JP6010327B2 - 画像処理装置、画像形成装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
そこで、原稿の不正複写を抑制するために、原稿が不正複写されたものであるか否かという原本性を容易に確認できることを目的として、偽造抑止地紋と呼ばれる地紋技術が実現されている。地紋技術とは、例えば、原稿を複写した場合に原稿に予め埋め込まれている文字又はパターン等が浮かび上がるように設計されたドットパターン(地紋データ)を、印刷対象の画像データに付加して印刷する技術である。地紋データが付加された画像データに基づいて印刷された原稿(原本)を複写した場合、原本では見え辛かった地紋画像が、複写物では明確に現れるので、その複写物は不正複写されたものであることが容易に判断できる。
特許文献1,2に開示された技術では、潜像部及び背景部の一方又は両方の濃度パラメータを異ならせて生成された複数の地紋画像パッチから、ユーザの目視判定により1つの地紋画像パッチが選択され、選択された地紋画像パッチにおける濃度パラメータに基づいて地紋画像が生成される。
潜像部及び背景部の階調値を変更することにより、潜像部及び背景部の濃度も共に上下するが、潜像部(集合画素数が多いドットで構成された領域)は、背景部(集合画素数が少ないドットで構成された領域)よりも階調値の変化量に応じた濃度の変化量が少ない。このような濃度変化量の差異により、単一の階調値に基づいて濃度を変化させた場合であっても、潜像部と背景部との間で濃度差が生じる。よって、単一の階調値を変更することによって複数の地紋画像パッチを生成した場合、潜像部及び背景部の濃度が同程度の地紋画像パッチも生成することができ、ユーザが、この地紋画像パッチを選択することにより、適切な地紋画像を実現できる。
なお、各符号に付したa、b、c、dの記号は、例えば黒(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各色に対応するように記載しているが、以下では、特定の色に対応する部材を指定して説明する場合を除いて、各色に対して設けられている部材をまとめて、現像器12、感光体ドラム13、クリーナユニット14、帯電器15と記載する。
このとき、中間転写ベルト17及び転写ローラ21は所定のニップで圧接されると共に、転写ローラ21には多色トナー像をシート上に転写させるための電圧、即ち、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。ここで、中間転写ベルト17と転写ローラ21との間のニップを定常的に得るために、転写ローラ21又は中間転写ベルト駆動ローラ171の何れか一方を金属等の硬質材料により構成し、他方を弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料により構成している。
多色トナー像が熱定着したシートは、定着ユニット22の出口近傍に設けられた搬送ローラにより定着ユニット22から排出される。
HDD4は大容量のメモリ装置であり、上述したようなハードウェア各部をCPU2が制御するための制御プログラムを予め格納している。RAM3は揮発性の半導体メモリであり、CPU2による制御プログラムの実行中に発生するデータを一時的に記憶する。CPU2が、HDD4に格納してある制御プログラムをRAM3に読み出して順次実行することにより、画像形成装置1を、本発明の画像処理装置及び画像形成装置として動作させる。
更にHDD4は、画像処理部7による画像処理に使用される各種データ(例えば、中間調処理に用いるディザマトリクスパターン)、画像形成部8の特性データ(濃度、階調、ドット再現等の情報)、地紋画像パッチを生成するための地紋画像パッチデータ、予め生成された地紋データを格納する。
ネットワークコントローラ6は、外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置と通信回線を介して通信を行うための通信インタフェースであり、外部の情報処理装置との間でデータの送受信を行う。外部の情報処理装置は、ページ記述言語形式のデータ(印刷ジョブ)を送信し、ネットワークコントローラ6は、外部の情報処理装置から送信されてくる印刷ジョブを受信する。ネットワークコントローラ6は、受信した印刷ジョブをHDD4又は画像処理部7へ転送する。画像処理部7は、転送されてきた印刷ジョブを展開して印刷実行データを生成し、生成した印刷実行データをHDD4へ転送する。HDD4は、ネットワークコントローラ6から転送されてきた印刷ジョブ及び画像処理部7から転送されてきた印刷実行データを、例えばページ単位で記憶する。
画像処理部7は、所定の画像処理を実行するための制御プログラムをCPU2が実行することによって実現されるソフトウェア的機能であってもよいし、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
画像形成装置1は、上述した構成のほかに、画像形成部8による色再現性を向上させるために行うカラーキャリブレーションに用いる情報の取得手段として、濃度センサ、温湿度センサ等も備えてもよい。
地紋データ及び地紋データに基づく地紋画像の詳細については後述する。地紋データは、機密文書データを出力する都度(機密文書データ毎に)生成してもよいし、予め生成しておいてもよいが、生成された地紋データは、HDD4に格納され、所定のタイミングで読み出されて画像処理部7に入力される。
一方、処理対象の印刷実行データがRGBデータでない場合(S2:NO)、即ち、印刷実行データがBKデータである場合、画像処理部7は、ステップS3の処理をスキップし、色変換処理を行わない。色変換処理は、例えば、画像形成装置1が備えるファームウェア(図示せず)に実装されたカラーマネジメントモジュールにて、ICCプロファイルのカラーテーブルに基づいて行われる。
画像処理部7は、中間調処理した印刷実行データをHDD4又はRAM3に一旦記憶し、画像形成を行う所定のタイミングで読み出して画像形成部8へ出力し、画像形成部8にて画像形成を行う(S6)。このように地紋データを合成した上で画像形成を行うことにより、偽造抑制処理が施された印刷物にて機密文書を生成できる。また、上述の階調補正処理及び中間調処理によって、シート上に画像形成された地紋画像の潜像部の濃度と背景部の濃度とが同一となる。これにより、地紋画像が、前景となる機密文書の視認の邪魔にならない。
図4は地紋画像の例を示す模式図である。地紋画像は、複写された場合に顕在化(顕像化)する潜像部と、潜像部以外の背景部とを有する。図4に示す地紋画像では、「複写」の文字部分を潜像部とし、その他の領域を背景部とする。
地紋画像中の潜像部は、図5Aに示すように、各ドットが大きい(粗い)マスクパターンで構成され、背景部は、図5Bに示すように、各ドットが小さい(細かい)マスクパターンで構成される。図5Aに示す潜像部用のマスクパターンは、18×18(副走査方向×主走査方向)画素のブロック毎に、4×4画素の16画素を1つのドットとし、各ドットの左上端を各ブロックの左上端及び中央部に一致させて2つのドットを斜め方向に配置したパターンである。即ち、潜像部用のマスクパターンは、集合画素数(ドットを構成する画素数)が多いドットで構成される。
具体的には、例えば、図7Aに示すディザマトリクスパターンは、入力階調値が64の画像に対して用いるパターンであり、画素1a〜1dに136が、画素1e〜1hに119が、画素2a〜2hに0がそれぞれ割り当てられている。また、図7Bに示すディザマトリクスパターンは、入力階調値が128の画像に対して用いるパターンであり、画素1a〜1hに255が、画素2a〜2hに0がそれぞれ割り当てられている。更に、図7Cに示すディザマトリクスパターンは、入力階調値が191の画像に対して用いるパターンであり、画素1a〜1hに255が、画素2a〜2dに136が、画素2e〜2hに119がそれぞれ割り当てられている。
このように、本実施形態のディザマトリクスパターンは、画素1a〜1hに対しては同一の値又は差が17である値が割り当てられ、画素2a〜2hに対しても同一の値又は差が17である値が割り当てられており、このようなパターンを、説明の便宜上、市松模様状のディザマトリクスパターンと呼ぶこととする。なお、画素1a〜1h,画素2a〜2hは、主走査方向及び副走査方向に対して交差する方向、即ち斜め方向に配置されている画素であり、主走査方向及び副走査方向のそれぞれにおいて1画素おきに配置されている画素である。
図8は5×5のディザマトリクスパターンの例を示す模式図、図9は中間調処理後の背景部用のマスクパターンの例を示す模式図である。図9には、図5Bに示す背景部用のマスクパターンに対して、図8に示すディザマトリクスパターンをかけた後の状態を示す。なお、図8に示すディザマトリクスパターンも、パターンを構成する各値が市松模様状となるように構成されているものとする。図9に示すように、5×5のディザマトリクスパターンに基づく処理を行った場合、各ドットが均等に配置されなくなることがある。なお、図9において黒色よりも薄い色(グレー)で示す画素は、ディザマトリクスパターンを用いた中間調処理によって濃度が低下した画素である。従って、地紋画像のパターンと干渉せず、中間調処理後の各ドットが均等に配置されるディザマトリクスパターンを用いる必要がある。
図10に示すディザマトリクスパターンは、入力階調値が196の画像に対して用いられるパターンであり、画素1a〜1hに255が割り当てられており、画素2a〜2hに136が割り当てられている。このようなディザマトリクスパターンを入力階調値が196の画素に対してかけた場合、各画素が階調値136又は255に補正される中間調処理が実行される。
図13は中間調処理前の地紋画像の階調値と中間調処理後の地紋画像の出力濃度との関係特性を示す特性図である。図13の横軸は中間調処理前の地紋画像の階調値(入力階調値)を示し、縦軸は中間調処理後の地紋画像の出力濃度を示しており、実線は地紋画像の潜像部における関係特性を示し、破線は地紋画像の背景部における関係特性を示す。図13に示すように、潜像部は入力階調値の変化に対する出力濃度の変化量が小さいのに対して、背景部は入力階調値の変化に対する出力濃度の変化量が大きい。よって、1つのディザマトリクスパターンを用いて処理することによって、地紋画像の潜像部の濃度と背景部の濃度とを同時に調整できる。なお、図13に示す特性によれば、階調値196の潜像部及び背景部に対して、図10に示すディザマトリクスパターンを用いた中間調処理を行った場合に潜像部及び背景部の濃度が同一に調整されることが分かる。
画像処理部7は、28個の地紋画像パッチデータを含む画像データに対して、図10に示すようなディザマトリクスパターンを用いた中間調処理を行う(S14)。また画像処理部7は、中間調処理後の画像データを画像形成部8へ出力し、シート上に画像形成する(S15)。なお、画像処理部7は、各地紋画像パッチデータに対して、階調値に応じたディザマトリクスパターンを用いた中間調処理を行う。また、ステップS13,S14の処理の順序を入れ替えて、階調補正処理及び中間調処理を行った後の地紋画像パッチデータを用いて1枚の画像データを生成してもよい。
画像形成装置1は、例えば操作パネル(選択受付部)5に、図15に示す画像と同様の画像を表示しておき、ユーザが、適切な地紋画像パッチを選択操作することによって、潜像部及び背景部の濃度が同一である地紋画像パッチの選択を受け付ける(S16)。また、例えば、画像形成装置1は、各地紋画像パッチに対応付けて印刷された階調値を入力するための入力画面を操作パネル5に表示しておき、ユーザが、適切な地紋画像パッチに対応する階調値を入力操作することによって、適切な地紋画像パッチの選択を受け付けるようにしてもよい。
2 CPU
5 操作パネル(選択受付部)
7 画像処理部(パッチ生成部、処理部、階調補正部、地紋付加部)
8 画像形成部
Claims (6)
- 複写した場合に顕在化する潜像部及び背景部を有する地紋画像を処理する画像処理装置において、
前記潜像部及び背景部の階調値を異ならせることにより、前記潜像部の濃度及び前記背景部の濃度がそれぞれ異なる複数の地紋画像パッチを生成するパッチ生成部と、
該パッチ生成部が生成した地紋画像パッチのうちの1つの選択を受け付ける選択受付部と、
該選択受付部が受け付けた地紋画像パッチに対応する階調値に、前記地紋画像の前記潜像部及び背景部の階調値を補正する階調補正部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記地紋画像は、複数の画素がマトリクス状に配置されており、
前記パッチ生成部は、前記階調補正部によって潜像部及び背景部の階調値が補正された複数の地紋画像パッチに、前記画素の配置に係る二方向に交差する方向に配置される各画素に対して所定範囲内の値が割り当てられたディザマトリクスパターンを用いた処理を行うようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記潜像部は、所定サイズよりも大きいドットで構成され、
前記背景部は、前記所定サイズよりも小さいドットで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。 - 前記地紋画像を画像に付加する地紋付加部を備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の画像処理装置。
- 請求項1から4までのいずれかひとつに記載の画像処理装置と、
画像を形成する画像形成部とを備え、
該画像形成部は、前記画像処理装置のパッチ生成部が生成した地紋画像パッチを形成するようにしてあることを特徴とする画像形成装置。 - 複写した場合に顕在化する潜像部及び背景部を有する地紋画像を処理する画像処理装置による画像処理方法において、
前記潜像部及び背景部の階調値を異ならせることにより、前記潜像部の濃度及び前記背景部の濃度がそれぞれ異なる複数の地紋画像パッチを生成するステップと、
生成した地紋画像パッチのうちの1つの選択を受け付けた場合、選択された地紋画像パッチに対応する階調値に、前記地紋画像の前記潜像部及び背景部の階調値を補正するステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
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JP2012094188A JP6010327B2 (ja) | 2012-04-17 | 2012-04-17 | 画像処理装置、画像形成装置及び画像処理方法 |
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