JP2008174773A - 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、時効熱処理を必要とせず、表面性状に優れ、かつ高速回転する回転機の回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:1.6%超3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb,Ti,ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、平均結晶粒径が50μm以下であり、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であることを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板を提供することにより、上記目的を達成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電機、電動機(モータ)等の回転機の回転子、特に電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータ、ロボット、工作機械などのサーボモータといった高い効率が要求される回転機の回転子に用いられる無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。とりわけ、高速回転する永久磁石埋め込み式モータの回転子として好適な優れた機械特性と磁気特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、時効熱処理による高強度化を必要としない無方向性電磁鋼板に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、多くの分野において省エネルギー、環境対策技術が進展している。自動車分野も例外ではなく、排ガス低減、燃費向上技術が急速に進歩している。電気自動車およびハイブリッド自動車はこれらの技術の集大成といっても過言ではなく、自動車駆動モータ(以下、単に「駆動モータ」ともいう。)の性能が自動車性能を大きく左右する。
駆動モータの多くは永久磁石を用いており、巻き線を施した固定子(ステータ)部分と永久磁石を配置した回転子(ロータ)部分とから構成される。最近では、永久磁石を回転子内部に埋め込んだ形状(永久磁石埋め込み型モータ;IPMモータ)が主流となっている。また、パワーエレクトロニクス技術の進展により回転数は任意に制御可能であり、高速化傾向にある。したがって、鉄心素材は商用周波数(50〜60Hz)以上の高周波数域で励磁される割合が高まっており、商用周波数での磁気特性のみでなく、400Hz〜数kHzでの磁気特性改善が要求されるようになってきた。また、回転子は高速回転時の遠心力のみならず回転数変動にともなう応力変動を常時うけることから、回転子の鉄心素材には機械特性も要求されている。特に、IPMモータの場合には複雑な回転子形状を有することから、回転子用の鉄心材料には応力集中を考慮して遠心力ならびに応力変動に耐えうるだけの機械特性が必要となる。また、ロボット、工作機械用のサーボモータ分野でも、駆動モータと同様に回転数の高速化が今後進行していくと予測される。
従来、駆動モータの固定子は主に打ち抜き加工した無方向性電磁鋼板の積層により製造されていたが、回転子はロストワックス鋳造法あるいは焼結法などにより製造されることもあった。これは固定子には優れた磁気特性が、回転子には堅牢な機械特性が要求されることによる。しかしながら、モータ性能は回転子−固定子間のエアギャップに大きく影響されるため、上述の回転子では精密加工の必要性が生じ鉄心製造コストが大幅に増加するという問題があった。コスト削減の観点からは、打ち抜き加工した電磁鋼板を使用すればよいが、回転子に必要な磁気特性と機械特性とを兼備した無方向性電磁鋼板は見出されていないのが現状であった。
優れた機械特性を有する電磁鋼板としては、例えば特許文献1に、3.5〜7%のSiに加えて、Ti,W,Mo,Mn,Ni,CoおよびAlのうちの1種または2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板が提案されている。この方法では、鋼の強化機構として固溶強化を利用している。しかしながら、固溶強化の場合には冷間圧延母材も同時に高強度化されるため冷間圧延が困難であり、またこの方法においては温間圧延という特殊工程が必須であることから、生産性向上や歩留まり向上など改善の余地がある。
また、特許文献2には、2.0〜3.5%のSi、0.1〜6.0%のMnに加えてBおよび多量のNiを含有し、結晶粒径が30μm以下である鋼板が提案されている。この方法では、鋼の強化機構として、固溶強化と結晶粒径微細化による強化とを利用している。しかしながら、特許文献2の実施例に示されるように、Siを3.0%程度含有させた上に高価なNiを多量に含有させることが必須であり、冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
さらに、特許文献3および特許文献4には、2.0〜4.0%のSiに加えてNb,Zr,B,TiまたはVなどを含有する鋼板が提案されている。これらの方法では、Siによる固溶強化に加えてNb,Zr,TiまたはVの析出物による析出強化を利用しているが、析出物は磁気特性を劣化させるという欠点がある。また、特許文献3の実施例に示されるように、Siを3.0%程度含有させた上で高価なNiを多量に含有させることも必要となるため、冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
また、特許文献5および特許文献6には、SiおよびAlを0.03〜0.5%と制限した上でTi,NbおよびV、あるいはPおよびNiを含有する鋼板がそれぞれ提案されている。これらの方法では、Siによる固溶強化よりも炭化物の析出強化およびPの固溶強化を利用している。しかしながら、これらの方法では、後述する駆動モータの回転子として必要な強度レベルを確保することができないという問題や、特許文献5および特許文献6の実施例に示されているように、2.0%以上のNi含有が必須であり、合金コストが高いという問題がある。
さらに、特許文献7には、Si:1.6〜2.8%であって、結晶粒径、内部酸化層厚み、および降伏点を限定した永久磁石埋め込み型モータ用無方向性電磁鋼板が提案されている。しかしながら、この方法による鋼板の降伏点では、高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
また、特許文献8には、磁気特性の優れた高強度電磁鋼板が提案されている。しかしながら、Ti,Nbの含有量を不可避的不純物レベルとする、あるいは低減することを基本としているため、高い強度を安定的に得ることはできない。
さらに、特許文献9には、微細なCu析出物による時効硬化を活用した高強度無方向性電磁鋼板が提案されている。しかしながら、強度向上のためには時効熱処理が必須であるため、鉄心製造工程の増加が懸念される。
また、JIS C 2552に規定の無方向性電磁鋼板としては、いわゆる高グレード無方向性電磁鋼板(35A210,35A230など)が最も合金含有量が高く高強度であるが、機械特性レベルは上述の高張力電磁鋼板を下回っており高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
特開昭60-238421号公報 特開平1−162748号公報 特開平2−8346号公報 特開平6−330255号公報 特開2001−234302号公報 特開2002−146493号公報 特開2001−172752号公報 特開2005−113185号公報 特開2004−300535号公報
上述したように、無方向性電磁鋼板の高強度化手法として従来から提案されている固溶強化および析出強化では、冷間圧延の母材も強化されてしまうことから、冷間圧延時に割れが多発する。また、析出物は磁気特性を劣化させるという欠点もある。時効熱処理により高強度化する技術もあるが、鉄心製造工程が増加する。また、本発明者らは変態強化についても検討を行ったが、変態強化ではマルテンサイト等の変態組織が鉄損を著しく増大させることが判明し、回転子用途として実用に耐える磁気特性を実現することができない。
一方、表面性状を向上させることができれば、鉄心として使用する際、占積率の向上により回転機の効率を向上させることができるので好ましい。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、時効熱処理を必要とせず、表面性状に優れ、かつ高速回転する電動機(モータ)、発電機等の回転機の回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、時効熱処理を必要とせず、回転子に適した磁気特性と機械特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板について種々検討を行い、磁気特性劣化の小さい強化機構である結晶粒径微細化と適度な固溶強化との組合せに着目した。結晶粒径微細化には析出物の微細分散が有効であるが、析出物により磁気特性が劣化するという大きな欠点がある。そのため、析出物の微細分散に代わる結晶粒微細化手法を種々検討した結果、Nb,Zr,TiおよびVの含有量を所定の範囲とする、具体的にはCおよびNの含有量を超える量のNb,Zr,TiおよびVを含有させることで、析出物の微細分散によらずとも結晶粒微細化が図れるとの知見を得た。さらに、熱間圧延での累積圧下率や、鋼塊または鋼片の等軸晶率などを制御することにより、Nb,Zr,TiおよびVを含有させた無方向性電磁鋼板で懸念される表面性状の劣化を安定的に改善できるといった新たな知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:1.6%超3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb,Ti,ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、平均結晶粒径が50μm以下であり、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であることを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板を提供する。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
本発明によれば、上記式(1)によってNb,Ti,ZrおよびVの含有量を規定し、析出物ではなく後述する固溶Nb,Ti,ZrおよびVによって結晶粒径を所望の範囲に制御することができるので、析出物による磁気特性劣化がなく、磁気特性および機械特性に優れた無方向性電磁鋼板とすることができる。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、質量%で、Nb:0.02%超0.5%以下を含有することが好ましい。結晶粒径を所望の範囲に制御するためには、Nb,Zr,Ti,Vのなかでも特にNbを中心に含有させることが最も効果的であるからである。すなわち、Nb,Zr,Ti,Vのなかでも特にNbの結晶粒成長抑制効果が大きいため、所望の結晶粒径に安定的に制御できるからである。
さらに、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、Cu,Ni,Cr,Mo,CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有していてもよい。
Cu:0.01%以上1.5%以下 Ni:0.01%以上1.0%以下
Cr:0.01%以上15.0%以下 Mo:0.005%以上4.0%以下
Co:0.01%以上4.0%以下 W:0.01%以上4.0%以下
上記元素の高強度化作用により、鋼板の強度をより高めることが可能となるからである。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、Sn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有していてもよい。
Sn:0.001%以上0.5%以下 Sb:0.0005%以上0.5%以下
Se:0.0005%以上0.3%以下 Bi:0.0005%以上0.2%以下
Ge:0.001%以上0.5%以下 Te:0.0005%以上0.3%以下
B:0.0002%以上0.01%以下
上記元素の粒界偏析により、効果的に粒成長を抑制することができるからである。
さらに、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、Ca,MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有していてもよい。
Ca:0.0001%以上0.03%以下 Mg:0.0001%以上0.02%以下
REM:0.0001%以上0.1%以下
上記元素の硫化物形態制御作用により、磁気特性をさらに改善することができるからである。
また、本発明は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下の冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、上記冷間圧延鋼板を800℃超950℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、Nb,Zr,TiおよびVの含有量を適正に制御し、冷間圧延工程後に実施される均熱処理工程での均熱温度を所定の範囲とすることにより、析出物の微細分散によることなく、すなわち磁気特性を劣化させることなく、結晶粒径を制御した鋼板を得ることができる。これにより、高強度の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。このように本発明によれば、従来のようにNi,W,Mo等の高価な鋼成分を用いることも、温間圧延等の特殊な工程を経ることもなく、さらには時効熱処理を実施することもなく、例えば駆動モータの回転子として必要な磁気特性および機械特性を満足した無方向性電磁鋼板を安定して製造することができる。
上記発明においては、上記熱間圧延工程が、上記鋼塊または鋼片を1100℃以上1300℃以下としたのちに、累積圧下率が80%以上の粗熱間圧延を施して粗バーを得る粗熱間圧延工程と、上記粗バーに仕上熱間圧延を施す仕上熱間圧延工程とを有し、上記熱間圧延工程にて、上記仕上熱間圧延工程前の粗バーの温度を950℃以上とすることが好ましい。熱間圧延工程を所定の条件で行うことにより、具体的には粗熱間圧延に供する際のスラブの温度、粗熱間圧延での累積圧下率、および粗熱間圧延後で仕上熱間圧延前における粗バーの温度を所定の範囲とすることにより、良好な表面性状を安定して確保することができるからである。その結果、高い占積率を実現することができる。
この際、上記鋼塊または鋼片の断面組織における平均等軸晶率が25%以上であることが好ましい。これにより、表面性状を安定的に改善することができるからである。
さらに、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有していてもよい。熱延板焼鈍を施すことにより、鋼板の延性が向上し冷間圧延工程での破断を抑制でき、さらには優れた表面性状を得ることができるからである。
本発明においては、温間圧延、時効熱処理等の特殊な工程を経ることなく、析出物による磁気特性の劣化を被ることもなく、高速回転する回転機の回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備し、表面性状にも優れた無方向性電磁鋼板を安定に製造することが可能である。そのため、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ分野などにおける回転数の高速化に十分対応でき、その工業的価値は極めて高い。
本発明で言及する回転子に用いる電磁鋼板として必要な特性とは、第一に機械特性であり、降伏点および引張強さを指す。これは高速回転時の回転子の変形抑制のみならず、応力変動に起因する疲労破壊抑制を目的としている。近年の電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータでは、回転子は250MPa程度の平均応力下で150MPa程度の応力振幅を受ける。したがって、変形抑制の観点から降伏点は400MPa以上を満たす必要がある。また、上述の応力状態での疲労破壊を抑制する観点から引張強さは550MPa以上,安全率を考慮すると600MPa以上必要である。
また、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第二の特性は磁束密度である。IPMモータのようにリラクタンストルクを活用するモータでは回転子に用いられる材質の磁束密度もトルクに影響を及ぼし、磁束密度が低いと所望のトルクを得られない。
さらに、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第三の特性は鉄損である。鉄損は不可逆な磁壁移動に起因するヒステリシス損失と、磁化変化に起因して発生する渦電流によるジュール熱(渦電流損失)とから構成され、電磁鋼板の鉄損はこれらの総和であるトータルの鉄損で評価される。回転子で発生する損失はモータ効率そのものを支配するものではないが、回転子の損失すなわち発熱により永久磁石が減磁するため、間接的にモータ性能を劣化させる。したがって、回転子に使用される材質の鉄損値の上限は永久磁石の耐熱温度の観点から決定され、固定子に使用される材質よりも鉄損値が高くとも許容されると想起される。
また、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第四の特性は表面性状である。表面性状が劣る場合には、積層した場合の鋼板の占積率が低下するため、モータ効率が低下する。すなわち、表面性状が劣る場合には、鉄心として使用する際に占積率の低下により有効な断面積あたりの磁束密度が低下し、モータ効率が低下する。特にリラクタンストルクを活用するIPMモータにおいて低下が顕著となる。
ここで、占積率とは、無方向性電磁鋼板を積層して鉄心を作製した際の、鉄心厚さ全体に占める鋼板の割合である。
本発明者らはこれらの特性を満足する無方向性電磁鋼板について鋭意検討を行った。まず、各種強化機構の得失について検討を行った。その結果、固溶強化は、磁気特性への悪影響は小さいものの冷間圧延母材も高強度化されるため、過度の固溶強化は冷間圧延時の破断が避けられない;冷間圧延前に析出物を微細分散させる析出強化では、固溶強化と同様に冷間圧延母材も高強度化されるため冷間圧延時の破断が懸念され、さらに析出物によって磁気特性が劣化する;時効熱処理で高強度化する析出強化では、優れた磁気特性−機械特性バランスが得られるものの、時効熱処理により鉄心製造工程が増加する;結晶粒径微細化による高強度化は、比較的効果が小さいため、結晶粒径微細化のみで要求レベルの機械特性を達成するのは現実的でない;マルテンサイト等の変態組織では、鉄損が著しく増大する;といった知見を得た。これらの結果から、磁気特性劣化の比較的小さい強化機構である結晶粒径微細化と適度な固溶強化との組合せに着目した。
結晶粒微細化には析出物の微細分散が有効であるが、析出物により磁気特性は劣化する。そのため、析出物の微細分散に代わる結晶粒径微細化手法を種々検討した結果、Nb,Zr,TiおよびVの含有量を所定の範囲とすることで安定的に結晶粒径を制御することができ、特にNbの寄与が大きいためにNbを中心として適正量含有させることが好ましいことが判明した。また、Nb,Zr,TiおよびVを含有させた無方向性電磁鋼板では表面性状の劣化が懸念されるが、熱間圧延条件等を適正化することで改善できることも判明した。以下、本発明を完成させるに至った知見について説明する。
まず、本発明の特徴であるNb,Zr,TiおよびVに関する知見について述べる。
主要成分が質量%で、C:0.002%、Si:2.9%、Mn:0.2%、Al:1.1%、S:0.002%、N:0.002%、P:0.01%であり、Nbの含有量をtr,0.08%と変化させた鋼に熱間圧延を施して2.3mmとした後、800℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、さらに0.35mmまで冷間圧延し、種々の温度で均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。
図1に、均熱処理後の引張強さを示す。均熱温度の高温化にともない引張強さは低下したが、Nbを積極的に含有させた鋼の方が優れた引張強さを有していた。Nbにより回復、再結晶が抑制され、ひいては結晶粒成長も抑制された結果、優れた引張強さが得られたのである。
次いで、回復、再結晶および結晶粒成長の抑制による優れた引張強さが、Nbの析出物に起因するのか固溶Nbに起因するのかを確認するため、またNbと同様に析出物を形成しやすい元素であるTiの効果をNbと比較するために、下記の実験を行った。すなわち、主要成分が質量%で、Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%であり、C,SおよびNbの含有量をそれぞれC:0.001〜0.04%、S:0.0002〜0.03%、Nb:0.001〜0.6%と変化させた鋼と、主要成分が質量%で、Si:2.1%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%であり、C,SおよびTiの含有量をそれぞれC:0.001〜0.04%、S:0.0002〜0.03%、Ti:0.001〜0.3%と変化させた鋼とに熱間圧延を施して2.3mmとした後、800℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、さらに0.35mmまで冷間圧延し、750℃で20秒間保持の条件で均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。ここで、均熱温度を750℃と比較的低温で実施したのは、結晶粒成長に先立つ回復および再結晶過程に及ぼすNb,Tiの影響の差異を明確にするためである。
図2に、750℃で20秒間保持の均熱処理を施したそれぞれの鋼板について、Nb,C,Nの含有量、およびTi,C,Nの含有量により規定される下記式(2)および(3)で示されるNbおよびTiと、鋼板の引張強さとの関係を示す。
Nb=Nb/93−C/12−N/14 (2)
Ti=Ti/48−C/12−N/14 (3)
(ここで、式(2)および(3)中、Nb,Ti,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
図2より、Nb>0,Ti>0の場合にのみ優れた機械特性が得られることがわかった。Nb,Tiは、CおよびNの含有量を超える量の余剰のNb,Ti量であり、CおよびNと析出物を形成することなく固溶状態で鋼中に存在する固溶Nb,固溶Ti含有量と対応する。したがって、回復および再結晶を抑制し、ひいては結晶粒成長も抑制するには、固溶Nb,固溶Ti含有量の確保が重要であると判明した。さらに、NbとTiを比較すると、Nbの回復および再結晶抑制効果の方がTiのそれよりも大きいため、粒成長を抑制する効果もNbの方が大きくなり、高強度化にはよりNbを積極的に含有させることが有効であることも判明した。
また、ZrおよびVについても、上記と同様の検討を行い、それらの知見を合わせて、高強度化には下記式(1)を満足させる必要があると判明した。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
次に、Nb,Zr,TiおよびVを含有させた無方向性電磁鋼板にて懸念される表面性状を改善する手段についての知見を述べる。
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tonを取鍋内に出鋼し、取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。RH式真空脱ガス装置で減圧脱炭を行い、表1に示す組成の溶鋼を連続鋳造機にてスラブとした。製造したスラブの平均等軸晶率は0〜30%であった。
Figure 2008174773
これらのスラブを加熱炉で1150℃まで加熱し、累積圧下率を77〜86%として粗熱間圧延し、仕上げ温度800〜850℃、巻き取り温度500℃で仕上熱間圧延して、厚さ2.0mmとした。その後750℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、0.35mmまで冷間圧延した。さらに、冷間圧延により得られた鋼板に840℃で20秒間保持する均熱処理を施し、鋼板表面に平均厚さ0.5μmの絶縁皮膜を施した後、得られた鋼板の占積率を調査した。鋼2および3を用いた鋼板については、磁気特性(鉄損W10/400)および機械特性(降伏点YP,引張強さTS)も調査した。結果を表2に示す。
なお、表2において、平均等軸晶率は、鋳込み方向垂直断面のマクロ組織より、スラブ幅3ヶ所(1/4,2/4,3/4)における等軸晶率を平均した値である。
また、粗熱間圧延での累積圧下率(粗圧延累積圧下率)は、粗熱間圧延機入側のスラブ厚さAと出側の鋼帯厚さBとから、次式により算出した値である。
(1−B/A)×100[%]
さらに、占積率評価は、98%以上をA、95%以上98%未満をB、95%未満をCとして、AおよびBは回転子の鉄心として使用可能レベルと判断した。
Figure 2008174773
Nbをほとんど含有しない通常の無方向性電磁鋼板(鋼1)は、平均等軸晶率:0〜30%、粗圧延累積圧下率:77〜86%、粗圧延出側温度:930〜1010℃の条件において、熱間圧延条件によらず高い占積率(評価Bレベル以上)を有していた。これに対して、Nbを所定量含有する無方向性電磁鋼板(鋼2および鋼3)は、粗熱間圧延での累積圧下率が80%以上かつ粗熱間圧延出側の温度が950℃以上の場合に高い占積率を有すること、スラブの平均等軸晶率が高かった製品はさらに占積率が改善されることが判明した。さらに、Nbを所定量含有する無方向性電磁鋼板では、機械特性や磁気特性に及ぼす熱間圧延条件の影響は占積率に及ぼす影響に比べて小さいことが判明した。
Ti,ZrおよびVについても上記と同様の検討を行い、それらを合わせて、Nb,Zr,TiおよびVを含有させた無方向性電磁鋼板の占積率を高めるには、熱間圧延条件やスラブの平均等軸晶率を適切に制御することが有効であるとの知見を得たのである。その機構については明らかではないが、本発明者らは次のように推定する。
占積率の改善は、すなわち表面性状の改善によるものである。Nb,Zr,TiおよびVを含有させた鋼は、均熱処理時にて再結晶が抑制されるが、熱間圧延時および熱延板焼鈍時にも再結晶が抑制されてしまう場合があるため、鋳造組織の巨大柱状粒に起因する表面の凹凸欠陥が冷間圧延後に発生し、この表面性状の劣化が占積率の低下につながると考えられる。これに対し本発明においては、粗熱間圧延での累積圧下率および粗熱間圧延出側の温度の双方を高めることにより、抑制されていた再結晶が促進され、鋳造組織の巨大柱状粒に起因する圧延方向の筋状のバンド組織が消失するものと考えられる。これにより冷間圧延後の表面欠陥が抑制され、占積率の改善につながったと推察される。以上の知見より、本発明を完成させたのである。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.回転子用無方向性電磁鋼板
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.06%以下、Si:1.6%超3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb,Ti,ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、平均結晶粒径が50μm以下であり、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であることを特徴とするものである。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。また、本発明において、「残部が実質的にFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素を含有する場合を含むことを意味する。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板における鋼組成、平均結晶粒径、および板厚について説明する。
1.鋼組成
(1)C
CはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVにより冷間圧延後の均熱処理において進行する粒成長を抑制し、強度の低下を抑制するためには、C含有量を低減することが好ましい。しかしながら、過度のC含有量の低減は製鋼コストが増加する点や、C含有量が多くてもNb,Zr,TiおよびVの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量は確保される点を鑑み、C含有量の上限値は0.06%とする。好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。特に、C含有量が0.01%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので製造コストの観点から望ましい。
(2)Si
Siは電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果を有する元素である。また、固溶強化により鋼板の強度を向上させる効果も有する。この観点から、Si含有量は1.6%超であり、好ましくは2.0%超である。しかしながら、多量のSiを含有させた場合には冷間圧延時の割れを誘発し、鋼板の歩留まり低下により製造コストが増加する。そのため、Si含有量は3.5%以下とする。また、割れ抑制の観点からは3.0%以下が好ましい。
(3)Mn
MnはSiと同様に電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果がある。しかしながら、Mnを多量に含有させると合金コストが増加するため、Mn含有量の上限は3.0%とする。一方、Mn含有量の下限はSを固定する観点から定められるものであり、0.05%とする。
(4)Al
Alは電気抵抗を高めるためSiと同様に渦電流損失を低減する。しかしながら、多量にAlを含有させると合金コストが増加するとともに、飽和磁束密度低下により磁束の漏れが発生するためモータ効率が低下する。これらの観点からAl含有量の上限は2.5%とする。固溶強化による鋼板の高強度化という観点からは、望ましい下限値は0.1%である。
(5)P
Pは固溶強化により鋼板の強度を高める効果があるが、多量にPを含有する場合には冷間圧延時の割れを誘発する。そのためP含有量は0.30%以下とする。
(6)S
Sは鋼中に不可避的に混入する不純物であるが、製鋼段階で低減するにはコストが増加するため、S含有量としては0.04%を上限とする。
(7)N
NはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVにより冷間圧延後の均熱処理において進行する粒成長を抑制し、強度の低下を抑制するためには、N含有量を低減することが好ましい。しかしながら、N含有量が多くてもNb,Zr,TiおよびVの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量は確保できる点を鑑み、N含有量の上限は0.02%とする。好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。N含有量が0.005%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので製造コストの観点から望ましい。
(8)Nb,Zr,TiおよびV
均熱処理中の強度低下を抑制し、回転子に必要な機械特性と磁気特性とを得るためには、析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有させることが必要である。したがって、Nb,Zr,TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有させることが必要である。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
上記式(1)の右辺は、Nb,Zr,TiおよびVの含有量とCおよびNの含有量との差を表しており、この値が正であることは炭化物、窒化物または炭窒化物といった析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有していることに対応する。
これらの元素のなかでも、強度低下を抑制する効果は固溶Nbと固溶Tiが大きいため、NbあるいはTiを積極的に含有させることが好ましい。特に、固溶Nbの寄与が大きいため、Nbを積極的に含有させることが好ましい。Nbを積極的に含有させることは後述するように生産性向上にも大きく寄与する。Nb含有量は0.02%を超えることが好ましく、より好ましくは0.03%以上、さらに好ましくは0.04%以上、安定的に強度を確保する観点からは0.05%以上が好ましい。Ti含有量は0.01%を超えることが好ましく、さらに好ましくは0.02%以上である。
過度にNb,Zr,TiおよびVを含有する場合には、冷間圧延前の組織が未再結晶状態となる場合がある。その結果としてリジングと呼ばれる表面欠陥が生じ、鉄心に積層した場合の占積率が低下しモータ効率が低下するため好ましくない。また、冷間圧延時に割れが生じる場合もある。Nb,Zr,TiおよびVの含有量の上限値はこのような表面性状劣化の抑制と冷間圧延時の割れ抑制の観点から定められ、Nb含有量は0.5%以下、好ましくは0.35%以下である。Ti含有量は好ましくは0.35%未満、Zr含有量は好ましくは1%未満、V含有量は好ましくは1%未満とする。
また、硫化物を考慮すると固溶状態のNb,Zr,TiおよびVの含有量はS含有量にも影響される。しかしながら、上述したS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSによる影響は認められなかったため、本発明においてはSの項を省略した上記式(1)を採用した。Sの影響が認められなかった理由は明確でないが、凝固末期のSが濃化した領域からMnSとなって晶出するなどしてMnによりSが固定されたためと考えられる。
(9)Cu,Ni,Cr,Mo,CoおよびW
本発明においては,固溶Nb,Ti,ZrおよびVによって磁気特性と機械特性の両立を図っているため、この効果を損なわない範囲でCu,Ni,Cr,Mo,CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることができる。これらの元素は鋼板を高強度化する作用を有するので、鋼板の強度をさらに高めるのに有効であり好ましい。
Cuは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。しかしながら、過度にCuを含有させると表面疵や冷間圧延時の割れの発生につながるため、Cu含有量は0.01%以上1.5%以下とすることが好ましい。表面疵を抑制する観点からは、1.0%以下とすることが好ましい。また、上述の特許文献9に示されるようなCuを積極的に含有させた鋼を時効熱処理により高強度化する従来技術と本発明との差異を明確化することもCu含有量上限値の設定理由である。
NiおよびMoは過度に含有させると冷間圧延時の割れの発生やコスト増加につながるため、Ni含有量は0.01%以上1.0%以下、Mo含有量は0.005%以上4.0%以下とすることが好ましい。
Crは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。また耐食性を改善する効果も有する。しかしながら、過度にCrを含有させるとコストが増加するため、Cr含有量は0.01%以上15.0%以下とすることが好ましい。
CoおよびWは、過度に含有させるとコストが増加するため、Co含有量は0.01%以上4.0%以下、W含有量は0.01%以上4.0%以下とすることが好ましい。
(10)Sn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびB
本発明においては、固溶Nb,Ti,ZrおよびVによって磁気特性と機械特性の両立を図っているため、この効果を損なわない範囲で粒界偏析により粒成長を抑制する効果を有するSn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることが好ましい。これらの元素を含有させる場合には、熱間圧延工程での割れの発生およびコスト増加を抑制する観点から、各元素の含有量をSn:0.5%以下、Sb:0.5%以下、Se:0.3%以下、Bi:0.2%以下、Ge:0.5%以下、Te:0.3%以下、B:0.01%以下とすることが好ましい。これらの元素による粒成長抑制効果を確実に得るには、各元素の含有量をSn:0.001%以上、Sb:0.0005%以上、Se:0.0005%以上、Bi:0.0005%以上、Ge:0.001%以上、Te:0.0005%以上、B:0.0002%以上とすることが好ましい。
(11)Ca,MgおよびREM
本発明で規定するS含有量の範囲内では固溶Nb,Ti,ZrおよびV含有量に及ぼすSの影響は認められなかったため、本発明においては硫化物の形態制御による磁気特性改善を目的としてCa,MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種を含有させることができる。
ここでREMとは、原子番号57〜71の15元素、ならびに、ScおよびYの2元素の合計17元素をさす。
これらの元素を含有させる場合には、各元素の含有量はCa:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下が好ましい。上記効果を確実に得るためには、各元素の含有量をCa:0.0001%以上、Mg:0.0001%以上、REM:0.0001%以上とすることが好ましい。
2.平均結晶粒径
本発明では、強化機構として結晶粒微細化と適度な固溶強化とを組合せている。したがって、過度に結晶粒が粗大化した場合は所望の強度が得られないため、平均結晶粒径は50μm以下とする。好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下である。結晶粒径が微細化すれば磁気特性は劣化するが、本発明では再結晶部分の面積比率が100%であることを前提としており、再結晶部分の面積比率が100%となった場合には回転子用無方向性電磁鋼板として要求されるレベルの磁気特性が確保される結晶粒径の範囲となるため、結晶粒径の下限値は特に規定する必要はない。結晶粒径の制御には、均熱処理時の均熱温度や均熱時間などの調整が重要である。Nb,Ti,ZrおよびVの中でも、粒成長抑制効果の大きいNbを積極的に含有させた場合には、結晶粒径の制御がより容易であり、生産性向上にもつながる。
ここで、平均結晶粒径とは、縦断面組織写真において、板厚方向および圧延方向について切断法により測定した結晶粒径の平均値を用いればよい。この縦断面組織写真としては光学顕微鏡写真を用いることができ、例えば100倍の倍率で撮影した写真を用いればよい。また、再結晶部分の面積比率とは、上述の縦断面組織写真において視野中に占める再結晶粒の割合を示すものであり、この縦断面組織写真をもとに測定することができる。
3.板厚
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の板厚は、0.15mm以上0.80mm以下である。板厚が上記範囲未満では、過度の加工が必要となって冷間圧延時に破断するおそれがある。また、後述する均熱処理工程での生産性が悪くなるばかりか、占積率やカシメ強度が低下する可能性もある。一方、板厚が上記範囲を超えると、渦電流損失が増加するため、モータ効率が低下するおそれがある。このような観点から、好ましい板厚は0.20mm以上0.70mm以下、さらに好ましくは0.20mm以上0.50mm以下である。板厚が0.20mm以上0.40mm以下であれば、鉄損低減の観点からはさらに好ましい。これらの範囲で所望の鉄損レベルに応じて板厚を適宜選定すればよい。
B.回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法
次に、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下の冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、上記冷間圧延鋼板を800℃超950℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とするものである。
以下、このような無方向性電磁鋼板の製造方法における各工程について説明する。
1.熱間圧延工程
本発明における熱間圧延工程は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)に熱間圧延を施す工程である。
なお、鋼塊または鋼片の鋼組成については、上述した「A.回転子用無方向性電磁鋼板」の項に記載したものと同様であるので,ここでの説明は省略する。
本発明における熱間圧延工程としては、上記鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程であれば特に限定されるものではなく、一般的な熱間圧延を行うことができる。中でも、熱間圧延工程は、上記鋼塊または鋼片を1100℃以上1300℃以下としたのちに、累積圧下率が80%以上の粗熱間圧延を施して粗バーを得る粗熱間圧延工程と、粗バーに仕上熱間圧延を施す仕上熱間圧延工程とを有し、この熱間圧延工程にて、仕上熱間圧延工程前の粗バーの温度を950℃以上とすることが好ましい。
以下、熱間圧延工程の好適な態様について説明する。
(1)粗熱間圧延工程
本発明における粗熱間圧延工程は、上述した鋼組成を有する鋼塊または鋼片を、1100℃以上1300℃以下としたのちに、累積圧下率が80%以上の粗熱間圧延を施す工程である。
本工程においては、上述した鋼組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、所定の温度としたのちに粗熱間圧延を施す。粗熱間圧延に供するスラブ温度を所定の温度とすることができるのであれば、スラブを加熱炉に装入して所定の温度まで加熱する場合のほか、連続鋳造後や分塊圧延後の高温状態にあるスラブを加熱炉に装入しないで直接粗熱間圧延を行ってもよい。
粗熱間圧延に供する際のスラブ温度は1100℃以上1300℃以下とすることが好ましい。スラブ温度が上記範囲未満の場合には、粗熱間圧延中の鋼板温度が低すぎて熱間圧延工程における再結晶が不十分となり、冷間圧延後の鋼板に上述した表面欠陥が生じる場合がある。また、スラブ温度が上記範囲を超えるとスラブが変形するため、熱間圧延により所定の形状へ造り込むことが困難になる場合がある。さらに好ましいスラブ温度は1100〜1250℃である。
また、粗熱間圧延に供するスラブの断面組織における平均等軸晶率は25%以上であることが好ましい。これにより、表面性状をさらに改善することができるからである。この平均等軸晶率は、連続鋳造時に電磁攪拌を施す等、一般的な方法を用いることにより制御することができる。
ここで、等軸晶率とはスラブ厚に占める等軸晶部分の厚みの割合であり、スラブ断面をエッチングして得られる凝固組織のマクロ組織より等軸晶か柱状晶かを判別し、各部分の厚みを測定して算出すればよい。平均等軸晶率としては、スラブの幅方向の1/4,2/4,3/4位置における等軸晶率を平均した値を採用すればよい。
本発明においては、冷間圧延後の表面欠陥を抑制するために、上記スラブに累積圧下率が80%以上の粗熱間圧延を施して粗バーとすることが好ましい。粗熱間圧延での累積圧下率が上記範囲未満であると、本発明で規定する鋼組成を有する鋼板では、スラブ鋳造組織の巨大柱状粒に起因する圧延方向の筋状のバンド組織が冷間圧延後も残留してしまい、表面欠陥が発生する場合がある。さらに好ましい累積圧下率は83%以上である。一方、粗熱間圧延での累積圧下率が高いほど表面欠陥が抑制されるので、累積圧下率の上限は特に限定しない。
ここで、粗熱間圧延での累積圧下率は、粗熱間圧延機入側のスラブの厚さAと出側の粗バーの厚さBを用いて、次式で表される数値である。
(1−B/A)×100[%]
なお、粗熱間圧延を施す前にスラブの幅方向に圧下もしくは圧延を施してスラブ厚さを増加させても本発明の効果は全く失われない。この場合における粗熱間圧延での累積圧下率は、スラブの幅方向への圧下もしくは圧延後のスラブの厚さを用いて算出した数値とする。
粗熱間圧延における他の条件は特に限定されるものではなく、一般的な条件に従って行えばよい。
また本発明においては、冷間圧延後の表面欠陥を抑制するために、粗熱間圧延工程後で仕上熱間圧延工程前における粗バーの温度を950℃以上とすることが好ましい。粗バーの温度が上記範囲未満であると、本発明で規定する鋼組成を有する鋼板では熱間圧延工程にて再結晶が促進されず、上記累積圧下率が上述した範囲未満である場合と同様に、表面欠陥が発生する場合がある。粗熱間圧延工程後で仕上熱間圧延工程前における粗バーの温度は、970℃以上であることがさらに好ましい。一方、粗バーの温度の上限については特に限定するものではない。
上記粗バーの温度を950℃以上とする手段としては、粗熱間圧延に供するスラブ温度を高温にすることによって粗熱間圧延出側における粗バーの温度を950℃以上にする方法のほか、粗熱間圧延により得られた粗バーを加熱することにより950℃以上とする方法も用いることができる。
(2)仕上熱間圧延工程
本発明における仕上熱間圧延工程は、上記粗バーに仕上熱間圧延を施す工程である。
仕上熱間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、例えば仕上げ温度が700〜950℃、巻き取り温度が750℃以下など、一般的な条件に従って行えばよい。
2.冷間圧延工程
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下の冷間圧延鋼板を作製する工程である。
本工程においては、鋼板を0.15mm以上0.80mm以下の所望の板厚に仕上げる。この際、一回の冷間圧延で所定の板厚まで仕上げてもよいし、中間焼鈍を含む二回以上の冷間圧延によって仕上げてもよい。ここで一回の冷間圧延とは、中間焼鈍を施すことなく所望の板厚まで冷間圧延にて仕上げることをいう。
上述の「A.回転子用無方向性電磁鋼板」の項に記載したように、冷間圧延鋼板の好ましい板厚は0.20mm以上0.70mm以下、さらに好ましくは0.20mm以上0.50mm以下である。板厚が0.20mm以上0.40mm以下であれば、鉄損低減の観点からはさらに好ましい。これらの範囲で所望の鉄損レベルに応じて板厚を適宜選定すればよい。冷間圧延時の鋼板温度、圧下率、圧延ロール径など、冷間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の鋼組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板は、通常、熱間圧延の際に鋼板表面に生成したスケールを酸洗により除去してから冷間圧延に供される。熱間圧延鋼板に後述する熱延板焼鈍を施す場合には、熱延板焼鈍前あるいは熱延板焼鈍後のいずれかにおいて酸洗すればよい。
3.均熱処理工程
本発明における均熱処理工程は、上記冷間圧延鋼板を800℃超950℃以下で均熱する工程である。
本発明においては、均熱処理工程で進行する結晶粒成長を抑制し、磁気特性と機械特性を確保している。したがって、結晶粒成長抑制効果が小さい場合には、均熱温度を通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度よりも著しく低温化する必要がある。通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインでの均熱処理を前提とすれば、炉温が下がり、かつ安定化するまでは均熱処理に供することはできない。さらに、一旦炉温を下げた後は、通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度まで炉温が上がり、かつ安定化するまでは、通常の無方向性電磁鋼板を均熱処理に供することもできない。これらのことから、結晶粒成長抑制効果が小さい場合には、生産性を著しく低下させることが容易に想像できる。
本発明では析出物ではなく固溶状態のNb,Zr,TiおよびVを含有させることを特徴とし、これらにより結晶粒成長を抑制するものであり、特に固溶Nbを積極的に含有させた場合には、結晶粒成長を抑制する効果が大きい。したがって、均熱処理工程での均熱温度が高くとも所望の結晶粒径を得ることができ、特殊な均熱温度の機会を設ける必要がないため生産性を向上させることができる。具体的には、均熱処理工程の均熱温度が800℃超であれば、所望の機械特性と磁気特性を確保することができる。磁気特性の観点から好ましくは820℃超である。過度に均熱温度が高い場合には結晶粒粗大化に起因して機械特性が劣化するため、均熱温度は950℃以下、好ましくは920℃未満である。この均熱温度は通常の無方向性電磁鋼板で実施する範囲内であり、生産性を阻害することはない。均熱処理は、生産性の観点からは連続焼鈍ラインにて実施することが望ましい。
4.熱延板焼鈍工程
本発明においては、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を行ってもよい。この熱延板焼鈍工程は、熱間圧延工程と冷間圧延工程との間に行われる工程である。
熱延板焼鈍工程は必ずしも必須の工程ではないが、熱延板焼鈍工程を行うことにより,鋼板の延性が向上し冷間圧延工程での破断を抑制できる。また、製品表面における凹凸欠陥の生成を軽減する効果も有する。
熱延板焼鈍は、箱焼鈍および連続焼鈍のいずれの方法で実施してもよい。また、熱延板焼鈍の各種条件は特に限定されるものではなく、熱間圧延鋼板の鋼組成などにより適宜選択するものとする。
5.その他の工程
本発明においては、上記均熱処理工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁皮膜を鋼板表面に塗布するコーティング工程を行うことが好ましい。環境負荷軽減の観点から、クロムを含有しない絶縁皮膜を塗布しても構わない。また、コーティング工程は、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施す工程であってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
なお、本発明により製造される回転子用無方向性電磁鋼板については、上述した「A.回転子用無方向性電磁鋼板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
下記の表3に示す鋼組成を有するスラブを1150℃に加熱し、仕上げ温度820℃で熱間圧延を行い580℃で巻き取り、厚さが2.0mmの熱間圧延鋼板を得た。これらの熱間圧延鋼板のうち一部を除いて水素雰囲気中にて10時間保持する箱焼鈍、あるいは1000℃で60秒間保持する連続焼鈍による熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延にて種々の板厚に仕上げた。また、一部の熱間圧延鋼板については、上記の熱延板焼鈍後、中間板厚まで冷間圧延した後、水素雰囲気中にて750℃または800℃で10時間保持する箱焼鈍、あるいは1000℃で60秒間保持する連続焼鈍による中間焼鈍を実施し、二回目の冷間圧延で0.35mmに仕上げた。さらに、一部の熱間圧延鋼板については熱延板焼鈍を施すことなく、一回あるいは中間焼鈍を含む二回の冷間圧延にて0.35mmに仕上げた。その後、種々の温度で30秒間保持する連続焼鈍による均熱処理を施した。
Figure 2008174773
[比較例1]
上記表3に示す鋼組成を有する鋼を用いて、実施例1と同様にして鋼板を作製した。
[評価]
実施例1-1〜1-26および比較例1-1〜1-7の鋼板について、均熱処理後の再結晶部分の面積比率、平均結晶粒径、機械特性、および磁気特性を評価した。
再結晶部分の面積比率および平均結晶粒径は、ともに100倍の倍率で撮影した鋼板の縦断面の光学顕微鏡写真を用い、視野中に占める再結晶粒の割合を再結晶部分の面積比率として算出するとともに、再結晶部分の面積比率が100%の鋼板について切断法により結晶粒径を測定し、その結晶粒径を平均した。
機械特性は、圧延方向を長手方向としたJIS5号試験片を用いた引張試験を行い、降伏点:YP,引張強さ:TSにて評価した。
磁気特性については、55mm角の単板試験片にて、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と、磁化力5000A/mでの磁束密度B50とを測定した。測定は圧延方向と圧延直角方向について実施し、それらの平均値を採用した。
表4に、実施例1-1〜1-26および比較例1-1〜1-7の鋼板についての熱延板焼鈍条件、冷間圧延条件(中間板厚および中間焼鈍条件)、均熱処理条件、評価結果をそれぞれ示す。
Figure 2008174773
比較例1-1の鋼板はSi含有量が高いために冷間圧延時に破断した。また、比較例1-2の鋼板は板厚が本発明で限定する上限を上回っているため鉄損が増大し、Al含有量が高いために磁束密度も低かった。比較例1-3の鋼板はP含有量が高いために冷間圧延時に破断した。さらに、比較例1-4の鋼板はCおよびMnの含有量が高く、鋼組織がマルテンサイト組織であるために鉄損が著しく増大し、磁束密度も低かった。比較例1-5の鋼板はNb,Zr,TiおよびVの含有量が本発明範囲外であるために粒成長が抑制されず、均熱温度も高いために結晶粒径が粗大化し、降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例1-6の鋼板はNb,Zr,TiおよびVの含有量は本願発明の範囲であるものの、均熱温度が高すぎたために結晶粒径が粗大化し、降伏点および引張強さが劣っていた。比較例1-7の鋼板はNb,Zr,TiおよびVの含有量は本発明範囲の範囲であるものの、均熱温度が低すぎたために鉄損がやや増大した。
これに対して本発明で規定する要件を満足する実施例1-1〜1-26の鋼板では、熱延板焼鈍の方法、冷間圧延の回数にかかわらず、また、Niなどの高価な元素を多量に含有させることもなく、時効熱処理を実施することもなく、30W/kg程度あるいはそれ以下の鉄損と600MPa程度あるいはそれ以上の引張強さという、優れた磁気特性・機械特性を示していた。
実施例1-14および1-15を比較することにより、S含有量が変化しても機械特性は変化しないことがわかった。また、実施例1-18〜1-26に示されるように、Cu,Ni,Cr,Mo,Co,W,Sn,Sb,Se,Bi,Ge,Te,B,Ca,MgおよびREMを適正量含有させても本発明の効果が得られることがわかった。
[実施例2]
下記の表5に示す鋼組成を有する鋼スラブを、下記の表6に示す条件にて加熱して、粗熱間圧延を施し、仕上げ温度850℃、巻き取り温度550℃で仕上熱間圧延を行って、厚さが2.0mmの熱間圧延鋼板を得た。これらの熱間圧延鋼板に対して750℃で10時間保持する箱焼鈍による熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。その後、均熱温度880℃の連続焼鈍による均熱処理を施し、鋼板の表面に平均厚さ0.4μmの絶縁皮膜をコーティングした。
得られた鋼板について、再結晶部分の面積比率、平均結晶粒径、磁気特性、機械特性および占積率を評価した。
再結晶部分の面積比率および平均結晶粒径は、ともに100倍の倍率で撮影した鋼板の縦断面の光学顕微鏡写真を用い、視野中に占める再結晶粒の割合を再結晶部分の面積比率として算出するとともに、再結晶部分の面積比率が100%の鋼板について切断法により結晶粒径を測定し、その結晶粒径を平均した。
機械特性は、圧延方向を長手方向としたJIS5号試験片を用いた引張試験を行い、降伏点:YP,引張強さ:TSにて評価した。
磁気特性および占積率については、JIS C 2550に準じて試験片を採取し、評価した。磁気特性としては、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と磁化力5000A/mでの磁束密度B50とを測定した。また、占積率の評価については、98%以上をA、95%以上98%未満をB、95%未満をCとして、AおよびBは回転子の鉄心として使用可能レベルと判断した。
なお、スラブの平均等軸晶率は、上述した方法により測定した。
評価結果を表6に示す。
Figure 2008174773
Figure 2008174773
鋼組成が本発明範囲であるため、いずれの鋼板も磁気特性、機械特性は良好であるものの、スラブ加熱条件および粗熱間圧延条件が好適範囲を外れる場合(No.2-5〜2-8,2-9〜2-12)には占積率が低下した。一方、製造条件が好適範囲であるNo.2-1〜2-4,2-13〜2-16の鋼板は、磁気特性、機械特性および占積率のいずれも良好であった。
Nb含有量の異なる鋼板についての、均熱温度と引張り強さとの関係を示す図である。 750℃で20秒間保持の均熱処理を行った鋼板についての、Nb(=Nb/93−C/12−N/14)およびTi(=Ti/48−C/12−N/14)と引張強さとの関係を示す図である。

Claims (9)

  1. 質量%で、C:0.06%以下、Si:1.6%超3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb,Ti,ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不純物からなり、平均結晶粒径が50μm以下であり、板厚が0.15mm以上0.80mm以下であることを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板。
    0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14) (1)
    (ここで、式(1)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
  2. 質量%で、Nb:0.02%超0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
  3. Cu,Ni,Cr,Mo,CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Cu:0.01%以上1.5%以下 Ni:0.01%以上1.0%以下
    Cr:0.01%以上15.0%以下 Mo:0.005%以上4.0%以下
    Co:0.01%以上4.0%以下 W:0.01%以上4.0%以下
  4. Sn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Sn:0.001%以上0.5%以下 Sb:0.0005%以上0.5%以下
    Se:0.0005%以上0.3%以下 Bi:0.0005%以上0.2%以下
    Ge:0.001%以上0.5%以下 Te:0.0005%以上0.3%以下
    B:0.0002%以上0.01%以下
  5. Ca,MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Ca:0.0001%以上0.03%以下 Mg:0.0001%以上0.02%以下
    REM:0.0001%以上0.1%以下
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施すことにより、板厚が0.15mm以上0.80mm以下の冷間圧延鋼板を作製する冷間圧延工程と、前記冷間圧延鋼板を800℃超950℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 前記熱間圧延工程が、前記鋼塊または鋼片を1100℃以上1300℃以下としたのちに、累積圧下率が80%以上の粗熱間圧延を施して粗バーを得る粗熱間圧延工程と、前記粗バーに仕上熱間圧延を施す仕上熱間圧延工程とを有し、前記熱間圧延工程にて、前記仕上熱間圧延工程前の粗バーの温度を950℃以上とすることを特徴とする請求項6に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 前記鋼塊または鋼片の断面組織における平均等軸晶率が25%以上であることを特徴とする請求項7に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 前記熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有することを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれかの請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
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