本発明は、電子写真プロセスを用いて記録媒体上に立体的な画像を形成する画像形成装置に係わり、詳しくは、それぞれ発泡率の異なる発泡性現像剤を装填する複数の現像手段を用いて、異なる高さを有する立体画像が混在する立体画像印刷を実現する画像形成装置及び方法に関する。
電子写真方式や静電記録方式によるプリンタや複写機等の画像形成装置は、白黒やフルカラーの文字や図形、あるいは写真等の画像を、記録用紙等の記録媒体上に平面的に形成し、この記録媒体上に形成された画像を視覚的に認識して、所望の情報を伝達するために用いられるのが一般的であった。
これに対し、今日では、例えば電子写真記録プロセスの中で、発泡トナー像の上に所定の色の色材を含有するトナー像を載せていき、定着工程での加熱により発泡トナー像を発泡させたうえでその上に載せられた各色トナー像を溶融・固着させることで立体的な画像を形成する技術が開発されている。
この種の技術を適用した公知の画像形成装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されるように、記録媒体上の同一個所に、先に非発泡性のトナー像を形成し、その上に、発泡性トナー像を積層状態に形成して、立体画像を記録媒体上に形成するものがあった。
また、下記特許文献2には、熱発泡性トナーを用いて複数の壁面を有する凸形状の画像を形成し、この凸形状画像の異なった壁面に、種類の異なる複数の画像を形成する画像形成装置が開示されている。
また、下記特許文献3には、少なくとも結着樹脂と発泡剤とを含有し、発泡剤がトナー表面に実質的に露出していない画像形成用トナーを用いる画像形成装置が開示されている。
特開2001−134091号公報
特開2002−278370号公報
特開2000−131875号公報
しかしながら、この種の公知の画像形成装置では、立体画像を形成する場合に、一種類の発泡率を持つトナーを用いてトナー像を形成していた。
このように、一種類の発泡率を有するトナーを用いて立体画像を形成した場合には、立体画像がどこの個所も一律な高さとなり、立体印刷としてのインパクトに欠けるという問題点があった。
本発明は上記問題点を解消し、高さが異なる立体画像が混在し、よりインパクトの強い立体画像印刷が可能な画像形成装置及び方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電子写真プロセスを用いて記録媒体上に立体的な画像を形成する画像形成装置において、それぞれ発泡率が異なる発泡性の現像剤を充填し、像担持体上に形成された各発泡性現像剤成分の潜像を、各々対応する発泡性現像剤を用いて発泡性現像剤像として現像する複数の立体像現像手段を具備することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記電子写真プロセスで用いる露光手段及び現像手段を個別に有する複数の画像形成装置を縦列配置して成る画像形成装置であって、前記複数の画像形成部のうちの任意の画像形成部の現像手段が、各々、前記複数の立体像現像手段のいずれかにより構成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記電子写真プロセスで用いる1つの露光手段と複数の現像手段を有し、露光、現像の各プロセスを多サイクルで実施し、各サイクルで形成された現像剤像を多層化して画像を形成する画像形成装置であって、前記複数の現像手段が、各々、前記複数の立体像現像手段のいずれかにより構成されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、印刷対象の画像情報から、前記複数の立体像現像手段の各々に充填された発泡性現像剤成分の画像信号を生成し、該画像信号を、対応する発泡性現像剤成分の潜像を形成する露光手段に入力する画像処理手段を具備することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、前記印刷対象の画像情報中の立体印刷すべき領域と該立体印刷領域の高さを指定する立体印刷指定手段と、前記立体印刷指定手段による前記立体印刷領域及び高さの指定に基づき、前記画像情報中の前記立体印刷領域内の画素に対して、前記高さを示す情報を含む立体印刷指示情報を付与する情報付与手段とを具備し、前記画像処理手段は、前記画像情報中の前記立体印刷指示情報が付与されている画素の画像情報に基づき、当該立体印刷指示情報に含まれる高さ情報に対応する発泡性現像剤成分の前記画像信号を生成することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記像担持体上に形成された黒色現像剤成分の潜像を、非発泡性の黒色現像剤を用いて現像する黒色現像手段を更に具備し、前記立体像現像手段により現像された発泡性現像剤像上に、前記黒色現像手段により現像された黒色現像剤像を転写せしめて立体白黒画像を形成することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記像担持体上に形成された各色成分の潜像を、各々対応する色の非発泡性有色現像剤を用いて現像する複数の有色現像手段を更に具備し、前記立体像現像手段により現像された前記発泡性現像剤像上に、前記有色現像手段により現像された有色現像剤像を多重転写せしめて立体カラー画像を形成することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、電子写真プロセスを用いて記録媒体上に立体的な画像を形成する画像形成方法において、像担持体上に形成された各発泡性現像剤成分の潜像を、各々対応する発泡性現像剤を用いて発泡性現像剤像として現像する複数の立体像現像手段の各々にそれぞれ発泡率が異なる発泡性の現像剤を充填し、印刷対象の画像情報から、前記複数の立体像現像手段の各々に充填された発泡性現像剤成分の画像信号を生成し、前記生成された画像信号に基づき露光手段により露光を行って、それぞれ対応する発泡性現像剤成分の潜像を前記像担持体上に形成し、前記像担持体上に形成された前記各発泡性現像剤成分の潜像を、当該発泡性現像剤成分に対応する前記各立体像現像手段でそれぞれ発泡性現像剤像として現像し、前記各立体像現像手段で現像された各発泡性現像剤像を前記記録媒体に転写し、前記転写された各発泡性現像剤像を前記記録媒体に定着して発泡させることを特徴とする。
本発明によれば、それぞれ発泡率が異なる発泡性の現像剤を充填し、像担持体上に形成された各発泡性現像剤成分の潜像を、各々対応する発泡性現像剤を用いて発泡性現像剤像として現像する複数の立体像現像手段を設けたため、各立体像現像手段により現像された発泡性現像剤像を記録媒体に転写してそれぞれの発泡性現像剤が持つ発泡率で発泡せしめることにより各々高さの異なる立体画像を形成することができ、記録媒体上に高さが各々異なる立体画像が混在するよりインパクトの強い立体画像印刷を実現できる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図である。
この画像形成装置は、複写機として用いられるものであり、特に、白黒複写機能を有するものである。
この画像形成装置は、原稿G上の画像を読取る画像読取部1、後述する立体プリント指定部5による立体プリントすべき領域(立体プリント領域)と該領域の高さの指定に応じ、画像読取部1で読取られた画像情報中の立体プリント指定領域(立体プリント領域として指定された領域)の画素に対して上記指定された高さ情報を含む発泡トナー情報を付与する発泡トナー情報付与部2、発泡トナー情報付与部2から入力する読取画像情報に基づき通常印刷用のプリント画像情報を生成すると共に、該読取画像情報中に付加された上記発泡トナー情報に基づき立体印刷用のプリント画像情報を生成する画像処理部3、画像処理部3により生成されたプリント画像情報に応じて通常プリント画像あるいは立体プリント画像を形成する画像形成部4、立体プリント領域と該領域の高さを指定する立体プリント指定部5、装置全体の制御を行う主制御部6により構成される。
画像読取部1は、プラテンガラス上に載置された原稿Gを光源によって照明し、原稿Gからの反射光像を縮小光学系を介してCCD等から成る画像読取素子上に走査露光して、該画像読取素子により原稿Gの反射光像を所定のドット密度で読取る。
原稿読取部1によって読取られた原稿反射光像は、白黒2値の原稿反射率データとして画像処理部3に送られる。
その際、発泡トナー情報付与部2は、上記原稿反射率データ中の、上記立体プリント指定部5により指定される立体プリント指定領域の画素に対して発泡トナー情報を付与する。
発泡トナー情報は、例えば、発泡トナー(発泡性の現像剤)を使用する場合には“1”の値がセットされ、また発泡トナーを使用しない場合には“0”の値がセットされるフラグ情報から成る。更に、本発明では、発泡トナー情報中に、立体プリント指定部5による立体プリント領域指定に合わせて指定される当該立体プリント指定領域の高さ情報が含まれる。
画像処理部3は、発泡トナー情報付与部2から送られてくる原稿反射率データを取り込んで所定の画像処理を施すことにより、後述する画像形成部4の黒色画像形成部4Kに入力する原稿階調データ〔図4(a)におけるK成分画像信号〕を生成する。
また、画像処理部3は、上記原稿反射率データ中の着目画素毎に発泡トナー情報が付与されているどうかをチェックし、該発泡トナー情報が付与されている場合には、該発泡トナー情報に含まれる高さ情報に応じて、後述する画像形成部4の立体画像形成部4H1,4H2,4H3に入力する発泡トナー信号〔図4(b),(c),(d)にそれぞれ示す、発泡トナーH1成分画像信号,発泡トナーH2成分画像信号,発泡トナーH3成分画像信号〕を生成する。
そして、これら各立体画像形成部4H1,4H2,4H3用の各発泡トナー信号を上述した黒画像形成部4K用の原稿反射率データに合成して画像形成部4に送出する。
画像形成部4は、画像処理部3から入力する各成分の画像信号に基づき、電子写真プロセスを用いて記録用紙上に画像を形成する機能部であり、本実施例では、黒色のトナー(K)〔非発泡性の現像剤〕を用いて黒色画像を形成する黒色画像形成部4Kと、発泡トナーを用いて立体画像を形成する立体画像形成部4H1,4H2,4H3を備えている。
立体画像形成部4H1,4H2,4H3は、それぞれ発泡率の異なる発泡トナーH1,H2,H3を充填した現像部(44H1,44H2,44H3)を有し、各々高さの異なる立体画像を形成可能な構成となっている。
上記黒色画像形成部4K、立体画像形成部4H1,4H2,4H3は、これらの各々に対応する成分(K成分、H1成分、H2成分、H3成分)の画像信号を画像処理部3から入力して、それぞれ、レーザにより画像露光を行う露光部41K,41H1,41H2,41H3、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3、静電潜像の形成前に感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3を帯電する帯電部43K,43H1,43H2,43H3、感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3上に形成された静電潜像を現像して黒色のトナー像あるいは発泡率の異なる各発泡トナー像(発泡性現像剤像)を形成する現像部44K,44H1,44H2,44H3を備える。
このうち、現像部44H1,44H2,44H3には、それぞれ異なる発泡率を有する発泡トナーが充填されている。
更に、画像形成部4には、現像部44K,44H1,44H2,44H3で現像された黒色トナー像及び上記各発泡トナー像を多重転写(一次転写)する中間転写ベルト45と、中間転写ベルト45に多重転写されたトナー像を記録用紙48に転写(二次転写)する転写部46と、該転写部46によって上記トナー像が転写された記録用紙48上に当該トナー像を定着する定着部47を有する。
画像処理部3で上記画像処理により生成された、K(黒)成分の画像信号、及び発泡トナー(H1)、発泡トナー(H2)、発泡トナー(H3)の各成分の画像信号(発泡トナー信号)は画像形成部4のそれぞれ対応する画像形成部4K,4H1,4H2,4H3の各露光部41K,41H1,41H2,41H3に送られる。
露光部41K,41H1,41H2,41H3は、それぞれ対応する画像信号あるいは発泡トナー信号に応じて、それぞれ対応する感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3上にレーザ光による画像露光を行い、上記各成分に対応する静電潜像を形成する。
感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3上に形成された静電潜像は、黒色トナーを充填した現像部44K及び発泡トナー(H1),発泡トナー(H2),発泡トナー(H3)をそれぞれ充填した各現像部44H1,44H2,44H3によって、それぞれ、黒色トナー及び発泡トナー(H1),発泡トナー(H2),発泡トナー(H3)により現像されて各々トナー像化される。
感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3上に形成された各トナー像(黒色トナー像,H1トナー像,H2トナー像,H3トナー像)は、該感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3の下部に配置された中間転写ベルト45上に順次重ね合わせた状態で転写(多重転写)される。
中間転写ベルト45は、所定の駆動手段により、感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3の周速と同一の移動速度で矢印方向に沿って回動するように構成され、上記各感光体ドラム42K,42H1,42H2,42H3から中間転写ベルト45上への各トナー像の多重転写は当該回動に合わせて行われる。
中間転写ベルト45上に転写された多重トナー像は、転写部46において、所定のタイミングで搬送されてくる記録用紙48上に圧接力及び静電吸引力によって転写される。
なお、記録用紙48は、この複写機本体内の配置された複数の記録媒体収容部材としての給紙カセット(図示せず)から、所定のサイズのものがフィードロールによって給紙され、更に、複数の搬送ロール及びレジストロール(図示せず)によって、所定のタイミングで中間転写ベルト45の2次転写位置(転写部46)まで搬送される。
そして、転写部46では、中間転写ベルト45上から記録用紙48へと上記多重転写トナー像が一括して転写される。
中間転写ベルト45上から多重転写トナー像の転写がなされた記録用紙48は、次いで、中間転写ベルト45から分離された後、定着部47へと搬送され、該定着部47の加熱ロール及び加圧ロールによって、熱及び圧力でトナー像が記録用紙48上に定着され、複写機本体の外部に排出される。
なお、上記現像工程において、中間転写ベルト45上には、黒色トナー像が最下部に、各発泡トナーH1,H2,H3による発泡トナー像はその上になるように多重転写がなされる。
次いで、中間転写ベルト45に多重転写されたトナー像を記録用紙48に転写した場合には、多重転写トナー像の順番が逆転し、各発泡トナーH1,H2,H3による発泡トナー像が最下層に転写される。
これにより、その後、記録用紙48に多重転写されたトナー像を定着部47により定着する際には、その時に加えられる熱により最下層の発泡トナー(H1,H2,H3)が発泡し、立体化する。
その際、上記発泡により立体化した発泡トナー上に多重転写される黒色トナー像が黒色の画像となって定着され、結果として、記録用紙48上には、立体化された発泡トナー上に黒色画像を定着した立体画像を形成することができる。
なお、本実施例において、発泡トナーH1,H2,H3は、それぞれ、発泡率が異なるものである。
ここで、発泡トナーH1,H2,H3の発泡率をa1,a2,a3(a1>a2>a3)とすれば、これら各発泡トナーH1,H2,H3がベース部(最下層)となって形成される立体画像では、必然的に、発泡率の大きい発泡トナーをベース部に持つ立体画像の方がその高さが高いものとなる。
本発明では、この特性(発泡率により発泡高さが異なる)に着目し、発泡率の異なる発泡トナーを各々充填する複数の立体現像手段を設け、これら各立体現像手段により現像される発泡トナー像の発泡高さの違いを利用して、高さがそれぞれ異なる立体画像を形成するものである。
以下、本実施例の画像形成装置の構成及び動作についてより詳しく説明する。
図2は、本実施例に係わる画像形成装置における画像処理部3の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理部3は、情報分離部30、信号変換部31、出力信号合成部35、発泡トナー情報処理部36を具備して構成される。発泡トナー情報処理部36は、立体プリント領域判別部361、立体高さ判別部362、発泡トナー信号生成部363により構成される。
画像処理部3において、情報分離部30には、画像読取部1で読取られた原稿反射率データに発泡トナー情報が付与(発泡トナー情報付与部2によって)された画像データが入力される。
情報分離部30は、入力画像データから原稿反射率データを分離して信号変換部31に入力すると共に、発泡トナー情報と画像情報を発泡トナー情報処理部36の立体プリント領域判別部361に入力する。
信号変換部31に入力された原稿反射率データは、黒色画像形成部4Kに入力するための白黒階調データ(K成分画像信号)に変換され、出力信号合成部35に送られる。
一方、発泡トナー情報処理部36の立体プリント判別部361では、信号分離部30から入力する発泡トナー情報と画像情報のうち、発泡トナー情報を参照して、注目画素が立体プリント指定領域(発泡トナー使用領域)内の画素であるか否かを判別する。
ここで、立体プリント指定領域内の画素であると判別された場合、立体プリント領域判定部361は、該発泡トナー情報を立体高さ判定部362に送出する。
立体高さ判定部362では、発泡トナー情報に含まれる高さ情報から高さを判別し、該判別した高さを発泡トナー信号生成部363に通知する。
発泡トナー信号生成部363は、立体高さ判定部362から通知される立体高さを元に、当該立体高さに対応する成分の各画像信号(立体画像形成部4H1,4H2,4H3に各々対応する発泡トナー信号)を当該画素に対応して生成する。
ここで生成される発泡トナー信号は、例えば、対応する各立体画像形成部4H1,4H2,4H3で、それぞれ充填している発泡性のトナーを同量ずつ用いて現像をなし得るような所定の発泡トナー量に対応する信号である。
このように、発泡トナー信号生成部363は、発泡トナー情報に含まれる高さ情報(立体プリント指定部5で、立体プリント領域の指定に合わせて指定される)に応じて、該高さ情報に対応した各発泡トナーH1,H2,H3成分の画像信号(それぞれ、立体画像形成部4H1,4H2,4H3に入力すべき発泡トナー信号)を生成し、該発泡トナー信号を出力信号合成部35に送出する。
出力信号合成部35は、信号変換部31により生成されたK成分の画像信号(白黒階調データ)と、発泡トナー信号生成部363で生成された各発泡トナーH1,H2,H3成分の画像信号(発泡トナー信号)とを対応画素位置に合成し、該合成信号(プリント画像データ)を画像形成部4に送出する。
画像形成部4では、各画像形成部4K,4H1,4H2,4H3毎に、上記合成信号から当該各画像形成部に対応する各成分の画像信号が分離されてそれぞれ該当する各露光部41K,41H1,41H2,41Hに入力される。
以後、画像形成部4では、上述した電子写真プロセス、すなわち、各画像形成部4K,4H1,4H2,4H3での露光、現像、転写の各プロセス、並びに、中間転写ベルト45から記録用紙48への二次転写とその後の定着プロセスを経て、発泡トナーがベースとなった白黒立体画像と発泡トナーがベースに無い通常白黒画像が混在する画像を記録用紙48上に形成する。
この画像形成処理において、上記立体画像の形成を担う立体画像形成部41H1,41H2,41H3では、各現像部44H1,44H2,44H3において、それぞれ異なる発泡率を有する発泡トナーを用いて静電潜像の現像を行う。
これにより、当該各立体画像形成部41H1,41H2,41H3に、それぞれ、同量の発泡トナー量で上記現像を行うような発泡トナー信号が入力されたとしても、発泡率の低い発泡トナーを用いて現像された発泡トナー画像を元に形成された立体画像に対して、発泡率の高い発泡トナーを用いて現像された発泡トナー画像を元に形成された立体画像の方がより高い立体画像となり、結果としては、高さが異なる立体画像が混在する立体画像印刷を行えるようになる。
一例として、この画像形成装置では、第1の立体画像形成部4H1の現像部44H1に充填される発泡トナーH1の発泡率はa1、第2の立体画像形成部4H2の現像部44H2に充填される発泡トナーH2の発泡率はa2、第3の立体画像形成部4H3の現像部44H3に充填される発泡トナーH3の発泡率がa3であり、これら各発泡率a1,a2,a3は、a1>a2>a3の関係にある。
また、上記各発泡トナーH1,H2,H3を用いて形成される立体画像の高さは、それぞれ、h1,h2,h3である。この場合において、h1,h2,h3との間には、上記各発泡トナーH1,H2,H3の発泡率a1,a2,a3との関係から、h1>h2>h3の関係が成り立つ。
このような前提の下で、本実施例の画像形成装置において、例えば、図3に示すような原稿Gの複写を行う場合について考えてみる。
図3に示すように、この原稿Gは、オブジェクトOa(図中、四角型の画像領域)、オブジェクトOb(同、円型の画像領域)、オブジェクトOc(同、三角型の画像領域)及びオブジェクトOd(同、文字部)の各画像から成るものである。
この原稿Gを複写する際、ユーザにおいて、例えば、オブジェクトOa、Ob、Ocを、それぞれ、異なる高さの立体画像として印刷する要求があるものとする。
この場合、ユーザは、立体プリント指定部5を用い、立体プリント領域として上記各オブジェクトOa,Ob,Ocを指定すると共に、当該各オブジェクトOa,Ob,Ocについての所望の高さ例えばh1、h2、h3を指定する。
ここで指定する高さh1、h2、h3は、それぞれ、立体画像形成部4H1,4H2,4H3がそれぞれの現像部44H1,44H2,44H3で発泡トナーH1,H2,H3を用いて現像した発泡トナー像を転写、定着して得られる上述した各立体画像の高さに対応した値である。
すなわち、この例では、上記各現像部44H1,44H2,44H3がそれぞれ発泡トナーH1,H2,H3を用いて、印刷対象画像(この例では、原稿画像)中の各々異なる画像領域(同、オブジェクトOa,Ob,Oc)に対応する静電潜像を現像し得るように、立体プリント指定部5からの立体プリント領域の指定がなされている。
上記立体プリントの指定(立体プリント領域及びその高さの指定)後、複写開始操作がなされると、画像読取部1により原稿Gの画像が読取られ、該読取られた原稿Gの画像情報が画像処理部3に送出される。
その際、発泡トナー情報付与部2は、上記立体プリント指定部5によって立体プリント領域として指定された領域(オブジェクトOa,Ob,Oc)の各画素について、発泡トナーを付与することを示す情報と、同じく立体プリント指定部5によって指定された当該立体プリント領域の高さを示す情報を含む発泡トナー情報(立体印刷指示情報)を付与し、当該発泡トナー情報付与後の画像情報を画像処理部3に入力する。
画像処理部3は、発泡トナー情報付与部2から入力される上記発泡トナー情報付与後の画像情報を元に、各画像形成部4K,4H1,4H2,4H3に入力するための画像信号を生成する画像処理を行う。
図4は、画像処理部3における画像処理イメージを示す概念図である。
この例において、画像処理部3は、画像形成部4Kに入力するための画像信号として、図4(a)に示すように、入力画像情報中の全オブジェクトを含む画像に対応した画像信号を生成する。
また、画像処理部3は、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOc、高さ=h1)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H1に入力するための画像信号として、図4(b)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトOcを含む画像に対応した画像信号を生成する。
また、画像処理部3は、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOa、高さ=h2)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H2に入力するための画像信号として、図4(c)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトOaを含む画像に対応した画像信号を生成する。
また、画像処理部3は、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOb、高さ=h3)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H3に入力するための画像信号として、図4(d)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトObを含む画像に対応した画像信号を生成する。
このように、画像処理部3は、入力画像情報中の発泡トナー情報が付与された画素(オブジェクトOa,Obo,Oc)については、当該発泡トナー情報中に含まれる高さ情報(h1,h2,h3)に基づき、当該高さ情報に対応する高さの立体画像を形成し得る画像形成部4H1,4H2,4H3用の画像信号を生成し、これら画像信号を画像形成部4K用の画像信号と合成して画像形成部4に送出する。
画像形成部4では、各画像形成部4K,4H1,4H2,4H3が、上記画像処理部3から送出された合成画像信号から自画像形成部に相当する成分の画像信号をそれぞれ取り込み、周知の電子写真プロセスを経て画像形成の処理を行う。
図5は、図3における原稿Gを同図に示す立体プリント指示に基づき複写する場合における画像形成部4の転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図である。
図5において、同図(a)〜(d)は、それぞれ、画像形成部4K,4H1,4H2,4H3における一次転写プロセスを示し、同図(e)は転写部46における二次転写プロセスを示し、同図(f)は定着部47における定着プロセスを示している。
また、図5において、A,B,C,Dはそれぞれ着目画素を示している。より具体的には、これら各画素A,B,C,Dは、それぞれ、図3における原稿画像中のオブジェクトOa,Ob,Oc,Odの各領域内の画素に相当する。
図5に示す転写、定着プロセスについては、初めに、画像形成部4Kにおいて、画素A,B,C,Dのうちの全画素の静電潜像に対して黒色(K)トナーによる現像が行われ、該黒色トナー像が図5(a)に示す態様で中間転写ベルト45上に転写される。
次に、立体画像形成部4H1において、画素Cの静電潜像に対して、発泡率a1の発泡トナーH1による現像が行われ、該発泡トナー(H1)像が図5(b)に示すように、図5(a)で既に転写された当該画素Cに相当する黒色トナー像の上に転写される。
次に、立体画像形成部4H2において、画素Aの静電潜像に対して、発泡率a2の発泡トナーH2による現像が行われ、該発泡トナー(H2)像が図5(c)に示すように、図5(a)で既に転写された画素Aに相当する黒色トナー像の上に転写される。
次に、立体画像形成部4H3において、画素Bの静電潜像に対して、発泡率a3の発泡トナーH3による現像が行われ、該発泡トナー(H3)像が図5(d)に示すように、図5(a)で既に転写された画素Bに相当する黒色トナー像の上に転写される。
次に、二次転写プロセス〔図5(e)〕に進むと、図5(a)〜(d)の転写プロセスで中間転写ベルト45上に多重転写されたトナー像が、その積層順が反転されて記録用紙48上に転写される。
更に、定着プロセス〔図5(f)〕では、立体プリント指示された領域内の画素A,B,Cについては、それぞれ、最下層の発泡トナーH1,H2,H3がそれぞれ発泡しかつその上に各黒トナーが溶融、定着されて立体画像(白黒)が形成される。
また、この定着プロセス〔図5(f)〕において、立体プリント指示のなされなかった領域内の画素Dについては、図5(a)で中間転写ベルト45に転写され、更に図5(e)で記録用紙48に転写された黒色トナーが溶融、定着されて通常の(平面的な)画像が形成される。
上記定着プロセス〔図5(f)〕を経て形成された画素A,B,Cに対応する立体画像に着目すると、それぞれ、最下層の発泡トナーH1,H2,H3が発泡し、その発泡の具合によって当該各画素A,B,Cの立体画像の高さを決めている。
本発明では、上述したように、発泡トナーH1,H2,H3は、その発泡率a1,a2,a3に関して、a1>a2>a3なる関係を有している。
発泡率が高い発泡トナーを用いると、該発泡トナーが発泡した後の高さは、必然的に、発泡率の低い発泡トナーを用いた時よりも高くなる。
これにより、上記定着プロセス後に記録用紙48上に形成される各画素A,B,Cに対応する立体画像の高さh1、h2、h3は、h1>h2>h3の関係となり、高さの異なる立体画像が形成されることとなる。
図6は、図3に示す原稿Gを読取った画像に基づき、図5に示した電子写真プロセスを経て記録用紙48上に形成された画像の概念側面構成を示す図である。
この例では、印刷に先立って、図3に示すように、原稿G中のオブジェクトOa,Ob,Ocに対して、それぞれ、高さh2,h3,h1とする立体プリント指示がなされている。
図6においては、上記指示に基づき、原稿G中の各オブジェクトOa,Ob,Ocがそれぞれ立体画像として印刷され、しかも、それぞれの高さがh2,h3,h1という値を持つ異なる高さの白黒立体画像が混在する立体印刷出力結果が得られている様子が示されている。
図7は、本発明の実施例2に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図である。図7において、実施例1に係わる画像形成装置(図1参照)の各部と同一の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
この画像形成装置は、複写機として用いられるものであり、特に、カラー複写機能を有する点で実施例1に係わる画像形成装置と相違している。
このカラー複写機能を実現するために、実施例2に係わる画像形成装置では、実施例1に係わる画像形成装置の画像形成部4とは異なる構成から成る画像形成部4aを備えている。
すなわち、本実施例に係わる画像形成装置の画像形成部4aは、図7に示すように、実施例1に係わる画像形成装置が持つ画像形成部4K及び立体画像形成部4H1,4H2,4H3の他に、更に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色成分の画像形成部(非立体画像形成部)4Y,4M,4Cを備えて構成される。
これら各画像形成部4Y,4M,4Cは、それぞれ、これらの各々に対応する成分(Y成分、M成分、C成分)の画像信号を後述する画像処理部3aから入力して、それぞれ、レーザにより画像露光を行う露光部41Y,41M,41C、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム42Y,42M,42C、静電潜像の形成前に感光体ドラム42Y,42M,42Cを帯電する帯電部43Y,43M,43、感光体ドラム42Y,42M,42C上に形成された静電潜像を現像してそれぞれY,M,Cの各色のトナー像を形成する現像部44Y,44M,44Cを備える。
また、本実施例に係わる画像形成装置では、画像形成部4aにおける上記構成(カラー複写機能を実現するための構成)に対応して、原稿読取部1a及び画像処理部3aも、それぞれ、実施例1に係わる画像形成装置の画像読取部1、画像処理部3とは異なる特有の構成を有する。
まず、画像読取部1aは、プラテンガラス上に載置された原稿Gを光源によって照明し、原稿Gからの反射光像を縮小光学系を介してCCD等から成る画像読取素子上に走査露光して、この画像読取素子によって原稿Gの色材反射光像を所定のドット密度で読取る際に、原稿Gの色材反射光像を、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の原稿反射率データとして画像処理部3aに送出する機能構成を有する。
その際、発泡トナー情報付与部2は、プリント領域指定部5から指定される通常プリント指定領域及び立体プリント指定領域のうち、立体プリント指定領域の画素に対して発泡トナー情報を上記原稿反射率データ(但し、実施例2では、3色原稿反射率データ)に付与する点は、実施例1と同様である。
また、画像処理部3aは、発泡トナー情報付与部2から送られてくる3色原稿反射率データを取り込み、該原稿反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理を施し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の原稿色材階調データを生成する。
図8は、実施例2に係わる画像形成装置の画像処理部3aの機能構成を示すブロック図である。
図8に示すように、画像処理部3aは、情報分離部30、明度/色空間変換部32、色変換部33、階調補正部34、出力信号合成部35、発泡トナー情報処理部36を具備して構成される。このうち、発泡トナー情報処理部36は、実施例1に係わる画像処理部3の対応部分と同様の機能を果たすものである。
画像処理部3aにおいて、情報分離部30には、画像読取部1で読取られた赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の原稿反射率データに、立体プリント指定部5からの立体プリント指定に応じて発泡トナー情報付与部2により発泡トナー情報が付与された画像データが入力される。
情報分離部30は、入力画像データから3色原稿反射率データを分離して明度/色空間変換部32に入力すると共に、発泡トナー情報と画像情報を発泡トナー情報処理部36の立体プリント領域判別部361に入力する。
明度/色空間変換部32に入力された原稿反射率データは、当該明度/色空間変換部32でL*a*b*信号に変換された後、色変換部33で色変換され、更に階調補正部34で階調補正されることにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の原稿色材階調データとして生成され、出力信号合成部35に送られる。
一方、発泡トナー情報処理部36では、情報分離部30から入力する上記原稿反射率データ中の着目画素毎に発泡トナー情報が付与されているどうかをチェックし、該発泡トナー情報が付与されている場合には、該発泡トナー情報に含まれる高さ情報に応じて、後述する画像形成部4の立体画像形成部4H1,4H2,4H3に入力する発泡トナー信号〔図9(e),(f),(g)にそれぞれ示す、発泡トナーH1成分画像信号,発泡トナーH2成分画像信号,発泡トナーH3成分画像信号〕を生成する。
より具体的には、発泡トナー情報処理部36の立体プリント判別部361では、信号分離部30から入力する発泡トナー情報と画像情報のうち、発泡トナー情報を参照して、注目画素が立体プリント指定領域(発泡トナー使用領域)内の画素であるか否かを判別する。
ここで、立体プリント指定領域内の画素であると判別された場合、立体プリント領域判定部361は、該発泡トナー情報を立体高さ判定部362に送出する。
立体高さ判定部362では、発泡トナー情報に含まれる高さ情報から高さを判別し、該判別した高さを発泡トナー信号生成部363に通知する。
発泡トナー信号生成部363は、立体高さ判定部362から通知される立体高さを元に、当該立体高さに対応する成分の各画像信号(立体画像形成部4H1,4H2,4H3に各々対応する発泡トナー信号)を当該画素に対応して生成し、出力信号合成部35に送出する。
出力信号合成部35は、明度/色空間変換部32、色変換部33、階調補正部34を経て生成されたY,M,C,K各成分の画像信号(4色階調データ)と、発泡トナー信号生成部363で生成された各発泡トナーH1,H2,H3成分の画像信号(発泡トナー信号)とを対応画素位置に合成し、該合成信号(プリント画像データ)を画像形成部4aに送出する。
画像形成部4aでは、各画像形成部4Y,4M,4C,4K,4H1,4H2,4H3毎に、上記合成信号から当該各画像形成部に対応する各成分の画像信号が分離されてそれぞれ該当する各露光部部41Y,41M,41C,41K,41H1,41H2,41Hに入力される。
以後、画像形成部4aでは、電子写真プロセス、すなわち、各画像形成部部4Y,4M,4C,4K,4H1,4H2,4H3での露光、現像、転写の各プロセス、並びに、中間転写ベルト45から記録用紙48への二次転写とその後の定着プロセスを経て、発泡トナーがベースとなったカラー立体画像と発泡トナーがベースに無い通常カラー画像が混在する画像を記録用紙48上に形成する。
この画像形成処理において、上記立体画像の形成を担う立体画像形成部41H1,41H2,41H3では、実施例1と同様、各現像部44H1,44H2,44H3において、それぞれ異なる発泡率を有する発泡トナーH1,H2,H3を用いて静電潜像の現像を行う。
これにより、当該各立体画像形成部41H1,41H2,41H3に、それぞれ、同量の発泡トナー量で上記現像を行うような発泡トナー信号が入力されたとしても、発泡率の低い発泡トナーを用いて現像された発泡トナー画像を元に形成されたカラー立体画像に対して、発泡率の高い発泡トナーを用いて現像された発泡トナー画像を元に形成されたカラー立体画像の方がより高い立体画像となり、結果としては、高さが異なる立体画像が混在するカラー立体画像印刷を行えるようになる。
この実施例2に係わる画像形成装置についても、図3に示すような原稿Gの複写を行う場合の画像処理を検証してみる。
この場合も、ユーザは、立体プリント指定部5を用い、実施例1と同様、立体プリント領域として図3における原稿Gの各オブジェクトOa,Ob,Ocを指定し、かつ当該各オブジェクトOa,Ob,Ocについての所望の高さ例えばh1、h2、h3を指定したものとする。
上記立体プリントの指定(立体プリント領域及びその高さの指定)後、複写開始操作がなされると、画像読取部1aにより原稿Gの画像が読取られ、該読取られた原稿Gの画像情報(3色原稿反射率データ)が画像処理部3に送出される。
その際、発泡トナー情報付与部2は、上記立体プリント指定部5によって立体プリント領域として指定された領域(オブジェクトOa,Ob,Oc)の各画素について、発泡トナーを付与することを示す情報と、同じく立体プリント指定部5によって指定された当該立体プリント領域の高さを示す情報を含む発泡トナー情報を付与し、当該発泡トナー情報付与後の画像情報を画像処理部3aに入力する。
画像処理部3aは、発泡トナー情報付与部2から入力される上記発泡トナー情報付与後の画像情報を元に、各画像形成部4Y,4M,4C,4K,4H1,4H2,4H3に入力するための画像信号を生成する画像処理を行う。
図9は、画像処理部3aにおける画像処理イメージを示す概念図である。
この例において、画像処理部3aは、画像形成部4Yに入力するための画像信号として、図9(a)に示すように、入力画像情報中の全オブジェクトの画像に対応するY(イエロー)成分の画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、画像形成部4Mに入力するための画像信号として、図9(b)に示すように、入力画像情報中の全オブジェクトの画像に対応するM(マゼンタ)成分の画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、画像形成部4Cに入力するための画像信号として、図9(c)に示すように、入力画像情報中の全オブジェクトの画像に対応するC(シアン)成分の画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、画像形成部4Kに入力するための画像信号として、図9(d)に示すように、入力画像情報中の全オブジェクトの画像に対応するK(ブラック)成分の画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOc、高さ=h1)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H1に入力するための画像信号として、図9(e)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトOcを含む画像に対応した画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOa、高さ=h2)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H2に入力するための画像信号として、図9(f)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトOaを含む画像に対応した画像信号を生成する。
また、画像処理部3aは、図3に示した立体プリント指示(立体プリント領域=オブジェクトOb、高さ=h3)に対応する発泡トナー情報に基づき、立体画像形成部4H3に入力するための画像信号として、図9(g)に示すように、入力画像情報中のオブジェクトObを含む画像に対応した画像信号を生成する。
このように、画像処理部3aは、入力画像情報中の発泡トナー情報が付与された画素(オブジェクトOa,Obo,Oc)については、当該発泡トナー情報中に含まれる高さ情報(h1,h2,h3)に基づき、当該高さ情報に対応する高さの立体画像を形成し得る画像形成部4H1,4H2,4H3用の画像信号を生成し、これら画像信号を画像形成部4Y,4M,4C,4K用の各画像信号と合成して画像形成部4aに送出する。
画像形成部4aでは、各画像形成部部4Y,4M,4C,4K,4H1,4H2,4H3が、上記画像処理部3aから送出された合成画像信号から自画像形成部に相当する成分の画像信号をそれぞれ取り込み、周知の電子写真プロセスを経て画像形成の処理を行う。
図10は、図3における原稿Gを同図に示す立体プリント指示に基づき複写する場合における画像形成部4aの転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図である。
図10において、同図(a)〜(g)は、それぞれ、画像形成部4Y,4M,4C,4K,4H1,4H2,4H3における一次転写プロセスを示し、同図(h)は転写部46における二次転写プロセスを示し、同図(i)は定着部47における定着プロセスを示している。
また、図10において、A,B,C,Dはそれぞれ着目画素であり、具体的には、それぞれ、図3における原稿画像中のオブジェクトOa,Ob,Oc,Odの各領域内の画素に相当する。
図10に示す転写、定着プロセスについては、初めに、画像形成部4Yにおいて、画素A,B,C,Dの全画素のY成分画像信号に基づく静電潜像に対してイエロー(Y)トナーによる現像が行われ、該イエロートナー像が図10(a)に示す態様で中間転写ベルト45上に転写される。
次に、画像形成部4Mにおいて、画素A,B,C,Dの全画素のM成分画像信号に基づく静電潜像に対してマゼンタ(M)トナーによる現像が行われ、該マゼンタトナー像が図10(b)に示す態様で中間転写ベルト45上に転写される。
次に、画像形成部4Cにおいて、画素A,B,C,Dの全画素のC成分画像信号に基づく静電潜像に対してシアン(C)トナーによる現像が行われ、該シアントナー像が図10(c)に示す態様で中間転写ベルト45上に転写される。
次に、画像形成部4Kにおいて、画素A,B,C,Dの全画素のK成分画像信号に基づく静電潜像に対してブラック(K)トナーによる現像が行われ、該黒色トナー像が図10(d)に示す態様で中間転写ベルト45上に転写される。
次に、立体画像形成部4H1において、画素Cの静電潜像に対して、発泡率a1の発泡トナーH1による現像が行われ、該発泡トナー(H1)像が図10(e)に示すように、図10(a)〜(d)を経て既に多重転写された当該画素Cに相当する多色転写トナー像の上に転写される。
次に、立体画像形成部4H2において、画素Aの静電潜像に対して、発泡率a2の発泡トナーH2による現像が行われ、該発泡トナー(H2)像が図10(f)に示すように、図10(a)〜(d)を経て既に多重転写された当該画素Aに相当する多色転写トナー像の上に転写される。
次に、立体画像形成部4H3において、画素Bの静電潜像に対して、発泡率a3の発泡トナーH3による現像が行われ、該発泡トナー(H3)像が図10(g)に示すように、図10(a)〜(d)を経て既に多重転写された当該画素Bに相当する多色転写トナー像の上に転写される。
次に、二次転写プロセス〔図10(h)〕に進むと、図10(a)〜(g)の転写プロセスで中間転写ベルト45上に多重転写されたトナー像が、その積層順が反転されて記録用紙48上に転写される。
更に、定着プロセス〔図10(i)〕では、立体プリント指示された領域内の画素A,B,Cについては、それぞれ、最下層の発泡トナーH1,H2,H3がそれぞれ発泡しかつその上に各多色多重転写トナーが溶融、定着されてカラー立体画像が形成される。
また、この定着プロセス〔図10(i)〕において、立体プリント指示のなされなかった領域内の画素Dについては、図10(d)で中間転写ベルト45に転写され、更に図10(h)で記録用紙48に転写されたトナー(この例では、黒色トナー)が溶融、定着されて通常の(平面的な)画像が形成される。
上記定着プロセス〔図10(i)〕を経て形成された画素A,B,Cに対応するカラー立体画像に着目すると、それぞれ、最下層の発泡トナーH1,H2,H3が発泡し、その発泡の具合によって当該各画素A,B,Cの立体画像の高さを決めている。
本発明では、上述したように、発泡トナーH1,H2,H3は、その発泡率a1,a2,a3に関して、a1>a2>a3なる関係を有している。
これにより、上記定着プロセス後に記録用紙48上に形成される各画素A,B,Cに対応するカラー立体画像の高さh1、h2、h3は、h1>h2>h3の関係となり、高さの異なるカラー立体画像が形成されることとなる。
つまり、図3に示す原稿Gを読取った画像に基づき、図10に示した電子写真プロセスを経て記録用紙48上に形成された画像の概念断面構成も、実施例1と同様、図6に示すような高さ関係となる。
但し、この場合には、原稿G中の各オブジェクトOa,Ob,Ocがそれぞれ高さh2,h3,h1を有するカラー立体画像として印刷され、これにより、それぞれ異なる高さのカラー立体画像が混在する立体印刷出力結果が得られる。
上述した実施例1,実施例2に係わる画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた複数の画像形成装置をタンデムに並べて(縦列配置して)画像を形成するものであるが、本発明は、このタイプに限らず、電子写真プロセスを用いて多サイクルで多層の画像形成を行う画像形成装置にも適用可能である。
実施例3に係わる画像形成装置は後者のタイプのものであり、特に、多サイクルで白黒立体画像を形成するものである。
図11は、実施例3に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図である。
この画像形成装置は、例えば、複写機であり、画像読取部1、発泡トナー情報付与部2、画像処理部3、立体プリント指定部5、制御部6及び画像形成部7を備えて構成される。
このうち、画像読取部1、発泡トナー情報付与部2、画像処理部3、立体プリント指定部5は、それぞれ、実施例1に係わる画像形成装置(図1参照)の対応する各部と同等のものである。
この画像形成装置において、画像形成部7は、感光体71の周面に、帯電部72、露光部73、複数の現像部74(74H1,74H2,74H3,74K)、中間転写体75、クリーニング部76を配置して構成される。
また、中間転写体75の周面の上記感光体71とは反対側の位置には、該中間転写体75表面に各サイクル毎に転写されるトナー像を記録用紙80に転写する転写部77が設けられ、更に、転写部77の右方には加熱ロール781及び加圧ロール782から成る定着部78が設けられている。
現像部74のうち、立体現像部74H1,74H2,74H3は、現像剤として、それぞれ、発泡率の異なる発泡トナー(この例では、H1,H2,H3)を充填したものであり、各発泡トナー成分の画像信号に基づき感光体71上に形成される静電潜像を各々発泡トナーH1,H2,H3を用いて発泡トナー像として現像する。
また、現像部74Kは、現像剤として黒色トナーを充填したものであり、黒成分の画像信号に基づき感光体71上に形成される静電潜像を当該黒色トナーを用いて黒色トナー像として現像する。
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
この画像形成装置の画像形成動作は、基本的には、この種の一般的なカラー画像形成装置における画像形成プロセスを踏襲して実現される。
但し、この種の一般的なカラー画像装置では、露光、現像、転写の各プロセスを各色に対応したサイクルで行って各色のトナー像を記録用紙80に積層していき、該各色多層トナー像を定着させてカラー画像化するのに対して、本実施例の画像形成装置では、上記各色の露光、現像、転写プロセスの代わりに、それぞれ、発泡トナーH1,H2,H3及び黒色(K)トナーによる露光、現像、転写プロセスを実施してこれら各発泡トナー像及び黒色トナー像を記録用紙80に積層し、該各発泡トナー及び黒色トナーから成る積層トナー像を定着する過程で各発泡トナーを発泡させることにより白黒立体画像を形成する。
この画像形成装置において、例えば、図3に示す原稿Gを同図に示す立体指示条件で複写する場合の動作を考える。
この場合、画像処理部3から画像形成部7の露光部73に対しては、各サイクル毎に、例えば、図4(b),同図(c),同図(c),同図(a)に示すような各成分(発泡トナーH1成分,同H2成分,同H3成分,K成分)の画像信号が順次入力される。
これにより、最初の(第1の)サイクルでは、露光部73は、画像処理部3から入力される発泡トナーH1成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71(予め、クリーニング部76で残存トナーが除去され、帯電部72で一様に帯電される)上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H1で発泡トナーH1を用いて発泡トナーH1像として現像される。
次いで、この発泡トナーH1像は、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80(図示しない給紙トレイから矢印a方向に搬送されてくる)に転写される。
この発泡トナーH1像が転写された記録用紙80は、その後、矢印b方向とa方向に反復搬送されて、後述する第2〜第4のサイクルにおける発泡トナーH2像、発泡トナーH3像及び黒色トナー像の転写を受ける。
すなわち、第2のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3から入力される発泡トナーH2成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H2で発泡トナーH2を用いて発泡トナーH2像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
続いて、第3のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3から入力される発泡トナーH3成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H3で発泡トナーH3を用いて発泡トナーH3像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
更に、第4のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3から入力されるK(黒色)成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、現像部74Kで黒色トナー(K)を用いて黒色トナー像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
上記プロセスによれば、第4のサイクルを終えた時点で、記録用紙80上には、発泡トナーH1像、発泡トナーH2像、発泡トナーH3像及び黒色トナー像が、例えば、図5(e)に示すような態様で多層状態に転写される。
第1〜第4のサイクルで発泡トナーH1像、発泡トナーH2像、発泡トナーH3像及び黒色トナー像が多層状態〔図5(e)参照〕に転写された記録用紙80は、その後、定着部78まで搬送され、加熱ロール781と加圧ロール782のニップ部を通過して図示しない排出トレイに排出される。
このプロセスにおいて、記録用紙80上の多層トナー像は、加熱ロール781と加圧ロール782のニップ部を通過する際に該記録用紙80上に定着されると共に、発泡トナーH1,H2,H3がぞれぞれ発泡し、例えば、図5(f)に示すような態様で立体画像化する。
特に、本実施例では、発泡トナーH1,H2,H3はそれぞれ発泡率a(H1:a=a1,H2:a=a2,H3:a=a3)が異なっているため、発泡後の高さはそれぞれ異なった値となる〔図5(f)参照〕。これにより、記録用紙80上に高さの異なる白黒立体画像が混在する立体印刷出力結果が得られる。
実施例4に係わる画像形成装置は、実施例3と同様、電子写真プロセスを用いて多サイクルで多層の画像形成を行うものであり、特に、カラー立体画像を形成可能な複写機である。
図12は、実施例3に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図であり、図7及び図11の対応各部と同一の機能を果たすものには同一の符号を付している。
この画像形成装置は、画像読取部1a、発泡トナー情報付与部2、画像処理部3a、立体プリント指定部5、制御部6及び画像形成部7aを有するが、このうち、画像読取部1a、発泡トナー情報付与部2、画像処理部3a、立体プリント指定部5は、それぞれ、実施例2に係わる画像形成装置(図7参照)の対応する各部と同等のものである。
この画像形成装置において、画像形成部7aは、実施例3に係わる画像形成装置(図11参照)の画像形成部7の構成に対して、更に、現像部74Y,74M,74Cを付加した構成を有する。
これら現像部74Y,74M,74Cは、現像剤として、それぞれ、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色トナーを充填したものであり、それぞれ、Y成分,M成分,C成分の画像信号に基づき感光体71上に形成される静電潜像を該当する各色(Y,M,C)のトナー像として現像する。
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
この画像形成装置の画像形成動作は、基本的には、実施例3に係わる画像形成装置(図11参照)と同様であるが、特に、実施例3に係わる画像形成装置の発泡トナーH1成分,発泡トナーH2成分,発泡トナーH3成分及びK成分の画像形成サイクルに、更に、Y,M,Cの各色成分の画像形成サイクルが加わる。
この画像形成装置において、例えば、図3に示す原稿Gを同図に示す立体指示条件で複写する場合の動作を考える。
この場合、画像処理部3aから画像形成部7aの露光部73に対しては、各サイクル毎に、例えば、図9(e),同図(f),同図(g),同図(a),同図(b),同図(c),同図(d)に示すような各成分(発泡トナーH1成分,同H2成分,同H3成分,Y成分,M成分,C成分,K成分)の画像信号が順次入力される。
これにより、最初の(第1の)サイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力される発泡トナーH1成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71(予め、クリーニング部76で残存トナーが除去され、帯電部72で一様に帯電される)上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H1で発泡トナーH1を用いて発泡トナーH1像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80(図示しない給紙トレイから矢印a方向に搬送されてくる)に転写される。
この発泡トナーH1像が転写された記録用紙80は、その後、矢印b方向とa方向に反復搬送されて、後述する第2〜第7のサイクルにおける発泡トナーH2像、発泡トナーH3像,Yトナー像,Mトナー像,Cトナー像及び黒色(K)トナー像の転写を受ける。
すなわち、第2のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力される発泡トナーH2成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H2で発泡トナーH2を用いて発泡トナーH2像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
続いて、第3のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力される発泡トナーH3成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、立体現像部74H3で発泡トナーH3を用いて発泡トナーH3像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
続いて、第4のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力されるY成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、現像部74YでYトナーを用いてYトナー像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
続いて、第5のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力されるM成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、現像部74MでMトナーを用いてMトナー像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
続いて、第6のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力されるC成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、現像部74CでCトナーを用いてCトナー像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
更に、第7のサイクルでは、露光部73は、画像処理部3aから入力されるK(黒色)成分の画像信号に基づき露光走査を行って感光体71上に当該画像信号に対応した静電潜像を形成する。
この静電潜像は、現像部74Kで黒色トナー(K)を用いて黒色トナー像として現像された後、感光体71から中間転写体75に転写され、更に、転写部77により該中間転写体75から記録用紙80に転写される。
上記プロセスによれば、第7のサイクルを終えた時点で、記録用紙80上には、発泡トナーH1像、発泡トナーH2像、発泡トナーH3像、Y色トナー像、M色トナー像、C色トナー像及び黒色トナー像が、例えば、図10(h)に示すような態様で多層状態に転写される。
第1〜第7のサイクルで発泡トナーH1像、発泡トナーH2像、発泡トナーH3像、Y色トナー像、M色トナー像、C色トナー像及び黒色トナー像が多層状態〔図10(h)参照〕に転写された記録用紙80は、その後、定着部78まで搬送され、加熱ロール781と加圧ロール782のニップ部を通過して図示しない排出トレイに排出される。
このプロセスにおいて、記録用紙80上の多層トナー像は、加熱ロール781と加圧ロール782のニップ部を通過する際に該記録用紙80上に定着される。
この定着プロセスにおいて、上記多層トナー像のうちの、最下層より上層の各色トナー像が混合されてカラー画像化すると共に、最下層の発泡トナーH1,H2,H3像がぞれぞれ発泡し、例えば、図10(i)に示すような態様でカラー立体画像化する。
特に、本実施例では、発泡トナーH1,H2,H3はそれぞれ発泡率a(H1:a=a1,H2:a=a2,H3:a=a3)が異なっているため、発泡後の高さはそれぞれ異なった値となる〔図10(i)参照〕。これにより、記録用紙80上に高さの異なるカラー立体画像が混在する立体印刷出力結果が得られる。
上記各実施例を挙げて説明したように、本発明では、それぞれ発泡率が異なる発泡性の現像剤(発泡トナーH1,H2,H3)を充填し、像担持体〔感光体ドラム42H1,42H2,42H3(図1,図7参照)、または感光体71(図11,図12参照)〕上に形成された各発泡性現像剤成分の静電潜像を、各々対応する発泡性現像剤を用いて発泡性現像剤像(発泡トナー像)として現像する複数の立体像現像手段〔立体現像部44H1,44H2,44H3(図1,図7参照)、または立体現像部74H1,74H2,74H3(図11,図12参照)〕を設け、印刷対象の画像情報から、上記各立体像現像手段の各々に充填された発泡性現像剤成分の画像信号を生成し、該画像信号に基づき露光手段〔露光部41H1,41H2,41H3(図1,図7参照)、または露光部73(図11,図12参照)〕により露光を行って、それぞれ対応する発泡性現像剤成分の静電潜像を像担持体上に形成すると共に、該像担持体上に形成された各発泡性現像剤成分の潜像を、当該発泡性現像剤成分に対応する上記各立体像現像手段でそれぞれ発泡性現像剤像として現像するものである。
この構成によれば、各立体像現像手段により現像された発泡トナーH1,H2,H3による発泡トナー像を記録媒体に転写してそれぞれの発泡トナーH1,H2,H3が持つ発泡率a1,a2,a3で発泡せしめることにより各々高さの異なる(複数の高さの)立体画像を形成することができる。
これにより、記録媒体上に高さが各々異なる立体画像(図6参照)が混在することになり、ユーザ(読み手)に対してよりインパクトのある立体画像印刷物を提供することができる。
なお、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
例えば、上記各実施例におけるプリント領域指定部5の実現に関しては、ユーザインタフェース(UI)を備え、ユーザが立体プリント領域または通常プリント指定領域を指示できるような機能を付加することも可能である。
例えば、図1,図7,図11,図12に示す画像形成装置の入力操作部(図示せず)の操作画面上に領域指定モード画面を表示し、この画面上で立体プリントすべき領域の属性(画像部、枠、文字部等)を選択させ、該属性情報を発泡トナー情報付与部2に入力する構成が考えられる。
この場合、発泡トナー情報付与部2は、画像読取部1または1aから入力する原稿反射率データから当該属性に合致する領域を抽出し、該領域内の画素に対して上述した発泡トナー情報を付与する機能構成により実現できる。
また、本発明の画像形成装置に外部インタフェースを設け、情報処理端末(パソコン)やデジタルカメラ等の外部機器から上記外部インタフェースを介して画像データを取り込み、該画像データに上述した画像処理を施したうえで、発泡トナーによる立体画像を含む画像をプリントする構成とすることもできる。
特に、パソコンから取り込んだ画像データをプリントする場合は、上記プリント領域指定部5に相当するプリント領域指定機能として、例えば、パソコンの表示画面にプリント対象の画像を表示し、キーボードやマウス等の入力装置を用いて当該画像の中の立体プリントしようとする領域を指定するようにしても良い。
この場合、発泡トナー情報付与部2としては、パソコンから入力する画像データから上記立体プリント領域に指定された領域内の画素を抽出し、当該画素に対して上述した発泡トナー情報を付与する機能構成により実現できる。
また、上記各実施例では、複写機を前提とした画像形成装置について述べたが、本発明に係わる画像形成装置は、プリンタ等にも適用できるものである。この場合におけるプリンタの構成は、例えば、図1における画像形成装置(複写機)から画像読取部1を削除し、代わりに、パソコン等の情報処理端末から画像データを取り込むインタフェース機能を設けることにより実現できる。
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に適用でき、高さが異なる立体画像が混在した立体画像を記録媒体上に印刷出力することで、ユーザにとってよりインパクトのある立体画像印刷を実現できる。
実施例1に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図。
実施例1に係わる画像処理部の構成を示すブロック図。
原稿の構成とその立体プリント領域及び高さ指定方法を示す図。
実施例1に係わる画像処理部における画像処理イメージを示す概念図。
実施例1に係わる転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図。
図5のプロセスを経て記録用紙上に形成された画像の概念側面構成を示す図。
実施例2に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図。
実施例2に係わる画像処理部の構成を示すブロック図。
実施例2に係わる画像処理部における画像処理イメージを示す概念図。
実施例2に係わる転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図。
実施例3に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図。
実施例4に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図。
符号の説明
1,1a…画像読取部、2…発泡トナー情報付与部、3,3a…画像処理部、30…情報分離部、31…信号変換部、32…明度/色空間変換部、33…色変換部、34…階調補正部、35…出力信号合成部、36…発泡トナー情報処理部、361…立体プリント領域判定部、362…立体高さ判定部、363…発泡トナー信号生成部、4,4a…画像形成部、4Y,4M,4C,4K…非立体画像形成部、4H1,4H2,4H3…立体画像形成部、41Y,41M,41C,41K,41H1,41H2,41H3…露光部、42Y,42M,42C,42K,42H1,42H2,42H3…感光体ドラム、43Y,43M,43C,43K,43H1,43H2,43H3…帯電部、44Y,44M,44C,44K,44H1,44H2,44H3…現像部、45…中間転写ベルト、46…転写部、47…定着部、48…記録用紙、5…立体プリント指定部、6…主制御部、7,7a…画像形成部、71…感光体、72…帯電部、73…露光部、74H1,74H2,74H3…立体現像部、74Y,74M,74C,74K…現像部、75…中間転写体、76…クリーニング部、77…転写部、78…定着部、781…加熱ローラ、782…加圧ローラ、80…記録用紙