JP3047026B2 - ガラス繊維用サイズ剤およびそれで表面処理されたガラス繊維 - Google Patents

ガラス繊維用サイズ剤およびそれで表面処理されたガラス繊維

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は樹脂強化用ガラス繊維のサイズ剤およびそれ
で表面処理された樹脂強化用ガラス繊維に関する。さら
に詳しくは曲げ強度および引張強度のみならず衝撃強度
が優れた強化樹脂成形品を与える樹脂強化用ガラス繊維
およびそのためのサイズ剤に関する。
<従来の技術> 従来、強化樹脂成形品のためのガラス繊維用サイズ剤
としては、フイルム形成成分としてポリ酢酸ビニル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂あるいはポリウレ
タン樹脂を用いたものが知られている。
特公昭60−18614号公報には、分子量100万以上の非イ
オン性ポリアクリル酸エチル(第1のフイルム形成
剤)、N−メチロールアクリルアミド/酢酸ビニル ラ
ンダム共重合体(第2のフイルム形成剤)およびジメチ
ルアミノプロピルアミン/ペラルゴン酸 カチオン性縮
合体(潤滑剤)からなる物質を表面に付着しているガラ
ス繊維が開示されている。
これら従来のサイズ剤は、特公昭60−18614号公報に
も記載されているとおり、強化樹脂成形品の強度を増大
させるためのガラス繊維を与えることを目的とするもの
である。これら従来のサイズ剤で処理されたガラス繊維
は、曲げ強度および引張強度が増大した強化樹脂成形品
を与えることができるが、該強化樹脂成形品の衝撃強度
はさらに改善されるべき水準にある。
<本発明が解決すべき課題> 本発明の目的は、新規な組成を有する樹脂強化用ガラ
ス繊維のサイズ剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明の上記サイズ剤で処理さ
れた樹脂強化用ガラス繊維を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、曲げ強度および引張強度
のみならず衝撃強度が優れた強化樹脂成形品を与えるこ
とのできる樹脂強化用ガラス繊維およびそのためのサイ
ズ剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から
明かとなろう。
<課題を解決するための手段> 本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第
1に、 (A)クロルスルホン化ポリエチレンを少なくとも10重
量%含有するフイルム形成成分 (B)カップリング成分 および (C)潤滑成分 を含有することを特徴とする樹脂強化用ガラス繊維のサ
イズ剤によって達成される。
本発明のサイズ剤は、上記のとおり、フイルム形成成
分(A)、カップリング成分(B)および潤滑成分
(C)を含有してなる。しかして、本発明のサイズ剤
は、フイルム形成成分がクロルスルホン化ポリエチレン
を少なくとも10重量%含有することを最大の特徴の1つ
とする。
クロルスルホン化ポリエチレンとしては、例えば塩素
含量25〜43重量%および硫黄含量1.0〜1.5重量%である
ものが好ましく用いられる。クロルスルホン化ポリエチ
レンはポリエチレンを二酸化硫黄の存在下塩素化するこ
とにより得られる。クロルスルホン化ポリエチレンはポ
リエチレン主鎖の水素原子の一部がクロルスルホニル基
(ClSO2−)および塩素原子(Cl−)で置換された形の
構造を有している。
本発明のサイズ剤を調整するために、かかるクロルス
ルホン化ポリエチレンは、好ましくは固形分含量30〜60
重量%、例えば40重量%の水性エマルジョンとして有利
に用いられる。かかる水性エマルジョンは、住友化学工
業(株)から“Esprene ”の商品名で入手しうる。
本発明のサイズ剤のフイルム成形成分(A)は、上記
の如く、クロルスルホン化ポリエチレンを少なくとも10
重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましく
は少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも30重
量%含有する。
クロルスルホン化ポリエチレン以外のフイルム形成成
分としては、例えばポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン樹脂あるいはポリエステル樹脂などが
好ましく用いられる。
ポリ酢酸ビニル樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合
体および酢酸ビニルと他の重合性単量体の共重合体のい
ずれであってもよい。かかる共重合体は酢酸ビニルに由
来する重合単位を好ましくは少なくとも80モル%含有す
る。他の重合性単量体としては例えばグリシジルメタク
リレート、N−メチロールアクリルアミド、ビニルシラ
ン化合物などを使用することができる。ポリ酢酸ビニル
樹脂としては、数平均分子量が約1万〜30万であるもの
が好ましく、約2万〜10万であるものがより好ましい。
ポリ酢酸ビニル樹脂は本発明のサイズ剤を調整するた
めに、水性エマルジョンとして有利に使用される。水性
エマルジョンは例えば塊状重合、溶液重合あるいは懸濁
重合等により重合体を得、これを乳化させて調整するこ
とができ、あるいは乳化重合例えば高級アルコールの硫
酸塩を乳化剤とする乳化重合により得られた乳化生成物
そのものとして調整することもできる。かかる水性エマ
ルジョンは、ヘキスト合成社製のモビニール50Mあるい
はカネボウNSC社製のヨドゾールV4250などとして入手し
うる。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA骨格
を含むエポキシ樹脂が好ましく用いられる。かかるエポ
キシ樹脂としては、エポキシ当量重が180〜1,000であり
そして分子量が360〜2,000であるエポキシ化合物の硬化
体が好ましい。
かかるエポキシ化合物もまた、本発明のサイズ剤を調
整するために、水性エマルジョンとして有利に用いられ
る。
かかる水性エマルジョンは、シェル化学社製のエピコ
ート828またはエピコート1001、カネボーNSC社製のEA−
1および吉村油化学社製のTE−16などとして入手しう
る。
ポリウレタン樹脂としては、末端水酸基のポリエーテ
ルあるいはポリエステルの如きポリオールとポリイソシ
アネートとを反応させて得られるもので、特に制限なく
使用される。
ポリウレタンもまた、本発明のサイズ剤を調整するた
めに、水性エマルジョンとして有利に使用される。かか
る水性エマルジョンは、大日本インキ化学工業社製のボ
ンデイック2220(エステル型)およびボンデイック1640
(エーテル型)などとして入手しうる。
ポリエステル樹脂としては、例えば飽和脂肪族ポリエ
ステル樹脂あるいは芳香族ポリエステル樹脂が好ましく
用いられる。かかるポリエステル樹脂もまた本発明のサ
イズ剤を調整するために水性エマルジョンとして好適に
用いられる。かかる水性エマルジョンは、花王社製のニ
ュウトラック550あるいは大日本インク化学工業社製の
ハイドランN420Kなどとして入手しうる。
本発明のサイズ剤として用いられるカップリング成分
(B)は、ガラス繊維とフイルム形成成分(A)とをカ
ップリングするための成分である。かかるカップリング
成分としては、公知のシランカップリング成分を使用す
ることができる。かかるカップリング成分としては、例
えばビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビ
ニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、およびγ−アミノプ
ロピルトリエトキシシランを好適なものとして挙げるこ
とができる。
また、本発明のサイズ剤に用いられる潤滑成分(C)
としては、公知の潤滑成分を使用することができる。か
かる潤滑成分としては、例えば脂肪族アミド化合物、シ
リコーンオイル、第4級アンモニウム塩、非イオン性界
面活性剤およびパラフィン系油剤を好適なものとして挙
げることができる。
本発明のサイズ剤は、フイルム形成成分(A)、カッ
プリング剤(B)および潤滑剤(C)の合計重量(固形
分として)に基づいて、固形分として、好ましくはフイ
ルム形成成分20〜99.8重量%、カップリング剤0.1〜60
重量%および潤滑剤0.1〜20重量%からなる。
より好ましくは、同じ基準に基づいて、フイルム形成
成分35〜99.8重量%、カップリング剤0.1〜15重量%お
よび潤滑剤0.1〜15重量%からなる。
本発明のサイズ剤は、それ自体公知の方法により、例
えば下記実施例に記載した如き方法により調整すること
ができる。
本発明のサイズ剤は、樹脂成形品の強化のために、ガ
ラス繊維の表面に施される。本発明のサイズ剤で表面処
理されたガラス繊維は、通常次いで乾燥される。本発明
のサイズ剤は、ガラス繊維に対し、固形成分として、好
ましくは約0.1〜約3重量%、より好ましくは約0.2〜約
2重量%施される。
本発明のサイズ剤で表面処理されたガラス繊維は、例
えばバルクモールデイングコンパウンド(BMC)あるい
はシートモールディングコンパウンド(SMC)に用いら
れる。BMCは例えば下記の如き組成を有する。すなわ
ち、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂あるいは
ジアリルフタレート樹脂の如き熱硬化性樹脂60〜90重量
部、ポリスチレンの如き低収縮剤10〜40重量部、炭酸カ
ルシウムの如き充填剤200〜400重量部、ステアリン酸亜
鉛の如き内部離型剤2〜10重量部、t−ブチルパーベン
ゾエートの如き硬化剤0.5〜1.5重量部およびカーボンブ
ラックの如き顔料1〜5重量部からなる。
上記の如き組成のBMCあるいはSMCに対し、本発明のサ
イズ剤で表面処理されたガラス繊維は例えば3〜70重量
%の割合で用いられる。
以下、実施例により本発明を詳述する。
<実施例> 実施例1 クロルスルホン化ポリエチレンエマルジョン(固形分
含量40重量%、数平均分子量3万、塩素含量35重量%お
よび硫黄含量1.0重量%)15重量部、ビニル トリス
(2−6メトキシエトキシ)シラン0.4重量部、脂肪酸
アミド(主成分:テトラエチルペンタミン/カプリル酸
アミド)0.3重量部および脱イオン水84.3重量部を約23
℃で30分間攪拌して、サイズ剤を調整した。
このサイズ剤を、溶融紡糸されたガラス繊維フイラメ
ント(直径11μm)にアプリケーターによってコーティ
ングし(固形分としてガラス繊維に対し1.0重量%)、8
00本集束して回転ドラムに巻取った。巻取った繊維束を
熱風乾燥し、6mm長にカットしてチョップドストランド
を得た。
このチョップドストランドを、不飽和ポリエステル樹
脂(イソ系高反応性不飽和ポリエステル樹脂。昭和高分
子社製リゴラックM−411−1)と一緒にニーダー中で
約23℃で約3分間混練して不飽和ポリエステル樹脂組成
物(ガラス繊維含量20重量%)を得た。
この組成物を加熱プレスによって140℃で5分間、100
Kg/cm2に加圧して成形品を得た。
得られた成形品の物理的性質を第1表に示した。
実施例2 実施例1において、クロルスルホン化ポリエチレンエ
マルジョン15重量部に代えて、クロルスルホン化ポリエ
チレンエマルジョン10重量部および酢酸ビニルエマルジ
ョン(固形分50重量%)4重量部を用い且つ脱イオン水
85.3重量部を用いる他は、実施例1と全く同様にした。
得られた成形品の物理的性質を第1表に合せて示し
た。
実施例3 実施例1において、クロルスルホン化ポリエチレンエ
マルジョン15重量部に代えてクロルスルホン化ポリエチ
レンエマルジョン10重量部およびエポキシエマルジョン
(固形分含量55重量%)3.6重量部を用い且つ脱イオン
水85.7重量部を用いる他は実施例1と全く同様にした。
得られた成形品の物理的性質を第1表に合せて示し
た。
実施例4 実施例1において、クロルスルホン化ポリエチレンエ
マルジョン15重量部に代えてポリエチレンエマルジョン
(固形分含量30重量%)6.7重量部およびクロルスルホ
ン化ポリエチレンエマルジョン10重量部を用い且つ脱イ
オン水82.6重量部を用いる他は実施例1と全く同様にし
た。
得られた成形品の物理的性質を第1表に合せて示し
た。
実施例5 実施例1において、クロルスルホン化ポリエチレンエ
マルジョン15重量部に代えてポリウレタンエマルジョン
(固形分含量30重量%)6.7重量部およびクロルスルホ
ン化ポリエチレンエマルジョン10重量部を用い且つ脱イ
オン水82.6重量部を用いる他は実施例1と全く同様にし
た。
得られた成形品の物理的性質を第1表に合せて示し
た。
比較例1〜4 実施例1において、クロルスルホン化ポリエチレンエ
マルジョン15重量部に代えて、酢酸ビニルエマルジョン
(実施例2で使用のものと同じもの)12重量部(比較例
1)、エポキシエマルジョン(実施例3で使用のものと
同じもの)10.9重量部(比較例2)、ポリエステルエマ
ルジョン(実施例4で使用のものと同じもの)20重量部
(比較例3)、またはポリウレタンエマルジョン(実施
例5で使用のものと同じもの)20重量部(比較例4)を
用い且つ脱イオン水を合計が100重量部となる量で用い
る他は実施例1と全く同様にした。
得られた成形品の物理的性質を第1表に合せて示し
た。
実施例6〜17および比較例5〜8 実施例1と同様にして第2表および第3表に示した組
成のサイズ剤を調整した。また、このサイズ剤を用いて
実施例1と同様にして成形品を得た。得られた成形品の
物理的性質を第2表および第3表に合せて示した。
<発明の効果> 本発明のサイズ剤で表面処理されたガラス繊維で強化
された樹脂成形品は曲げ強度および引張強度のみならず
衝撃強度が優れている。本発明のサイズ剤はガラス繊維
およびマトリックス樹脂のいずれに対する接着性も改善
する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 25/02 C08J 5/08 D06M 15/227

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)クロルスルホン化ポリエチレンを少
    なくとも10重量%含有するフィルム形成成分 (B)カップリング成分 および (C)潤滑成分 を含有することを特徴とする樹脂強化用ガラス繊維のサ
    イズ剤。
  2. 【請求項2】上記第1項のサイズ剤で表面処理された樹
    脂強化用ガラス繊維。
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