JP2012052279A - サイジング剤塗布炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、そして高次加工性に優れるサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)成分として、2官能以上のエポキシ化合物(A1)および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物(A2)100質量部に対し、(B)成分として、特定構造のカチオン部位を有する4級アンモニウム塩0.1〜25質量部を配合してなるサイジング剤を炭素繊維に塗布し、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理するサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材などに好適に用いられる炭素繊維の製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、マトリックス樹脂との接着性に優れ、かつ、高次加工性に優れるサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、軽量でありながら強度および弾性率に優れているため、これを種々のマトリックス樹脂と組み合わせた複合材料は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材およびスポーツ用品等の多くの分野に用いられている。炭素繊維を用いた複合材料において、炭素繊維の優れた特性を活かすためには、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が優れていることが重要である。
炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させるため、通常、炭素繊維に気相酸化や液相酸化等の酸化処理を施し、炭素繊維表面に酸素含有官能基を導入する方法が行われている。例えば、炭素繊維に電解処理を施すことにより、接着性の指標である層間剪断強度を向上させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、近年、複合材料への要求特性のレベルが向上するにしたがって、このような酸化処理のみで達成できる接着性では不十分になりつつある。
一方、炭素繊維は脆く、集束性および耐摩擦性に乏しいため、高次加工工程において毛羽や糸切れが発生しやすい。このため、通常、炭素繊維にサイジング剤を塗布する方法が行われている。
例えば、サイジング剤としてビスフェノールAのジグリシジルエーテルを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献2および3参照。)。また、サイジング剤としてビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献4および5参照。)。また、サイジング剤としてビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物にエポキシ基を付加させたものを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献6および7参照。)。さらに、サイジング剤としてポリアルキレングリコールのエポキシ付加物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献8、9および10参照。)。
これらの方法によれば、炭素繊維の集束性と耐摩擦性が向上することが知られている。しかしながら、これらの従来の提案には、サイジング剤により炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を積極的に向上させるという技術的思想はなく、実際に炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を大幅に向上させることはできなかった。
また別に、サイジング剤としてエポキシ基と4級アンモニウム塩とを有するウレタン化合物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献11参照。)。この提案の方法でも、集束性と耐摩擦性は向上するものの、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させることはできなかった。
このようにサイジング剤は、従来、いわゆる糊剤として高次加工性を向上させるという目的で使われており、サイジング剤により炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させるという検討はほとんどなされていない。また、接着性について検討されている例でも、接着性の向上効果が不十分であるか、または、特殊な炭素繊維との組み合わせの場合にのみ効果が発現させるという限定されたものであった。
例えば、サイジング剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミンを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献12参照。)。しかしながら、この提案の方法では、ビスフェノールのジグリシジルエーテルを用いた場合と比べて、接着性の指標である層間剪断強度が向上することが示されているが、接着性の向上効果はなお不十分であった。また、この提案で用いられるN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミンは、骨格内に脂肪族3級アミンを含み求核性を有するため、自己重合反応が起きる結果、経時的に炭素繊維束が硬くなり高次加工性が低下するという問題があった。
さらに、炭素繊維として、表面酸素濃度O/C、表面水酸基濃度およびカルボキシル基濃度が特定の範囲内であるものを用い、サイジング剤として、複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物をその炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献13参照。)。しかしながら、この提案の方法では、接着性の指標であるEDSが向上することが示されているが、やはり炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性の向上効果は不十分であり、また、接着性の向上効果は、特殊な炭素繊維と組み合わせた場合のみに発現されるというように限定されたものであった。
特開平04−361619号公報 特開昭50−059589号公報 特開昭57−171767号公報 特開平07−009444号公報 特開2000−336577号公報 特開昭61−028074号公報 特開平01−272867号公報 特開昭57−128266号公報 特開昭59−009273号公報 特開昭62−033872号公報 特開昭58−013781号公報 特開昭52−059794号公報 特開平07−279040号公報
そこで本発明の目的は、上記の従来技術における問題点に鑑み、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、かつ、高次加工性に優れるサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、サイジング剤として、2官能以上のエポキシ化合物および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物と特定の4級アンモニウム塩を特定比率で含むサイジング剤を炭素繊維に塗布し、特定の温度と時間で熱処理したところ、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を高められることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、(A)成分として、2官能以上のエポキシ化合物(A1)および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物(A2)100質量部に対し、(B)成分として、少なくとも次の一般式(I)または(II)
Figure 2012052279
Figure 2012052279
(上記式中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRは、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表す。)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩を含むサイジング剤0.1〜25質量部を配合してなるサイジング剤を炭素繊維に塗布し、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理するサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法である。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい様態によれば、前記の一般式(I)のRとRが、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表し、RとRが、それぞれ炭素数2〜22の炭化水素基、炭素数2〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数2〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数2〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、前記の一般式(II)のRが、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRが、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表すことである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維をアルカリ性水溶液中で電解処理した後、または前記の炭素繊維を酸性水溶液中で電解処理し続いてアルカリ性水溶液で洗浄した後、サイジング剤を塗布することである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記(A)エポキシ化合物は、分子内に3個以上のエポキシ基を含む3官能以上のエポキシ樹脂ある。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記(A)エポキシ化合物は、分子内に芳香環を含むことである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記(A)エポキシ化合物は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかであることである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の炭素繊維のX線電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cは、0.05〜0.30である。
本発明によれば、2官能以上のエポキシ化合物および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物を主成分とするサイジング剤において、特定の4級アンモニウム塩を特定量配合し、かつ、特定の条件で熱処理を施した場合においてのみ、前記エポキシ化合物と、炭素繊維表面に元来含まれる、あるいは、酸化処理により導入されるカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基との間に共有結合形成が促進される。これにより、特定の4級アンモニウム塩を配合しない場合、特定の4級アンモニウム塩を配合しても配合量が特定範囲から外れる場合、特定の4級アンモニウム塩を配合しても特定の熱処理条件から外れる場合と比較して、マトリックス樹脂との接着性が大幅に優れたサイジング剤塗布炭素繊維を得ることができる。また、本発明の製造方法で得られたサイジング剤塗布炭素繊維は優れた集束性と耐擦過性を有することから、織物やプリプレグへの加工性に優れている。かかるサイジング剤塗布炭素繊維とマトリックス樹脂から得られる炭素繊維強化複合材料は、軽量でありながら強度および弾性率が優れているため、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材およびスポーツ用品等の多くの分野に好適に用いることができる。
次に、本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法を実施するための形態について説明をする。
本発明は、(A)成分として、2官能以上のエポキシ化合物(A1)および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物(A2)100質量部に対し、少なくとも次の一般式(I)または(II)
Figure 2012052279
Figure 2012052279
(上記式中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRは、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表す。)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩0.1〜25質量部を配合してなるサイジング剤を炭素繊維に塗布し、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理するサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法である。
本発明において用いられる(A1)とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物である。
本発明において用いられる(A2)とは、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物である。
(A)と(B)を特定量配合したサイジング剤を炭素繊維に塗布し、特定の条件で熱処理することにより接着性が向上するメカニズムは確かではないが、まず、(B)成分の4級アンモニウム塩が本発明で用いられる炭素繊維のカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基の水素イオンを引き抜きアニオン化した後、このアニオン化した官能基と(A)成分に含まれるエポキシ基が求核反応するものと考えられる。これにより、本発明で用いられる炭素繊維とエポキシの強固な結合が形成される。一方、マトリックス樹脂との関係においては、(A1)、(A2)それぞれについて、以下のとおりに説明される。
(A1)の場合、本発明で用いられる炭素繊維との共有結合に関与しない残りのエポキシ基がマトリックス樹脂含有官能基と反応し共有結合を形成するか、もしくは、水素結合を形成するものと考えられる。とりわけ、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合に、(A1)のエポキシ基とマトリックス樹脂のエポキシ基の反応、エポキシ樹脂中に含まれるアミン硬化剤を介しての反応により強固な界面が形成できると考えられる。また、(A1)の構造中に1個以上の不飽和基を含むことが好ましく、マトリックス樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂のようなラジカル重合系樹脂の場合、(A1)の不飽和基とマトリックス樹脂との不飽和基がラジカル反応し強固な界面を形成することが可能である。
(A2)の場合、(A2)のエポキシ基は本発明で用いられる炭素繊維のカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基と共有結合を形成するが、残りの水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基はマトリックス樹脂に応じて、共有結合や水素結合などの相互作用を形成するものと考えられる。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であれば、(A2)の水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基とマトリックス樹脂のエポキシ基または、アミン硬化剤とエポキシ基が反応してできた水酸基との相互作用により強固な界面を形成できると考えられる。また、マトリックス樹脂がポリアミド、ポリエステルおよび酸変性されたポリオレフィンに代表される熱可塑性樹脂であれば、(A2)の水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基と、これらマトリックス樹脂に含まれるアミド基、エステル基、酸無水物基、末端などのカルボキシル基、水酸基、アミノ基との相互作用により、強固な界面を形成できると考えられる。
すなわち、(A1)の場合における、炭素繊維との共有結合に関与しない残りのエポキシ基が、(A2)の場合における、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基に相当する機能を有すると考えられる。
本発明においては、(A)エポキシ化合物が、3官能以上のエポキシ化合物であることが好ましく、4官能以上のエポキシ化合物であることがより好ましい。(A)エポキシ化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基を有する3官能以上のエポキシエポキシであると、1個のエポキシ基が炭素繊維表面の酸素含有官能基と共有結合を形成した場合でも、残りの2個以上のエポキシ基がマトリックス樹脂と共有結合を形成することができ、接着性がさらに向上する。エポキシ基の数の上限値については、10個以上では接着性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)エポキシ化合物のエポキシ当量は、360g/mol未満であることが好ましく、より好ましくは270g/mol未満であり、さらに好ましくは180g/mol未満である。エポキシ当量が360g/mol未満であると、高密度で共有結合が形成され、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性がさらに向上する。エポキシ当量の下限値については、90g/mol未満で接着性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)エポキシ化合物は、芳香環を1個以上有することが好ましく、芳香環を2個以上有することがより好ましい。炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料において、炭素繊維近傍のいわゆる界面層は、炭素繊維あるいはサイジング剤の影響を受け、マトリックス樹脂とは異なる特性を有する場合がある。(A)エポキシ化合物が芳香環を1個以上有すると、剛直な界層が形成され、炭素繊維とマトリックス樹脂との間の応力伝達能力が向上し、繊維強化複合材料の0°引張強度等の力学特性が向上する。芳香環の数の上限値については、10個以上では力学特性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)エポキシ化合物は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかであることが好ましい。これらのエポキシ樹脂は、エポキシ基数が多く、エポキシ当量が小さく、かつ、2個以上の芳香環を有しており、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上させることに加え、繊維強化複合材料の0°引張強度等の力学特性を向上させる。より好ましくは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。
本発明において、(A1)2官能以上のエポキシ化合物の具体例としては、例えば、ポリオールから誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、複数活性水素を有するアミンから誘導されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸から誘導されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、およびテトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
さらに、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびアラビトールと、エピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、およびビフェニルアラルキル骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。
さらに、グリシジルアミン型エポキシ樹脂として、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、および4−アミノ−3−メチルフェノールのアミノフェノール類の水酸基とアミノ基の両方をエピクロロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびダイマー酸等をエピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂が挙げられる。
分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化させて得られるエポキシ樹脂としては、例えば、分子内にエポキシシクロヘキサン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。さらに、このエポキシ樹脂としては、エポキシ化大豆油が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂以外にも、トリグリシジルイソシアヌレートのようなエポキシ樹脂が挙げられる。さらには、上に挙げたエポキシ樹脂を原料として合成されるエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンジイソシアネートからオキサゾリドン環生成反応により合成されるエポキシ樹脂が挙げられる。
本発明において、(A2)1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物の具体例として、例えば、エポキシ基と水酸基を有する化合物、エポキシ基とアミド基を有する化合物、エポキシ基とイミド基、エポキシ基とウレタン基を有する化合物、エポキシ基とウレア基を有する化合物、エポキシ基とスルホニル基を有する化合物、エポキシ基とスルホ基を有する化合物が挙げられる。
エポキシ基と水酸基を有する化合物としては、例えば、ソルビトール型ポリグリシジルエーテルおよびグリセロール型ポリグリシジルエーテル等が挙げられ、具体的にはデナコール(商標登録)EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−314およびEX−321(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ基とアミド基を有する化合物としては、例えば、グリシアミド、アミド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。アミド変性エポキシはジカルボン酸アミドのカルボキシル基に2官能以上のエポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることによって得ることができる。
エポキシ基とイミド基を有する化合物としては、例えば、グリシジルフタルイミド等が挙げられる。具体的にはデナコール(商標登録)EX−731(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ基とウレタン基を有する化合物としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂が挙げられ、具体的にはアデカレジン(商標登録)EPU−78−13S、EPU−6、EPU−11、EPU−15、EPU−16A、EPU−16N、EPU−16A、EPU−17T−6、EPU−1348およびEPU−1395(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。または、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテルの末端水酸基に、その水酸基量に対する反応当量の多価イソシアネートを反応させ、次いで得られた反応生成物のイソシアネート残基に多価エポキシ樹脂内の水酸基と反応させることによって得ることができる。ここで、用いられる多価イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
エポキシ基とウレア基を有する化合物としては、例えば、ウレア変性エポキシ樹脂等が挙げられる。アミド変性エポキシはジカルボン酸ウレアのカルボキシル基に2官能以上のエポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることによって得ることができる。
エポキシ基とスルホニル基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールS型エポキシ等が挙げられる。
エポキシ基とスルホ基を有する化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸グリシジルおよび3−ニトロベンゼンスルホン酸グリシジル等が挙げられる。
本発明で用いられる(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩は、次の一般式(I)または(II)
Figure 2012052279
Figure 2012052279
(上記式中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRは、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表す。)のいずれかで示されるカチオン部位を有する4級アンモニウム塩であることが必要である。
本発明者等は、2官能以上のエポキシ化合物および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物を主成分とするサイジング剤において、前記エポキシ化合物100質量部に対し、上記一般式(I)または(II)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩を0.1〜25質量部配合したサイジング剤を用い、これを炭素繊維に塗布し、かつ、特定の条件で熱処理を施した場合においてのみ、前記エポキシ化合物と、炭素繊維表面に元来含まれる、あるいは、酸化処理により導入されるカルボキシル基、水酸基等の酸素含有官能基との間に共有結合形成が促進される結果、マトリックス樹脂との接着性が大幅に向上することを見出した。
本発明において、4級アンモニウム塩の配合により共有結合形成が促進されるメカニズムは明確ではないが、特定の構造を有する4級アンモニウム塩のみでかかる効果が得られる。したがって、上記一般式(I)または(II)のR〜Rが、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22のエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかであることが必要である。炭素数が23以上になると、理由は明確ではないが、接着性が不十分となる。
ここで、炭素数1〜22の炭化水素基とは、炭素原子と水素原子のみからなる基であり、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基のいずれでも良く、環構造を含んでも含まなくても良い。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ドコシル基、ベンジル基およびフェニル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシエトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、ポリエチレングリコール基およびポリプロピレングリコール基等のポリエーテル基が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基としては、例えば、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、アセトキシプロピル基、アセトキシブチル基、メタクロイルオキシエチル基およびベンゾイルオキシエチル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシオレイル基、ヒドロキシドコシル基等が挙げられる。
なかでも、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のR〜Rの炭素数は、1〜14の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1〜8の範囲内である。炭素数が14未満であると、4級アンモニウム塩が反応促進剤として働く際に、立体障害が適度に小さく反応促進効果が高くなり、接着性がさらに向上する。
また、本発明において、上記一般式(I)で示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のRとRの炭素数は、2以上であることが好ましく、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。炭素数が2以上であると、4級アンモニウム塩が開始剤としてはたらくことによるエポキシ樹脂の単独重合が抑えられ、接着性がさらに向上する。
また、本発明において、上記一般式(II)で示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のRとRは、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかであることが好ましい。水素または炭素数が8未満であると、分子中における活性部位の比率が高く、少量でも大きな接着性向上効果が得られる。
本発明において、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のカチオン部位の分子量は、100〜400g/molの範囲内であることが好ましく、より好ましくは100〜300g/molの範囲内であり、さらに好ましくは100〜200g/molの範囲内である。カチオン部位の分子量が100g/mol以上であると、熱処理中にも揮発が抑えられ、少量でも大きな接着性向上効果が得られる。一方、カチオン部位の分子量が400g/mol以下であると、分子中における活性部位の比率が高く、やはり少量でも大きな接着性向上効果が得られる。
本発明において、上記の一般式(I)で示される4級アンモニウム塩のカチオン部位としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルオレイルアンモニウム、ドコシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、ジブチルジメチルアンモニウム、ジメチルジペンチルアンモニウム、ジヘキシルジメチルアンモニウム、ジシクロヘキシルジメチルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、エチルデシルジメチルアンモニウム、ジドデシルジメチルアンモニウム、エチルドデシルジメチルアンモニウム、ジテトラデシルジメチルアンモニウム、エチルテトラデシルジメチルアンモニウム、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、エチルオクタデシルジメチルアンモニウム、ジメチルジオレイルアンモニウム、エチルジメチルオレイルアンモニウム、ジドコシルジメチルアンモニウム、ドコシルエチルジメチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム、ベンジルエチルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチルプロピルアンモニウム、ベンジルブチルジメチルアンモニウム、ベンジルデシルジメチルアンモニウム、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム、ベンジルテトラデシルジメチルアンモニウム、ベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム、ベンジルオクタデシルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチルオレイルアンモニウム、ジメチルジフェニルアンモニウム、エチルジメチルフェニルアンモニウム、ジメチルプロピルフェニルアンモニウム、ブチルジメチルフェニルアンモニウム、デシルジメチルフェニルアンモニウム、ドデシルジメチルフェニルアンモニウム、テトラデシルジメチルフェニルアンモニウム、ヘキサデシルジメチルフェニルアンモニウム、ジメチルオクタデシルフェニルアンモニウム、ジメチルオレイルフェニルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、ブチルトリエチルアンモニウム、トリエチルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム、トリエチルシクロヘキシルアンモニウム、トリエチルオクチルアンモニウム、デシルトリエチルアンモニウム、ドデシルトリエチルアンモニウム、テトラデシルトリエチルアンモニウム、ヘキサデシルトリエチルアンモニウム、トリエチルオクタデシルアンモニウム、トリエチルオレイルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、トリエチルフェニルアンモニウム、ジエチルジプロピルアンモニウム、ジブチルジエチルアンモニウム、ジエチルジペンチルアンモニウム、ジエチルジヘキシルアンモニウム、ジエチルジシクロヘキシルアンモニウム、ジエチルジオクチルアンモニウム、ジデシルジエチルアンモニウム、ジドデシルジエチルアンモニウム、ジテトラデシルジエチルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジオクタデシルアンモニウム、ジエチルジオレイルアンモニウム、ジベンジルジエチルアンモニウム、ジエチルジフェニルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、メチルトリプロピルアンモニウム、エチルトリプロピルアンモニウム、ブチルトリプロピルアンモニウム、ベンジルトリプロピルアンモニウム、フェニルトリプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、トリブチルエチルアンモニウム、トリブチルプロピルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、トリブチルフェニルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、エチルトリオクチルアンモニウム、トリオクチルプロピルアンモニウム、ブチルトリオクチルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジエチルジオクチルアンモニウム、ジオクチルジプロピルアンモニウム、ジブチルジオクチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム、テトラドデシルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリエチルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリプロピルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリブチルアンモニウム、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレントリエチルアンモニウム、ポリオキシエチレントリプロピルアンモニウム、ポリオキシエチレントリブチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジプロピルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジブチルアンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン)ジメチルアンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン)ジエチルアンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン)ジプロピルアンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン)ジブチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)エチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)プロピルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)ブチルアンモニウム、トリス(ポリオキシエチレン)メチルアンモニウム、トリス(ポリオキシエチレン)エチルアンモニウム、トリス(ポリオキシエチレン)プロピルアンモニウム、およびトリス(ポリオキシエチレン)ブチルアンモニウムが挙げられる。
また、上記一般式(II)で示される4級アンモニウム塩のカチオン部位としては、例えば、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−エチル−4−メチルピリジニウム、1−エチル−2,4−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−プロピルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−ブチル−2−メチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウム、1−ブチル−2,4,6−トリメチルピリジニウム、1−ペンチルピリジニウム、1−ヘキシルピリジニウム、1−シクロヘキシルピリジニウム、1−オクチルピリジニウム、1−デシルピリジニウム、1−ドデシルピリジニウム、1−テトラデシルピリジニウム、1−ヘキサデシルピリジニウム、1−オクタデシルピリジニウム、1−オレイルピリジニウム、および1−ドコシルピリジニウム、および1−ベンジルピリジニウムが挙げられる。
本発明において、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のアニオン部位としては、例えば、フッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオンおよびヨウ化物アニオンのハロゲンイオンが挙げられる。また、例えば、水酸化物アニオン、酢酸アニオン、シュウ酸アニオン、硫酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、およびトルエンスルホン酸アニオンが挙げられる。
なかでも、対イオンとしては、サイズが小さく、4級アンモニウム塩の反応促進効果を阻害しないという観点から、ハロゲンイオンであることが好ましい。
本発明において、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いても良いし複数種を併用しても良い。
本発明において、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩としては、例えば、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルオクタデシルアンモニウムアセタート、トリメチルオクタデシルアンモニウム安息香酸塩、トリメチルオクタデシルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、トリメチルオクタデシルアンモニウム塩酸塩、トリメチルオクタデシルアンモニウムテトラクロロヨウ素酸塩、トリメチルオクタデシルアンモニウム硫酸水素塩、トリメチルオクタデシルアンモニウムメチルスルファート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムアセタート、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルアンモニウム安息香酸塩、テトラブチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムクロリド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムブロミド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、(2−アセトキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド、(2−アセトキシエチル)トリメチルアンモニウムブロミド、(2−アセトキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−アセトキシエチル)トリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムブロミド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(ポリオキシエチレン)ジメチルアンモニウムクロリド、ビス(ポリオキシエチレン)ジメチルアンモニウムブロミド、ビス(ポリオキシエチレン)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(ポリオキシエチレン)ジメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド、1−ヘキサデシルピリジニウムブロミド、1−ヘキサデシルピリジニウムヒドロキシド、および1−ヘキサデシルピリジニウム−p−トルエンスルホナート等が挙げられる。
本発明で用いられるサイジング剤においては、(A)エポキシ化合物100質量部に対し、上記の一般式(I)または(II)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩を0.1〜25質量部配合することが必要であり、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩の配合量は、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜8質量部である。(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩の配合量が0.1質量部未満では、(A)エポキシ化合物と炭素繊維表面の酸素含有官能基との間の共有結合形成が促進されず、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。一方、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩の配合量が25質量部を超えると、(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩が炭素繊維表面を覆い、共有結合形成が阻害され、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。
本発明において用いられるサイジング剤は、(A)エポキシ化合物と、上記の一般式(I)または(II)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩以外の他の成分を1種類以上含んでも良い。
このような他の成分としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、高級アルコール、多価アルコール、アルキルフェノール、およびスチレン化フェノール等にポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドが付加した化合物、およびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。また、本発明の効果に影響しない範囲で、適宜、ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等を添加しても良い。
本発明においては、サイジング剤を溶媒で希釈して用いることができる。このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。なかでも、取扱いが容易であり、安全性の観点から有利であることから、水が好ましく用いられる。
本発明において、炭素繊維へのサイジング剤の付着量は、炭素繊維100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量部の範囲である。サイジング剤の付着量が0.1質量部以上であると、炭素繊維をプリプレグ化および製織する際に、通過する金属ガイド等による摩擦に耐えることができ、毛羽発生が抑えられ、炭素繊維シートの平滑性などの品位が優れる。一方、サイジング剤の付着量が10質量部以下であると、炭素繊維束周囲のサイジング剤膜に阻害されることなくエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂が炭素繊維束内部に含浸でき、得られる複合材料においてボイド生成が抑えられ、複合材料の品位が優れ、同時に機械物性が優れる。
本発明において、炭素繊維に塗布され乾燥されたサイジング剤層の厚さは、2〜20nmの範囲内で、かつ、厚さの最大値が最小値の2倍を超えないことが好ましい。このような厚さの均一なサイジング剤層により、安定して大きな接着性向上効果が得られ、さらには、安定して高次加工性が優れる。
本発明において、サイジング剤を塗布する炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系およびピッチ系の炭素繊維が挙げられる。なかでも、強度と弾性率のバランスに優れたPAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
次に、PAN系炭素繊維の製造方法について説明する。
炭素繊維の前駆体繊維を得るための紡糸方法としては、湿式、乾式および乾湿式等の紡糸方法を用いることができる。なかでも、高強度の炭素繊維が得られやすいという観点から、湿式あるいは乾湿式紡糸方法を用いることが好ましい。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合体溶液や懸濁液等を用いることができる。
上記の紡糸原液を口金に通して紡糸、凝固、水洗および延伸して前駆体繊維とし、得られた前駆体繊維を耐炎化処理と炭化処理し、必要によってはさらに黒鉛化処理をすることにより炭素繊維を得る。炭化処理と黒鉛化処理の熱処理条件としては、最高熱処理温度が1100℃以上であることが好ましく、より好ましくは1400℃以上である。
本発明において、強度と弾性率の高い炭素繊維が得られるという観点から、細繊度の炭素繊維が好ましく用いられる。具体的には、炭素繊維の単繊維径が、7.5μm以下であることが好ましく、単繊維径はより好ましくは6μm以下であり、さらに好ましくは5.5μm以下である。単繊維径の下限値は、生産性の観点から4.5μm程度であり、4.5μm未満では、製造工程における単繊維切断が起きやすく生産性が低下する場合がある。
得られた炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着性を向上させるために、通常、酸化処理が施され、酸素含有官能基が導入される。酸化処理方法としては、気相酸化、液相酸化および液相電解酸化が用いられるが、生産性が高く、均一処理ができるという観点から、液相電解酸化が好ましく用いられる。
本発明において、液相電解酸化で用いられる電解液としては、酸性電解液およびアルカリ性電解液が挙げられる。
酸性電解液としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、ホウ酸および炭酸等の無機酸の水溶液、酢酸、酪酸、シュウ酸、アクリル酸およびマレイン酸等の有機酸の水溶液、または硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウム等の塩の水溶液が挙げられる。なかでも、強酸性を示す硫酸と硝酸の水溶液が好ましく用いられる。
アルカリ性電解液としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウム等の水酸化物の水溶液、アンモニア水、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等の無機塩の水溶液、酢酸ナトリウムや安息香酸ナトリウム等の有機塩の水溶液、さらに、これらの無機塩および有機塩のカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、他の金属塩およびアンモニウム塩の水溶液、および、ヒドラジン等の有機化合物の水溶液等が挙げられる。なかでも、マトリックス樹脂の硬化阻害を引き起こすアルカリ金属を含まないという観点から、炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウム等の無機塩の水溶液、および、強アルカリ性を示す水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の水溶液が好ましく用いられる。
本発明において、(A)エポキシ化合物と、炭素繊維表面の酸素含有官能基との共有結合形成が促進され、接着性がさらに向上するという観点から、炭素繊維をアルカリ性電解液中で液相電解処理をした後、または酸性電解液中で液相電解酸化し続いてアルカリ性水溶液で洗浄した後、サイジング剤を塗布することが好ましい。液相電解酸化した場合、炭素繊維表面において過剰に酸化された部分が脆弱層となって界面に存在し、複合材料にした場合の破壊の起点となる場合があるため、過剰に酸化された部分をアルカリ性水溶液で溶解除去することにより共有結合形成が促進されるものと考えられる。
本発明において、液相電解酸化で用いられる電解液の濃度は、0.01〜5mol/Lの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1mol/Lの範囲内である。電解液の濃度が0.01mol/L以上であると、電解処理電圧が下げられ、運転コスト的に有利になる。一方、電解液の濃度が5mol/L以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において、液相電解酸化で用いられる電解液の温度は、10〜100℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜40℃の範囲内である。電解液の温度が10℃以上であると、液相電解酸化の効率が向上し、運転コスト的に有利になる。一方、電解液の温度が100℃以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において、液相電解酸化における電気量は、炭素繊維の炭化度に合わせて最適化することが好ましく、高弾性率の炭素繊維に処理を施す場合、より大きな電気量が必要である。
本発明において、液相電解酸化における電流密度は、電解液中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5〜1000A/m2の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜500A/m2の範囲内である。電流密度が1.5A/m2以上であると、液相電解酸化の効率が向上し、運転コスト的に有利になる。一方、電流密度が1000A/m2以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において、(A)エポキシ化合物と、炭素繊維表面の酸素含有官能基との共有結合形成が促進され、接着性がさらに向上するという観点から、液相電解酸化の後、炭素繊維をアルカリ性水溶性で洗浄することが好ましい。なかでも、酸性電解液で液相電解酸化し続いてアルカリ性水溶液で洗浄することが好ましい。
本発明において、洗浄に用いられるアルカリ性水溶液のpHは、7〜14の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜14の範囲内である。アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウム等の水酸化物の水溶液、アンモニア水、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等の無機塩の水溶液、酢酸ナトリウムや安息香酸ナトリウム等の有機塩の水溶液、さらに、これらの無機塩および有機塩のカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、他の金属塩およびアンモニウム塩の水溶液、および、ヒドラジン等の有機化合物の水溶液等が挙げられる。なかでも、マトリックス樹脂の硬化阻害を引き起こすアルカリ金属を含まないという観点から、炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウム等の無機塩の水溶液、および、強アルカリ性を示す水酸化テトラアルキルアンモニウム塩の水溶液が好ましく用いられる。
本発明において、炭素繊維をアルカリ性水溶液で洗浄する方法としては、例えば、ディップ法やスプレー法を用いることができる。なかでも、洗浄が容易であるという観点から、ディップ法を用いることが好ましい。さらには、炭素繊維を超音波で加振させながらディップ法を用いることが好ましい態様である。
本発明においては、炭素繊維を液相電解酸化またはアルカリ性水溶液で洗浄した後、水洗および乾燥することが好ましい態様である。この場合、乾燥温度が高すぎると炭素繊維の最表面に存在する官能基は熱分解により消失し易いため、できる限り低い温度で乾燥することが望ましく、具体的に乾燥温度は好ましくは250℃以下であり、さらに好ましくは210℃以下である。
サイジング剤の炭素繊維への付与(塗布)手段としては、例えば、ローラを介してサイジング液に炭素繊維を浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに炭素繊維を接する方法、およびサイジング液を霧状にして炭素繊維に吹き付ける方法などがある。また、サイジング剤の付与手段は、バッチ式および連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ましく用いられる。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング液濃度、温度および糸条張力などをコントロールすることが好ましい。また、サイジング剤付与時に、炭素繊維を超音波で加振させることができる。
本発明においては、炭素繊維にサイジング剤を塗布した後、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理することが必要である。熱処理条件は、好ましくは170〜250℃の温度範囲で30〜500秒間であり、より好ましくは180〜240℃の温度範囲で30〜300秒間である。熱処理条件が、160℃未満および/または30秒未満であると、サイジング剤のエポキシ樹脂と炭素繊維表面の酸素含有官能基との間の共有結合形成が促進されず、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。一方、熱処理条件が、260℃を超えるおよび/または600秒を超える場合、4級アンモニウム塩の揮発が起きて、共有結合形成が促進されず、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。
本発明においては、得られたサイジング剤塗布炭素繊維束のストランド強度は、3.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは4GPa以上であり、さらに好ましくは5GPaである。また、得られたサイジング剤塗布炭素繊維束のストランド弾性率は、220GPa以上であることが好ましく、より好ましくは240GPa以上であり、さらに好ましくは280GPa以上である。
本発明において、上記のサイジング剤塗布炭素繊維束のストランド引張強度と弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求めることができる。樹脂処方としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧で、温度130℃、時間30分を用いる。炭素繊維束のストランド10本を測定し、その平均値をストランド引張強度およびストランド弾性率とした。
本発明において、炭素繊維としては、X線光電子分光法により測定されるその繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が、0.05〜0.50の範囲内であるものが好ましく、より好ましくは0.06〜0.30の範囲内のものであり、さらに好ましくは0.07〜0.20の範囲内ものである。表面酸素濃度(O/C)が0.05以上であることにより、炭素繊維表面の酸素含有官能基を確保し、マトリックス樹脂との強固な接着を得ることができる。また、表面酸素濃度(O/C)が0.5以下であることにより、酸化による炭素繊維自体の強度の低下を抑えることができる。
炭素繊維の表面酸素濃度は、X線光電子分光法により、次の手順に従って求めたものである。まず、溶剤で炭素繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した炭素繊維を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてAlKα1、2 を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を、1202eVに合わせる。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
ここで、表面酸素濃度とは、上記のO1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出したものである。X線光電子分光法装置として、アルバック・ファイ(株)製ESCA−1600を用い、上記装置固有の感度補正値は2.33であった。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シアネートエステル樹脂およびビスマレイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、機械特性のバランスに優れ、硬化収縮が小さいという利点を有するため、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。靱性等を改良する目的で、熱硬化性樹脂に、後述する熱可塑性樹脂あるいはそれらのオリゴマーを含ませることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)および液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPE、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、変性PSU、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系およびフッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂などが挙げられる。
次に、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合の複合材料について説明する。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法により得られたサイジング剤塗布炭素繊維は、例えば、トウ、織物、編物、組み紐、ウェブ、マットおよびチョップド等の形態で用いられる。特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、炭素繊維が一方向に引き揃えたトウが最も適しており、さらに、炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸したプリプレグが好ましく用いられる。
前記のプリプレグは、マトリックス樹脂をメチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、炭素繊維に含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し、炭素繊維に含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、炭素繊維をマトリックス樹脂の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したマトリックス樹脂を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦マトリックス樹脂を離型紙等の上にコーティングフィルムを作成しておき、次いで炭素繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましく用いられる。
得られたプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながらマトリックス樹脂を加熱硬化させる方法等により、複合材料が作製される。ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、パッキング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用される。複合材料は、プリプレグを介さず、マトリックス樹脂を直接炭素繊維の含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、レジン・インジェクション・モールディング法、およびレジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によっても作製できる。これら方法では、マトリックス樹脂の主剤と硬化剤の2液を使用直前に混合して樹脂調整することが好ましい。
次に、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合の複合材料について説明する。
熱可塑性複合材料は、例えば、射出成形(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形およびインサート成形など)、ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形、およびフィラメントワインディング成形などの成形方法によって成形されるが、生産性の観点で射出成形が好ましく用いられる。かかる成形に用いられる成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシートおよびプリプレグ等を使用することができるが、最も好ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットである。前記のペレットは、一般的には、熱可塑性樹脂とチョップド繊維もしくは連続繊維を押出機中で混練し、押出し、ペレタイズすることによって得られたものを指す。前述のペレットは、ペレット長手方向の長さより、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、ペレットには、長繊維ペレットも含まれる。長繊維ペレットとは、特公昭63−37694号公報に示されるような、繊維がペレットの長手方向にほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さがペレット長さと同一もしくはそれ以上であるものを指す。この場合、熱可塑性樹脂は、繊維束中に含浸されていても被覆されていてもよい。特に熱可塑性樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された熱可塑性樹脂よりも低粘度(もしくは低分子量)の樹脂が予め含浸されていてもよい。複合材料が、優れた導電性と力学的特性(特に強度と耐衝撃性)を兼ね備えるためには、成形品中の繊維長さを長くすることが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレットを用いて成形することが好ましい。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法により得られたサイジング剤塗布炭素繊維と熱硬化性樹脂および/または熱可塑性樹脂からなる成形体の用途としては、例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体およびトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、パネルなどの建材用途、モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラーおよび各種モジュールなどの自動車、二輪車関連部品、部材および外板やランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブなどの航空機関連部品、部材および外板、風車の羽根などが挙げられる。特に、航空機部材、風車の羽根、自動車外板および電子機器の筐体およびトレイやシャーシなどに好ましく用いられる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
<炭素繊維束のストランド引張強度と弾性率>
炭素繊維束のストランド引張強度とストランド弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求めた。樹脂処方としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、温度125℃、時間30分を用いた。炭素繊維束のストランド10本を測定し、その平均値をストランド引張強度およびストランド弾性率とした。
<炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)>
炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)は、次の手順に従いX線光電子分光法により求めた。まず、溶媒で表面に付着している汚れを除去した炭素繊維を、約20mmにカットし、銅製の試料支持台に拡げる。次に、試料支持台を試料チャンバー内にセットし、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。続いて、X線源としてAlKα1、2 を用い、光電子脱出角度を90°として測定を行った。なお、測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。また、O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。ここで、表面酸素濃度とは、上記のO1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出したものである。X線光電子分光法装置として、アルバック・ファイ(株)製ESCA−1600を用い、上記装置固有の感度補正値は2.33であった。
<サイジング付着量の測定方法>
約2gのサイジング付着炭素繊維束を秤量(W1)(少数第4位まで読み取り)した後、50ミリリットル/分の窒素気流中、450℃の温度に設定した電気炉(容量120cm3)に15分間放置し、サイジング剤を完全に熱分解させる。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維束を秤量(W2)(少数第4位まで読み取り)して、W1−W2によりサイジング付着量を求める。このサイジング付着量を炭素繊維束100質量部に対する量に換算した値(小数点第3位を四捨五入)を、付着したサイジング剤の質量部とした。測定は2回おこない、その平均値をサイジング剤の質量部とした。
<界面剪断強度(IFSS)の測定>
界面剪断強度(IFSS)の測定は、次の(イ)〜(ニ)の手順でおこなう。
(イ)樹脂の調整
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“jER”(登録商標)828(三菱化学(株)製)100質量部とメタフェニレンジアミン(シグマアルドリッチジャパン(株)製)14.5質量部を、それぞれ容器に入れる。その後、上記のjER828の粘度低下とメタフェニレンジアミンの溶解のため、75℃の温度で15分間加熱をおこなう。その後、両者をよく混合し、80℃の温度で約15分間真空脱泡をおこなう。
(ロ)炭素繊維単糸を専用モールドに固定
炭素繊維束から単繊維を抜き取り、ダンベル型モールドの長手方向に単繊維に一定張力を与えた状態で両端を接着剤で固定する。その後、炭素繊維およびモールドに付着した水分を除去するため、80℃の温度で30分間以上真空乾燥をおこなう。ダンベル型モールドはシリコーンゴム製で、注型部分の形状は、中央部分巾5mm、長さ25mm、両端部分巾10mm、全体長さ150mmである。
(ハ)樹脂注型から硬化まで
上記(ロ)の手順の真空乾燥後のモールド内に、上記(イ)の手順で調整した樹脂を流し込み、オーブンを用いて、昇温速度1.5℃/分で75℃の温度まで上昇し2時間保持後、昇温速度1.5分で125℃の温度まで上昇し2時間保持後、降温速度2.5℃/分で30℃の温度まで降温する。その後、脱型して試験片を得る。
(ニ)界面剪断強度(IFSS)の測定
上記(ハ)の手順で得られた試験片に繊維軸方向(長手方向)に引張力を与え、歪みを12%生じさせた後、偏光顕微鏡により試験片中心部22mmの範囲における繊維破断数N(個)を測定する。次に、平均破断繊維長laを、la(μm)=22×1000(μm)/N(個)の式により計算する。次に、平均破断繊維長laから臨界繊維長lcを、lc(μm)=(4/3)×la(μm)の式により計算する。ストランド引張強度σと炭素繊維単糸の直径dを測定し、炭素繊維と樹脂界面の接着強度の指標である界面剪断強度IFSSを、次式で算出する。実施例では、測定数n=5の平均を試験結果とした。
・界面剪断強度IFSS(MPa)=σ(MPa)×d(μm)/(2×lc)(μm)。
各実施例および各比較例で用いた材料と成分は、下記のとおりである。
・(A1)成分:A−1〜A−4
A−1:“jER”(登録商標)828(三菱化学(株)製)
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
エポキシ当量:189g/mol、エポキシ基数:2
A−2:“jER”(登録商標)152(三菱化学(株)製)
フェノールノボラックのグリシジルエーテル
エポキシ当量:175g/mol、エポキシ基数:3
A−3:“アラルダイト”(登録商標)MY721(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
エポキシ当量:113g/mol、エポキシ基数:4
A−4:TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)
テトラグリシジルメタキシレンジアミン
エポキシ当量:100g/mol、エポキシ基数:4。
・(A1)成分、(A2)成分の両方に該当:A−5
A−5:“デナコール”(登録商標)EX−611(ナガセケムテックス(株)製)
ソルビトールポリグリシジルエーテル
エポキシ当量:167g/mol、エポキシ基数:4
水酸基数:2。
・(A2)成分:A−6、A−7
A−6:“デナコール”(登録商標)EX−731(ナガセケムテックス(株)製)
N−グリシジルフタルイミド
エポキシ当量:216g/mol、エポキシ基数:1
イミド基数:1
A−7:“アデカレジン”(登録商標)EPU−6((株)ADEKA製)
ウレタン変性エポキシ
エポキシ当量:250g/mol、エポキシ基数:1以上
ウレタン基:1以上。
・(B)成分:B−1〜B−7
B−1:ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド(Rの炭素数が7、R〜Rの炭素数がそれぞれ1、アニオン部位が臭化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−2:テトラブチルアンモニウムブロミド(R〜Rの炭素数がそれぞれ4、アニオン部位が臭化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−3:トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド(Rの炭素数が18、R〜Rの炭素数がそれぞれ1、アニオン部位が臭化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−4:(2−メトキシエトキシメチル)トリエチルアンモニウムクロリド(Rの炭素数が4、R〜Rの炭素数がそれぞれ2、アニオン部位が塩化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−5:(2−アセトキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド(Rの炭素数が4、R〜Rの炭素数がそれぞれ1、アニオン部位が塩化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−6:(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムブロミド(Rの炭素数が2、R〜Rの炭素数がそれぞれ1、アニオン部位が臭化物アニオン、東京化成工業(株)製)
B−7:1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド(Rの炭素数が16、RとRがそれぞれ水素原子、アニオン部位が塩化物アニオン、東京化成工業(株)製)。
(実施例1)
本実施例は、次の第Iの工程および第IIの工程からなる。
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
アルリロニトリル99モル%とイタコン酸1モル%からなる共重合体を紡糸し、焼成し、総フィラメント数24、000本、総繊度800テックス、比重1.8、ストランド引張強度6.2GPa、ストランド引張弾性率300GPaの炭素繊維を得た。次いで、その炭素繊維を、濃度0.1モル/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を電解液として、電気量を炭素繊維1g当たり100クーロンで電解表面処理した。この電解表面処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の温度の加熱空気中で乾燥し、原料となる炭素繊維を得た。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.20であった。これを炭素繊維Aとした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
前記の(A−1)と前記の(B−1)を質量比100:3で混合し、さらにアセトンを混合し、サイジング剤が均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このサイジング剤のアセトン溶液を用い、浸漬法によりサイジング剤を表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で90秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維束を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部となるように調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて、界面剪断強度(IFSS)を測定した。結果を表1にまとめた。この結果、IFSSが35MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。
(実施例2〜6)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)を(A−2)に変更し、(A−2)と(B−1)の質量比を表1に示すように、100:1〜100:20の範囲で変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが36〜42MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。なかでも、(A−2)と(B−1)の質量比が100:3と100:5の場合において、接着性が極めて優れるものであった。結果を表1に示す。
(実施例7)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)を(A−3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが42MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。結果を表1に示す。
Figure 2012052279
(実施例8〜13)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)を(A−2)に変更し、(B−1)を(B−2)〜(B−7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが36〜41MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。結果を表2に示す。
Figure 2012052279
(実施例14〜18)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)を(A−2)に変更し、表3に示すように、熱処理温度を180〜240℃の範囲に変更し、熱処理時間を30〜480秒の範囲に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが36〜42MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。なかでも、熱処理温度が210℃で、熱処理時間が300秒の場合において、接着性が極めて優れるものであった。結果を表3に示す。
(実施例19)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
電解液として濃度0.05モル/lの硫酸水溶液を用い、電気量を炭素繊維1g当たり20クーロンで電解表面処理したこと以外は、実施例1と同様とした。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.20であった。これを炭素繊維Bとした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが33MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。結果を表3に示す。
(実施例20)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例19と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例3と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが36MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。結果を表3に示す。
Figure 2012052279
(比較例1〜3)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)、(A−2)、(A−4)のいずれかのみを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが23〜29MPaであり、接着性が不十分であることがわかった。結果を表4に示す。
(比較例4)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
前記の(A−2)と前記の(B−1)を質量比100:30で混合し、さらにアセトンを混合し、サイジング剤が均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このサイジング剤のアセトン溶液を用い、浸漬法によりサイジング剤を表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で90秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維束を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部となるように調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて、界面剪断強度(IFSS)を測定した。この結果、IFSSが23MPaであり、接着性が不十分であることがわかった。結果を表4に示す。
(比較例5〜8)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)を(A−2)に変更し、表4に示すように、熱処理温度と熱処理時間を、210℃×10秒、210℃×720秒、140℃×90秒、280℃×90秒に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部であった。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが25〜29MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。なかでも、熱処理温度が140℃で、熱処理時間が90秒の場合において、接着性が不十分であることがわかった。結果を表4に示す。
Figure 2012052279
(実施例21〜23)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
(A−5)と(B−1)、(A−6)と(B−1)、(A−7)と(B−1)をそれぞれ質量比100:3で混合し、さらにアセトンを混合し、サイジング剤が均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このサイジング剤のアセトン溶液を用い、浸漬法によりサイジング剤を表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で90秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部となるように調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて、界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが33、34MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。結果を表5に示す。
(比較例9〜11)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例21〜23において、(B−1)を含まないこと以外は実施例21〜23と同様方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部となるように調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて、界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが24〜29MPaであり、いずれも接着性が不十分であることがわかった。結果を表5に示す。
Figure 2012052279

Claims (8)

  1. (A)成分として、2官能以上のエポキシ化合物(A1)および/または、1官能以上のエポキシ基を有し、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも一つ以上の官能基を有するエポキシ化合物(A2)100質量部に対し、(B)成分として、少なくとも次の一般式(I)または(II)
    Figure 2012052279
    Figure 2012052279
    (上記式中、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRは、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基、または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表す。)のいずれかで示される(B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩0.1〜25質量部を配合してなるサイジング剤を炭素繊維に塗布し、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理するサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  2. 一般式(I)のRとRが、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRが炭素数2〜22の炭化水素基、炭素数2〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数2〜22の炭化水素とエステル構造を含む基または炭素数2〜22の炭化水素と水酸基を含む基を表し、一般式(II)のRが、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数1〜22の炭化水素とエーテル構造を含む基、炭素数1〜22の炭化水素とエステル構造を含む基、または炭素数1〜22の炭化水素と水酸基を含む基のいずれかを表し、RとRが、それぞれ水素、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化水素とエーテル構造を含む基または炭素数1〜8の炭化水素とエステル構造を含む基のいずれかを表す、請求項1記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  3. 炭素繊維をアルカリ性電解液中で液相電解酸化した後、または酸性電解液中で液相電解酸化し続いてアルカリ性水溶液で洗浄した後、サイジング剤を塗布する、請求項1または2記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  4. (A)エポキシ化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基を含む3官能以上のエポキシ化合物ある、請求項1〜3のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  5. (A)エポキシ化合物が、分子内に芳香環を含むものである、請求項1〜4のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  6. (A)エポキシ化合物が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかである、請求項1〜5のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  7. (B)カチオン部位を有する4級アンモニウム塩のアニオン部位がハロゲンイオンである、請求項1〜6のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
  8. 炭素繊維のX線電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが、0.05〜0.50の範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法。
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