JP4457647B2 - 画像処理装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば電子写真方式においては、微小粒子であるトナーの静電現象を利用しているため、温度や湿度等の環境変化や経時変化による影響を受けて画像濃度が変動したり、或いは、使用している構成部品の性能の微小なばらつきによって画像濃度に差異が生じたりしやすいという傾向がある。そのため、画像濃度を安定的に維持するために、以下のような画像濃度制御が行われている。
図8はディザマトリクスの一例を示した図である。このディザマトリクスは、画像データが0〜255の256階調の階調情報を有する単色(仮に黒とする)の8ビットデータである場合のディザマトリクスであり、4行4列、すなわち16個のマトリクスセルにより構成されている。このようなディザマトリクスが入力される画像データの各画素に対して適用されることにより、スクリーン処理が行われる。例えば、このディザマトリクスによれば、処理すべき画素の階調レベルが「50」である場合には、16個のセルマトリクスのうち設定されている値が「50」未満である2行2列(15)、3行3列(31)、及び3行2列(47)の3個のマトリクスセルがON,すなわち黒表示となり、その他の部分は白表示となる。このような処理を各画素に対して順次行っていき、256階調の画像データを白(OFF)または黒(ON)の2値で表現するのがスクリーン処理である。このような処理では、記録紙上に出力される画像は実際には黒のみにより表現されているが、出力されるドットが1200〜4800dpiと非常に小さいため、人間の目では印刷がされていない部分の色(白)と混色し、その面積比に応じてさまざまな濃度のグレーとして知覚されることにより、擬似的に中間調が表現可能となっている。
さらに、これらのディザマトリクスとは別に、画像濃度制御を実行するときの基準パッチを生成する場合にも、専用のディザマトリクスが用いられる。これは、基準パッチを常に等条件で生成し、基準パッチの濃度に対して再現性を得るためである。この基準パッチ専用のディザマトリクスを用いてスクリーン処理する場合の画像形成モードを、以下では「基準パッチモード」とする。
画像処理部内部においてスクリーン処理を行うスクリーン処理部では、画像形成モードに応じたディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行う。そのため、画像形成モードの変更時には、使用するディザマトリクスの切り替えを行う必要がある。しかしこのとき、以下に示されるような問題が発生する。
また、スクリーン処理部は全てのディザマトリクスを記憶しているのではなく、頻繁に用いられるディザマトリクス等を一定の数だけ一時記憶領域に一時記憶し、全てのディザマトリクスを記憶する記憶領域は画像処理部内部に別個に設けられているのが一般的である。そのため、スクリーン処理部において、画像濃度制御を実行するときに基準パッチモード用のディザマトリクスが一時記憶されていなければ、スクリーン処理部は上述の記憶領域から基準パッチモード用のディザマトリクスを読み出し、これを一時記憶領域に書き込んでからでなければ画像濃度制御を開始することができない。このような場合において、上述した画像形成速度の低下はより顕著となる。
これにより、基準パッチ画像を形成するための画像データに対するスクリーン処理を、その他のスクリーン処理よりも高速に実行することが可能となる。
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示したブロック図である。以下、同図を参照してこの画像形成装置1の構成を詳説する。なお、同図において、点線Pは記録紙の搬送経路を示している。
画像形成装置1は、制御部10と、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kと、一次転写ロール12Y,12M,12C,12Kと、中間転写ベルト13と、駆動ロール14と、複数の従動ロール15と、二次転写ロール16と、定着器17と、給紙トレイ18と、複数の搬送ロール19と、UI部20と、入力IF21と、画像読取部22と、画像制御部23と、濃度センサ24と、画像処理部25とを備える。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11KはそれぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナー像を形成する。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kで形成された各色のトナー像は、それぞれ一次転写ロール12Y,12M,12C,12Kによって中間転写ベルト13上に一次転写される。なお、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kはそれぞれほぼ同様の構成であるため、以下において特に区別する必要のない場合には画像形成ユニット11と称する。一次転写ロール12Y,12M,12C,12Kについても同様に、特に区別する必要のない場合には一次転写ロール12と称する。
感光体ドラム110は、表面に光導電層が形成された回転可能なロール状部材である。帯電装置111はこの感光体ドラム110表面を所定の帯電電位に帯電させる。露光装置112は、形成すべき画像の画像信号に応じた光量の光を照射して照射部分の電荷を失わせ、帯電装置111が帯電させた感光体ドラム110表面を所定の露光電位にすることによって感光体ドラム110表面に静電潜像を形成する。現像装置113はトナーを帯電させて吐出する。吐出されたトナーは感光体ドラム110表面の電荷に応じて付着するため、静電潜像はトナーにより可視化され、ここにトナー像が形成される。この現像装置113には、トナーの消費量に応じて、図示せぬトナーボックスにより所定量のトナーが供給されるようになっている。
このようにして、画像形成ユニット11では感光体ドラム110上にトナー像が形成され、一次転写ロール12によって中間転写ベルト13へと転写される。
中間転写ベルト13は複数の従動ロール15により張架され、駆動ロール14により駆動されて図中R方向に回転することにより中間転写ベルト13上に形成されたトナー像を搬送する。給紙トレイ18は種々のサイズの記録紙を収容し、画像形成時には制御部10により指示されたサイズの記録紙を供給する。記録紙は複数の搬送ロール19により搬送される。
二次転写ロール16は従動ロール15のひとつと対向する位置で中間転写ベルト13と接しており、中間転写ベルト13上のトナー像を、給紙トレイ18から複数の搬送ロール19により搬送されてきた記録紙に二次転写する。定着器17は、トナー像が転写された記録紙を加熱及び加圧することにより、その記録紙にトナー像を定着させる。
UI(ユーザ・インターフェース)部20は例えば液量ディスプレイ等の表示部とボタン等の操作部とを備え(特に図示しない)、ユーザによる画像形成モード等の各種の入力指示を受け付ける。
入力IF(インターフェース)21はコンピュータ2等の外部装置に接続され、このコンピュータ2から送信されてくる画像データを受信する。画像読取部22はいわゆるスキャナであり、載置された印刷物等に印刷されている画像を光学的に読み取り、読み取り結果に応じた画像データを生成する。
図3は画像処理部25の構成を示したブロック図である。同図に示されているように、画像処理部25はスクリーン処理部251と、記憶部252とを備えており、さらにスクリーン処理部251は、ディザマトリクス記憶部253と、ディザマトリクス書換部254と、基準パッチ用ディザマトリクス記憶部255とを備えている。
記憶部252は例えばROM等の不揮発性メモリであり、画像形成装置1が備える各種の画像形成モードに応じたディザマトリクスの全てを記憶している。
スクリーン処理部251は画像データの各画素に対してディザマトリクスを適用して、各画素の有する階調情報に基づいてスクリーン処理を行う。
ディザマトリクス記憶部253はRAM等の揮発性メモリを備え、ここに記憶部252から読み出されたいくつかのディザマトリクスを記憶する。スクリーン処理部251は、画像形成モードに対応したディザマトリクスがディザマトリクス記憶部253に記憶されている場合には、そのディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行う。一方、画像形成モードに対応したディザマトリクスがディザマトリクス記憶部253に記憶されていない場合には、ディザマトリクス書換部254がそのディザマトリクスを記憶部252から読み出してディザマトリクス記憶部253に書き込む。スクリーン処理部251は、このようにしてディザマトリクス記憶部253に書き込まれたディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行う。
図4,図5は、ある画像形成モードにおいて用いられるディザマトリクスDと、基準パッチモードにおいて用いられるディザマトリクスDPとをそれぞれ示した図である。これらの図に示されているように、ディザマトリクスDは8行8列のマトリクスであり、ディザマトリクスDPは8行1列のマトリクスである。スクリーン処理部251は、入力された256階調の画像データの各画素に対してこのようなディザマトリクスを適用することにより、スクリーン処理を行う。
このように、本実施形態においては、基準パッチ用ディザマトリクス記憶部255の記憶容量を小さくするために、ディザマトリクスDPを1列のマトリクスとしている。これにより、ディザマトリクスDPはディザマトリクスDと比較しておよそ1/8のデータ容量に抑えられている。基準パッチには通常の画像形成ほどの高精細な中間調表現が必要とされないため、ディザマトリクスDPは上述したような8行1列程度のマトリクスで充分である。
以上に示された構成のもと、本実施形態の画像形成装置1は、入力IF21や画像読取部22から入力された画像データに基づき、CMYK4色のトナーにより記録紙上に画像を形成する。また、画像形成装置1は、画像濃度を安定的に維持するために所定のタイミングで画像濃度制御を実行する。以下では、このような画像形成や画像濃度制御が行われるときの画像処理部25が行う処理について、図面を参照しつつ詳説する。
なお、本発明の特徴は画像濃度制御を実行するときのこのスクリーン処理部251の動作にあるが、これと通常の画像形成時の処理との違いを明確にするため、以下では基準パッチモード以外の画像形成モード(例えば画像形成モードaとする)における通常の画像形成時の動作をまず説明し(a)、次いで、基準パッチモードにおける画像濃度制御時の動作を説明する(b)。
ここでは、通常の画像形成時のスクリーン処理部251の動作について、図7に示されたフローチャートに沿って説明する。なお、スクリーン処理部251がYMCK各色の画像データに対して行う処理は同様であるため、ここではK色の画像データのスクリーン処理ついてのみ説明を行う。また、この画像データには、上述したように画像形成モードとして画像形成モードaが設定されているとする。
画像データが入力されると、スクリーン処理部251はまずその画像データに設定されている画像形成モードが基準パッチモードであるかどうかを判断する(ステップS51)。この画像データは基準パッチではないので、上述の判断は否定的となる(ステップS51;NO)。すると、続いてスクリーン処理部251は、この画像データに設定されている画像形成モードaに対応したディザマトリクスがディザマトリクス記憶部253に記憶されているかどうかを判断する(ステップS52)。ここで、画像形成モードaのディザマトリクスがディザマトリクス記憶部253に記憶されていれば(ステップS52;YES)、スクリーン処理部251はそのまま処理を続行し、また画像形成モードaのディザマトリクスがディザマトリクス記憶部253に記憶されていなければ(ステップS52;NO)、スクリーン処理部251はディザマトリクス書換部254により記憶部252から画像形成モードaに対応するディザマトリクスを読み出させ、ディザマトリクス記憶部253に書き込ませる(ステップS53)。このようにしてディザマトリクス記憶部253に画像形成モードaのディザマトリクスが記憶されている状態になったら、スクリーン処理部251はこのディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行う(ステップS54)。
続いて、画像濃度制御において基準パッチを生成する場合のスクリーン処理部251の動作について、図7に示されたフローチャートに沿って説明する。すなわち以下の説明においては、入力される画像データは基準パッチの画像データであり、このとき設定されている画像形成モードは基準パッチモードである。
画像データが入力されると、スクリーン処理部251はまずその画像データに設定されている画像形成モードが基準パッチモードであるかどうかを判断する(ステップS51)。この画像データは基準パッチなので、上述の判断は肯定的となる(ステップS51;YES)。すると、スクリーン処理部251は、基準パッチ用ディザマトリクス記憶部255を用いてスクリーン処理を行う(ステップS54)。
このように、基準パッチを記憶するための専用の記憶手段を設けることにより、本実施形態の画像形成装置1は、画像濃度制御を従来より高速に実行することが可能となり、さらに画像濃度を安定的に維持しつつも、速度を犠牲にすることなく画像形成を行うことが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
まず、ディザマトリクスは図4,5で説明されたものに限らない。ディザマトリクスは画像形成モードに応じてサイズもディザパターンも異なり、種々の態様が考えられる。
また、ディザマトリクスの記憶態様についても、種々の態様が考えられる。上述の実施形態においては、記憶部252とディザマトリクス記憶部253のように、通常の画像形成に用いられるディザマトリクスを複数の記憶手段で記憶しているが、これを単一の記憶手段において記憶領域を分けて記憶しても良い。また、ディザマトリクス記憶部253は複数のディザマトリクスを一時記憶可能であるとしたが、ディザマトリクスを1つだけ一時記憶するよう構成することももちろん可能である。
また、上述の実施形態においては、ひとつのディザマトリクスがひとつの画素に対応すると書いたが、このような態様に限らない。例えば、主走査方向2ピクセル×副走査方向2ピクセルの4つの画素に対してひとつのディザマトリクスを適用して、4つの画素の階調データの平均として表現することも可能である。
また、上述の実施形態においては、画像形成装置1は中間転写ベルト13上に画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kを直列に配置したいわゆるタンデム方式であるとした。しかし、本発明の適用は上述の構成の画像形成装置に限定されず、いわゆるサイクル方式の画像形成装置にも適用可能である。また、画像形成装置1は上述の中間転写ベルト13に代えて用紙搬送ベルトを備えた構成であっても良いし、もちろんベルト以外の態様の中間転写体または用紙搬送体を備える構成であっても良い。
Claims (3)
- 基準パッチ画像を形成するための画像データに対するスクリーン処理に用いられるディザパターンを表現する基準パッチ用ディザマトリクスを記憶する第1のマトリクス記憶手段と、
前記基準パッチ画像以外の画像を形成するための画像データに対するスクリーン処理に用いられるディザパターンを表現する複数のディザマトリクスであって、画像データに応じて設定される複数の画像形成モードのそれぞれに対応した複数のディザマトリクスを記憶する第2のマトリクス記憶手段と、
前記第2のマトリクス記憶手段に記憶された複数のディザマトリクスの一部を記憶する第3のマトリクス記憶手段と、
前記第2のマトリクス記憶手段に記憶されたディザマトリクスを読み出して前記第3のマトリクス記憶手段が記憶するディザマトリクスを書き換える書換手段と、
入力された画像データが前記基準パッチ画像を形成するためのものである場合には、前記第1のマトリクス記憶手段に記憶されたディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行い、入力された画像データが前記複数の画像形成モードのいずれかが設定されている画像データであって前記基準パッチ画像以外の画像を形成するためのものである場合には、前記第3のマトリクス記憶手段に記憶されたディザマトリクスを用いてスクリーン処理を行うスクリーン処理手段と
を備え、
前記スクリーン処理手段は、
前記複数の画像形成モードのいずれかが設定されている画像データが入力された場合に、当該設定されている画像形成モードに対応した前記ディザマトリクスが前記第3のマトリクス記憶手段に記憶されているか判断し、
当該設定されている画像形成モードに対応した前記ディザマトリクスが前記第3のマトリクス記憶手段に記憶されていなければ、前記書換手段に当該ディザマトリクスを前記第2のマトリクス記憶手段から読み出させて前記第3のマトリクス記憶手段に書き込ませる
画像処理装置。 - 前記第1のマトリクス記憶手段に記憶される基準パッチ用ディザマトリクスを示すデータの量は、前記第2のマトリクス記憶手段に記憶されるいずれのディザマトリクスを示すデータの量よりも小さい
請求項1記載の画像処理装置。 - 請求項1または2記載の画像処理装置を備え、
前記スクリーン手段によってスクリーン処理が施された画像データに基づいて画像を形成する画像形成手段を備える画像形成装置。
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