JP5831148B2 - サイジング剤塗布炭素繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材などに好適に用いられるサイジング剤塗布炭素繊維の製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、マトリックス樹脂との接着性に優れ、なおかつ、高次加工性に優れるサイジング剤塗布炭素繊維に関するものである。
炭素繊維は、軽量でありながら、強度および弾性率に優れるため、種々のマトリックス樹脂と組み合わせた複合材料は、航空機部材、宇宙機部材、自動車部材、船舶部材、土木建築材およびスポーツ用品等の多くの分野に用いられている。炭素繊維を用いた複合材料において、炭素繊維の優れた特性を活かすには、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が優れることが重要である。
炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させるため、通常、炭素繊維に気相酸化や液相酸化等の酸化処理を施し、炭素繊維表面に酸素含有官能基を導入する方法が行われている。例えば、炭素繊維に電解処理を施すことにより、接着性の指標である層間剪断強度を向上させる方法が提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、近年、複合材料への要求特性のレベルが向上するにしたがって、このような酸化処理のみで達成できる接着性では不十分になりつつある。
一方、炭素繊維は脆く、集束性および耐摩擦性に乏しいため、高次加工工程において毛羽や糸切れが発生しやすい。このため、通常、炭素繊維にサイジング剤を塗布する方法が行われている。
例えば、サイジング剤としてビスフェノールAのジグリシジルエーテルを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献2および3参照。)。また、サイジング剤としてビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献4および5参照。)。また、サイジング剤としてビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物にエポキシ基を付加させたものを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献6および7参照。)。さらに、サイジング剤としてポリアルキレングリコールのエポキシ付加物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献8、9および10参照。)。
これらの方法によれば、炭素繊維の集束性と耐摩擦性が向上することが知られている。しかしながら、これらの従来の提案には、サイジング剤により炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を積極的に向上させるという技術的思想はなく、実際に炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を大幅に向上することはできなかった。
このようにサイジング剤は、従来、いわゆる糊剤として高次加工性を向上させるという目的で使われており、サイジング剤により炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させるという検討はほとんどなされていない。また、検討されている例でも、接着性の向上効果が不十分であるか、または、特殊な炭素繊維との組み合わせの場合にのみ効果が発現されるという限定されたものであった。
例えば、サイジング剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミンを炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献11参照。)。しかしながら、この提案の方法では、ビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いた場合と比べて、接着性の指標である層間剪断強度が向上することが示されているが、接着性の向上効果はなお不十分であった。また、この提案で用いられるN,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミンは、骨格内に脂肪族3級アミンを含み求核性を有するため、自己重合反応が起きる結果、経時的に炭素繊維束が硬くなり高次加工性が低下するという問題があった。
また、サイジング剤としてグリシジル基をもつビニル化合物モノマーとエポキシ樹脂用アミン硬化剤との混合物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献12参照。)。しかしながら、この提案の方法では、アミン硬化剤を用いない場合に比べて、接着性の指標である層間剪断強度が向上することが示されているものの、接着性の向上効果はなお不十分であった。また、サイジング剤の乾燥工程でグリシジル基とアミン硬化剤が反応し高分子量化するため、その結果、炭素繊維束が硬くなり高次加工性が低下し、さらに炭素繊維間の空隙が狭くなり樹脂の含浸性が低下するという問題があった。エポキシ系化合物とアミン硬化剤を併用したサイジング剤を用いる方法は、他にも提案されている(特許文献13参照。)。しかしながら、この提案によれば、繊維束の取扱性と含浸性が向上する一方で、炭素繊維表面での高分子量化したサイジング剤の膜形成により、炭素繊維とエポキシマトリックス樹脂との接着が阻害される場合があった。
さらに、アミン化合物を炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献14参照。)。しかしながら、この提案の方法では、何も塗布しない場合に比べて、接着性の指標である層間剪断強度が向上することが示されているものの、接着性の向上効果はなお不十分であった。この提案の中では、接着向上メカニズムの詳細な記載はないが、おおよそ次のメカニズムと推定している。すなわち、この提案において、アミン化合物として、1級アミノ基を含むジエチレントリアミン、キシレンジアミン、2級アミノ基を含むピペリジン、イミダゾールが用いられているが、いずれも、分子内に活性水素を含むため、この活性水素がエポキシマトリックス樹脂に作用し、硬化反応を促進するものと考えられ、例えば、エポキシマトリックスと前記アミン化合物の反応により生成した水酸基と炭素繊維表面のカルボキシル基および水酸基等と水素結合性の相互作用を形成し接着向上するものと考えられる。しかしながら、前述のとおり、この提案では接着性の向上結果はなお不十分であり、近年の複合材料に求められる要求を満足させるものとはいえない。
さらに、サイジング剤としてアミン化合物を用いた別の例としては、熱硬化性樹脂とアミン化合物の硬化物を用いる方法が提案されている(特許文献15参照。)。この提案において、アミン化合物として、1級アミノ基を含むm−キシレンジアミン、2級アミノ基を含むピペラジンが用いられている。この提案の目的は、アミン化合物に含まれる活性水素とエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂を積極的に反応させ硬化物とすることで、炭素繊維束の集束性、取扱性を向上させるものであった。この炭素繊維束はチョップド用途に限定され、熱可塑性樹脂との溶融混錬後の成形品の接着性に関する力学特性はなお不十分なものであった。
さらに、炭素繊維として、表面酸素濃度O/C、表面水酸基濃度およびカルボキシル基濃度が特定の範囲内であるものを用い、サイジング剤として複数のエポキシ基を有する脂肪族化合物をその炭素繊維に塗布する方法が提案されている(特許文献16参照。)。しかしながら、この提案の方法では、接着性の指標であるEDSが向上することが示されているが、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性の向上効果はやはり不十分であり、また、接着性の向上効果は、特殊な炭素繊維と組み合わせた場合のみに発現されるというように限定されたものであった。
特開平04−361619号公報 特開昭50−059589号公報 特開昭57−171767号公報 特開平07−009444号公報 特開2000−336577号公報 特開昭61−028074号公報 特開平01−272867号公報 特開昭57−128266号公報 特開昭59−009273号公報 特開昭62−033872号公報 特開昭52−059794号公報 特開昭52−045673号公報 特開2005−146429号公報 特開昭52−045672号公報 特開平09−217281号公報 特開平07−279040号公報
そこで本発明の目的は、上記の従来技術における問題点に鑑み、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れ、なおかつ、高次加工性に優れるサイジング剤塗布炭素繊維を提供することにある。
本発明者らは、特定のエポキシ化合物と特定のヒンダードアミン系化合物を特定比率含むサイジング剤を炭素繊維に付着させたところ、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を高められることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、(A)成分として、(A1)分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、および/または、(A2)分子内に1個以上のエポキシ基と、不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも1個以上の官能基を有するエポキシ化合物100質量部、(B)成分として、一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物0.1〜25質量部からなるサイジング剤が付着されてなる、サイジング剤塗布炭素繊維である。
Figure 0005831148
(式中、Rは、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。また、Rは水素、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。)
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の好ましい態様によれば、(A)エポキシ化合物のエポキシ当量が360g/mol未満である。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の好ましい態様によれば、(A)エポキシ化合物が分子内に芳香環を含むものである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の好ましい態様によれば、(A)エポキシ化合物が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかである。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維の好ましい態様によれば、炭素繊維のX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが、0.05〜0.5である。

本発明によれば、(A)特定のエポキシ化合物を主成分とするサイジング剤において、(B)特定のヒンダードアミン系化合物を特定量配合した場合、前記エポキシ化合物と、炭素繊維表面に元来含まれる酸素含有官能基、あるいは、酸化処理により導入されるカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基との間に共有結合形成が促進され、マトリックス樹脂との接着性が大幅に優れる炭素繊維を得ることができる。
以下、更に詳しく、本発明のサイジング剤塗布炭素繊維を実施するための形態について説明をする。
本発明は、(A)成分として、(A1)分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、および/または、(A2)分子内に1個以上のエポキシ基と、不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも1個以上の官能基を有するエポキシ化合物100質量部、(B)成分として、上記一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物0.1〜25質量部からなるサイジング剤が付着されてなる、サイジング剤塗布炭素繊維である。
(A)成分と(B)成分を特定量配合したサイジング剤を炭素繊維に塗布し、特定の条件で熱処理することにより接着性が向上するメカニズムは確かではないが、まず、(B)成分のヒンダードアミン系化合物の中に含まれる3級アミンが本発明で用いられる炭素繊維のカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基の水素イオンを引き抜きアニオン化した後、このアニオン化した官能基と(A)成分に含まれるエポキシ基が求核反応するものと考えられる。これにより、本発明で用いられる炭素繊維とサイジング剤中のエポキシの強固な結合が形成される。一方、マトリックス樹脂との関係においては、(A1)、(A2)それぞれについて、以下のとおりに説明される。
(A1)の場合、本発明で用いられる炭素繊維との共有結合に関与しない残りのエポキシ基がマトリックス樹脂含有官能基と反応し共有結合を形成するか、もしくは、水素結合を形成するものと考えられる。とりわけ、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合に、(A1)のエポキシ基とマトリックス樹脂のエポキシ基の反応、エポキシ樹脂中に含まれるアミン硬化剤を介しての反応により強固な界面が形成できると考えられる。(A2)の場合、(A2)のエポキシ基は本発明で用いられる炭素繊維のカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基と共有結合を形成するが、残りの不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基はマトリックス樹脂に応じて、共有結合や水素結合などの相互作用を形成するものと考えられる。マトリックス樹脂がビニルエステルや不飽和ポリエステルのような不飽和基を有する樹脂であれば、(A2)の不飽和基とマトリックス樹脂の不飽和基がラジカル反応し強固な界面を形成することが可能である。また、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂であれば、(A2)の水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基とマトリックス樹脂のエポキシ基または、アミン硬化剤とエポキシ基が反応してできた水酸基との相互作用により強固な界面を形成できると考えられる。また、マトリックス樹脂がポリアミド、ポリエステルおよび酸変性されたポリオレフィンに代表される熱可塑性樹脂であれば、(A2)の水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基と、これらマトリックス樹脂に含まれるアミド基、エステル基、酸無水物基、末端などのカルボキシル基、水酸基、アミノ基との相互作用により、強固な界面を形成できると考えられる。
すなわち、(A1)の場合における、炭素繊維との共有結合に関与しない残りのエポキシ基が、(A2)の場合における、不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基に相当する機能を有すると考えられる。
本発明において、(A)成分のエポキシ化合物が、3個以上エポキシ基を有するエポキシ樹脂であることが好ましく、4個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であることがより好ましい。(A)成分のエポキシ化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であると、1個のエポキシ基が炭素繊維表面の酸素含有官能基と共有結合を形成した場合でも、残りの2個以上のエポキシ基がマトリックス樹脂と共有結合または水素結合を形成することができ、接着性がさらに向上する。エポキシ基の数の上限は特にないが、10個以上では接着性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量は、360g/mol未満であることが好ましく、より好ましくは270g/mol未満であり、さらに好ましくは180g/mol未満である。エポキシ当量が360g/mol未満であると、高密度で共有結合が形成され、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性がさらに向上する。エポキシ当量の下限は特にないが、90g/mol未満で接着性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)エポキシ化合物が、2種以上の官能基を3個以上有するエポキシ樹脂であることが好ましく、2種以上の官能基を4個以上有するエポキシ樹脂であることがより好ましい。エポキシ化合物が有する官能基は、エポキシ基以外に、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、またはスルホ基から選択されるものが好ましい。(A)エポキシ化合物が、分子内に3個以上のエポキシ基または他の官能基を有するエポキシ樹脂であると、1個のエポキシ基が炭素繊維表面の酸素含有官能基と共有結合を形成した場合でも、残りの2個以上のエポキシ基または他の官能基がマトリックス樹脂と共有結合または水素結合を形成することができ、接着性がさらに向上する。エポキシ基の数の上限は特にないが、10個以上では接着性が飽和する場合がある。
本発明において、(A)成分のエポキシ化合物は、分子内に芳香環を1個以上有することが好ましく、芳香環を2個以上有することがより好ましい。炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料において、炭素繊維近傍のいわゆる界面層は、炭素繊維あるいはサイジング剤の影響を受け、マトリックス樹脂とは異なる特性を有する場合がある。(A)エポキシ化合物が芳香環を1個以上有すると、剛直な界面層が形成され、炭素繊維とマトリックス樹脂との間の応力伝達能力が向上し、繊維強化複合材料の0°引張強度等の力学特性が向上する。芳香環の数の上限は特にないが、10個以上では力学特性が飽和する場合がある。
本発明において、(A1)エポキシ化合物は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかであることが好ましい。これらのエポキシ樹脂は、エポキシ基数が多く、エポキシ当量が小さく、かつ、2個以上の芳香環を有しており、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を向上させることに加え、繊維強化複合材料の0°引張強度等の力学特性を向上させる。2官能以上のエポキシ樹脂は、より好ましくは、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。
本発明において、(A1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の具体例としては、例えば、ポリオールから誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、複数活性水素を有するアミンから誘導されるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸から誘導されるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、および分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化して得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、およびテトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびアラビトールと、エピクロロヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂も例示される。また、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、およびビフェニルアラルキル骨格を有するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂も例示される。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。
さらに、例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂として、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、および4−アミノ−3−メチルフェノールのアミノフェノール類の水酸基とアミノ基の両方を、エピクロロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、およびダイマー酸を、エピクロロヒドリンと反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂が挙げられる。
分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化させて得られるエポキシ樹脂としては、例えば、分子内にエポキシシクロヘキサン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。さらに、このエポキシ樹脂としては、エポキシ化大豆油が挙げられる。
本発明に使用する(A1)エポキシ化合物として、これらのエポキシ樹脂以外にも、トリグリシジルイソシアヌレートのようなエポキシ樹脂が挙げられる。さらには、上に挙げたエポキシ樹脂を原料として合成されるエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリレンジイソシアネートからオキサゾリドン環生成反応により合成されるエポキシ樹脂が挙げられる。
本発明において、(A2)1個以上のエポキシ基と、不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも1個以上の官能基を有するエポキシ化合物の具体例として、例えば、エポキシ基と不飽和基を有する化合物、エポキシ基と水酸基を有する化合物、エポキシ基とアミド基を有する化合物、エポキシ基とイミド基を有する化合物、エポキシ基とウレタン基を有する化合物、エポキシ基とウレア基を有する化合物、エポキシ基とスルホニル基を有する化合物、エポキシ基とスルホ基を有する化合物が挙げられる。
エポキシ基と不飽和基を有する化合物としては、例えば、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デカンおよびビスフェノールAジグリシジルエーテルと酢酸ビニルによる付加反応により合成されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ基と水酸基を有する化合物としては、例えば、ソルビトール型ポリグリシジルエーテルおよびグリセロール型ポリグリシジルエーテル等が挙げられ、具体的にはデナコール(商標登録)EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−313、EX−314およびEX−321(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ基とアミド基を有する化合物としては、例えば、グリシジルベンズアミド、アミド変性エポキシ樹脂等が挙げられる。アミド変性エポキシはジカルボン酸アミドのカルボキシル基に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることによって得ることができる。
エポキシ基とイミド基を有する化合物としては、例えば、グリシジルフタルイミド等が挙げられる。具体的には“デナコール(商標登録)”EX−731(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ基とウレタン基を有する化合物としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂が挙げられ、具体的には“アデカレジン(商標登録)”EPU−78−13S、EPU−6、EPU−11、EPU−15、EPU−16A、EPU−16N、EPU−17T−6、EPU−1348およびEPU−1395(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。または、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテルの末端水酸基に、その水酸基量に対する反応当量の多価イソシアネートを反応させ、次いで得られた反応生成物のイソシアネート残基に多価エポキシ樹脂内の水酸基と反応させることによって得ることができる。ここで、用いられる多価イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
エポキシ基とウレア基を有する化合物としては、例えば、ウレア変性エポキシ樹脂等が挙げられる。ウレア変性エポキシはジカルボン酸ウレアのカルボキシル基に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることによって得ることができる。
エポキシ基とスルホニル基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールS型エポキシ等が挙げられる。
エポキシ基とスルホ基を有する化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸グリシジルおよび3−ニトロベンゼンスルホン酸グリシジル等が挙げられる。
本発明で用いられる(B)は、分子量が100g/mol以上である3級アミン化合物および/または3級アミン塩であることが必要である。
本発明において用いられる、(B)の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物は、分子内に3級アミンを有するため、この3級アミンが炭素繊維のカルボキシル基および水酸基等の酸素含有官能基の水素イオンを引き抜きアニオン化した後、このアニオン化した官能基と(A)に含まれるエポキシ基が求核反応し、強固な界面が形成されると考えられる。また、3級アミンの隣の炭素原子に結合しているメチル基は、分子構造の立体障害が適度に小さいため反応促進効果が高くなり、接着性が向上する。
また、本発明で用いられる(B)の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物は、プロトン供与体で中和した塩を用いてもよい。ここで、プロトン供与体とは、3級アミノ基を有する化合物にプロトンとして供与できる活性水素を有する化合物のことをさす。なお、活性水素とは、塩基性の化合物にプロトンとして供与される水素原子のことをさす。
プロトン供与体としては、無機酸、カルボン酸、スルホン酸およびフェノール類などの有機酸、アルコール類、メルカプタン類および1,3−ジカルボニル化合物などが挙げられる。
無機酸の具体例としては、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸およびアミド硫酸等が挙げられる。中でも、硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸が好ましく用いられる。
カルボン酸類としては、脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、S含有ポリカルボン酸、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸および芳香族モノカルボン酸に分類され、以下の化合物が挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ペンチルマロン酸、ヘキシルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、メチルプロピルマロン酸、メチルブチルマロン酸、エチルプロピルマロン酸、ジプロピルマロン酸、メチルコハク酸、エチルコハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−メチル−3−エチルグルタル酸、3,3−ジエチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸等が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸およびピロメリット酸等が挙げられる。
S含有ポリカルボン酸の具体例としては、チオジプロピオン酸等が挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、酒石酸およびひまし油脂肪酸等が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、サリチル酸、マンデル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、オクチル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデカン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびオレイン酸等が挙げられる。
芳香族モノカルボン酸の具体例としては、安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸、トルイル酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、イソブチル安息香酸、第2ブチル安息香酸、第3ブチル安息香酸、メトキシ安息香酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、イソプロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、イソブトキシ安息香酸、第2ブトキシ安息香酸、第3ブトキシ安息香酸、アミノ安息香酸、N−メチルアミノ安息香酸、N−エチルアミノ安息香酸、N−プロピルアミノ安息香酸、N−イソプロピルアミノ安息香酸、N−ブチルアミノ安息香酸、N−イソブチルアミノ安息香酸、N−第2ブチルアミノ安息香酸、N−第3ブチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジエチルアミノ安息香酸、ニトロ安息香酸およびフロロ安息香酸等が挙げられる。
以上のカルボン酸類のうち、芳香族ポリカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、芳香族カルボン酸が好ましく用いられ、具体的には、フタル酸、ギ酸、オクチル酸が好ましく用いられる。
スルホン酸としては、脂肪族スルホン酸と芳香族スルホン酸に分類でき、以下の化合物が挙げられる。
脂肪族スルホン酸の中でも、1価の飽和脂肪族スルホン酸の具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、イソプロピルスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソブチルスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、ペンタンスルホン酸、イソペンチルスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トリデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、n−オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸およびセチルスルホン酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸は不飽和脂肪族スルホン酸であってもよく、不飽和脂肪族スルホン酸の具体例としては、エチレンスルホン酸および1−プロペン−1−スルホン酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸の中でも、2価以上の脂肪族スルホン酸の具体例としては、メチオン酸、1,1−エタンジスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、1,1−プロパンジスルホン酸、1,3−プロパンジスルホン酸およびポリビニルスルホン酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸は水酸基を有するオキシ脂肪族スルホン酸であってもよく、オキシ脂肪族スルホン酸の具体例としては、イセチオン酸および3−オキシ−プロパンスルホン酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸はスルホ粗暴族カルボン酸エステルであってもよく、スルホ脂肪族カルボン酸の具体例としては、スルホ酢酸およびスルホコハク酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸の中でも、スルホ脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸等が挙げられる。
脂肪族スルホン酸はフルオロスルホン酸であってもよく、フルオロスルホン酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロプロパンスルホン酸、パーフルオロイソプロピルスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロイソブチルスルホン酸、パーフルオロt−ブチルスルホン酸、パーフルオロペンタンスルホン酸、パーフルオロイソペンチルスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロノナンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロウンデカンスルホン酸、パーフルオロドデカンスルホン酸、パーフルオロトリデカンスルホン酸、パーフルオロテトラデカンスルホン酸、パーフルオロn−オクチルスルホン酸、パーフルオロドデシルスルホン酸およびパーフルオロセチルスルホン酸等が挙げられる。
芳香族スルホン酸の中でも、1価の芳香族スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、o−キシレン−4−スルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−プロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−ドデシルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−イソプロピルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、t−ブチルナフタレンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ベンジルスルホン酸およびフェニルエタンスルホン酸等が挙げられる。
芳香族スルホン酸の中でも、2価以上の芳香族スルホン酸の具体例としては、m−ベンゼンジスルホン酸、1,4−ナフタレンジスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸およびスルホン化ポリスチレン等が挙げられる。
芳香族スルホン酸はオキシ芳香族スルホン酸であってもよく、オキシ芳香族スルホン酸の具体例としては、フェノール−2−スルホン酸、フェノール−3−スルホン酸、フェノール−4−スルホン酸、アニソール−o−スルホン酸、アニソール−m−スルホン酸、フェネトール−o−スルホン酸、フェネトール−m−スルホン酸、フェノール−2,4−ジスルホン酸、フェノール−2,4,6−トリスルホン酸、アニソール−2,4−ジスルホン酸、フェネトール−2,5−ジスルホン酸、2−オキシトルエン−4−スルホン酸、ピロカテキン−4−スルホン酸、ベラトロール−4−スルホン酸、レゾルシン−4−スルホン酸、2−オキシ−1−メトキシベンゼン−4−スルホン酸、1,2−ジオキシベンゼン−3,5−ジスルホン酸、レゾルシン−4,6−ジスルホン酸、ヒドロキノンスルホン酸、ヒドロキノン−2,5−ジスルホン酸および1,2,3−トリオキシベンゼン−4−スルホン酸等が挙げられる。
芳香族スルホン酸はスルホ芳香族カルボン酸であってもよく、スルホ芳香族カルボン酸の具体例としては、o−スルホ安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、2,4−ジスルホ安息香酸、3−スルホフタル酸、3,5−ジスルホフタル酸、4−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸、2−メチル−4−スルホ安息香酸、2−メチル−3、5−ジスルホ安息香酸、4−プロピル−3−スルホ安息香酸、2,4,6−トリメチル−3−スルホ安息香酸、2−メチル−5−スルホテレフタル酸、5−スルホサリチル酸および3−オキシ−4−スルホ安息香酸等が挙げられる。
芳香族スルホン酸はチオ芳香族スルホン酸であってもよく、チオ芳香族スルホン酸の具体例としては、チオフェノールスルホン酸、チオアニソール−4−スルホン酸およびチオフェネトール−4−スルホン酸等が挙げられる。
芳香族スルホン酸の中でも、その他官能基を有する具体例としては、ベンズアルデヒド−o−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2,4−ジスルホン酸、アセトフェノン−o−スルホン酸、アセトフェノン−2,4−ジスルホン酸、ベンゾフェノン−o−スルホン酸、ベンゾフェノン−3,3'−ジスルホン酸、4−アミノフェノール−3−スルホン酸、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、アントラキノン−1,8−ジスルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸および2−メチルアントラキノン−1−スルホン酸等が挙げられる。
以上のスルホン酸類のうち、1価の芳香族スルホン酸が好ましく用いられ、具体的には、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸およびm−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。
また、フェノール類としては、1分子中に1個の活性水素を含むものの具体例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ジメチルフェノール、メチル−tert−ブチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ニトロフェノール、メトキシフェノールおよびサリチル酸メチル等が挙げられる。
1分子中に2個の活性水素を含むフェノール類の具体例としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、メチルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、ベンジルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン、メチル−tert−ブチルヒドロキノン、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、メチルレゾルシノール、tert−ブチルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ジメチルレゾルシノール、メチル−tert−ブチルレゾルシノール、ジ−tert−ブチルレゾルシノール、トリメチルレゾルシノール、メトキシレゾルシノール、メチルカテコール、tert−ブチルカテコール、ベンジルカテコール、フェニルカテコール、ジメチルカテコール、メチル−tert−ブチルカテコール、ジ−tert−ブチルカテコール、トリメチルカテコール、メトキシカテコール、ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチルビフェニル等のビフェノール類、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチルビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチルビスフェノールF、ビスフェノールAD、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールAD、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチルビスフェノールADが挙げられる。
さらに、1分子内の2個の活性水素を含むフェノール類として、下記の構造式(II)〜(VIII)で示されるビスフェノール類等、テルペンフェノール、構造式(IX)、(X)で示される化合物等が挙げられる。
さらに、1分子中に3個の活性水素を含むフェノール類の具体例としては、トリヒドロキシベンゼンおよびトリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。1分子中に4個の活性水素を含むものの具体例としては、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。また、それ以外の具体例として、フェノール、アルキルフェノールおよびハロゲン化フェノール等のフェノール類のノボラックが挙げられる。
以上のフェノール類のうち、フェノールおよびフェノールノボラックが好ましく用いられる。
また、アルコール類としては、1分子中に2個の水酸基を含むものが例示され、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,1−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ドデカヒドロビスフェノールA、構造式(XI)で表されるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、構造式(XII)で表されるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、構造式(XIII)で表されるドデカヒドロビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、構造式(XIV)で表されるドデカヒドロビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールエタンおよびトリメチロールプロパン等が挙げられる。また、1分子中に4個の水酸基を含むアルコール類の具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
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また、メルカプタン類としては、1分子中に1個の活性水素を含むメルカプタン類が例示され、例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、1−ペンタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、ベンジルメルカプタン、ベンゼンチオール、トルエンチオール、クロロベンゼンチオール、ブロモベンゼンチオール、ニトロベンゼンチオールおよびメトキシベンゼンチオール等が挙げられる。
1分子中に2個の活性水素を含むメルカプタン類の具体例としては、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、2,2’−オキシジエタンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,3−シクロヘキサンジチオール、1,4−シクロヘキサンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオールおよび1,4−ベンゼンチオール等が挙げられる。
また、1,3−ジカルボニル化合物類としては、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、4,6−ノナンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、2−メチル−1,3−シクロペンタンジオン、2−エチル−1,3−シクロペンタンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオン、2−エチル−シクロヘキサンジオン、1,3−インダンジオン、アセト酢酸エチルおよびマロン酸ジエチル等が挙げられる。
本発明の上記一般式(I)のRは、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。炭素数を1〜22の間にすることで、分子構造の立体障害が適度に小さく反応促進効果が高くなり、接着性が向上する。より好ましくは1〜14の範囲内であり、さらに好ましくは1〜8の範囲内である。一方、炭素数が22を超える場合、分子構造の立体障害がやや大きく反応促進効果が低くなる場合がある。
本発明の上記一般式(I)のRは、水素、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。
ここで、炭素数1〜22の炭化水素基とは、炭素原子と水素原子のみからなる基であり、飽和炭化水素基および不飽和炭化水素基のいずれでも良く、環構造を含んでも含まなくても良い。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ドコシル基、ベンジル基およびフェニル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素基は、炭化水素基中のCH基が−O−CO−または−CO−O−により置換されたものであってもよい。炭素数1〜22の炭化水素基中のCH基が−O−CO−または−CO−O−により置換された場合の例としては、例えば、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、アセトキシプロピル基、アセトキシブチル基、メタクリロイルオキシエチル基およびベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素基は、炭化水素基中のCH基が−O−CO−または−CO−O−により置換されたものであってもよい。炭素数1〜22の炭化水素基中のCH基が−O−CO−または−CO−O−により置換された場合の例としては、例えば、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、アセトキシプロピル基、アセトキシブチル基、メタクロイルオキシエチル基およびベンゾイルオキシエチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
また、炭素数1〜22の炭化水素基は、水酸基を有していてもよく、炭素数1〜22の炭化水素基が水酸基を有する場合の例としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシオレイル基およびヒドロキシドコシル基等が挙げられる。
本発明において用いられる、(B)成分の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物の具体例としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)(例えば、LA−52(ADEKA社製))、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(例えば、LA−72(ADEKA社製)、TINUVIN765(BASF社製)))、炭酸=ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシピペリジン−4−イル)(例えば、LA−81(ADEKA社製))、メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(例えば、LA−82(ADEKA社製))、マロン酸−2−((4−メトキシフェニル)メチレン)、1,3−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、Chimassorb119、2−ドデシル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)スクシン−イミド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸1−ヘキサデシル2,3,4−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸1,2,3−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)4−トリデシル、デカン二酸1−メチル10−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、4−(エテニルオキシ)−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、2−((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)−2−ブチルプロパン二酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−メタノール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−エタノール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−プロパノール、LA−63P(ADEKA社製)、LA−68(ADEKA社製)、TINUVIN622LD(BASF社製)、TINUVIN144(BASF社製)などが挙げられる。
これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で用いても良いし、複数種を併用しても良い。
本発明で用いられるサイジング剤においては、(A)成分のエポキシ化合物100質量部に対して、(B)成分の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物を0.1〜25質量部配合することが必要であり、0.5〜20質量部配合することが好ましく、2〜15質量部配合することがより好ましく、2〜8質量部配合することがさらに好ましい。配合量が0.1質量部未満であると、(A)成分のエポキシ化合物と炭素繊維表面の酸素含有官能基との間の共有結合形成が促進されず、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。一方、配合量が25質量部より多いと、(B)成分の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物が炭素繊維表面を覆い、共有結合形成が阻害され、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる。
本発明において、サイジング剤は、(A)成分のエポキシ化合物と、(B)成分の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物以外の成分を1種類以上含んでも良い。例えば、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、高級アルコール、多価アルコール、アルキルフェノール、およびスチレン化フェノール等にポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイドが付加した化合物、およびエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロック共重合体等のノニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。また、本発明の効果に影響しない範囲で、適宜、ポリエステル樹脂、および不飽和ポリエステル化合物等を添加してもよい。
本発明において、サイジング剤を溶媒で希釈して用いることができる。このような溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、およびジメチルアセトアミドが挙げられるが、なかでも、取扱いが容易であり、安全性の観点から有利であることから、水が好ましく用いられる。
本発明において、サイジング剤の付着量は、炭素繊維100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜3質量部の範囲である。サイジング剤の付着量が0.1質量部以上であると、炭素繊維をプリプレグ化および製織する際に、通過する金属ガイド等による摩擦に耐えることができ、毛羽発生が抑えられ、炭素繊維シートの平滑性などの品位が優れる。一方、サイジング剤の付着量が10質量部以下であると、炭素繊維束周囲のサイジング剤膜に阻害されることなくエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂が炭素繊維束内部に含浸され、得られる複合材料においてボイド生成が抑えられ、複合材料の品位が優れ、同時に機械物性が優れる。
本発明において、炭素繊維に塗布され乾燥されたサイジング剤層の厚さは、2〜20nmの範囲内で、かつ、厚さの最大値が最小値の2倍を超えないことが好ましい。このような厚さの均一なサイジング剤層により、安定して大きな接着性向上効果が得られ、さらには、安定して高次加工性が優れる。
本発明において、サイジング剤を塗布する炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系およびピッチ系の炭素繊維が挙げられる。なかでも、強度と弾性率のバランスに優れたPAN系炭素繊維が好ましく用いられる。
次に、PAN系炭素繊維の製造方法について説明する。
炭素繊維の前駆体繊維を得るための紡糸方法としては、湿式、乾式および乾湿式等の紡糸方法を用いることができる。なかでも、高強度の炭素繊維が得られやすいという観点から、湿式あるいは乾湿式紡糸方法を用いることが好ましい。紡糸原液には、ポリアクリロニトリルのホモポリマーあるいは共重合体の溶液や懸濁液等を用いることができる。
上記の紡糸原液を口金に通して紡糸、凝固、水洗、延伸して前駆体繊維とし、得られた前駆体繊維を耐炎化処理と炭化処理し、必要によってはさらに黒鉛化処理をすることにより炭素繊維を得る。炭化処理と黒鉛化処理の条件としては、最高熱処理温度が1100℃以上であることが好ましく、より好ましくは1400〜3000℃である。
本発明において、強度と弾性率の高い炭素繊維を得られるという観点から、細繊度の炭素繊維が好ましく用いられる。具体的には、炭素繊維の単繊維径が、7.5μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましく、さらには5.5μm以下であることが好ましい。単繊維径の下限は特にないが、4.5μm以下では工程における単繊維切断が起きやすく生産性が低下する場合がある。
得られた炭素繊維は、マトリックス樹脂との接着性を向上させるために、通常、酸化処理が施され、酸素含有官能基が導入される。酸化処理方法としては、気相酸化、液相酸化および液相電解酸化が用いられるが、生産性が高く、均一処理ができるという観点から、液相電解酸化が好ましく用いられる。
本発明において、液相電解酸化で用いられる電解液としては、酸性電解液およびアルカリ性電解液が挙げられる。
酸性電解液としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、ホウ酸、および炭酸等の無機酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、アクリル酸、およびマレイン酸等の有機酸、または硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウム等の塩が挙げられる。なかでも、強酸性を示す硫酸と硝酸が好ましく用いられる。
アルカリ性電解液としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウム等の水酸化物の水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸アンモニウム等の炭酸塩の水溶液、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウムおよび炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩の水溶液、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびヒドラジンの水溶液等が挙げられる。なかでも、マトリックス樹脂の硬化阻害を引き起こすアルカリ金属を含まないという観点から、炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウムの水溶液、あるいは、強アルカリ性を示す水酸化テトラアルキルアンモニウムの水溶液が好ましく用いられる。
本発明において、(A)エポキシ化合物と、炭素繊維表面の酸素含有官能基との共有結合形成が促進され、接着性がさらに向上するという観点から、酸化処理の後、炭素繊維をアルカリ性水溶液で洗浄することが好ましい。なかでも、酸性電解液で液相電解処理し続いてアルカリ性水溶液で洗浄することが好ましい。
本発明において用いられる電解液の濃度は、0.01〜5モル/リットルの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1モル/リットルの範囲内である。電解液の濃度が0.01モル/リットル以上であると、電解処理電圧が下げられ、運転コスト的に有利になる。一方、電解液の濃度が5モル/リットル以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において用いられる電解液の温度は、10〜100℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜40℃の範囲内である。電解液の温度が10℃以上であると、電解処理の効率が向上し、運転コスト的に有利になる。一方、電解液の温度が100℃以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において、液相電解酸化における電気量は、炭素繊維の炭化度に合わせて最適化することが好ましく、高弾性率の炭素繊維に処理を施す場合、より大きな電気量が必要である。
本発明において、液相電解酸化における電流密度は、電解処理液中の炭素繊維の表面積1m2 当たり1.5〜1000アンペア/m2 の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜500アンペア/m2 の範囲内である。電流密度が1.5アンペア/m2以上であると、電解処理の効率が向上し、運転コスト的に有利になる。一方、電流密度が1000アンペア/m2以下であると、安全性の観点から有利になる。
本発明において、(A)エポキシ化合物と、炭素繊維表面の酸素含有官能基との共有結合形成が促進され、接着性がさらに向上するという観点から、酸化処理の後、炭素繊維をアルカリ性水溶性で洗浄することが好ましい。なかでも、酸性電解液で液相電解処理し続いてアルカリ性水溶液で洗浄することが好ましい。
本発明において、洗浄に用いられるアルカリ性水溶液のpHは、7〜14の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10〜14の範囲内である。アルカリ性水溶液としては、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウム等の水酸化物の水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸アンモニウム等の炭酸塩の水溶液、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウムおよび炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩の水溶液、アンモニア、水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびヒドラジンの水溶液等が挙げられる。なかでも、マトリックス樹脂の硬化阻害を引き起こすアルカリ金属を含まないという観点から、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムの水溶液、あるいは、強アルカリ性を示す水酸化テトラアルキルアンモニウムの水溶液が好ましく用いられる。
本発明において、炭素繊維をアルカリ性水溶液で洗浄する方法としては、例えば、ディップ法とスプレー法を用いることができる。なかでも、洗浄が容易であるという観点から、ディップ法を用いることが好ましく、さらには、炭素繊維を超音波で加振させながらディップ法を用いることが好ましい態様である。
本発明において、炭素繊維を電解処理またはアルカリ性水溶液で洗浄した後、水洗および乾燥することが好ましい。この場合、乾燥温度が高すぎると炭素繊維の最表面に存在する官能基は熱分解により消失し易いため、できる限り低い温度で乾燥することが望ましく、具体的には乾燥温度が好ましくは250℃以下、さらに好ましくは210℃以下で乾燥することが好ましい。
サイジング剤の炭素繊維への付与(塗布)手段としては、例えば、ローラを介してサイジング液に炭素繊維を浸漬する方法、サイジング液の付着したローラに炭素繊維を接する方法、サイジング液を霧状にして炭素繊維に吹き付ける方法などがある。また、サイジング剤の付与手段は、バッチ式と連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ましく用いられる。この際、炭素繊維に対するサイジング剤有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング液濃度、温度および糸条張力などをコントロールすることが好ましい。また、サイジング剤付与時に、炭素繊維を超音波で加振させることも好ましい態様である。
本発明においては、炭素繊維にサイジング剤を塗布した後、160〜260℃の温度範囲で30〜600秒間熱処理することが好ましい。熱処理条件は、より好ましくは170〜250℃の温度範囲で30〜500秒間であり、さらに好ましくは180〜240℃の温度範囲で30〜300秒間である。熱処理条件が、160℃未満および/または30秒未満であると、サイジング剤のエポキシ樹脂と炭素繊維表面の酸素含有官能基との間の共有結合形成が促進されにくく、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる場合がある。一方、熱処理条件が、260℃を超えるおよび/または600秒を超える場合、3級アミン化合物および/または3級アミン塩の揮発が起きて、共有結合形成が促進されにくく、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が不十分となる場合がある。
また、前記熱処理は、マイクロ波照射および/または赤外線照射で行うことも可能である。マイクロ波照射および/または赤外線照射により炭素繊維を加熱処理した場合、マイクロ波が炭素繊維内部に侵入し、吸収されることにより、短時間に被加熱物である炭素繊維を所望の温度に加熱できる。また、マイクロ波照射および/または赤外線照射により、炭素繊維内部の加熱も速やかに行うことができるため、炭素繊維束の内側と外側の温度差を小さくすることができ、サイジング剤の接着ムラを小さくすることが可能となる。
本発明において、得られた炭素繊維束のストランド強度が、3.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは4GPa以上であり、さらに好ましくは5GPaである。また、得られた炭素繊維束のストランド弾性率が、220GPa以上であることが好ましく、より好ましくは240GPa以上であり、さらに好ましくは280GPa以上である。
本発明において、上記の炭素繊維束のストランド引張強度と弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求めることができる。樹脂処方としては、“セロキサイド(登録商標)”2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、130℃、30分を用いる。炭素繊維束のストランド10本を測定し、その平均値をストランド引張強度およびストランド弾性率とした。
本発明において、炭素繊維としては、X線光電子分光法により測定されるその繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度(O/C)が、0.05〜0.50の範囲内であるものが好ましく、より好ましくは0.06〜0.30の範囲内のものであり、さらに好ましくは0.07〜0.20の範囲内ものである。表面酸素濃度(O/C)が0.05以上であることにより、炭素繊維表面の酸素含有官能基を確保し、マトリックス樹脂との強固な接着を得ることができる。また、表面酸素濃度(O/C)が0.5以下であることにより、酸化による炭素繊維自体の強度の低下を抑えることができる。
炭素繊維の表面酸素濃度は、X線光電子分光法により、次の手順に従って求めたものである。まず、溶剤で炭素繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した炭素繊維を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてAlKα1、2 を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を、1202eVに合わせる。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
ここで、表面酸素濃度とは、上記のO1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出したものである。X線光電子分光法装置として、アルバック・ファイ(株)製ESCA−1600を用い、上記装置固有の感度補正値は2.33であった。
続いて、本発明のサイジング剤塗布炭素繊維を使用した複合材料について説明する。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シアネートエステル樹脂およびビスマレイミド樹脂等が挙げられる。なかでも、機械特性のバランスに優れ、硬化収縮が小さいという利点を有するため、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。靱性等を改良する目的で、熱硬化性樹脂に、後述する熱可塑性樹脂あるいはそれらのオリゴマーを含ませることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、酸変性ポリエチレン(m−PE)、酸変性ポリプロピレン(m−PP)、酸変性ポリブチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンスルフィド樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルニトリル(PEN);ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;液晶ポリマー(LCP)」等の結晶性樹脂、「ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、未変性または変性されたポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート(PAR)」等の非晶性樹脂;フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、さらにポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマー、フッ素系樹脂およびアクリロニトリル系エラストマー等の各種熱可塑エラストマー等、これらの共重合体および変性体等から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。中でも、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケントン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂およびポリオレフィン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であれば、(A1)および/または(A2)との相互作用が大きく、強固な界面を形成できるため好ましい。なお、熱可塑性樹脂としては、本発明の目的を損なわない範囲で、これらの熱可塑性樹脂を複数種含む熱可塑性樹脂組成物が用いられても良い。
次に、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合の複合材料について説明する。
本発明の炭素繊維の製造方法により得られた炭素繊維は、例えば、トウ、織物、編物、組み紐、ウェブ、マットおよびチョップド等の形態で用いられる。特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、炭素繊維が一方向に引き揃えたトウが最も適しており、さらに、マトリックス樹脂を含浸したプリプレグが好ましく用いられる。
前記のプリプレグは、マトリックス樹脂をメチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、炭素繊維をマトリックス樹脂の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、また、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したマトリックス樹脂を直接強化繊維に含浸させる方法、またはマトリックス樹脂から作成したコーティングフィルムを一旦離型紙等の上に載置しておき、次いで炭素繊維の両側又は片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため好ましい方法である。
得られたプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながらマトリックス樹脂を加熱硬化させる方法等により、複合材料が作製される。ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、パッキング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用される。複合材料は、プリプレグを介さず、マトリックス樹脂を直接炭素繊維の含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、レジン・インジェクション・モールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によっても作製することができる。これら方法では、マトリックス樹脂の主剤と硬化剤の2液を使用直前に混合して樹脂調製することが好ましい。
次に、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合の複合材料について説明する。
マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた複合材料は、例えば、射出成形(射出圧縮成形、ガスアシスト射出成形およびインサート成形など)、ブロー成形、回転成形、押出成形、プレス成形、トランスファー成形およびフィラメントワインディング成形などの成形方法によって成形されるが、生産性の観点から射出成形が好ましく用いられる。
かかる成形に用いられる成形材料の形態としては、ペレット、スタンパブルシートおよびプリプレグ等を使用することができるが、最も好ましい成形材料は、射出成形に用いられるペレットである。前記のペレットは、一般的には、熱可塑性樹脂とチョップド繊維もしくは連続繊維を押出機中で混練し、押出、ペレタイズすることによって得られたものをさす。前述のペレットは、ペレット長手方向の長さより、ペレット中の繊維長さの方が短くなるが、ペレットには、長繊維ペレットも含まれる。長繊維ペレットとは、特公昭63−37694号公報に記載されているような、繊維がペレットの長手方向に、ほぼ平行に配列し、ペレット中の繊維長さが、ペレット長さと同一もしくはそれ以上であるものをさす。この場合、熱可塑性樹脂は繊維束中に含浸されていても、被覆されていてもよい。特に熱可塑性樹脂が被覆された長繊維ペレットの場合、繊維束には被覆されたものと同じか、あるいは被覆された樹脂よりも低粘度(もしくは低分子量)の樹脂が、予め含浸されていてもよい。
複合材料が、優れた導電性と力学的特性(特に、強度や耐衝撃性)を兼ね備えるためには、成形品中の繊維長さを長くすることが有効であるが、そのためには、前述のペレットの中でも長繊維ペレットを用いて成形することが好ましい。
本発明のサイジング剤塗布炭素繊維と熱硬化性樹脂および、または熱可塑性樹脂からなる複合材料の用途としては、例えば、パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器の筐体およびトレイやシャーシなどの内部部材やそのケース、機構部品、パネルなどの建材用途、モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラーおよび各種モジュールなどの自動車、二輪車関連部品、部材および外板やランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェアリング、リブなどの航空機関連部品、部材および外板、風車の羽根などが挙げられる。特に、航空機部材、風車の羽根、自動車外板および電子機器の筐体およびトレイやシャーシなどに好ましく用いられる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
<炭素繊維束のストランド引張強度と弾性率>
炭素繊維束のストランド引張強度とストランド弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求めた。樹脂処方としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、温度125℃、時間30分を用いた。炭素繊維束のストランド10本を測定し、その平均値をストランド引張強度およびストランド弾性率とした。
<炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)>
炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)は、次の手順に従いX線光電子分光法により求めた。まず、溶媒で表面に付着している汚れを除去した炭素繊維を、約20mmにカットし、銅製の試料支持台に拡げる。次に、試料支持台を試料チャンバー内にセットし、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。続いて、X線源としてAlKα1、2 を用い、光電子脱出角度を90°として測定を行った。なお、測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積を、K.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。また、O1sピーク面積を、K.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。ここで、表面酸素濃度とは、上記のO1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出したものである。X線光電子分光法装置として、アルバック・ファイ(株)製ESCA−1600を用い、上記装置固有の感度補正値は2.33であった。
<サイジング付着量の測定方法>
約2gのサイジング付着炭素繊維束を秤量(W1)(少数第4位まで読み取り)した後、50ミリリットル/分の窒素気流中、450℃の温度に設定した電気炉(容量120cm3)に15分間放置し、サイジング剤を完全に熱分解させる。そして、20リットル/分の乾燥窒素気流中の容器に移し、15分間冷却した後の炭素繊維束を秤量(W2)(少数第4位まで読み取り)して、W1−W2によりサイジング付着量を求める。このサイジング付着量を炭素繊維束100質量部に対する量に換算した値(小数点第3位を四捨五入)を、付着したサイジング剤の質量部とした。測定は2回おこない、その平均値をサイジング剤の質量部とした。
<界面剪断強度(IFSS)の測定>
界面剪断強度(IFSS)の測定は、次の(イ)〜(ニ)の手順でおこなう。
(イ)樹脂の調製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂化合物“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)100質量部とメタフェニレンジアミン(シグマアルドリッチジャパン(株)製)14.5質量部を、それぞれ容器に入れる。その後、上記のjER828の粘度低下とメタフェニレンジアミンの溶解のため、75℃の温度で15分間加熱をおこなう。その後、両者をよく混合し、80℃の温度で約15分間真空脱泡をおこなう。
(ロ)炭素繊維単糸を専用モールドに固定
炭素繊維束から単繊維を抜き取り、ダンベル型モールドの長手方向に単繊維に一定張力を与えた状態で両端を接着剤で固定する。その後、炭素繊維およびモールドに付着した水分を除去するため、80℃の温度で30分間以上真空乾燥をおこなう。ダンベル型モールドはシリコーンゴム製で、注型部分の形状は、中央部分巾5mm、長さ25mm、両端部分巾10mm、全体長さ150mmである。
(ハ)樹脂注型から硬化まで
上記(ロ)の手順の真空乾燥後のモールド内に、上記(イ)の手順で調製した樹脂を流し込み、オーブンを用いて、昇温速度1.5℃/分で75℃の温度まで上昇し2時間保持後、昇温速度1.5分で125℃の温度まで上昇し2時間保持後、降温速度2.5℃/分で30℃の温度まで降温する。その後、脱型して試験片を得る。
(ニ)界面剪断強度(IFSS)の測定
上記(ハ)の手順で得られた試験片に繊維軸方向(長手方向)に引張力を与え、歪みを12%生じさせた後、偏光顕微鏡により試験片中心部22mmの範囲における繊維破断数N(個)を測定する。次に、平均破断繊維長laを、la(μm)=22×1000(μm)/N(個)の式により計算する。次に、平均破断繊維長laから臨界繊維長lcを、lc(μm)=(4/3)×la(μm)の式により計算する。ストランド引張強度σと炭素繊維単糸の直径dを測定し、炭素繊維と樹脂界面の接着強度の指標である界面剪断強度IFSSを、次式で算出する。実施例では、測定数n=5の平均を試験結果とした。
・界面剪断強度IFSS(MPa)=σ(MPa)×d(μm)/(2×lc)(μm)。
各実施例および各比較例で用いた材料と成分は、下記のとおりである。
・(A1)成分:A−1〜A−7
A−1:“jER(登録商標)”152(三菱化学(株)製)
フェノールノボラックのグリシジルエーテル
エポキシ当量:175g/mol、エポキシ基数:3
A−2:“EPICLON(登録商標)”N660(DIC(株)製)
クレゾールノボラックのグリシジルエーテル
エポキシ当量:206g/mol、エポキシ基数:4.3
A−3:“アラルダイト(登録商標)”MY721(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
エポキシ当量:113g/mol、エポキシ基数:4
A−4:“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製)
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
エポキシ当量:189g/mol、エポキシ基数:2
A−5:“jER(登録商標)”1001(三菱化学(株)製)
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル
エポキシ当量:475g/mol、エポキシ基数:2
A−6:“デナコール(登録商標)”EX−810(ナガセケムテックス(株)製)
エチレングリコールのジグリシジルエーテル
エポキシ当量:113g/mol、エポキシ基数:2
A−7:TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)
テトラグリシジルメタキシレンジアミン
エポキシ当量:100g/mol、エポキシ基数:4。
・(A1)成分、(A2)成分の両方に該当:A−8
A−8:“デナコール(登録商標)”EX−611(ナガセケムテックス(株)製)
ソルビトールポリグリシジルエーテル
エポキシ当量:167g/mol、エポキシ基数:4
水酸基数:2。
・(A2)成分:A−9、A−10
A−9:“デナコール(登録商標)”EX−731(ナガセケムテックス(株)製)
N−グリシジルフタルイミド
エポキシ当量:216g/mol、エポキシ基数:1
イミド基数:1
A−10:“アデカレジン(登録商標)”EPU−6((株)ADEKA製)
ウレタン変性エポキシ
エポキシ当量:250g/mol、エポキシ基数:1以上
ウレタン基:1以上。
・(B)成分:B−1〜B−4
B−1:TINUVIN765(BASF社製)
セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)
B−2:LA−52(ADEKA社製)
ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)
B−3:4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(東京化成工業(株)製)
B−4:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール(和光純薬工業(株)製)。
(実施例1)
本実施例は、次の第Iの工程および第IIの工程からなる。
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
アクリロニトリル99モル%とイタコン酸1モル%からなる共重合体を紡糸し、焼成し、総フィラメント数24、000本、総繊度1,000テックス、比重1.8、ストランド引張強度6.2GPa、ストランド引張弾性率300GPaの炭素繊維を得た。次いで、その炭素繊維を、濃度0.1モル/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を電解液として、電気量を炭素繊維1g当たり100クーロンで電解表面処理した。この電解表面処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の温度の加熱空気中で乾燥し、原料となる炭素繊維を得た。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.20であった。これを炭素繊維Aとした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
前記の(A−1)と前記の(B−1)を質量比100:1で混合し、さらにアセトンを混合し、サイジング剤が均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このサイジング剤のアセトン溶液を用い、浸漬法によりサイジング剤を表面処理された炭素繊維に塗布した後、200℃の温度で120秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維束を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて、界面剪断強度(IFSS)を測定した。結果を表1にまとめた。この結果、IFSSが38MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。
(実施例2〜5)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)と(B−1)の質量比を表1に示すように、100:3〜100:20の範囲で変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが36〜40MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。なかでも、(A−1)と(B−1)の質量比が100:3と100:6の場合において、接着性が極めて優れるものであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが25MPaであり、接着性が不十分であることがわかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様とした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例1の第IIの工程で、(A−1)と(B−1)の質量比を100:30に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが20MPaであり、接着が不十分であることがわかった。結果を表1に示す。
Figure 0005831148
(実施例6〜14)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様にした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
表2に示すように、(A)成分を(A−2)〜(A−10)、(B)成分を(B−1)にした以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対していずれも1質量部であった。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが32〜38MPaであり、いずれも接着性が十分に高いことがわかった。結果を表3に示す。
(比較例3〜6)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様にした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
表2に示すように、(A−4)のみ、(A−8)のみ、(A−9)のみ、(A−10)のみを用いた以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対してそれぞれ1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが23〜27MPaであり、接着性が不十分であることがわかった。結果を表3に示す。
Figure 0005831148
(実施例15〜17)
・第I工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例1と同様にした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
表3に示すように、(A)成分として(A−1)、(B)成分として(B−2)〜(B−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対してそれぞれ1質量部に調整した。続いて、得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した。結果を表3にまとめた。この結果、IFSSが38〜41MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。
(実施例18)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
電解液として濃度0.05モル/lの硫酸水溶液を用い、電気量を炭素繊維1g当たり20クーロンで電解表面処理したこと以外は、実施例1と同様とした。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.20であった。これを炭素繊維Bとした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例6と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが34MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。結果を表3に示す。
(実施例19)
・第Iの工程:原料となる炭素繊維を製造する工程
実施例18で得られた炭素繊維Bをテトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(pH=14)に浸漬し、超音波で加振させながら引き上げた。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.17であった。これを炭素繊維Cとした。
・第IIの工程:サイジング剤を炭素繊維に付着させる工程
実施例6と同様の方法でサイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して1質量部に調整した。得られたサイジング剤塗布炭素繊維を用いて界面剪断強度(IFSS)を測定した結果、IFSSが37MPaであり、接着性が十分に高いことがわかった。結果を表3に示す。
Figure 0005831148

Claims (5)

  1. (A)成分として、(A1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、および/または、(A2)1個以上のエポキシ基と、不飽和基、水酸基、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、スルホニル基、およびスルホ基から選ばれる、少なくとも1個以上の官能基を有するエポキシ化合物100質量部、(B)成分として、次の一般式(I)を有するヒンダードアミン系化合物0.1〜25質量部からなるサイジング剤が付着されてなる、サイジング剤塗布炭素繊維。
    Figure 0005831148
    (式中、Rは、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。また、Rは水素、水酸基または炭素数1〜22の炭化水素基を表し、該炭化水素基は水酸基を有していてもよく、該炭化水素基中のCH基は、−O−、−O−CO−または−CO−O−により置換されていてもよい。)
  2. (A)成分のエポキシ化合物のエポキシ当量が360g/mol未満である、請求項1に記載のサイジング剤塗布炭素繊維。
  3. (A)成分のエポキシ化合物が分子内に芳香環を含むものである、請求項1または2のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維。
  4. (A)成分のエポキシ化合物が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維。
  5. 炭素繊維のX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度O/Cが、0.05〜0.5である、請求項1〜4のいずれかに記載のサイジング剤塗布炭素繊維。
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