JP2005226193A - 強化繊維用サイジング剤、炭素繊維束、熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

強化繊維用サイジング剤、炭素繊維束、熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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博樹 中村
Toru Tokimitsu
亨 時光
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Abstract

【課題】 ポリプロピレン樹脂と強化繊維束との界面接着性を改善するサイジング剤を提供し、補強材として優れた炭素繊維束、強度等に優れた成形品、これを得るに好適な熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体を含むビニル系単量体によってポリオレフィン樹脂をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤。これによってサイジング処理された炭素繊維束。この炭素繊維束の製造方法。この炭素繊維束と熱可塑性樹脂を含み、炭素繊維束の含有量が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物。この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、強化繊維の収束性を向上させる強化繊維用サイジング剤、熱可塑性樹脂の補強材として用いられる炭素繊維束及びその製造方法に関するものである。また、これら炭素繊維束を用いた熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
炭素繊維束は、炭素からなる単繊維が複数まとまった形態をなしているものであり、熱可塑性樹脂等の補強材として用いられている。
熱可塑性樹脂の補強材として用いられる場合、炭素繊維束は、5〜15mm長に切断された形態で一般に供される。この炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを混練したペレットを製造するに当たっては、炭素繊維束が定量的に押出機内に供されることが望まれるが、そのためには炭素繊維束の形態安定性が重要である。形態が適切でないと、吐出斑の原因となり得る。また、一定の押出速度が得られにくくなるため、ストランド切れが発生し、ペレットの生産性が大幅に低下する恐れもある。
さらに、長繊維ペレットといわれる材料も注目されており、その製造の際は炭素繊維束は連続繊維の形態で、ペレット製造工程に投入されることになる。この場合、炭素繊維束には毛羽やフライが発生し易く、また、バラケ易く、その取り扱いが難しい。
さらに、炭素繊維束を織物にして熱可塑性樹脂を含浸させたシート材料として使用する場合もあり、このような場合には炭素繊維束の製織性や製織後の織布の取り扱い性なども重要な特性となっている。
以上のような理由により、炭素繊維束の取り扱い性や、炭素繊維束を配合した材料の物性を向上させることを目的に、例えばエポキシ樹脂を主成分とするようなマトリックス樹脂に適合性のあるサイジング剤を、例えば2〜5質量%程度炭素繊維表面に付着させるサイジング処理により収束された炭素繊維束が、一般的に用いられている。
ここで、マトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などがよく用いられるが、最近、リサイクル性、経済性の面からポリオレフィン系樹脂が用いられるケースが増えてきている。特にポリプロピレン樹脂は、近年注目されている樹脂である。
ポリオレフィン系樹脂は、基本的に無極性であることから、炭素繊維やガラス繊維との界面接着性が非常に悪く、補強材としての機械特性の向上効果が十分に発現しないことが多い。そのため、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン系樹脂を添加して接着性を向上させる方法、ポリオレフィン系樹脂とシランカップリング剤より構成するサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維をサイジング処理する方法などが知られている。さらには、特開平6−107442号公報(特許文献1)にあるように、酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維などをサイジング処理する方法が知られている。
しかしながら、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン系樹脂を添加する方法では、酸変性ポリオレフィン系樹脂を多量に添加する必要があり、リサイクル性、経済性において優れたものとはならない。また、シランカップリング剤を含むサイジング剤でサイジング処理する方法では、炭素繊維の場合は、ガラス繊維に比べて表面に存在する水酸基がそれほど多くないため、界面接着性を向上させる効果がかなり低かった。
また、特許文献1に記載されている酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤でサイジング処理する方法は、ポリオレフィン系樹脂との比較的良好な界面接着性を実現するが、炭素繊維の場合におけるその効果には更なる改善が望まれるところであった。
特開平6−107442号公報
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、リサイクル性や経済性を損なわずに、熱可塑性樹脂、特にはポリオレフィン系樹脂、中でもポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる強化繊維束、特には炭素繊維束を得るのに好適な強化繊維用サイジング剤を提供することを目的とする。またこのような炭素繊維束を提供することも目的とする。
本発明の別の目的は、熱可塑性樹脂と炭素繊維束との界面接着性に優れ、強度等の強化樹脂特性に優れた成型品を得るに好適な熱可塑性樹脂組成物を提供することであり、またこのような成形品を提供することである。
本発明により、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤が提供される。
上記強化繊維用サイジング剤において、前記ビニル系単量体(B)が不飽和カルボン酸およびその無水物を含有しないことが好ましい。
上記強化繊維用サイジング剤において、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)が、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
上記強化繊維用サイジング剤が、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基または直鎖アルキル基を分子中に有するシランカップリング剤を、5質量%を越えない範囲で含むことが好ましい。
本発明により、上記強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束が提供される。
本発明により、 エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、上記強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束が提供される。
上記炭素繊維束において、炭素繊維束に含まれる炭素単繊維の少なくとも一部が、円周方向の長さが2μmで繊維軸方向の長さが1μmである領域における最高部と最低部の高低差が40nm以上となる複数の皺を表面に有することが好ましい。
上記炭素繊維束において、炭素繊維束に含まれる炭素単繊維の少なくとも一部が、繊維断面の長径と短径との比が1.03以上1.20以下であり、かつICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm以下であることが好ましい。
上記炭素繊維束において、前記強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1質量%以上5質量%以下であり、所定長さに切断されていることが好ましい。
上記炭素繊維束において、目付が0.4g/m以上15g/m以下であり、幅/厚み比が3以上10以下であることが好ましい。
本発明により、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤を水に溶解もしくは分散した水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、炭素繊維束をサイジング処理し、該強化繊維用サイジング剤の付着量を全体の1質量%以上5質量%以下とするサイジング工程;
サイジング処理された前記炭素繊維束を、含水量が20質量%以上60質量%以下の状態で、所定長さに切断する切断工程;および
所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する乾燥工程
を有する炭素繊維束の製造方法が提供される。
本発明により、炭素繊維束をエポキシ樹脂からなるプレサイジング剤でプレサイジング処理するプレサイジング工程;
アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤を水に溶解もしくは分散した水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、前記プレサイジング処理された炭素繊維束をサイジング処理し、該強化繊維用サイジング剤の付着量を全体の1質量%以上5質量%以下とするサイジング工程;
サイジング処理された前記炭素繊維束を、所定長さに切断する切断工程;および
所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する乾燥工程
を有する炭素繊維束の製造方法が提供される。
本発明により、熱可塑性樹脂と、上記炭素繊維束とを含み、
該炭素繊維束の含有量が3質量%以上60質量%以下である熱可塑性樹脂組成物が提供される。
上記熱可塑性樹脂組成物において、前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂およびこれらのアロイ系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明により、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品が提供される。
本発明の強化繊維用サイジング剤は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現できる炭素繊維束などの強化繊維束とするサイジング処理に好適に用いることができる。その強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束は、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現することができる。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、このような炭素繊維束を得るに好適である。
本発明の成型品は、マトリックス樹脂と炭素繊維束との界面接着性に優れるため、強度等の炭素繊維強化樹脂特性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、このような成型品を得るに好適である。
[強化繊維用サイジング剤]
本発明における強化繊維用サイジング剤は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含むものである。
本発明において、ポリオレフィン樹脂(A)としては、オレフィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られるオレフィン系単独重合体または共重合体を用いることができる他、優位量のオレフィン系単量体と劣位量のビニル系単量体との共重合体や、オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体を用いることができ、またこれら単独重合体もしくは共重合体を主成分とするものを用いることもできる。
ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加物等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも水への良好な溶解性又は分散性を得るにはポリオレフィン樹脂(A)として低結晶性もしくは非晶性ポリオレフィンを用いることが好ましい。低結晶性もしくは非晶性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加物が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂(A)は、環境への影響を考慮した場合、塩素原子を含むポリオレフィン樹脂、すなわち塩素化されたポリオレフィンを含有しないことが好ましい。
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含む。
ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基との結合以外に、結合している水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。なお、本発明において(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)単位を構成する単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ジプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;および
(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸シクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の環構造、多環構造の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体
が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも入手のしやすさ、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性の面から、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニルがより好ましい。特には、上記観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。
また、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)単位を構成する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸トリプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中でも、入手のしやすさから(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミルを用いることが好ましい。上記観点から(メタ)アクリル酸t−ブチルが特に好ましい。
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)以外に、その他の単量体を含んでいてもよい。
その他の単量体としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)とラジカル共重合できる単量体を適宜用いることができる。
その他の単量体の具体例としては、
メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アタクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;
N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;
カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;
(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;
アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、「プラクセルFMまたはFA」(ダイセル化学株式会社製製品名、カプロラクトン付加単量体)、「プラクセルFM−1またはFM−2」(ダイセル化学株式会社製製品名、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン1分子または2分子付加物)、「CHDMMA」(日本化成株式会社製製品名、アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール)等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;および
スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体
が挙げられる。
これらの中でも、入手のしやすさ、繊維に対する密着性の面からα、β−不飽和カルボン酸類、エポキシ基含有単量体、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、特にメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、「プラクセルFM−1またはFM−2」(製品名)、「CHDMMA」(製品名)が好ましい。
なお、無水マレイン酸を用いる場合には、スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体をさらに共重合することが無水マレイン酸の共重合への導入効率を上げる観点から好ましい。
これら、その他の単量体は、1種単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、ビニル系単量体(B)は、環境への影響を考慮した場合、分子内に塩素原子を含有しないものであることが好ましい。
ビニル系単量体(B)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の含有量は適宜選ぶことができるが、ポリオレフィンへの密着性の観点から、ビニル系単量体(B)中、5質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは10質量%以上95質量%以下である。
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)を、ビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明におけるポリオレフィン樹脂(A))の存在下で、ビニル系単量体(B)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して得られる反応生成物には、通常、変性ポリオレフィン樹脂(グラフト共重合体)とともに、未変性のポリオレフィン樹脂(A)、およびビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂という。
本発明における変性ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン基材および極性樹脂に良好な密着性を示し、かつ溶剤への良好な溶解性を有するためには、変性ポリオレフィン樹脂はポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである必要がある。
グラフト変性は、ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との質量比(A/B)が1/95以上99/5以下の範囲で行われることが好ましい。この質量比(A/B)を好ましくは1/95以上、より好ましくは5/95以上とすることにより、変性ポリオレフィン樹脂のポリオレフィン樹脂に対する密着性を優れたものにすることができる。また、この質量比(A/B)を好ましくは99/5以下、より好ましくは90/10以下とすることにより、変性ポリオレフィン樹脂の水への溶解性または分散性を優れたものにし、本発明のサイジング剤によりサイジング処理して得られる繊維束強度を優れたものにすることができる。
また、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、得られる繊維束強度の観点から10000〜300000が好ましく、20000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下ででゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Waters製、GPC150−C、ポリメチルメタクリレート換算)を用いて測定することができる。
変性ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂(A)をキシレン等の芳香族炭化水素溶媒中に高温下で溶解させ、これにビニル系単量体(B)を加えてグラフト重合させる溶液法;ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)とを過酸化物存在下で、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機などを用いて溶融混練する混練法;ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との混合物に放射線を照射する放射線法;ポリオレフィン樹脂(A)にビニル系単量体(B)を含浸せしめた後、有機過酸化物でビニル系単量体(B)をラジカル重合させる含浸重合法など、公知のグラフト重合法を利用して製造することができる。
強化繊維用サイジング剤の必須成分である上記の変性ポリオレフィン樹脂は、繊維束と、ポリオレフィン系樹脂等のマトリックス樹脂との複合化の際に、有効なカップリング剤として働く成分である。
このような強化繊維用サイジング剤で繊維束をサイジング処理する際、通常、強化繊維用サイジング剤が水に溶解あるいは分散した状態の水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、繊維束をサイジング処理することができる。工業的な生産を考えると、環境への配慮や、経済面から、強化繊維用サイジング剤が水に分散した水性エマルジョンとしてサイジング処理することが好ましい。
水性エマルジョンの濃度は適宜選ぶことができるが、例えば、強化繊維用サイジング剤の濃度で5質量%以上60質量%以下となるように水で希釈される。
水性エマルジョンの製造方法としては特に限定されないが、例えば、変性ポリオレフィン樹脂を乳化重合により製造する方法、変性ポリオレフィン樹脂を強制乳化により水中に分散させる方法がある。
変性ポリオレフィン樹脂を乳化重合により製造する場合、ポリオレフィン樹脂(A)および(メタ)アクリル酸エステル(b)を含む単量体(B)を、界面活性剤などを使用して水媒体中に乳化分散させた後、重合開始剤を用いて加熱重合することができる。また、ポリオレフィン樹脂(A)の乳化分散液に重合開始剤を含有したビニル系単量体(B)の乳化分散液を一括、または滴下により加えて重合してもよいし、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)中に溶解させ、これを水中に乳化分散させた後、重合してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系乳化剤等を用いることができる。中でも、アニオン系又はノニオン系乳化剤が、乳化性能と低価格のため好ましい。また、後述するように、水性エマルジョンにシランカップリング剤を添加する場合、シランカップリング剤の水中での安定性、更に成形品の物性安定性の点からノニオン系乳化剤が特に好ましい。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)などの乳化剤が挙げられる。ただし、ノニオン系乳化剤のHLBは通常8以上20以下のものを用いることが好ましい。HLBがこの範囲内のノニオン系乳化剤を用いると、水性エマルジョンの安定性に優れるためである。
アニオン系乳化剤としては、例えば、カルボン酸塩型(オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、スルホン酸塩型(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩型(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられる。中和剤としては例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニアなどが挙げられる。還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
強制乳化方法としては、攪拌翼を備えたバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振盪器を用いる方法、ガウリンホモジナイザなどの高せん断乳化機を用いる方法などが挙げられる。乳化温度は、用いる強化繊維用サイジング剤の軟化温度より高く設定することで、優れた安定性を有する水性エマルジョンが得られる。乳化に要する時間は、通常数分〜2時間とすることができる。乳化後は、必要に応じて室温まで冷却を行うなどし、水性エマルジョンを得ることができる。
強化繊維用サイジング剤が分散した水性エマルジョンには、必要に応じて、他のサイジング剤(例えば、オレフィン樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョンなど)や、シランカップリング剤、帯電防止剤と併用することができ、さらに潤滑剤や平滑剤とも併用することができる。これらの中でもシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、分子中にエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基および直鎖アルキル基のうちのいずれか1種を有するシランカップリング剤などが使用できる。シランカップリング剤は1種でも良く、2種以上を混合して用いることもできる。シランカップリング剤の中でも、特に、分子中にエポキシ基、アミノ基、直鎖アルキル基を有するエポキシシラン系、アミノシラン系、直鎖アルキルシラン系が好適である。エポキシシラン系シランカップリング剤のエポキシ基としては、例えば、グリシジル基、脂環式エポキシ基等が好適であり、かかるシランカップリング剤としては、日本ユニカー(株)製A−186、A−187、AZ−6137、AZ−6165(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。アミノシラン系シランカップリング剤としては、例えば、1級アミン、2級アミン或いはその双方を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製A−1100、A−1110、A−1120、Y−9669、A−1160(以上、商品名)等が具体的に挙げられる。また、直鎖アルキルシラン系としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基を有するものが挙げられ、日本ユニカー(株)製AZ−6171、AZ−6177(以上、商品名)、信越シリコーン(株)製KBM−3103C(商品名)等が具体的に挙げられる。
シランカップリング剤の量は、強化繊維用サイジング剤が分散した水性エマルジョンの水以外の総成分量(総固形分量)中、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。この範囲にすることにより、シランカップリング剤の架橋が進行して繊維束が硬く脆弱となることを優れて防止することができ、縦割れの発生や界面接着性の低下を優れて防止することができる。
[繊維束]
本発明の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理される強化繊維としては、有機繊維、無機繊維のどちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ゾノトライト、ウォラストナイト、スラグ繊維、セピオライト、ドーソナイト、石膏繊維等が挙げられる。それらの中でも、マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から炭素繊維の単繊維が収束された炭素繊維束が好ましく、更に複数の皺を表面に有する炭素繊維の単繊維が収束された炭素繊維束がより好ましい。以下、本発明で好適に用いられる炭素繊維束について詳細に説明する。
なお、炭素繊維束は、平均直径4μm以上8μm以下程度の単繊維が1000本以上100000本以下程度まとまった形態をなしているものが好ましい。炭素繊維束を構成する単繊維としては、アクリロニトリル重合体や、石油、石炭からとれるピッチ等を繊維化し炭素化することで得られるものを用いることができる。前記強化繊維用サイジング剤でサイジング処理される前の炭素繊維束は、炭素化処理後のもの、湿式電解酸価処理して表面に酸素含有官能基を導入したものや、プレサイジング処理された状態のものも使用できる。上記複数の皺を表面に有する単繊維で形成された炭素繊維束としては、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差が40nm以上となる皺を表面に複数本有する単繊維を、複数有するものが好ましい。また、上記の円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差は、単繊維の直径の10%以下であることが好ましい。
本発明における炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定されるものである。単繊維の表面の皺とは、ある方向に1μm以上の長さを有する凹凸の形態を指すものである。またその方向には特に限定はなく、繊維軸方向に平行、あるいは垂直、あるいはある角度を有するものでもよい。炭素繊維束の一般的な製造方法から、通常の炭素繊維表面には繊維軸方向にほぼ平行な皺が存在する。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に、以下のようにして見積もることができる。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ(株)製、SPI3700/SPA−300(商品名))によりシリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmに渡り少しずつずらしながら繰り返し走査し、得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットしたのち逆変換を行う。そうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取る。
このような単繊維を複数有する単繊維で形成された炭素繊維束としては、例えば、三菱レイヨン(株)製TR50S、TR30L(以上、商品名)などが挙げられる。
本発明における炭素繊維束の単繊維は、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.03以上1.20以下であることが好ましい。長径/短径の比が小さいと、サイジング処理後、単繊維同士の接着が強く、樹脂との混合・含浸時の単繊維へのバラケ性が悪くなり、均一に分散した成型品が得られにくくなる傾向があるという点で不利であり、大いと、単繊維同士の接着が弱く、バラケ易い炭素繊維束となり、所定長さの切断工程の安定性、切断後の炭素繊維束の形態安定性が劣る傾向があるという点で不利である。特に好ましくは、1.05以上1.15以下である。なお、上記の長径/短径の値は、下記のように測定することができる。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。ついで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定する。
本発明における炭素繊維束の単繊維は、ICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm(質量基準)以下であることが好ましい。Si量が多いと、マトリックス樹脂との濡れ性や界面接着性が劣る傾向があるという点で不利である。特に好ましくは、350ppm以下である。なお、上記のSi量は下記のように測定することができる。
炭素繊維束を、風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その質量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
[プレサイジング]
本発明における炭素繊維束は、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理されていることが好ましい。
本発明におけるプレサイジング処理とは、原料である炭素繊維束にプレサイジング剤を付着させる処理のことである。このプレサイジング処理により、炭素繊維束の収束性を高めことが可能であり、同時に、炭素繊維束と強化繊維用サイジング剤との親和性を高めることが可能である。
本発明では、エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤を用いることが好ましい。かかるプレサイジング剤は、炭素繊維束の単繊維との親和性や取り扱い性に優れ、少量で単繊維を収束させることができることから、好適である。また、かかるプレサイジング剤でプレサイジング処理された炭素繊維束は、後のサイジング処理の工程において、ローラへの炭素繊維束の巻き付きが発生しないなど、優れた工程通過性を有するものとなる。また、本発明で用いる強化繊維用サイジング剤との濡れ性も良好で、強化繊維サイジング剤をより均一に付着させることが可能になる。
本発明において、プレサイジング剤で炭素繊維束をプレサイジング処理する際、水溶性または水分散性エポキシ樹脂を水に溶解または分散させた水系プレサイジング剤溶液または分散液を用いることができる。このために、水溶性または水分散性のエポキシ樹脂として公知のものを適宜選んで用いることができる。また、水系で使用できるものであれば、変性エポキシ樹脂を用いることもできる。また、1種のエポキシ樹脂を単独で用いる他、2種以上を混合して用いることもできる。また、強化繊維用サイジング剤を付着させる工程の通過性等の観点から、エポキシ樹脂は、室温で液状のものと固状のものとを併用することがより好ましい。
水溶性のエポキシ樹脂としては、例えば、エチレングリコール鎖の両端にグリシジル基を有するものや、A型、F型、S型等のビスフェノールの両端にエチレンオキサイドが付加されその両端にグリシジル基を有するものなどが挙げられる。また、グリシジル基の代わりに、脂環式エポキシ基を有するものを用いることもできる
水分散性のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、大日本インキ化学工業(株)製HP7200(商品名))、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート157S65(商品名))等が挙げられる。また、グリシジル基の代わりに、脂環式エポキシ基を有するものを用いることもできる。
水分散性のエポキシ樹脂からなるプレサイジング剤を用いる場合には、さらに乳化剤が添加された水性エマルジョンを用いて、プレサイジング処理するのが好ましい。乳化剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン系、カチオン系、ノニオン系乳化剤などを用いることができる。中でも、乳化性能が良好で、また低価格であることから、アニオン系又はノニオン系乳化剤が好ましい。また、強化繊維用サイジング剤の安定性を阻害しないことから、ノニオン系乳化剤が特に好ましい。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)などの乳化剤が挙げられる。ただし、ノニオン系乳化剤のHLBは通常8以上20以下のものを用いることが好ましい。HLBがこの範囲内のノニオン系乳化剤を用いると、水性エマルジョンの安定性に優れるためである。
アニオン系乳化剤としては、例えば、カルボン酸塩型(オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、スルホン酸塩型(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩型(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられる。中和剤としては例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニアなどが挙げられる。還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
乳化方法としては、攪拌翼を備えたバッチを用いる方法、ボールミルを用いる方法、振盪器を用いる方法、ガウリンホモジナイザなどの高せん断乳化機を用いる方法などが挙げられる。乳化温度は、用いるプレサイジング剤の軟化温度より高く設定することで、優れた安定性を有する水性エマルジョンが得られる。乳化に要する時間は、通常数分〜2時間とすることができる。乳化後は、必要に応じて室温まで冷却を行うなどし、水性エマルジョンを得ることができる。
水性エマルジョンの濃度は特に限定はないが、プレサイジング剤の濃度で5質量%以上60質量%以下となるように水で希釈される。
プレサイジング剤が分散した水性エマルジョンには、必要に応じて、他のサイジング剤(例えば、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンなど)や、シランカップリング剤、帯電防止剤と併用することができ、さらに潤滑剤や平滑剤とも併用することができる。
このようなプレサイジング剤の付着量は、炭素繊維束全体に対して0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.2質量%以下がより好ましい。かかる範囲であれば炭素繊維の単繊維表面を覆うプレサイジング剤の分子層が1〜3層程度となり、好適である。付着量が多いと、単繊維間にプレサイジング剤が介在してブリッジングが発生し、単繊維同士の擬似接着により、単繊維間の動きが拘束され、炭素繊維束の広がり性が悪くなり、ひいては炭素繊維束の均一性が劣る傾向があるという点で不利である。また、後の工程で付着させる強化繊維用サイジング剤の浸透性が阻害され、均一な炭素繊維束を得ることが難しくなるなど、炭素繊維束としての特性が劣る傾向があるという点で不利である。一方、付着量が少ないと、プレサイジング剤を付着させる効果が発現しにくく、工程通過性、取り扱い性、強化繊維用サイジング剤との親和性に優れた炭素繊維束が得られなくなる傾向があるという点で不利である。
[サイジング処理]
本発明におけるサイジング処理とは、繊維束に前記変性ポリオレフィン樹脂を含む強化繊維用サイジング剤を付着させる処理のことである。このサイジング処理により、繊維束の収束性を高めることが可能であり、同時に、繊維束とマトリックス樹脂との親和性を高めることが可能である。マトリクス樹脂の弾性率向上の観点から、炭素繊維束に対してサイジング処理するのが好ましく、プレサイジング処理された炭素繊維束に対してサイジング処理するのがより好ましい。
上記の強化繊維用サイジング剤の必須成分である変性ポリオレフィン樹脂は有効なカップリング剤として働く成分である。
前記強化繊維用サイジング剤を含む水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、サイジング処理する方法としては、例えば、水系サイジング剤溶液もしくは分散液中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに単繊維からなる炭素繊維束を接触させて水系サイジング剤溶液もしくは分散液を付着させるタッチロール方式、単繊維からなる炭素繊維束を直接水系サイジング剤溶液もしくは分散液中に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させて水系サイジング剤溶液もしくは分散液の付着量を制御する浸漬方式などが挙げられる。中でもタッチロール方式が好適であり、さらに炭素繊維束を複数のタッチロールに接触させ、複数段階で水系サイジング剤溶液もしくは分散液を付着させる方式が、強化繊維用サイジング剤の付着量や束幅制御の観点から特に好適である。その後、必要に応じて、予備乾燥、熱処理を行う。詳細な条件は、炭素繊維束が所望の特性を発現するように、適宜選択すれば良い。
以上のような本発明の炭素繊維束は、連続繊維の状態でも、所定の長さに切断された状態でも良い。
炭素繊維束への強化繊維用サイジング剤の付着量は適宜選ぶことができ、炭素繊維束が所望の機能を有するための必要量とすれば良いが、連続繊維の状態の炭素繊維束においては、その付着量は全体の0.3質量%以上5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以上4質量%以下である。また、所定の長さに切断された状態の炭素繊維束においては1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.2質量%以上4質量%以下である。強化繊維用サイジング剤が少ないと、収束性や、切断された束の形態安定性に劣る傾向があるという点で不利である。強化繊維用サイジング剤が多いと、樹脂との混合工程での濡れ性と単繊維へのバラケ性に劣る傾向があるという点で不利である。なお、炭素繊維束におけるサイジング剤の付着量とは、炭素繊維束全体に対する水以外の成分量として規定されるものであり、SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により測定されるものである。
また、所定の長さに切断された状態の炭素繊維束は、目付が0.4g/m以上15g/m以下であることが好ましい。0.4g/m以上とすることにより、経済的に有利であり、更にペレット製造工程での炭素繊維束の導入工程通過性が優れる。一方、15g/m以下とすることにより、水系サイジング剤溶液の炭素繊維束への浸透性に優れ、形状の安定した炭素繊維束を製造することが容易となる。より好ましくは0.6g/m以上10g/m以下、特に好ましくは0.8g/m以上8g/m以下である。
炭素繊維束の切断方式としては、特に制限はないが、ロータリーカッター方式等が好適である。また、切断長(炭素繊維束の長さ)は、好ましくは2mm以上30mm以下、より好ましくは4〜24mm、さらに好ましくは6〜20mmとする。ロータリーカッター方式では、用いる装置の歯先間隔を調節することにより切断長を調整することができる。
ロータリーカッター方式での切断に際しては、切り損じを生じたり、ロータに炭素繊維束が巻き付いて操作不能になったり、切断後の形状不良が生じたりすることを防止するために、炭素繊維束厚みは薄い方が有利である。また、炭素繊維束の目付が1.5g/mを超える太目付の炭素繊維束の場合、炭素繊維束をできるだけ開繊させ、炭素繊維束内部までサイジング剤を極力均一に付着させることが望まれる。従って、ガイドロール、コームガイド、スプレッダーバー等を用いて、炭素繊維束の幅/厚みが大きくなるように制御しながら、かつ炭素繊維束には実質的に撚りの無いように走行させることが好ましい。
ただし、所定長さに切断された炭素繊維束は、幅が広くなると繊維配向方向に沿って縦割れし易くなり、製造中や製造後の使用時にその形態を維持することが困難な傾向にある。このことは特に太目付の炭素繊維束においてより顕著である。したがって、幅/厚み比が3以上10以下になるように、ロータリーカッターに付随するガイドの幅を調節し、炭素繊維束の幅を制御することが好ましい。幅/厚み比が3以上であると、ロータリーカッターでの切断工程でのミスカットの発生を抑制することできる。また、幅/厚比を10以下とすることにより、切断後に炭素繊維束の縦割れが生じるのを抑制し、後の工程通過性を優れたものにする。また、太目付の炭素繊維束を汎用タイプ並みに薄く広げて切断するには、同時に処理可能な繊維本数が減少し、その減少分を補うためにカッターの幅広化或いは処理速度の高速化等必要となり、設備面の負荷や生産効率の低下を招く恐れがある。
炭素繊維束の切断は、炭素繊維束に水系サイジング剤溶液もしくは分散液を付着させた後、湿潤状態にある炭素繊維束に対して行うのが好ましい。これは、水系サイジング剤溶液もしくは分散液の表面張力による収束効果と、切断時の衝撃性のせん断力を湿潤状態の柔軟な状態で吸収して繊維割れを防ぐことを利用したものである。この切断時においては、炭素繊維束の含水率が20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、25質量%以上50質量%以下の湿潤状態であるとより好ましい。20質量%以上とすることにより、切断時に繊維割れや毛羽が発生することを優れて防止できる。また、60質量%以下とすることにより、単繊維表面に水が過剰に付着した状態となり水の表面張力により単繊維が丸く収束し、切断時にミスカットや刃の目詰まりが発生することを優れて抑制することができる。また、必要に応じて、含水率を調整するために、切断前に水や水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、追加処理を行ってもよい。
切断後に炭素繊維束を乾燥する方法としては、炭素繊維束の乾燥方法として公知の方法を適宜採用でき、例えば、熱風乾燥法等が挙げられる。また、熱風乾燥法を採用する場合、水分の蒸発効率を向上させると共に、炭素繊維束同士の接着を防止するために、炭素繊維束を振動させた状態で移送しながら乾燥を行うことが好ましい。なお、乾燥時の振動が強いと、繊維割れが発生し易くなり、束幅/厚みが3未満の炭素繊維束の割合が多くなる。また、振動が弱いと、繊維同士の擬似接着が起こり、団子状になってしまうことがある。従って、予備試験などにより、適切な振動条件に設定することが好ましい。また、細分化された炭素繊維束を振るい落とすだけでなく、熱風の通りをよくするために、メッシュ振動板上を移送させながら、振動乾燥することがより好ましい。また、乾燥効率を向上させるために、赤外線放射等の補助手段を併用することもできる。
[熱可塑性樹脂組成物及び成型品]
上記のような本発明の炭素繊維束は、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂とを混練することにより、プリプレグと呼ばれる熱可塑性樹脂組成物とすることができる。炭素繊維束の熱可塑性樹脂への混練に際しては、連続あるいは所定の長さに切断された状態の炭素繊維束を押出機に供給し、熱可塑性樹脂と混練してペレットとすることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法等の公知の成形法により成形することにより、所望の形状の成形品(繊維強化複合成形品)とすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製するに当たっては、本発明の炭素繊維束を組成物中に好ましくは3質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上50質量%以下配合する。炭素繊維束を3質量%以上配合することにより成形品の機械物性向上効果が顕著に発現する。60質量%以下とすることにより、ペレット製造時の工程安定性に優れ、またペレットに斑等が生じるのを優れて防止して成形品の品質安定性を秀逸にすることができる。また炭素繊維束を60質量%を超えて配合しても、60質量%の場合に比較して成形品の著しい機械物性向上効果が得られるものでもない。
本発明でマトリックス樹脂として用いることのできる熱可塑性樹脂は、適宜選ぶことができるが、炭素繊維束の単繊維表面に付着した前述の強化繊維用サイジング剤との親和性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂がさらに好ましい。特にポリオレフィン系樹脂をマトリックス樹脂として用いる場合、機械特性をより向上させる目的で、各種の変性ポリオレフィン樹脂を少量添加してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、機械物性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。このような成型品は、車輌用部品、携帯用電化製品のハウジング部品、一般家電製品のハウジング部品等に好適である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、本実施例における各種特性の測定、評価は、以下の方法により行った。
「炭素繊維束の単繊維表面の皺の深さ」
本発明における炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定される。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に測定した。具体的には以下の通りである。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製、SPI3700/SPA−300(商品名))によりシリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmに渡り少しづつづらしながら繰り返し走査し、得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットしたのち逆変換を行う。そうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取って評価した。
「炭素繊維束の単繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)」
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。ついで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定することで評価した。
「ストランド強度、ストランド弾性率」
JIS R7601に準拠して評価した。
「プレサイジング剤の付着量」
JIS R7601に準拠して、メチルエチルケトンによるソックスレー抽出法によりプレサイジング処理後の炭素繊維束のプレサイジング剤付着量を測定した。
「強化繊維用サイジング剤の付着量」
SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により、サイジング処理後における炭素繊維束のサイジング剤合計の付着量を測定し、プレサイジング剤の付着量に対する増加分を強化繊維用サイジング剤の付着量として算出した。
「含水量」
所定長さに切断された炭素繊維束を、110℃で1時間乾燥させ、その乾燥前後の質量変化分を含水量とした。
「Si量」
炭素繊維束を、風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その質量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
「成型品の機械特性の評価」
引張り破断強度はJIS K7113、曲げ強さ、曲げ弾性率はJIS K7203、アイゾット強度(1/8”ノッチ、1/8”反ノッチ)はASTM D256に準拠し評価した。なお、これらの測定は室温で行った。
「変性ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径」
動的光散乱粒子径DLS−600(大塚電子(株)製)にてエマルジョン組成物中の重合体粒子径(重量平均粒子径)を測定した。
<合成例1:変性ポリオレフィン樹脂(C−1)の水性エマルジョンの調製>
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン製、商品名:VESTOPLAST792)70質量部とメチルメタクリレート6質量部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル9質量部とメタクリル酸グリシジル15質量部の混合物を90℃の温度条件にて撹拌し、均一溶液とした。
ついで、ノニオン性乳化剤エマルゲン147(花王製、商品名)10質量部を溶解させた90℃温水900質量部を加え、ホモミキサー(10000rpm)で5分、ホモジナイザー(20MPa)で2回処理し、乳化分散液を得た。
次いで、温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応器に前記で得られた乳化分散液100質量部とベンゾイルパーオキサイドサスペンション(化薬アクゾ(株)製、商品名:カドックスB−40E、純分40%)0.63質量部を加え、窒素雰囲気下で85℃×6h保持して重合を行った後、40℃まで冷却し、300メッシュのナイロンクロスでろ過し、重量平均粒子径は200nm、重量平均分子量120000である乳化分散液を得た。
<合成例2:変性ポリオレフィン樹脂(C−2)の水性エマルジョンの調製>
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体70質量部とメチルメタクリレート6質量部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル9質量部とメタクリル酸グリシジル15質量部の混合物を、上記プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体45質量部とスチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(旭化成工業(株)製、商品名:タフテックH1221)15質量部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル25質量部とメタクリル酸グリシジル15質量部の混合物に変更した以外は合成例1と全く同様に操作して重量平均粒子径は140nm、重量平均分子量135000である乳化分散液を得た。
<合成例3:変性ポリオレフィン樹脂(C−3)の水性エマルジョンの調製>
冷却管、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えたフラスコに、トルエン1400質量部と、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(デグサ・ヒュルスジャパン製、商品名:VESTOPLAST792)70質量部を加え、内温85℃にてプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体を溶解させた。次いで、この中にメタクリル酸メチル8質量部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル9質量部とメタクリル酸グリシジル10質量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル3質量部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3質量部の混合物を20分にわたって滴下した後、内温85℃にて5時間保持して重合反応させた。反応物を、室温に冷却した後、大量のメタノール中に投入して精製し、重量平均分子量が112000の変性プロピレン−エチレン−ブテン樹脂(C−3)を得た。
セパラブルフラスコに重合体(C−3)10部を入れ120℃の温度条件にて溶融・混練した。次いで、エマルゲン147(花王製、商品名)10質量部を溶解させた90℃温水90質量部を加え、攪拌後、ホモジナイザー(20MPa)で2回処理することで、重合体(C−3)の割合が全質量(重合体(C−3)と水の合計)に対して9質量%である重合体(C−3)の水系エマルジョンを得た。なお、重合体(C−3)の重量平均粒子径は200nmであった。
<強化繊維用サイジング剤i〜vの調製>
表1に示す化合物を表2に示す割合で配合することで、強化繊維用サイジング剤i〜vを調製した。なお、表2中の数字は、各成分中の水を除いた成分としての質量%を示す。
<炭素繊維束(原料)>
三菱レイヨン(株)製TR50S(商品名)およびTR30L(商品名)を炭素繊維束(原料)として用意した。これらの製造方法は次のとおりである。
アクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解した紡糸原液を、濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出して凝固糸とした。次いで、その凝固糸を濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の断面の長径と短径との比、表面に形成される皺の深さは、第2凝固浴の濃度および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整することができる。その後、炭素繊維前駆体繊維束の安定性維持を目的に、シリコン系の油剤を付着させた。
ついで、複数の炭素繊維前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入し、200〜300℃に加熱された空気などの酸化性気体を炭素繊維前駆体繊維束に吹き付けることによって、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化して耐炎繊維束を得た。ついで、この耐炎繊維束を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、1200〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維束(原料)を得た。その後、樹脂との親和性を向上させる目的で、湿式電解酸化処理により炭素繊維束(原料)の表面に酸素含有官能基を導入した。
製造した炭素繊維束(原料)の特性を表3に示した。
<炭素繊維束(原料)のプレサイジング処理>
炭素繊維束(原料)にプレサイジング剤を付着させるプレサイジング処理を行い、乾燥後、ボビンに巻取り、プレサイジング処理された炭素繊維束を得た。プレサイジング剤としては、以下の組成のエポキシ系サイジング剤を用い、付着量が0.5質量%になるように条件を調整した。
(主剤)
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート828」(商品名) 50質量部
・ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1001」(商品名) 30質量部
(乳化剤)
・旭電化(株)製「プルロニックF88」(商品名) 20質量部
<サイジング処理された炭素繊維束I〜VIの製造>
炭素繊維束[炭素繊維束(原料)又はプレサイジング処理後の炭素繊維束]を開繊バーと炭素繊維幅規制バーとを複数回交互に通過させ、表4及び表5に示す所定の炭素繊維幅とした後、前記強化繊維用サイジング剤i〜vでのサイジング処理を行った。用いた炭素繊維束(プレサイジング処理の有無を含む)及び強化繊維用サイジング剤としては、表4及び表5に示すものを用いた。なお、サイジング処理は、水の量を調整し強化繊維用サイジング剤濃度を表4及び表5に示すように調整した水系エマルジョンを使用した。また、水系エマルジョンを付着させる方式としては、下記のタッチロール方式を採用した。
(タッチロール方式)
水系エマルジョンの槽にタッチロールの一部を浸漬し、タッチロール表面に転写した後、タッチロール表面に炭素繊維束を接触させることにより水系エマルジョンを付着させた。なお、2個のタッチロールを用い、炭素繊維束の表裏2面に対して実施した。
強化繊維用サイジング剤の水系エマルジョンを付着させた後、ロータリーカッターを用いて炭素繊維束を所定長さ(6mm)に切断し、最後に、150℃に設定された床振動式熱風乾燥炉に連続的に投入し乾燥させることにより、炭素繊維束I〜VIIIを得た。
なお、用いた水系エマルジョンはいずれも乳化安定性が良好であり、サイジング処理時の炭素繊維束の通過性および切断工程とも良好であった。乾燥後、すべての炭素繊維束には割れが発生しなかった。製造した炭素繊維束I〜VIIIの評価結果を表4及び表5に示す。
<熱可塑性樹脂組成物のペレット及び成形品の製造(その1)>
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)68質量部と、変成ポリプロピレン樹脂(無水マレイン酸共重合ポリプロピレンマスターバッチP503、三菱化学(株)製)12質量部とを250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表6に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを20mmφ、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成型品を作製した。得られた成形品の機械特性を表6に示す。実施例1〜6の成型品は比較例1〜2の成型品に比べて、引張り破断強度、曲げ強さ、アイゾット強度に優れており、本発明の炭素繊維束は良好な界面接着性を有していることが分かった。
<熱可塑性樹脂組成物のペレット及び成形品の製造(その2)>
ポリプロピレン樹脂(EPR共重合ポリプロピレン、商品名:J−5051HP、出光石油化学(株)製)80質量部を250℃に加熱した二軸押出機に供給し、サイドフィーダーより表7に示した炭素繊維束20質量部を供給し混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。なお、いずれにおいても、二軸押出機内での滞留はみられなかった。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを20mmφ、35オンスのスクリューインライン成形機で、シリンダー温度250℃、金型温度60℃の条件で成型品を作製した。得られた成形品の機械特性を表7に示す。実施例7の成型品は比較例3及び4の成型品に比べて、引張り破断強度、曲げ強さ、アイゾット強度に優れており、本発明の炭素繊維束は良好な界面接着性を有していることが分かった。
Figure 2005226193
PEB:プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体
SEBS:スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体
MMA:メタクリル酸メチル
tBCHA:アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル
GMA:メタクリル酸グリシジル
4HBA:アクリル酸4−ヒドロキシブチル
Figure 2005226193
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Figure 2005226193
Figure 2005226193
Figure 2005226193
Figure 2005226193

Claims (15)

  1. アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤。
  2. 前記ビニル系単量体(B)が不飽和カルボン酸およびその無水物を含有しない請求項1記載の強化繊維用サイジング剤。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)が、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルおよび(メタ)アクリル酸イソボルニルからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の強化繊維用サイジング剤。
  4. エポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基または直鎖アルキル基を分子中に有するシランカップリング剤を、5質量%を越えない範囲で含む請求項1〜3のいずれか一項記載の強化繊維用サイジング剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束。
  6. エポキシ樹脂からなるプレサイジング剤によりプレサイジング処理された後に、請求項1〜4の何れか一項記載の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束。
  7. 炭素繊維束に含まれる炭素単繊維の少なくとも一部が、円周方向の長さが2μmで繊維軸方向の長さが1μmである領域における最高部と最低部の高低差が40nm以上となる複数の皺を表面に有する請求項5または6記載の炭素繊維束。
  8. 炭素繊維束に含まれる炭素単繊維の少なくとも一部が、繊維断面の長径と短径との比が1.03以上1.20以下であり、かつICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm以下である請求項5〜7の何れか一項記載の炭素繊維束。
  9. 前記強化繊維用サイジング剤の付着量が全体の1質量%以上5質量%以下であり、所定長さに切断されている請求項5〜8の何れか一項記載の炭素繊維束。
  10. 目付が0.4g/m以上15g/m以下であり、幅/厚み比が3以上10以下である請求項5〜9のいずれかに記載の炭素繊維束。
  11. アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤を水に溶解もしくは分散した水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、炭素繊維束をサイジング処理し、該強化繊維用サイジング剤の付着量を全体の1質量%以上5質量%以下とするサイジング工程;
    サイジング処理された前記炭素繊維束を、含水量が20質量%以上60質量%以下の状態で、所定長さに切断する切断工程;および
    所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する乾燥工程
    を有する炭素繊維束の製造方法。
  12. 炭素繊維束をエポキシ樹脂からなるプレサイジング剤でプレサイジング処理するプレサイジング工程;
    アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)によってポリオレフィン樹脂(A)をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する強化繊維用サイジング剤を水に溶解もしくは分散した水系サイジング剤溶液もしくは分散液を用いて、前記プレサイジング処理された炭素繊維束をサイジング処理し、該強化繊維用サイジング剤の付着量を全体の1質量%以上5質量%以下とするサイジング工程;
    サイジング処理された前記炭素繊維束を、所定長さに切断する切断工程;および
    所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する乾燥工程
    を有する炭素繊維束の製造方法。
  13. 熱可塑性樹脂と、請求項5〜10の何れか一項記載の炭素繊維束とを含み、
    該炭素繊維束の含有量が3質量%以上60質量%以下である熱可塑性樹脂組成物。
  14. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂およびこれらのアロイ系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項13記載の熱可塑性樹脂組成物。
  15. 請求項13または14に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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