JP2002145889A - シランカップリング剤、それを含む集束剤、その集束剤で被覆されたガラス繊維束、およびそのガラス繊維束を含むポリエステル樹脂 - Google Patents

シランカップリング剤、それを含む集束剤、その集束剤で被覆されたガラス繊維束、およびそのガラス繊維束を含むポリエステル樹脂

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JP2002145889A JP2000336327A JP2000336327A JP2002145889A JP 2002145889 A JP2002145889 A JP 2002145889A JP 2000336327 A JP2000336327 A JP 2000336327A JP 2000336327 A JP2000336327 A JP 2000336327A JP 2002145889 A JP2002145889 A JP 2002145889A
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    • C03C25/00Surface treatment of fibres or filaments made from glass, minerals or slags
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス繊維の静電気発生を抑制することがで
き、耐水性および物理特性に優れたガラス繊維強化樹脂
を得ることが可能なシランカップリング剤を提供するこ
と。また、それを含む集束剤、その集束剤で被覆された
ガラス繊維束、およびそのガラス繊維束を含むガラス繊
維強化ポリエステル樹脂を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるシラン化合
物1モルに対して、グリシジル(メタ)アクリレート2
モルを反応させてなるシランカップリング剤。 【化1】 [式中、R1、R2はアルキレン基、nは0〜5、xは1
〜3。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シランカップリン
グ剤、それを含むガラス繊維用集束剤、そのガラス繊維
用集束剤で被覆されたガラス繊維束、およびそのガラス
繊維束を含むガラス繊維強化ポリエステル樹脂に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維強化樹脂は、プリント配線基
板、船舶、浄化槽、パネルタンク、防水パン、浴槽、バ
ス洗面ユニット等の様々な用途に用いられている。この
ようなガラス繊維強化樹脂に用いられるマトリックス樹
脂としては、熱硬化性樹脂が一般的であり、熱硬化性樹
脂としては、成形加工性がよく比較的安価でありながら
物性面でもバランスがとれていることから、不飽和ポリ
エステル樹脂が広く用いられている。
【0003】ガラス繊維強化樹脂に使用されるガラス繊
維としては、集束剤で被覆されたガラス繊維ロービング
が用いられる。また、マトリックス樹脂として熱硬化性
樹脂を用い比較的大型の成形品を作製する場合において
は、通常、以下に述べるシートモールディングコンパウ
ンド法(SMC法)が採用される。すなわち、集束剤で
被覆されたガラス繊維ロービングを長さ1インチ程度に
切断してチョップドガラス繊維(チョップドストラン
ド)とし、これをマトリックス樹脂およびマトリックス
樹脂用硬化剤と混合して半硬化したシートを作製し、こ
のシートを金型中で複数枚積層して加熱・加圧させるこ
とにより成形品を得る。
【0004】ガラス繊維を被覆する集束剤としては、皮
膜形成剤、潤滑剤、帯電防止剤、シランカップリング剤
等を水に溶解または分散・乳化したものが多く使用され
ており、このような集束剤を用いることにより、ガラス
繊維ロービング製造時のガラス繊維の毛羽立ちや静電気
の発生が抑えられ加工性が向上する。さらに、ガラス繊
維束に対するマトリックス樹脂の含浸性を向上させる働
きも有する。
【0005】この含浸性の向上は、主に、集束剤中に含
まれるシランカップリング剤によるものである。シラン
カップリング剤は、通常、ガラスとの反応性を有するア
ルコキシシリル基と、マトリックス樹脂との親和性を有
する有機基とを備えている。このようなシランカップリ
ング剤を含有する集束剤でガラス繊維を被覆することに
より、ガラス繊維に対するマトリックス樹脂の濡れ性が
向上するため、得られるガラス繊維強化樹脂の特性が向
上する。
【0006】このように、シランカップリング剤の性能
がガラス繊維強化樹脂の特性に大きく影響を与えるため
に、用いるマトリックス樹脂の種類等に合わせてシラン
カップリング剤を変性する試みが様々なされてきた。例
えば、特開昭57−82147号公報には、グリシジル
基等の反応性官能基を有するポリ酢酸ビニルとアミノシ
ラン系のシランカップリング剤との反応生成物が開示さ
れている。上記公報によれば、この反応生成物でガラス
繊維を被覆することにより強度等に優れたSMC成形物
を得ることができるとされている。
【0007】近年、ガラス繊維強化樹脂がより厳しい環
境で使用されることが増えており、ガラス繊維強化樹脂
に対してさらに高い性能が要求されている。例えば、2
4時間入浴可能な風呂の普及等により、強度等の物理特
性向上のみならず、高い耐水性も要求されることが多く
なっている。これに対応するため、例えば、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランやN−β−(N−
ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン・塩酸塩等のように、ガラスとの反応
性を有するアルコキシシリル基と、マトリックス樹脂と
の反応性を有する基(不飽和二重結合)とを分子中に有
するシランカップリング剤を用いることが試みられてい
る。
【0008】また、アミノシランに2−イソシアネート
エチルメタクリレートを反応させて得られるシランカッ
プリング剤(特開平11−335380号公報)やアミ
ノシランにビニルベンジルクロライドおよび2−イソシ
アネートエチルメタクリレートを反応させて得られるシ
ランカップリング剤(特開平11−335381号公
報)を集束剤の成分として使用する試みもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
57−82147号公報に開示されたシランカップリン
グ剤の反応生成物、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエ
チル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸
塩等を含む集束剤を用いて得られたガラス繊維強化樹脂
は、長時間煮沸することによりガラス繊維とマトリック
ス樹脂が剥離を起こすことがあり、耐水性が不十分であ
った。
【0010】また、特開平11−335380号公報お
よび特開平11−335381号公報に開示されたシラ
ンカップリング剤を含む集束剤を用いた場合は、耐水性
に優れるガラス繊維強化樹脂が得られるものの、ガラス
繊維束の取り扱いを容易にするため集束剤中に帯電防止
剤を導入すると、導入された帯電防止剤のためにガラス
繊維強化樹脂の耐水性が低下する場合があった。
【0011】本発明は、このような技術的課題に鑑みて
なされたものであり、ガラス繊維用集束剤の成分として
用いた場合に、帯電防止剤を添加することなくガラス繊
維の静電気発生を抑制することができ、また、該集束剤
で被覆されたガラス繊維束を用いてガラス繊維強化樹脂
を作製した場合に、耐水性に優れ且つ曲げ強度等の物理
特性も十分に高いガラス繊維強化樹脂を得ることが可能
なシランカップリング剤を提供することを目的とする。
【0012】また、このシランカップリング剤を含むガ
ラス繊維用集束剤、このガラス繊維用集束剤で被覆され
静電気の発生が抑制されたガラス繊維束、およびこのガ
ラス繊維束とポリエステル樹脂とを含み耐水性に優れ且
つ曲げ強度等の物理特性も十分に高いガラス繊維強化ポ
リエステル樹脂を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のアミ
ノシラン1モルに対して、グリシジルメタクリレートま
たはグリシジルアクリレート2モルを反応させてなるシ
ランカップリング剤が、ガラス繊維用集束剤の成分とし
て用いた場合に、帯電防止剤を添加することなくガラス
繊維の静電気発生を抑制することができ、また、該集束
剤で被覆されたガラス繊維束を用いてガラス繊維強化樹
脂を作製した場合に、耐水性に優れ且つ曲げ強度等の物
理特性も十分に高いガラス繊維強化樹脂を得ることが可
能であることを見出した。
【0014】また、このシランカップリング剤を含むガ
ラス繊維用集束剤、このガラス繊維用集束剤で被覆され
たガラス繊維束、およびこのガラス繊維束とポリエステ
ル樹脂とを含むガラス繊維強化ポリエステル樹脂が、上
記特性を有していることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0015】すなわち、本発明は、下記一般式(1)で
表されるシラン化合物1モルに対して、下記一般式
(2)で表されるグリシジル化合物2モルを反応させて
なるシランカップリング剤を提供するものである。
【化5】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
よい。]
【化6】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す。]
【0016】本発明は、また、下記一般式(1)で表さ
れるシラン化合物における、窒素原子に結合した水素原
子の少なくとも2つが、下記一般式(3)で表される1
価の基で置換されてなるシランカップリング剤を提供す
るものである。
【化7】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
よい。]
【化8】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す]
【0017】本発明のシランカップリング剤において
は、前記nが0であり、前記R2がプロピレン基であ
り、さらに前記R3がメチル基であることが好ましく、
また、前記nが1であり、前記R1が炭素数1〜8のア
ルキレン基であり、前記R2が炭素数3〜9のアルキレ
ン基であり、さらに前記R3がメチル基であることが好
ましい。
【0018】本発明は、さらに、上記のシランカップリ
ング剤を含むガラス繊維用集束剤、このガラス繊維用集
束剤で被覆されたガラス繊維束、および、このガラス繊
維束とポリエステル樹脂とを含むガラス繊維強化ポリエ
ステル樹脂を提供するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のシランカップリング剤
は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物1モルに
対して、下記一般式(2)で表されるグリシジル化合物
2モルを反応させてなることを特徴とする。
【化9】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
よい。]
【化10】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す。]
【0020】上記一般式(1)で表されるシラン化合物
と、上記一般式(2)で表されるグリシジル化合物の反
応は、有機溶剤中で3級アミン等の触媒の存在下で行う
ことが可能であるが、触媒および有機溶剤のいずれも使
用せずに実施することも可能である。この場合、反応温
度は室温〜80℃、反応時間は数十分〜数時間とするこ
とができる。なお、得られたシランカップリング剤は、
不必要な加水分解を避けるためにメタノール等のアルコ
ール中に溶解させ保存することが好ましい。
【0021】上記の反応により、下記一般式(1)で表
されるシラン化合物における、窒素原子に結合した水素
原子の少なくとも2つが、下記一般式(3)で表される
1価の基で置換された化合物(以下、「化合物A」とい
う。)が主成分として得られる。
【化11】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
よい。]
【化12】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す]
【0022】上記一般式(1)で表されるシラン化合物
1モルに対して、上記一般式(2)で表されるグリシジ
ル化合物2モルを反応させた反応生成物が、化合物Aを
主成分として含むことは、反応生成物をガスクロマトグ
ラフィーや薄層クロマトグラフィーを用いて分析し、上
記一般式(2)で表されるグリシジル化合物が消失して
いることにより確認可能である。また、赤外線吸収スペ
クトルにおいて水酸基や3級アミノ基等の特性吸収が発
現することや、1H−NMRまたは13C−NMRによる
ケミカルシフト等によっても確認可能である。
【0023】上記一般式(1)におけるxは、1〜3の
整数であるが、xは1または2であることが好ましい。
xが1または2である場合は、アルコキシシリル基の加
水分解速度が向上し、ガラス繊維との化学結合の形成が
促進される。一方、xが4以上の整数である場合は、ア
ルコキシシリル基の加水分解性が低下する傾向にある。
【0024】本発明においては、上記一般式におけるn
が0であり、R2がプロピレン基であり、さらにR3がメ
チル基であるであることが好ましい。この場合におい
て、一般式(1)で表されるシラン化合物は、下記一般
式(4)で表されるγ−アミノプロピルトリアルコキシ
シランとなり、一般式(2)で表される化合物はグリシ
ジルメタクリレートとなる。また、グリシジルメタクリ
レートと下記一般式(4)で表されるγ−アミノプロピ
ルトリアルコキシシランとを反応させて得られる反応生
成物の主成分は、以下の一般式(5)の構造を有するシ
ランカップリング剤となる。
【化13】 [式中、xは1〜3の整数を示す]
【化14】 [式中、xは1〜3の整数を示す]
【0025】また、本発明においては、上記一般式にお
ける、nが1であり、R1が炭素数1〜8のアルキレン
基であり、R2が炭素数3〜9のアルキレン基であり、
3がメチル基であることが好ましい。
【0026】この場合において、一般式(1)で表され
るシラン化合物は、下記一般式(6)で表される化合物
となり、一般式(2)はグリシジルメタクリレートとな
る。また、グリシジルメタクリレートと下記一般式
(6)で表される化合物とを反応させて得られる反応生
成物の主成分は、下記一般式(7)で表される化合物お
よび/または一般式(8)で表される化合物となる。
【化15】 [式中、xは1〜3の整数、yは1〜8の整数、zは3
〜9の整数を示す]
【化16】
【化17】 [式中、xは1〜3の整数、yは1〜8の整数、zは3
〜9の整数を示す]
【0027】上記一般式(6)、(7)および(8)で
表される化合物において、xは1または2であることが
好ましい。yは1〜4の整数であることが好ましく、2
であることがより好ましい。zは、3〜6であることが
好ましく、3であることがより好ましい。xが4以上、
yが9以上、zが3〜9の範囲外である場合は、得られ
るシランカップリング剤の加水分解性が低下する傾向に
あり、また、水に溶解または分散・乳化してガラス繊維
用集束剤を得た場合、分離が生じ易く安定性が低下する
傾向にある。
【0028】上述したシランカップリング剤を用いて、
ガラス繊維用集束剤を作製することが可能である。この
場合において、シランカップリング剤は、上記一般式に
おけるR1、R2、R3、およびxが異なるものの混合物
であってもよい。さらに、ガラス繊維用集束剤に含まれ
るシランカップリング剤は、酢酸等の酸で処理すること
によりアルコキシシリル基の一部または全部を加水分解
させてシラノール基を生じせしめたものであってもよ
い。
【0029】本発明において、ガラス繊維用集束剤は、
上記のシランカップリング剤のみからなるものであって
も、上記のシランカップリング剤をアルコール等の有機
溶剤に溶解させたものや、水中に溶解または分散・乳化
させたものであってもよい。また、皮膜形成剤、潤滑
剤、柔軟剤、界面活性剤等をさらに含有してもよい。本
発明のガラス繊維用集束剤は、帯電防止剤の添加なしで
も静電気の発生を抑えることが可能であるから、帯電防
止剤を添加する必要は必ずしもないが、耐水性を損なわ
ない限りにおいては、帯電防止剤を少量添加してもよ
い。
【0030】ガラス繊維用集束剤に用いられる皮膜形成
剤は、数百本のガラスフィラメントを1本のストランド
にまとめ、機械上での屈曲や摩擦からガラス繊維を保護
する役割を有するものであり、例えば、酢酸ビニル樹
脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂等が好適に用いられる。本発明において、
これらの樹脂は、エマルジョンまたはディスパージョン
として提供されることが好ましい。
【0031】ガラス繊維用集束剤に用いられる潤滑剤
は、ストランドに滑りを与え、機械上での摩擦を減少さ
せガラス繊維を保護するものであり、例えば、変性シリ
コーンオイル、動植物油に水素添加した硬化油、高級飽
和脂肪酸と高級飽和アルコールの縮合物等の合成油が好
適に用いられる。
【0032】ガラス繊維用集束剤に用いられる柔軟剤
は、ガラスに柔軟性を付与し、ストランド中のフィラメ
ント同士の摩擦を減少させる働きを有するものであり、
ガラス繊維表面に選択的に吸着し、ある程度の潤滑性を
示す材料が一般的に用いられる。このような材料として
は、テトラエチレンペンタミン/ステアリン酸を反応さ
せて得られるアマイドまたはイミダゾリン等が挙げられ
る。
【0033】ガラス繊維用集束剤に用いられる界面活性
剤は、上記潤滑剤の分散・乳化のために用いられるもの
であり、ポリオキシエチレンポリアルキルエーテルやポ
リオキシエチレンアルキルエーテル等が好適に用いられ
る。
【0034】本発明のガラス繊維用集束剤において場合
により用いられる帯電防止剤は、ストランドの走行ある
いはカット時に発生する静電気の除去のために用いられ
るものであり、このようなものとしては、硝酸リチウ
ム、塩化リチウム等の無機塩や4級アンモニウム塩等が
挙げられる。
【0035】本発明において、ガラス繊維用集束剤は、
上述したシランカップリング剤と、このシランカップリ
ング剤を溶解または分散・乳化させる水と、この水に溶
解または分散・乳化した、潤滑剤、柔軟剤および皮膜形
成剤とを含むことが好ましい。このようなガラス繊維用
集束剤は、皮膜形成剤のエマルジョンまたはディスパー
ジョンに、上述したシランカップリング剤を添加し、さ
らに潤滑剤および柔軟剤を添加すれば得ることができ
る。
【0036】ガラス繊維用集束剤に、皮膜形成剤、潤滑
剤、柔軟剤、界面活性剤、および帯電防止剤を用いる場
合は、皮膜形成剤固形分100重量部に対して、シラン
カップリング剤6〜12重量部、潤滑剤1〜5重量部、
柔軟剤1〜5重量部、界面活性剤2〜4重量部、帯電防
止剤2〜4重量部を添加することが好ましい。また、こ
れらの成分は水に溶解または分散・乳化していることが
好ましく、このとき不揮発分は1〜10重量%であるこ
とが好ましい。
【0037】上述したガラス繊維用集束剤でガラス繊維
束を被覆することにより、静電気を生じ難いガラス繊維
束を得ることができる。ここで用いられるガラス繊維束
は特に制限されず、Eガラス、Sガラス、Cガラス、T
ガラスなどからなるガラス繊維束がいずれも使用可能で
ある。ガラス単繊維(ガラスフィラメント)の繊維径に
関しても特に制限はなく、例えば、3〜23μmのもの
を使用することができる。
【0038】本発明においては、ガラス繊維束としてガ
ラス繊維ロービングを用いることが好ましい。ガラス繊
維束としては、1000m当たりの重量が、200g〜
8000gであるものが特に好適に用いられる。また、
ガラス繊維束を被覆するガラス繊維用集束剤の重量(不
揮発分としての重量)は、ガラス繊維束100重量部に
対して0.2〜2重量部であることが好ましく、0.8
〜1.2重量部であることがより好ましい。
【0039】本発明のガラス繊維用集束剤でガラス繊維
束を被覆する方法は特に制限されない。例えば、ガラス
繊維束をガラス繊維用集束剤中に浸漬した後、ダイスな
どを用いて余分な集束剤を除去し、乾燥機を用いて水分
等を除去する方法が挙げられる。また、塗工ローラーに
接触させることにより塗工することも可能である。
【0040】上述したガラス繊維束とポリエステル樹脂
とを用いて、曲げ強度等の物理特性および耐水性に優れ
るガラス繊維強化ポリエステル樹脂を得ることができ
る。本発明において用いられるポリエステル樹脂は特に
制限されないが、ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエス
テル樹脂を硬化剤とともに加熱・加圧して硬化させて形
成されるものであることが好ましい。
【0041】不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、そ
の種類も特に制限されず、グリコールと、不飽和酸また
は不飽和酸無水物との反応生成物(不飽和ポリエステ
ル)、および不飽和モノマーを含むものであることが好
ましい。上記反応生成物は、グリコールと、不飽和酸ま
たは不飽和酸無水物の他、二塩基酸または二塩基酸無水
物を構成成分として含むものであってもよい。
【0042】不飽和ポリエステル樹脂に用いられるグリ
コールとしては、プロピレングリコール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ジプロピレングリコール、ジブロモネオペンチルグ
リコール、ビスフェノールジプロポキシエーテル、2,
2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール等が挙
げられ、不飽和酸または不飽和酸無水物としては、無水
マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸、アクリル酸、イ
タコン酸等が挙げられる。
【0043】不飽和ポリエステル樹脂に用いられる二塩
基酸または二塩基酸無水物としては、無水フタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、無水クロレンド酸、四臭化フ
タル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、テレフタ
ル酸、四塩化フタル酸無水物、グルタル酸等が挙げら
れ、不飽和モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエ
ン、メタクリル酸メチル、フタル酸ジアリル、α−メチ
ルスチレン、シアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン
等が挙げられる。
【0044】ガラス繊維強化ポリエステル樹脂は、例え
ば、上記のような成分からなる不飽和ポリエステル樹脂
に、ガラス繊維用集束剤で被覆されたガラス繊維束(好
ましくは、ガラス繊維用集束剤で被覆されたガラス繊維
ロービングを1インチ程度に切断したガラス繊維チョッ
プドストランド)を添加し、さらに、過酸化ベンゾイ
ル、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチ
ロニトリル、パーオキシベンゾエート等のフリーラジカ
ル開始剤(硬化剤)を添加して、これを加熱および加圧
して得ることができる。なお、加熱温度は、用いられる
硬化剤や不飽和モノマーの種類に基づいて決定すること
ができる。
【0045】本発明においては、ガラス繊維強化ポリエ
ステル樹脂に対して、必要に応じて、低収縮剤、難燃
剤、難燃助剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着
色剤、顔料、充填剤等の添加剤を添加してもよい。
【0046】ガラス繊維強化ポリエステル樹脂は、上述
したSMC法に基づいて作製することもできる。すなわ
ち、上記の不飽和ポリエステル樹脂と、不飽和ポリエス
テル樹脂用硬化剤と、ガラス繊維用集束剤で被覆された
ガラス繊維束とを不飽和ポリエステル樹脂用硬化剤の反
応温度未満で混合してフィルムを作製し、これを複数枚
積層して加熱・加圧することにより作製することができ
る。
【0047】以上説明したように、本発明のシランカッ
プリング剤は、上記一般式(1)で表されるシラン化合
物1モルに対して、上記一般式(2)で表されるグリシ
ジル化合物2モルを反応させることにより得られ、上記
一般式(1)で表されるシラン化合物における、窒素原
子に結合した水素原子の少なくとも2つが、上記一般式
(3)で表される1価の基で置換されてなる化合物を主
成分として含むため、分子中にアルコキシシリル基と不
飽和二重結合とを有している。したがって、このシラン
カップリング剤を集束剤に含有させてガラス繊維束を被
覆した場合、アルコキシシリル基が加水分解して生じた
シラノール基がガラス繊維表面の水酸基と反応(縮合反
応)し結合が形成される。また、シランカップリング剤
中の不飽和二重結合は、マトリックス樹脂として不飽和
ポリエステル樹脂を用いてガラス繊維強化ポリエステル
樹脂を作製する場合に、不飽和ポリエステル樹脂の硬化
時の反応(付加重合)により、マトリックス樹脂と結合
する。
【0048】このため、ガラス繊維とマトリックス樹脂
がシランカップリング剤を介して結合し、長時間の煮沸
等によっても水分がマトリックス樹脂とガラス繊維との
界面に侵入しづらくなり耐水性が向上する。また、同様
の理由から曲げ強度等の物理特性も向上する。さらに、
本発明のシランカップリング剤はアルコキシシリル基お
よび不飽和二重結合を複数個有しており、ガラス繊維お
よびマトリックス樹脂と多くの結合を形成し得るために
上記の効果が増強される。
【0049】また、本発明者らはいかなる理論にも制約
されることを望むものではないが、本発明のシランカッ
プリング剤は、分子中に水酸基を複数個有しているため
にある程度の保水性を有しているものと考えられ、これ
により帯電防止剤を使用しない場合であってもガラス繊
維の静電気発生を低減させることが可能になると考えら
れる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0051】[シランカップリング剤の合成] (実施例1)冷却器、攪拌器、滴下ロート、および温度
計を取り付けた容量2000mLのセパラブルフラスコ
に、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン221.1
g(1mol)を仕込み、窒素ガス雰囲気中で攪拌しな
がら、グリシジルメタクリレート284.0g(2mo
l)をゆっくり滴下し、60℃で8時間反応させた後、
メタノール505.1gを入れ、固形分50%のシラン
カップリング剤溶液を得た。得られたシランカップリン
グ剤をガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製
GC−15A)、および薄層クロマトグラフィー(TL
Cプレート:メルク社製kieseigel60
254、展開溶液:ベンゼン)で展開し、グリシジルメ
タクリレートが消失していることを確認した。また、F
T−IR(日本電子株式会社製JIR−3150)を用
いて赤外線吸収スペクトルを得た。上記分析の結果か
ら、得られたシランカップリング剤の主成分は下記化学
式(9)で表される化合物であることがわかった。
【化18】
【0052】(実施例2)γ−アミノプロピルエトキシ
シラン221.1g(1mol)に代えて、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン222.1g(1mol)を用い、メタノール50
5.1gに代えて、メタノール506.1gを用いた他
は実施例1と同様にして、シランカップリング剤を得
た。得られたシランカップリング剤をガスクロマトグラ
フィー(株式会社島津製作所製GC−15A)、および
薄層クロマトグラフィー(TLCプレート:メルク社製
kieseigel60F254、展開溶液:ベンゼン)
で展開し、グリシジルメタクリレートが消失しているこ
とを確認した。また、FT−IR(日本電子株式会社製
JIR−3150)を用いて赤外線吸収スペクトルを得
た。上記分析の結果から、得られたシランカップリング
剤の主成分は下記化学式(10)で表される化合物およ
び下記一般式(11)で表される化合物であることがわ
かった。
【化19】
【化20】
【0053】(比較例1)グリシジルメタクリレート2
84.0g(2mol)に代えて、グリシジルメタクリ
レート142.0g(1mol)を用い、メタノール5
05.1gに代えて、メタノール363.1gを用いた
他は実施例1と同様にして、シランカップリング剤を得
た。得られたシランカップリング剤をガスクロマトグラ
フィー(株式会社島津製作所製GC−15A)、および
薄層クロマトグラフィー(TLCプレート:メルク社製
kieseigel60F254、展開溶液:ベンゼン)
で展開し、グリシジルメタクリレートが消失しているこ
とを確認した。また、FT−IR(日本電子株式会社製
JIR−3150)を用いて赤外線吸収スペクトルを得
た。上記分析の結果から、得られたシランカップリング
剤の主成分は下記化学式(12)で表される化学構造を
有していることがわかった。
【化21】
【0054】(比較例2)グリシジルメタクリレート2
84.0g(2mol)に代えて、グリシジルメタクリ
レート142.0g(1mol)を用い、メタノール5
06.1gに代えて、メタノール364.1gを用いた
他は実施例2と同様にして、シランカップリング剤を得
た。得られたシランカップリング剤をガスクロマトグラ
フィー(株式会社島津製作所製GC−15A)、および
薄層クロマトグラフィー(TLCプレート:メルク社製
kieseigel60F254、展開溶液:ベンゼン)
で展開し、グリシジルメタクリレートが消失しているこ
とを確認した。また、FT−IR(日本電子株式会社製
JIR−3150)を用いて赤外線吸収スペクトルを得
た。上記分析の結果から、得られたシランカップリング
剤の主成分は下記化学式(13)で表される化合物およ
び下記化学式(14)で表される化合物であることがわ
かった。
【化22】
【化23】
【0055】(比較例3)シランカップリング剤として
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(固形
分:100%)を用いた。
【0056】(比較例4)シランカップリング剤として
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩のメタノール溶液
(固形分:40重量%)を用いた。
【0057】[ガラス繊維用集束剤の作製] (実施例3)酢酸を添加しpHを3.5に調製した純水
80kgに、実施例1で得られたシランカップリング剤
を固形分換算で0.3kg添加した。これに、酢酸ビニ
ル樹脂エマルジョン(大日本インキ工業社製:NF4
3、固形分50重量%)8kgを添加し、室温で攪拌し
た。得られた溶液に、ポリエチレンイミン(触媒化学社
製:SP012)0.1kgとポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンエーテル(旭電化社製:プロルニック
F108)0.3kgを順次追加し、最後に純水を添加
し総重量を100kgにして、ガラス繊維用集束剤を得
た。
【0058】(実施例4)実施例1で得られたシランカ
ップリング剤に代えて、実施例2で得られたシランカッ
プリング剤を固形分換算で0.3kg添加した他は、実
施例3と同様にしてガラス繊維用集束剤を得た。
【0059】(比較例5)実施例1で得られたシランカ
ップリング剤に代えて、比較例1で得られたシランカッ
プリング剤を固形分換算で0.3kg添加した他は、実
施例3と同様にしてガラス繊維用集束剤を得た。
【0060】(比較例6)実施例1で得られたシランカ
ップリング剤に代えて、比較例2で得られたシランカッ
プリング剤を固形分換算で0.3kg添加した他は、実
施例3と同様にしてガラス繊維用集束剤を得た。
【0061】(比較例7)実施例1で得られたシランカ
ップリング剤に代えて、比較例3のγ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシランを固形分換算で0.3kg
添加した他は、実施例3と同様にしてガラス繊維用集束
剤を得た。
【0062】(比較例8)実施例1で得られたシランカ
ップリング剤に代えて、比較例4のN−β−(N−ビニ
ルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキ
シシラン・塩酸塩のメタノール溶液を固形分換算で0.
3kg添加した他は、実施例3と同様にしてガラス繊維
用集束剤を得た。
【0063】(比較例9)帯電防止剤として硝酸リチウ
ム0.2kgをさらに加えた他は比較例7と同様にして
ガラス繊維用集束剤を得た。
【0064】[ガラス繊維ロービングの製造] (実施例5)ロールコーターを用い、実施例3で得られ
たガラス繊維用集束剤を、ガラスフィラメント径13μ
mのガラス繊維800本からなるガラス繊維束(日東紡
績株式会社製、270tex)に塗布した。このとき、
上記ガラス繊維束100重量部に対して、上記ガラス繊
維用集束剤が不揮発分で0.95重量部付着するように
した。ガラス繊維用集束剤が塗布されたガラス繊維束を
室温で乾燥してガラス繊維ストランドを得た。次に、こ
のガラス繊維ストランドを10本束ねることによりガラ
ス繊維用集束剤で被覆されたガラス繊維ロービングを得
た。
【0065】(実施例6)実施例3で得られたガラス繊
維用集束剤に代えて、実施例4で得られたガラス繊維用
集束剤を用いた他は、実施例5と同様にしてガラス繊維
ロービングを得た。
【0066】(比較例10〜14)実施例3で得られた
ガラス繊維用集束剤に代えて、比較例5、6、7、8、
9で得られたガラス繊維用集束剤を用いた他は実施例5
と同様にして、それぞれ比較例10、11、12、1
3、14のガラス繊維ロービングを得た。
【0067】[ガラス繊維強化ポリエステル樹脂の製
造] (実施例7)実施例5で得られたガラス繊維ロービング
を長さ1インチに切断し、ガラス繊維チョップドストラ
ンドを作製した。このチョップドストランドを用いて、
以下の表1に示す組成で厚さ3.2mmのSMCシート
を作製した。
【表1】 得られたSMCシートを80℃において2時間硬化さ
せ、厚さ3mmの平板状のガラス繊維強化ポリエステル
樹脂を得た。
【0068】(実施例8)実施例5で得られたガラス繊
維ロービングに代えて、実施例6で得られたガラス繊維
ロービングを用いた他は、実施例7と同様にしてSMC
シートを作製し、さらに、実施例7と同様にしてガラス
繊維強化ポリエステル樹脂を得た。
【0069】(比較例15〜19)実施例3で得られた
ガラス繊維ロービングに代えて、比較例10、11、1
2、13、14で得られたガラス繊維ロービングを用い
た他は実施例7と同様にしてSMCシートを作製し、さ
らに、実施例7と同様にして、それぞれ比較例15、1
6、17、18、19のガラス繊維強化ポリエステル樹
脂を得た。
【0070】実施例5〜6、比較例10〜14で得られ
たガラス繊維ロービングを用いて静電気量の評価を行っ
た。なお、静電気量の評価方法は以下の通りである。ま
た、得られた結果を、以下の表2に示す。
【0071】[静電気量試験]経糸抱合力試験機(蛭田
理研株式会社製、PATENT NO.601116)にガラス繊維ロー
ビングを取り付け、50gの荷重をかけ60回/分で摩
擦板を動かして、静電気量(V)を求めた。
【表2】
【0072】次に、実施例7〜8、実施例15〜19で
得られた厚さ3mmの平板状のガラス繊維強化ポリエス
テル樹脂を用いて、乾燥条件での曲げ強度、湿潤条件で
の曲げ強度を測定し、さらに、耐水時間および吸水率の
測定も行った。これらの試験方法は、以下に示す通りで
ある。また、得られた結果を、以下の表3に示す。
【0073】[曲げ強度試験(乾燥条件)]50℃で2
4時間乾燥後、24℃ 湿度45%の室内に1時間放置
した後に、JIS K6911に準拠して、乾燥条件での
曲げ強度(kgf/mm)を測定した。 [曲げ強度試験(湿潤条件)]沸騰水中に100時間浸
漬した後に、JIS K6911に準拠して、湿潤条件で
の曲げ強度(kgf/mm)を測定した。 [耐水時間試験]5cm×5cmに切断したガラス繊維
強化ポリエステル樹脂を沸騰水中に浸漬させ、目視でフ
クレの発生が認められるまでの時間を測定し、耐水時間
(時間)とした。 [吸水率試験]5cm×5cmに切断したガラス繊維強
化ポリエステル樹脂を沸騰水中に100時間浸漬させ、
JIS K6911の煮沸吸水率の測定法に準拠して吸水
率(%)を測定した。
【0074】
【表3】
【0075】ガラス繊維ロービングは、上記の静電気量
試験の方法により得られた値の絶対値が15V以下であ
る場合に、静電気の障害なく製造できることから、静電
気量の絶対値が15V以下である場合は静電気の発生が
十分に抑制されているとみなすことができる。また、ガ
ラス繊維強化ポリエステル樹脂は、上記の耐水時間が5
50時間以上、且つ上記の吸水率が1.00%以下であ
る場合は耐水性が十分に高いとみなすことができる。
【0076】表2の結果から、本発明のシランカップリ
ング剤を含有するガラス繊維用集束剤でガラス繊維ロー
ビングを被覆することにより、静電気の発生が十分に低
減されることがわかった(実施例5および6)。また、
表3の結果から、本発明のガラス繊維強化ポリエステル
樹脂は、乾燥条件および湿潤条件いずれにおいても十分
に高い曲げ強度を示し、耐水時間および吸水率の値も優
れていることがわかった。
【0077】帯電防止剤が添加された比較例14は静電
気量の絶対値が非常に小さくなっているものの、比較例
14のガラス繊維ロービングを用いて作製したガラス繊
維強化ポリエステル樹脂(比較例19)は耐水時間が短
く、また吸水率も高い値となった(表3参照)。比較例
11および13は、比較例14に次いで静電気量の絶対
値が小さかったものの、これらのガラス繊維ロービング
を用いて作製したガラス繊維強化ポリエステル樹脂(比
較例16および18)の耐水時間は非常に短く、1.0
0%を超す吸水率を示した。また、比較例12は静電気
量の絶対値が非常に大きく静電気の発生の低減効果がな
いことがわかった。さらに、比較例10は実施例5およ
び6と同等の静電気量を示したが、ガラス繊維強化ポリ
エステル樹脂の耐水時間の値等は、実施例5および6の
ガラス繊維ロービングを用いて作製したものに比べて比
較例10のガラス繊維ロービングを用いて作製したもの
の方が劣っていた。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ガラス繊維用集束剤の成分として用いた場合に、帯電防
止剤を添加することなくガラス繊維の静電気発生を抑制
することができ、また、該集束剤で被覆されたガラス繊
維束を用いてガラス繊維強化樹脂を作製した場合に、耐
水性に優れ且つ曲げ強度等の物理特性も十分に高いガラ
ス繊維強化樹脂を得ることが可能なシランカップリング
剤を提供することが可能になる。
【0079】また、このシランカップリング剤を含みガ
ラス繊維束およびガラス繊維強化樹脂に対して上記特性
を付与可能なガラス繊維用集束剤、このガラス繊維用集
束剤で被覆され静電気の発生が十分に抑えられたガラス
繊維束、およびこのガラス繊維束とポリエステル樹脂と
を含み耐水性に優れ且つ曲げ強度等の物理特性も十分に
高いガラス繊維強化ポリエステル樹脂を提供することも
可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 芳治 福島県福島市佐倉下字一本杉20番地 日東 紡績株式会社グラスファイバー研究所内 Fターム(参考) 4F072 AA04 AB09 AC05 AC06 AD38 AG03 AK05 AK14 4G060 BA01 BC04 CB27 CB33 4H049 VN01 VP01 VQ35 VR21 VR43 VS35 VU22 VW02 4L033 AA09 AC11 AC15 BA96

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるシラン化合
    物1モルに対して、下記一般式(2)で表されるグリシ
    ジル化合物2モルを反応させてなるシランカップリング
    剤。 【化1】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
    炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
    は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
    在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
    よい。] 【化2】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す。]
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)で表されるシラン化合
    物における、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも
    2つが、下記一般式(3)で表される1価の基で置換さ
    れてなるシランカップリング剤。 【化3】 [式中、R1およびR2は、同一でも異なっていてもよい
    炭素数1〜10のアルキレン基、nは0〜5の整数、x
    は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存
    在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていても
    よい。] 【化4】 [式中、R3は水素原子またはメチル基を示す]
  3. 【請求項3】 前記nが0であり、前記R2がプロピレ
    ン基であり、さらに前記R3がメチル基である請求項1
    または2記載のシランカップリング剤。
  4. 【請求項4】 前記nが1であり、前記R1が炭素数1
    〜8のアルキレン基であり、前記R2が炭素数3〜9の
    アルキレン基であり、さらに前記R3がメチル基である
    請求項1または2記載のシランカップリング剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のシ
    ランカップリング剤を含むガラス繊維用集束剤。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のガラス繊維用集束剤で被
    覆されたガラス繊維束。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のガラス繊維束とポリエス
    テル樹脂とを含むガラス繊維強化ポリエステル樹脂。
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