JP2005146431A - 強化繊維用サイジング剤、炭素繊維束及びその製造方法、並びに熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束とするのに好適な強化繊維用サイジング剤、それを用いてサイジング処理された炭素繊維束及びその製造方法、並びにその炭素繊維束を用いた熱可塑性樹脂組成物及びその成型品を提供すること。
【解決手段】アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤、及びそれを用いてサイジング処理された炭素繊維束とする。エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、前記のサイジング処理された炭素繊維束とすることが好ましい。また、この炭素繊維束を含む熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成型品とする。
【選択図】なし
【解決手段】アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤、及びそれを用いてサイジング処理された炭素繊維束とする。エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、前記のサイジング処理された炭素繊維束とすることが好ましい。また、この炭素繊維束を含む熱可塑性樹脂組成物及びそれを成形してなる成型品とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、強化繊維用サイジング剤、熱可塑性樹脂の補強材として用いられる炭素繊維束及びその製造方法に関するものである。また、これら炭素繊維束を用いた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
炭素繊維束とは、炭素からなる単繊維が複数まとまった形態をなしているものであり、熱可塑性樹脂等の補強材として用いられるものである。
熱可塑性樹脂の補強材として用いられる場合、炭素繊維束は、5〜15mm長に切断された形態で一般に供される。この炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを混練したペレットを製造するに当たっては、炭素繊維束が定量的に押出機内に供されることが必要であるが、そのためには炭素繊維束の形態安定性が重要である。形態が適切でないと、吐出斑の原因となり得る。また、一定の押出速度が得られなくなるため、ストランド切れが発生し、ペレットの生産性が大幅に低下する恐れもある。
さらに、長繊維ペレットといわれる材料も注目されており、その際は炭素繊維束は連続繊維の形態で、ペレット製造工程に投入されることになる。この場合、炭素繊維束には毛羽やフライが発生し易く、また、バラケ易く、その取り扱いが難しい。
さらに、炭素繊維束を織物にして熱可塑性樹脂を含浸させたシート材料として使用される場合もあり、炭素繊維束の製織性や製織後の織布の取り扱い性なども重要な特性となっている。
以上のような理由により、炭素繊維束の取り扱い性や、炭素繊維束を配合した材料の物性を向上させることを目的に、例えばエポキシ樹脂を主成分とするような、マトリックス樹脂に適合性のあるサイジング剤を、例えば2〜5質量%程度表面に付着させるサイジング処理により収束された炭素繊維束が、一般的に用いられている。
ここで、マトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などがよく用いられるが、最近、リサイクル性、経済性の面からポリオレフィン系樹脂が用いられるケースが増えてきている。特にポリプロピレン樹脂は、近年注目されている樹脂である。
ポリオレフィン系樹脂は、基本的に無極性であることから、炭素繊維やガラス繊維との界面接着性が非常に悪く、補強材としての機械特性の向上効果が十分に発現しないことが多い。そのため、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン系樹脂を添加して接着性を向上させる方法、ポリオレフィン系樹脂とシランカップリング剤より構成するサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維をサイジング処理する方法などが知られている。さらには、特開平6−107442号公報(特許文献1)にあるように、酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維などをサイジング処理する方法が知られている。
しかしながら、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン系樹脂を添加する方法では、酸変性ポリオレフィン系樹脂を多量に添加する必要があり、リサイクル性、経済性において優れたものとはならない。また、シランカップリング剤を含むサイジング剤でサイジング処理する方法では、炭素繊維の場合は、ガラス繊維に比べて表面に存在する水酸基がそれほど多くないため、界面接着性を向上させる効果がかなり低かった。
また、特許文献1に記載されている酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤でサイジング処理する方法は、ポリオレフィン系樹脂との比較的良好な界面接着性を実現するが、炭素繊維の場合におけるその効果は十分ではなかった。
特開平6−107442号公報
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束とするのに好適な強化繊維用サイジング剤、それを用いてサイジング処理された炭素繊維束及びその製造方法、並びにその炭素繊維束を用いた熱可塑性樹脂組成物及びその成型品を提供することを目的とする。
本発明は、
アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤である。
アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤である。
また、本発明は、
前記の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束である。さらには、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、前記の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束である。
前記の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束である。さらには、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、前記の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束である。
また、本発明は、
(1)炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(2)サイジング処理された前記炭素繊維束の含水量を20〜60質量%に調整して、前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(3)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法である。さらには、
(1’)炭素繊維束を、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤でプレサイジング処理する工程と、
(2’)プレサイジング処理された前記炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(3’)サイジング処理された前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(4’)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法である。
(1)炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(2)サイジング処理された前記炭素繊維束の含水量を20〜60質量%に調整して、前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(3)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法である。さらには、
(1’)炭素繊維束を、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤でプレサイジング処理する工程と、
(2’)プレサイジング処理された前記炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(3’)サイジング処理された前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(4’)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法である。
また、本発明は、
熱可塑性樹脂と、前記の炭素繊維束とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素繊維束の含有量が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物である。
熱可塑性樹脂と、前記の炭素繊維束とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素繊維束の含有量が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物である。
また、本発明は、
前記の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品である。
前記の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品である。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束とするサイジング処理に好適に用いることができる。その強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現することができる。
[強化繊維用サイジング剤]
本発明における強化繊維用サイジング剤は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含むものである。
本発明における強化繊維用サイジング剤は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含むものである。
本発明における(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)が、2級炭素原子または3級炭素原子に結合したものである。ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基との結合以外に、結合している水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。なお、本発明において(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を構成する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ジプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸シクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の環構造、多環構造の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体等が挙げられる。これらは、1種をでも良く、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも入手のしやすさ、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性の面から、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニルがより好ましい。
また、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を構成する単量体としては、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸トリプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体等が挙げられる。これらは、1種をでも良く、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、入手のしやすさから(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミルを用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸t−ブチルが特に好ましい。
また、重合体(A)は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位と、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位とを含む重合体であってもよい。その場合、その組成比は求める性能によって適宜、任意の割合で共重合して構わないが、密着性の観点からはアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が50質量%以上であることが好ましい。
前記重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の他に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位とは異なる他の単量体(b)単位とを有する共重合体であることが繊維束に対する密着性の観点から好ましい。かかる重合体(A)は、前記単量体(a)と、これと共重合可能な他の単量体(b)とを共重合することにより得ることができる。
上記の他の単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)と異なる単量体であり、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)と共重合可能な単量体であれば特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アタクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、「プラクセルFMまたはFA」[ダイセル化学株式会社製製品名;カプロラクトン付加単量体]、「FM−1またはFM−2」[ダイセル化学株式会社製製品名;メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン1分子または2分子付加物]、「CHDMMA」[日本化成株式会社製製品名;アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール]等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体等が挙げられる。
上述した単量体(b)の中でも、入手のしやすさ、繊維に対する密着性の面からα、β−不飽和カルボン酸類、エポキシ基含有単量体、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、特にメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、「プラクセルFM−1またはFM−2」(製品名)、「CHDMMA」(製品名)が好ましい。
なお、無水マレイン酸を他の単量体(b)として用いる場合、スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体をさらに共重合することが無水マレイン酸の共重合への導入効率を上げる観点から好ましい。
また、他の単量体(b)は、1種でも良く、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
重合体(A)が共重合体である場合、重合体(A)はランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体等のいかなる重合構造を有するものであっても良い。但し、得られる繊維束強度の観点から、その数平均分子量が5000〜500000のものが好ましく、10000〜300000のものがより好ましい。
重合体(A)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の含有量は、ポリオレフィン樹脂に対する密着性の観点から、30〜99質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、50〜95質量%であることが特に好ましい。他の単量体(b)単位の含有量は1〜70質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましい。5〜50質量%であることが特に好ましい。
また、重合体(A)として、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体を2種以上組み合わせた重合体組成物としても用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−1)単位を有する重合体(A−1)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−1)単位と異なる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−2)単位を有する重合体(A−2)とを含む重合体組成物、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−3)単位を有する重合体(A−3)と、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a−3)単位と他の単量体(b)単位を有する共重合体(A−4)とを含む重合体組成物等を用いることもできる。得られる繊維束強度の観点から、それらの数平均分子量が5000〜500000のものが好ましく、10000〜300000のものがより好ましい。
重合体(A)の重合方法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のラジカル重合、アニオン重合、グループトランスファー重合(GTP)、配位アニオン重合等の公知の重合方法を採用することができる。
上記の強化繊維用サイジング剤の必須成分である重合体(A)は、繊維束と、ポリオレフィン系樹脂等のマトリックス樹脂との複合化の際に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位のエステル結合部位または他の単量体(b)単位が繊維束表面との相互作用を増強する一方、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位の分子の絡み合いによりマトリックス樹脂と強固な結合を生じさせる、有効なカップリング剤として働く成分である。
このような強化繊維用サイジング剤で繊維束をサイジング処理する際、通常、強化繊維用サイジング剤が水に溶解あるいは分散した状態の水系サイジング剤溶液を用いて、繊維束をサイジング処理する。工業的な生産を考えると、安全面、経済面から、強化繊維用サイジング剤が水に分散した水性エマルションとしてサイジング処理することが好ましい。
水性エマルションの濃度は特に限定はないが、強化繊維用サイジング剤の濃度で5〜60質量%となるように水で希釈される。
水性エマルジョンの製造方法としては特に限定されないが、重合体(A)を乳化重合により製造する方法、重合体(A)を強制乳化により水中に分散させる方法がある。
これらの場合、構成成分を水に均一に分散させる目的で、界面活性剤が乳化剤として用いられる。この時の乳化剤としては、特に限定されるものではなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系乳化剤等を用いることができる。中でも、アニオン系又はノニオン系乳化剤が、乳化性能と低価格のため好ましい。また、後述するように、水性エマルションにシランカップリング剤を添加する場合、シランカップリング剤の水中での安定性、更に成形品の物性安定性の点からノニオン系乳化剤が特に好ましい。
ノニオン系乳化剤としては、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)などの乳化剤が挙げられる。ただし、ノニオン系乳化剤のHLBは通常8〜20のものを用いる。HLBがこの範囲外のノニオン系乳化剤を用いると、安定な水性エマルションが得られないことがある。
アニオン系乳化剤としては、カルボン酸塩型(オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、スルホン酸塩型(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩型(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられる。中和剤としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニアなどが挙げられる。還元剤としては、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
強制乳化方法としては、攪拌翼を備えたバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振盪器を用いる方法、ガウリンホモジナイザなどの高せん断乳化機を用いる方法などが挙げられる。乳化温度は、用いる強化繊維用サイジング剤の軟化温度より高く設定することで、十分な安定性を有する水性エマルションが得られる。乳化に要する時間は、通常数分〜2時間である。乳化後は、室温まで冷却を行うことにより、水性エマルションが得られる。
強化繊維用サイジング剤が分散した水性エマルションには、必要に応じて、他のサイジング剤(例えば、オレフィン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルションなど)や、シランカップリング剤、帯電防止剤と併用することができ、さらに潤滑剤や平滑剤とも併用することができる。これらの中でもシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、及び直鎖アルキル基のいずれか1つを有するシランカップリング剤などが使用できる。シランカップリング剤は1種でも良く、2種以上を混合して用いることもできる。シランカップリング剤の中でも、特に、分子中にエポキシ基、アミノ基、直鎖アルキル基を有するエポキシシラン系、アミノシラン系、直鎖アルキルシラン系が好適である。エポキシシラン系シランカップリング剤のエポキシ基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基等が好適であり、かかるシランカップリング剤としては、日本ユニカー(株)製A−186、A−187、AZ−6137、AZ−6165(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。アミノシラン系シランカップリング剤としては、1級アミン、2級アミン或いはその双方を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製A−1100、A−1110、A−1120、Y−9669、A−1160(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。また、直鎖アルキルシラン系としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製AZ−6171、AZ−6177(以上、商品名)、信越シリコーン(株)製KBM−3103C(商品名)等が具体的に挙げられる。
シランカップリング剤の量は、強化繊維用サイジング剤が分散した水性エマルションの水以外の総成分量(総固形分量)100質量%に対して、5質量%以下、好ましくは4質量%以下であることが望ましい。添加量が多すぎると、シランカップリング剤の架橋が進行し、繊維束が硬く脆弱となり、縦割れが発生しやすくなり、更に界面接着性を低下させる原因となる恐れがある。
[繊維束]
本発明の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理される繊維としては、有機繊維、無機繊維のどちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ゾノトライト、ウォラストナイト、スラグ繊維、セピオライト、ドーソナイト、石膏繊維等が挙げられる。それらの中でも、マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から炭素繊維の単繊維で形成された炭素繊維束が好ましく、更に複数の皺を表面に複数有する炭素繊維の単繊維で形成された炭素繊維束がより好ましい。以下、本発明で好適に用いられる炭素繊維束について詳細に説明する。
本発明の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理される繊維としては、有機繊維、無機繊維のどちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ゾノトライト、ウォラストナイト、スラグ繊維、セピオライト、ドーソナイト、石膏繊維等が挙げられる。それらの中でも、マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から炭素繊維の単繊維で形成された炭素繊維束が好ましく、更に複数の皺を表面に複数有する炭素繊維の単繊維で形成された炭素繊維束がより好ましい。以下、本発明で好適に用いられる炭素繊維束について詳細に説明する。
なお、炭素繊維束は、平均直径4〜8μm程度の単繊維が1000〜100000本程度まとまった形態をなしているものが好ましい。炭素繊維束を構成する単繊維としては、アクリロニトリル重合体や、石油、石炭からとれるピッチ等を繊維化し炭素化することで得られるものであり、前記強化繊維用サイジング剤でサイジング処理される前の炭素繊維束は、炭素化処理後のもの、湿式電解酸価処理して表面に酸素含有官能基を導入したものや、プレサイジング処理された状態のものも使用できる。
上記複数の皺を表面に有する単繊維で形成された炭素繊維束としては、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差が40nm以上となる複数の皺を表面に有する単繊維を、複数有するものが好ましい。上記の円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差は、単繊維の直径の10%以下であることが好ましい。
本発明における炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定されるものである。単繊維の表面の皺とは、ある方向に1μm以上の長さを有する凹凸の形態を指すものである。またその方向には特に限定はなく、繊維軸方向に平行、あるいは垂直、あるいはある角度を有するものでもよい。炭素繊維束の一般的な製造方法から、通常の炭素繊維表面には繊維軸方向にほぼ平行な皺が存在する。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に、以下のようにして見積もることができる。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ(株)製、SPI3700/SPA−300(商品名))によりシリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmに渡り少しずつずらしながら繰り返し走査し、得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットしたのち逆変換を行う。そうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取る。
このような単繊維を複数有する単繊維で形成された炭素繊維束としては、例えば、三菱レイヨン(株)製TR50S、TR30L(以上、商品名)などが挙げられる。
本発明における炭素繊維束の単繊維は、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.03〜1.20であることが好ましい。長径/短径が小さすぎると、サイジング処理後、単繊維同士の接着が強く、樹脂との混合・含浸時の単繊維へのバラケ性が悪くなり、均一に分散した成型品が得られない場合があり、大きすぎると、単繊維同士の接着が弱く、バラケ易い炭素繊維束となり、所定長さの切断工程の安定性、切断後の炭素繊維束の形態安定性が悪くなる場合がある。特に好ましくは、1.05〜1.15である。なお、上記の長径/短径の値は、下記のように測定することができる。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。ついで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定する。
本発明における炭素繊維束の単繊維は、ICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm以下であることが好ましい。Si量が多すぎると、マトリックス樹脂との濡れ性や界面接着性が悪くなる場合がある。特に好ましくは、350ppm以下である。なお、上記のSi量は下記のように測定することができる。
炭素繊維束を、風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その質量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
本発明における炭素繊維束は、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理されていることが好ましい。
本発明におけるプレサイジング処理とは、原料である炭素繊維束にプレサイジング剤を付着させる処理のことである。このプレサイジング処理により、炭素繊維束の収束性を高めことが可能であり、同時に、炭素繊維束と強化繊維用サイジング剤との親和性を高めることが可能である。
本発明では、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤を用いることが好ましい。かかるプレサイジング剤は、炭素繊維束の単繊維との親和性や取り扱い性に優れ、少量で単繊維を収束させることができることから、好適である。また、かかるプレサイジング剤でプレサイジング処理された炭素繊維束は、後のサイジング処理の工程において、ローラへの炭素繊維束の巻き付きが発生しないなど、優れた工程通過性を有するものとなる。また、本発明で用いる強化繊維用サイジング剤との濡れ性も良好で、強化繊維サイジング剤を均一に付着させることが可能になる。
本発明のプレサイジング剤で炭素繊維束をプレサイジング処理する際、通常は、水溶性または水分散性エポキシ樹脂を水に溶解または分散させた水系プレサイジング剤溶液を用いる。水溶性または水分散性のエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。また、水系で使用できるものであれば、変性エポキシ樹脂を用いることもできる。また、1種のエポキシ樹脂を単独で用いる他、2種以上を混合して用いることもできる。また、強化繊維用サイジング剤を付着させる工程の通過性等の観点から、エポキシ樹脂は、室温で液状のものと固状のものとを併用することがより好ましい。
水溶性のエポキシ樹脂としては、エチレングリコール鎖の両端にグリシジル基を有するものや、A型、F型、S型等のビスフェノールの両端にエチレンオキサイドが付加されその両端にグリシジル基を有するものなどが挙げられる。また、グリシジル基の代わりに、脂環式エポキシ基を有するものを用いることもできる。
水分散性のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、大日本インキ化学工業(株)製HP7200(商品名))、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート157S65(商品名))等が挙げられる。また、グリシジル基の代わりに、脂環式エポキシ基を有するものを用いることもできる。
水分散性のエポキシ樹脂からなるプレサイジング剤を用いる場合には、さらに乳化剤が添加された水性エマルションを用いて、プレサイジング処理するのが好ましい。乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン系、カチオン系、ノニオン系乳化剤などを用いることができる。中でも、乳化性能が良好で、また低価格であることから、アニオン系又はノニオン系乳化剤が好ましい。また、強化繊維用サイジング剤の安定性を阻害しないことから、ノニオン系乳化剤が特に好ましい。
ノニオン系乳化剤としては、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)などの乳化剤が挙げられる。ただし、ノニオン系乳化剤のHLBは通常8〜20のものを用いる。HLBがこの範囲外のノニオン系乳化剤を用いると、安定な水性エマルションが得られないことがある。
アニオン系乳化剤としては、カルボン酸塩型(オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、スルホン酸塩型(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩型(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられる。中和剤としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニアなどが挙げられる。還元剤としては、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
乳化方法としては、攪拌翼を備えたバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振盪器を用いる方法、ガウリンホモジナイザなどの高せん断乳化機を用いる方法などが挙げられる。乳化温度は、用いるプレサイジング剤の軟化温度より高く設定することで、十分な安定性を有する水性エマルションが得られる。乳化に要する時間は、通常数分〜2時間である。乳化後は、室温まで冷却を行うことにより、水性エマルションが得られる。水性エマルションの濃度は特に限定はないが、プレサイジング剤の濃度で5〜60質量%となるように水で希釈される。
プレサイジング剤が分散した水性エマルションには、必要に応じて、他のサイジング剤(例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルションなど)や、シランカップリング剤、帯電防止剤と併用することができ、さらに潤滑剤や平滑剤とも併用することができる。
このようなプレサイジング剤の付着量は、炭素繊維束全体に対して0.1〜2.0質量%が好ましく、0.2〜1.2質量%がより好ましい。かかる範囲であれば炭素繊維の単繊維表面を覆うプレサイジング剤の分子層が1〜3層程度となり、好適である。付着量が多すぎると、単繊維間にプレサイジング剤が介在してブリッジングが発生し、単繊維同士の擬似接着により、単繊維間の動きが拘束され、炭素繊維束の広がり性が悪くなり、ひいては炭素繊維束の均一性が損なわれてしまう恐れがある。また、後の工程で付着させる強化繊維用サイジング剤の浸透性が阻害され、均一な炭素繊維束を得ることが難しくなるなど、炭素繊維束としての特性が悪化する恐れもある。一方、付着量が少なすぎると、プレサイジング剤を付着させる効果が発現せず、工程通過性、取り扱い性、強化繊維用サイジング剤との親和性に優れた炭素繊維束が得られなくなる恐れがある。
[サイジング処理]
本発明におけるサイジング処理とは、繊維束に前記重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を付着させる処理のことである。このサイジング処理により、繊維束の収束性を高めことが可能であり、同時に、繊維束とマトリックス樹脂との親和性を高めることが可能である。マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から、炭素繊維束に対してサイジング処理するのが好ましく、プレサイジング処理された炭素繊維束に対してサイジング処理するのがより好ましい。
本発明におけるサイジング処理とは、繊維束に前記重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を付着させる処理のことである。このサイジング処理により、繊維束の収束性を高めことが可能であり、同時に、繊維束とマトリックス樹脂との親和性を高めることが可能である。マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から、炭素繊維束に対してサイジング処理するのが好ましく、プレサイジング処理された炭素繊維束に対してサイジング処理するのがより好ましい。
上記の強化繊維用サイジング剤の必須成分である重合体(A)は、炭素繊維束と、ポリオレフィン系樹脂等のマトリックス樹脂との複合化の際に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位のエステル結合部位または他の単量体(b)単位が炭素繊維束表面との相互作用を増強する一方、メタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位が分子の絡み合いによりマトリックス樹脂と強固な結合を生じさせる、有効なカップリング剤として働く成分である。
前記強化繊維用サイジング剤を含む水系サイジング剤溶液を用いて、サイジング処理する方法としては、例えば、水系サイジング剤溶液中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに単繊維からなる炭素繊維束を接触させて水系サイジング剤溶液を付着させるタッチロール方式、単繊維からなる炭素繊維束を直接水系サイジング剤溶液中に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させて水系サイジング剤溶液の付着量を制御する浸漬方式などが挙げられる。中でもタッチロール方式が好適であり、さらに炭素繊維束を複数のタッチロールに接触させ、複数段階で水系サイジング剤溶液を付着させる方式が、強化繊維用サイジング剤の付着量や束幅制御の観点から特に好適である。その後、必要に応じて、予備乾燥、熱処理を行う。詳細な条件は、炭素繊維束が所望の特性を発現するように、適宜選択すれば良い。
以上のような本発明の炭素繊維束は、連続繊維の状態でも、所定の長さに切断された状態でも良い。炭素繊維束への強化繊維用サイジング剤の付着量には特に制限が無く、炭素繊維束が所望の機能を有するための必要量とすれば良いが、連続繊維の状態の炭素繊維束においては、その付着量は全体の0.3〜5質量%であることが好ましい。特に好ましくは0.8〜4質量%である。また、所定の長さに切断された状態の炭素繊維束においては1〜5質量%であることが好ましい。特に好ましくは1.2〜4質量%である。強化繊維用サイジング剤が少なすぎると、収束性が不足し、切断された束の形態安定性が悪くなる場合があり、強化繊維用サイジング剤が多すぎると、樹脂との混合工程での濡れ性と単繊維へのバラケ性が著しく悪くなる場合がある。なお、炭素繊維束におけるサイジング剤の付着量とは、炭素繊維束全体に対する水以外の成分量として規定されるものであり、SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により測定されるものである。
また、所定の長さに切断された状態の炭素繊維束は、目付が0.4〜15g/mであることが好ましい。炭素繊維束の目付が小さすぎると、経済的に不都合であり、更にペレット製造工程での炭素繊維束の導入工程通過性を悪化させる場合がある。一方、大きすぎると、水系サイジング剤溶液の炭素繊維束への浸透が完全に行わせることが難しくなり、形状の安定した炭素繊維束を製造することが難しい場合がある。より好ましくは0.6〜10g/m、特に好ましくは0.8〜8g/mである。
炭素繊維束の切断方式としては、特に制限はないが、ロータリーカッター方式等が好適である。また、切断長(炭素繊維束の長さ)は、2〜30mm、好ましくは4〜24mm、より好ましくは6〜20mmとすることが望ましい。ロータリーカッター方式では、用いる装置の歯先間隔を調節することにより切断長を調整することができる。
ロータリーカッター方式での切断に際しては、炭素繊維束厚みが厚くなり過ぎると切り損じを生じたり、ロータに炭素繊維束が巻き付いて操作不能になったり、切断後の形状不良が生じたりするので、炭素繊維束厚みは薄い方が有利である。また、炭素繊維束の目付が1.5g/mを超える太目付の炭素繊維束の場合、炭素繊維束をできるだけ開繊させ、炭素繊維束内部まで水系サイジング剤溶液を均一に付着させることが重要である。従って、ガイドロール、コームガイド、スプレッダーバー等を用いて、炭素繊維束の幅/厚みが大きくなるように制御しながら、かつ炭素繊維束には実質的に撚りの無いように走行させることが好ましい。
ただし、所定長さに切断された炭素繊維束は、幅が広くなると繊維配向方向に沿って縦割れし易くなり、製造中や製造後の使用時にその形態を維持することが困難な傾向にある。このことは特に太目付の炭素繊維束において顕著である。したがって、幅/厚みが3〜10になるように、ロータリーカッターに付随するガイドの幅を調節し、炭素繊維束の幅を制御することが好ましい。幅/厚みが3以上であると、ロータリーカッターでの切断工程でのミスカットの発生を抑制することできる。また、幅/厚みが大きすぎると、切断時のミスカットが発生し難くなるものの、厚みが薄くなりすぎて切断後に炭素繊維束の縦割れが生じ易くなり、後の工程通過性が悪化する恐れがある。また、太目付の炭素繊維束を汎用タイプ並みに薄く広げて切断するには、同時に処理可能な繊維本数が減少し、その減少分を補うためにカッターの幅広化或いは処理速度の高速化等必要となり、設備面の負荷や生産効率の低下を招く恐れがある。
この切断は、炭素繊維束に水系サイジング剤溶液を付着させた後、湿潤状態にある炭素繊維束に対して行うのが好ましい。これは、水系サイジング剤溶液の表面張力による収束効果と、切断時の衝撃性のせん断力を湿潤状態の柔軟な状態で吸収して繊維割れを防ぐことを利用したものである。この切断時においては、炭素繊維束の含水率が20〜60質量%、特に25〜50質量%の湿潤状態であると好ましい。含水率が少なすぎると、切断時に繊維割れや毛羽が発生しやすくなる恐れがある。また、含水率が多すぎると、単繊維表面に水が過剰に付着した状態となるため、水の表面張力により単繊維が丸く収束し、切断時にミスカットや刃の目詰まりの発生頻度が高くなる恐れがある。また、必要に応じて、含水率を調整するために、切断前に水や水系サイジング剤溶液を用いて、追加処理を行ってもよい。
切断後に炭素繊維束を乾燥する方法としては、熱風乾燥法等が挙げられる。また、熱風乾燥法を採用する場合、水分の蒸発効率を向上させると共に、炭素繊維束同士の接着を防止するために、振動させた状態で移送しながら乾燥を行うことが好ましい。なお、乾燥時の振動が強すぎると、繊維割れが発生し易くなり、束幅/厚みが3未満の炭素繊維束の割合が多くなる。また、振動が弱すぎると、繊維同士の擬似接着が起こり、団子状になってしまう。従って、適切な振動条件に設定する必要がある。また、細分化された炭素繊維束を振るい落とすだけでなく、熱風の通りをよくするために、メッシュ振動板上を移送させながら、振動乾燥することがより好ましい。また、乾燥効率を向上させるために、赤外線放射等の補助手段を併用することもできる。
[熱可塑性樹脂組成物及び成型品]
上記のような本発明の炭素繊維束は、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂とを混練することにより、熱可塑性樹脂組成物とすることができる。炭素繊維束の熱可塑性樹脂への混練に際しては、連続あるいは所定の長さに切断された状態の炭素繊維束を押出機に供給し、熱可塑性樹脂と混練してペレットとすることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法等の公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(繊維強化複合成形品)を提供することができる。
上記のような本発明の炭素繊維束は、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂とを混練することにより、熱可塑性樹脂組成物とすることができる。炭素繊維束の熱可塑性樹脂への混練に際しては、連続あるいは所定の長さに切断された状態の炭素繊維束を押出機に供給し、熱可塑性樹脂と混練してペレットとすることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法等の公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(繊維強化複合成形品)を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製するに当たっては、本発明の炭素繊維束を好ましくは3〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%配合する。炭素繊維束を3質量%以上配合することにより成形品の機械物性向上効果が顕著に発現する。ただし、配合量が多すぎると、それ以上の著しい向上効果が得られないと共に、ペレット製造時の工程安定性が低下し、またペレットに斑等が生じ、成形品の品質安定性が悪化する恐れがある。
本発明でマトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、炭素繊維束の単繊維表面に付着した強化繊維用サイジング剤との親和性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が最適であり、他にはポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特にポリオレフィン系樹脂をマトリックス樹脂として用いる場合、機械特性をより向上させる目的で、各種の変性ポリオレフィン樹脂を少量添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、機械物性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。このような成型品は、車輌用部品、携帯用電化製品のハウジング部品、一般家電製品のハウジング部品等に好適である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、本実施例における各種特性の測定、評価は、以下の方法により行った。
「炭素繊維束の単繊維表面の皺の深さ」
本発明における炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定される。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に測定した。具体的には以下の通りである。
本発明における炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定される。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に測定した。具体的には以下の通りである。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製、SPI3700/SPA−300(商品名))によりシリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmに渡り少しづつづらしながら繰り返し走査し、得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットしたのち逆変換を行う。そうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取って評価した。
「炭素繊維束の単繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)」
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。ついで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定することで評価した。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。ついで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定することで評価した。
「ストランド強度、弾性率」
JIS R7601に準拠して評価した。
JIS R7601に準拠して評価した。
「プレサイジング剤の付着量」
JIS R7601に準拠して、メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法によりプレサイジング処理後の炭素繊維束のプレサイジング剤付着量を測定した。
JIS R7601に準拠して、メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法によりプレサイジング処理後の炭素繊維束のプレサイジング剤付着量を測定した。
「強化繊維用サイジング剤の付着量」
SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により、サイジング処理後における炭素繊維束のサイジング剤合計の付着量を測定し、プレサイジング剤の付着量に対する増加分を強化繊維用サイジング剤の付着量として算出した。
SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により、サイジング処理後における炭素繊維束のサイジング剤合計の付着量を測定し、プレサイジング剤の付着量に対する増加分を強化繊維用サイジング剤の付着量として算出した。
「含水量」
所定長さに切断された炭素繊維束を、110℃で1時間乾燥させ、その乾燥前後の質量変化分を含水量とした。
所定長さに切断された炭素繊維束を、110℃で1時間乾燥させ、その乾燥前後の質量変化分を含水量とした。
「Si量」
炭素繊維束を、風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その質量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
炭素繊維束を、風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その質量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
「成型品の機械特性の評価」
引張り破断強度はJIS K7113、曲げ強さ、弾性率はJIS K7203、アイゾット強度(1/8"ノッチ、1/8"反ノッチ)はASTM D256に準拠し評価した。なお、これらの測定は室温で行った。
引張り破断強度はJIS K7113、曲げ強さ、弾性率はJIS K7203、アイゾット強度(1/8"ノッチ、1/8"反ノッチ)はASTM D256に準拠し評価した。なお、これらの測定は室温で行った。
「重合体(A)の重量平均粒子径」
動的光散乱粒子径DLS−600(商品名、大塚電子(株)製)にてエマルション組成物中の重合体粒子径(重量平均粒子径)を測定した。
動的光散乱粒子径DLS−600(商品名、大塚電子(株)製)にてエマルション組成物中の重合体粒子径(重量平均粒子径)を測定した。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
<合成例1:重合体(A−1)の水性エマルションの調製>
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水195部加え、窒素置換をした後75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.2部及び脱イオン水5部からなる還元剤水溶液を投入した。反応容器内の温度を75℃に維持しながら、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル(tBCHA)9部、メタクリル酸グリシジル(GMA)1部からなるモノマーと、開始剤となるクメンハイドロパーオキサイド0.025部、ノニオン性乳化剤エマルゲン147(花王製、商品名)10部の混合物を8分かけて滴下し、75℃にて5分保持した。ついで、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル81部、メタクリル酸グリシジル9部からなるモノマーと、クメンハイドロパーオキサイド0.03部、n−オクチルメルカプタン0.1部の混合物を2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後1時間同温度で熟成を行った。
<合成例1:重合体(A−1)の水性エマルションの調製>
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水195部加え、窒素置換をした後75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.2部及び脱イオン水5部からなる還元剤水溶液を投入した。反応容器内の温度を75℃に維持しながら、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル(tBCHA)9部、メタクリル酸グリシジル(GMA)1部からなるモノマーと、開始剤となるクメンハイドロパーオキサイド0.025部、ノニオン性乳化剤エマルゲン147(花王製、商品名)10部の混合物を8分かけて滴下し、75℃にて5分保持した。ついで、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル81部、メタクリル酸グリシジル9部からなるモノマーと、クメンハイドロパーオキサイド0.03部、n−オクチルメルカプタン0.1部の混合物を2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後1時間同温度で熟成を行った。
ついで、反応容器内を40℃まで冷却し、生成物を300メッシュのナイロンクロスでろ過することで、重合体(A−1)の割合が全質量(重合体(A−1)と水の合計)に対して33質量%である重合体(A−1)の水性エマルションを得た。なお、重合体(A−1)の重量平均粒子径は60nmであり、数平均分子量は108000であった。
<合成例2:重合体(A−2)の水性エマルションの調製>
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水195部加え、窒素置換をした後75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.2部及び脱イオン水5部からなる還元剤水溶液を投入した。反応容器内の温度を75℃に維持しながら、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル8.5部、メタクリル酸グリシジル1.5部からなるモノマーと、開始剤となるクメンハイドロパーオキサイド0.025部、ノニオン性乳化剤エマルゲン147(花王製、商品名)10部の混合物を8分かけて滴下し、75℃にて5分保持した。ついで、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル76.5部、メタクリル酸グリシジル13.5部からなるモノマーと、クメンハイドロパーオキサイド0.03部、n−オクチルメルカプタン0.1部の混合物を2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後1時間同温度で熟成を行った。
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器、滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水195部加え、窒素置換をした後75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0003部、ロンガリット0.2部及び脱イオン水5部からなる還元剤水溶液を投入した。反応容器内の温度を75℃に維持しながら、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル8.5部、メタクリル酸グリシジル1.5部からなるモノマーと、開始剤となるクメンハイドロパーオキサイド0.025部、ノニオン性乳化剤エマルゲン147(花王製、商品名)10部の混合物を8分かけて滴下し、75℃にて5分保持した。ついで、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル76.5部、メタクリル酸グリシジル13.5部からなるモノマーと、クメンハイドロパーオキサイド0.03部、n−オクチルメルカプタン0.1部の混合物を2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後1時間同温度で熟成を行った。
ついで、反応容器内を40℃まで冷却し、生成物を300メッシュのナイロンクロスでろ過することで、重合体(A−2)の割合が全質量(重合体(A−2)と水の合計)に対して33質量%である重合体(A−2)の水性エマルションを得た。なお、重合体(A−2)の重量平均粒子径は55nmであり、数平均分子量は110000であった。
<合成例3:重合体(A−3)の水性エマルションの調製>
1リットル冷却管付フラスコに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル90質量部とスチレン(St)5質量部、無水マレイン酸(MAH)5質量部とを仕込み、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。次いで2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を加えた後、内温が70℃になるまで昇温させ、同温度で6時間保持し重合を完結させた。得られたポリマー溶液にトルエン200質量部を添加して粘度を低下させた後、メタノール20000質量部中に投じ、沈殿物をろ過して白色固体を得た。この白色固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して精製し、重合体(A−3)を得た。この重合体の数平均分子量は39,000であった。
1リットル冷却管付フラスコに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル90質量部とスチレン(St)5質量部、無水マレイン酸(MAH)5質量部とを仕込み、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。次いで2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を加えた後、内温が70℃になるまで昇温させ、同温度で6時間保持し重合を完結させた。得られたポリマー溶液にトルエン200質量部を添加して粘度を低下させた後、メタノール20000質量部中に投じ、沈殿物をろ過して白色固体を得た。この白色固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して精製し、重合体(A−3)を得た。この重合体の数平均分子量は39,000であった。
セパラブルフラスコに重合体(A−3)10部を入れ120℃の温度条件にて溶融・混練した。次いで、エマルゲン147(花王製、商品名)10部を溶解させた90℃温水90部を加え、攪拌後、ホモジナイザー(20MPa)で2回処理することで、重合体(A−3)の割合が全質量(重合体(A−3)と水の合計)に対して9質量%である重合体(A−3)の水系エマルションを得た。なお、重合体(A−3)の重量平均粒子径は200nmであり、数平均分子量は39000であった。
<強化繊維用サイジング剤i〜vの調製>
表1に示す化合物を表2に示す割合で配合することで、強化繊維用サイジング剤i〜vを調製した。なお、表2中の数字は、各成分中の水を除いた成分としての質量%を示す。
表1に示す化合物を表2に示す割合で配合することで、強化繊維用サイジング剤i〜vを調製した。なお、表2中の数字は、各成分中の水を除いた成分としての質量%を示す。
<炭素繊維束(原料)の調製>
アクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解した紡糸原液を、濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出して凝固糸とした。次いで、その凝固糸を濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の断面の長径と短径との比、表面に形成される皺の深さは、第2凝固浴の濃度および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整することができる。その後、炭素繊維前駆体繊維束の安定性維持を目的に、シリコン系の油剤を付着させた。
アクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解した紡糸原液を、濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出して凝固糸とした。次いで、その凝固糸を濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の断面の長径と短径との比、表面に形成される皺の深さは、第2凝固浴の濃度および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整することができる。その後、炭素繊維前駆体繊維束の安定性維持を目的に、シリコン系の油剤を付着させた。
ついで、複数の炭素繊維前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入し、200〜300℃に加熱された空気などの酸化性気体を炭素繊維前駆体繊維束に吹き付けることによって、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化して耐炎繊維束を得る。ついで、この耐炎繊維束を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、1200〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維束(原料)を得た。その後、樹脂との親和性を向上させる目的で、湿式電解酸化処理により炭素繊維束(原料)の表面に酸素含有官能基を導入した。
製造した炭素繊維束(原料)の特性を表3に示した。
<炭素繊維束(原料)のプレサイジング処理>
炭素繊維束(原料)にプレサイジング剤を付着させるプレサイジング処理を行い、乾燥後、ボビンに巻取り、プレサイジング処理された炭素繊維束を得た。プレサイジング剤としては、以下の組成のエポキシ系サイジング剤を用い、付着量が0.5質量%になるように条件を調整した。
炭素繊維束(原料)にプレサイジング剤を付着させるプレサイジング処理を行い、乾燥後、ボビンに巻取り、プレサイジング処理された炭素繊維束を得た。プレサイジング剤としては、以下の組成のエポキシ系サイジング剤を用い、付着量が0.5質量%になるように条件を調整した。
(主剤)
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」(商品名) 50質量部
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001」(商品名) 30質量部
(乳化剤)
・旭電化(株)製「プルロニックF88」(商品名) 20質量部
<サイジング処理された炭素繊維束I〜VIの製造>
炭素繊維束[炭素繊維束(原料)又はプレサイジング処理後の炭素繊維束]を開繊バーと炭素繊維幅規制バーとを複数回交互に通過させ、所定の炭素繊維幅とした後、強化繊維用サイジング剤でのサイジング処理を行った。用いた炭素繊維束(プレサイジング処理の有無を含む)及び強化繊維用サイジング剤としては、表4及び表5に示すものを用いた。なお、サイジング処理は、水の量を調整し強化繊維用サイジング剤濃度を表4及び表5に示すように調整した水系エマルションを使用した。また、水系エマルションを付着させる方式としては、下記のタッチロール方式を採用した。
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」(商品名) 50質量部
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001」(商品名) 30質量部
(乳化剤)
・旭電化(株)製「プルロニックF88」(商品名) 20質量部
<サイジング処理された炭素繊維束I〜VIの製造>
炭素繊維束[炭素繊維束(原料)又はプレサイジング処理後の炭素繊維束]を開繊バーと炭素繊維幅規制バーとを複数回交互に通過させ、所定の炭素繊維幅とした後、強化繊維用サイジング剤でのサイジング処理を行った。用いた炭素繊維束(プレサイジング処理の有無を含む)及び強化繊維用サイジング剤としては、表4及び表5に示すものを用いた。なお、サイジング処理は、水の量を調整し強化繊維用サイジング剤濃度を表4及び表5に示すように調整した水系エマルションを使用した。また、水系エマルションを付着させる方式としては、下記のタッチロール方式を採用した。
(タッチロール方式)
水系エマルションの槽にタッチロールの一部を浸漬し、タッチロール表面に転写した後、タッチロール表面に炭素繊維束を接触させることにより水系エマルションを付着させた。なお、2個のタッチロールを用い、炭素繊維束の表裏2面に対して実施した。
水系エマルションの槽にタッチロールの一部を浸漬し、タッチロール表面に転写した後、タッチロール表面に炭素繊維束を接触させることにより水系エマルションを付着させた。なお、2個のタッチロールを用い、炭素繊維束の表裏2面に対して実施した。
次に、ロータリーカッターを用いて炭素繊維束を所定長さ(6mm)に切断し、最後に、150℃に設定された床振動式熱風乾燥炉に連続的に投入し乾燥させることにより、炭素繊維束I〜VIIIを得た。
なお、用いた水系エマルションはいずれも乳化安定性が良好であり、サイジング処理時の炭素繊維束の通過性および切断工程とも良好であった。乾燥後、すべての炭素繊維束には割れが発生しなかった。製造した炭素繊維束I〜VIIIの評価結果を表4及び表5に示す。
<熱可塑性樹脂組成物のペレット及び成形品の製造(その1)>
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)68質量部と、変成ポリプロピレン樹脂(無水マレイン酸共重合ポリプロピレンマスターバッチP503、三菱化学(株)製)12質量部とを250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表6に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)68質量部と、変成ポリプロピレン樹脂(無水マレイン酸共重合ポリプロピレンマスターバッチP503、三菱化学(株)製)12質量部とを250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表6に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを20mmφ、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成型品を作製した。得られた成形品の機械特性を表6に示す。実施例1〜6の成型品は比較例1〜2の成型品に比べて、引張り破断強度、曲げ強さ、アイゾット強度に優れており、本発明の炭素繊維束は良好な界面接着性を有していることが分かった。
<熱可塑性樹脂組成物のペレット及び成形品の製造(その2)>
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)80質量部を250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表7に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、いずれにおいても、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)80質量部を250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表7に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、いずれにおいても、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを20mmφ、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成型品を作製した。得られた成形品の機械特性を表7に示す。実施例7の成型品は比較例3及び4の成型品に比べて、引張り破断強度、曲げ強さ、アイゾット強度に優れており、本発明の炭素繊維束は良好な界面接着性を有していることが分かった。
Claims (16)
- アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)が、脂環式炭化水素基を有するものである請求項1に記載の強化繊維用サイジング剤。
- 前記脂環式炭化水素基が、シクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、及び3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の強化繊維用サイジング剤。
- 前記重合体(A)が、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位と、これ以外の他の単量体(b)単位とを有する共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤。
- 前記サイジング剤に、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、及び直鎖アルキル基のいずれか1つを分子中に有するシランカップリング剤が、5質量%を超えない範囲で含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束。
- エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束。
- 前記炭素繊維束を形成する単繊維が、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差が40nm以上となる複数の皺を表面に有する、請求項6又は7記載の炭素繊維束。
- 前記単繊維の断面の長径と短径との比が1.03〜1.20であり、かつICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm以下である請求項8記載の炭素繊維束。
- 前記強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%であり、所定長さに切断されている請求項6〜9のいずれかに記載の炭素繊維束。
- 目付が0.4〜15g/mであり、幅/厚みが3〜10である請求項6〜10のいずれかに記載の炭素繊維束。
- (1)炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(2)サイジング処理された前記炭素繊維束の含水量を20〜60質量%に調整して、前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(3)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法。 - (1’)炭素繊維束を、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤でプレサイジング処理する工程と、
(2’)プレサイジング処理された前記炭素繊維束を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を水に溶解又は分散させた水系サイジング剤溶液を用いて、該強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1〜5質量%となるようにサイジング処理する工程と、
(3’)サイジング処理された前記炭素繊維束を所定長さに切断する工程と、
(4’)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程と
を有する炭素繊維束の製造方法。 - 熱可塑性樹脂と、請求項6〜11のいずれかに記載の炭素繊維束とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素繊維束の含有量が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項14または15に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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