JP5593779B2 - 強化繊維用サイジング剤、炭素繊維束およびこれらの製造方法、ならびに熱可塑性樹脂組成物およびその成型品 - Google Patents

強化繊維用サイジング剤、炭素繊維束およびこれらの製造方法、ならびに熱可塑性樹脂組成物およびその成型品 Download PDF

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Description

本発明は、強化繊維用サイジング剤、および熱可塑性樹脂の補強材として用いられる炭素繊維束、ならびにこれらの製造方法に関するものである。また、本発明は、この炭素繊維束を用いた熱可塑性樹脂組成物およびその成型品に関するものである。
炭素繊維束とは、炭素からなる単繊維が複数まとまった形態をなしているものであり、熱可塑性樹脂等の補強材として用いられるものであり、これを配合した複合材は繊維強化複合材と称される。
一般に、炭素繊維束には、その取り扱い性や複合材の物性を向上させることを目的に、水溶性または水分散性エポキシ樹脂等を主成分とするサイジング剤を付着させるサイジング処理が施されている。炭素繊維束には毛羽やフライが発生し易く、特にオフライン方式にて得られる炭素繊維束はバラケ易くその取り扱いが難しいことから、炭素繊維束にこれらサイジング剤を付着させることは不可欠である。
熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材用の炭素繊維束は、通常5〜15mm長に切断されたチョップド炭素繊維束の形態で供されるが、チョップド炭素繊維束の形態とする際にも、収束性を付与するために、マトリックス樹脂に対して適合性のあるサイジング剤を付着させる処理が行われている。
ここで、チョップド炭素繊維束と熱可塑性樹脂とを混練してペレットを製造するに当たっては、チョップド炭素繊維束が定量的に押出機内に供されることが必要であるが、そのためにはチョップド炭素繊維束の形態安定性が重要である。形態が適切でないと、吐出斑が生じ、炭素繊維含有量斑の原因となり得る。また、一定の押出速度が得られなくなるため、ストランド切れが発生し、ペレットの生産性が大幅に低下する恐れもある。
マトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などがよく用いられるが、最近、そのリサイクル性や経済性からポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂が注目されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は、基本的に無極性であるため、炭素繊維やガラス繊維との界面接着性が非常に悪く、補強材としての機械特性の向上効果が充分に発現しないことが多い。
この課題を解決する方法として、ポリオレフィン系樹脂とシランカップリング剤より構成するサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維をサイジング処理する方法(例えば特許文献1)、マトリックス樹脂に酸変性ポリオレフィン系樹脂を添加して接着性を向上させる方法(例えば特許文献2)、酸変性ポリプロピレンを必須成分とするサイジング剤で炭素繊維やガラス繊維などをサイジング処理する方法(例えば特許文献3)が知られている。
さらに、特許文献4では、(メタ)アクリロイルオキシ基が2または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体を有するビニル系単量体によってポリオレフィン樹脂をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂でサイジング処理する方法により、マトリックス樹脂と繊維との界面接着性を向上させることが提案されている。また、特許文献5では、(メタ)アクリロイルオキシ基が2または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体を有する重合体を含むサイジング剤で処理する方法により、マトリックス樹脂と繊維との界面接着性を向上させることが提案されている。
特開平7−309979号公報 特開2005−213478号公報 特開平6−107442号公報 特開2005−226193号公報 特開2005−146431号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法の場合、炭素繊維の場合はガラス繊維に比べて表面に存在する水酸基がそれほど多くないため、界面接着性を向上させる効果がかなり低い。特許文献2に記載の方法の場合、酸変性ポリオレフィン系樹脂を多量に添加する必要があり、リサイクル性および経済性において優れたものとはならない。特許文献3に記載の方法の場合、ポリオレフィン系樹脂との比較的良好な界面接着性を実現することはできるが、炭素繊維の場合におけるその効果は十分ではなかった。
特許文献4および5に記載されているサイジング剤により処理を行う方法は、マトリックス樹脂および炭素繊維の双方と良好な界面接着性を示しているものの、使用する単量体である(メタ)アクリル酸エステルが高価であるため、サイジング剤製造のコスト面において課題を残している。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、安価で、かつマトリックス樹脂と炭素繊維束の双方と良好な界面接着性を発現させることができる強化繊維用サイジング剤を提供することを目的とする。
本発明の第1の要旨は、下記一般式(1)で表される単量体(a)由来の単位および下記一般式(2)で表される単量体(b)由来の単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤であって、該重合体(A)における単量体(a)由来の単位の質量割合と、単量体(b)由来の単位の質量割合の合計が60〜100質量%である強化繊維用サイジング剤である。
Figure 0005593779
(ここで、R1は、水素またはメチル基を表す。また、R2およびR3は、直鎖または分岐構造を有するアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0005593779
(ここで、R4は、水素またはメチル基を表す。)
また、本発明の第2の要旨は、上記の強化繊維用サイジング剤の製造方法であって、界面活性剤を用いて前記単量体(a)および前記単量体(b)を乳化重合して、前記重合体(A)を合成する強化繊維用サイジング剤の製造方法である。
また、本発明の第3の要旨は、上記の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束である。
また、本発明の第4の要旨は、
(I)請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤に含まれる重合体(A)を水に分散させた水性エマルジョンを用いて、前記重合体(A)の付着量が炭素繊維束の重量の1〜30質量%以下となるように炭素繊維束をサイジング処理する工程と、
(II)サイジング処理させた前記炭素繊維束の含水量を20〜60質量%に調整し、所定長さに切断する工程と、
(III)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程
を、この順に有する炭素繊維束の製造方法である。
また、本発明の第5の要旨は、熱可塑性樹脂と、上記の炭素繊維束とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素繊維束の質量割合が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物である。
また、本発明の第6の要旨は、上記の熱可塑性樹脂組成物を成型してなる成型品である。
本発明によれば、安価で、かつマトリックス樹脂と炭素繊維束の双方と良好な界面接着性を発現させることができるサイジング剤を提供することを目的とする。本発明に係る強化繊維用サイジング剤を用いることで、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂との良好な界面接着性を発現させることができる。
<強化繊維用サイジング剤>
本発明に係る強化繊維用サイジング剤は、下記一般式(1)で表される単量体(a)由来の単位および下記一般式(2)で表される単量体(b)由来の単位を有する重合体(A)を含む。
〔単量体(a)〕
単量体(a)は、下記一般式(1)で現される構造を有する。
Figure 0005593779
ここで、R1は、水素またはメチル基を表す。また、R2およびR3は、直鎖または分岐構造を有するアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
単量体(a)の具体例としては、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルブチル、(メタ)アクリル酸−2−メチルペンチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルヘプチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘプチル、(メタ)アクリル酸−2−メチルオクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸−2−メチルノニル、(メタ)アクリル酸−2,4−ジメチルペンチルなどが挙げられる。この中でも、入手のしやすさから、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、または(メタ)アクリル酸−2,4−ジメチルペンチルが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」の表記は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。単量体(a)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても差し支えない。
単量体(a)は、要求される重合体(A)のガラス転移温度(Tg)によって適宜選択することができるが、炭素繊維束へ付着・乾燥後の工程安定性から、重合体(A)のTgが−80℃〜60℃になるよう単量体(a)を選択して用いることが好ましい。
〔単量体(b)〕
単量体(b)は、下記一般式(2)で現される構造を有する(メタ)アクリル酸グリシジルである。
Figure 0005593779
ここで、R4は、水素またはメチル基を表す。なお、単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種を併用しても差し支えない。単量体(b)は、要求される重合体(A)のガラス転移温度(Tg)によって適宜選択できる。
〔単量体(c)〕
重合体(A)は、単量体(a)由来の単位および単量体(b)由来の単位の他に、単量体(a)および単量体(b)と異なる他の単量体(c)由来の単位を有する共重合体であってもよい。
単量体(c)としては、単量体(a)および単量体(b)と異なる単量体であり、単量体(a)および単量体(b)と共重合可能な単量体であれば、特に限定されない。単量体(c)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アタクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;N−フェニルマレイミド,N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、「プラクセルFMまたはFA」[ダイセル化学株式会社製商品名;カプロラクトン付加単量体]、「FM−1またはFM−2」[ダイセル化学株式会社製商品名;メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン1分子または2分子付加物]、「CHDMMA」[日本化成株式会社製;アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール]等の水酸基含有各種(メタ)アクリル酸エステル類;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有単量体;が挙げられる。
上述した単量体(c)の中でも、入手のしやすさ、ポリオレフィンとの相溶性、および炭素繊維に対する密着性の面から、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルシクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;α、β−不飽和カルボン酸類;水酸基含有各種(メタ)アクリル酸エステル類;アリル基含有単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、「FM−1またはFM−2」[ダイセル化学株式会社製商品名;メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン1分子または2分子付加物]、「CHDMMA」[日本化成株式会社製;アクリル酸1,4−シクロヘキサンジメタノール]、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸アリルがより好ましい。
単量体(c)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても差し支えない。なお、無水マレイン酸を単量体(c)として用いる場合、スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体をさらに共重合することが、無水マレイン酸の共重合への導入効率を上げる観点から好ましい。
〔重合体(A)〕
重合体(A)における単量体(a)由来の単位の質量割合は、ポリオレフィン樹脂への密着性の観点から、50〜99質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。
重合体(A)における単量体(b)由来の単位の質量割合は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。単量体(b)由来の単位の質量割合が1質量%未満であると、炭素繊維束との接着性が充分発現されない場合がある。一方、単量体(b)由来の単位の質量割合が50質量%を超えると、相対的に単量体(a)の質量割合が減少し、ポリオレフィン系樹脂との密着性が不足する場合がある。
重合体(A)における単量体(a)由来の単位の質量割合と、単量体(b)由来の単位の質量割合の合計は、ポリオレフィン樹脂に対する相溶性、炭素繊維束への密着性の観点から、60〜100質量%であることが好ましく、65〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることが特に好ましい。すなわち、重合体(A)における単量体(c)由来の単位の質量割合は、0〜40質量%であることが好ましく、0〜35質量%であることがより好ましく、0〜30質量%であることがより好ましい。
重合体(A)が、単量体(a)由来の単位および単量体(b)由来の単位からなる共重合体である場合、その重合構造は、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などのいかなる重合構造を有するものであってもよい。
〔重合体(A)の合成方法〕
重合体(A)の合成方法としては、安全面および経済面の観点から、単量体(a)および単量体(b)を乳化重合法により共重合する方法が好ましい。単量体(c)由来の単位を有する共重合体を合成する場合は、単量体(a)、単量体(b)および単量体(c)を乳化重合法により共重合すればよい。
乳化重合を行う際、構成成分を水に均一に分散させる目的で、乳化剤として界面活性剤が用いられる。乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。中でも、乳化性能と低価格の観点から、アニオン性または非イオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩型(オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウムなど)、スルホン酸塩型(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩型(ラウリル硫酸ナトリウムなど)などが挙げられる。中和剤としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニアなどが挙げられる。還元剤としては、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(グリセリンの脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなど)などが挙げられる。ただし、非イオン性界面活性剤のHLBは、通常8〜20のものを用いる。HLBがこの範囲外の非イオン性界面活性剤を用いると、安定な水性エマルションが得られないことがある。
乳化重合に用いるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合で用いられるものであれば特に限定されない。ラジカル重合開始剤は、有機溶剤中での重合時に使用する油溶性のものと、乳化重合のような水溶液中での重合時に使用する水溶性のものが挙げられるが、乳化重合のような水溶液での重合においても、油溶性のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどの有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。このうち、反応性の高さから、有機過酸化物または無機過酸化物が特に好ましい。有機過酸化物または無機過酸化物を用いる場合、還元剤を併用することもできる。還元剤の具体例としては、硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、または硫酸第一鉄/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/エチレンジアミン酢酸塩などの混合物が挙げられる。還元剤を併用することは、重合温度を低くできることから特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体100質量部に対して、0.005〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.02〜2質量部がさらに好ましい。これら各範囲の下限値は、重合速度、生産効率の点で意義がある。また上限値は、重合体の高分子量化、耐衝撃性、粉体特性の点で意義がある。
重合温度は、特に限定されないが、−50〜200℃の範囲が好ましく、0〜150℃の範囲がより好ましい。さらに、乳化重合という水を媒体とした重合方法においては、40〜120℃の範囲が好ましい。なお、100℃以上の重合においては、加圧下での重合でも構わない。
強化繊維用サイジング剤の必須成分である重合体(A)を用いることで、繊維束と、ポリオレフィン系樹脂等のマトリックス樹脂との複合化の際に、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a)由来の単位とマトリックス樹脂が相溶し、密着性を向上させることができる。一方で、重合体(A)の単量体(b)由来の単位は、繊維束表面と強固な結合を生じさせるのに有効なカップリング剤として働く成分である。
このような強化繊維用サイジング剤で繊維束をサイジング処理する際には、強化繊維用サイジング剤に含まれる重合体(A)を水に分散させた水性エマルションを用いればよいが、例えば、乳化重合により得られる水性エマルションをそのまま用いることができる。また、水性エマルションの濃度は、適宜調整することが可能であり、例えば、強化繊維用サイジング剤の濃度が5〜60質量%となるように、水で希釈することができる。
サイジング処理される強化繊維としては、有機繊維および無機繊維のどちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ゾノトライト、ウォラストナイト、スラグ繊維、セピオライト、ドーソナイト、石膏繊維等が挙げられる。それらの中でも、マトリックス樹脂の弾性率向上の観点から炭素繊維の単繊維が収束された炭素繊維束が好ましい。以下、本発明で好適に用いられる炭素繊維束について詳細に説明する。
<炭素繊維束>
炭素繊維束は、平均直径4μm以上8μm以下程度の単繊維が1000本以上100000本以下程度まとまった形態をなしているものが好ましい。炭素繊維束を構成する単繊維としては、アクリロニトリル重合体や、石油、石炭からとれるピッチ等を繊維化し炭素化することで得られるものを用いることができる。強化繊維用サイジング剤でサイジング処理される前の炭素繊維束は、炭素化処理後のもの、湿式電解酸価処理して表面に酸素含有官能基を導入したもの、プレサイジング処理された状態のものなどを用いることができる。
炭素繊維束は、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差が40nm以上となる皺を表面に複数有する炭素単繊維が、複数収束されたものであることが好ましい。また、炭素単繊維における円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差は、炭素単繊維の直径の10%以下であることが好ましい。
炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定される。単繊維の表面の皺とは、ある方向に1μm以上の長さを有する凹凸の形態を指すものである。またその方向には特に限定はなく、繊維軸方向に平行でも、垂直でも、ある角度を有していてもよい。炭素繊維束の一般的な製造方法から、通常の炭素繊維表面には繊維軸方向にほぼ平行な皺が存在する。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に、以下のようにして見積もることができる。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイト(商品名、藤倉化成社製)を塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製、SPI3700/SPA−300(商品名))により、シリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmにわたり少しずつずらしながら繰り返し走査する。得られた測定画像を、二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットし、その後に逆変換を行う。こうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取る。
このような皺を複数有する単繊維で形成された炭素繊維束としては、例えば、三菱レイヨン(株)製TR50S、TR30L(以上、商品名)などが挙げられる。
炭素繊維束の単繊維は、断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.03以上1.20以下であることが好ましい。長径/短径の比が小さいと、サイジング処理後、単繊維同士の接着が強く、樹脂との混合・含浸時の単繊維へのバラケ性が悪くなり、均一に分散した成型品が得られにくくなる傾向があるという点で不利であり、多いと、単繊維同士の接着が弱く、バラケ易い炭素繊維束となり、所定長さの切断工程の安定性、切断後の炭素繊維束の形態安定性が劣る傾向があるという点で不利である。特に好ましくは、1.05以上1.15以下である。なお、上記の長径/短径の値は、下記のように測定することができる。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に、測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とする。次いで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定する。
炭素繊維束が有する単繊維は、ICP発光分析法によって測定されるSi量が500ppm(質量基準)以下であることが好ましい。Si量が多いと、マトリックス樹脂とのぬれ性や界面接着性が劣る傾向があるという点で不利である。特に好ましくは、350ppm以下である。なお、上記のSi量は、次のようにして測定することができる。炭素繊維束を風袋既知の白金るつぼに入れ、600〜700℃に設定したマッフル炉で灰化し、るつぼの質量を測定して灰分を求める。次に、炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水(イオン交換水)で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。この試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
本発明におけるサイジング処理とは、繊維束に重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤を付着させる処理のことである。このサイジング処理により、繊維束の集束性を高めることが可能であり、同時に繊維束とマトリックス樹脂との親和性を高めることが可能である。マトリックス樹脂の弾性率向上の観点から、炭素繊維束に対してサイジング処理するのが好ましい。
強化繊維用サイジング剤に含まれる重合体(A)を水に分散させた水性エマルジョンを用いてサイジング処理する方法としては、例えば、水性エマルジョン中にロールの一部を浸漬させ表面転写した後、このロールに単繊維からなる炭素繊維束を接触させて水性エマルジョンを付着させるタッチロール方式、単繊維からなる炭素繊維束を直接水性エマルジョン中に浸漬させ、その後必要に応じてニップロールを通過させて水性エマルジョンの付着量を制御する浸漬方式などが挙げられる。中でもタッチロール方式が好適であり、さらに炭素繊維束を複数のタッチロールに接触させ、複数段階で水性エマルジョンを付着させる方式が、強化繊維用サイジング剤の付着量や束幅制御の観点から特に好適である。その後、必要に応じて、予備乾燥、熱処理を行う。詳細な条件は、炭素繊維束が所望の特性を発現するように、適宜選択すれば良い。
炭素繊維束への強化繊維用サイジング剤の付着量は、炭素繊維束の1〜30質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。強化繊維用サイジング剤の付着量が1質量%以下だと、収束性が不足し、切断された束の形態安定性が悪くなる場合がある。強化繊維用サイジング剤の付着量が30質量%を超えると、樹脂との混合工程でのぬれ性と単繊維へのバラケ性が著しく悪くなる場合があり、さらに複合材料の強度が充分に発現し得ない場合がある。なお、炭素繊維束におけるサイジング剤の付着量とは、炭素繊維束全体に対する水以外の成分量として規定されるものであり、SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により測定されるものである。
以上のような本発明の炭素繊維束は、連続繊維の状態でも、所定の長さに切断された状態でも良い。
また、所定の長さに切断された状態の繊維束は、目付(長さ1mあたりの質量)が0.4〜15g/mであることが好ましい。繊維束の目付が0.4g/m未満では、経済的に不都合であり、さらにペレット製造工程での繊維束の導入工程通過性を悪化させる場合がある。一方、15g/mを越える場合は、水性エマルジョンの繊維束への浸透が完全に行わせることが難しくなり、形状の安定した繊維束を製造することが難しい場合がある。より好ましくは0.6〜10g/m、特に好ましくは0.8〜8g/mである。
繊維束の切断方式としては、特に制限はないが、ロータリーカッター方式等が好適である。また、切断長(繊維束の長さ)は、2〜30mm、好ましくは4〜24mm、より好ましくは6〜20mmとすることが望ましい。ロータリーカッター方式では、用いる装置の歯先間隔を調節することにより切断長を調整することができる。
ロータリーカッター方式での切断に際しては、繊維束厚みが厚くなりすぎると切り損じを生じたり、ロータに繊維束が巻き付いて操作不能になったり、切断後の形状不良が生じたりするので、繊維束厚みは薄い方が有利である。また、繊維束の目付が1.5g/mを超える太目付の繊維束の場合、繊維束をできるだけ開繊させ、繊維束内部まで水性エマルジョンを均一に付着させることが重要である。したがって、ガイドロール、コームガイド、スプレッダーバー等を用いて、繊維束の幅/厚みが大きくなるように制御しながら、かつ繊維束には実質的に撚りのないように走行させることが好ましい。
ただし、所定長さに切断された繊維束は、幅が広くなると繊維配向方向に沿って縦割れし易くなり、製造中や製造後の使用時にその形態を維持することが困難な傾向にある。このことは特に太目付の繊維束において顕著である。したがって、炭素繊維束の幅と厚みの比(幅/厚み)が3〜10になるように、ロータリーカッターに付随するガイドの幅を調節し、繊維束の幅を制御することが好ましい。幅/厚みが3以上であると、ロータリーカッターでの切断工程でのミスカットの発生を抑制することできる。また、幅/厚みが10を超えると、切断時のミスカットが発生し難くなるものの、厚みが薄くなりすぎて切断後に繊維束の縦割れが生じ易くなり、後の工程通過性が悪化する恐れがある。また、太目付の繊維束を汎用タイプ並みに薄く広げて切断するには、同時に処理可能な繊維本数が減少し、その減少分を補うためにカッターの幅広化或いは処理速度の高速化等必要となり、設備面の負荷や生産効率の低下を招く恐れがある。
この切断は、繊維束に水性エマルジョンを付着させた後、湿潤状態にある繊維束に対して行うのが好ましい。これは、水性エマルジョンの表面張力による収束効果と、切断時の衝撃性のせん断力を湿潤状態の柔軟な状態で吸収して繊維割れを防ぐことを利用したものである。この切断時においては、繊維束の含水率が20〜60質量%、特に25〜50質量%の湿潤状態であると好ましい。含水率が20質量%未満では、切断時に繊維割れや毛羽が発生しやすくなる恐れがある。また、含水率が60質量%を超えると、単繊維表面に水が過剰に付着した状態となるため、水の表面張力により単繊維が丸く収束し、切断時にミスカットや刃の目詰まりの発生頻度が高くなる恐れがある。また、必要に応じて、含水率を調整するために、切断前に水や水性エマルジョンを用いて、追加処理を行ってもよい。
切断後に繊維束を乾燥する方法としては、熱風乾燥法等が挙げられる。また、熱風乾燥法を採用する場合、水分の蒸発効率を向上させると共に、繊維束同士の接着を防止するために、振動させた状態で移送しながら乾燥を行うことが好ましい。なお、乾燥時の振動が強すぎると、繊維割れが発生し易くなり、束幅/厚みが3未満の繊維束の割合が多くなる。また、振動が弱すぎると、繊維同士の擬似接着が起こり、団子状になってしまう。したがって、適切な振動条件に設定する必要がある。また、細分化された繊維束を振るい落とすだけでなく、熱風の通りをよくするために、メッシュ振動板上を移送させながら、振動乾燥することがより好ましい。また、乾燥効率を向上させるために、赤外線放射等の補助手段を併用することもできる。
<熱可塑性樹脂組成物および成型品>
上記のような本発明の炭素繊維束は、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂とを混練することにより、熱可塑性樹脂組成物とすることができる。炭素繊維束の熱可塑性樹脂への混練に際しては、所定の長さに切断された状態の炭素繊維束を押出機に供給し、熱可塑性樹脂と混練してペレットとすることが好ましい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形法等の公知の成形法により成形することにより、任意の形状の成形品(繊維強化複合成形品)を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を調製するに当たっては、本発明の炭素繊維束を好ましくは3〜60質量%、より好ましくは5〜50質量%配合する。炭素繊維束を3質量%以上配合することにより成形品の機械物性向上効果が顕著に発現する。ただし、配合量が多すぎると、それ以上の著しい向上効果が得られないと共に、ペレット製造時の工程安定性が低下し、またペレットに斑等が生じ、成形品の品質安定性が悪化する恐れがある。
本発明でマトリックス樹脂として用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、炭素繊維束の単繊維表面に付着した強化繊維用サイジング剤との親和性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が最適であり、他にはポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルフィド樹脂、ポリエーテルサルフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂およびこれらのアロイ系樹脂の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
以下、実施例および比較例によって本発明を詳細に説明する。なお、本実施例における各種特性の測定および評価は、以下の方法により実施した。
「炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さ」
炭素繊維束の単繊維表面に存在する皺の深さは、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差によって規定される。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて単繊維の表面を走査して得られる表面形状を基に測定した。具体的には、以下のように行った。
炭素繊維束の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイト(商品名、藤倉化成社製)を塗り測定サンプルとした。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製、SPI3700/SPA−300(商品名))により、シリコンナイトライド製のカンチレバーを使用し、AFMモードにて単繊維の円周方向に2〜7μmの範囲を、繊維軸方向長さ1μmにわたり少しずつずらしながら繰り返し走査した。得られた測定画像を、二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットし、その後に逆変換を行った。こうして得られた単繊維の曲率を除去した断面の平面画像より、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差を読み取った。
「炭素繊維束の単繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)」
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に、測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料とした。次いで、その試料を、断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、走査型電子顕微鏡(PHILIPS社製、XL20(商品名))により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で断面を観察し、単繊維断面の長径および短径を測定することで評価した。
「ストランド強度および弾性率」
JIS R7601に準拠して評価した。
「サイジング剤の付着量」
SACMA法 SRM14−90に準拠し、熱分解法により、サイジング処理後における炭素繊維束のサイジング剤合計の付着量を測定した。また、同様の方法で、プレサイジング処理後でサイジング処理前の炭素繊維束のプレサイジング剤の付着量を測定した。そして、サイジング剤合計の付着量からプレサイジング剤の付着量を差し引くことで、サイジング剤の付着量を算出した。
「Si量」
炭素繊維束を風袋既知の白金るつぼに入れ、600〜700℃に設定したマッフル炉で灰化し、るつぼの質量を測定して灰分を求めた。次に、炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容した。この試料をICP発光分析法によりSiの定量を行った。
「成型品の機械特性の評価」
成型品の曲げ強さおよび曲げ弾性率は、ISO 178に準拠して評価した。なお、測定は、室温で行った。
<合成例1:メタクリル酸−2−エチルヘキシル(EHMA)/メタクリル酸グリシジル(GMA)ランダム共重合体(A−1)の乳化重合による合成>
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、DI水190g、およびアニオン性乳化剤(花王製、ペレックスSS−L(商品名))0.1gを加え、窒素置換をした。その後、80℃に昇温し、硫酸第二鉄七水和物(FeSO4)0.0001g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.0003g、ロンガリット(CRO)0.3gおよびDI水5gからなる還元剤水溶液を投入した。反応容器内の温度を80℃に維持しながら、EHMA 4.5gおよびGMA 0.5gからなる混合モノマーと、開始剤となるt−ブチルハイドロパーオキサイド(tBH)0.015gの混合物を投入し、80℃にて5分保持した。再び、FeSO4 0.0001g、EDTA 0.0003g、CRO 0.3gおよびDI水5gからなる還元剤水溶液を投入し、80℃にて5分保持した。次いで、EHMA85.5gおよびGMA9.5gからなる混合モノマーと、DI水200g、アニオン性乳化剤(花王製、ペレックスO−TP(商品名))0.5gおよびtBH 0.285gの混合物をあらかじめ乳化させた後、2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
次いで、反応容器内を40℃まで冷却し、生成物を200メッシュのナイロンクロスでろ過することで、平均粒子径が224nmであり、重合体の数平均分子量が117000であり、重合体の割合が全質量(重合体と水の合計)に対して20質量%である重合体(A−1)の水性エマルション組成物を得た。
<合成例2:メタクリル酸イソブチル(IBMA)/GMAランダム共重合体(A−2)の乳化重合による合成>
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、DI水225g、およびアニオン性乳化剤(花王製、ペレックスO−TP(商品名))0.21gを加え、窒素置換をした。その後80℃に昇温し、IBMA 13.5gおよびGMA 1.5gからなるモノマーを投入し、15分間保持した。反応容器内の温度を80℃に維持しながら、過硫酸カリウム(KPS)0.3gおよびDI水15gからなる水溶液を投入し、80℃にて60分保持した。次いで、IBMA 256.5g、GMA 28.5gからなるモノマーと、DI水150gおよびアニオン性乳化剤(花王製、ペレックスO−TP(商品名))1.5gの混合物をあらかじめ乳化した後、2時間かけて定量ポンプを用いて反応容器内に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
次いで、反応容器内を40℃まで冷却し、生成物を200メッシュのナイロンクロスでろ過することで、平均粒子径が326nmであり、重合体の数平均分子量が183000であり、重合体の割合が全質量(重合体と水の合計)に対して43質量%である重合体(A−2)の水性エマルション組成物を得た。
<合成例3:アクリル酸イソブチル(IBA)/GMAランダム共重合体(A−3)の乳化重合による合成>
IBMAの代わりにIBAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径が335nmであり、重合体の数平均分子量が38300であり、重合体の割合が全質量(重合体と水の合計)に対して20質量%である重合体(A−3)の水性エマルション組成物を得た。
<合成例4:メタクリル酸メチル(MMA)/GMAランダム共重合体(B−1)の乳化重合による合成>
IBMAの代わりにMMAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径が224nmであり、重合体の数平均分子量が64200であり、重合体の割合が全質量(重合体と水の合計)に対して20質量%である重合体(B−1)の水性エマルション組成物を得た。
<合成例5:IBMA単独重合体の乳化重合による合成>
最初に投入する単量体としてEHMA4.5gおよびGMA0.5gの代わりにIBMA5gを用い、次いで投入する単量体としてEHMA85.5gおよびGMA9.5gの代わりにIBMA95gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径が236nmであり、重合体の数平均分子量が110000であり、重合体の割合が全質量(重合体と水の合計)に対して20質量%であるIBMA単独重合体(B−2)の水性エマルション組成物を得た。
<炭素繊維束(原料)の調製>
アクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解した紡糸原液を、濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出して凝固糸とした。次いで、その凝固糸を濃度50〜70質量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の断面の長径と短径との比および表面に形成される皺の深さは、第2凝固浴の濃度および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整することができる。その後、炭素繊維前駆体繊維束の安定性維持を目的に、シリコン系の油剤を付着させた。
次いで、複数の炭素繊維前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入し、200〜300℃に加熱された空気などの酸化性気体を炭素繊維前駆体繊維束に吹き付けることによって、炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化して耐炎繊維束を得た。次いで、この耐炎繊維束を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、1200〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維束(原料)を得た。その後、樹脂との親和性を向上させる目的で、湿式電解酸化処理により炭素繊維束(原料)の表面に酸素含有官能基を導入した。
さらに、エポキシ化合物からなる水分散タイプのサイジング剤によりプレサイジング処理を施した。得られた炭素繊維束(原料)の特性を表1に示した。
Figure 0005593779
<炭素繊維束I〜Vの製造>
表1に示す特性を有する炭素繊維束(原料)を、開繊バーと炭素繊維幅規制バーとを複数回交互に通過させ、所定の炭素繊維幅とした後、所定のサイジング剤でのサイジング処理を行った。サイジング剤としては、表2に示す重合体を用いた。なお、サイジング処理を行うにあたっては、合成例1〜5で得られた水性エマルジョン組成物の水の量を調整し、サイジング剤濃度を表3に示すように調整した水性エマルジョンを使用した。また、水性エマルジョンを付着させる方式としては、下記のタッチロール方式を採用した。
タッチロール方式
水性エマルジョンの槽にタッチロールの一部を浸漬し、タッチロール表面に転写した後、タッチロール表面に炭素繊維束(原料)を接触させることにより水性エマルションを付着させた。なお、2個のタッチロールを用い、炭素繊維束(原料)の表裏2面に対して実施した。
次に、ロータリーカッターを用いて炭素繊維束を所定長さ(6mm)に切断し、最後に、150℃に設定された床振動式熱風乾燥炉に連続的に投入し乾燥させることにより、炭素繊維束I〜Vを得た。
なお、用いた水性エマルションはいずれも乳化安定性が良好であり、サイジング処理時の炭素繊維束の通過性および切断工程とも良好であった。乾燥後、すべての炭素繊維束には割れが発生しなかった。製造した炭素繊維束I〜Vの評価結果を表3に示す。
Figure 0005593779
Figure 0005593779
(実施例1〜3、比較例1〜2)
<熱可塑性樹脂組成物のペレットおよび成型品の製造>
ポリプロピレン樹脂(ポリプロピレン単独重合体、商品名:ノバテックMA03、日本ポリケム(株)製)80質量部および表3に示した炭素繊維束20質量部を、カスタム・サイエンティフィック・インスツルメンツ社製小型射出成型機(Model:CS−183−MMX)に供給し、シリンダー温度200℃の条件で成型品を作製した。
得られた成型品の機械特性を表4に示す。実施例1〜3で得られた成型品は、比較例1〜2で得られた成型品に比べて、曲げ強さおよび曲げ弾性率に優れていた。このことから、本発明の炭素繊維束は、良好な界面接着性を有していることが分かった。
Figure 0005593779
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成型した成型品は、機械物性に優れると共に、生産性、経済性に優れる。このような成型品は、車輌用部品、携帯用電化製品のハウジング部品、一般家電製品のハウジング部品等に好適である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体(a)由来の単位および下記一般式(2)で表される単量体(b)由来の単位を有する重合体(A)を含む強化繊維用サイジング剤であって、該重合体(A)における単量体(a)由来の単位の質量割合と、単量体(b)由来の単位の質量割合の合計が60〜100質量%である強化繊維用サイジング剤
    Figure 0005593779
    (ここで、R1は、水素またはメチル基を表す。R2およびR3は、直鎖または分岐構造を有するアルキル基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0005593779
    (ここで、R4は、水素またはメチル基を表す。)
  2. 前記重合体(A)が有する全単量体単位100質量%に対し、前記単量体(a)由来の単位が50〜99質量%であり、前記単量体(b)由来の単位が1〜50質量%である請求項1記載の強化繊維用サイジング剤。
  3. 請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤の製造方法であって、界面活性剤を用いて前記単量体(a)および前記単量体(b)を乳化重合して、前記重合体(A)を合成する強化繊維用サイジング剤の製造方法。
  4. 前記界面活性剤が、アニオン性または非イオン性の界面活性剤である請求項3記載の強化繊維用サイジング剤の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤によりサイジング処理された炭素繊維束。
  6. 前記炭素繊維束を構成する単繊維が、円周方向長さ2μm×繊維軸方向長さ1μmの領域での最高部と最低部の高低差が40nm以上となる複数の皺を表面に有する請求項5に記載の炭素繊維束。
  7. 所定長さに切断された請求項5または6に記載の炭素繊維束であって、前記サイジング剤の付着量が、前記炭素繊維束の1〜30質量%である炭素繊維束。
  8. 前記炭素繊維束の長さ1mあたりの質量が0.4〜15gであり、かつ、前記炭素繊維束の幅と厚みの比(幅/厚み)が3〜10である請求項5〜7いずれか1項に記載の炭素繊維束。
  9. (I)請求項1または2に記載の強化繊維用サイジング剤に含まれる重合体(A)を水に分散させた水性エマルジョンを用いて、前記重合体(A)の付着量が炭素繊維束の重量の1〜30質量%以下となるように炭素繊維束をサイジング処理する工程と、
    (II)サイジング処理させた前記炭素繊維束の含水量を20〜60質量%に調整し、所定長さに切断する工程と、
    (III)所定長さに切断された前記炭素繊維束を乾燥する工程
    を、この順に有する炭素繊維束の製造方法。
  10. 熱可塑性樹脂と、請求項5〜8のいずれかに記載の炭素繊維束とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、前記炭素繊維束の質量割合が3〜60質量%である熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 請求項10または11に記載の熱可塑性樹脂組成物を成型してなる成型品。
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