以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像形成装置の一例について図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を示す概略構成図、図2は同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図、図3は同副走査搬送部の側面説明図である。
この画像形成装置は、装置本体1の内部(筺体内)に、画像を形成するための画像形成部(手段)2、副走査搬送部(手段)3等を有し、装置本体1の底部に設けた給紙部(手段)4から被搬送部材である被記録媒体(以下「用紙」というが、材質を紙に限定するものではない。)5を1枚ずつ分離して給紙し、副走査搬送部3によって用紙5を画像形成部2に対向する位置で間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって用紙5に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、排紙搬送部6を通じて装置本体1の上面に形成した排紙トレイ7上に用紙5を排紙する。
また、この画像形成装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、装置本体1の上部で排紙トレイ7の上方には画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を備えている。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む走査光学系15と、ミラー16、17を含む走査光学系18とが移動して、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像の読み取りを行い、走査された原稿画像がレンズ19の後方に配置した画像読み取り素子20で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。なお、コンタクトガラス12上には原稿を押えるための圧板10を備えている。
さらに、この画像形成装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、外部のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データを含む印刷データ等をケーブル或いはネットワークを介して受信可能であり、受信した印刷データを処理して印刷することができる。
ここで、この画像形成装置の画像形成部2は、図2にも示すように、キャリッジガイド21及び図示しないガイドステーでキャリッジ23を主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28aと従動プーリ28b間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する。
そして、このキャリッジ23上に、それぞれの色の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24を搭載し、キャリッジ23を主走査方向に移動させ、副走査搬送部3によって用紙5を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら記録ヘッド24から液滴を吐出させて画像形成を行うシャトル型としている。
記録ヘッド24は、それぞれブラック(Bk)インクを吐出する2個の液滴吐出ヘッド24k1、24k2と、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液滴吐出ヘッド24c、24m、24yの計5個の液滴吐出ヘッド(以下単に「ヘッド」という。)で構成され、キャリッジ23に搭載した各サブタンク25からそれぞれ各色のインクが供給される。
一方、図1に示すように、装置本体1の前面からカートリッジ装着部26Aに、ブラック(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した記録液カートリッジである各色のインクカートリッジ26を着脱自在に装着でき、各色のインクカートリッジ26から各色のサブタンク25にインクを供給する。なお、ブラックインクは1つのインクカートリッジ26から2つのサブタンク25に供給する構成としている。
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、図2に示すように、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するためのヘッドクリーニング装置を含む維持回復装置121を配置している。この維持回復装置121は、5個の記録ヘッド24の各ヘッドのノズル面をキャピングするための5個の保湿用キャップ122k2、122k1、122c、122m、122y(色を区別しないときは「保湿用キャップ122」という。)と、1個の吸引用キャップ123と、記録ヘッド24のノズル面をワイピングするためのワイパーブレード124と、記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行うための空吐出受け125などを備えている。
さらに、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、図2に示すように、5個の記録ヘッド24から記録(画像形成)に寄与しない液滴の吐出(空吐出)を行うための空吐出受け(空吐出受け部材)126を備えている。この空吐出受け126には、記録ヘッド24に対応して5個の開口127k2、127k1、127c、127m、127y(色を区別しないときは「開口127」という。)を形成している。
副走査搬送部3は、下方から給紙された用紙5を略90度搬送方向を転換させて画像形成部2に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ32とテンションローラである従動ローラ33間に架け渡した無端状の搬送ベルト31と、この搬送ベルト31の表面を帯電させるために高圧電源から交番電圧である高電圧が印加される帯電手段である帯電ローラ34と、搬送ベルト31を画像形成部2の対向する領域でガイドするガイド部材35と、用紙5を搬送ローラ32に対向する位置で搬送ベルト31に押し付ける押さえコロ(加圧コロ)36と、画像形成部2によって画像が形成された用紙5を搬送ベルト31から分離するための分離爪37と、分離された用紙5を排紙搬送部6に送り出すための搬送ローラ38を備えている。
この副走査搬送部3の搬送ベルト31は、図3にも示すように、副走査モータ131からタイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ32が回転されることで、図2の用紙搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト31は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)との2層構造としているが、これに限るものではなく、1層構造あるいは3層以上の構造でも良い。
また、従動ローラ33と帯電ローラ34との間に、搬送ベルト31の表面に付着した紙粉等を除去するためのクリーニング手段(ここではマイラを用いている。)135と、搬送ベルト31表面の電荷を除去するための除電ブラシ136とを備えている。
さらに、搬送ローラ32の軸32aには高分解能のコードホール137を取り付け、このコードホイール137に形成した図示しないスリットを検出する透過型フォトセンサ138を設けて、これらのコードホイール137とフォトセンサ138によってロータリエンコーダを構成している。
また、搬送ベルト31の裏面側の表面(搬送ローラ32外周面と接する面)には、図示しないリニアスケールを形成し、このリニアスケールを読み取るための反射型フォトセンサ139を設けて、これらのリニアスケールとフォトセンサ139によってリニアエンコーダを構成している。なお、リニアスケールは、搬送ベルト31の裏面側の表面にアルミを蒸着した後レーザ光で飛ばして縞模様に形成したものを用いることができる。また、このリニアスケールはガイド部材35によって反射型フォトセンサ139による読取りが邪魔されない部位に設けられる。さらに、センサ139に隣接して、搬送ベルト32の裏面側の表面に設けたリニアスケールのつなぎ目をけんちするためのつなぎ目センサ140を設けている。
給紙部4は、装置本体1に抜き差し可能で、多数枚の用紙5を積載して収納する給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙5を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ42及びフリクションパッド43と、給紙される用紙5を副走査搬送部3に対して搬送する給紙搬送ローラ44とを有している。
給紙コロ42は図示しない給紙クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ(駆動源)45によって回転され、また給紙搬送ローラ44も給紙モータ45によって回転駆動される。給紙モータ45としてステッピングモータを用いることによって、外乱に強くなり、給紙分離負荷等の大きな負荷変動があっても正確な給紙を行うことができ、副走査モータ131との同期制御が容易になるとともに、ループ形成制御が容易になる。
排紙搬送部6は、画像形成が行われた用紙5を搬送する排紙搬送ローラ対61、62と、用紙5を排紙トレイ7へ送り出すための排紙搬送ローラ対63及び排紙ローラ64とを備えている。
そして、この画像形成装置においては、図1及び図4に示すように、給紙搬送ローラ44から搬送ローラ31と押さえコロ36との間のニップ部に至る搬送路91で用紙5を撓ませてループを形成するものとし、このループ形成する搬送路91を形成するためのガイド板92、93のうちの、外側のガイド板93を矢示方向に揺動自在に配置に設けている。これにより、用紙5のループが形成されるときに用紙5の屈曲負荷でガイド板93が搬送路91から退避する方向に揺動できるようにしている。
また、給紙搬送ローラ44の出口付近では搬送路91を搬送される用紙5のループ量を検知するための検知手段を構成するループセンサ95を設けている。このループセンサ95としては、用紙5のループ量に応じて変位するフィラを備え、このフィラの変位量に基づいてループ量を検出する構成などを採用することができる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4のブロック図を参照して説明する。
この制御部300は、装置全体の制御を司るCPU301と、CPU301が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
また、この制御部300は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F307と、記録ヘッド24を駆動制御するためのヘッド駆動制御部308及びヘッドドライバ309と、主走査モータ27を駆動するための主走査モータ駆動部311と、副走査モータ131を駆動するための副走査モータ駆動部312と、給紙モータ45を駆動するための給紙モータ駆動部313と、維持回復装置121を作動させるモータ315を駆動するための維持回復系駆動部314と、給紙クラッチ317などのクラッチ類を駆動するためのクラッチ類駆動部316と、帯電ローラ34に搬送ベルト31を帯電させるための高電圧である交番電圧(ここでは、矩形波)を印加するACバイアス供給部318と、その他、図示しないがインク供給系のモータなどを駆動する部分を備えている。
なお、副走査モータ131と給紙モータ45とを同期させて駆動制御する手段はこの制御部300が兼ねている。
また、この制御部300には、前述したループセンサ95と、図3に示すように、搬送ローラ32及び押さえローラ36を通過した用紙5を記録ヘッド24の上流側で検知する印写開始センサ201と、搬送ローラ38の下流側で用紙5を検知する印写終了センサ202と、維持回復装置121の図示しないホーム位置センサ、環境温度や湿度を検知するセンサ、装置のカバーオープンを検知するセンサなどの各種センサからの検知信号などを入力するI/O319を備え、更にこの装置に必要な情報の入力及び表示をおこなうための操作パネル320が接続されている。
制御部300は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F307で受信する。
そして、CPU301は、I/F307に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部308に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM302にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
ヘッド駆動制御部308は、記録ヘッド24の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ309にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ309に送出する。このヘッド駆動制御部308は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM302で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
また、ヘッドドライバ309は、ヘッド駆動制御部308からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部308からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド24のアクチュエータ手段に印加してヘッドを駆動する。
さらに、制御部300は、ACバイアス供給部316を制御して、搬送ベルト31で用紙5を吸着して搬送するときには、所要の吸着力が生じる帯電を行わせるための電圧値を有する交番電圧を帯電ローラ34に印加させる。また、所要のタイミングなどで、所要の吸着力を生じる交番電圧を印加した状態から交番電圧を印加しない状態にしたときに生じる吸着力よりも小さい吸着力を生じる電圧値(又は周波数でもよい。)の交番電圧を帯電ローラ34に印加させることで、搬送ベルト31の吸着力を低減させる。
このように構成したこの画像形成装置においては、ACバイアス供給部316から帯電ローラ34に交番電圧である正負極の矩形波の高電圧を印加することによって、帯電ローラ34は搬送ベルト31の絶縁層(表層)に当接しているので、搬送ベルト31の表層には、正と負の電荷が搬送ベルト31の搬送方向に対して交互に帯状に印加され、搬送ベルト21上に所定の帯電幅で帯電が行われて不平等電界が生成される。
そこで、用紙5が給紙部4から給紙されて、搬送ローラ32と押えコロ36との間に送り込まれて、正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト31上へと送り込まれると、用紙5は電界の向きにならって瞬時に分極し、静電吸着力で搬送ベルト31上に吸着され、搬送ベルト31の移動に伴って搬送される。
そして、この搬送ベルト31で用紙5を間歇的に搬送しながら、用紙5上に記録ヘッド24から記録液の液滴を吐出して画像を記録(印刷)し、印刷が行われる用紙5の先端側を分離爪37で搬送ベルト31から分離して搬送ローラ38で排紙搬送部6に送り出す。
そこで、この画像形成装置における副走査モータの駆動制御について図6及び図7をも参照して説明する。なお、図6は副走査の駆動制御に係わる部分を機能的に説明するブロック説明図、図7は副走査の説明に供するエンコーダ出力の説明図である。
まず、副走査搬送部3の搬送ベルト31に形成したリニアスケールとセンサ139で構成されるリニアエンコーダ401と、搬送ローラ32の軸32aに設けたコードホイール136とセンサ137で構成されるロータリエンコーダ402の各出力信号は、エンコーダ信号処理部403に与えられ、このエンコーダ信号処理部403で速度及び位置情報に変換される。そして得られた速度及び位置情報を信号処理合成部404にて合成処理した後、比較演算部405に与える。
一方、この比較演算部405には速度・位置プロファイル格納部406に格納されている速度・位置プロファイルの情報が与えられており、比較演算部405はこれらの信号処理合成部404から与えられる速度及び位置情報(の合成情報)と速度・位置プロファイル格納部406に格納されている速度・位置プロファイルの情報とを比較して、偏差を演算する。
そして、この比較演算部405で得られた偏差に基づいてPID制御演算部407はPID演算を行ってPWM信号を生成する。つまり、PID制御演算部407は、比較演算部405からの偏差に対してPID(比例、積分、微分)制御を行って制御値を演算する。ここでは、副走査モータ131をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御で駆動するものとして、PID制御演算部407は偏差に対してPID制御を行ってPWMのデューティ比を求め、このPWMのデューティ比をモータドライバ408に与えてPWM制御で副走査モータ131を駆動させることにより、搬送ベルト31を目標とする速度で目標とする位置に駆動するようにしている。
このリニアエンコーダ出力とロータリエンコーダ出力に基づく副走査モータの駆動制御の一例の具体例について図7を参照して説明する。
搬送ベルト31が搬送ローラ32の回転によって移動すると、リニアエンコーダ401からは図7(a)に示すようなリニアエンコーダ出力が出力され、また、ロータリエンコーダ402からは図7(b)に示すようなロータリエンコーダ出力が出力される。ここでは、リニアエンコーダ401としては100LPI以上の分解能を有するものを、ロータリエンコーダ402としては300LPI以上、4800CR以上のものを使用することが好ましい。
この場合、リニアエンコーダ401の分解能は搬送ベルト31の送り量をそのまま表わす。ここでは、リニアエンコーダ401の分解能は150LPIとしているので、1分解能当りのベルト送り量は169.3μmとなる。
一方、ロータリエンコーダ402の1分解能当たりの搬送ベルト31の送り量がいくらになるかは、1周当りのパルス数と搬送ローラ32の径及び搬送ベルト32の厚みで決定されることになる。ロータリエンコーダ402を構成するコードホイール137の分解能が大きく(スリットのピッチが細かく)、ホイール137の外径が大きいほど1周当りのパルス数は多くなる。また、搬送ローラ32の径が小さいほどロータリエンコーダ1パルス当りのベルト送り量は小さくなる。
ここでは、コードホイール137の分解能を600LPIとして、これを逓倍処理(この例では4逓倍)して2400LPIとし、コードホイール137と搬送ローラ32の径(ベルトの厚み込み)の関係を4:1にしているので、搬送ベルト32上に換算したロータリエンコーダ402の分解能は4倍され、2400LPI×4=9600LPIとなり、1分解能当たりのベルト送り量は約2.65μmとなる。
そこで、ロータリエンコーダ出力でNパルス分、搬送ベルト32を移動させるとする。このとき、図7に示すリニアエンコーダ出力1パルスの距離L1とロータリエンコーダ1パルスの距離L2の関係は、L1=L2×64と仮定すると、ロータリエンコーダ換算でのNパルスの移動量は、リニアエンコーダのパルス数をn1、ロータリエンコーダの端数をn2(=0〜64)としたとき、次の(1)式で表わされる。
N=64×n1+n2……(1)
これを上記具体例の移動量で表わすと、2.65μm×N=169.3μm×n1+2.65μm×n2となる。例えば、N=1000パルス(移動量2.65mm)としたとき、n1=15、n2=40となる。
なお、(1)式における「64」はL1とL2の比であるから、これを相関係数としてaで表わすと、(1)式は、次の(2)式で表わすことができる。
N=a・n1+n2……(2)
このように、ある移動量だけ搬送ベルト31を移動させるためのリニアエンコーダ401及びロータリエンコーダ402のパルス数n1、n2を求めるには、まずパルス数N(1000パルスとする。)をL1とL2の相関係数a(ここでは、9600LPI/150LPI=64とする。)で除算し、その商(ここでは、15.625となる。)の整数部(15)をリニアエンコーダ401のパルス数n1とする。次に、(2)式より、n2=N−a・n1=1000−64×15=40を求める。
つまり、移動量の算出にあたり、先に分解能の低いエンコーダのパルス数を決定し(移動量を越えない値に)、端数(残りの移動量)に相当する分解能の高いエンコーダのパルスウ数n2を決定する。例えば、移動量5.3mmのとき、N=2000パルスであるから、2000/64の商の整数部「31」をリニアエンコーダ401のパルス数n1とし、n2=2000−64×31=16を求める。
ここでは、移動量の指定はロータリエンコーダ402のパルス数Nで行っている。ただし、実際にロータリエンコーダ401の出力を用いるのは端数(0〜63)のみであり、移動量の大部分はリニアエンコーダ401の出力を元に制御する。上記の例では、ロータリエンコーダ402の1パルスの距離L2はリニアエンコーダ401の1パルスの距離L1の1/64であるから、実際の搬送ベルト31の移動量に占めるロータリエンコーダの割合は小さく、部品精度の影響を低減することができる。
つまり、ロータリエンコーダの出力だけで搬送ベルトの移動量を制御する場合には、搬送ローラ、搬送ベルト、用紙という段階を経ることになるので、搬送ローラ自体の部品精度や温度などによるローラ径の変動、搬送ベルト自体の部品精度や温度などによるベルトの伸縮などの誤差要因が重畳されることになり、ロータリエンコーダの出力と実際の用紙の移動量との間の誤差が大きくなるおそれがある。
これに対して、搬送ベルトの移動量を直接検出するリニアエンコーダを備えることで、用紙の実際の移動量をより直接的に検出することが可能になり、しかも、リニアエンコーダ出力だけでは分解能が十分得られないことから、これにロータリエンコーダ出力を組み合わせることによって、より高精度に移動量制御を行うことができるようになる。
次に、用紙の副走査搬送と給紙搬送について図8をも参照して説明する。
まず、給紙クラッチ317をオン状態にし、給紙モータ45を所定の送り量で駆動することにより、給紙カセット41に収容された用紙5を1枚ずつ給紙し、給紙モータ45で回転駆動されている給紙搬送ローラ44によって更に搬送し、図4に実線で示すように、搬送路91を経て、副走査搬送部3の搬送ベルト31と押さえコロ36とのニップ部に用紙5の先端が達するまで、用紙5を搬送する。
このとき、副走査モータ131を停止した状態にしておくことで、搬送ベルト31と押さえコロ36とのニップ部に先端が当接した用紙5は、給紙搬送ローラ44による搬送力を受けて更に搬送されるので、図4に破線で示すように撓み(外方に膨らみ)、初期のループ5aが形成される。
そして、用紙5の送り量が所定量になったとき、つまり、用紙5に搬送路91中でループ5aが形成される送り量だけ用紙5を給紙搬送したときに、副走査モータ131の駆動を開始して、以後は、給紙モータ141を副走査モータ131に同期させて駆動制御し、常に、搬送路91中で用紙5のループ5aが維持される送り量で副走査送りと給紙搬送とを行う。この場合、副走査モータ131を駆動して用紙5を間歇的に送るときに、副走査モータ131による副走査送り量に基づいて、用紙5が副走査で送られる量だけ給紙モータ45を駆動して用紙5を給紙搬送することによって、搬送路91中で用紙5のループ5aが維持されることになる。
このように、副走査搬送手段と給紙搬送手段との間の搬送路中で用紙を撓ませてループを形成し、給紙モータと副走査モータとを同期させて、副走査送り量に基づいて給紙搬送量を設定して駆動することによって、ループを維持することができて、用紙に掛かるバックテンション変動などの影響が低減し、副走査送り精度が高くなるので、画像品質が向上する。
また、前述したように副走査の駆動制御を閉ループ(フィードバック)制御で行う場合、外乱(負荷変動)があると、目標とする停止位置で停止させるまでの時間がかかる。一方、副走査の駆動制御をオープンループ制御で行った場合には停止位置精度が十分でなく描画される画像の品質が低下することになる。
そこで、上述したようにループを形成し、給紙モータを副走査モータに同期させて駆動することによって、副走査の駆動制御をフィードバック制御で行った場合でも、負荷変動が低減されることによって、所要の停止位置に短時間で停止させることができるようになるので、高品質の画像を高い生産性で形成することができるようになる。
この場合、初期ループを形成した後に副走査送りと給紙搬送送りの同期制御を行うようにすることで、ループ量がゼロになることを防止でき、良好なループ量を維持した送り制御が可能になる。実験によると、初期ループ量としては、搬送路91を基準として最大撓み量が10mm以下であることが好ましく、特に好ましくは5〜6mmであった。したがって、初期ループ量をこの範囲にすることで、良好なループ量を維持した送りを行うことができる。
また、搬送路91を形成する外側(用紙5が膨らむ側)のガイド板93を揺動自在とすることによって、用紙5のループ量が大きくなりすぎた場合に、ガイド板93が退避することができて、ループ量の増大による力が副走査搬送部に作用することを防止できる。
その後、用紙5の後端部が給紙搬送ローラ44を通過する状態になったときには、ループセンサ95の検知結果に基づいて給紙モータ45の送り量を低減して、用紙5の後端が給紙搬送ローラ44を抜ける時にループ量が最小になるように制御する。
このように、用紙の後端が給紙搬送ローラを抜ける時にループ量が最小になるようにすることで、用紙の後端けりだしの影響を低減することができる。つまり、用紙が給紙搬送ローラを抜ける時のループ量が大きいと、用紙の腰によって副走査搬送部に対して力を作用させることになり、副走査送りが安定しなくなることがあるので、ループ量を小さくして、この影響を低減するのである。
次に、用紙搬送動作の他の例について図9をも参照して説明する。
この例では、まず、給紙クラッチ317をオン状態にし、給紙モータ45を所定の送り量で駆動することにより、給紙カセット41に収容された用紙5を1枚ずつ給紙し、給紙モータ45で回転駆動されている給紙搬送ローラ44によって更に搬送するとともに、副走査モータ131を設定送り量で駆動開始する。
これにより、搬送路91を経て、副走査搬送部3の搬送ベルト31と押さえコロ36とのニップ部に用紙5の先端が達し、更に搬送ベルト31によって用紙5が搬送される。このとき、給紙モータ45による送り量が副走査モータ131による送り量よりも多いので、前述した例と同様にして、用紙5は搬送路91でループ5aが形成される。
そして、印写開始センサ201が用紙5の先端を検知したときから、以後は、給紙モータ45を副走査モータ131に同期させて駆動制御して、常に搬送路91中で用紙5のループ5aが維持される送り量で副走査送りと給紙搬送とを行う。この場合、副走査モータ131を駆動して用紙5を間歇的に送るときに、副走査モータ131による副走査送り量に基づいて、用紙5が副走査で送られる量だけ給紙モータ45を駆動して用紙5を給紙搬送することによって、搬送路91中で用紙5のループ5aが維持されることになる。
次に、同期制御の一例について図10を参照して説明する。
給紙モータ45を副走査モータ131に同期させて駆動制御するには、用紙5の副走査を行うときには、副走査モータ131による副走査送り量を設定し、給紙モータ45よる給紙送り量を副走査送り量と同じに設定した後、副走査モータ131と給紙モータ45の駆動を開始する。そして、設定送り量だけ用紙5を搬送するための副走査モータ131及び給紙モータ45の駆動制御を行ったときには、副走査モータ131及び給紙モータ45の駆動を停止する。
これにより、給紙モータ45の送り量を副走査モータ131の送り量にあわせることができ、前述したように初期ループ状態を維持したまま用紙5を搬送することができる。
ここで、副走査送りの速度プロファイルの一例について図11を参照して説明する。副走査送りでは、時点t0からt1まで加速を行い、時点t1からt2まで定速で駆動し、時点t2から減速を行うが、副走査速度を制御できる一番遅い速度になる時点t3まで減速した後、暫く定速を維持して時点t4で停止させるという速度プロファイルを使用している。これにより、副走査送りの精度を向上することができる。
この場合、給紙モータ45の駆動制御は副走査モータ131の速度プロファイルに従って行うことができるが、給紙モータ45にはステッピングモータを使用しているので時点t3で停止させることになる。
次に、同期制御の他の例について図12を参照して説明する。
前述したように、初期ループを形成した後副走査送りと給紙送りの同期制御(送り量を同じにする駆動制御)を行うようにすれば、初期ループ量がそのまま維持されることになるが、実際には、搬送ローラ32や給紙搬送ローラ44の径の初期バラツキや環境変化によるバラツキ、環境変化による用紙5と搬送ベルト31や給紙搬送ローラ44の摩擦抵抗の変動など、種々の要因によって、副走査モータ131、給紙モータ45の駆動量が一定であっても、用紙5の実際の送り量が変動することがある。
そのため、用紙5の送り量の変動によって用紙5のループ量も変動することになり、ループ量がゼロになったり、あるいは、極端に多くなって副走査搬送部に対して却って力が作用したりするようなこともある。
そこで、ここでは、図12に示すように、用紙5のループ量をループセンサ95によって検出して、ループ量が設定量よりも減少したときには給紙モータ45の送り量を増加してループ量を増加させ、また、ループ量が設定量よりも増加したときには給紙モータ45の送り量を減少してループ量を減少する制御を行っている。
これにより良好なループ量を安定して維持しながら用紙を送ることができるようになり、高い副走査送り精度で、安定して、用紙を搬送することができるようになる。
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施形態について図13を参照して説明する。
この画像形成装置はフルライン型ヘッドを備えたライン型画像形成装置であり、簡単に説明すると、装置本体501の内部に画像形成部502及び用紙を搬送する搬送機構503等を有し、装置本体501の一方側に多数枚の用紙505を積載可能な給紙トレイ504を備え、この給紙トレイ504から給紙される用紙505を取り込み、副走査搬送機構503によって用紙505を搬送しながら画像形成部502によって所要の画像を記録した後、装置本体501の他方側に装着された排紙トレイ506に用紙505を排紙する。
画像形成部502は、記録液を収容した記録液カートリッジと記録液の液滴を吐出するインクジェットヘッドとを一体とし、用紙の幅方向(搬送方向と直交する方向)の長さ相当分のノズル列を有するライン型ヘッド510y、510m、510c、510kを備えたものである。これらのライン型ヘッド510y、510m、510c、510kは図示しないヘッドホルダに取り付けている。
ライン型ヘッド510y、510m、510c、510kは、用紙搬送方向上流側からそれぞれ例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に各色の液滴を吐出する。なお、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で配置した1つのヘッドを用いることもできるし、ヘッドと記録液カートリッジを別体としたものを用いることもできる。
給紙トレイ504の用紙505は、給紙コロ521によって1枚ずつ分離され装置本体501内に給紙され、用紙供給ローラ522によって搬送機構503に送り込まれる。
この搬送機構503は、駆動ローラ523と従動ローラ524との間に掛け渡した搬送ベルト525と、この搬送ベルト525を帯電させるための帯電ローラ526と、搬送ベルト525を画像形成部502に対向する部分で案内するガイド部材(プラテンプレート)527と、搬送ベルト525に付着した記録液(インク)を除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなる記録液拭き取り部材(ここでは、クリーニングローラ)528と、用紙505を除電するための導電ゴムを主体とした除電ローラ529と、用紙505を搬送ベルト525側へ押える用紙押さえローラ530とを備えている。なお、搬送ベルト525の構成は前記実施形態と同様である。
また、搬送機構503の下流側には画像が記録された用紙505を排紙トレイ506に送り出すための排紙ローラ531(下側はローラ、上側は拍車)を備えている。
このように構成した画像形成装置においても、搬送ベルト525を帯電させて用紙505を送り込むことによって、静電力で用紙505が搬送ベルト525に吸着されて、搬送ベルト525の周回移動によって搬送(副走査)され、画像形成部502によって画像が形成されて、排紙トレイ506に排紙される。
そして、この画像形成装置においても、給紙コロ521及び用紙供給ローラ522を回転駆動する図示しない給紙モータを、搬送ベルト525を周回移動させる搬送モータ(副走査モータ)に同期させて駆動制御することによって、用紙に掛かるバックテンション変動などの影響が低減し、副走査送り精度(用紙送り精度)が高くなるので、画像品質が向上する。
なお、上記実施形態においては、給紙モータ(給紙搬送手段の駆動源)としてステッピングモータを用いてオープンループ制御を行う例で説明しているが、クローズドループでの制御も可能である(ただし、外乱に対して弱くなる。)や、予め制御値を設定するフィードフォワード制御などを行うこともできる。
また、上記実施形態においては、本発明をマルチファンクション(MFP)の画像形成装置に適用した例で説明したが、プリンタやファクシミリ装置などの他の画像形成装置にも同様に適用することができる。また、インク以外の記録液を使用する画像形成装置にも適用することができる。