JP5126788B2 - 回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータ、ロボット、工作機械などのサーボモータといった高効率モータの回転子に用いられる無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。特に、高速回転する永久磁石埋め込み式モータの回転子として好適な優れた機械特性と磁気特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、多くの分野において省エネルギー、環境対策技術が進展している。自動車分野も例外ではなく、排ガス低減、燃費向上技術が急速に進歩している。電気自動車およびハイブリッド自動車はこれらの技術の集大成といっても過言ではなく、自動車駆動モータ(以下、単に「駆動モータ」ともいう。)の性能が自動車性能を大きく左右する。
駆動モータの多くは永久磁石を用いており、巻き線を施した固定子(ステータ)部分と永久磁石を配置した回転子(ロータ)部分とから構成される。最近では永久磁石を回転子内部に埋め込んだ形状(永久磁石埋め込み型モータ;IPMモータ)が主流となっている。また、パワーエレクトロニクス技術の進展により回転数は任意に制御可能であり、高速化傾向にある。したがって、鉄心素材は商用周波数(50〜60Hz)以上の高周波数域で励磁される割合が高まっており、商用周波数での磁気特性のみでなく、400Hz〜数kHzでの磁気特性改善が要求されるようになってきた。また、回転子は高速回転時の遠心力のみならず回転数変動にともなう応力変動を常時うけることから、回転子の鉄心素材には機械特性も要求されている。特に、IPMモータの場合には複雑な回転子形状を有することから、回転子用の鉄心材料には応力集中を考慮して遠心力ならびに応力変動に耐えうるだけの機械特性が必要となる。また、ロボット、工作機械用のサーボモータ分野でも、駆動モータと同様に回転数の高速化が今後進行していくと予測される。
従来、駆動モータの固定子は主に打ち抜き加工した無方向性電磁鋼板の積層により製造されていたが、回転子はロストワックス鋳造法あるいは焼結法などにより製造されることもあった。これは固定子には優れた磁気特性が、回転子には堅牢な機械特性が要求されることによる。しかしながら、モータ性能は回転子−固定子間のエアギャップに大きく影響されるため、上述の回転子では精密加工の必要性が生じ鉄心製造コストが大幅に増加するという問題があった。コスト削減の観点からは、打ち抜き加工した電磁鋼板を使用すればよいが、回転子に必要な磁気特性と機械特性とを兼備した無方向性電磁鋼板は見出されていないのが現状であった。
優れた機械特性を有する電磁鋼板としては、例えば特許文献1に、3.5〜7%のSiに加えて、Ti、W、Mo、Mn、Ni、CoおよびAlのうちの1種または2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化を利用している。しかしながら、固溶強化の場合には冷間圧延母材も同時に高強度化されるため冷間圧延が困難であり、またこの方法においては温間圧延という特殊工程が必須であることから、生産性向上や歩留まり向上など改善の余地がある。
また、特許文献2には、2.0〜3.5%のSi、0.1〜6.0%のMnに加えてBおよび多量のNiを含有し、結晶粒径が30μm以下である鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化と結晶粒径微細化による強化とを利用している。しかしながら、結晶粒微細化による強化は比較的効果が小さいため、特許文献2の実施例に示されるようにSiを3.0%程度含有させた上に高価なNiを多量に含有させることが必須であり、冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
さらに、特許文献3および特許文献4には、2.0〜4.0%のSiに加えてNb、Zr、B、TiまたはVなどを含有する鋼板が提案されている。これらの方法ではSiによる固溶強化に加えてNb、Zr、TiまたはVの析出物による析出強化を利用している。しかしながら、このような析出物による強化は比較的効果が小さいため、特許文献3および特許文献4の実施例に示されるようにSiを3.0%程度させる必要があり、特に特許文献3の方法では高価なNiを多量に含有させることも必要となる。そのため冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
また、特許文献5および特許文献6には、SiおよびAlを0.03〜0.5%と制限した上でTi、NbおよびV、あるいはPおよびNiを含有する鋼板がそれぞれ提案されている。これらの方法では、Siによる固溶強化よりも炭化物の析出強化およびPの固溶強化を利用している。しかしながら、これらの方法では、後述する駆動モータの回転子として必要な強度レベルを確保することができないという問題や、特許文献5および特許文献6の実施例に示されているように2.0%以上のNi含有が必須であり、合金コストが高いという問題がある。
さらに、特許文献7には、Si:1.6〜2.8%であって、結晶粒径、内部酸化層厚み、および降伏点を限定した永久磁石埋め込み型モータ用無方向性電磁鋼板が提案されている。しかしながら、この方法による鋼板の降伏点では、高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
特許文献8および特許文献9には、無方向性電磁鋼板の強化機構としてCuの析出強化を利用する技術が提案されている。これらの技術によれば優れた磁気特性と機械特性を達成できるものの、Cuの析出を目的としたいわゆる時効熱処理が必要となる。そのため、例えばユーザでの熱処理工程の変更等をともなうものとなり、実用化については課題が多い。
また、JIS C 2552に規定の無方向性電磁鋼板としては、いわゆる高グレード無方向性電磁鋼板(35A210、35A230など)が最も合金含有量が高く高強度であるが、機械特性レベルは上述の高張力電磁鋼板を下回っており高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
特開昭60-238421号公報 特開平1−162748号公報 特開平2−8346号公報 特開平6−330255号公報 特開2001−234302号公報 特開2002−146493号公報 特開2001−172752号公報 特開2004−84053号公報 特開2007−39754号公報
上述したように、無方向性電磁鋼板の高強度化手法として従来から提案されている固溶強化および析出強化では冷間圧延の母材も強化されてしまうことから冷間圧延時に割れが多発し、結晶粒微細化による高強度化ではその強化量が不十分であるため回転子用途として実用に耐える強度を実現することができない。また、本発明者らは変態強化についても検討を行ったが、変態強化ではマルテンサイト等の変態組織が鉄損を著しく増大させることが判明し、回転子用途として実用に耐える磁気特性を実現することができない。さらに、Cuの析出強化による高強度化は熱処理工程の追加が必要であり、実用化には課題が残されている。
このような中で、本発明者らは転位強化による高強度化に着目し、特開2006−9048号公報、特開2006−70296号公報、特開2007−16278号公報、特開2007−23351号公報、特開2007−31755号公報で、回転子用無方向性電磁鋼板として開示している。その技術的骨子は、均熱処理工程時に進行する再結晶を固溶Nb、Ti、Zr、Vにより抑制し、鋼組織を回復組織に制御することにある。本技術によれば、従来技術の問題点であった冷間圧延時の割れをともなうことなく回転子用途として実用に耐える強度を実現可能である。また、Cuの析出強化による高強度化のような時効熱処理工程の追加は一切不要である。
このように従来技術の問題点を克服した転位強化による回転子用無方向性電磁鋼板であるが、その生産性のさらなる改善には再結晶抑制効果をさらに高めることが有効である。再結晶抑制効果を高めれば均熱処理工程の均熱温度を高温化でき、焼鈍ラインの炉温切り替えによる生産性の低下を防ぐことができるためである。さらに、再結晶抑制効果を高めることにより、特殊な均熱温度の機会を設けることなく極めて高い強度レベルを達成することも可能となる。そのため、生産性を維持したまま製造可能な機械特性レベルの範囲を大幅に拡大することも可能となる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備し、従来技術を凌駕する生産性を有する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、転位強化を活用する回転子用無方向性電磁鋼板の分野ではそれほど検討されていなかったPを積極的に含有させた場合の挙動について調査した。そして、固溶強化能の極めて高いPを積極的に含有させることにより、逆に強度が低下するとの特異な結果を得た。この理由を調査した結果、再結晶抑制効果を有する固溶Nb、Zr、TiがPによって析出物(リン化物)として固定され、均熱処理時の再結晶抑制効果が消失するためと判明した。さらに詳細な検討を進めた結果、Nb、Zr、Tiのリン化物の形成を抑制し、Pと固溶Nb、Zr、Tiを共存させた状態で均熱処理を実施した場合、消失したはずの再結晶抑制効果が、従来技術を凌駕する大きさで再発現するとの新知見を得て本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:1.0%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.04%以上0.25%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)および(2)を満足する範囲で含有し、Nb含有量が0.02%超であり、残部がFeおよび不純物からなり、再結晶部分の面積比率が90%未満であることを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板を提供する。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14+P/31)<-6×10-4 (2)
(ここで、式(1)および式(2)における、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
本発明においては、鋼組成と再結晶部分の面積比率の適正な制御により強度を高めることができるので、機械特性および磁気特性が良好な回転子用無方向性電磁鋼板とすることができる。これにより、回転子に要求される磁気特性および機械特性をも満足するものとすることができるのである。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、Nb含有量が0.02%超である。Nbにより再結晶抑制効果が高まり、鋼板の強度および生産性を高めることが可能となるからである。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、上記Feの一部に代えて、Vを1%以下含有することが好ましい。Vにより再結晶抑制効果が高まり、鋼板の強度を高めることが可能となるからである。
また、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、上記Feの一部に代えて、Cu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Cu:8.0%以下 Ni:2.0%以下
Cr:15.0%以下 Mo:4.0%以下
Co:4.0%以下 W:4.0%以下
上記元素の高強度化作用により、鋼板の強度をより高めることが可能となるからである。
さらに、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、上記Feの一部に代えて、Sn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Sn:0.5%以下 Sb:0.5%以下 Se:0.3%以下 Bi:0.2%以下
Ge:0.5%以下 Te:0.3%以下 B:0.01%以下
上記元素の粒界偏析により、効果的に再結晶を抑制することができるからである。
またさらに、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、上記Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することが好ましい。
Ca:0.03%以下 Mg:0.02%以下 REM:0.1%以下
上記元素の硫化物形態制御作用により、磁気特性をさらに改善することができるからである。
本発明は、また、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延を施すことにより、所定の板厚まで仕上げる冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、Nb、Zr、Tiのリン化物の形成が抑制され、Pと固溶Nb、Zr、Tiを共存させた状態で均熱処理に供することが可能となる。そのため再結晶抑制効果が高まり、回転子として必要な機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板を高い生産性で製造することができる。
本発明によれば、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備した無方向性電磁鋼板を、合金コストの増加や熱処理工程の増加を招くことなく安定に製造することが可能である。そのため、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ分野などにおける回転数の高速化に十分対応でき、その工業的価値は極めて高い。
本発明で言及する回転子に用いる電磁鋼板として必要な特性とは、第一に機械特性であり、降伏点および引張強さを指す。これは高速回転時の回転子の変形抑制のみならず、応力変動に起因する疲労破壊抑制を目的としている。近年の電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータでは、回転子形状の複雑化、回転子径の大型化、埋め込まれた永久磁石の大型化などにより、変形抑制および疲労破壊抑制の観点から、降伏点は550MPa以上を満たす必要がある。好ましくは600MPa以上である。また、引張強さは650MPa以上、好ましくは680MPa超必要である。
また、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第二の特性は磁束密度である。IPMモータのようにリラクタンストルクを活用するモータでは回転子に用いられる材質の磁束密度もトルクに影響を及ぼし、磁束密度が低いと所望のトルクを得られない。
さらに、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第三の特性は鉄損である。回転子で発生する鉄損はモータ効率そのものを支配するものではないが、回転子での鉄損すなわち発熱により永久磁石が減磁するため、間接的にモータ性能を劣化させる。したがって、回転子に使用される材質の鉄損値の上限は永久磁石の耐熱温度の観点から決定され、固定子に使用される材質よりも鉄損値が高くとも許容されると想起される。
本発明者らは、各強化機構の磁気特性および機械特性への影響について検討し、転位強化による高強度化によって、上記の回転子に要求される磁気特性と機械特性が達成されるとの知見を得た。転位強化を活用するためには、鋼組織を従来の無方向性電磁鋼板の技術認識である完全な再結晶フェライト組織とは全く逆に、多量の転位が残存した回復組織とすることが必要である。回復組織は冷間圧延後の均熱処理工程にて進行する再結晶を抑制することで得られるが、再結晶抑制効果が小さい場合には均熱処理工程での均熱温度を低温化する必要が生じ、生産性が著しく低下する。
本発明者らはこの課題に鑑み、再結晶抑制効果を高めるための検討の一環として、転位強化を活用する回転子用無方向性電磁鋼板の分野ではそれほど検討されていなかったPを積極的に含有させた場合の挙動について調査した。そして、固溶強化能の極めて高いPを積極的に含有させることにより、逆に強度が低下するとの特異な結果を得た。この理由を調査した結果、Pを積極的に含有させた場合には、再結晶抑制効果を有する固溶Nb、Zr、TiがPによって析出物(リン化物)として固定され、均熱処理工程での再結晶抑制効果が消失すると判明した。Nb、Zr、TiはC、Nと結合する傾向が強く、炭化物や窒化物として固定されてしまう。そのため、本発明者らが特開2006−9048号、特開2006−70296号、特開2007−16278号、特開2007−23351号、特開2007−31755号で実施した従来の検討のように、Pをそれほど含有させない場合には、実質的にはPとNb、Zr、Tiの作用を考慮する必要はなかった。本検討のようにPを積極的に含有させた場合に限り、C、NのみならずPの影響も考慮する必要があると判明したのである。
さらに検討を進めた結果、Nb、Zr、Tiのリン化物の形成を抑制し、本来ならばリン化物として結合してしまうPと固溶Nb、Zr、Tiが、結合することなく鋼中に共存した状態で均熱処理に供した場合、消失したはずの再結晶抑制効果が、従来技術を凌駕する大きさで再発現するとの新知見を得るに至った。
以下、本発明を完成させるに至った知見について説明する。
主要成分が質量%で、Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%であり、C、SおよびNbの含有量をそれぞれC:0.001〜0.04%、S:0.0002〜0.03%、Nb:0.001〜0.6%と変化させた鋼に仕上温度:800〜850℃、巻取温度:500℃で熱間圧延を施して2.3mmとした後、800℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、さらに0.35mmまで冷間圧延し、750℃で20秒間保持する均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。
図1に、Nb、C、Nの含有量により規定される下記式(3)で示されるNbと鋼板の引張強さとの関係を示す。
Nb=Nb/93−C/12−N/14 (3)
(ここで、式(3)中、Nb、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
図1より、Nb>0の場合にのみ優れた機械特性が得られることがわかった。また、鋼組織を調査した結果、Nb>0の場合にのみ再結晶が抑制されており、鋼組織は回復組織であった。NbはNb含有量とC、N含有量の原子分率での差を示しており、Nb>0とはC、Nと比較してNbを過剰に含有することと対応する。すなわち、Nbは固溶Nb含有量と対応すると推察され、再結晶抑制には固溶Nb含有量の確保が重要であると推察された。
また、ZrおよびTiについても上記と同様の検討を行い、それらの知見を合わせて再結晶抑制には固溶Nb、Zr、Ti含有量の確保が重要であり、原子分率で比較してC、Nを超える量のNb、Zr、Tiを含有させる必要がある、すなわち下記式(1)を満足させる必要があると判明した。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)における、Nb、Zr、Ti、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
次に、主要成分が質量%で、C:0.002%、Si:3.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、S:0.003%、N:0.002%、Nb:0.08%であり、Pの含有量をそれぞれ0.01%と0.1%に変化させた鋼(いずれもNb>0)に仕上温度:800〜850℃、巻取温度:500℃で熱間圧延を施して2.3mmとした後、750℃で10時間の熱延板焼鈍を行い、さらに0.35mmまで冷間圧延し、500〜1000℃で20秒間保持する均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。
図2に、Nb>0でP含有量の異なる鋼についての均熱温度と引張強さとの関係を示す。
図2に示すとおり、P含有量の高い鋼に熱延板焼鈍を実施した場合では、Nb>0であっても均熱温度の上昇とともに急激に強度が低下した。固溶強化能の極めて高いPを積極的に含有させることにより逆に強度が低下するとの特異な結果であったため、鋼組織を調査したところ、P含有量の高い鋼ではNb>0であっても均熱温度の上昇とともに再結晶が進行することが判明した。また、均熱処理後の析出物観察ではFeNbPが確認された。これらより、Nb>0であっても、再結晶抑制に必要な固溶NbがPによってリン化物(FeNbP)として固定された場合には再結晶が抑制されないことが明らかとなった。
さらに析出物の観察をすすめたところ、FeNbPの大多数は熱延板焼鈍中に析出すると判明した。FeNbPの形成抑制を目的として、熱延板焼鈍を施すことなく0.35mmまで冷間圧延し、500〜1000℃で20秒間保持する均熱処理を施した。このようにして得られた鋼板の引張強さを測定した。
図2に示すとおり、P含有量の高い鋼であっても、熱延板焼鈍を施すことなく冷間圧延−均熱処理に供することにより強度は大幅に増加し、Pの固溶強化能から予測される数値を凌駕する値を示した。すなわち、本来ならばリン化物として結合してしまうPと固溶Nbが、結合することなく鋼中に共存した状態で均熱処理を実施した場合、消失したはずの再結晶抑制効果が、従来技術を凌駕する大きさで再発現するとの新知見を得た。Zr、Tiについても上記と同様の検討を行い、再結晶抑制効果を有する固溶Nb、Ti、ZrがPによって析出物(リン化物)として固定された場合には均熱処理工程での再結晶抑制効果が消失すること、さらには、Nb、Zr、Tiのリン化物の形成を抑制し、本来ならばリン化物として結合してしまうPと固溶Nb、Ti、Zrが、結合することなく鋼中に共存した状態で均熱処理に供した場合、消失したはずの再結晶抑制効果が、従来技術を凌駕する大きさで再発現するとの新知見を得た。これらの知見より、再結晶抑制効果を高めるためには、式(1)を満たした上で、下記式(2)を満足させる必要があると判明し、本発明を完成させたのである。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14+P/31)<-6×10-4 (2)
(ここで、式(1)および式(2)における、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.回転子用無方向性電磁鋼板
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.06%以下、Si:1.0%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.04%以上0.25%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を上記式(1)および(2)を満足する範囲で含有し、Nb含有量が0.02%超であり、残部がFeおよび不純物からなり、再結晶部分の面積比率が90%未満であることを特徴とするものである。
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板における鋼組成および再結晶部分の面積比率について説明する。
1.鋼組成
(1)C
CはNb、ZrおよびTiと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb、ZrおよびTiの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb、ZrおよびTiにより再結晶を抑制する本発明ではC含有量は低減することが好ましい。しかしながら、過度のC含有量の低減は製鋼コストが増加する点や、C含有量が多くてもNb、ZrおよびTiの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb、ZrおよびTiの含有量は確保される点を鑑み、C含有量の上限値は0.06%とする。好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。特に、C含有量が0.01%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb、ZrおよびTiの含有量が少なくてすむので合金コストの観点から望ましい。
(2)Si
Siは電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果を有する元素である。しかしながら、多量のSiを含有させた場合には冷間圧延時の割れを誘発し、鋼板の歩留まり低下により製造コストが増加する。そのためSi含有量は4.0%以下とする。割れ抑制の観点からは3.5%以下が好ましい。固溶強化による鋼板の高強度化と鉄損低減の観点から、Si含有量は1.0%以上とする。好ましくは1.2%以上である。
(3)Mn
MnはSiと同様に電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果がある。しかしながら、Mnを多量に含有させると合金コストが増加するため、Mn含有量の上限は3.0%とする。一方、Mn含有量の下限はSを固定する観点から定められるものであり、0.05%とする。
(4)Al
Alは電気抵抗を高めるためSiと同様に渦電流損失を低減する。しかしながら、多量にAlを含有させると合金コストが増加するとともに、飽和磁束密度低下により磁束の漏れが発生するためモータ効率が低下する。これらの観点からAl含有量の上限は2.5%とする。また、Alを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Siを脱酸剤として使用する場合があるため、Al含有量の下限値は特に限定しない。
(5)P
リン化物の形成を抑制し、鋼中で固溶Nb、Zr、Tiと共存した状態で均熱処理に供することにより、再結晶抑制効果が格段に高まるという新知見を活用する本発明においては、Pは極めて重要な元素である。この効果を得るためにはPを0.04%以上含有させる必要がある。好ましくは0.05%以上である。Pを多量に含有する場合には冷間圧延時の割れを誘発するため、P含有量の上限は0.25%とする。また、P含有量は後述する式(2)を満足する必要がある。
(6)S
Sは鋼中に不可避的に混入する不純物であるが、過度の低減には著しくコストが増加するため、S含有量としては0.04%を上限とする。
(7)N
NはNb、ZrおよびTiと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb、ZrおよびTiの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb、ZrおよびTiによって再結晶を抑制する本発明ではN含有量は低減することが好ましい。しかしながら、N含有量が多くてもNb、ZrおよびTiの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb、ZrおよびTiの含有量は確保できる点を鑑み、N含有量の上限は0.02%とする。好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。N含有量が0.005%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb、ZrおよびTiの含有量が少なくてすむので合金コストの観点から望ましい。
(8)Nb、ZrおよびTi
従来技術を凌駕する大きさで再結晶抑制効果を得るためには、リン化物の形成を抑制し、固溶Nb、Zr、TiとPが共存した状態で均熱処理に供する必要がある。ここで、Nb、Zr、Tiは極めて活性な元素であり、鋼中のC、Nと結合する傾向が強いために、まずは炭化物、窒化物、炭窒化物として固定されてしまう。したがって、固溶Nb、Zr、TiとPが共存するためには、先に結合してしまうC、Nよりも原子分率で比較して多量にNb、Zr、Tiを含有している必要があり、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を、下記式(1)を満足する範囲で含有させることが必要である。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
(ここで、式(1)における、Nb、Zr、Ti、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
さらに、従来技術を凌駕する大きさで再結晶抑制効果を得るためには、CおよびNと結合することなく残存したNb、Zr、Tiよりも、原子分率で比較して過剰にPを含有している必要がある。このため、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(2)を満足する範囲で含有させることが必要である。
Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14+P/31)<-6×10-4 (2)
(ここで、式(2)における、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
これらの式(1)および式(2)を満足した鋼組成とすることは従来技術を凌駕する大きさで再結晶抑制効果を得るための必要条件であり、この鋼組成とした上でリン化物の形成を抑制し、固溶Nb、Zr、TiとPを共存させた状態で均熱処理に供することが重要である。固溶Nb、Zr、TiとPが共存した状態で均熱処理に供することにより再結晶抑制効果が大幅に高まる理由は明確でないが、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、リン化物は形成速度が遅いため、短時間の均熱処理中に形成されるとは考えがたい。したがって、再結晶抑制効果の大幅な増大はリン化物の析出ではなく、固溶Nb、Zr、TiとPが均熱処理中に転位近傍に析出前段階のクラスターを形成し、転位の合体・消滅を抑制した結果、再結晶が抑制されたと推察している。したがって、再結晶抑制効果を得るためには、相当量の過剰なPが必要となり、過剰のP含有量の目安が上記式(2)の右辺である。再結晶抑制効果を高める観点からはさらに過剰のPを含有させることが好ましく、上記式(2)の右辺は-7×10-4であることが好ましく、さらに好ましくは-8×10-4である。
ここで、硫化物を考慮すると固溶状態のNb、ZrおよびTiの含有量はS含有量にも影響される。しかしながら、図1および後述する実施例に示したとおり、再結晶抑制効果に及ぼすSの影響は認められなかったため、本発明においてはSの項を省略した上記式(1)および式(2)を採用した。Sの影響が認められなかった理由は明確でないが、凝固末期のSが濃化した領域からMnSとなって晶出するなどしてMnによりSが固定されたためと考えられる。
固溶Nb、ZrおよびTiのうち、固溶Nbが最も再結晶抑制効果が大きいため、本発明ではNbを積極的に含有させ、Nb含有量は0.02%を超えるものとする。好ましくは0.04%以上である。
(9)V
Vも再結晶を抑制する効果を有するが、Nb、Zr、Tiと比較するとリン化物を形成する傾向は低い。したがって、本来ならば形成するところのリン化物を、形成させることなく固溶状態にてPと共存させることを骨子とする本発明においては、Vは必須元素ではない。その再結晶抑制効果の観点からはVを含有させてもよく、含有させる場合には合金コストの観点からV含有量は1%以下が好ましい。
(10)Cu、Ni、Cr、Mo、CoおよびW
本発明においては、再結晶粒径の細粒化ではなく再結晶そのものを抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、この再結晶抑制効果を損なわない範囲でCu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることができる。これらの元素は鋼板を高強度化する作用を有するので、鋼板の強度をさらに高めるのに有効であり好ましい。
Cuは過度に含有させると表面疵や冷間圧延時の割れの発生につながるため、Cu含有量は8.0%以下とすることが好ましい。上記高強度化作用をより確実に発現させるには、Cu含有量を0.01%以上とすることが好ましい。また、Cuは鋼板の固有抵抗を増加させ、鉄損を低減させる作用を有するので、このような観点からも含有させることができる。なお、本発明はCuの析出強化を用いずとも回転子として必要な磁気特性と機械特性を達成できるため、Cuを含有させたとしても従来技術として例示したいわゆる時効熱処理型の無方向性電磁鋼板とは本質的に異なることは言うまでもない。
NiおよびMoは過度に含有させると冷間圧延時の割れの発生やコスト増加につながるため、Ni含有量は2.0%以下、Mo含有量は4.0%以下とすることが好ましい。上記高強度化作用をより確実に発現させるには、Ni含有量を0.01%以上、Mo含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
Crは過度に含有させるとコストが増加するため、Cr含有量は15.0%以下とすることが好ましい。上記高強度化作用をより確実に発現させるには、Cr含有量を0.01%以上とすることが好ましい。また、Crは鋼板の固有抵抗を増加させ、鉄損を低減させる作用を有し、さらに耐食性を改善する作用も有するので、このような観点からも含有させることができる。
CoおよびWは、過度に含有させる場合とコストが増加するため、Co含有量は4.0%以下、W含有量は4.0%以下とすることが好ましい。上記高強度化作用をより確実に発現させるには、Co含有量を0.01%以上、W含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
(11)Sn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびB
本発明は再結晶を抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、粒界偏析により再結晶を抑制する効果を有するSn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることが好ましい。これらの元素を含有させる場合には、熱間圧延工程での割れの発生およびコスト増加を抑制する観点から、各元素の含有量をSn:0.5%以下、Sb:0.5%以下、Se:0.3%以下、Bi:0.2%以下、Ge:0.5%以下、Te:0.3%以下、B:0.01%以下とすることが好ましい。これらの元素による再結晶抑制効果を確実に得るには、各元素の含有量をSn:0.001%以上、Sb:0.0005%以上、Se:0.0005%以上、Bi:0.0005%以上、Ge:0.001%以上、Te:0.0005%以上、B:0.0002%以上とすることが好ましい。
(12)Ca、MgおよびREM
本発明で規定するS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSの影響は認められなかったため、本発明においては硫化物の形態制御による磁気特性改善を目的としてCa、MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種を含有させることができる。
ここでREMとは、原子番号57〜71の15元素、ならびに、ScおよびYの2元素の合計17元素をさす。
これらの元素を含有させる場合には、各元素の含有量をCa:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下が好ましい。上記効果を確実に得るためには、各元素の含有量をCa:0.0001%以上、Mg:0.0001%以上、REM:0.0001%以上とすることが好ましい。
(13)その他
本発明は、再結晶組織を前提とした従来技術とは異なり、多くの転位が残存した回復組織とすることにより強度を高めるものであるから、再結晶組織を前提とした従来技術において制限されていた元素の含有をより高いレベルまで許容することができる。例えば、Ta、Hf、As、Au、Be、Zn、Pb、Tc、Re、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Cd、HgおよびPoは総和で0.01%以下に制限されていたが、0.1%以下まで許容できる。
2.再結晶部分の面積比率
再結晶の前段階である回復の進行とともに、再結晶部分の面積比率はゼロのまま降伏点および引張強さは低下する。再結晶開始後は、再結晶部分の面積比率の増加とともに降伏点および引張強さはさらに低下する。ここで、再結晶部分の面積比率は回転子用に必要な機械特性を確保する観点から定まり、90%未満となる。好ましくは70%以下、さらに好ましくは40%以下であり、25%未満であれば疲労破壊抑制の観点からより好ましい。機械特性の観点からは再結晶部分の面積比率は低いほど好ましく、再結晶部分の面積比率をゼロとし、完全に未再結晶状態(回復組織)とすることが好ましい。
再結晶部分の面積比率制御には均熱処理時の均熱温度や均熱時間などを調整することが重要である。本発明においては、Pと固溶Nb、Zr、Tiを鋼中に共存させた状態で均熱処理に供するために再結晶抑制効果が極めて高く、このような再結晶部分の面積比率制御は特開2006−9048号、特開2006−70296号、特開2007−16278号、特開2007−23351号、特開2007−31755号で開示した技術よりも容易であり、生産性向上にもつながる。
ここで、再結晶部分の面積比率とは、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の縦断面組織写真において視野中に占める再結晶粒の割合を示すものであり、この縦断面組織写真をもとに測定することができる。縦断面組織写真としては、光学顕微鏡写真を用いることができ、例えば100倍の倍率で撮影した写真を用いればよい。
B.回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法
次に、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延を施すことにより、所定の板厚まで仕上げる冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で均熱する均熱処理工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、Nb、Zr、Tiのリン化物の形成が抑制され、Pと固溶Nb、Zr、Tiを共存させた状態で均熱処理に供することが可能となる。そのため再結晶抑制効果が高まり、回転子として必要な機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板を高い生産性で製造することができる。本発明においては、従来の固溶強化や析出強化のように冷間圧延に供する鋼板、すなわち冷間圧延の母材の高強度化を伴うことがないので、冷間圧延時の破断を抑制することができる。また、従来のように高価な鋼成分を用いることも、特殊な工程も必要としない。
以下、このような回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法における各工程について説明する。
1.熱間圧延工程
本発明における熱間圧延工程は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)に熱間圧延を施す工程である。
なお、鋼塊または鋼片の鋼組成については、上述した「A.回転子用無方向性電磁鋼板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本工程においては、上述した組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を行ってもよい。スラブ加熱温度は特に限定されるものではないが、コストおよび熱間圧延性の観点から1000〜1300℃とすることが好ましい。より好ましくは1050〜1250℃である。熱間圧延の各種条件は特に限定されるものではないが、リン化物の析出を抑制するため仕上温度は700〜950℃、巻取温度は750℃以下が好ましい。
2.冷間圧延工程
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍および中間焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延を施すことにより、所定の板厚まで仕上げる工程である。上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片を用いても、熱延板焼鈍および中間焼鈍を施すことにより鋼中の固溶Nb、Zr、Tiがリン化物として固定され、均熱処理での再結晶抑制効果が弱まる。そのため、熱延板焼鈍および中間焼鈍を施さない一回の冷間圧延に限定する。
本工程においては、鋼板を所定の板厚に仕上げる。板厚は0.15mm以上0.80mm以下が好ましい。板厚が上記範囲未満では、圧下率が過大となって冷間圧延時に破断するおそれがある。また、後述する均熱処理工程での生産性が悪くなるばかりか、占積率やカシメ強度が低下する可能性もある。一方、板厚が上記範囲を超えると、渦電流損失が増加するため、モータ効率が低下するおそれがある。また、冷間圧延時に導入される転位の量が低下するために、製品の機械特性が劣化するおそれもある。このような観点から、さらに好ましい板厚は0.20mm以上0.70mm以下である。
本発明においては、均熱処理工程の前までに導入された転位の均熱処理工程における消滅を抑制して、均熱処理工程後に転位を十分に残存させることにより高強度化を達成している。そのため、導入された転位の量が少ない場合には十分な強度を確保できない。均熱処理工程の前までに導入された転位の量は均熱処理工程に供される前の鋼板、すなわち冷間圧延鋼板の引張強さで判別することができる。回転子用途として必要な強度を確保する観点から、冷間圧延鋼板の引張強さは、圧延方向を長手方向とした測定値で850MPa以上が好ましい。より好ましくは900MPa以上である。
ここで、冷間圧延鋼板の引張強さは圧延方向を長手方向として採取した引張試験片にて測定することができる。
このように本工程においては、所望の鉄損レベルに応じて板厚を適宜選定し、均熱処理工程の前段階における引張強さを十分に確保できるように、すなわち均熱処理工程の前に十分な量の転位を導入できるように冷間圧延を実施すれば本発明の効果を得ることができる。
後述するように、均熱処理工程前に鋼板の平坦度を矯正する目的で軽加工を行う、すなわち矯正工程を行う場合は、矯正工程後の鋼板が上述の引張強さを満足していれば本発明の効果を得ることができる。
上述したように転位が十分に導入されれば本発明の効果を得ることができるため、冷間圧延時の鋼板温度、圧下率、圧延ロール径など、冷間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の鋼組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
3.均熱処理工程
本発明における均熱処理工程は、上述した冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で均熱する工程である。
本発明は、均熱処理工程で進行する再結晶を抑制し、転位を残存させることを骨子としている。したがって、再結晶抑制効果が小さい場合には、均熱温度を通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度よりも著しく低温化する必要がある。通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインでの均熱処理を前提とすれば、炉温が下がり、かつ安定化するまでは均熱処理に供することはできない。さらに、一旦炉温を下げた後は、通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度まで炉温が上がり、かつ安定化するまでは、通常の無方向性電磁鋼板を均熱処理に供することもできない。これらのことから、再結晶抑制効果が小さい場合には、生産性を著しく低下させることが容易に想像できる。
本発明ではPと固溶Nb、Zr、Tiを共存させた状態で均熱処理に供することが可能であるため、再結晶を抑制する効果は従来技術を凌駕している。したがって、均熱処理工程での均熱温度が高くとも回復組織を得ることができ、特殊な均熱温度の機会を設ける必要がないため生産性を向上させることができる。具体的には、均熱温度が900℃以下であれば、所望の機械特性を得ることができる。機械特性の観点から好ましくは850℃以下、さらに好ましくは800℃以下である。均熱温度が低ければ低いほど再結晶進行が抑制されるが、鋼板の平坦が矯正されずに回転子に積層した場合の占積率が低下する場合がある。また、均熱温度が低い場合には鉄損増加に繋がる。さらに、均熱温度が低い場合には、上述のとおり生産性が著しく低下する。これらの観点から均熱温度の下限値を700℃とする。これらの均熱温度は通常の無方向性電磁鋼板で実施する範囲内であり、生産性を阻害することはない。また、従来技術を凌駕する再結晶抑制効果を有しているため、例えば700℃で均熱処理を実施した場合に得られる機械特性は、従来技術では600℃未満という特殊な均熱温度の機会を設けた場合にはじめて達成されるものに等しい。そのため本発明によれば、現行の生産性を維持したまま、製造可能な機械特性レベルの範囲を大幅に拡大可能である。
本発明は極めて再結晶抑制効果が高いことから、生産性の観点から均熱処理工程は連続焼鈍ラインにて実施する。箱焼鈍では、コイル状態で焼鈍に供されることに起因してコイルの巻きぐせ(コイルセットともいう)により鋼板の平坦度が低下したり、形状が劣化したりすることがあるため、均熱処理後に平坦度や形状を矯正する矯正工程が必要な場合があり、生産性が大幅に劣化するためである。
4.その他の工程
本発明においては、上記均熱処理工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁被膜を鋼板表面に塗布するコーティング工程を行うことが好ましい。また、コーティング工程は、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施す工程であってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
なお、本発明により製造される回転子用無方向性電磁鋼板については、上述した「A.回転子用無方向性電磁鋼板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例、参考例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1〜17、参考例1
下記の表1に示す鋼組成を有する鋼を真空溶製し、これらの鋼を1150℃に加熱し、仕上温度820℃で熱間圧延を行い580℃で巻取り、厚さが2.1mmの熱間圧延鋼板を得た。その後、熱延板焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。得られた冷間圧延鋼板に、種々の温度で20秒間保持する均熱処理を施した。
Figure 0005126788
[比較例1〜10]
上記表1に示す鋼組成を有する鋼を用いて、比較例1〜6および10については実施例1〜18と同様に熱延板焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。比較例7については、得られた熱間圧延鋼板に水素雰囲気中にて800℃で10時間保持する熱延板焼鈍を施し、一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。比較例8については、得られた熱間圧延鋼板に水素雰囲気中にて750℃で10時間保持する熱延板焼鈍後、1.0mmの中間板厚まで冷間圧延し、水素雰囲気中にて750℃で10時間保持する中間焼鈍を実施し、二回目の冷間圧延で0.35mmに仕上げた。比較例9については熱延板焼鈍を施すことなく、0.5mmの中間板厚まで冷間圧延した後、水素雰囲気中にて850℃で10時間保持する中間焼鈍を実施し、二回目の冷間圧延で0.35mmに仕上げた。得られた冷間圧延鋼板に、種々の温度で20秒間保持する均熱処理を施した。
[評価]
実施例1〜17、参考例1および比較例1〜10の鋼板について、均熱処理前における鋼板の機械特性、ならびに、均熱処理後の再結晶部分の面積比率、機械特性、磁気特性を評価した。
再結晶部分の面積比率は、100倍の倍率で撮影した鋼板の縦断面の光学顕微鏡写真を用い、視野中に占める再結晶粒の割合を算出した。
機械特性は、JIS5号試験片を用いた引張試験を行い評価した。均熱処理前における鋼板については引張強さ:TSにて、均熱処理後の鋼板については降伏点:YPおよび引張強さ:TSにて評価した。
磁気特性については、55mm角の単板試験片にて、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と、磁化力5000A/mでの磁束密度B50とを測定した。測定は圧延方向と圧延直角方向について実施し、それらの平均値を採用した。
表2に、実施例1〜17、参考例1および比較例1〜5の鋼板についての評価結果を示す。表3に、実施例1および比較例6〜10の鋼板についての熱延板焼鈍条件、冷間圧延条件、および評価結果をそれぞれ示す。
Figure 0005126788
Figure 0005126788
比較例1の鋼板はSi含有量が高いために冷間圧延時に破断した。比較例2の鋼板はAl含有量が高いために磁束密度が低かった。比較例3の鋼板はP含有量が高いために冷間圧延時に破断した。比較例4の鋼板はCおよびMnの含有量が高く、鋼組織がマルテンサイト組織であるために鉄損が著しく増大し、磁束密度も低かった。比較例5の鋼板はNb、ZrおよびTiの含有量が本発明範囲外であるために再結晶が抑制されず、再結晶部分の面積比率が高くなり降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例6の鋼板はP含有量が本発明範囲外であるため再結晶抑制効果が小さく、実施例1と同等の機械特性、磁気特性を達成するためには著しく均熱処理時の均熱温度を低温下する必要があり、生産性に劣るものであった。比較例7は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、熱延板焼鈍を実施したために再結晶抑制効果が著しく減少し、再結晶部分の面積比率が高くなり降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例8は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、熱延板焼鈍および中間焼鈍を実施したために再結晶抑制効果が著しく減少し、再結晶部分の面積比率が高くなり降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例9は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、中間焼鈍を実施したために再結晶抑制効果が著しく減少し、均熱処理前の機械特性も好ましくないために降伏点および引張強さともに劣っていた。比較例10は、本発明で規定する要件を満足する鋼組成であるものの、均熱処理時の均熱温度が高いために再結晶部分の面積比率が高くなり降伏点および引張強さともに劣っていた。
これに対して本発明で規定する要件を全て満足する実施例1〜17、参考例1の鋼板では、磁気特性・機械特性とも優れた値を示していた。また、均熱処理時の均熱温度が比較的高い条件であっても、再結晶抑制効果が大きいため優れた磁気特性、機械特性を有していることがわかった。さらに、実施例1と比較例6を比較することにより、本発明による鋼板が極めて再結晶抑制効果が大きく、従来技術では550℃という極めて特殊な温度で均熱処理を実施しなければ達成できない機械特性が、700℃という通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインで実施する程度の均熱温度で達成可能なことがわかった。また、実施例4および5を比較することにより、S含有量が変化しても機械特性は変化しないことがわかった。
Nb(=Nb/93−C/12−N/14)と引張強さとの関係を示す図である。 Nb(=Nb/93−C/12−N/14)>0でP含有量の異なる鋼の均熱温度と引張強さとの関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.06%以下、Si:1.0%以上4.0%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.04%以上0.25%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Nb、ZrおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)および(2)を満足する範囲で含有し、Nb含有量が0.02%超であり、残部がFeおよび不純物からなり、再結晶部分の面積比率が90%未満であることを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板。
    0<Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14) (1)
    Nb/93+Zr/91+Ti/48−(C/12+N/14+P/31)<-6×10 -4 (2)
    (ここで、式(1)および式(2)における、Nb、Zr、Ti、C、NおよびPはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
  2. 前記Feの一部に代えて、Vを1%以下含有することを特徴とする請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
  3. 前記Feの一部に代えて、Cu、Ni、Cr、Mo、CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1または請求項に記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Cu:8.0%以下 Ni:2.0%以下
    Cr:15.0%以下 Mo:4.0%以下
    Co:4.0%以下 W:4.0%以下
  4. 前記Feの一部に代えて、Sn、Sb、Se、Bi、Ge、TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Sn:0.5%以下 Sb:0.5%以下 Se:0.3%以下 Bi:0.2%以下
    Ge:0.5%以下 Te:0.3%以下 B:0.01%以下
  5. 前記Feの一部に代えて、Ca、MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記の質量%で含有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかに記載の回転子用無方向性電磁鋼板。
    Ca:0.03%以下 Mg:0.02%以下 REM:0.1%以下
  6. 請求項1から請求項までのいずれかに記載の鋼組成を備える鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施すことなく一回の冷間圧延を施すことにより、所定の板厚まで仕上げる冷間圧延工程と、
    前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板を700℃以上900℃以下で均熱する均熱処理工程と
    を有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
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