JP2015132025A - 炭素繊維集束剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素繊維の集束性に優れ、かつ曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供する。
【解決手段】モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するアクリル樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有する炭素繊維集束剤であって、前記アクリル樹脂(A)が、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものであることを特徴とする炭素繊維集束剤を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するアクリル樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有する炭素繊維集束剤であって、前記アクリル樹脂(A)が、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものであることを特徴とする炭素繊維集束剤を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、炭素繊維の集束に使用可能な炭素繊維集束剤に関するものである。
高強度で優れた耐久性の求められる自動車部材や航空機部材等としては、例えばビニルエステル樹脂等のマトリックス樹脂と、炭素繊維やガラス繊維等とを含む繊維強化プラスチックが従来より使用されている。
前記繊維強化プラスチックに使用する炭素繊維としては、通常、高強度を付与する観点から、繊維集束剤によって概ね数千〜数万程度に集束された繊維束を使用することが多い。
前記繊維集束剤としては、例えばエポキシ樹脂と、所定のビスフェノール化合物のアルキレンオキシド付加物及びポリエチレングリコール等をポリイソシアネート化合物で縮合して得られたビスフェノール系ポリエーテル化合物とを所定の割合で含有するエポキシ樹脂水分散物からなる繊維集束剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記特許文献1に記載されたようなエポキシ樹脂水分散物からなる繊維集束剤は、それを用いて集束された繊維束の巻き取りや製織工程において、繊維束の解れや毛羽立ち、糸切れを引き起こす場合があり、その結果、集束された繊維束の生産性及び最終的に得られる成形品の生産性を著しく低下させる場合があった。
また、繊維集束剤は、単に繊維の集束性に優れるだけでは不十分であり、最終的に集束された炭素繊維束に応力が加わった場合であっても、糸切れ等を引き起こすことがないよう、その応力を緩和できることが求められる。この点が、繊維集束剤と接着剤との決定的な相違点である。そのため、前記繊維集束剤の代わりに、従来知られる接着剤を用いた場合、一見、繊維の集束性に優れるようにみえる場合もあるが、繊維束の巻き取りや製織工程において、繊維束に応力が加わった場合に、繊維の解れや毛羽立ち、糸切れが生じ、その結果、集束された繊維束の生産性を著しく低下させる場合があった。
また、前記集束性に優れた繊維集束剤であっても、マトリックス樹脂との相溶性が十分でない繊維束では、最終的に得られる繊維強化プラスチックに優れた機械的強度、具体的には曲げ強度等を付与できない場合がある。よって、前記したような繊維束は、高強度の求められる成形品の製造に使用することができない場合があった。
本発明が解決しようとする課題は、炭素繊維の集束性に優れ、かつ曲げ強度をはじめとする強度に優れた成形品の製造に使用可能な繊維集束剤を提供することである。
本発明者等は前記課題を解決すべく検討した結果、特定の単量体を重合して得られる特定の官能基濃度を有するアクリル樹脂、及び、水性媒体を含有する炭素繊維集束剤が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するアクリル樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有する炭素繊維集束剤であって、前記アクリル樹脂(A)が、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものであることを特徴とする炭素繊維集束剤に関するものである。
本発明の炭素繊維集束剤は、炭素繊維の集束性に優れることから、炭素繊維の繊維集束剤に使用することができる。
また、前記炭素繊維集束剤を用いて集束した繊維束とマトリックス樹脂とを用いて得られる成形品は、屈曲した場合や引張した場合、強い衝撃を受けた場合であっても、割れ等を引きこさないレベルの機械的強度を備えることから、例えば自動車や航空機の部材、家電製品の部品や風力発電部材をはじめとする様々な用途で使用することができる。
本発明の炭素繊維集束剤は、モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するアクリル樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有する炭素繊維集束剤であって、前記アクリル樹脂(A)が、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものである。なお、本発明において「(メタ)アクリル」の表記は、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれか一方または両方を表すものである。
まず、前記アクリル樹脂(A)について説明する。前記アクリル樹脂(A)は、前記官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するが、炭素繊維の集束性を向上し、かつ、最終的に得られる成形品の曲げ強度を向上するうえで、3〜7mmol/gの範囲で有することが好ましい。
また、前記アクリル樹脂(A)は、より一層優れた強度を備えた成形品を得るうえで、5,000〜150,000の範囲の重量平均分子量を有するものであることが好ましく、10,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものであることがより好ましい。なお、前記重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された値を指す。
前記アクリル樹脂(A)は、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものである。
前記1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。なお、これらの単量体(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの単量体(a2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記アミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、より優れた集束性を有し、かつ、成形品に優れた強度を付与可能な炭素繊維集束剤を得るうえでN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらの単量体(a3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記単量体(a1)、前記単量体(a2)及び前記単量体(a3)は、優れた集束性を備え、前記成形品に優れた強度を付与可能な炭素繊維集束剤を得るうえで、前記単量体混合物(a)の全量に対して、合計20〜80質量%の範囲であることが好ましく、合計30〜70の範囲であることがより好ましい。
前記アクリル樹脂(A)の製造に使用可能な単量体混合物(a)は、前記単量体(a1)、前記単量体(a2)及び前記単量体(a3)の他に、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する単量体を含有することができる。
前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、繊維に対してより一層優れた集束性を有し、かつ、最終的に得られる成形品により一層優れた強度を付与するうえで、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
前記アルキル(メタ)アクリレートは、繊維に対してより一層優れた集束性を有し、かつ、最終的に得られる成形品により一層優れた強度を付与するうえで、前記単量体混合物(a)の全量に対して、20〜80質量%の範囲であることが好ましく、30〜70質量%の範囲であることがより好ましい。
また、前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロメチルスチレン、酢酸ビニル等のビニル単量体が挙げられる。
また、前記その他の重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸グリセリン等が挙げられる。
前記その他の重合性不飽和基を有する単量体は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記アクリル樹脂(A)は、前記単量体混合物(a)を、例えば有機溶剤中で、重合開始剤存在下、概ね60〜140℃の温度で加熱しラジカル重合することによって製造することができる。
前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンのような芳香族溶剤;シクロへキサノンのような脂環族溶剤;ノルマル酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤;イソブタノール、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、ソルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン等を使用することができる。これらの溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などが挙げられる。これらの重合体開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記重合開始剤は、前記アクリル樹脂(A)の原料となる単量体の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。
本発明の炭素繊維集束剤は、前記方法で得られたアクリル樹脂(A)が水性媒体(B)に溶解または分散したものであることが好ましい。
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル;N-メチル−2−ピロリドン等のラクタム等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみを使用することが特に好ましい。
前記アクリル樹脂(A)を水性媒体(B)に溶解または分散する方法としては、前記アクリル樹脂(A)と前記水性媒体(B)とを混合する方法、前記アクリル樹脂(A)を中和したものと、前記水性媒体(B)とを混合する方法等が挙げられる。
前記アクリル樹脂(A)の水性媒体への溶解性及び分散性が良好となることから、前記アクリル樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合は、塩基性化合物により中和することが好ましく、前記アクリル樹脂(A)がアミノ基を有する場合は、酸性化合物により中和することが好ましい。
前記塩基性化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール等の有機アミン;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも有機アミンおよびアンモニア(アンモニア水でもよい。)を使用することが好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記酸性化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸または乳酸等のカルボン酸化合物;燐酸モノメチルエステル、燐酸ジメチルエステル等の燐酸のモノエステルまたはジエステル;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸化合物;塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸などである。これらの中でも、カルボン酸化合物が好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記方法で得られた本発明の炭素繊維集束剤は、良好な塗工作業性等を付与する観点から、前記炭素繊維集束剤の全量に対して前記アクリル樹脂(A)を2〜80質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、5〜70質量%の範囲で含有するものを使用することがより好ましい。
また、前記炭素繊維集束剤は、良好な塗工作業性等を付与する観点から、前記炭素繊維集束剤の全量に対して前記水性媒体(B)を15〜95質量%の範囲で含有するものを使用することが好ましく、25〜90質量%の範囲で含有するものを使用することがより好ましい。
前記炭素繊維集束剤は、必要に応じて硬化剤、硬化触媒、潤滑剤、充填剤、チキソ付与剤、粘着付与剤、ワックス、熱安定剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、発泡剤等の添加剤、pH調整剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、分散安定剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機充填剤、有機充填剤、可塑剤、補強剤、触媒、抗菌剤、防カビ剤、防錆剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、顔料、染料、導電性付与剤、帯電防止剤、透湿性向上剤、撥水剤、撥油剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、難燃剤、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、顔料分散剤、ブロッキング防止剤、加水分解防止剤、顔料を併用することができる。
また、前記炭素繊維集束剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリル−ブタジエン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース等の各種樹脂を含有していてもよい。
前記方法で得られた本発明の炭素繊維集束剤は、炭素繊維の繊維集束剤に使用することができる。
前記繊維集束剤を用いて処理可能な炭素繊維としては、一般にポリアクリロニトリル系、ピッチ系等の炭素繊維を使用することができる。なかでも、前記炭素繊維としては、優れた強度を付与する観点から、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維を使用することが好ましい。
また、前記炭素繊維としては、より一層優れた強度等を付与する観点から、0.5〜20μmの単糸径を有するものを使用することが好ましく、2〜10μmのものを使用することがより好ましい。
前記炭素繊維としては、例えば撚糸、紡糸、紡績加工、不織加工したものを使用することができる。また、前記炭素繊維としてはフィラメント、ヤーン、ロービング、ストランド、チョップドストランド、フェルト、ニードルパンチ、クロス、ロービングクロス、ミルドファイバー等のものを使用することができる。
前記炭素繊維を前記繊維集束剤を用いて集束化し、前記繊維束の表面に、前記繊維集束剤に含まれる前記アクリル樹脂(A)からなる皮膜を形成する方法としては、例えば、前記繊維集束剤をキスコーター法、ローラー法、浸漬法、スプレー法、刷毛などその他公知の方法で、前記繊維表面に均一に塗布し、次いで常温または加熱下で乾燥等することによって形成する方法が挙げられる。前記繊維集束剤に含まれる水性媒体(B)は、前記塗布後に加熱ローラーや熱風、熱板等を用いて、加熱乾燥することが好ましい。
前記繊維材料の表面に形成された皮膜の付着量は、集束化され表面処理の施された繊維束の全質量に対して概ね0.1質量%〜3質量%であることが好ましく、0.1〜1.5質量%であることがより好ましい。
前記方法で得られた集束化され表面処理の施された炭素繊維は、後述するマトリックス樹脂(C)等と組み合わせ使用することによって、高強度な成形品を製造するための成形材料に使用することができる。
特に、本発明の炭素繊維集束剤によって表面処理の施された炭素繊維は、マトリックス樹脂(C)と組み合わせ使用し成形品等を形成した際に、前記炭素繊維とマトリックス樹脂(C)との界面の密着性を著しく向上できるため、成形品の強度を向上することが可能である。
前記マトリックス樹脂(C)としては、例えば熱硬化性樹脂(C1)または熱可塑性樹脂(C2)を使用することができる。
前記熱硬化性樹脂(C1)としてはフェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
前記熱可塑性樹脂(C2)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル樹脂;ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、6−ナイロン、6,6−ナイロン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアセタール等を使用することができる。
前記マトリックス樹脂(C)としては、前記したなかでも、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、及び、ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。前記ポリアミド樹脂としては、具体的には、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂に使用することが好ましい。
前記表面処理の施された繊維束と前記マトリックス樹脂(C)と、必要に応じて重合性単量体等とを含む成形材料としては、例えば、前記表面処理された繊維束を裁断して得られるチョップドストランドと前記マトリックス樹脂(C)とを溶融混練して得られる成形材料、前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(C2)とを含有する成形材料をはじめ、一般にプリプレグ、シートモールディングコンパウンド(SMC)として知られる成形材料が挙げられる。
前記表面処理された繊維束を裁断して得られるチョップドストランドと前記マトリックス樹脂(C)とを溶融混練して得られる成形材料を製造する際には、前記マトリックス樹脂(C)としてオレフィン樹脂、アミド樹脂を使用することが好ましい。
また、前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(C2)とを含有する成形材料は、例えば金型等を用いて前記チョップドストランドと前記熱可塑性樹脂(C2)とをプレスし賦形したものが挙げられる。これは、さらに射出成型法等に供することによって二次加工し、所望の形状を備えた成形品の製造に使用することができる。
また、前記プリプレグは、例えば前記マトリックス樹脂(C)を離型紙上に塗布し、その塗布面に表面処理の施された繊維束を載置し、必要に応じてローラー等を用いて押圧含浸する方法が挙げられる。
前記プリプレグを製造する際には、前記マトリックス樹脂(C)として、エポキシ樹脂を使用することが好ましい。前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を使用することが好ましい。
また、前記シートモールディングコンパウンドは、例えば前記マトリックス樹脂(C)と、スチレン等の重合性不飽和単量体との混合物を、前記表面処理の施された繊維に十分含浸し、シート状に加工等することによって製造することができる。前記シートモールディングコンパウンドを製造する際には、前記マトリックス樹脂(C)として、不飽和ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
前記成形材料の硬化は、例えば加圧または常圧下、加熱または光照射しラジカル重合させることによって進行する。かかる場合には、公知の熱硬化剤や光硬化剤等を組み合わせ使用することができる。
前記成形材料を用いて得られた成形品は、高強度であることから、炭素繊維強化プラスチック等として、例えば自動車部材や航空機部材、産業用部材等に使用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって、より具体的に説明する。
〔実施例1〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール60質量部を仕込み、75℃に昇温した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール60質量部を仕込み、75℃に昇温した。
次に、メタクリル酸60質量部、メチルアクリレート40質量部、V−59(和光純薬株式会社製、アゾ系重合開始剤)1.6質量部及びメチルエチルケトン15質量部の混合物を、前記4つ口フラスコ内に、2時間かけて滴下し、73〜77℃の範囲で反応させた。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を75℃に調整し、120分間ホールドした後、温度を50℃に下げ、25質量%アンモニア水47.4質量部、及びイオン交換水250質量部を添加した。
次に、前記4つ口フラスコを、温度80℃及び減圧(0.080〜0.095MPa)条件下で、60分かけて脱溶剤することによって、不揮発分23質量%、pH7.0、粘度280mPa・s、重量平均分子量3.5万の水性アクリル樹脂組成物からなる炭素繊維集束剤(1)を得た。
〔実施例2〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール60質量部を仕込み、75℃に昇温した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール60質量部を仕込み、75℃に昇温した。
次に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70質量部、メチルアクリレート30質量部、V−59(和光純薬株式会社製、アゾ系重合開始剤)1.6質量部及びメチルエチルケトン15質量部の混合物を、前記4つ口フラスコ内に、2時間かけて滴下し、73〜77℃の範囲で反応させた。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を75℃に調整し、120分間ホールドした後、温度を50℃に下げ、イオン交換水300質量部を添加した。
次に、前記4つ口フラスコを、温度80℃及び減圧(0.080〜0.095MPa)条件下で、60分かけて脱溶剤することによって、不揮発分23質量%、pH7.0、粘度3500mPa・s、重量平均分子量3.0万の水性アクリル樹脂組成物からなる炭素繊維集束剤(2)を得た。
〔実施例3〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン45質量部を仕込み、75℃に昇温した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、メチルエチルケトン45質量部を仕込み、75℃に昇温した。
次に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート60質量部、メチルアクリレート40質量部、V−59(和光純薬株式会社製、アゾ系重合開始剤)1.6質量部及びメチルエチルケトン15質量部の混合物を、前記4つ口フラスコ内に、2時間かけて滴下し、73〜77℃の範囲で反応させた。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を75℃に調整し、120分間ホールドした後、温度を50℃に下げ、乳酸34.0質量部及びイオン交換水300質量部を添加した。
次に、前記4つ口フラスコを、温度80℃及び減圧(0.080〜0.095MPa)条件下で、60分かけて脱溶剤することによって、不揮発分25質量%、pH7.2、粘度39mPa・s、重量平均分子量5.5万の水性アクリル樹脂組成物からなる炭素繊維集束剤(3)を得た。
〔比較例1〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにシクロヘキサノン65質量部を仕込み、80℃に昇温した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにシクロヘキサノン65質量部を仕込み、80℃に昇温した。
次に、NKエステルM−230G(新中村化学工業株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート) 30質量部、メチルアクリレート70質量部、V−59(和光純薬株式会社製、アゾ開始剤)1.6質量部、シクロヘキサノン15質量部の混合物を、前記4つ口フラスコ内に、2時間かけて滴下し、77℃〜83℃の範囲で反応させた。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を80℃に調整し、120分間ホールドした後、温度を50℃に下げ、イオン交換水250質量部を添加した。
次に、前記4つ口フラスコを、温度80℃及び減圧(0.080〜0.095MPa)条件下で、60分かけて脱溶剤することによって、不揮発分20.7質量%、pH3.9、粘度40mPa・s、重量平均分子量5.5万の水性アクリル樹脂組成物からなる炭素繊維集束剤(R−1)を得た。
〔比較例2〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにシクロヘキサノン65質量部を仕込み、80℃に昇温した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコにシクロヘキサノン65質量部を仕込み、80℃に昇温した。
次に、NKエステルM−230G(新中村化学工業株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート) 30質量部、メタクリル酸10質量部、メチルアクリレート60質量部、V−59(和光純薬株式会社製、アゾ開始剤)1.6質量部、シクロヘキサノン15質量部の混合物を、前記4つ口フラスコ内に、2時間かけて滴下し、77〜83℃の範囲で反応させた。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を80℃に調整し、120分間ホールドした後、温度を50℃に下げ、イオン交換水250質量部を添加した。
次に、前記4つ口フラスコを、温度80℃及び減圧(0.080〜0.095MPa)条件下で、60分かけて脱溶剤することによって、不揮発分20.7質量%、pH5.5、粘度300mPa・s、重量平均分子量6.0万の水性アクリル樹脂組成物からなる炭素繊維集束剤(R−2)を得た。
〔比較例3〕
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAが有する2個の水酸基に、それぞれエチレンオキサイドが2モル付加した化合物404質量部、3フッ化ホウ素エーテラート(付加反応促進剤)1.2質量部、ハイドロキノンエチルエーテル(重合抑制剤)2質量部を仕込み、40℃〜50℃に調整した後、グリシジルメタクリレート284質量部を30分かけて滴下した。
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ビスフェノールAが有する2個の水酸基に、それぞれエチレンオキサイドが2モル付加した化合物404質量部、3フッ化ホウ素エーテラート(付加反応促進剤)1.2質量部、ハイドロキノンエチルエーテル(重合抑制剤)2質量部を仕込み、40℃〜50℃に調整した後、グリシジルメタクリレート284質量部を30分かけて滴下した。
次に、前記4つ口フラスコ内の温度を50℃に調整し1時間撹拌した後、水酸化カリウム水溶液を供給し中和することによって、炭素繊維集束剤(R−3)を得た。
[アクリル樹脂の重量平均分子量の測定]
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
[繊維集束剤の評価方法]
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(直径7μm/6000本)のノーサイズ糸を束ね、前記で得た炭素繊維集束剤を浸漬法で含浸し、ローラーで絞ることで有効成分の付着量を1質量%に調整し、ついで、150℃で30分間熱処理することによって、前記繊維集束剤によって表面処理の施された(集束された)炭素繊維束(炭素繊維ストランド)を得た。
ポリアクリロニトリル系炭素繊維(直径7μm/6000本)のノーサイズ糸を束ね、前記で得た炭素繊維集束剤を浸漬法で含浸し、ローラーで絞ることで有効成分の付着量を1質量%に調整し、ついで、150℃で30分間熱処理することによって、前記繊維集束剤によって表面処理の施された(集束された)炭素繊維束(炭素繊維ストランド)を得た。
〔炭素繊維の集束性の評価方法1〕
TM式摩擦抱合力試験機TM−200(大栄科学精機社製)を用い、ジグザグに配置した鏡面クロムメッキステンレス針3本を介して50gの張力で、炭素繊維ストランドを1000回擦過させ(往復運動速度300回/分)、炭素繊維ストランドの毛羽たちの状態を下記の基準で目視判定した。
TM式摩擦抱合力試験機TM−200(大栄科学精機社製)を用い、ジグザグに配置した鏡面クロムメッキステンレス針3本を介して50gの張力で、炭素繊維ストランドを1000回擦過させ(往復運動速度300回/分)、炭素繊維ストランドの毛羽たちの状態を下記の基準で目視判定した。
◎:擦過前と同じく毛羽発生が全く見られなかった。
○:数本の毛羽は見られたものの、実用上問題ないレベルであった。
△:毛羽立ちが確認でき、糸切れも若干見られた。
×:毛羽立ち及び単糸の糸切れが非常に多く確認できた。
○:数本の毛羽は見られたものの、実用上問題ないレベルであった。
△:毛羽立ちが確認でき、糸切れも若干見られた。
×:毛羽立ち及び単糸の糸切れが非常に多く確認できた。
〔炭素繊維の集束性の評価方法2〕
前記炭素繊維ストランドを、約5mmの長さに裁断することによって炭素繊維チョップドストランドを作製した。
前記炭素繊維ストランドを、約5mmの長さに裁断することによって炭素繊維チョップドストランドを作製した。
前記炭素繊維チョップドストランド50個を抽出し、それらを目視で観察した。具体的には、50個全ての炭素繊維チョップドストランドで、炭素繊維のほぐれや毛羽立ち等がみられなかったものを「◎」、1〜5個の炭素繊維チョップドストランドで、炭素繊維のほぐれや毛羽立ち等がみられたものを「○」、6〜30個の炭素繊維チョップドストランドで、炭素繊維のほぐれや毛羽立ち等がみられたものを「△」、31〜50個の炭素繊維チョップドストランドで、炭素繊維のほぐれや毛羽立ち等がみられたものを「×」と評価した。
〔炭素繊維強化プラスチックの機械的強度(曲げ強度)の評価方法〕
前記で得た炭素繊維ストランドを、6−ナイロン樹脂ペレット(汎用射出成型グレード)とを、炭素繊維質量含有率が30質量%となるように二軸押し出し混錬機にてコンパウンドし、3mmΦ×3mm長のコンパウンドペレットに加工した。
前記で得た炭素繊維ストランドを、6−ナイロン樹脂ペレット(汎用射出成型グレード)とを、炭素繊維質量含有率が30質量%となるように二軸押し出し混錬機にてコンパウンドし、3mmΦ×3mm長のコンパウンドペレットに加工した。
コンパウンドペレットを射出成型し、150mm各×3.1mm厚の平板からなる炭素繊維強化プラスチックを作成した。前記平板から10mm幅×90mm長×3.1mm厚の曲げ試験板を5つ切り出し、JIS K7171に準拠して3点曲げ試験(スパン/厚さ比=20、試験速度5mm/分)を実施し、曲げ強度を測定した。前記曲げ強度は、概ね150MPa以上であることが好ましく、170MPa以上であることが特に好ましい。
表1中の「M−230G」は、NKエステルM−230G(新中村化学工業株式会社製、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)を表す。「V−59」は、V−59(和光純薬工業株式会社製の重合開始剤、2,2’−アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を表す。「重量平均分子量」は、アクリル樹脂の重量平均分子量を表す。
本発明の炭素繊維集束剤である実施例1〜3のものは、炭素繊維の集束性に優れ、これらを含有する炭素繊維強化プラスチックは、機械的強度(曲げ強度)に優れることが確認された。
一方、比較例1は、炭素繊維集束剤の成分であるアクリル樹脂中に、モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基のいずれの官能基も有さない例であるが、得られる炭素繊維強化プラスチックの機械的強度(曲げ強度)が不十分であることが確認された。
比較例2は、炭素繊維集束剤の成分であるアクリル樹脂が有する、モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基の濃度が、2〜10mmol/gの範囲外である例であるが、得られる炭素繊維強化プラスチックの機械的強度(曲げ強度)が不十分であることが確認された。
比較例3は、エポキシ樹脂水分散物からなる炭素繊維集束剤あるが、炭素繊維の集束性が劣り、得られる炭素繊維強化プラスチックの機械的強度(曲げ強度)が不十分であることが確認された。
Claims (3)
- モノカルボン酸由来のカルボキシル基、水酸基、及びアミノ基からなる群より選ばれる1種以上の官能基(X)を2〜10mmol/gの範囲で有するアクリル樹脂(A)、及び、水性媒体(B)を含有する炭素繊維集束剤であって、前記アクリル樹脂(A)が、1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル単量体(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(a2)、及びアミノ基を有する(メタ)アクリル単量体(a3)からなる群より選ばれる1種以上を含有する単量体混合物(a)を重合して得られるものであることを特徴とする炭素繊維集束剤。
- 前記単量体(a1)と前記単量体(a2)と前記単量体(a3)との合計が、前記単量体混合物(a)の全量に対して、20〜80質量%の範囲である請求項1に記載の炭素繊維集束剤。
- 前記単量体混合物(a)が、炭素原子数1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを含有するものである請求項1又は2に記載の炭素繊維集束剤。
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2014
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