JP2005137075A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 定常負荷変動や経年変化による負荷変動を的確に検出して高速で高精度の位置決めを行うことができず、画像品質が低下する。
【解決手段】 PWM制御演算部112から搬送ベルト21を移動させるDCサーボモータ31を定速制御しているときのPWM制御値をPWM履歴取込保持部121で数回取込んで平均値算出部122でその平均値を算出し、比較部123でその平均値と予め想定した駆動負荷に対応する値とを比較して、定速制御時の定常負荷の大小を判定し、この判定結果に基づいてPID制御量を演算するときの積分成分を再設定することで、定速制御時の負荷変動に応じた減速制御のPID制御量を設定する。
【選択図】図6


Description

本発明は画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、プリンタ/ファックス/複写機複合機等の各種画像形成装置としては、液滴吐出ヘッドで構成した記録ヘッドをキャリッジに搭載して、このキャリッジを被記録媒体(用紙、記録媒体などとも称される。)の搬送方向に対して直交する方向にシリアルスキャンさせるとともに、被記録媒体を記録幅に応じて間歇的に搬送し、搬送と記録を交互に繰り返すことによって被記録媒体に画像を形成(記録、印刷、印字、印写も同義で使用する。)するシリアル型のもの、ライン幅を有する記録ヘッドを備えて、被記録媒体を副走査送りしながら被記録媒体に画像を形成するライン型のものがある。
そして、このような画像形成装置においては、ある一定幅を持った画像を出力する記録ヘッドから吐出された液滴によって画像を被記録媒体に連続的に記録するために、被記録媒体の間欠搬送(副走査)を行うが、このときの被記録媒体の送り精度、被記録媒体の位置決め精度が画像品質に影響を与える。したがって、高速度、高画質画像を記録するためには、高速で、高精度に記録媒体を搬送しなければならない。
そこで、一般的には、装置間の組み付けバラツキ、用紙送り機構(副走査機構)の慣性、摩擦力、剛性(ばね性)などによる負荷変動を吸収するため、副走査機構の駆動モータとしてDCサーボモータをPID制御で駆動することが行われる。
特開2000−37919号公報
そして、このようなサーボモータの駆動制御装置としては、特許文献2に記載されているように、PID制御ループにおける制御パラメータを固定せずにサーボモータの速度を検出することによって、より最適に近い制御パラメータを計算して設定し直す、いわゆる学習サーボ方式のサーボモータ制御装置が知られている。この装置では、サーボループの外に制御対象の負荷を検出する手段を持ち、予め予想される負荷の量に対応して計算されている初期用の制御パラメータの組をいくつか用意しておくことによって、検出された負荷に最も適切な初期用の制御パラメータを選択して、それを設定してから学習を始めるようにしている。
特開平5−284768号公報
また、特許文献3に記載されているように、駆動モータの温度変化や負荷などの経時変化に対して減速時の適切な速度制御を行うために、スキャナの速度線図に応じてサーボループゲインの切り替えを行う手段と、モータの温度を検出する手段と、スキャナリターン時のスキャナ停止位置に応じてモータ減速時のサーボループゲインを変更する手段と、モータ温度および上記スキャナ停止位置に応じて変更されたモータ減速時のサーボループゲインを記憶する手段とを備えたサーボモータ速度制御装置も知られている。
特開平7−322019号公報
しかしながら、上述した特許文献2に開示されている学習サーボモータ制御装置にあっては、ヘッドの数やインクカートリッジの有無などの負荷を検出し、この検出した負荷に応じて制御パラメータを選択するため、実際の負荷変動の検出精度が悪く、また、予め定められた制御パラメータを選択するだけであるので、高精度に目標位置に停止させることが難しい。
また、上述した特許文献3に開示されているサーボモータ制御装置にあっては、スキャナの停止位置制御を行うことができても、これ以外の装置には適用できず、特に、画像形成装置における被記録媒体の送り制御のような高精度の位置決め精度が要求される場合には対応することができない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高速で、高精度の位置決め精度が得られるモータ駆動制御装置及びこの装置を備えることで高速で高画質画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係るモータ駆動制御装置は、定速制御から減速制御に移行するときに、定速制御時の駆動負荷に基づいて減速制御の制御量を設定する手段を備えたものである。
ここで、定速制御をしたときの制御量の履歴に基づいて得られる定速制御の制御量と予め定めた設定値との比較結果に基づいて減速制御の制御量を設定する手段を備えていることが好ましい。この場合、定速制御をするときに予め定めた回数の制御量を保持する保持手段と、この保持手段で保持された制御量の平均値と予め定めた値とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に応じて制御量を演算するときの積分成分を再設定する手段とを備えていることが好ましい。
また、減速制御の開始時に目標値を0にする期間が設定されることが好ましい。さらに、目標値を生成する速度プロファイルには定速領域よりも低い等速の低等速領域が設定されているが好ましい。
本発明に係る画像形成装置は、被記録媒体を送る副走査機構のDCサーボモータを駆動制御するための本発明に係るモータ駆動制御装置を備えているものである。
本発明に係るモータ駆動制御装置によれば、定速制御から減速制御に移行するときに、定速制御時の駆動負荷に基づいて減速制御の制御量を設定するので、駆動負荷に応じた減速制御を行うことができて、高速で駆動したときにも高精度の停止位置が得られる。
本発明に係る画像形成装置は、被記録媒体を送る副走査機構のDCサーボモータを本発明に係るモータ駆動制御装置で駆動制御するので、高速で副走査を行っても被記録媒体の停止位置精度が高くなり、高速で、高画質画像を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図、図3は同装置の要部斜視説明図である。
この画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4でタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ3には、例えば、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド7を構成する液滴吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて記録液の膜沸騰を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインク(液体)を吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。なお、異なる色を吐出する複数のノズル列を備えた1又は複数の液滴吐出ヘッドで記録ヘッドを構成することもできる。
キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8にはインク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。なお、インク滴を吐出する記録ヘッド7以外に、記録液(インク)と反応することでインクの定着性を高める定着用処理液(定着用インク)を吐出する記録ヘッドを備えることもできる。
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送するための搬送部として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってエンコーダ36を構成している。
帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。
また、キャリッジ3の前方側には、図1及び図3に示すように、スリットを形成したエンコーダスケール42を設け、キャリッジ3の前面側にはエンコーダスケール42のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ43を設け、これらによって、キャリッジ3の主走査方向位置を検知するためのエンコーダ44を構成している。
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離部と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
また、背部には両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット61は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ26に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト21が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4のブロック図を参照して説明する。
この制御部80は、この装置全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM82と、画像データ等を一時格納するRAM83と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能なNVRAM84と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC85とを備えている。
また、この制御部80は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F86と、記録ヘッド7を駆動制御するためのヘッド駆動制御部87及びヘッドドライバ88と、主走査モータ4を駆動するための主走査モータ駆動部90と、副走査モータ31を駆動するための副走査モータ駆動部91と、エンコーダ36、44からの検出パルス、環境温度を検出する温度センサ95からの検出信号、及びその他の各種センサからの検知信号を入力するためのI/O92などを備えている。また、この制御部80には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル93が接続されている。
制御部80は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F86で受信する。
そして、CPU81は、I/F86に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC85にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部87に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM82にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
ヘッド駆動制御部87は、記録ヘッド7の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ88にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ88に送出する。
このヘッド駆動制御部87は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM82で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
また、ヘッドドライバ88は、ヘッド駆動制御部87からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部87からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド7のアクチュエータ手段に印加してヘッドを駆動する。
主走査モータ駆動部90は、CPU81側から与えられる目標値とエンコーダ44からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して主走査モータ4を駆動する。
同様に、副走査モータ駆動部91は、CPU81側から与えられる目標値とエンコーダ36からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値に基づいて制御値を算出して内部のモータドライバを介して副走査モータ31を駆動する。
そこで、この画像形成装置における副走査モータの駆動制御に係る本発明に係るモータ駆動制御装置について図5の機能ブロック図も参照して説明する。
速度プロファイル格納部101には、副走査モータ31の速度プロファイル(加速テーブル目標速度)が格納され、CPU81によって副走査モータ駆動部91に目標速度が与えられる。この速度プロファイル格納部101はROM82にて構成している。速度プロファイル格納部101に格納される速度プロファイルは、図6に示すように、加速領域、定速領域、減速領域で構成される。
速度検出部102は、エンコーダ36から出力される検出パルスをカウントして、搬送ローラ27の回転速度に対応する搬送ベルト21の送り速度を検出することで、現在の速度である検出速度(速度検出値)に変換するとともに、搬送ローラ27の回転量に対応する搬送ベルト21の相対移動量を検出して、検出位置に変換する。サンプリング部103は、予め定めたサンプリング周期で速度検出部102から出力される速度検出値をサンプリングして副走査モータ駆動部91に与える。なお、速度検出部102やサンプリング部103はエンコーダ36及び制御部80のCPU81などによって構成している。
副走査モータ駆動部91は、比較演算部111、PID制御演算部112及びモータドライバ113、減速補償部114で構成している。ここで、比較演算部111は、速度プロファイル101から与えられる目標位置に対応する目標速度と、速度検出部102から出力されてサンプリング部103によって与えられる検出速度(現在速度)とを比較して両者の偏差(速度偏差)を算出して、PID制御演算部112に与える。
PID制御演算部112は、比較演算部111からの偏差に対してPID(比例、積分、微分)制御を行ってDCサーボモータである副走査モータ31に対する制御値を演算する。ここでは、副走査モータ31をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御で駆動するものとして、PID制御演算部112は偏差に対してPID制御を行ってPWMのデューティ比を求め、このPWMのデューティ比をモータドライバ113に与えてPWM制御でモータ31を駆動させることにより、搬送ベルト21を目標とする速度で目標とする位置に駆動するようにしている。
減速補償部114は、副走査モータ31を定速制御しているときにPID制御演算部112から出力される制御量に基づいて副走査機構の駆動負荷を予め定めた設定値と比較して増減を判定して、この結果をPID制御演算部112に与える。PID制御部112は、副走査モータ31の定速制御から減速制御に移行するときに、減速補償部114からの判定結果に基づいて、積分(I)成分を補正して制御量を決定する。
この減速補償部114は、例えば図7に示すように、副走査モータ31を定速制御(例えば200mm/sec)しているときにPID制御演算部112から出力される制御量(PWM制御値)を、所定の時間間隔で予め定めた回数(例えば10回)取り込んで保持するPWM履歴取得保持部121と、PWM履歴取得保持部121に保持された結果の平均値を算出する平均値算出部122と、この平均値算出部122で算出された平均値と予め想定した駆動負荷に対応する設定値とを比較して、駆動負荷(搬送負荷になる)の設定値に対する大小関係を判定する比較部123とを備えている。そして、PID制御演算部112が前記比較部123の判定結果に応じて積分成分を再設定してPID制御量を設定する手段を構成している。
つまり、ここでは、PWM履歴取込保持部121で保持手段を、平均値算出部122及び比較部123で比較手段を、PID制御演算部112で積分成分を再設定する手段を構成している。
このように構成したサーボモータの駆動制御装置の作用について図8をも参照して説明する。
まず、制御部80では、用紙送りを開始するときに、目標位置、目標速度に対応する速度プロファイル格納部101に格納された速度プロファイルを読み出して、副走査モータ駆動部91の比較演算部111に与える(目標位置、目標速度設定)。副走査モータ駆動部91からは初期の制御量が出力されて副走査モータ31の駆動が開始される。
これにより、速度検出部102からは、搬送ベルト21の現在位置、現在速度に対応する情報が出力されて、サンプリング部103でサンプリングされて副走査モータ駆動部91の比較演算部111に与えられ、前述したように、速度偏差に応じてPID制御演算部112からPWM制御値(制御量)が出力されて、副走査モータ31は、設定された速度プロファイルの加速領域、定速領域、減速領域の速度で回転駆動される。
ここで、副走査モータ31を定速領域で制御しているとき(定速制御を行っているとき)にPID制御演算部112から出力されるPWM制御値は、減速補償部114のPWM履歴取込保持部121によって所定回数保持される。そして、平均値算出部122によって所定回数のPWM制御値の平均値が算出されて比較部123によって設定値と比較されて、予め設定している駆動負荷に対して実際の駆動負荷が大きいか小さいかが判定されて、この判定結果がPID制御演算部112に与えられる。
そこで、PID制御演算部11は、定速領域から減速領域へ移行する(減速制御へ移行する)ときに、減速補償部114から与えられる判定結果に基づいて積分成分を再設定して、PID制御量(PWM制御値)を演算して出力する。このように駆動負荷に応じたPWM制御値によって副走査モータ31の減速処理が行われて、目標位置までの駆動が完了すれば、副走査モータ31は停止する。
このように、定速制御から減速制御に移行するときに、定速制御時の駆動負荷に基づいて減速制御の制御量を設定する手段を備えていることによって、定速制御時の駆動系の摩擦トルク、摩擦トルクの変動、慣性負荷の変動分、ガタなどによる非線形のトルクなどの外乱による負荷変動に応じて減速制御時の制御量を設定することができる。これにより、減速制御時の駆動対象の定常負荷変動、個体差(バラツキ)、経時変化による負荷ばらつきの帯域が広がり、安定した減速を行うことができ、高速で走査しても、高い位置精度で被記録媒体の送り精度(停止位置精度)を得ることができて、画像品質が向上する。
次に、本発明に係るモータ駆動制御装置の他の例について図8を参照して説明する。
この例では、速度プロファイル格納部101に格納した速度プロファイルにおいて、特定のサンプリング周期SPaで目標速度が「0」になるプロファイルとしている。この特定のサンプリング周期SPaは定速制御から減速制御に移行するときのサンプリング周期としている。
したがって、定速制御から減速制御に移行するとき、減速制御の開始時にPID制御演算部112からは副走査モータ31を逆方向回転させる制御量(PWM制御値)が出力されることになり、最大加速度で減速することができる。
つまり、減速制御の開始時に目標値を0にする期間を設定することで、移動方向とは逆方向の制御量が出力されるようになり、駆動対象が可能な最大減速加速度を得られる。これにより、高速で減速を行うことができて、より高速で高精度の位置決め停止を行うことができる。
次に、本発明に係るモータ駆動制御装置の更に他の例について図10を参照して説明する。
この例では、上記速度プロファイル格納部101に格納した速度プロファイルにおいて、前述したように、定速制御から減速制御に移行するときの特定のサンプリング周期SPaで目標速度を「0」にし、更に特定のサンプリング周期Pa後に定速領域の速度よりも低い、等速の速度領域(これを「低等速領域」という。)を設定したプロファイルとしている。
したがって、定速制御から減速制御に移行するとき、減速制御の開始時にPID制御演算部112からは副走査モータ31を逆方向回転させる制御量(PWM制御値)が出力されることになり、最大減速加速度が作用するとともに、これによって負荷変動が大きく、駆動が停止した場合でも、すばやく低等速領域まで立ち上がることができるようになり、目標速度を「0」にしたことで、図9に破線で示す実速度変化において、振動200が発生したときにも、早期に振動を減衰させることができる。
そこで、この例の処理について図11をも参照して説明する。
まず、制御部80では、用紙送りを開始するときに、目標位置、目標速度に対応する速度プロファイル格納部101に格納された速度プロファイルを読み出して、副走査モータ駆動部91の比較演算部111に与える(目標位置、目標速度設定)。副走査モータ駆動部91からは初期の制御量が出力されて副走査モータ31の駆動が開始される。
これにより、速度検出部102からは、搬送ベルト21の現在位置、現在速度に対応する情報が出力されて、サンプリング部103でサンプリングされて副走査モータ駆動部91の比較演算部111に与えられ、前述したように、速度偏差に応じてPID制御演算部112からPWM制御値(制御量)が出力されて、副走査モータ31は、設定された速度プロファイルの加速領域、定速領域、減速領域の速度で回転駆動される。
ここで、目標位置になるまでの間、低等速搬送(低等速領域)への減速開始位置を判定しながら、低等速搬送(低等速領域)への減速開始位置でないときには、副走査モータ31を定速領域で制御しているとき(定速制御を行っているとき)にPID制御演算部112から出力されるPWM制御値は、減速補償部114のPWM履歴取込保持部121によって所定回数保持される。そして、平均値算出部122によって所定回数のPWM制御値の平均値が算出されて比較部123によって設定値と比較されて、予め設定している駆動負荷に対して実際の駆動負荷が大きいか小さいかが判定されて、この判定結果がPID制御演算部112に与えられ、判定結果に基づいてPID制御演算部112は積分成分を再設定する。
そして、低等速搬送(低等速領域)への減速開始位置にったときには、図10に示す速度プロファイルにしたがって目標速度が「0」にされるので、これに対応したPID制御量を出力するとともに、その後低等速領域の速度プロファイルに従ったPID制御量を出力し、低等速搬送(低等速領域)へ移行したときには、減速補償部114から与えられる判定結果に基づいて積分成分を再設定して、PID制御量(PWM制御値)を演算して出力する。
このように、定速制御から減速制御に移行するときに、定速制御時の駆動負荷に基づいて減速制御の制御量を設定する手段を備え、更に減速制御開始時に目標速度0に対する制御量を設定し、減速制御のうちの低等速領域に移行して定速領域よりも低い速度に対応する制御量を設定することによって、より高速で、より高い位置精度で停止させることができる。したがって、高速で走査しても、高い位置精度で被記録媒体の送り精度(停止位置精度)を得ることができて、画像品質が向上する。
なお、上記実施形態においては、画像形成装置の副走査モータの駆動制御に本発明に係るDCサーボモータの駆動制御装置を適用した例で説明したが、これに限るものではない。
本発明に係る画像形成装置の機構部の概略説明図である。 同機構部の要部平面説明図である。 同機構部の要部斜視説明図である。 同装置の制御部の概略ブロック説明図である。 同制御部のモータ駆動制御装置に係る部分の機能ブロック説明図である。 同モータ駆動制御装置の速度プロファイルの説明に供する説明図である。 同駆動制御装置の減速補償部の一例を示すブロック図である。 同モータ駆動制御装置による駆動制御の一例の説明に供するフロー図である。 同モータ駆動制御装置による駆動制御の他の例の説明に供する速度プロファイルの例を示す説明図である。 同モータ駆動制御装置による駆動制御の更に他の例の説明に供する速度プロファイルの例を示す説明図である。 同更に他の例の説明に供するフロー図である。
符号の説明
3…キャリッジ
4…主走査モータ
7…記録ヘッド
21…搬送ベルト
26…帯電ローラ
27…搬送ローラ
31…副走査モータ
36…エンコーダ
91…副走査モータ駆動部
101…速度プロファイル格納部
102…速度検出部
103…サンプリング部
111…比較演算部
112…PID制御演算部
113…モータドライバ
114…減速補償部

Claims (6)

  1. 駆動対象の目標値と現在値との偏差に基づいてDCサーボモータに対する制御量を設定して、前記DCサーボモータを駆動するモータ駆動制御装置において、定速制御から減速制御に移行するときに、前記定速制御時の駆動負荷に基づいて前記減速制御の制御量を設定する手段を備えていることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ駆動制御装置において、前記定速制御をしたときの前記制御量の履歴に基づいて得られる定速制御の前記制御量と予め定めた設定値との比較結果に基づいて前記減速制御の制御量を設定する手段を備えていることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  3. 請求項2に記載のモータ駆動制御装置において、前記定速制御をするときに予め定めた回数の制御量を保持する保持手段と、この保持手段で保持された制御量の平均値と予め定めた値とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に応じて前記制御量を演算するときの積分成分を再設定する手段とを備えていることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のモータ駆動制御装置において、前記減速制御の開始時に目標値を0にする期間が設定されることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載のモータ駆動制御装置において、前記目標値を生成する速度プロファイルには定速領域よりも低い等速の低等速領域が設定されていることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  6. 被記録媒体をDCサーボモータを含む副走査機構によって送り、前記被記録媒体に液滴を吐出して画像を形成する画像形成装置において、前記DCサーボモータを駆動制御するための請求項1ないし5のいずれかに記載のモータ駆動制御装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

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