JP2005145031A - 熱可塑性樹脂成形物 - Google Patents

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誠司 沢田
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賢一 小林
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淳一 鈴木
Masashi Koide
昌史 小出
Kunihiko Ozaki
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Abstract

【課題】 透明性、紫外線遮蔽性、表面平滑性、ガスバリア性を有する熱可塑性樹脂成形物を提供すること。
【解決手段】 平均粒径が0.01〜0.06μm、アスペクト比が0.2〜1.0の非針状であるα−酸化第二鉄を、多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆して成る表面処理α−酸化第二鉄(A)と、
分散剤(B)としてオキシカルボン酸金属塩(B1)又は高級脂肪酸金属塩(B2)と、熱可塑性樹脂とを含有する紫外線遮蔽成形物の表面に、
ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有してなるガスバリア層を有する熱可塑性樹脂成形物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性、紫外線遮蔽性、ガスバリア(気体遮断)性、表面平滑性を有する熱可塑性樹脂成形物に関する。
熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐候性に優れコスト的にも安価であるため、フィルム、中空成形体等の各種成形物に使用されている。特にポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の縮合型熱可塑性樹脂は、透明性、意匠性、軽量性等の有利な特性を生かしてガラス瓶にかわり食品包装、化粧品包装容器等への用途が増加している。
ビール用、酒類用等のガラス瓶は褐色系の色相を有している。ポリエステル樹脂製ボトルの着色には、製品への溶出性、耐熱性を考慮し、一般に微粒子酸化鉄と称される平均粒径0.1μm以下のα−酸化第二鉄が使用されている(特許文献1)。特にビール容器は内容物安定のため、420nm以下の紫外線領域において96%以上、550nm付近の可視光領域において70%を超える遮蔽が必要とされる。すなわち光線透過率でいうと、420nm以下の紫外線領域において4%未満、及び550nm付近の可視光領域において30%以下でないと内容物保護の点で問題があった。しかし、上記α−酸化第二鉄では生産工程における凝集等の問題があり分散性が悪く不充分であった。
また、比較的凝集がしにくいα−酸化第二鉄粒子についての技術も開示されている(特許文献2)が、上記特性を満足することは困難であった。
更に、一般に熱可塑性樹脂の成形物はガスバリア性が悪く、内容物を劣化させるという問題もあった。解決する手段として成形物に炭素膜を被覆する技術がある(特許文献3、特許文献4)が、ガスバリア性は十分であるものの紫外線遮蔽においては不十分であった。また、特許文献1に開示の微粒子酸化鉄は熱凝集性が高いため、加工成形時に顔料凝集が起こり、透明性の低下、ブツの発生により外観不良が発生すると共に、微粒子酸化鉄周囲に空隙ができガスバリア性が不十分であった。
特公平5−81623号公報 特開平8−59398号公報 特開平8−53116号公報 特開2000−309324号公報
本発明は熱可塑性樹脂成形物、詳しくは透明性、紫外線遮蔽性、ガスバリア性、表面平滑性に優れる熱可塑性樹脂成形物の提供を目的とする。
本発明の第1の発明は、平均粒径が0.01〜0.06μm、アスペクト比が0.2〜1.0の非針状であるα−酸化第二鉄を、多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆して成る表面処理α−酸化第二鉄(A)と、分散剤(B)としてオキシカルボン酸金属塩(B1)又は高級脂肪酸金属塩(B2)と、熱可塑性樹脂とを含有する紫外線遮蔽成形物の表面に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有してなるガスバリア層を有する熱可塑性樹脂成形物である。
第2の発明は、オキシカルボン酸金属塩(B1)が12−ヒドロキシステアリン酸金属塩である第1の発明に記載の熱可塑性樹脂成形物である。
第3の発明は、多価アルコールまたはオルガノポリシロキサンが、表面処理α−酸化第二鉄(A)全体に対してそれぞれ0.01〜10重量%である第1又は第2の発明に記載の熱可塑性樹脂成形物である。
第4の発明は、多価アルコールが、トリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンである第1〜第3の発明いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物である。
第5の発明は、オルガノポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンまたはメチル水素ポリシロキサンである第1〜第4の発明いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物である。
第6の発明は、熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である第1〜第5の発明いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物である。
本発明の熱可塑性樹脂成形物は、平均粒径が0.01〜0.06μm、アスペクト比が0.2〜1.0の非針状であるα−酸化第二鉄を、多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆して成る表面処理α−酸化第二鉄(A)と、分散剤(B)としてオキシカルボン酸金属塩(B1)又は高級脂肪酸金属塩(B2)と、熱可塑性樹脂とを含有する紫外線遮蔽成形物の表面に、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有してなるガスバリア層を有するので、表面処理α−酸化第二鉄(A)が良好に分散でき、透明性、表面平滑性、紫外線遮蔽性、ガスバリア性を有する。
また、オキシカルボン酸金属塩(B1)が12−ヒドロキシステアリン酸金属塩であるので、更に表面処理α−酸化第二鉄(A)が良好に分散でき、透明性の高い樹脂成形物が得られる。
また、多価アルコールまたはオルガノポリシロキサンが、表面処理α−酸化第二鉄(A)全体に対してそれぞれ0.01〜10重量%なので、分散性に優れる。
また、多価アルコールが、トリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンであるので、表面処理α−酸化第二鉄(A)が凝集せずに更に分散性に優れる。
また、オルガノポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンまたはメチル水素ポリシロキサンであるので、表面処理α−酸化第二鉄(A)が凝集せずに更に分散性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂成形物における熱可塑性樹脂はポリエステル樹脂なので、透明性を有し、延伸性、表面平滑性に優れる。
本発明における紫外線遮蔽成形物は、表面処理α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)と熱可塑性樹脂とを含有する。
<表面処理α−酸化第二鉄(A)>
表面処理α−酸化第二鉄(A)は、α−酸化第二鉄を、多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆して成るものである。
本発明で用いられるα−酸化第二鉄は、平均粒径0.01〜0.06μmであり、好ましくは0.03〜0.05μmである。平均粒径が0.01μm未満の場合は粒子凝集、分散不良が発生するおそれがあり、0.06μmを超える場合は成形物の表面粗さが大きくなりすぎ、表面平滑性、透明性の低下、α−酸化第二鉄の凝集による成形物の外観不良のおそれがある。ここで平均粒径とは、短径、長径の平均を粒径として粒度分布の最大値を示した値をいう。
また、本発明で用いられるα−酸化第二鉄は、アスペクト比0.2〜1.0の非針状のものであり、特開平8−59398号公報に開示されている方法により得ることが出来る。ここでアスペクト比とは、電子顕微鏡観察による短径と長径の比(短径/長径)をいう。透明性、分散性が良好な成形物を得るためには、真球状(短径/長径=1.0)が最も好ましい。
<α−酸化第二鉄の表面処理剤>
本発明において、α−酸化第二鉄の表面処理剤として多価アルコールとオルガノポリシロキサンが共に用いられる。
多価アルコールによるα−酸化第二鉄の表面処理は、粒子表面の低極性化及び粒子の再凝集防止を目的とする。
多価アルコールの具体例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール等のアルキレングリコールやジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールやグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、イノシトール、ポリビニルアルコール等の多価アルコールが挙げられる。好ましくはトリメチロールプロパン(TMP)、トリメチロールエタン(TME)が挙げられる。これらの多価アルコールは一種類、または二種類以上混合して使用できる。
オルガノポリシロキサンによるα−酸化第二鉄の表面処理は、粒子表面の疎水化、粒子と樹脂との濡れ性の向上、樹脂分子量低下を抑制し、物性の保持を目的とする。
オルガノポリシロキサンの具体例としてはジメチルポリシロキサンやメチル水素ポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及び各種変性ポリシロキサン等のポリジメチルシロキサン、アルコール変性ポリシロキサン、エーテル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等を用いることができる。これらのオルガノポリシロキサンは1種類、または2種類以上混合して使用できる。メチル水素ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンが好ましい。
また、上記例示したメチル水素ポリシロキサンは、下記式で表されるものが望ましい。
Figure 2005145031
(式中nは正の整数を表し、12以下であることが好ましい。)
多価アルコールとオルガノポリシロキサンの量は、表面処理α−酸化第二鉄(A)全体に対してそれぞれ0.01〜10重量%が好ましい。10重量%を超えると経済性がない上、製造工程中に多価アルコールやオルガノポリシロキサン自体の分解等が生じる傾向があったり、製造された成形物に発泡やブツ等が生じる場合がある。0.01重量%未満では、酸化鉄表面における多価アルコールやオルガノポリシロキサンの被覆量が充分でなく樹脂への分散不良の傾向があり、成形物において不良な物性を引き起こす場合がある。更に好ましくは0.1〜2重量%、特に好ましくは0.5〜1重量%である。
上記表面処理剤でα−酸化第二鉄を被覆する方法は、湿式処理または乾式処理等の公知の方法を利用することができる。
湿式処理は、水またはエタノール等アルコールの極性溶媒中に、α−酸化第二鉄と表面処理剤を加え浸漬し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高剪断力混合機を用いて均一に混合した後、溶媒を蒸散、乾燥させて除去する方法や、溶剤に表面処理剤を分散または溶解させたものをα−酸化第二鉄に混和させる方法等がある。
湿式処理においては、表面処理中または処理後にα−酸化第二鉄粒子の加熱乾燥工程があると、水分吸着等による含水量が大きく低減できるので好ましい。このようにして得られた低含水量の酸化鉄は樹脂へ混練分散の際に樹脂劣化を抑えるので、樹脂の分子量低下の抑制や成形物における機械物性の保持等様々な利点がある。
乾式処理は、α−酸化第二鉄をマイクロナイザー、ジェットミル等の流体エネルギー粉砕機やスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の攪拌機で粉砕する際に、表面処理剤を添加する。前記流体エネルギー粉砕機における流体として通常は圧縮空気、加熱圧縮空気、スチーム等が用いられる。また、多価アルコールが常温で固体の場合は、溶媒に溶解させた多価アルコール溶液を上記処理工程に使用すればよい。例えば、トリメチロールエタンのエタノール溶液や水エタノール(1:1)溶液等が挙げられる。
α−酸化第二鉄の表面処理において、多価アルコールによる被覆は湿式処理で、オルガノポリシロキサンによる被覆は乾式処理が好ましい。また、表面処理後に、エアーミル等を用いて表面処理工程により凝集した粒子を強解砕すると分散性が更に向上できる。
α−酸化第二鉄の表面処理は、多価アルコールとオルガノポリシロキサン同時でも良いし、または、最初にオルガノポリシロキサン、次に多価アルコールでも良い。
α−酸化第二鉄の粒子凝集の原因のひとつとして水分が挙げられる。α−酸化第二鉄の粒子表面は比較的親水性が高いので、最初に多価アルコールで粒子表面の親水基を被覆処理することにより、その後の工程における水分吸着を防ぐ効果がある。また、多価アルコール処理後のα−酸化第二鉄は加熱乾燥することにより、水分吸着等による含水量を大きく低減することができる。
多価アルコール処理後のα−酸化第二鉄を、疎水性のオルガノポリシロキサンで被覆すると、粒子の再凝集が抑制され分散性が良好な表面処理α−酸化第二鉄(A)が得られる。
また、表面処理α−酸化第二鉄(A)は、ポリエステル等の熱可塑性樹脂と溶融混練する工程においても熱凝集が抑制されるので、紫外線遮蔽成形物中に良好に分散され、成形物における透明性の向上に優れる。
更に、表面処理α−酸化第二鉄(A)の表面水分量が少ないと、加水分解等熱可塑性樹脂への影響を抑制出来るので好ましい。水分量0.3%未満がより好ましい。
尚、上記表面処理剤の被覆量は、所定の被覆量となるように公知の方法で、α−酸化第二鉄の処理重量と表面処理剤の供給濃度または供給流量を変化させることにより調整することが出来る。
<分散剤(B)>
分散剤(B)としては、オキシカルボン酸金属塩(B1)又は高級脂肪酸金属塩(B2)が用いられる。これらは単独で用いることが出来るし、2種以上の併用も出来る。
オキシカルボン酸金属塩(B1)におけるオキシカルボン酸とは、カルボキシル基と水酸基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、脂肪族または芳香族のオキシカルボン酸が挙げられる。オキシカルボン酸金属塩(B1)によりα−酸化第二鉄の分散性が高くなるので透明性の高い成形物が得られると共に、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ乳酸等ポリエステル樹脂等を用いる場合は樹脂の極限粘度(IV)の値が保持できる。IVとは樹脂劣化(加水分解)の状態を示すものであり、値が高いほど樹脂劣化が低いことを示し加工性の点で優れる。
脂肪族オキシカルボン酸としては炭素数10〜30のものが好ましく、例えばα−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシパルミチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラエイコサン酸、α−ヒドロキシヘキサエイコサン酸、α−ヒドロキシオクタエイコサン酸、α−ヒドロキシトリアコンタン酸、β−ヒドロキシミリスチン酸、10−ヒドロキシデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等が挙げられる。これらは単独で用いることができるし、または2種以上の併用もできる。原料の入手容易性を鑑みると12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
また、他の脂肪族オキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、δ−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシドトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラトリアコンタン酸、α−ヒドロキシヘキサトリアコンタン酸、α−ヒドロキシオクタトリアコンタン酸、α−ヒドロキシテトラコンタン酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。また、芳香族オキシカルボン酸としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、トロバ酸等が挙げられる。
オキシカルボン酸金属塩(B1)における金属としては、アルカリ金属であるリチウム、アルカリ土類金属であるマグネシウム、カルシウムが好ましい。また、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩の場合は、FAD認可として使用できる利点のあるマグネシウム、またはカルシウムが好ましい。これらの金属塩は1種で用いることができるし、2種以上の併用もできる。
12−ヒドロキシステアリン酸金属塩は微粉末の方が好ましい。また、12−ヒドロキシステアリン酸金属塩の製法は複分解沈殿法、乾式直接法等があり、いずれも使用出来る。乾式直接法によると含水率が低い12−ヒドロキシステアリン酸金属塩が得られるので、熱可塑性樹脂と溶融混練する際に熱可塑性樹脂の分子量低下等の影響が抑えられるのでより好ましい。
高級脂肪酸金属塩(B2)における高級脂肪酸としては、炭素数10〜30の脂肪族カルボン酸が挙げられる。
具体的にはステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ベヘニン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、モンタン酸等が挙げられる。脂肪族カルボン酸の金属塩としてはカルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。特にステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
<メチン系染料(C)>
本発明における紫外線遮蔽成形物において、必要に応じて更にメチン系染料(C)が用いられる。メチン系染料(C)は耐熱性が良好で昇華性が少ないものである。具体的には、Color Index(C.I.) Solvent Brown53、C.I.Solvent Yellow133、C.I.Solvent Violet49、C.I.Pigment Orange70等が挙げられる。これらは単独、または併用することが出来る。特に、色相が褐色であるC.I.Solvent Brown53は、FDA登録品のため好ましく用いられる。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、従来公知の樹脂のうち透明性を有する樹脂、具体的にはポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。具体的には透明性を有するポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。特にポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2、6−ジカルボン酸、4、4−ジフェニルジカルボン酸の如き芳香族カルボン酸、又はそのエステルと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の如き脂肪族グリコールとを縮重合させて得ることができる。代表的なものとしてPETやポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
これらのポリエステル樹脂は、複数種のカルボン酸成分と複数種のジオール成分とを組み合わせたものであっても良い。すなわち、前記ポリエステル樹脂は上記の芳香族カルボン酸成分と脂肪族グリコール成分からなるホモポリマー(主たる構成成分)の他に、第3成分を添加して共重合させたコポリマーでもよい。この第3成分としては、例えば主たる構成成分がエチレンテレフタレートである場合、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール;コハク酸、アジピン酸、セパシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの多官能多価カルボン酸などが例示できる。また、主たる構成成分がエチレン−2、6−ナフタレートである場合、上記第3成分(ただし2、6−ナフタレンジカルボン酸をテレフタル酸とする)を挙げることができる。
また、本発明において用いられる熱可塑性樹脂として、微生物崩壊性樹脂も用いることができる。具体的にはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、または脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとを原料として得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の他、微生物または植物より合成されたポリエステル樹脂等が挙げられる。特にポリ乳酸が好ましい。
具体的には市販または試作されている、昭和高分子社製や日本触媒社製のポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、三井化学社製、カーギル社製や島津社製のポリ乳酸、ダイセル化学社製のポリカプロラクトン、モンサント社製のポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシ吉草酸)(P(3HB−3HV))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−4−ヒドロキシ酪酸)(P(3HB−4HB))やポリ(3−ヒドロキシ酪酸−CO−3−ヒドロキシプロピオネート)(P(3HB−3HP))等が挙げられる。製品名としてはレイシアH100J(三井化学(株))、タフロンIVB 2500(出光石油化学(株))、テオナイトTN8065S(帝人(株))等が挙げられる。
<その他の成分>
本発明における紫外線遮蔽成形物には所望の色相に応じて顔料又は染料を使用できる。具体的にはアゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、フタロシアニン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダスレン系、キノフタロン系等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、群青、コバルトブルー、カーボンブラック、チタンイエロー等の有色無機顔料、硫酸バリウム、カオリン、タルク等の体質顔料、アンスラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、モノアゾ系、他種のメチン系、複素環系、ラクトン系、フタロシアニン系等の油溶性染料、分散染料が使用できる。
また、滑剤として金属石鹸すなわち高級脂肪酸の金属塩、またはオキシカルボン酸金属塩を用いることができる。例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸マグネシウム、オキシカルボン酸金属塩としてα−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシパルミチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラエイコサン酸、α−ヒドロキシヘキサエイコサン酸、α−ヒドロキシオクタエイコサン酸、α−ヒドロキシトリアコンタン酸、β−ヒドロキシミリスチン酸、10−ヒドロキシデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等の金属塩が挙げられる。
更に、一般に熱可塑性樹脂の成形物に使用される酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性剤等の添加剤を配合することができる。酸化防止剤としてはフェノール系、ホスファイト系等が使用できる。フェノール系としては、例えばジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等を挙げることができる。ホスファイト系としては、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等を挙げることができる。
紫外線防止剤としてはベンゾトリアゾール系、トリアジン系等が使用できる。ベンゾトリアゾール系としては、例えば2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール等を挙げることができる。トリアジン系としては、例えば2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等を挙げることができる。
光安定剤としてはヒンダードアミン系等が使用できる。ヒンダードアミン系としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物等を挙げることができる。金属不活性剤としては、例えば2,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド等を挙げることができる。
<紫外線遮蔽成形物の製造方法>
・熱可塑性樹脂用着色剤の製造方法
表面処理α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)とをヘンシェルミキサー、スーパーフローター、ポニーミキサー等で混合することにより熱可塑性樹脂用着色剤が製造できる。特に表面処理α−酸化第二鉄(A)100重量部に対して分散剤(B)40〜150重量部の割合で配合すると好ましい。
また、表面処理α−酸化第二鉄(A)、分散剤(B)、メチン系染料(C)を配合して同様に熱可塑性樹脂用着色剤が製造できる。この場合、α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)の混合物中にメチン系染料(C)を添加しても良いし、α−酸化第二鉄(A)、分散剤(B)、メチン系染料(C)を同時に混合しても良い。
・熱可塑性樹脂組成物の製造方法
表面処理α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)からなる熱可塑性樹脂用着色剤は、熱可塑性樹脂とともに単軸、二軸押出機で押出することにより熱可塑性樹脂組成物(マスターバッチまたはコンパウンド)が製造できる。
また、上記の表面処理α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)からなる熱可塑性樹脂用着色剤は、メチン系染料(C)と熱可塑性樹脂とともに単軸、二軸押出機で押出することにより熱可塑性樹脂組成物が製造できる。
また、表面処理α−酸化第二鉄(A)と分散剤(B)とメチン系染料(C)とからなる熱可塑性樹脂用着色剤は、熱可塑性樹脂とともに同様に押出することにより熱可塑性樹脂組成物が製造できる。
これらの熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂100重量部に対して表面処理α−酸化第二鉄(A)はマスターバッチの場合0.01〜60重量部、コンパウンドの場合0.01〜3重量部の含有量が好ましい。また、メチン系染料(C)を含有する場合、マスターバッチでは0.001〜4重量部、コンパウンドでは0.001〜0.2重量部の含有量が好ましい。
・紫外線遮蔽成形物の製造方法
紫外線遮蔽成形物は、上記の熱可塑性樹脂用着色剤を、そのまま成形用の熱可塑性樹脂にまぶして溶融混練、成形して製造できる。
また、紫外線遮蔽成形物は、上記の熱可塑性樹脂用着色剤と、熱可塑性樹脂を配合して熱可塑性樹脂組成物(マスターバッチ)を作製し、この熱可塑性樹脂組成物と成形樹脂(成形用の熱可塑性樹脂)とを混合し、溶融混練、成形することによっても製造できる。また、上記の熱可塑性樹脂用着色剤と、熱可塑性樹脂を配合して熱可塑性樹脂組成物(コンパウンド)を作製し、そのままの組成で成形することによっても製造できる。成形方法としては、射出成形、押出成形、ブロー成形等が例示できる。
紫外線遮蔽成形物の形状としてはフィルム、プレート、ボトル等の2次元、3次元の成形物が挙げられる。成形物の表面は、更にコロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がしてあっても構わないが、これらの表面処理は必須ではない。また、アンカーコート等のコーティング処理を施していても構わない。
また、この成形物の表面には何も付与されていない方が望ましいが、予め界面活性剤や高分子電解質系等の有機系の導電剤や紫外線吸収剤や光安定剤が塗工されているものでも構わない。
フィルムとして用いる場合6μm〜2mmが適当であり、特に12〜200μmが望ましい。
本発明における紫外線遮蔽成形物は、透明性を有し、かつ420nm以下の紫外線領域を遮蔽できる。また、メチン系染料(C)を含有している場合、更に550nm付近の可視光線を遮蔽できる。
しかし遮蔽の程度は紫外線遮蔽成形物における各成分の含有量と成形物の厚さにより変化する。一例を挙げると、熱可塑性樹脂100重量部に表面処理α−酸化第二鉄(A)を0.22重量部以上含有する成形物において、厚さ0.3mmの場合、透明性を有し、420nmの紫外線を96%以上遮蔽できる。
更に、上記成形物の例において、メチン系染料(C)を0.01重量部以上含有する場合、550nmの可視光線を70%を超えて遮蔽できる。
上記特性を有する条件として、成形物における上記成分の含有量は、厚さが0.3mmより薄ければ多くする必要があり、厚ければ低くてもよい。
尚、光線遮蔽率は(100%−光線透過率)で得られる値である。
<ガスバリア(気体遮断)層>
ガスバリア層は、ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有したもので、ポリアルコール系ポリマーの有する水酸基と、ポリカルボン酸系ポリマーの有するカルボキシル基との相互作用により、ガスをバリアするような緻密な構造体を構成する。
本発明で用いられるポリアルコール系ポリマーとは、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール系重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)や糖類および澱粉類、水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類の重合体を含むものである。
PVAはケン化度が好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上であり、数平均重合度が通常300〜1500である。
糖類としては、単糖類、オリゴ糖類および多糖類を使用する。これらの糖類には、糖アルコールや各種置換体・誘導体、サイクロデキストリンのような環状オリゴ糖なども含まれる。これらの糖類は、水に溶解性のものが好ましい。澱粉類は、前記多糖類に含まれるが本発明で使用される澱粉類としては小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)のほか、各種の加工澱粉がある。加工澱粉としては、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学分解変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉などが挙げられる。これらの澱粉類の中でも、焙焼デキストリン等やそれらの還元性末端をアルコール化した還元澱粉糖化物等の水に可溶性の加工澱粉が好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。また、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(CH2
CH2Oユニットの繰り返しが1〜6のものが好ましい)、水酸基末端ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種または2種以上を共重合して得ることができる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレートがより好ましく、特にグリセリン(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明で用いられるポリカルボン酸系ポリマーとは、分子内に2個以上のカルボキシル基を有する(共)重合体であり、(メタ)アクリル酸系ポリマーの他、不飽和ジカルボン酸重合体、オレフィン−不飽和ジカルボン酸共重合体が挙げられる。前記ジカルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸などが挙げられる。
本発明で使用される不飽和ジカルボン酸の重合体は、不飽和ジカルボン酸の単重合体もしくは共重合体である。不飽和ジカルボン酸の共重合体としては、オレフィン−不飽和ジカルボン酸共重合体が挙げられ、無水不飽和ジカルボン酸とオレフィンモノマーを溶液重合などの公知の方法で共重合することで得られるものである。
オレフィンモノマーとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの炭素数3〜30までのアルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの炭素数2〜30のオレフィンなどが上げられ、これらの混合物を用いることもできる。また、これらのオレフィンモノマーの他(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、p−スチレンスルホン酸やこれらの混合物を用いることもできる。このうち、アルキルビニルエーテル類、低級オレフィン類などがガスバリア性の向上の点で好ましい。
好適なオレフィン−不飽和ジカルボン酸共重合体の例として、オレフィン部が、メチルビニルエーテル、エチレン、イソブチレンであり、不飽和ジカルボン酸がマレイン酸、イタコン酸である場合が好ましい。
共重合の際のモノマーの仕込み比率や反応条件により、得られるポリマーにおけるビニル系モノマーと不飽和ジカルボン酸の成分比が変化するが、本発明では、オレフィン−不飽和ジカルボン酸として不飽和ジカルボン酸単位を10モル%以上含有することが必須である。ポリマー中の不飽和ジカルボン酸単位が先述のポリアルコール系ポリマー中のアルコール単位と反応して架橋構造を形成することにより高度なガスバリア性が発現する。オレフィン−不飽和ジカルボン酸共重合体中の不飽和ジカルボン酸単位が10モル%未満の場合、架橋密度が低くなるためガスバリア性が発現しにくい。
なお、本発明で用いるマレイン酸単位を含有するオレフィン−不飽和ジカルボン酸共重合体中のジカルボン酸単位は乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した無水ジカルボン酸構造を取りやすく、一方、湿潤時や水溶液中では開環してジカルボン酸構造やカルボン酸エステル構造を取りやすくなるが、本発明ではこれら閉環、開環を区別せずジカルボン酸として記述している。
本発明で用いられるポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーとは、アクリル酸およびメタクリル酸系の重合体であって、カルボキシル基を2個以上含有し、それらのカルボン酸系ポリマーおよびカルボン酸系ポリマーの部分中和物を含めた総称である。具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体、あるいはこれらの2種以上の混合物ならびにそれらの部分中和物である。また、水に可溶な範囲でアクリル酸、メタクリル酸とそれらのメチルエステル、エチルエステルとの共重合体を用いることもできる。これらの中では、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーや両者の共重合体が好ましく、アクリル酸のホモポリマーやアクリル酸が優位量となるメタクリル酸との共重合体が、酸素ガスバリア性の点で、特に好適なものである。ポリ(メタ)アクリル酸系ポリマーの数平均分子量は、特に限定されないが、2,000〜250,000の範囲が好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物は、ポリ(メタ)アクリル酸のカルボキシル基をアルカリで部分的に中和する(即ち、カルボン酸塩とする)ことにより得ることができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムなどが挙げられる。部分中和物は、通常、ポリ(メタ)アクリル酸の水溶液にアルカリを添加し、反応させることにより得ることができる。従って、この部分中和物は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩などである。このアルカリ金属塩は一価の金属イオンを有する構造体として本発明のフィルム形成に寄与する。ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を用いると、成形品の熱による着色を抑えることがあり得るので、場合によりこれを用いることが好ましい。ポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物とを混合して使用することも好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を得るには、ポリ(メタ)アクリル酸とアルカリの量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は最終製品であるガスバリア性フィルムの酸素ガスバリア性の程度を基準として、選択することが好ましい。この中和度がある程度以上高くなると、酸素ガスバリア性が低下する傾向を示す。
なお、中和度は、式:中和度(%)=(N/N0)×100により求めることができる。ここで、Nは部分中和されたポリカルボン酸1g中の中和されたカルボキシル基のモル数、N0は部分中和する前のポリカルボン酸1g中のカルボキシル基のモル数である。
ポリ(メタ)アクリル酸(A)がポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物を含む場合は、その中和度がポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度に影響する。具体的には、中和度が好ましくは20%以下がポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度が大きく、フィルムの製造速度の観点で有利である。中和度が20%を越える場合には、ポリ(メタ)アクリル酸(A)とポリアルコール系ポリマー(B)とのエステル架橋反応の速度が低下する。さらに好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度が15%以下の場合には、両ポリマー成分の混合割合の広い範囲内で、未中和物を用いた場合と比較して、エステル架橋反応の速度が大きく、フィルムの製造速度の観点で有利である。酸素ガスバリア性の観点からは、ポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物の中和度は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下とすることが望ましい。
ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマー含む溶液は、公知の塗工機で紫外線遮蔽成形物表面に塗布され、被膜を形成し、バリア層が得られる。公知の塗工機としては、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、デイップコーター、ダイコーター、コンマコーター、リップコーター、カーテンコーター等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置が用いられる。または、上記溶液を刷毛等を用いて成形物に塗布したり、上記溶液中に成形物を浸漬することにより被膜を形成してもよい。
形成されるバリア層の厚さは、使用する用途に応じて適宜決めることが出来、0.1μm〜100μmの厚さであることが好ましく、0.5μm〜50μmの厚さであることがより好ましく、0.5μm〜10μmの厚さであると特に好ましい。0.1μm未満の厚さでは十分なガスバリア性を発現する事が困難となり、一方、100μmを越える厚さになると、塗工等の生産工程において困難を生じやすく、また後述する乾燥及びバリア層形成時の加熱に要するエネルギー量も多くなりすぎる。
<紫外線遮蔽成形物表面へのガスバリア層の作製方法>
ガスバリア層を得るには、以下のような工程を経る。
(1)まず、紫外線遮蔽成形物表面とバリア層との接着性を高めるため、必要に応じて紫外線遮蔽成形物上にアンカーコート剤を塗工してアンカーコート層を作製し、その上面にガスバリア層形成用塗料を塗工する。
(2)ガスバリア層形成用塗料を塗工後、次いでアーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤーおよびフローティングドライヤー等の装置、あるいはそれらを組み合わせた装置を用いて熱風を吹き付けたり、赤外線照射などにより、ガスバリア層形成用塗料中の液状媒体、例えば水分を蒸発・乾燥させ、バリア層の前駆体を形成させる。ポリアルコール系ポリマー中の水酸基とポリカルボン酸系ポリマー中のカルボキシル基とは、この段階では、まだほとんどエステル化反応してはいない。
(3)次いで、成形物の非塗工面を冷却しながら、前記バリア層前駆体表面、即ちガスバリア層形成用塗料の塗工・乾燥面を加熱し、ポリアルコール系ポリマー中の水酸基とポリカルボン酸系ポリマー中のカルボキシル基とがエステル化反応させることにより、成形物の熱劣化を防ぎながらガスバリア層を形成する。
塗工面の加熱方法としては、塗工面側を赤外線で加熱したり、加熱ロールに塗工面側を接触させたり、あるいは熱風を塗工面に吹き付けたりする方法が例示できる。
本発明の熱可塑性樹脂成形物におけるガスバリア層は、成形物の片面または両面に形成されていても良いし、また、成形物が筒状、瓶状の場合は外側、内側、または両側に形成されていても良い。
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、重量部とは単に部という。
[α−酸化第二鉄の表面処理法]
表1に示すように、α−酸化第二鉄(FRO−3、堺化学工業(株)製)をジェットミルにより粉砕(使用流体:圧縮空気)しながら、表面処理剤を添加し表面処理α−酸化第二鉄を得た。各表面処理剤は、表1に基づき所定の被覆量となるように公知の方法で、酸化金属の処理重量と処理剤の供給濃度または供給流量を変化させることにより調整した。尚、トリメチロールプロパンはエタノールに分散したものを用いた。
表1
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 α−酸化第二鉄(粒径μm、アスペクト比) 処理1 処理2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
製造例1 酸化鉄(0.03、0.9) 0.5 0.5
比較製造例1 酸化鉄(0.03、0.9) 0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理1:トリメチロールプロパン処理 α−酸化第二鉄に対する処理量(重量%)
処理2:メチル水素ポリシロキサン処理 α−酸化第二鉄に対する処理量(重量%)
(処理1と2は同時に行った。)
[紫外線遮蔽成形物の製造方法]
α−酸化第二鉄100部に対し分散剤100部を添加し、スーパーフローターで混合して熱可塑性樹脂用着色剤を作製した。
熱可塑性樹脂100部に上記熱可塑性樹脂用着色剤を8.5部、またはメチン系染料0.2部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合し単軸押出機で押出ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を得た。
成形樹脂(熱可塑性樹脂組成物で用いられたベース樹脂と同じ樹脂)100部と、上記熱可塑性樹脂組成物6部とをタンブリングし、プラストミル押出機((株)東洋精機製作所製)Tダイを用いて厚さ0.3mmのシート状の紫外線遮蔽成形物を得た。
表2に各々の紫外線遮蔽成形物の製造に用いられた成分を示す。
表2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――例 成 分
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
成形物1 熱可塑性樹脂用着色剤1
・製造例1の表面処理α−酸化第二鉄 100部
・12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム 100部
熱可塑性樹脂組成物1
・PET樹脂(ミツイペットSA−135、三井化学(株)) 100部
・熱可塑性樹脂用着色剤1 8.5部
成形物1
・PET樹脂(ミツイペットSA−135、三井化学(株)) 100部
・熱可塑性樹脂組成物1 6部

成形物2 熱可塑性樹脂用着色剤2
・製造例1の表面処理α−酸化第二鉄 100部
・ステアリン酸カルシウム 100部
・メチン系染料(C.I.Solvent Brown53、
クラリアントジャパン(株)) 0.2部
熱可塑性樹脂組成物2
・ポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000(自然色)、
三菱エンジニアリングプラスチック(株)) 100部
・熱可塑性樹脂用着色剤2 8.5部
成形物2
・ポリカーボネート樹脂(ユーピロンS−3000(自然色)、
三菱エンジニアリングプラスチック(株)) 100部
・熱可塑性樹脂組成物2 6部

成形物3 熱可塑性樹脂用着色剤3
・比較製造例1のα−酸化第二鉄 100部
・12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム 100部
熱可塑性樹脂組成物3
・PET樹脂(ミツイペットSA−135、三井化学(株)) 100部
・熱可塑性樹脂用着色剤3 8.5部
成形物3
・PET樹脂(ミツイペットSA−135、三井化学(株)) 100部
・熱可塑性樹脂組成物3 6部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[ガスバリア層形成用塗料の製造例1]
ポリマー(a)としてポリビニルアルコール(ユニチカケミカル社製、UF040G、ケン化度98.4%、平均重合度400)を純水に溶解し、固形分10%とし、ここへ残存アセチル基量の1.1倍当量の水酸化ナトリウムを加えて、70℃で3時間、攪拌し、水溶液を得た。この操作で得られたポリビニルアルコールのケン化度は99.9%であった。
別途、ポリマー(b)としてポリイタコン酸(磐田化学工業社製PIA−728、平均重合度50−100)をポリイタコン酸のカルボキシル基に対して10モル%の水酸化ナトリウムを含む水に溶解し、固形分10%の水溶液とした。
各ポリマーの固形分比が30/70となるようにポリマー(a)水溶液とポリマー(b)水溶液とを混合、攪拌して固形分10%のガスバリア層形成用塗料(1)液を得た。
[ガスバリア層形成用塗料の製造例2]
ポリマー(c)としてポリアクリル酸(和光純薬工業(株)製(30℃で8000〜12000センチポイズ、重量平均分子量150000)の25%水溶液を用いて、水酸化ナトリウムで中和度10%に部分中和し純水にて希釈して固形分10%にすることにより調整した。
以下、ガスバリア層の製造例1と同様にして、各ポリマーの固形分比が30/70となるようにポリマー(a)水溶液とポリマー(c)水溶液とを混合、攪拌して固形分10%のガスバリア層形成用塗料(2)液を得た。
[ガスバリア層形成用塗料の製造例3]
ポリマー(d)として、セパラブル4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて純水70部を仕込み、80℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりグリセリンメタクリレート(以下、GLM)(日本油脂(株)製、「ブレンマーGLM」)30部、純水20部、アゾ化合物(和光純薬工業(株)製「V−50」)0.3部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重合終了後、純水179.7部を十分に撹拌しながら添加し、固形分10重量%のポリグリセリンメタクリレート水溶液を得た。
以下、ガスバリア層形成用塗料の製造例1と同様にして、各ポリマーの固形分比が30
/70となるようにポリマー(a)水溶液とポリマー(c)水溶液とを混合、攪拌して固形分10%のガスバリア層形成用塗料(3)液を得た。
[ガスバリア層形成用塗料の製造例4]
ポリマー(e)としてセパラブル4口フラスコに温度制御レギュレーター、冷却管、撹拌装置を取り付けて純水89.7部を仕込み、80℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりグリセリンメタクリレート(以下、GLM)(日本油脂(株)製、「ブレンマーGLM」)2部、アクリル酸(以下、AA)18部、純水25部、アゾ化合物(和光純薬工業(株)製「V−50」)0.24部を1時間かけて滴下し、滴下終了後、更に3時間反応を継続し固形分15%のGLM−AA共重合体水溶液を得た。
ポリマー(e)水溶液を用い、カルボキシル基の5モル%を水酸化ナトリウムにより中和し、純水で希釈して固形分10重量%のガスバリア層形成用塗料(4)液を得た。
[アンカーコート剤の製造例1]
ポリエステル(東洋紡(株)製、バイロン200(Tg67℃)、Mn=17000)をトルエン/MEK混合溶媒に溶解した。この溶液に、ポリイソシアネート(住友化学(株)製、スミジュール3300)を、ポリエステルとポリイソシアネートの重量比が60/40になるように調整し、混合溶液を得、この混合溶液にジブチルすずラウリレート1%メチルエチルケトン(MEK)溶液、MEKおよび酢酸エチルを混合し、固形分約14%のアンカーコート剤を得た。
[ガスバリア層の形成]
紫外線遮蔽成形物の片面に、グラビアコーターを用いてアンカーコート剤を塗工し、80℃にコントロールした乾燥室に導入し溶剤を除去し、0.2μmのアンカーコート層を形成した。
アンカーコート層の上面にグラビアコーターを用いてガスバリア層形成用塗料を塗工し、90℃にコントロールした乾燥室に導入し、水を除去し、200℃、2分間焼付し、厚み2.2μmのガスバリア層前駆体層を有する紫外線遮蔽成形物を得た。
次いで、成形物の非塗工面を冷却しながら、ガスバリア層前駆体層側の塗工・乾燥面を赤外線で加熱し、ポリアルコール系ポリマー中の水酸基とポリカルボン酸系ポリマー中のカルボキシル基とがエスルテル化反応させることによって、紫外線遮蔽成形物の熱劣化を防ぎながらガスバリア層が形成された熱可塑性樹脂成形物を得た。
[実施例1〜5、比較例1、2]
熱可塑性樹脂成形物における紫外線遮蔽成形物とガスバリア層の組み合わせを表3に示す。
表3
―――――――――――――――――――――――――――
例 紫外線遮蔽成形物 ガスバリア層
―――――――――――――――――――――――――――
実施例1 成形物1 ガスバリア層形成用塗料1
実施例2 成形物2 ガスバリア層形成用塗料1
実施例3 成形物1 ガスバリア層形成用塗料2
実施例4 成形物1 ガスバリア層形成用塗料3
実施例5 成形物1 ガスバリア層形成用塗料4
比較例1 成形物1 ガスバリア層なし
比較例2 成形物3 ガスバリア層形成用塗料1
―――――――――――――――――――――――――――
<評価>
熱可塑性樹脂成形物における表面平滑性、光線遮蔽性、透明性及びガスバリア性
[表面平滑性]
AFM(セイコーインスルメンツ社製)を用いて表面観察し、突起の最大高さを測定し以下の基準で評価した。
○:1μm未満
×:1μm以上
[光線遮蔽率]
波長420nm及び550nmにおいて、空気をブランク(100%)として島津製作所製UV−265FWで測定した。
◎:遮蔽率96%以上
○:遮蔽率70%以上
×:遮蔽率70%未満
[透明性]
空気をブランク(0)としてビックケミー・ジャパン(株)製ヘイズ・ガード・プラスにて測定した。成形樹脂だけで作製した成形物の場合は大体1前後の値である。透明性が高いと値は低くなり、くもり性が高いと値は高くなる。15以上のヘイズ値においては顕著にくもっていることが目視で確認できる。
◎:5以下
○:10以下
△:15以下
×:15より大きい
[気体遮断(ガスバリア)性]
フィルムをMODERN CONTROL社製OX−TRANT100を使用して、酸素の透過量を25℃、80%RHの条件で測定し、以下の基準で評価した。
○:5ml/m・24時間・atm未満
×:5ml/m・24時間・atm以上
表4に結果を示す。
表4
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
例 表面平滑性 光線遮蔽率 透明性 ガスバリア性
420nm 550nm
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 ○ ◎ × ◎ ○
実施例2 ○ ◎ ○ ◎ ○
実施例3 ○ ◎ × ◎ ○
実施例4 ○ ◎ × ◎ ○
実施例5 ○ ◎ × ◎ ○
実施例6 ○ ◎ × ◎ ○
比較例1 ○ ◎ × ○ ×
比較例2 × ○ × △ ×
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本発明の成形物は、紫外線領域、更には可視光線領域における光線遮蔽性、ガスバリア性を有するので、ガラス瓶、アルミ蒸着フィルムに代わる食品・化粧品・薬品等の包装・容器用途に適用できる。

Claims (6)

  1. 平均粒径が0.01〜0.06μm、アスペクト比が0.2〜1.0の非針状であるα−酸化第二鉄を、多価アルコールとオルガノポリシロキサンで被覆して成る表面処理α−酸化第二鉄(A)と、
    分散剤(B)としてオキシカルボン酸金属塩(B1)又は高級脂肪酸金属塩(B2)と、熱可塑性樹脂とを含有する紫外線遮蔽成形物の表面に、
    ポリアルコール系ポリマーとポリカルボン酸系ポリマーとを含有してなるガスバリア層を有する熱可塑性樹脂成形物。
  2. オキシカルボン酸金属塩(B1)が12−ヒドロキシステアリン酸金属塩である請求項1に記載の熱可塑性樹脂成形物。
  3. 多価アルコールまたはオルガノポリシロキサンが、表面処理α−酸化第二鉄(A)全体に対してそれぞれ0.01〜10重量%である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂成形物。
  4. 多価アルコールが、トリメチロールプロパンまたはトリメチロールエタンである請求項1〜3いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物。
  5. オルガノポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンまたはメチル水素ポリシロキサンである請求項1〜4いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物。
  6. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である請求項1〜5いずれかに記載の熱可塑性樹脂成形物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015166179A (ja) * 2014-02-12 2015-09-24 ユニチカ株式会社 紫外線吸収フィルム
JP2015168165A (ja) * 2014-03-07 2015-09-28 ユニチカ株式会社 積層体
JP7450482B2 (ja) 2020-07-15 2024-03-15 株式会社ディスコ 保護部材形成装置

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