JP2005133175A - 磁気特性、耐変形性の優れた電磁鋼板とその製造方法 - Google Patents

磁気特性、耐変形性の優れた電磁鋼板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 部材への磁束、電流の透過または動作に伴う摩擦等により少なからざる温度上昇を伴う部品として用いられた場合の、特に疲労やクリープ現象に対しての耐変形性、または耐摩耗性とともに、磁束密度や鉄損など優れた磁気特性を両立させ、超高速回転モーターやローターに磁石を組み込んだモーターおよび電磁開閉器用材料の高効率化、小型化、超寿命化が可能となる電磁鋼板を供給する。
【解決手段】 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、製造工程途中でのC量または固溶C量、結晶組織を制御し、必要に応じて製造工程の途中で脱炭を行うことで、最終製品でのC量、固溶C量、炭化物形態、結晶組織を最適に制御し、磁気特性と耐変形性を両立させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電磁鋼板、特に無方向性電磁鋼板に係わり、低鉄損、かつ高磁束密度に加え、回転機で問題となる耐変形、特に疲労やクリープによる変形・破壊、さらに電磁開閉器用の耐摩耗性に優れた磁性材料とその製造方法に関する。
従来、回転機器に要求されていた回転数は、高々10万rpm 程度であり、ローター(回転子)用材料には積層された電磁鋼板が用いられてきた。最近、20〜30万rpm もの超高速回転が要求されるようになり、ローターに加わる遠心力により、電磁鋼板が変形する可能性が出てきた。さらにローターに磁石を組み込む構造のモーターも多くなっており、ローターの回転中にローター材料自身に加わる荷重は大きなものとなっている。この時の材料の変形は通常使用条件の範囲では外力が材料強度(降伏応力)を超えて起きるものではなく、外力が材料の降伏応力よりもはるかに低い場合に発生する。ここで材料に要求される特性は疲労強度やクリープ強度である。一般的にはこれらの特性は材料の強度(降伏応力)との相関があるため、対策として高強度材料を使用することが多いが、厳密には最適な解決法とはなっていない。特に材料の使用中は部材の温度が上昇するため、この影響を考慮する必要がある。
また、電磁開閉器はその用途上、使用するにつれて接触面が摩耗するため、電磁特性だけでなく耐摩耗性の優れた磁性材料が望まれる。このような用途でも一般には材料の高強度化が一つの対策になるが、やはり、材料の温度上昇を加味した最適解の適用が好ましいことは言うまでもない。
このようなニーズに対応して、最近では強度が高い無方向性電磁鋼板について検討され、いくつか提案されている。例えば、特許文献1では、Si含有量を高め、さらにMn,Ni,Mo,Crなどの固溶体強化成分または析出強化を目的とした析出物形成元素の1種または2種以上を多量に含有させたスラブを素材とすることが提案されているが、圧延時に板破断の発生が頻発する恐れが極めて大きくなり、低速通板、圧延時の板温度、張力等について厳格な管理が必要なため生産性の低下、歩留りの低下をもたらし、生産コストが顕著に上昇する。しかもNiやMo,Crを多量に含有しているために極めて高価な材料となる。また合金元素の添加による磁気特性、特に磁束密度の低下は避けられない。特に多量に追加して添加される元素の偏析や製造時の鋼材温度の不均一により生ずる析出物分布の不均一制のため材料の結晶組織が混粒となり磁気特性を著しく劣化させることが問題となっている。
このような背景で本発明者は、特許文献2,3に示すような様々な高強度素材の提案を行ってきた。これらは従来の高強度素材と比較すれば非常に優れたものではあるが、一般の電磁鋼板と比較すると添加元素や特別な製造工程のため磁気特性の少なからざる劣化は避けることができない。また、これらの材料では使用時の温度上昇の影響については何ら考慮されておらず、用途によっては最適な材料とはなっていない。
特開平1−162748号公報 特願2003−347113 特願2003−347084
このように、高強度の電磁鋼板について多くの提案がなされているが、強度特性を限定しない一般的な電磁鋼板と同等以上の磁気特性を確保しつつ、材料使用時の温度上昇の影響を考慮した最適な特性制御が行われ、かつ通常の電磁鋼板製造設備を用いて、工業的に安定して製造するまでに到っていないというのが実情である。
本発明は、材料の強度をそれほど上昇させることなく、モーターや電磁開閉器のように可動部を有する部材として用いられる際に、部材への磁束、電流の透過または動作に伴う摩擦等により少なからざる温度上昇を伴う部品として用いられた場合に、特に疲労やクリープ現象に対しての耐変形性、または耐摩耗性を有するとともに、磁場下で使用される際に磁束密度や鉄損など優れた磁気特性を兼ね備えた電磁鋼板を例えば冷間圧延性など通常の電磁鋼板と変わることなく、安定してオンラインで製造することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(2) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材内のFeを主体とする炭化物の平均直径が0.1μm以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(3) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材内のFeを主体とする炭化物の数密度が0.1個/μm3以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(4) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の粗粒部の粒径と細粒部の粒径の比が2以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(5) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の集合組織において{110}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(6) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の集合組織において{100}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(7) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材内のFeを主体とする炭化物の平均直径が0.1μm以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(8) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材内のFeを主体とする炭化物の数密度が0.1個/μm3以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(9) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の粗粒部の粒径と細粒部の粒径の比が2以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(10) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の集合組織において{110}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(11) 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の集合組織において{100}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
(12) 固溶Cの値として、製品を200℃に加熱し、水冷した後に測定した値を用いることを特徴とする、(1),(7)〜(11)の磁気特性の優れた電磁鋼板。
(13) 質量%で、さらに、Nb,Ti,V,Zr,Mo,Wの各々を0.010%以下含有することを特徴とする(1)〜(12)の磁気特性の優れた電磁鋼板。
(14) 質量%で、さらに、B:0.010%以下,Cr:10.0%以下,Cu:8.0%以下,Ni:2.5%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(13)の磁気特性の優れた電磁鋼板。
(15) 質量%で、さらに、Sn,Sb,Mg,Ca,Ce,Coの1種または2種以上を合計で0.0001%以上,0.5%以下含有することを特徴とする(1)〜(14)の磁気特性の優れた電磁鋼板。
(16) (1)〜(15)の鋼板を製造する方法において、冷延率20%以上の冷間圧延工程直前の固溶C量が0.0005%以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(17) (16)の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程以前の熱処理工程において300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく冷間圧延を開始することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(18) (16),(17)の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程直前の鋼板の結晶粒径が100μm以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(19) (16)〜(18)の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程以前の700℃以上の熱処理工程について、1000℃〜1200℃で5秒以上10分以下、または700℃〜999℃で10分以上30時間以下の熱処理を行い、その後冷間圧延を開始することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(20) (1)〜(15)の鋼板を製造する方法、もしくは(16)〜(19)の鋼板の製造方法のうち、製造工程の一時期においてC含有量が0.005%以上であり、製造工程の途中で脱炭することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(21) (20)の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程においてC含有量が0.005%以上であり、その後脱炭することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(22) (20),(21)の鋼板の製造方法のうち、脱炭によるCの低下量が0.002%以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(23) (20)〜(22)の鋼板の製造方法のうち、脱炭後のC量が0.08%以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(24) (20)〜(23)の鋼板の製造方法のうち、脱炭が冷延後の再結晶を伴う最終的な熱処理工程で行われることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(25) (20)〜(24)の鋼板の製造方法のうち、脱炭が脱炭雰囲気中で鋼板温度500℃以上,10分以下で行われることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
(26) (1)〜(15)の鋼板を製造する方法、もしくは(16)〜(25)の鋼板の製造方法のうち、300℃以上に加熱する最終の熱処理工程において300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく製品として提供されることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
以上説明したように、本発明によれば、モーターや電磁開閉器のように可動部を有する部材として、部材への磁束、電流の透過または動作に伴う摩擦等により少なからざる温度上昇を伴う部品として用いられた場合に、特に疲労やクリープ現象に対しての耐変形性、または耐摩耗性を向上させるとともに、磁場下で使用される際の磁束密度や鉄損など優れた磁気特性を兼ね備えた電磁鋼板を得ることができる。これにより超高速回転モーターやローターに磁石を組み込んだモーターおよび電磁開閉器用材料の高効率化、小型化、超寿命化などが達成される。
本発明は、C:0.080%以下,Si:0.5〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有する鋼材であって、製造工程におけるC量、特に固溶C量と製品のC量、特に固溶C量を制御することにより、磁気特性と部材の耐変形性を両立させた電磁鋼板を得るものである。
先ず、本発明による電磁鋼板の成分組成について説明する。
Cは磁気特性を劣化させるので0.080%以下とする。後述のように本発明においては製造中に多量のCを利用することで磁気特性を改善する目的もあるため、製造工程の途中ではより高いCを含有させておき、脱炭により最終的にCを減じることも可能である。最終的な製品でのC量は磁気特性の観点から0.060%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.040%以下、さらに好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.010%以下、さらに好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.002%以下、0.001%以下としても構わない。ただし脱炭に要する時間や耐変形性の観点からは0.0005%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは0.001%以上、さらに好ましくは0.002%以上、さらに好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.020%以上、さらに好ましくは0.040%以上である。
Siは鋼の固有抵抗を高めて渦電流を減らし、鉄損を低下せしめるとともに、抗張力を高めるが、添加量が0.2%未満ではその効果が小さい。Si含有量を増大させれば磁気特性をあまり劣化させず鉄損を大きく低減することが可能であり、C含有量が同じ場合でも本発明で重要な要件である固溶C量を高めることが可能となるため、好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは2.5%以上とする。ただし3.5%を超えると鋼を脆化させ、さらに製品の磁束密度を大きく低下させるため3.5%以下とする。脆化の懸念をさらに小さくするには3.2%以下が好ましく、2.8%以下であれば他の元素量との兼ね合いもあるが脆化に関してはほとんど考慮する必要がなくなる。
MnはSiと同様に鋼の強度を高め、また固有抵抗を高め渦電流損失を低減させるとともに、硫化物を粗大化させ結晶粒成長を促進することで鉄損を低減させる目的で添加するが過剰な添加は磁束密度を低下させるとともに、鋼中に偏析しやすいため製品での結晶組織の混粒の原因となり磁気特性を劣化させるので、0.05〜3.0%とする。好ましくは0.5%〜2.5%、さらに好ましくは0.8%〜2.0%である。
Pは抗張力を高める効果の著しい元素であるが、上記のMnと同様、本発明鋼ではあえて添加する必要はない。0.3%を超えると脆化が激しく、工業的規模での熱延、冷延等の処理が困難になるため、上限を0.30%とする。好ましくは0.20%以下、さらに好ましくは0.15%以下である。
Sは本発明では特に限定する必要はないが、MnやCuと結合し易く硫化物を形成し磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合があるので、Sの含有量はできるだけ低いことが好ましく、0.0060%以下と限定する。好ましくは0.0040%以下、さらに好ましくは0.0030%以下、さらに好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0010%以下である。
Alは通常、脱酸剤として添加されるが、Alの添加を抑えSiにより脱酸を図ることも可能である。Al量が0.005%程度以下のSi脱酸鋼ではAlNが生成しないため鉄損を低減する効果もある。逆に積極的に添加しAlNの粗大化を促進するとともにSiと同様に固有抵抗増加により渦電流損失を抑制し鉄損を低減させることもできるが、3.0%を超えると脆化が問題になるとともに磁束密度が低下するため、3.0%以下とする。好ましくは0.1〜2.5%である。さらに好ましくは0.5〜2.0%である。
NはCと同様、鋼中で侵入型固溶原子として存在する元素でCと同様の影響を有するものの、電磁鋼板では少なからず添加されるSiまたはAlと析出物を形成し、特に鉄損の劣化を招く場合があるので注意が必要である。過剰な添加は磁気特性の劣化が顕著になるので0.020%以下に限定する。AlをN等量以上含有する場合には、好ましくは0.015%以下、さらに好ましくは0.010%以下、さらに好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下、さらに好ましくは0.001%以下とする。
本発明ではC、特に固溶Cの存在が重要で、少なくとも製造工程の一時期においては通常の電磁鋼板よりC含有量が高い状態にあるため、鋼中で炭化物を形成する元素の含有量には注意を払う必要がある。特にNb,Ti,V,Zr,Mo,Wは比較的強い炭化物形成元素であるため多量の含有は好ましくない。これらの元素の炭化物は微細で磁気特性、特に鉄損を顕著に劣化させる。このため上限をそれぞれ0.010%とする。好ましくは0.0050%以下、さらに好ましくは0.0030%以下、さらに好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0015%以下、さらに好ましくは0.0012%以下である。0.0010%以下であれば本発明のような高C材でもこれらの元素の炭化物の形成はほとんど見られず良好な鉄損を得ることが可能となる。
Bは固溶Bとして存在すれば集合組織への影響により磁束密度を向上させる効果が期待できるが、比較的C含有量が高い材料ではFe23(C,B)6のような複合炭ほう化物を形成することが知られている。この析出物の安定性は上のTiまたはNb炭化物と比較すればはるかに弱く、後述のように脱炭を行えば温度やC量によっては分解してしまう場合も考えられるが、0.010%を超えると著しく脆化するため、上限を0.010%とする。
CrもCr23C6のような比較的弱い炭化物を形成する元素であるが、耐食性の向上や、高周波域での磁気特性向上のため添加される元素でもある。やはり添加コストや磁気特性への悪影響を考え上限を10.0%とすることが好ましい。
Cuは固溶元素としてまたはCuを主体とする金属相を形成させ高強度化を図るためなどの目的で添加することが可能であるが、過剰な添加は脆化が問題となるため8.0%以下に限定する。
NiはCuによる熱延時の表面荒れ(Cuヘゲ)の防止に有効であることが知られており、この目的を兼ねて積極的に添加することもできる。また、磁気特性への悪影響が比較的小さく、かつ高強度化にも効果が認められるため高強度電磁鋼板では使用されることが多い元素である。また、耐食性の向上にも有効であるが、添加コストや磁気特性への悪影響を考え上限を2.5%とすることが好ましい。
また、その他の微量元素については、鉱石やスクラップなどから不可避的に含まれる程度の量に加え、様々な目的、特に酸化物、硫化物の形態制御のため積極的に添加することは本発明の効果をなんら損なうものではない。これらの微量元素についての不可避的な含有量は通常、各元素とも0.005%以下程度であるが、様々な目的で0.01%程度以上に添加することが可能である。この場合もコストや磁気特性の兼ね合いからSn,Sb,Mg,Ca,Ce,Coの1種または2種以上を合計で0.5%以下含有することができる。
本発明の特徴は溶融状態で主成分が調整された鋼を、凝固後、製品も含めて製造工程の少なくとも一時期、さらに言うと適切な一時期においてC含有量、特に固溶C量を従来鋼以上に高めることで、使用時の材料の耐変形性、特に温間での耐変形性を格段に改善するものである。本発明により最終的な材料には上述の成分以外にいくつかの特徴が現れる。この特徴について以下に記述する。
本発明鋼では固溶C量が0.0005%以上となる。通常の電磁鋼板ではCは磁気特性、特に磁気時効性に悪影響を及ぼすため含有C量そのものを低減する結果、固溶C量も非常に低くなっている。本発明ではこの固溶C量を高め、様々な材質、特に耐変形性にとって有益なものとして活用する。固溶C量がこれ以下では発明の効果が見られなくなる。好ましくは0.001%以上、さらに好ましくは0.002%以上、さらに好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.004%以上、さらに好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.007%以上、さらに好ましくは0.009%以上、さらに好ましくは0.010%以上とする。一方、磁気時効性の観点からは、好ましくは0.050%以下、さらに好ましくは0.030%以下である。
また、本発明の利用状況を考えると、用途によっては室温での固溶C量ではなく、温間域での固溶C量が問題となることは容易に想定される。このため本発明においてより好ましくは、製品板を200℃に加熱し、水冷した後に測定した固溶C量を0.0005%以上と規定する。好ましくは0.001%以上、さらに好ましくは0.002%以上、さらに好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.004%以上、さらに好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.007%以上、さらに好ましくは0.009%以上、さらに好ましくは0.010%以上である。
これらの固溶C量の測定方法はいくつか知られているが、本願発明においては内部摩擦法を用いる。
また、鋼中の炭化物形態にも特徴を有する。本発明において重要なことはFeを主体とする炭化物であり、一般的に鋼中で非常に安定であることが知られているTiやNbの炭化物は除外する。本発明では鋼材内のFeを主体とする炭化物について、平均直径が0.1μm以上または数密度が0.1個/μm3以下とする。C含有量にもよるが平均直径がこれ以下では磁気特性が劣化する。好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。一方あまりに粗大であると磁気特性が劣化するばかりか本発明鋼の特徴である耐変形性が顕著に劣化する。これは粗大な炭化物を起点とした変形や破壊がおきるようになるためである。好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。また炭化物の数密度は高すぎると磁気特性の劣化が顕著になる。好ましくは0.05個/μm3以下、さらに好ましくは0.02個/μm3以下、さらに好ましくは0.01個/μm3以下である。含有するCのほぼ全量がFeを主体とする炭化物以外の状態で、特にほぼ全量が固溶Cであっても本発明の効果が失われるものではない。
炭化物は、基本的には本発明ではSPEED法によって得られた抽出レプリカをEDX付電子顕微鏡にて観察するが、窒化物が非常に微細で抽出が良好でないと思われる場合には透過電子顕微鏡による薄膜観察等方法は問わない。組成の判定はEDXにより分析を行い主として観察される非金属元素がC、金属元素がFeの場合を本発明が対象とする炭化物とする。炭化物の数密度はレプリカ作成過程における電解工程において試料表面を通電した全電荷が、Feの2価イオン(Fe2+)として鋼板が電解されるのに消費され、電解時に残滓として残る析出物がすべてレプリカ上に補足されるとして計算した。例えばレプリカ作成においては試料表面積において50C(クーロン)/cm2の電気量で電解を行えば、試料表面から18μmの厚さ内にある析出物がレプリカ上で観察されることになる。数密度の算定方法は常識的に妥当な方法であれば特にレプリカ法に限定されるものではない。
本発明鋼の特徴の一つは結晶組織が非常に均一であることにある。この特徴を数値的に表現するのは困難な面もあるが、本発明では以下のように規定する。本発明が問題とする磁気特性を劣化させ、さらに本発明が目的とする耐変形性を劣化させる混粒組織は通常、細かい結晶粒が近接した領域が存在する。本発明では結晶組織は鋼板の断面観察により定量化されるため、たとえ完全に同一径の結晶粒からなる鋼板であっても結晶粒のどの位置が断面上に現れるかによって直接観察される粒径には分布を生ずる。また、各結晶粒径に粗大なものと微細なものが存在したとしてもそれが均一に分布していれば本発明で問題とするような害は生じにくい。このような本発明にとって害とはならない「混粒」を除外するため、本発明では断面観察においてある結晶粒に加え、ある結晶粒に隣接する結晶粒(第一近接粒)、さらに各第一近接粒に隣接するもののうち第一近接粒を除いた結晶粒(第二近接粒)が占める面積をその個数で割ったものをその領域の粒径とする。本発明ではこの粒径について細粒部の粒径と粗粒部の粒径の比が2以下であることを特徴とする。好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下である。
本発明の特徴の一つは通常発達しにくい結晶方位が非常に強く発達することである。一つは{110}面方位であり、もう一つは{100}面方位である。特に本発明ではこれらの面方位の発達が{111}面方位の消失により起きていることに特徴がある。一般に通常の電磁鋼板のようにC,NやS濃度を低減した鋼では{111}方位の発達が顕著になる。この方位は磁気特性、特に磁束密度の向上にとって好ましくない方位であることはよく知られている。一方、本発明で発達が顕著な{110}や{100}面方位は磁束密度向上に好ましいこともよく知られている。しかし、これらの方位を効果的に制御することは十分にはできていない。本発明では{111}面方位の弱化と{110}または{100}面方位の強化が同時に効果的に行われる。本発明では特にこれらの面方位の中の特定の方位の弱化と強化が行われ、それは各面方位の中のピーク強度としてあらわれる。このため本発明では{110}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比または{100}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比を2以上と規定する。好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。
本発明では通常、{110}面内の最高強度は{110}<001>、{111}面内の最高強度は{111}<112>、{100}面内の最高強度は{100}<014>〜{100}<012>として現れる。{111}の弱化に伴い{110}が強くなるか{100}が強くなるかは、主として冷延率に影響される。冷延率が低い場合は{110}が強くなり、冷延率が高い場合は{100}が強くなる。この中で特に{100}の発達は通常の電磁鋼板の製造においては行われないような高い圧下率で顕著になる。
{100}方位が発達すると特に特性の面内異方性が非常に小さくなるのでモーター部材を一体で形成するような用途では非常に都合がよい。このような面内異方性の低減に非常に有利となる{100}方位を発達させるのに好ましい圧下率は85%以上、さらに好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である。このような超高冷延率域で見られる{100}<014>〜{100}<012>方位の発達は本発明鋼での特徴的な挙動と言える。
本発明鋼における以上のような特徴が、本発明鋼で特徴的に達成される耐変形性の向上にどのような作用を及ぼしているのかは明確ではないが、以下のようなことが考えられる。すなわち、本発明で抑制しようとしている変形は前述のように、材料の降伏応力と比較してかなり低い応力で起きるものである。このような変形でも変形は材料中の転位の移動によりおきるものであることは間違いないと思われるが、その移動速度は通常の変形より非常に低いものとなっている。このような状態では通常、強化因子として用いられる固溶体元素や微細な析出物の転位移動の障害としての効果が小さくなっているものと思われる。
特に使用中に温度が上昇するような場合には、転位が原子空孔を吸収し上昇運動し、通常の強化因子を乗り越えてしまうものと考えられる。このような状況では転位の動きに追従して移動し、常に移動の障害となる固溶Cまたは固溶Nのようなものが重要な役割をはたすものと考えられる。また、固溶C,Nは鋼中での移動が容易であるため例えば部材の形状等によっては応力が集中し変形が局所的な領域で優先して進行してしまうような場合にもその場所に濃化することでより効果的に局所的な変形を抑制する効果もあるものと思われる。さらにFeを主体とする炭化物は鋼中での安定性が低いため転位の移動の障害となるだけではなく、炭化物に絡んだ転位上に固溶Cを放出し、その移動を妨げる効果も大きくなると思われる。
また、本発明において上述のような粒径分布や結晶方位に特徴が現れる原因は明確ではないが、やはり製造工程途中での固溶Cの存在が原因となっていると予想される。このような結晶組織または方位の特徴は本発明で問題としている極低応力下での変形時の転位の移動挙動を変化させ、転位がからまった構造を形成させることや、変形の集中を緩和することで耐変形性を向上させるものと思われる。これらの特徴は鋼成分や製造方法により現れたり、現れなかったりするが、一つでも特徴を有すれば本発明の効果を享受でき、複数の特徴が同時に現れれば、加算的に特性が向上するものである。
前記成分を含む鋼は、通常の電磁鋼板と同様に転炉で溶製され、連続鋳造でスラブとされ、ついで熱間圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、仕上焼鈍などの工程で製造される。これらの工程に加え絶縁皮膜の形成や脱炭工程などを経ることも本発明の効果を何ら損なうものではない。また、通常の工程ではなく急冷凝固法による薄帯の製造や熱延工程を省略する薄スラブ鋳造法などの工程によって製造しても問題ない。
本発明鋼の製造方法の特徴の一つは製造工程の一時期において固溶C量を0.0005%以上とすることである。通常の工程であれば熱間圧延や冷延後の焼鈍等で700℃以上や1000℃以上にも加熱され、このような状態では通常、含有Cのほとんどは固溶するのは当然とも思われるのでこのような状況は除外する。本発明で規定するのは製造工程の途中で室温程度の温度で測定した固溶C量である。工程としては冷延直前の固溶C量で規定することが好ましい。これは本発明の効果の少なからぬ部分が、固溶Cの存在と冷間圧延によりもたらされるからである。この時点での好ましい固溶C量は0.001%以上、さらに好ましい固溶C量は0.002%以上、さらに好ましい固溶C量は0.003%以上、さらに好ましい固溶C量は0.005%以上、さらに好ましい固溶C量は0.01%以上、さらに好ましい固溶C量は0.02%以上である。また、この状態で行う冷間圧延としては20%以上が必要で、好ましくは40%以上、さらに好ましくは60%以上で、80%以上、さらに90%以上、95%以上としても本発明の効果は何ら損なうものではない。
このように冷延直前の固溶C量を制御するには冷延直前の熱処理における冷却条件が重要である。基本的な考え方は、熱処理中の高温保持により増大させた固溶Cを急冷により冷延直前の室温程度の温度まで維持することで、300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく冷間圧延を開始することが好ましい。冷却を開始する温度は高いほど固溶Cが増大するため、好ましくは400℃以上、さらに好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上である。また、冷却に要する時間は短いほうが冷却後の固溶Cが増大するため好ましくは3分以下、さらに好ましくは1分以下、さらに好ましくは30秒以下、板厚にもよるが、水冷等で10秒以下、5秒以下とすることで本発明の効果をより顕著に得ることができる。また、このような熱処理を行った後は再び高温に保持しないことが好ましく、300℃以上への昇温は避けるべきである。
また、この冷延を行う材料の結晶粒径は粗大である方が、本発明の効果が顕著に表れる。この理由は明確ではないが、冷延前の熱履歴における冷却中の固溶Cの析出サイトとなりやすい粒界の存在比率を減少することで固溶Cの残存を助長する効果によると考えられる。好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上、さらに好ましくは300μm以上、さらに好ましくは400μm以上、さらに好ましくは500μm以上、さらに好ましくは700μm以上、さらに好ましくは1000μm以上、さらに好ましくは1500μm以上である。
このように冷延前に粗大な結晶粒を形成するには高温、長時間の熱処理を行うことが有効である。このためには最低でも700℃以上で何らかの処理を行う。温度は高く、時間は長いほうが粗大な結晶粒を得るのに都合がよいことは言うまでもなく、本発明では1000℃〜1200℃で5秒以上10分以下、または700℃〜999℃で10分以上30時間以下と限定する。注意を要するのは鋼成分によってはこの温度域で変態が起きるため期待したほどの粗粒化効果が得られない場合があることである。変態の可能性については当業者であれば、経験式、実験、汎用計算ソフト等により、容易に高精度な予測が可能なものである。なお、この熱処理が熱間圧延後の鋼板の冷却過程で行われ、さらにこの熱処理後の冷却条件を制御することで、前述の冷却による固溶C量の増大効果を得るようにすることが生産性の観点からは好ましい。
本発明の大きな要点の一つはC、特に固溶Cの活用であるが、このC量は前述のように製造工程の途中で存在するもの最適範囲と最終製品で存在するものの最適範囲は異なる。つまり、製造工程の途中では多すぎて問題となることはほとんどないが、最終製品においては磁気時効等の観点から過剰に多いと問題となる場合がある。このため、製造工程の途中、特に冷延工程においては多量のCを含有させておき、その後最終製品となるまでの間で脱炭を行うことでC量を適量に調整することは本発明の目的に非常に好ましい。この時の脱炭によるCの低下量は脱炭に要するコストと効果との兼ね合いで0.002%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.02%以上、さらに好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.04%以上、さらに好ましくは0.05%以上である。基本的には脱炭前のC量が高く、脱炭後のC量が低いことが製造法に関する本発明の効果を享受しつつ最終製品の磁気時効性を抑制することになるが、製造法に関するC量の効果が高いC域では飽和する傾向があることや、脱炭に要するコスト、さらには本発明では製品板に少なからぬC、特に固溶Cを残存させることで耐変形性の向上を図る目的もあることから、過剰な脱炭は避けるべきである。なお、当然のことではあるが、最終製品の含有C量となる脱炭後のC量は0.08%以下とする必要がある。
この脱炭は通常の製造工程であれば冷延後の再結晶焼鈍工程で行うことが生産性の観点から好ましい。この脱炭が冷延後に行われることは、前述のように冷延工程ではC量が高いことが好ましい点からでもあるが、脱炭効率から見て板が薄い状況で行う方が生産性の点で好ましいことによる。なお、本発明では鋼板の板厚を0.5mm以下に限定しているが、これはこの脱炭効率を考えてのことでもある。板が薄ければ薄いほど短時間での脱炭が可能となり、好ましくは板厚0.35mm以下、さらに好ましくは板厚0.20mm以下、さらに好ましくは板厚0.15mm以下、さらには板厚0.10mm以下の鋼板に適用すれば通常の焼鈍工程の生産性を何ら低下させることなく目的とする脱炭が可能となる。脱炭は通常、鋼材の熱処理で行われるもので十分である。水蒸気等の脱炭ガスを含む高温雰囲気中で保持すればよい。コスト、効率等を考え、500℃以上、10分以下で行える範囲とすることが好ましい。
さらに本発明では前述のように最終製品で固溶C量を高めることで、目的とする耐変形性を向上させることができる。このためには鋼板の最終的な熱処理の冷却条件を制御することが有効である。本発明では300℃以上に加熱する最終の熱処理工程において300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく製品として提供されるものとする。これについては上述の冷延直前の固溶C量の制御と考え方は同様で、冷却を開始する温度は高いほど固溶Cが増大するため、好ましくは400℃以上、さらに好ましくは500℃以上、さらに好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上である。また、冷却に要する時間は短いほうが冷却後の固溶Cが増大するため好ましくは3分以下、さらに好ましくは1分以下、さらに好ましくは30秒以下、板厚は0.5mm以下と薄いため高冷速が可能で、水冷等で5秒以下、1秒以下とすることで本発明の効果をより顕著に得ることができる。また、このような熱処理を行った後は再び高温に保持しないことが好ましく、300℃以上への昇温は避けるべき点は冷延直前の熱処理と同様である。
また本発明の技術は鋼板が部材に加工された後に何らかの目的で300℃以上の熱処理を受ける場合にも適用可能である。このような熱処理としては、加工時の歪を除去すると同時に鋼板の結晶粒を成長させることで磁気特性の向上を図る歪取り焼鈍(SRA)がよく知られており、適用される場合も多い。このような場合にも本発明で形成された均一な組織、特異な集合組織、または形態の変化は避けることができないにしても熱処理後に形成される炭化物よる良好な磁気特性および耐変形性の効果を享受することが可能である。ただし、この熱処理においても上述のように冷却を制御することで固溶C量を好ましく制御し、特に耐変形性の向上効果を十分に向上させることが好ましいことは言うまでもない。
本発明で考えたような疲労やクリープ等の低応力下での耐変形性についてはボイラーや熱交換器などに使用される厚板、鋼管、薄板等で様々な知見が知られている。しかし、そこでの対策は主としてCr等の添加による高合金化やTi,Nb,V等の添加による微細析出物の分散であり、本発明鋼が対象としている電磁鋼板では磁気特性やコストの観点から適用できないものである。また、電磁鋼板ではSiの多量含有により鋼中のCの炭化物形成挙動、固溶限が特徴的に変化しており、本発明で示した電磁鋼板をベースとしCを活用した耐疲労、耐クリープ、耐磨耗鋼の開発は、厚板、薄板等におけるものとは全く異なった意味を有する。なお、一般的に製造工程の途中までC含有量が高く、その後脱炭によりC量を減少させる電磁鋼板としては通常の方向性電磁鋼板(GO)が知られているが、GOはその後に二次再結晶を活用し特異な集合組織を形成させるもので、また製造工程途中での固溶Cの活用や最終製品への固溶C残存による特性向上については全く考慮されず製造されているものであり、本発明からは除外されるものである。本発明鋼は製造条件によってはGOに類似した集合組織を有し、材質に関し強い面内異方性を有する場合があるためあえて無方向性電磁鋼板(NO)とは記述していないが、用途や製造工程等を考えれば基本的には無方向性電磁鋼板に分類されるものである。
なお、本発明の効果は通常電磁鋼板の表面に形成されている表面皮膜の有無および種類に依存することはない。また、用途も特に限定されるものではなく、家電または自動車等で用いられるモーターのローター用途の他、部材の動作に伴う低応力下での変形が問題となる可能性があり、かつ磁気特性が求められる全ての用途に適用される。
表1に成分を示す鋼AおよびBについて連続鋳造にて250mm厚のスラブ製造した。鋼AについてはC以外の元素を表1に示すように同一とし、これをベースにC量のみを様々に変化させた複数のスラブを製造した。これらのC量は表2に示す。これらをスラブ加熱温度1100℃、巻取温度650℃で熱延し板厚2.1mmの熱延板を得た。さらに連続焼鈍ラインで1000℃×30秒の熱処理をした後、酸洗し、0.5mmまで冷延した。これらのすべてを950℃×30秒で焼鈍し、その際の冷却速度を様々に変化させた。表2中に300℃から200℃までの冷却時間を示す。一部の材料についてはさらに低温で追加熱処理を行った。追加熱処理における冷却は300℃から200℃までの冷却時間を10秒とした。製品板について室温、およびいったん200℃に加熱後に水冷した後の固溶C量を内部摩擦法により求めるとともに、55mm角のSST試験により磁束密度B50と鉄損W15/50を測定した。磁気特性は圧延方向から0°,45°,90°の方向について測定し、
(0°特性+2×45°特性+90°特性)/4
により平均値を求め評価値とした。
また、耐変形性は試験部サイズ 幅25mm、長さ45mmを持つ引張試験片において200℃にて降伏応力の0.8倍の最大負荷で片振り引張(sin波、繰返し速度10Hz)の疲労試験を行い、破断に至る負荷回数で評価した。疲労試験は圧延方向および圧延直角について行いその平均値を用いた。
表2に示す結果から明らかなように、固溶C量、または炭化物形態が本発明の範囲内にあるものは優れた磁気特性と耐変形性を示す。
Figure 2005133175
Figure 2005133175
表1に成分を示す鋼CおよびDについて連続鋳造にて250mm厚のスラブ製造した。これらをスラブ加熱温度1150℃、巻取温度600℃で熱延し板厚1.0〜5.8mmの熱延板を得た。これらのすべてはさらに連続焼鈍ラインで1100℃×30秒の熱処理を行い、その際の冷却条件を変化させた。表3中に300℃から200℃までの冷却時間を示す。その後、酸洗し、すべての材料を0.35mmまで冷延した。熱延板の板厚が異なるため冷延率も異なり、各板の冷延率を表3に示す。こうして得られた冷延板をすべて同一の条件下で1000℃×20秒で焼鈍した。冷延直前の熱延板について断面組織観察を行うと共に固溶C量を内部摩擦法により求めた。Hot板粒径およびHot板固溶Cとして表3に示す。また製品板については断面観察、集合組織測定とともに、55mm角のSST試験により磁束密度B10と鉄損W10/400を測定した。集合組織については板厚方向に5つの位置(板厚1/8,1/4,1/2,3/4,7/8)からサンプルを加工し、これらを平均した極点図をベクトル法により三次元解析を行い、{111},{110},{100}の各面方位内の最高強度を得た。磁気特性は圧延方向から0°,45°,90°の方向について測定し、
(0°特性+2×45°特性+90°特性)/4
により平均値を求め評価値とした。
また、耐変形性は200℃にて降伏応力の0.8倍の一定負荷でクリープ変形を記録し、2%の変形に至る時間で評価した。クリープ試験は圧延方向および圧延直角について行いその平均値を用いた。
表3に示す結果から明らかなように、粒度分布、または集合組織が本発明の範囲内にあるものは優れた磁気特性と耐変形性を示す。
Figure 2005133175
表1に成分を示す鋼Eについて連続鋳造にて250mm厚のスラブ製造した。鋼EについてはC以外の元素を表1に示すように同一とし、これをベースにC量のみを様々に変化させた複数のスラブを製造した。これらのC量は表4に示す。これらをスラブ加熱温度1050℃、巻取温度750℃で熱延し板厚2.1mmの熱延板を得た。その後、酸洗し、0.2mmまで冷延した。これらのすべてを950℃×30秒で再結晶焼鈍し、その後引き続き高温湿潤雰囲気中で保持することにより脱炭を行った。脱炭の程度は保持温度および時間で様々に調整した。このような脱炭は方向性電磁鋼板の製造において日常的に行われるものであり、当業者であればその調整はなんら問題のないものである。脱炭後のC量および脱炭によるC減少量を表4に示す。この熱処理における冷却は300℃から200℃までの冷却時間をすべて10秒と一定とした。製品板について200℃での固溶C量を内部摩擦法により求めるとともに、55mm角のSST試験により磁束密度B50と鉄損W15/50を測定した。磁気特性は圧延方向から0°,45°,90°の方向について測定し、
(0°特性+2×45°特性+90°特性)/4
により平均値を求め評価値とした。
また、耐変形性は実施例1と同様の疲労試験における破断に至る負荷回数で評価した。
表4に示す結果から明らかなように、200℃での固溶C量が本発明範囲にある場合でも、適正な脱炭を行うことで特に鉄損の向上を図ることが可能となる。
Figure 2005133175
表1に成分を示す鋼Fについて連続鋳造にて250mm厚のスラブ製造した。これをスラブ加熱温度1100℃、巻取温度650℃で熱延し板厚2.3mmの熱延板を得た。さらに連続焼鈍ラインで1000℃30秒の熱処理をした後、酸洗し、0.2mmまで冷延した。これらのすべてを1000℃20秒で再結晶焼鈍し、その後引き続き高温湿潤雰囲気中で保持することにより脱炭を行った。脱炭の程度は保持温度および時間で様々に調整した。このような脱炭は方向性電磁鋼板の製造において日常的に行われるものであり、当業者であればその調整はなんら問題のないものである。脱炭後のC量および脱炭によるC減少量を表5に示す。この熱処理における冷却は300℃から200℃までの冷却時間をすべて10秒と一定とした。製品板について実施例2と同様に集合組織を求めるとともに、55mm角のSST試験により磁束密度B10と鉄損W10/400を測定した。磁気特性は圧延方向から0°,45°,90°の方向について測定し、
(0°特性+2×45°特性+90°特性)/4
により平均値を求め評価値とした。
また、耐変形性は実施例3と同様のクリープ試験における変形時間で評価した。
表5に示す結果から明らかなように、本発明鋼において脱炭を行うことで集合組織が好ましく変化し、特に磁束密度のさらなる向上が達成されるとともに、適当な脱炭を行うことで耐変形性の向上も図ることが可能となる。これは脱炭焼鈍中の粒成長における方位選択性と脱炭に伴うセメンタイト消失による固溶C残存量の増大の結果と考えられる。
Figure 2005133175

Claims (26)

  1. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  2. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材内のFeを主体とする炭化物の平均直径が0.1μm以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  3. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材内のFeを主体とする炭化物の数密度が0.1個/μm3以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  4. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の粗粒部の粒径と細粒部の粒径の比が2以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  5. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の集合組織において{110}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  6. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、鋼材の集合組織において{100}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  7. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材内のFeを主体とする炭化物の平均直径が0.1μm以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  8. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材内のFeを主体とする炭化物の数密度が0.1個/μm3以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  9. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の粗粒部の粒径と細粒部の粒径の比が2以下であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  10. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の集合組織において{110}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  11. 質量%で、C:0.080%以下,Si:0.2〜3.5%,Mn:0.05〜3.0%,P:0.30%以下,S:0.040%以下,Al:2.50%以下,N:0.020%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ、固溶C量:0.0005%以上であり、鋼材の集合組織において{100}面内の最高強度と{111}面内の最高強度との比が2以上であり、板厚が0.5mm以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板。
  12. 固溶Cの値として、製品を200℃に加熱し、水冷した後に測定した値を用いることを特徴とする、請求項1,7〜11のいずれかに記載の磁気特性の優れた電磁鋼板。
  13. 質量%で、さらに、Nb,Ti,V,Zr,Mo,Wの各々を0.010%以下含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の磁気特性の優れた電磁鋼板。
  14. 質量%で、さらに、B:0.010%以下,Cr:10.0%以下,Cu:8.0%以下,Ni:2.5%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の磁気特性の優れた電磁鋼板。
  15. 質量%で、さらに、Sn,Sb,Mg,Ca,Ce,Coの1種または2種以上を合計で0.0001%以上,0.5%以下含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の磁気特性の優れた電磁鋼板。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の鋼板を製造する方法において、冷延率20%以上の冷間圧延工程直前の固溶C量が0.0005%以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  17. 請求項16に記載の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程以前の熱処理工程において300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく冷間圧延を開始することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  18. 請求項16,17のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程直前の鋼板の結晶粒径が100μm以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  19. 請求項16〜18のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程以前の700℃以上の熱処理工程について、1000℃〜1200℃で5秒以上10分以下、または700℃〜999℃で10分以上30時間以下の熱処理を行い、その後冷間圧延を開始することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  20. 請求項1〜15のいずれかに記載の鋼板を製造する方法、もしくは請求項16〜19のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、製造工程の一時期においてC含有量が0.005%以上であり、製造工程の途中で脱炭することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  21. 請求項20に記載の鋼板の製造方法のうち、冷延率20%以上の冷間圧延工程においてC含有量が0.005%以上であり、その後脱炭することを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  22. 請求項20,21のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、脱炭によるCの低下量が0.002%以上であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  23. 請求項20〜22のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、脱炭後のC量が0.08%以下であることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  24. 請求項20〜23のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、脱炭が冷延後の再結晶を伴う最終的な熱処理工程で行われることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  25. 請求項20〜24のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、脱炭が脱炭雰囲気中で鋼板温度500℃以上,10分以下で行われることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
  26. 請求項1〜15のいずれかに記載の鋼板を製造する方法、もしくは請求項16〜25のいずれかに記載の鋼板の製造方法のうち、300℃以上に加熱する最終の熱処理工程において300℃以上の温度から200℃以下への冷却時間を5分以下とし、その後300℃以上の温度に上昇させることなく製品として提供されることを特徴とする磁気特性の優れた電磁鋼板の製造方法。
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