JP4228620B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を適用し、発泡トナーを用いて立体的な画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置に関し、特に、通常カラー画像を形成する場合と、発泡トナー上にカラー画像を形成する場合の画像の発色を一致させる色変換機能を有する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式や静電記録方式によるプリンタや複写機等の画像形成装置は、白黒やフルカラーの文字や図形、あるいは写真等の画像を、記録用紙等の記録媒体上に平面的に形成し、この記録媒体上に形成された画像を視覚的に認識して、所望の情報を伝達するために用いられるのが一般的であった。
【0003】
これに対し、三次元的に画像情報を表現することができれば、臨場感や現実感を増す効果もあるうえ、触覚情報なども利用することが可能になる。
【0004】
点字等の文字情報や地形を表す地図などの画像情報として、電子写真方式により立体プリントを行う技術として、特願平10−304458号公報や、特開2001−134006号公報等に記載の技術が知られている。
【0005】
これら公報記載の立体的な画像の形成方法は、例えば電子写真記録プロセスの中で、発泡トナー像の上に所定の色の色材を含有するトナー像を載せていき、定着工程での加熱により発泡トナー像を発泡させたうえでその上に載せられた各色トナー像を溶融・固着させることで立体的な画像としている。
【0006】
一方、通常の方法で記録媒体上にカラー画像を形成する場合、所定の色のトナーを、画像情報に応じて応じて記録媒体上に溶融・固着させて多色トナーを混合させてカラー画像として定着させるものであり、ベース部分に発泡トナーを載せていないために、記録媒体上にあくまでも平面的に形成されるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図10は、従来の画像形成装置において、通常の方法で記録媒体上に形成されたカラー画像(通常プリント画像)と、発泡トナー上に各色トナーを定着させて記録媒体上に形成された立体的なカラー画像(立体プリント画像)を比較する概念断面構造図である。
【0008】
ここで、図10(a)に示す通常プリント画像は記録用紙上に平面に定着されているために当該画像からの反射光(実線矢印で示す)は散乱が少ないのに対して、図10(b)に示す立体プリント画像では記録用紙上に載せられた発泡トナーが発泡して凹凸を生じた部分に通常トナーによるカラー画像が定着されるため、当該画像からの反射光(実線矢印で示す)が乱反射する傾向にある。
【0009】
このため、これら通常プリント画像と立体プリント画像がたとえ同じ色であっても見た目に発色の違いが生じ、プリント画質を低下せしめるという問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解消し、発泡トナーが載らない通常プリント画像と発泡トナーが載った立体プリント画像の発色が一致する良好なプリント画質を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、画像情報に応じて発泡トナー成分及び各色成分毎に静電潜像を形成し、該静電潜像をそれぞれ対応する発泡トナー及び各色成分のトナーによりトナー像として現像し、該発泡トナー像及び各色のトナー像を記録媒体に転写、定着させる際に最下層の発泡トナー像を発泡させ上層の各色のトナー像を混合発色させて立体プリント像を形成する画像形成装置において、前記画像情報に対して発泡トナーを用いた立体プリント領域および非立体プリント領域の別を指定する指定手段と、前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域の画素に前記発泡トナー成分に対応する階調情報を付与する付与手段と、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じた色変換を施し、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じた色変換を施す色変換手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記色変換手段は、発泡トナー成分の階調情報の値に応じてそれぞれ異なる所望の発色が得られる複数の色変換係数のうち、色変換対象の前記画素に付与される発泡トナー成分の階調情報の値に対応する色変換係数を用いて該画素に前記色変換を施すことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、前記色変換手段は、発泡トナー成分の階調情報の値に応じてそれぞれ異なる所望の発色が設定された複数の色変換係数を登録する色変換係数テーブルを有し、前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素に対し、該画素に付与される前記発泡トナー成分の階調情報の値に対応して前記色変換係数テーブルに登録される前記色変換係数を用いて前記色変換を施すことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、画像情報に応じて発泡トナー成分及び各色成分毎に静電潜像を形成し、該静電潜像をそれぞれ対応する発泡トナー及び各色成分のトナーによりトナー像として現像し、該発泡トナー像及び各色のトナー像を記録媒体に転写、定着させる際に最下層の発泡トナー像を発泡させ上層の各色のトナー像を混合発色させて立体プリント像を形成する画像形成装置において、前記画像情報に対して発泡トナーを用いた立体プリント領域および非立体プリント領域の別を指定する指定手段と、前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域の画素に前記発泡トナー成分に対応する階調情報を付与する付与手段と、前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域と非立体プリント領域として指定された領域での同じ色域を使用可能に色域を制限する色域制限手段と、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じ、前記前記色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施し、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じ、前記前記色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施す色変換手段とを具備することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図である。
【0021】
この画像形成装置は、例えば複写機として用いられるもので、原稿上の画像を読取る画像読取部1、画像読取部1で読取られた画像情報中の立体プリント指定領域の画素に対して発泡トナー情報を付与する発泡トナー情報付与部2、発泡トナー情報が付与された画像情報に対して立体プリント指定領域及び通常プリント領域(非立体プリント領域)毎に画像情報に対して異なる色処理を行う画像処理部3、画像処理部3での画像処理により生成された画像情報に応じて通常プリント画像と立体プリント画像をプリントする画像形成部4、立体プリント領域と通常プリント領域を指定するプリント領域指定部5、装置全体の制御を行う主制御部6、複写動作や各種動作に係わる指令等の入力操作を行う入力操作部7により構成される。
【0022】
画像読取部1は、プラテンガラス上に載置された原稿を光源によって照明し、原稿からの反射光像を縮小光学系を介してCCD等からなる画像読取素子上に走査露光して、この画像読取素子によって原稿の色材反射光像を所定のドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取る。
【0023】
原稿読取部1によって読み取られた原稿の色材反射光像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理部3に送られる。
【0024】
その際、発泡トナー情報付与部2は、プリント領域指定部5から指定される通常プリント指定領域及び立体プリント指定領域のうち、立体プリント指定領域の画素に対して発泡トナー情報を上記原稿反射率データに付与する。
【0025】
なお、発泡トナー情報は、発泡トナーを使用しない場合には“0”の値がセットされ、発泡トナーが使用される場合には、調整したいレベル数を用いて8bitの離散的な値がセットされる。もしくは、発泡トナーを使用する場合には“1”の値、また、発泡トナーを使用しない場合には“0”の値がセットされるフラグ情報から構成してもよい。
【0026】
画像処理部3は、発泡トナー情報付与部2から送られてくる原稿反射率データを取り込み、該原稿反射率データに対して、シェーデイング補正、位置ズレ補正、L*a*b*色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の所定の画像処理を施し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)(各8bit)の4色の原稿色材階調データ並びに発泡トナー階調データ(発泡トナー量情報)を生成する。
【0027】
また、画像処理部3は、後で詳述するように、上記原稿反射率データ中の着目画素毎に発泡トナー情報が付与されているどうかをチェックし、該発泡トナー情報が付与されている否か(立体プリント領域か通常プリント領域か)によって、それぞれ、異なる色変換処理を施す。そして、この色変換後の画像データを階調補正等の処理を行った後に、画像形成部4に送出する。
【0028】
画像形成部4は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー(通常トナー:非発泡トナー)像並びに発泡トナー(H)像を形成可能な画像形成手段であり、上記各色トナー及び発泡トナーに対応して、それぞれ、レーザにより画像露光を行う露光部41Y,41M,41C,41K,41H、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H、静電潜像の形成前に感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hを帯電する帯電部43Y,43M,43C,43K,43H、感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に形成された静電潜像を現像して色の異なる複数のトナー像あるいは発泡トナー像を形成する現像部44Y,44M,44C,44K,44Hを備える。
【0029】
更に、画像形成部4には、現像部44Y,44M,44C,44K,44Hで現像された4色のトナー像及び発泡トナー像を多重転写(一次転写)する中間転写ベルト45と、この中間転写ベルト45に多重転写されたトナー像を記録用紙48に転写(二次転写)する転写部46と、該転写部46によって上記トナー像が転写された記録用紙48上に当該トナー像を定着する定着部47を有する。
【0030】
画像処理部3における上記画像処理により生成された、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)(各8bit)の4色の原稿色材階調データ及び発泡トナー階調データは画像形成部4のそれぞれ該当する露光部41Y,41M,41C,41K,41Hに送られる。
【0031】
露光部41Y,41M,41C,41K,41Hは、それぞれ対応する原稿色材階調データあるいは発泡トナー階調データに応じてレーザー光による画像露光を行う。
【0032】
具体的には、図示しない半導体レーザーを上記各色(Hも含まれる)階調データに応じて変調し、この半導体レーザーからレーザー光LBを階調データに応じて出射する。この半導体レーザーから出射されたレーザー光LBは、図示しない回転多面鏡によって偏向走査され、図示しないf・θレンズ及び反射ミラーを介して像担持体としての感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に走査露光される。
【0033】
露光部41Y,41M,41C,41K,41Hによってレーザー光LBが走査露光される感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hは、図示しない駆動手段によって矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動されるようになっている。
【0034】
この感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hの表面は、予め一次帯電用のスコロトロン(帯電部)43Y,43M,43C,43K,43Hによって所定の極性(例えば、マイナス極性)及び電位に帯電された後、原稿再現色材階調データに応じてレーザー光LBが走査露光されることによって静電潜像が形成される。
【0035】
上記感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hの表面は、例えば、−650Vに一様に帯電された後、画像部にレーザー光LBが走査露光されて、露光部分が−200Vとなる静電潜像が形成される。
【0036】
この感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に形成された静電潜像は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の現像部44Y,44M,44C,44K及び発泡トナー用の現像部44Hによって、例えば、感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hの帯電極性と同極性のマイナス極性に帯電したトナー(帯電色材)によって反転現像され、所定の色(発泡トナーを含む)のトナー像Tとなる。
【0037】
その際、上記各現像部44Y,44M,44C,44K,44Hの現像ロールには、例えば、−500Vの現像バイアス電圧が印加される。尚、上記感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に形成されたトナー像Tは、必要に応じて転写前帯電部(図示せず)によってマイナス極性の帯電を受け、電荷量が調整されるようになっている。
【0038】
感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に形成された各色(Hを含む)のトナー像Tは、当該感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hの下部に配置された中間転写ベルト45上に多重に転写される。
【0039】
この中間転写ベルト45は、所定の駆動手段により、感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42Hの周速と同一の移動速度で矢印方向に沿って回動可能に支持されている。
【0040】
中間転写ベルト45上には、形成する画像の色に応じて、感光体ドラム42Y,42M,42C,42K,42H上に形成されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の全て又はその一部のトナー像Tが、更には、立体画像を形成する発泡トナー信号に応じて感光体ドラム42Hに形成された発泡トナー像Tが順次重ね合わせた状態で転写される。
【0041】
この中間転写ベルト45上に転写されたトナー像Tは、転写部46において、所定のタイミングで搬送されてくる記録用紙48上に圧接力及び静電吸引力によって転写される。
【0042】
なお、記録用紙48は、この複写機本体内の配置された複数の記録媒体収容部材としての給紙カセット(図示せず)から、所定のサイズのものがフィードロールによって給紙され、更に、複数の搬送ロール及びレジストロール(図示せず)によって、所定のタイミングで中間転写ベルト45の2次転写位置(転写部46)まで搬送される。
【0043】
そして、転写部46において、記録用紙48には中間転写ベルト45上から所定の色のトナー像Tが一括して転写される。
【0044】
また、中間転写ベルト45上から所定の色のトナー像Tが転写された記録用紙48は、中間転写ベルト45から分離された後、定着部47へと搬送され、この定着部47の加熱ロール及び加圧ロールによって、熱及び圧力でトナー像Tが記録用紙48上に定着され、複写機本体の外部に排出されてカラー画像の形成工程が終了する。
【0045】
なお、画像形成部4では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーをそれぞれ収容する現像部44Y、44M、44C、44Kの他、発泡材を含有する白色の発泡性トナーを収容する発泡トナー用現像部44Hを備えている。
【0046】
この現像部44Hは、上述した現像工程において、中間転写ベルト45上に多重転写されるトナー像のうちの最後のトナー像つまり中間転写ベルト45の最上層に転写される発泡トナー像の現像を行う。
【0047】
従って、この中間転写ベルト45に多重転写されたトナー像をその後に記録用紙48に転写した場合には、多重転写トナー像の順番が逆転し、発泡トナー像が最下層に転写される。
【0048】
その後、記録用紙48に多重転写されたトナー像を定着部47により定着する際には、その時に加えられる定着熱により最下層の発泡トナーが発泡する。また、この発泡により立体化した発泡トナー上に多重転写される各色のトナー像は、この時のトナー色数に対応するカラー画像となって定着される。結果として、記録用紙48上には、発泡した発泡トナー上にカラー画像が定着された立体カラー画像が形成される。
【0049】
図2は、本発明に係わる画像形成装置の転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図である。
【0050】
ここで、図2(a)〜(e)は一次転写プロセスを示し、図2(f)は二次転写プロセスを示し、図2(g)は定着プロセスを示している。また、図2のA,Bはそれぞれ着目画素を示している。
【0051】
図2において、画素Aは立体プリント指定領域内の画素である。この画素Aは、一次転写プロセス〔図2(a)〜(e)〕においてY,M,C,K,Hの各トナー像が中間転写ベルト45上に順次多重転写され、次いで二次転写プロセス〔図2(f)〕では当該多重転写トナー層が反転して記録用紙48に転写され、更に定着プロセス〔図2(g)〕では最下層の発泡トナー(H)が発泡しかつその上に各色トナーが溶融、定着されて立体カラー画像が形成されている。
【0052】
画素Bは通常プリント指定領域内の画素である。この画素Bは、一次転写プロセス〔図2(a)〜(e)〕においてY,M,C,Kの各トナー像が中間転写ベルト45上に順次多重転写され、次いで二次転写プロセス〔図2(f)〕では当該多重転写トナー層が反転して記録用紙48に転写され、更に定着プロセス〔図2(g)〕では当該多重転写された各色トナーが溶融、定着されて通常の(平面的な)カラー画像が形成されている。
【0053】
本発明の画像形成装置では、図1、図2で説明したプロセスで通常プリント画像及び立体プリント画像を記録用紙48上にプリントする基本機能を有するが、当該プロセスにおいて、画像処理部3は、プリント領域指定部5により指定された立体プリント領域と通常プリント領域とでそれぞれ異なる色変換処理をプリント画像情報に対して行う。
【0054】
例えば、図2において、記録用紙48上に直接カラー画像を形成する通常プリント指定領域内の画素Bと、発泡トナー上にカラー画像を形成する立体プリント指定領域内の画素Aがある場合には、当該画素に対応する画像情報に対し、発泡トナー量に応じて色変換量を異ならせる色変換処理を施す。
【0055】
このように、通常プリント指定領域と立体プリント指定領域とでそれぞれ異なる色変換をプリント画像情報に対して行う画像処理機能について説明する。
【0056】
図3は、本発明の画像形成装置における第1の実施例に係わる画像処理部3の構成を示すブロック図である。
【0057】
この画像処理部3は、L*a*b*色空間変換部31、色変換部32、階調補正部33、色変換係数決定部35を具備して構成される。
【0058】
色変換係数決定部35は、発泡トナー形成領域判別部351、色変換係数選択部352、色変換係数記憶部353により構成される。
【0059】
色変換係数記憶部353には、立体プリント領域の画像情報の色変換に用いる色変換係数を記憶する色変換係数テーブル3531(以下、テーブル1と略称する)、通常プリント領域の画像情報の色変換に用いる色変換係数を記憶する色変換係数テーブル3532(以下、テーブル2と略称する)が記憶されている。
【0060】
図4(a)は上記テーブル1の構成例を示す図であり、図4(b)は上記テーブル2の構成例を示す図である。
【0061】
図4(a)に示すように、テーブル1はL*a*b*Hの信号からYMCKHの信号を生成するための色変換係数を記憶するものである。
【0062】
すなわち、L*a*b*Hが同図の左欄の値の時に、対応する右欄のYMCKHという値の色変換係数を使って色変換部32で色変換を行えば、この時に形成される立体カラー画像に関して所望の発色が得られるような、L*a*b*HとYMCKH(色変換変換係数:発色情報)の関係を対応付けたテーブルである。
【0063】
なお、このテーブル1において、L*a*b*H値中のHの値は、発泡トナー量を表す8bitから成る情報である。つまり、このテーブル1では、L*a*b*H値からYMCKH値を決定する場合に発泡トナー量(H)というパラメータが用いられる。
【0064】
一方、テーブル2は、図4(b)に示すように、L*a*b*の信号からYMCKの信号を生成するための色変換係数を記憶するものである。
【0065】
すなわち、L*a*b*が同図の左欄の値の時に、対応する右欄のYMCKという値の色変換係数を使って色変換部32で色変換を行えば、この時に形成される通常カラー画像に関して所望の発色が得られるような、L*a*b*とYMCK(色変換変換係数:発色情報)の関係を対応付けたテーブルである。
【0066】
上記テーブル1は、例えば、以下の手順により事前に生成することができる。
【0067】
まず、この画像処理装置を用いて、予め発泡トナー量Hを数段階(例えば、3〜9段階)変化させて、CMYK信号セットを画像形成部4に出力し、パッチ(テストプリント)を出力する。
【0068】
次に、出力したパッチを測色することにより、CMYK+H値とL*a*b*値とを関係づけるデバイス特性伝達モデルを作成する。このモデルの作成アルゴリズムはニューラルネットワーク、重回帰モデル等、各種存在するが、ここではこれらの種別は問わない。
【0069】
次に、L*a*b*H値とCMYKH値との関係を表すDLUT(3次元色補正用LUT)を作成する。この際には、発泡トナー量Hは指示通りとし、UCR(墨生成/下色除去)処理によりL*a*b*値からK値を求め、このK値と発泡トナー量HからCMY値を決定する。つまり、上記パッチの測色で求めたデバイス特性伝達モデルのK値,H値保存での逆写像を行う。
【0070】
発泡トナー量が先に作成したパッチ条件に合わない場合には、線形補間によって他の条件を求める。
【0071】
上記手順で生成したデバイス特性伝達モデルから、L*a*b*H値がどの値の時にどの値の色変換係数(YMCKH)を使って色変換を行えば発泡トナー量Hを用いた立体カラー画像においても所望の発色が得られるといった、L*a*b*Hと色変換係数(YMCKH)の関係を定め、これらの関係を上記テーブル1に記憶しておく。
【0072】
同様の手順(但し、発泡トナー量Hというパラメータは無い)により、上記テーブル2にも、L*a*b*値がどの値の時にどの値の色変換係数(YMCK)を使って色変換を行えば通常カラー画像での所望の発色が得られるという、L*a*b*と色変換係数(YMCK)の関係データを記憶することができる。
【0073】
画像処理部3に上記テーブル1、テーブル2を実装した後の複写動作において、該画像処理部3のL*a*b*色空間変換部31と発泡トナー形成領域判別部351には、画像読取部1で読み取られた赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データに、プリント領域指定部5からの立体プリント指定に応じて発泡トナー情報付与部2により発泡トナー情報が付与された画像データが入力される。
【0074】
L*a*b*色空間変換部31は、上記入力画像データを基にL*a*b*色空間処理を行ってL*a*b*H信号を生成し、該L*a*b*H信号を色変換部32に入力する。なお、その際、L*a*b*色空間変換部31は、入力されたH信号をそのまま出力する。
【0075】
一方、色変換係数決定部35では、発泡トナー形成領域判別部351が、上記入力画像データ中の発泡トナー情報を参照して、注目画素が立体プリント指定領域(発泡トナー使用領域)内の画素であるか、通常プリント指定領域内の画素であるかを判別する。
【0076】
そして、注目画素が立体プリント指定領域内の画素であるか通常プリント指定領域内の画素であるかに応じ、色変換係数選択部352に対して、それぞれ、立体プリント指示信号、通常プリント指示信号を送出する。
【0077】
色変換係数選択部352は、発泡トナー形成領域判別部351から立体プリント指示信号が入力されると、色変換係数記憶部35のテーブル1を選択し、該テーブル1を色変換部32に格納する。
【0078】
色変換部32は、L*a*b*色空間変換部31から入力するL*a*b*H信号に対して、色変換係数選択部352から渡されたテーブル1を用いて色変換を行う。
【0079】
具体的には、入力するL*a*b*H信号中のHの値(発泡トナー量)をキーにテーブル1を検索して該H値に対応する色変換係数(YMCKH)を読み出し、該色変換係数と上記入力L*a*b*H信号から生成されたYMCKHの信号との演算(例えば、乗算)により色変換を行う。
【0080】
また、色変換係数選択部352は、発泡トナー形成領域判別部351から通常プリント指示信号が入力されると、色変換係数記憶部35のテーブル2を選択し、該テーブル2を色変換部32に格納する。
【0081】
色変換部32は、L*a*b*色空間変換部31から入力するL*a*b*H信号に対して、色変換係数選択部352から渡されたテーブル2を用いて色変換を行う。
【0082】
具体的には、入力L*a*b*信号をキーにテーブル2を検索して該L*a*b*値に対応する色変換係数(YMCKH:但し、H=0)を読み出し、該色変換係数と上記入力L*a*b*H信号から生成されたYMCKHの信号の演算(例えば、乗算)により色変換を行う。
【0083】
色変換部32により色変換された信号(Y,M,C,K,H)は、階調補正部32で階調補正された後、画像形成部4に送出される。
【0084】
そして、画像形成部4では、画像処理部3から入力する色変換後の画像データ(Y,M,C,K,H:階調データ)に基づき、既に述べた方法で、記録用紙48上に通常トナーによるトナー像および発泡トナーによるトナー像を転写し、更にこの記録用紙48上に転写された通常トナー像および発泡トナー像を該記録媒体48上に熱定着することにより通常プリント画像及び立体プリント画像を形成する。
【0085】
このように、第1の実施例では、予め発泡トナー(立体材料)量Hに応じて通常トナー(色材)、及び2次色、3次色の発色特性(色度情報)を記憶する発色情報テーブル(上記テーブル1)を有し、該発色情報テーブルに基づき立体プリント領域と通常プリント領域とで色度が一致するように立体プリント領域と通常プリント領域(非立体プリント領域)とで個別に色変換を行う。
【0086】
具体的には、上記テーブル1には、色度情報として、発泡トナー量Hに応じて通常トナーの発色を設定する色変換係数を記憶し、画像データ、立体プリント指示信号及び発泡トナー量情報に基づき上記テーブル1から色変換係数を決定し、該色変換係数を用いて色変換を行う。
【0087】
この場合に、色変換係数は、予め発泡トナー量Hに対して所望の発色が得られるように定めた値であることから、当該色変換係数による色変換後の画像データに基づき記録用紙48上に形成される立体プリント画像は、必然的に、所望の発色を呈することになり、発泡トナーが載っていてもその上のカラー画像の発色を発泡トナーが載らない通常プリント画像の発色と一致させることができ、良好なプリント画質を獲得できる。
【0088】
なお、図3に示した画像処理部3では、立体プリント画像用の色変換係数を記憶するテーブル1と、通常プリント画像用の色変換係数を記憶するテーブル2を別々に設けているが、これは立体プリントを用いない通常プリントタスク時の色変換にも対処するための措置である。
【0089】
この場合、テーブル1、テーブル2は図3のように分離した形態に限らず、1つに融合させても良い(図8参照)。その際、発泡トナー量Hが“0”の場合が通常プリント時に対応するため、この観点から1つのテーブルへの融合を行えば良い。
【0090】
また、テーブル1を本実施例では発泡トナー量を含めたものにしたが、予め用いる発泡トナー量が定められているのであれば、それぞれの発泡トナー量に応じたテーブルを作成し、発泡トナー量Hに応じたテーブルを選択しても構わない。
【0091】
このように、立体プリント領域と通常プリント領域とでそれぞれ異なる色変換をプリント画像情報に対して行う処理機能を有することで、以下のようなプリントが可能になる。
【0092】
図5は、画像処理部3による色変換後の画像データに基づくプリント結果の一例を示す概念図である。
【0093】
図5の上段には、通常プリント画像を形成した記録用紙48の上面図及び側面図を示し、同図下段には、立体プリント画像を形成した記録用紙48の上面図及び側面図を示している。
【0094】
図5において、記録用紙48上にプリントされた通常プリント画像と立体プリント画像を比べてみると、画像処理部3における上述した発泡トナー量に応じた色変換処理によって、発泡トナーHが載った立体プリント画像の発色が、発泡トナーHが載らない通常プリント画像と一致する発色を呈することが分かる。
【0095】
これは、上述したように、発泡トナー量Hに応じて色変換を行う時に用いる色変換係数として、発泡トナー量Hに応じて所望の発色が得られるような色変換係数を予め定めているからに他ならない。
【0096】
図6は、画像処理部3による色変換後の画像データに基づくプリント結果の他の例を示す図である。
【0097】
この例では、記録用紙48上に立体プリント画像と通常プリント画像が混在して形成され、かつ通常プリント画像の一部が立体プリント画像に重なっている場合において、上記重なり部分の発色と、重なり部分以外(平坦部分)の通常プリント画像の発色が一致している様子を示している。
【0098】
これは、重なり部分に関しては、その下の発泡トナー量Hに応じて、画像処理部3で上述した発泡トナー量Hに応じた色変換処理がなされ、その際に、予め当該発泡トナー量Hに応じて所望の発色が得られるような色変換係数を決定して当該色変換を行っているからに他ならない。
【0099】
次に、第2の実施例について説明する。
【0100】
図7は、本発明の画像形成装置における第2の実施例に係わる画像処理部3Aの構成を示すブロック図である。図7において、第1の実施例に係わる画像処理部3(図3参照)の各部と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0101】
この画像処理部3Aは、第1の実施例に係わる画像処理部3(図3参照)と異なる構成として、色変換係数決定部35内のテーブル1(色変換係数テーブル3531)及びテーブル2(色変換係数テーブル3532)と色変換係数設定部352間に色域制限部354を備えている。
【0102】
この色域制限部354は、テーブル1に記憶された色変換係数と、テーブル2に記憶された色変換係数に対して、これらを使用し得る色域を制限する機能(フィルタのような機能)を有するものである。
【0103】
具体的な例を挙げれば、例えば、本実施例の画像処理部3Aにおいて用いるテーブル1及びテーブル2が、例えば、図8に示すように、一体融合型(分離していても勿論かまわない)の色変換係数テーブルとして実現される場合に、テーブル1において使用可能な色変換係数の色域を色域CW1〜CW2までの間に制限すると共に、テーブル2において使用可能色変換係数の色域についてもテーブル1と同様の色域(CW1〜CW2)に制限するものである。
【0104】
この制限する色域の設定にあたっては、まず、第1の実施例でテーブル1を獲得する場合の手順と同様、当該画像処理装置を用いて、予め発泡トナー量Hを数段階(例えば、3〜9段階)変化させて、CMYK信号セットを画像形成部4に出力し、パッチ(テストプリント)を出力する。
【0105】
次に、出力したパッチを測色することにより、CMYK+HとL*a*b*とを関係づけるデバイス特性伝達モデルを作成する。
【0106】
更に、上記手順で作成した色パッチ情報に基づき、それぞれ、指定発泡トナー条件下での色再現域(色域)を求める。そして、これらの中で最小の色再現域となる条件から、立体プリント指定時に用いる色再現域を決定する。
【0107】
そして、画像データに含まれる発泡トナーの量に応じてどのように色再現域のマッピングを行えばいいかを計算する。その際には、公知のマッピング技術を用いれば良い。
【0108】
また、通常プリント時に用いる色再現域は、上述の手順により決定した立体プリント指定時に用いる色再現域に一致するように設定すれば良い。
【0109】
次に、この画像処理部3Aの動作について説明する。
【0110】
画像処理装置における複写動作中、画像処理部3のL*a*b*色空間変換部31と発泡トナー形成領域判別部351に、画像読取部1からの画像データ(発泡トナー情報を含む)が入力されると、L*a*b*色空間変換部31は、上記入力画像データを基にL*a*b*色空間処理を行ってL*a*b*H信号を生成し、該L*a*b*H信号を色変換部32に入力する。その際、L*a*b*色空間変換部31は、入力されたH信号(発泡トナー量信号)をそのまま送出する。
【0111】
一方、色変換係数決定部35では、発泡トナー形成領域判別部351が、上記入力画像データ中の発泡トナー情報を参照して、注目画素が立体プリント指定領域(発泡トナー使用領域)内の画素であるか、通常プリント指定領域内の画素であるかを判別する。
【0112】
そして、注目画素が立体プリント指定領域内の画素であるか通常プリント指定領域内の画素であるかに応じ、色変換係数選択部352に対して、それぞれ、立体プリント指示信号、通常プリント指示信号を送出する。
【0113】
色変換係数選択部352は、発泡トナー形成領域判別部351から立体プリント指示信号が入力されると、色変換係数記憶部35のテーブル1を選択し、該テーブル1を色変換部32に格納する。
【0114】
この時、色域制限部354が該テーブル1中で用い得る色変換係数の色域を上記設定に従って色域CW1〜CW2の範囲(図8参照)に制限するように働くため、色変換部32には当該色域範囲CW1〜CW2の色変換係数のみが渡される。
【0115】
色変換部32は、L*a*b*色空間変換部31から入力するL*a*b*H信号に対して、色変換係数選択部352から渡された、上記色域範囲CW1〜CW2の色変換係数を用いて色変換を行う。この立体プリント時の色変換処理は第1の実施例と同様になされる。
【0116】
また、色変換係数選択部352は、発泡トナー形成領域判別部351から通常プリント指示信号が入力されると、色変換係数記憶部35のテーブル2を選択し、該テーブル2を色変換部32に格納する。
【0117】
この時、色域制限部354が該テーブル2中で用い得る色変換係数の色域を上記設定に従って色域CW1〜CW2の範囲(図8参照)に制限するように働くため、色変換部32には当該色域範囲CW1〜CW2の色変換係数のみが渡される。
【0118】
色変換部32は、L*a*b*色空間変換部31から入力するL*a*b*H信号に対して、色変換係数選択部352から渡された、上記色域範囲CW1〜CW2の色変換係数を用いて色変換を行う。この通常プリント時の色変換処理も第1の実施例と同様になされる。
【0119】
色変換部32により色変換された信号(Y,M,C,K,H:階調データ)は、階調補正部32で階調補正された後、画像形成部4に送出される。
【0120】
画像形成部4では、画像処理部3から入力する色変換後の画像データ(Y,M,C,K+H:階調データ)に基づき、既に述べた方法で、記録用紙48上に通常トナーによるトナー像および発泡トナーによるトナー像を転写し、更にこの記録用紙48上に転写された通常トナー像および発泡トナー像を該記録媒体48上に熱定着することにより通常プリント画像及び立体プリント画像を形成する。
【0121】
この時のプリント動作に着目すると、画像処理部3Aにおいて、立体プリント指定領域の画像データと通常プリント指定領域の画像データに対して、それぞれ、上述した色域範囲CW1〜CW2内でのみ色変換がなされる。
【0122】
図9は第2の実施例に係わる画像処理部3Aでの色変換処理後の画像データに基づくプリント結果の一例を示す図である。
【0123】
図9では、発泡トナーHが載っている立体プリント画像g1と発泡トナーHが載らない通常プリント画像g2が記録用紙48に形成される場合に、該立体プリント領域と通常プリント領域の画像データに対してそれぞれ同じ色域範囲に限って色変換処理が行われる結果、これら色変換後の画像データによって記録用紙48上に形成される立体プリント画像g1と通常プリント画像g2が共に当該色域範囲内の発色を呈するカラー画像として形成される様子を示している。
【0124】
このように、第2の実施例では、立体プリント時の色変換係数、及び通常プリント時の色変換係数の両者に関する使用可能な色域(同じ色域)を制限する色域制限部354を設け、発泡トナーが載っている立体プリント領域と発泡トナーの載らない通常プリント領域とでそれぞれ同じ色域の範囲内でのみ色変換を行うようにしたものである。
【0125】
かかる色変換処理によれば、記録用紙48上に形成される立体プリント画像g1と通常プリント画像g2(図9参照)が上記の如く制限を受けた色域に限って再現されるため、両者の発色が大きく異なることはなく、良好なプリント画質を得ることができる。
【0126】
なお、第2の実施例においては、立体プリント時と通常プリント時に制限する色域を完全に一致させる例を挙げたが、通常プリント時の色再現域をある程度確保したい場合には、立体プリント時の制限色域と通常プリント時の制限色域の両者の中間の値を通常プリント時の制限色域に設定し、色域マッピング処理を行うことにより、立体プリント画像と通常プリント画像のプリント条件(発色)の違いをある程度吸収しつつ、通常プリント画像の色再現性を最大限に保つことが可能になる。
【0127】
かかる機能を実現するには、ユーザインタフェース(UI)を別に設け、該UIを介してユーザからの指示を例えば主制御部6に与えることにより、立体プリント時と通常プリント時の制限色域を適宜に可変設定できる構成としても良い。
【0128】
また、色再現域優先フラグを設けて、なるべく色再現域を広く取りたい場合などに、発泡トナー量を指示よりも少なめに補正する処理機能を付加しても良い。
【0129】
なお、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0130】
例えば、プリント領域指定部5の実現に関しては、UIを備え、ユーザが立体プリント領域または通常プリント指定領域を指示できるような機能を付加することも可能である。
【0131】
具体的には、図1における画像形成装置の入力操作部7の操作画面(図示せず)上に領域指定モード画面を表示し、この画面上で立体プリントすべき領域の属性(画像部、枠、文字部等)を選択させ、該属性情報を発泡トナー情報付与部2に入力する構成が考えられる。
【0132】
この場合、発泡トナー情報付与部2は、画像読取部1から入力する原稿反射率データから当該属性に合致する領域を抽出し、該領域内の画素に対して上述した発泡トナー情報を付与する機能構成により実現できる。
【0133】
また、本発明の画像形成装置に外部インタフェースを設け、情報処理端末(パソコン)やデジタルカメラ等の外部機器から上記外部インタフェースを介して画像データを取り込み、該画像データに上述した画像処理を施した上で、発泡トナーによる立体画像を含む画像をプリントする構成とすることもできる。
【0134】
特に、パソコンから取り込んだ画像データをプリントする場合は、上記プリント領域指定部5に相当するプリント領域指定機能として、例えば、パソコンの表示画面にプリント対象の画像を表示し、キーボードやマウス等の入力装置を用いて当該画像の中の立体プリントしようとする領域を指定するようにしても良い。
【0135】
この場合、発泡トナー情報付与部2としては、パソコンから入力する画像データから上記立体プリント領域に指定された領域内の画素を抽出し、当該画素に対して上述した発泡トナー情報を付与する機能構成により実現できる。
【0136】
また、上記実施例では、複写機を前提とした画像形成装置について述べたが、本発明に係わる画像形成装置は、プリンタ等にも適用できるものである。この場合におけるプリンタの構成は、例えば、図1における画像形成装置(複写機)から画像読取部1を削除し、代わりに、パソコン等の情報処理端末から画像データを取り込むインタフェース機能を設けることにより実現できる。
【0137】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、画像情報中の発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じた色変換を施し、画像情報中の発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じた色変換を施すようにしたため、予め発泡トナー量(発泡トナー成分の階調情報)に対して所望の発色が得られるように定めた色変換係数を用いることで、該色変換係数による色変換後の画像データに基づき記録用紙上に形成される立体プリント画像は、必然的に、所望の発色を呈することになり、発泡トナーが載っていてもその上のカラー画像の発色を発泡トナーが載らない通常プリント画像の発色と一致させることができ、良好なプリント画質を獲得できる。
また、請求項4記載の発明によれば、画像情報中の発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じ、色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施し、画像情報中の発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じ、色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施すようにしたため、記録用紙上に形成される立体プリント画像と通常プリント画像が色域制限手段により制限を受けた色域(同じ色域)に限って再現されるため、両者の発色が大きく異なることはなく、良好なプリント画質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の要部の構成を示すブロック図。
【図2】転写及び定着プロセスを説明するためのトナー像の概念断面構成図。
【図3】第1の実施例に係わる画像処理部の構成を示すブロック図。
【図4】画像処理部内の色変換係数テーブル1及び2の構成を示す図。
【図5】第1の実施例の画像処理部での色変換に基づくプリント結果の一例を示す図。
【図6】第1の実施例の画像処理部での色変換に基づくプリント結果の別の例を示す図。
【図7】第2の実施例に係わる画像処理部の構成を示すブロック図。
【図8】第2の実施例の画像処理部内の色変換係数テーブルの構成を示す図。
【図9】第2の実施例の画像処理部での色変換に基づくプリント結果の一例を示す図。
【図10】従来の通常プリント画像と立体プリント画像を比較する概念断面構造図。
【符号の説明】
1…画像読取部、2…発泡トナー情報付与部、3,3A…画像処理部、31…L*a*b*色空間変換部、32…色変換部、33…階調補正部、35…色変換係数決定部、351…発泡トナー形成領域判別部、352…色変換係数選択部、353…色変換係数記憶部、3531…色変換係数テーブル1、3532…色変換係数テーブル2、354…色域制限部、4…画像形成部、41Y,41M,41C,41K,41H…露光部、42Y,42M,42C,42K,42H…感光体ドラム、43Y,43M,43C,43K,43H…帯電部、44Y,44M,44C,44K,44H…現像部、45…中間転写ベルト、46…転写部、47…定着部、48…記録用紙、5…プリント領域指定部、6…主制御部、7…入力操作部
Claims (4)
- 画像情報に応じて発泡トナー成分及び各色成分毎に静電潜像を形成し、該静電潜像をそれぞれ対応する発泡トナー及び各色成分のトナーによりトナー像として現像し、該発泡トナー像及び各色のトナー像を記録媒体に転写、定着させる際に最下層の発泡トナー像を発泡させ上層の各色のトナー像を混合発色させて立体プリント像を形成する画像形成装置において、
前記画像情報に対して発泡トナーを用いた立体プリント領域および非立体プリント領域の別を指定する指定手段と、
前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域の画素に前記発泡トナー成分に対応する階調情報を付与する付与手段と、
前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じた色変換を施し、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じた色変換を施す色変換手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。 - 前記色変換手段は、
発泡トナー成分の階調情報の値に応じてそれぞれ異なる所望の発色が得られる複数の色変換係数のうち、色変換対象の前記画素に付与される発泡トナー成分の階調情報の値に対応する色変換係数を用いて該画素に前記色変換を施す
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記色変換手段は、
発泡トナー成分の階調情報の値に応じてそれぞれ異なる所望の発色が設定された複数の色変換係数を登録する色変換係数テーブルを有し、前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素に対し、該画素に付与される前記発泡トナー成分の階調情報の値に対応して前記色変換係数テーブルに登録される前記色変換係数を用いて前記色変換を施す
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。 - 画像情報に応じて発泡トナー成分及び各色成分毎に静電潜像を形成し、該静電潜像をそれぞれ対応する発泡トナー及び各色成分のトナーによりトナー像として現像し、該発泡トナー像及び各色のトナー像を記録媒体に転写、定着させる際に最下層の発泡トナー像を発泡させ上層の各色のトナー像を混合発色させて立体プリント像を形成する画像形成装置において、
前記画像情報に対して発泡トナーを用いた立体プリント領域および非立体プリント領域の別を指定する指定手段と、
前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域の画素に前記発泡トナー成分に対応する階調情報を付与する付与手段と、
前記画像情報中の立体プリント領域として指定された領域と非立体プリント領域として指定された領域での同じ色域を使用可能に色域を制限する色域制限手段と、
前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与された画素には、該発泡トナー成分及び各色成分の階調情報に対して該発泡トナー成分の階調情報に応じ、前記前記色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施し、前記画像情報中の前記発泡トナー成分の階調情報が付与されていない画素には、各色成分の階調情報に対して当該各色成分の階調情報に応じ、前記前記色域制限手段による色域制限に基づく使用可能な色域の範囲内での色変換を施す色変換手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
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