンゼン、
ジ(ブロモメチル)ベンゼン、ジ(クロロメチル)ビフ
ェニル、ジ(クロロメチル)ナフタリン、ジ(クロロメ
チル)ビフェニルエーテルなどが挙げられる。特にジク
ロロメチルベンゼンが好適である。ジ(クロロメチル)
ベンゼンの場合の−CH2 Xの置換位置は、オルト、メ
タ、パラのいずれでもよいが、一般的に好ましいのはパ
ラ位またはメタ位であり、メタ位とパラ位の混合系も好
ましい。
【0011】一般式(2)で表される芳香族アルデヒド
(以下化合物(2)と呼ぶ)の具体例としては、ベンズ
アルデヒド、メチルベンズアルデヒド、エチルベンズア
ルデヒド、tert- ブチルベンズアルデヒド、ナフトアル
デヒド、メチルナフトアルデヒドなどが挙げられる。特
にベンズアルデヒドおよびナフトアルデヒドが好まし
い。
【0012】化合物(2)/化合物(1)のモル比は、
80/20から10/90、好ましくは70/30〜3
0/70までの範囲が好ましい。この比が80/20を
超えると反応性が相対的に低い芳香族アルデヒドが一部
反応しきれずに樹脂中に取り残される場合がある。また
この樹脂をエポキシ樹脂やヘキサミンで硬化させた硬化
物はやや堅く脆くなり、また吸水率もやや高くなる傾向
がある。一方この比が10/90未満の場合は低粘度、
高Tg、低ソリ、成形性向上等を目的とした芳香族アル
デヒドを導入した効果がほとんど認められなくなる。ま
たこれ以外にも芳香族アルデヒドの効果として、化合物
(1)が固体であるのに対し、ベンズアルデヒドなどの
液状アルデヒド化合物とあらかじめ混合し溶解させてお
くことにより製造操作面及び反応均一性の面でも有利と
なるので、この点からも芳香族アルデヒド添加量を上記
モル比以上とするのが好ましい。
【0013】本発明に用いられるフェノール類として
は、芳香族環に結合したヒドロキシル基を1個または2
個以上有する各種の単環型、多核型、または縮合多環型
芳香族化合物が使用できる。具体例としては、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブ
チルフェノール、フェニルフェノール、ハロゲン化フェ
ノールなどの置換フェノール類;レゾルシン、カテコー
ル、ジヒドロキシビフェニル、テトラメチルジヒドロキ
シビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールS、
ビスフェノールFなどの2価フェノール類;α−ナフト
ールやβ−ナフトール、ナフタレンジオールなどの縮合
多環型フェノール類が挙げられ、これらを1種もしくは
2種以上使用することが出来る。これらのフェノール類
の中でも好ましくはフェノール、o−クレゾール、p−
クレゾール、p−フェニルフェノール、カテコール、
4,4′−ジヒドロキシビフェニル、α−またはβ−ナ
フトールが用いられる。
【0014】フェノール類に対する化合物(1)+化合
物(2)合計量の割合は、モル比で0.1〜0.8が好
ましい。このモル比が0.1未満では、未反応のフェノ
ール類が多くなり収率が下がるため好ましくない。0.
8を越えると生成樹脂の分子量が増大し、軟化温度が上
昇し、成形時の流動性の低下を招き易いため好ましくな
い。より好ましい割合は0.2〜0.7である。
【0015】本発明においてはフェノール類とビスハロ
メチル化合物、芳香族アルデヒドの反応は酸触媒の存在
下で行われる。
【0016】酸触媒としては、グリコール類またはアル
コキシ類を原料とする方法において、触媒として用いら
れているパラトルエンスルホン酸やトリフルオロメタン
スルホン酸などを用いることもできるが、本発明におい
てはビスハロメチル化合物を原料としているため、特に
このようなそれ自身が酸触媒であるものを加えず、反応
開始剤として水を添加し、加水分解で発生するハロゲン
化水素を縮合反応開始の触媒として用いることができ
る。
【0017】反応中に発生するHClは、最終的に系外
に揮発し除去されるため、得られた重合物は、酸触媒を
添加して製造された樹脂のように酸性成分の不純物をほ
とんど含まず高純度であり、かつ粘度など、製品の品質
が極めて安定であり、特に不純物を嫌うような用途には
反応開始剤として水を用いる方法が好ましい。
【0018】添加する水の量はビスハロメチル化合物と
芳香族アルデヒド化合物の合計量に対して、100pp
m以上が好ましい。水は、反応開始前に必要量以上を系
内に添加すれば良い。
【0019】フェノール類と化合物(1)及び(2)と
の反応は、通常80〜180℃、好ましくは110〜1
60℃の温度範囲で行う。反応時間は一般に1〜10時
間である。
【0020】樹脂化反応の際、フェノール類と化合物
(1)と(2)の混合物を同時に系内に仕込んでから反
応を進めても良く、また必要に応じて(1)と(2)の
混合物をあらかじめ反応釜に仕込まれたフェノールの中
に逐次添加して反応させてもよい。
【0021】この反応は、縮合によって生成するHCl
によって反応が継続進行する。縮合反応が完結した後、
系内に残ったHClを未反応のフェノール類と共に減圧
下で留去させるか、または不活性ガスを吹き込みながら
減圧蒸留するなどの適当な方法によって留去させる。
【0022】本発明の方法を用いると、半導体封止用の
エポキシ樹脂硬化剤など不純物が極めて厳しく規制され
る用途においても全く問題なく適用できる。また、使用
の際に熱履歴を受けても、粘度上昇、分子量分布の増
大、未反応フェノールの再生などの品質変動が全く無視
できるので、品質が極めて安定な樹脂が得られる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 [実施例1]撹拌装置、コンデンサー、及び窒素ガス導
入管を備えたガラス製フラスコに、フェノール552.
33重量部、水0.25重量部、1,4−ジ(クロロメ
チル)ベンゼン154.24重量部、ベンズアルデヒド
93.43重量部を仕込み、窒素ガス気流下、撹拌しな
がら加熱した。70℃から120℃まで30分かけて昇
温し、120℃で2時間、さらに140℃で2時間の反
応を行った。反応によって発生するHClおよび水は系
外へ除去させながら反応させた。その後、50torr
以下の減圧下で窒素をバブリングさせながら140℃〜
150℃で2時間減圧蒸留し、系内の未反応フェノール
と僅かに残存するHClを除去し、455.26重量部
の目的物を得た。得られたフェノール系樹脂の性状を表
1に示す。
【0024】[実施例2]実施例1において、原料の仕
込み量をフェノール566.69重量部、水0.23重
量部、1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン105.5
0重量部、ベンズアルデヒド127.81重量部とした
以外は実施例1と同様の条件で反応させ、減圧蒸留する
ことによって464.20重量部の目的物を得た。得ら
れたフェノール系樹脂の性状を表1に示す。
【0025】[比較例1]実施例1で用いたフラスコ
に、フェノール557.86重量部と、p−キシレング
リコールジメチルエーテル144.77重量部、ベンズ
アルデヒド94.36重量部を仕込んだ。窒素ガス気流
下、撹拌しながら80℃でp−トルエンスルホン酸1水
和物1.60重量部を水溶液にして添加し、120〜1
40℃で発生するメタノールと水を系外に除去させなが
ら3時間の反応を行った。その後、50torr以下の
減圧下、窒素をバブリングさせながら140℃〜150
℃で2時間減圧蒸留し、系内の未反応フェノールを除去
し、457.11重量部のフェノール系樹脂を得た。得
られた樹脂の性状を表1に示す。
【0026】[比較例2]比較例1において、p−トル
エンスルホン酸1水和物の代わりに、トリフルオロメタ
ンスルホン酸0.032重量部を水溶液にして添加した
以外は比較例1と同様に行い、456.51重量部のフ
ェノール系樹脂を得た。得られた樹脂の性状を表1に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示したように、いずれの実施例で得
られた樹脂からも、酸性物質は検出されず、高純度であ
った。また160℃で10時間の熱処理を行った後も分
子量分布やフェノールの増加などの変化が認められず、
熱安定性に優れていることが判る。これに対し、比較例
1及び2で得られた樹脂には、触媒の酸性物質が残存
し、抽出水のpHも低い値を示した。また熱安定性にも
劣り、160℃10時間の熱処理で分子量分布が大きく
なり溶融粘度が大幅に上昇し、また未反応フェノールも
大幅に増加し、品質の安定性が悪かった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、安価な原料を使用し、
また反応開始剤として水を用い、加水分解で発生するハ
ロゲン化水素を縮合反応開始の触媒として用いることが
できるので、触媒の残存による不純物が少なく、品質が
安定し、半導体封止用のエポキシ樹脂硬化剤などの用途
に適した高純度のフェノール系樹脂を簡単な操作で効率
的に得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類と、下記一般式(1) R1 −(CH2 X)2 ・・・(1) で表されるビスハロメチル化合物、及び下記一般式
    (2) R2 −CHO・・・・(2) で表される芳香族アルデヒド化合物(式中、R1 及びR
    2 は同一または異なるフェニレン基、アルキル置換フェ
    ニレン基、ジフェニレン基、ジフェニレンオキサイド
    基、ナフチレン基であり、Xはハロゲン原子である。)
    とを、酸触媒の存在下で縮合反応させることを特徴とす
    るフェノール系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応開始剤として水を添加し、加水分解
    で発生するハロゲン化水素を縮合反応開始の触媒として
    用いることを特徴とする請求項1記載のフェノール系樹
    脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 反応開始剤としての水の添加量が、ビス
    ハロメチル化合物と芳香族アルデヒド化合物の合計量に
    対して重量比で100ppm以上であることを特徴とす
    る請求項2に記載のフェノール系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族アルデヒド化合物/ビスハロメチ
    ル化合物のモル比が80/20〜10/90の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフ
    ェノール系樹脂の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007106928A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Air Water Inc フェノール系重合体、その製法及びその用途
JP2007254685A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Air Water Inc フェノール系重合体、その製法及びその用途
JP2010229422A (ja) * 2010-07-21 2010-10-14 Nippon Kayaku Co Ltd フェノールアラルキル樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

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