JP2005149810A - 高分子電解質、その製造方法およびプロトン伝導膜 - Google Patents

高分子電解質、その製造方法およびプロトン伝導膜 Download PDF

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敏明 門田
Toshitaka Otsuki
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Abstract

【課題】寸法安定性および耐水性に優れるとともに、高いプロトン伝導度を有する高分子電解質、その製造方法および該高分子電解質からなるプロトン伝導膜を提供すること。
【解決手段】本発明に係る高分子電解質は、主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつ強酸性基およびスルホン酸基を有する重合体からなることを特徴とする。また、本発明に係る高分子電解質は、前記ポリフェニレン構造が、下記一般式(A)で表されることが好ましい。
【化1】
Figure 2005149810

(式中、Yは2価の電子吸引性基を示し、Zは2価の電子供与性基または直接結合を示し、Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示
し、nは0〜10の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子電解質、その製造方法およびプロトン伝導膜に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサなどに用いられる電解質膜等として好適な高分子電解質、その製造方法および該高分子電解質からなるプロトン伝導膜に関する。
高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基などの電解質基を有する高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオンまたは陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維または膜状に成形されて各種の用途に利用されている。
例えば、固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性を有する高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、改質ガス等の水素を含む燃料ガスを一方の電極(燃料極)へ供給し、空気等の酸素を含む酸化剤ガスを他方の電極(空気極)へ供給し、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを、直接電気エネルギーとして取り出す電池である。このようなプロトン伝導性を有する高分子電解質膜としては、スルホン酸基含有のパーフルオロポリマーであるデュポン社製のナフィオン(Nafion)が有名である。
固体高分子型燃料電池は、一般的にセルが積層された燃料電池スタックからなり、該セルは2つの電極で電解質を挟んだ構造をしている。充分な出力を有する燃料電池を作製するために、現状では数百のセルを積層して一つのスタックを作っている。しかしながら、多数のセルを積層するとスタックが大きくなり、車載用途などにおける軽量化および小型化などの際に問題となる。
積層数を減らし高出力を得るための方法として、1セル当たりのプロトン伝導度を高く
することが検討されており、ナフィオン膜中にスルホン酸基を多数導入する試みや、米国特許第5,403,675号公報(特許文献1)に開示されているような、フェニレン連鎖からな
る芳香族化合物を重合して得られるポリマーとスルホン化剤とを反応させてスルホン酸基を導入した固体高分子電解質が提案されているが、電解質基を多数導入することにより、水への可溶化またはゲル化などの問題が新たに生じている。
また、高温加湿条件下でスタックを使用する場合、用いる高分子電解質膜の寸法安定性も重要な問題であるが、電解質基を多数導入した高分子電解質膜を使用すると膜の膨潤が大きくなるという問題がある。
米国特許第5,403,675号公報
本発明の課題は、寸法安定性および耐水性に優れるとともに、高いプロトン伝導度を有する高分子電解質、その製造方法および該高分子電解質からなるプロトン伝導膜を提供することにある。
本発明者らは、このような従来技術における問題点に鑑み鋭意検討した結果、特定の構造を有する重合体の一部に強酸性基が結合した高分子電解質によって、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち本発明に係る高分子電解質は、主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつ強酸性基を有する重合体からなることを特徴とする。
また、本発明に係る高分子電解質は、前記ポリフェニレン構造が、下記一般式(A)で表されることが好ましい。
Figure 2005149810
(式中、Yは2価の電子吸引性基を示し、Zは2価の電子供与性基または直接結合を示し、Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示
し、nは0〜10の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。)
さらに、本発明に係る高分子電解質は、前記強酸性基が、一般式:−SO2NHSO2Rで表わされることが好ましい。
(ただし、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、置換基またはヘテロ原子を有していてもよい。また、−SO2NHSO2Rの一部が高分子中の他の部分に結合し、−SO2NHSO2−となっていてもよい。)
本発明に係る高分子電解質の第1の製造方法は、主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつスルホン酸基を有する重合体のスルホン酸基(−SO3H)の少なくとも一部をハロゲ
ン化して−SO2X基に変換し、次いでRSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si
(CH33を反応させることにより、強酸性基を該重合体に導入することを特徴とする。(ただし、Xはハロゲン原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、置換基またはヘテロ原子を有していてもよく、Mは、金属イオン、水素イオンおよびオニウムイオンからなる群より選ばれるカチオンを示す。)
本発明に係る高分子電解質の第2の製造方法は、主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつスルホン酸基を有する重合体のスルホン酸基(−SO3H)の少なくとも一部をハロゲ
ン化して−SO2X基に変換し、次いでアンモニアを反応させて−SO2NH2基に変換し
、さらにRSO2Xを反応させることにより、強酸性基を該重合体に導入することを特徴
とする。
本発明に係る高分子電解質は、寸法安定性に優れるとともに、酸強度の大きい強酸性基を含有しているので、電解質基を多数導入することなく高いプロトン伝導度を得ることができる。
また、電解質基を新たに導入するのではなく、既存の電解質基を強酸性基に置き換えるだけでプロトン伝導度を向上させることができるので、水への可溶化などの問題が生じず、耐水性に優れる。
このような寸法安定性、耐水生およびプロトン伝導度に優れる本発明の高分子電解質を燃料電池に応用することにより、1セル当たりの出力を向上させることができるので、1
スタックを作製する際、積層するセル数を減少させることができ、高出力かつ小型の燃料電池を作製することができる。
以下、本発明に係る高分子電解質、その製造方法およびプロトン伝導膜について、詳細に説明する。
本発明に係る高分子電解質は、主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつ強酸性基およびスルホン酸基を有する重合体からなる。なお、強酸性基は、主鎖にポリフェニレンを有する重合体の分子鎖中のいずれかにあればよく、特に限定されるものではない。
ここで、強酸性基とは、水を含んだ状態で強酸性を呈するものをいう。このような性質を有する強酸性基としては、たとえば一般式:−SO2NHSO2Rで表わされる基が挙げられる。
式中、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、置換基またはヘテロ原子を有していてもよい。また、−SO2NHSO2Rの一部が高分子中の他の部分に結合し、−SO2NHSO2−となっていてもよい。
本発明で用いることができる強酸性基の具体例としては、以下のような基が挙げられる。
Figure 2005149810
これらの中では、−SO2NHSO3Hが好ましい。
本発明の高分子電解質は、1種類の強酸性基を有するものでよく、2種以上の強酸性基を有するものでもよい。また、同一または異なる強酸基を有する2種以上の高分子電解質を任意の比率で混合して用いてもよい。
本発明に係る高分子電解質の主要部分を構成する重合体は、主鎖にポリフェニレン構造を有する重合体、好ましくは、さらにスルホン酸基を有する重合体、より好ましくは、下記一般式(A)で表されるポリフェニレン構造を有し、かつスルホン酸基を有する重合体である。
Figure 2005149810
式(A)中、Yは2価の電子吸引性基を示し、具体的には−CO−、−SO2−、
−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(ここで、lは1〜10の整数である)、−C(CF32−などが挙げられる。
Zは2価の電子供与性基または直接結合を示し、電子供与性基の具体例としては、
−(CH2)−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C―およ
Figure 2005149810
などが挙げられる。なお、電子吸引性基とは、ハメット(Hammett)置換基常数がフェニ
ル基のm位の場合、0.06以上、p位の場合、0.01以上の値となる基をいう。
Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的に
はフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。
上記重合体は、特に好ましくは、上記一般式(A)で表される構成単位と、下記一般式(B)で表される構成単位とを含む下記一般式(C)で表される重合体である。
Figure 2005149810
式(B)中、R1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、Tは2価の有機基または単結合を示す。pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
Figure 2005149810
式(C)中、W、T、Y、Z、Ar、m、n、k、pおよびR1〜R8は、それぞれ上記一般式(A)および(B)中のW、T、Y、Z、Ar、m、n、k、pおよびR1〜R8と同義である。
上記一般式(C)で表わされる重合体(以下、重合体(C)ともいう。)は、式(A)で表される構成単位を0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(B)で表される構成単位を99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
上記重合体(C)は、上記一般式(A)で表される構成単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(B)で表される構成単位となりうるオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体(以下、重合体(C’)ともいう。)を製造し、この重合体(C’)を加水分解して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
また、上記重合体(C)は、上記一般式(A)においてスルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しない構成単位と、上記一般式(B)の構成単位とからなる重合体(以下、重合体(C’’)ともいう。)を予め合成し、この重合体(C’’)をスルホン化することにより合成することもできる。
上記一般式(A)で表わされる構成単位となりうるモノマーとしては、例えば下記一般式(D)で表されるスルホン酸エステル(以下、モノマー(D)ともいう。)が挙げられる。
Figure 2005149810
式(D)中、Xはフッ素を除くハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)、−OSO2G(
ここで、Gはアルキル基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す。)から選ばれる原子または基を示し、Y、Z、Ar、m、nおよびkは、それぞれ上記一般式(A)中のY、Z、Ar、m、nおよびkと同義である。
aは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的には、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチル基、アダマンタンメチル基、2−エチルヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]へプチル基、ビシクロ[2.2.1]へプチルメチル基、テトラヒドロフルフリル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチル−2,4−ジオキソランメチル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基などの直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、5員の複素環を有する炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、n−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、特にネオペンチル基が好ましい。
Arは−SO3bで表わされる置換基を有する芳香族基を示し、芳香族基として具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンチル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
置換基−SO3bは、芳香族基に1個または2個以上置換しており、置換基−SO3bが2個以上置換している場合には、これらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
ここで、Rbは炭素原子数1〜20、好ましくは4〜20の炭化水素基を示し、具体的
には上記炭素原子数1〜20の炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、n−ブチル基、ネオペンチル基、テトラヒドロフルフリル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基が好ましく、特にネオペンチル基が好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
式(D)で表されるスルホン酸エステルの具体例としては、以下の様な化合物が挙げられる。
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
また、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原
子に置き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
一般式(D)中のRb基は1級アルコール由来で、β炭素が3級または4級炭素である
ことが、重合工程中の安定性に優れ、脱エステル化によるスルホン酸の生成に起因する重合阻害や架橋を引き起こさない点で好ましく、さらには、これらのエステル基は1級アルコール由来でβ位が4級炭素であることが好ましい。
また、上記一般式(D)において、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しない化合物の具体例としては、下記の様な化合物が挙げられる。
Figure 2005149810
Figure 2005149810
上記化合物において塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、上記化合物において−CO−が−SO2−に置き換わった化合物、上記化合物において塩素原子が臭素原子に置
き換わり、かつ−CO−が−SO2−に置き換わった化合物なども挙げられる。
上記一般式(B)で表わされる構成単位となりうるオリゴマーとしては、例えば下記一般式(E)で表されるオリゴマー(以下、オリゴマー(E)ともいう。)が挙げられる。
Figure 2005149810
式(E)中、R'およびR''は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子を除く
ハロゲン原子または−OSO2G(ここで、Gはアルキル基、フッ素置換アルキル基また
はアリール基を示す。)で表される基を示す。Gが示すアルキル基としてはメチル基、エチル基などが挙げられ、フッ素置換アルキル基としてはトリフルオロメチル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、p−トリル基などが挙げられる。
1〜R8は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ素置換アルキル基、アリル基、アリール基およびシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基などが好ましい。
フッ素置換アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが好ましい。
アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、
アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Wは2価の電子吸引性基または単結合を示し、電子吸引性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
Tは2価の有機基または単結合であって、電子吸引性基であっても電子供与性基であってもよい。電子吸引性基および電子供与性基としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
上記一般式(E)で表される化合物として具体的には、p=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、ビス(クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4−ク
ロロ安息香酸−4−クロロフェニル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子の少なくとも1つ以上が3位に置換した化合物などが挙げられる。
またp=1の場合、上記一般式(E)で表される具体的な化合物としては、例えば4,
4'−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロベ
ンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4'−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物、さらにこれらの化合物において4位に置換したハロゲン原子が3位に置換した化合物、さらにこれらの化合物においてジフェニルエーテルの4位に置換した基の少なくとも1つが3位に置換した化合物などが挙げられる。
さらに上記一般式(E)で表される化合物としては、2,2−ビス[4−{4−(4−
クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、ビス[4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル]スルホン、および下記式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
上記一般式(E)で表される化合物は、例えば、以下に示す方法で合成することができる。
まず、電子吸引性基で連結されたビスフェノールを、対応するビスフェノールのアルカリ金属塩とするために、N−メチル−2−ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキサイドなどの誘電率の高い極性溶媒中でリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを加える。
アルカリ金属はフェノールの水酸基に対して過剰気味で反応させ、通常、1.1〜2倍当量、好ましくは1.2〜1.5倍当量で用いる。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどの水と共沸する溶媒を共存させて、電子吸引性基で活性化されたフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された芳香族ジハライド化合物、例えば、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−クロロフルオロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4−フルオロフェニル−4'−クロロフェニルスルホン、ビス
(3−ニトロ−4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、デカフルオロビフェニル、2,
5−ジフルオロベンゾフェノン、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼンなどを
反応させる。反応性から言えば、フッ素化合物が好ましいが、次の芳香族カップリング反応を考慮した場合、末端が塩素原子となるように芳香族求核置換反応を組み立てる必要がある。
活性芳香族ジハライドはビスフェノールに対し、2〜4倍モル、好ましくは2.2〜2.8倍モルの使用である。芳香族求核置換反応の前に予め、ビスフェノールのアルカリ金属塩としていてもよい。反応温度は60℃〜300℃で、好ましくは80℃〜250℃の範囲である。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。最も好ましい方法としては、下記式で示される活性芳香族ジハライドとして反応性の異なるハロゲン原子を一個ずつ有するクロロフルオロ体を用いることであり、フッ素原子が優先してフェノキシドと求核置換反応が起きるので、目的の活性化された末端クロロ体を得るのに好都合である。
Figure 2005149810
(式中、Wは一般式(E)に関して定義した通りである。)
また、特開平2−159号公報に記載のように求核置換反応と親電子置換反応を組み合わせて、目的の電子吸引性基および電子供与性基からなる屈曲性化合物を合成してもよい。
具体的には、電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライド、例えばビス(4−クロロフェニル)スルホンをフェノールで求核置換反応させてビスフェノキシ化合物とし、次いで、このビスフェノキシ化合物と4−クロロ安息香酸クロライドとのフリーデルクラフト反応から目的の化合物を得ることができる。
ここで用いる電子吸引性基で活性化された芳香族ビスハライドとしては、上記で例示した化合物が挙げられる。フェノール化合物は置換されていてもよいが、耐熱性や屈曲性の観点から無置換化合物が好ましい。なお、フェノールの置換反応にはアルカリ金属塩とすることが好ましく、使用可能なアルカリ金属化合物としては、上記で例示した化合物が挙げられる。使用量はフェノール1モルに対し、1.2〜2倍モルである。反応に際し、上述した極性溶媒や水との共沸溶媒を用いることができる。
クロロ安息香酸クロライドは、ビスフェノキシ化合物に対し2〜4倍モル、好ましくは2.2〜3倍モルで用いられる。また、ビスフェノキシ化合物と、アシル化剤であるクロロ安息香酸クロライドとのフリーデルクラフト反応は、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、塩化亜鉛などのフリーデルクラフト活性化剤の存在下で行うことが好ましい。フリーデルクラフト活性化剤は、アシル化剤のクロロ安息香酸などの活性ハライド化合物1モルに対し、1.1〜2倍当量使用する。反応時間は15分〜10時間の範囲で、反応温度は−20℃から80℃の範囲である。使用溶媒は、フリーデルクラフト反応に不活性な、クロロベンゼンやニトロベンゼンなどを用いることができる。
また、一般式(E)において、pが2以上である化合物は、例えば、一般式(E)において電子供与性基Tであるエーテル性酸素の供給源となるビスフェノールと、電子吸引性基Wである、>C=O、−SO2−および>C(CF32から選ばれる少なくとも1種の
基とを組み合わせた化合物、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビスフェノールのアルカリ
金属塩と、過剰の4,4−ジクロロベンゾフェノン、ビス(4−クロロフェニル)スルホンなどの活性芳香族ハロゲン化合物との置換反応を、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの極性溶媒の存在下で前記単量体の合成手法に順次重合して得られる。
このような化合物の例示としては、下記式で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
Figure 2005149810
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Figure 2005149810
上記において、pは0または正の整数であり、上限は通常100、好ましくは10〜80である。
上記スルホン酸エステル基を有する重合体は、上記モノマー(D)とオリゴマー(E)とを触媒の存在下に反応させることにより合成されるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子からなる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、および(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために「塩」を添加してもよい。
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物;塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物;塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などが挙げられる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
また、配位子成分としては、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジン、1,5−
シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどが挙げられる
。これらのうち、トリフェニルホスフィン、2,2'−ビピリジンが好ましい。上記配位子成分である化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、配位子が配位された遷移金属錯体としては、例えば、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、臭化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、ヨウ化ニッケル
ビス(トリフェニルホスフィン)、硝酸ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、臭化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ヨウ化ニッケル(2,2'−ビピリジン)、硝酸ニッケル(2,2'−ビピリジン)、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが挙げられる。これらのうち、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2'−ビピリジン)が好ましい。
上記触媒系に使用することができる還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、有機酸などの酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
また、上記触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物;フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物;フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などが挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
各成分の使用割合は、遷移金属塩または遷移金属錯体が、上記モノマーの総計((D)+(E)、以下同じ)1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満では、重合反応が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
触媒系において、遷移金属塩および配位子成分を用いる場合、この配位子成分の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不十分となることがあり、一方、100モルを超えると、分子量が低下することがある。
また、還元剤の使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、重合が十分進行しないことがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難になることがある。
さらに、「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満では、重合速度を上げる効果が不十分であることがあり、100モルを超えると、得られる重合体の精製が困難となることがある。
モノマー(D)とオリゴマー(E)とを反応させる際に使用することのできる重合溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン、γ−ブチロラクトン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾリジノンが好ましい。これらの重合溶媒は、十分に乾燥してから用いることが好ましい。
重合溶媒中における上記モノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは
5〜40重量%である。
重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜120℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
モノマー(D)を用いて得られたスルホン酸エステル基を有する重合体(C’)は、スルホン酸エステル基を加水分解して、スルホン酸基に変換することによりスルホン酸基を有する重合体(C)とすることができる。
加水分解の方法としては、
(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記重合体(C’)を投入し、5分間以上撹拌する方法
(2)トリフルオロ酢酸中で、上記重合体(C’)を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法
(3)上記重合体(C’)中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに対して1〜
3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で、上記重合体(C’)を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法
などを挙げることができる。
上記重合体(C)は、上記一般式(D)で表されるモノマー(D)においてスルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(E)で表されるオリゴマー(E)とを共重合させることにより、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しない重合体(C’’)を予め合成し、この重合体(C’’)をスルホン化することにより合成することもできる。この場合、上記合成方法に準じた方法により重合体(C’’)を製造した後、スルホン化剤を用い、重合体(C’’)にスルホン酸基を導入することにより、スルホン酸基を有する重合体(C)を得ることができる。
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記重合体(C’’)を、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.3, p.730 (1993);Polymer Preprints, Japan, Vol.43, No.3, p.736 (1994);Polymer Preprints, Japan, Vol.42, No.7, p.2490〜2492 (1993)〕。また、スルホン化剤は
、無溶剤下でも、溶剤存在下でも用いることができる。
用いられる溶剤としては、例えば、n−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
上記のような方法により製造されるスルホン酸基を有する重合体(C)中のスルホン酸基量は、通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く実用的ではない。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。上記スルホン酸基量は、例えばモノマー(D)およびオリゴマー(E)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
上記重合体(C)の分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
本発明の高分子電解質には、老化防止剤、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を含有させてもよく、老化防止剤を含有することで電解質としての耐久性をより向上させることができる。
上記ヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2
−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチルー4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−
ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]
ウンデカン(商品名:Sumilizer GA-80)などを挙げることができる。
本発明において、上記ヒンダードフェノール系化合物は、上記重合体100重量部に対して0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
また、本発明の高分子電解質は、多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート、フィブリルPTFE繊維等の補強材により補強されていても良い。
次に、本発明の高分子電解質の製造法について説明する。本発明に係る高分子電解質は、主鎖にポリフェニレンを有し、かつスルホン酸基を有する重合体に強酸性基を導入することにより得られる。
本発明に係る高分子電解質の第1の製造方法は、主鎖にポリフェニレンを有し、かつスルホン酸基を有する重合体のスルホン酸基(−SO3H)の少なくとも一部を、ハロゲン
化剤により−SO2Clなどのハロゲン化スルホニル基(−SO2X)に変換した後、さらに塩基の存在下でRSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33を反応させ、強酸(たとえば、硫酸、塩酸など)でプロトン化処理することにより、上記強酸性基を導入することを特徴とする。
ここで、Xはハロゲン原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、その構造中に置換基またはヘテロ原子を有していてもよく、Mは、金属イオン、水素イオンおよびオニウムイオンからなる群より選ばれるカチオンである。
上記ハロゲン化剤としては、五塩化燐、三塩化燐、オキシ塩化燐、塩化チオニルなどが挙げられ、好ましくは塩化チオニルである。スルホン酸基のハロゲン化は、無溶剤下でも
、溶媒存在下でも行うことができる。用いることができる溶剤は、上記重合体およびハロゲン化剤と反応しないものであれば特に制限はなく、たとえば、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエンなどが好適に用いられる。
ハロゲン化剤の量は、高分子電解質に要求される寸法安定性、耐水性およびプロトン伝導度などに応じて、最適な値を選択すればよいが、たとえば、モル比(スルホン酸基のモル数)/(ハロゲン化剤のモル数)が0.0001〜1000、好ましくは0.001〜100、より好ましくは0.01〜10である。
ハロゲン化処理における反応温度および反応時間は、特に制限されないが、反応温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃であり、反応時間は、通常0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
RSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33を反応させる際に用いられる溶媒は、前記ハロゲン化処理を施した重合体およびRSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33と反応しないものであれば特に制限はなく、無溶剤下または溶媒存在下のいずれにおいても反応を行うことができる。溶媒を用いる場合、たとえば、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエンなどが好適に用いられる。
RSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33の使用量は、前記ハロゲン化処理で導入したハロゲン化スルホニル基と等モルまたはそれ以上、たとえば、1〜100倍モルが好ましい。
ここで使用する塩基は、この反応により発生するハロゲン化水素を捕まえるものであればよく、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類、水素化ナトリウムなどの水素化物、炭酸リチウムなどの炭酸塩、水酸化カリウムなどの水酸化物などが挙げられる。ただし、RSO2N(M)−Si(CH33を使用する場合は塩基なしでも反応が進行する。
RSO2N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33を反応させる際の反応温度および反応時間は、特に制限されないが、通常、反応温度は0〜100℃、反応時間は1分〜100時間である。
プロトン化処理における溶媒は特に限定されないが、水を用いることが好ましい。また、プロトン化処理で用いる強酸としては、導入した官能基に入っている反応時の塩基由来のカチオンをプロトンに交換できるものであればよく、たとえば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
プロトン化処理における反応温度および反応時間は、特に制限されないが、通常、反応温度は0〜100℃、反応時間は1分〜100時間である。
本発明に係る高分子電解質の第2の製造方法は、主鎖にポリフェニレンを有し、かつスルホン酸基を有する重合体のスルホン酸基(−SO3H)を、上記と同様にしてハロゲン
化剤により−SO2Clなどのハロゲン化スルホニル基(−SO2X)に変換した後、アンモニアを反応させて−SO2NH2基に変換し、さらに塩基の存在下でRSO2Xを反応さ
せ、上記と同様に強酸(たとえば、硫酸、塩酸など)でプロトン化処理することにより、強酸性基を導入する方法である。ここで、XおよびRは上記と同義である。
上記アンモニアとしては、無水アンモニアを用いる。アンモニアは、ガス状で用いてもよく、冷却してまたは溶媒に溶解して液状で用いてもよい。アンモニアの使用量は、前記ハロゲン化処理で導入したハロゲン化スルホニル基と等モルまたはそれ以上、たとえば、
1〜100倍モルが好ましい。反応温度および反応時間は、特に制限されないが、通常、反応温度は−80〜100℃、反応時間は1分〜100時間である。
RSO2Xを反応させる際に用いられる溶媒としては、前記アンモニア処理を施した重
合体およびRSO2Xと反応しないものであれば特に制限はなく、たとえば、ジクロロメ
タン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶剤、アセトニトリル、トルエンなどが好適に用いられる。また、無溶媒下でRSO2Xを反応させてもよい。
RSO2Xの使用量は、前記導入した−SO2NH2基と等モルまたはそれ以上、たとえ
ば1〜100倍モルが好ましい。
ここで使用する塩基は、この反応により発生するハロゲン化水素を捕まえるものであればよく、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類、水素化ナトリウムなどの水素化物、炭酸リチウムなどの炭酸塩、水酸化カリウムなどの水酸化物などが挙げられる。
RSO2Xを反応させる際の反応温度および反応時間は、特に制限されないが、通常、
反応温度は0〜100℃、反応時間は1分〜100時間である。
本発明に係る高分子電解質を燃料電池に用いる場合、膜状のものが好ましく、膜の厚みは10〜1000μm、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。
膜を形成する方法としては、まず、本発明に係る高分子電解質を有機溶剤に溶解させ、バーコーター法、ドクターブレード、スプレー法などによりPETフィルムなどの基板フィルム上に製膜する。次いで、基板フィルムから膜を剥がし、残存有機溶剤を除去することにより膜を得ることができる。
上記有機溶媒としては、高分子電解質を溶解可能で、その後に除去し得るものであるならば特に制限されず、たとえば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの塩素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γーブチルラクトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、
1,3−ジオキサンなどのエーテル類が好適に用いられる。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明に係る高分子電解質を燃料電池に使う場合、高分子電解質以外の燃料電池の構成要素としては、特に限定されるものでなく、公知のものが広く使用可能である。
なお、本発明に係る高分子電解質の用途は、燃料電池に限定されるものではなく、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサなどにも応用することができる。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、スルホン酸当量、プロトン伝導度、耐水性および寸法安定性は、以下のようにして評価した。
<スルホン酸当量>
得られた高分子電解質膜の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
<プロトン伝導度>
交流抵抗は、5mm幅の短冊状の試料膜の表面に、白金線(φ=0.5mm)を押し当て、恒温恒湿装置中に試料を保持し、白金線間の交流インピーダンス測定から求めた。すなわち、85℃、相対湿度90%の環境下で交流10kHzにおけるインピーダンスを測定した。抵抗測定装置として、(株)NF回路設計ブロック製のケミカルインピーダンス測定システムを用い、恒温恒湿装置には、(株)ヤマト科学製のJW241を使用した。白金線は、5mm間隔に5本押し当てて、線間距離を5〜20mmに変化させ、交流抵抗を測定した。線間距離と抵抗の勾配から、膜の比抵抗を算出し、比抵抗の逆数から交流インピーダンスを算出し、このインピーダンスから、プロトン伝導度を算出した。
比抵抗R(Ω・cm)=0.5(cm)×膜厚(cm)×抵抗線間勾配(Ω/cm)
<耐水性および寸法安定性>
フィルムを2.0cm×3.0cmにカットし、秤量して試験用のテストピースとした。このフィルムを、ポリカーボネート製の250ml瓶に入れ、そこに約100mlの蒸留水を加え、プレッシャークッカー試験機(HIRAYAMA MFS CORP製 PC−242HS)を用いて、120℃で24時間加温した。試験終了後、各フィルムを熱水中から取り出し、軽く表面の水をキムワイプで拭き取り、含水時の重量を秤量して含水率を求めた。また、そのフィルムの寸法を測定して膨潤率を求めた。さらに、この膜を真空乾燥機で5時間乾燥して水を留去し、熱水試験後の重量を秤量して重量保持率を求めた。
(実施例1)
以下の手順に従い、強酸性基(−SO2NHSO3H基)を導入した。
<オリゴマーの調製>
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)67.3g(0.20モル)、4,4'−ジクロロベンゾフェノン(4,4'−DCBP)60.3g(0.24モル)、炭酸カリウム71.9g(0.52モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)300mL、
トルエン150mLをとり、オイルバス中、窒素雰囲気下で加熱し撹拌下130℃で反応させた。反応により生成する水をトルエンと共沸させ、Dean-Stark管で系外に除去しながら反応させると、約3時間で水の生成がほとんど認められなくなった。その後、反応温度を130℃から徐々に150℃まで上げながら大部分のトルエンを除去し、150で10時間反応を続けた後、4,4'−DCBP 10.0g(0.040モル)を加え、さらに
5時間反応させた。得られた反応液を放冷後、副生した無機化合物の沈殿物を濾過除去し、濾液を4Lのメタノール中に投入した。沈殿した生成物を濾別、回収し乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解した。これをメタノール4Lに再沈殿し、目的の化合物95g(収率85%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は11,200であった。また、得られた化合物はTHF、NMP、DMAc、ス
ルホランなどに可溶で、Tgは110℃、熱分解温度は498℃であった。
得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマー(以下、「BCPAFオリゴマー」という)であった。
Figure 2005149810
<ネオペンチル基を保護基とした重合体(PolyAB−SO3 neo-Pe)の調製>
撹拌機、温度計、冷却管、Dean-Stark管、窒素導入の三方コックを取り付けた1Lの三つ口のフラスコに、4−[4−(2,5−ジクロロベンゾイル)フェノキシ]ベンゼンス
ルホン酸neo-ペンチル(A−SO3 neo-Pe)38.14g(95.0ミリモル)、BCPAFオリゴマー(Mw;11,200)16.21g(1.45ミリモル)、Ni(PPh32Cl2 1.89g(2.89ミリモル)、PPh3 10.12g(38.6ミリモル)、NaI 0.43g(2.87ミリモル)、亜鉛末 15.14g(231.6ミリモル)および乾燥NMP 125mLを窒素下で加えた。反応系を攪拌下に加熱し(最
終的には75℃まで加温)、3時間反応させた。重合反応液をTHF 250mLで希釈
し、30分攪拌し、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール1500mLに注いで凝固させた。凝固物を濾集、風乾し、さらにTHF/NMP(それぞれ200/300mL)に再溶解し、大過剰のメタノール1500mLで凝固析出させた。風乾後、加熱乾燥により目的の黄色繊維状のネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体(PolyAB-SO3neo-Pe)47.0g(収率99%)を得た。GPCによる分子量は数平均分子量(Mn)が47,600、Mwが159,000であった。
<スルホン酸基への転換>
得られたPolyAB-SO3 neo-Pe 5.1gをNMP60mLに溶解し、90℃に加温した。反応系にメタノール50mLと濃塩酸8mLの混合物を一時に加えた。懸濁状態となりながら、温和の還流条件で10時間反応させた。蒸留装置を設置し、過剰のメタノールを溜去させ、淡緑色の透明溶液を得た。この溶液を大量の水/メタノール(1:1重量比)中に注いで、ポリマーを凝固させた後、洗浄水のpHが6以上となるまで、イオン交換水でポリマーを洗浄した。こうして得られたポリマーのIRスペクトルおよびイオン交換容量の定量分析から、スルホン酸エステル基(−SO3a)は定量的にスルホン酸基(−SO3H)に転換していることがわかった。
得られたスルホン酸基を有する重合体のGPCによる分子量は、Mnが53,200、
Mwが185,000であり、スルホン酸当量は2.2meq/gであった。得られたス
ルホン酸基を有する重合体を下記化学式(II)に示す。
Figure 2005149810
<強酸性基の導入>
得られたスルホン酸基を有する重合体を塩化チオニル中で加熱反応させることによりスルホニルクロライド基を導入した。得られたスルホニルクロライド基を有する重合体を下記化学式(III)に示す。
Figure 2005149810
得られたスルホニルクロライド基を有する重合体をスルファミン酸(NH2SO3H)と反応させることにより、−SO2NHSO3H基を導入した。得られた強酸性基を有する重合体を下記化学式(IV)に示す。
Figure 2005149810
式(IV)に示す重合体の12重量%NMP溶液を、ガラス板上にキャストして製膜した後、風乾、真空乾燥し、乾燥膜厚40μmの高分子電解質膜を得た。
(実施例2)
表1に示すスルホン酸当量を有する上記式(IV)で表わされる重合体を原料として用いたこと以外は、実施例1と同様の手順に従って高分子電解質膜を作製した。
(比較例1および2)
比較例1は、実施例1中の上記式(II)に示される強酸性基を導入していない重合体を用いて強酸性基を含有しない高分子電解質膜を作製した。比較例2は、表1に示すスルホン酸当量を有するようにモノマーおよびオリゴマーの組成を変化させた重合体を用いたこと以外は、比較例1と同様にして強酸性基を含有しない高分子電解質膜を作製した。
実施例1および2で得られた強酸性基を含有する高分子電解質膜、ならびに比較例1および2で得られた強酸性基を含有しない高分子電解質膜について、スルホン酸当量、膜のプロトン伝導度、耐水性および寸法変化を評価した結果を表1に示す。
Figure 2005149810
表1から明らかなように、比較例2の強酸性基を含有しない高分子電解質膜は、スルホン酸当量およびプロトン伝導度が高い値を示しているが、高いプロトン伝導度を得るために電解質基を多数導入したために、120℃熱水条件下での膨潤率(寸法安定性)、含水率が高すぎであり、重量保持率も悪かった。一方、実施例1の強酸性基を含有する高分子電解質膜は、比較例1とほぼ同程度のスルホン酸当量であるにもかかわらず、プロトン伝導度は比較例1よりも高い値を示した。さらに、実施例1の高分子電解質膜は、同程度のプロトン伝導度を有する比較例2の高分子電解質膜と比較して、120℃熱水条件下での寸法安定性、含水率および重量保持率に優れていた。
また、実施例2の高分子電解質膜は、比較例1の高分子電解質膜と同程度のプロトン伝導度を有しているが、スルホン酸当量を減少させたことにより、120℃熱水条件下での寸法変化、含水率および重量変化を抑制することができた。
以上の結果から、―SO2NHSO3Hなどの強酸性基を高分子電解質に導入することにより、寸法変化を抑制しつつ、優れた耐水性およびプロトン伝導度を有する高分子電解質膜を得られることが判明した。

Claims (7)

  1. 主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつ強酸性基を有する重合体からなることを特徴とする高分子電解質膜。
  2. 前記重合体が、さらにスルホン酸基を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質膜。
  3. 前記ポリフェニレン構造が、下記一般式(A)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質。
    Figure 2005149810
    (式中、Yは2価の電子吸引性基を示し、Zは2価の電子供与性基または直接結合を示し、Arは−SO3Hで表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示
    し、nは0〜10の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。)
  4. 前記強酸性基が、一般式;−SO2NHSO2Rで表わされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質。
    (ただし、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、置換基またはヘテロ原子を有していてもよい。また、−SO2NHSO2Rの一部が高分子中の他の部分に結合し、−SO2NHSO2−となっていてもよい。)
  5. 主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつスルホン酸基を有する重合体の該スルホン酸基(−SO3H)の少なくとも一部をハロゲン化して−SO2X基に変換し、次いでRSO2
    N(M)HまたはRSO2N(M)−Si(CH33を反応させることにより、強酸性基
    を該重合体に導入することを特徴とする高分子電解質の製造方法。
    (ただし、Xはハロゲン原子を示し、Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルコキシル基またはアリール基を示し、これらのアミノ基、アルキル基、アルコキシル基およびアリール基は、置換基またはヘテロ原子を有していてもよく、Mは、金属イオン、水素イオンおよびオニウムイオンからなる群より選ばれるカチオンを示す。)
  6. 主鎖にポリフェニレン構造を有し、かつスルホン酸基を有する重合体の該スルホン酸基(−SO3H)の少なくとも一部をハロゲン化して−SO2X基に変換し、次いでアンモニアを反応させて−SO2NH2基に変換し、さらにRSO2Xを反応させることにより、強
    酸性基を該重合体に導入することを特徴とする高分子電解質の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質からなることを特徴とするプロトン伝導膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012084295A (ja) * 2010-10-08 2012-04-26 Toppan Printing Co Ltd 高分子電解質およびポリマー化可能な基を有するイオン性材料

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