JP4586669B2 - 回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータ、ロボット、工作機械などのサーボモータといった高効率モータの回転子に用いられる無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。特に、高速回転する永久磁石埋め込み式モータの回転子として好適な優れた機械特性と磁気特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、多くの分野において省エネルギー、環境対策技術が進展している。自動車分野も例外ではなく、排ガス低減、燃費向上技術が急速に進歩している。電気自動車およびハイブリッド自動車はこれらの技術の集大成といっても過言ではなく、自動車駆動モータ(以下、単に「駆動モータ」ともいう。)の性能が自動車性能を大きく左右する。
駆動モータの多くは永久磁石を用いており、巻き線を施した固定子(ステータ)部分と永久磁石を配置した回転子(ロータ)部分とから構成される。最近では永久磁石を回転子内部に埋め込んだ形状(永久磁石埋め込み型モータ;IPMモータ)が主流となっている。また、パワーエレクトロニクス技術の進展により回転数は任意に制御可能であり、高速化傾向にある。したがって、鉄心素材は商用周波数(50〜60Hz)以上の高周波数域で励磁される割合が高まっており、商用周波数での磁気特性のみでなく、400Hz〜数kHzでの磁気特性改善が要求されるようになってきた。また、回転子は高速回転時の遠心力のみならず回転数変動にともなう応力変動を常時うけることから、回転子の鉄心素材には機械特性も要求されている。特に、IPMモータの場合には複雑な回転子形状を有することから、回転子用の鉄心材料には応力集中を考慮して遠心力ならびに応力変動に耐えうるだけの機械特性が必要となる。また、ロボット、工作機械用のサーボモータ分野でも、駆動モータと同様に回転数の高速化が今後進行していくと予測される。
従来、駆動モータの固定子は主に打ち抜き加工した無方向性電磁鋼板の積層により製造されていたが、回転子はロストワックス鋳造法あるいは焼結法などにより製造されることもあった。これは固定子には優れた磁気特性が、回転子には堅牢な機械特性が要求されることによる。しかしながら、モータ性能は回転子−固定子間のエアギャップに大きく影響されるため、上述の回転子では精密加工の必要性が生じ鉄心製造コストが大幅に増加するという問題があった。コスト削減の観点からは、打ち抜き加工した電磁鋼板を使用すればよいが、回転子に必要な磁気特性と機械特性とを兼備した無方向性電磁鋼板は見出されていないのが現状であった。
優れた機械特性を有する電磁鋼板としては、例えば特許文献1に、3.5〜7%のSiに加えて、Ti,W,Mo,Mn,Ni,CoおよびAlのうちの1種または2種以上を20%を超えない範囲で含有する鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化を利用している。しかしながら、固溶強化の場合には冷間圧延母材も同時に高強度化されるため冷間圧延が困難であり、またこの方法においては温間圧延という特殊工程が必須であることから、生産性向上や歩留まり向上など改善の余地がある。
また、特許文献2には、2.0〜3.5%のSi、0.1〜6.0%のMnに加えてBおよび多量のNiを含有し、結晶粒径が30μm以下である鋼板が提案されている。この方法では鋼の強化機構として固溶強化と結晶粒径微細化による強化とを利用している。しかしながら、結晶粒微細化による強化は比較的効果が小さいため、特許文献2の実施例に示されるようにSiを3.0%程度含有させた上に高価なNiを多量に含有させることが必須であり、冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
さらに、特許文献3および特許文献4には、2.0〜4.0%のSiに加えてNb,Zr,B,TiまたはVなどを含有する鋼板が提案されている。これらの方法ではSiによる固溶強化に加えてNb,Zr,TiまたはVの析出物による析出強化を利用している。しかしながら、このような析出物による強化は比較的効果が小さいため、特許文献3および特許文献4の実施例に示されるようにSiを3.0%程度させる必要があり、特に特許文献3の方法では高価なNiを多量に含有させることも必要となる。そのため冷間圧延時に割れが多発するという問題や、合金コスト増加という課題が残っている。
また、特許文献5および特許文献6には、SiおよびAlを0.03〜0.5%と制限した上でTi,NbおよびV、あるいはPおよびNiを含有する鋼板がそれぞれ提案されている。これらの方法では、Siによる固溶強化よりも炭化物の析出強化およびPの固溶強化を利用している。しかしながら、これらの方法では、後述する駆動モータの回転子として必要な強度レベルを確保することができないという問題や、特許文献5および特許文献6の実施例に示されているように2.0%以上のNi含有が必須であり、合金コストが高いという問題がある。
さらに、特許文献7には、Si:1.6〜2.8%であって、結晶粒径、内部酸化層厚み、および降伏点を限定した永久磁石埋め込み型モータ用無方向性電磁鋼板が提案されている。しかしながら、この方法による鋼板の降伏点では、高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
また、JIS C 2552に規定の無方向性電磁鋼板としては、いわゆる高グレード無方向性電磁鋼板(35A210,35A230など)が最も合金含有量が高く高強度であるが、機械特性レベルは上述の高張力電磁鋼板を下回っており高速回転する駆動モータの回転子としては強度不足である。
特開昭60-238421号公報 特開平1−162748号公報 特開平2−8346号公報 特開平6−330255号公報 特開2001−234302号公報 特開2002−146493号公報 特開2001−172752号公報
上述したように、無方向性電磁鋼板の高強度化手法として従来から提案されている固溶強化および析出強化では冷間圧延の母材も強化されてしまうことから冷間圧延時に割れが多発し、結晶粒微細化による高強度化ではその強化量が不十分であるため回転子用途として実用に耐える強度を実現することができない。また、本発明者らは変態強化についても検討を行ったが、変態強化ではマルテンサイト等の変態組織が鉄損を著しく増大させることが判明し、回転子用途として実用に耐える磁気特性を実現することができない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備する無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、回転子に適した磁気特性と機械特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の有するべき鋼組織について種々検討を行い、従来全く検討されていなかった加工硬化による高強度化に着目した。そして、加工時に導入される転位は鉄損に及ぼす影響が比較的小さいとの新知見を得て、従来の無方向性電磁鋼板の技術認識である完全な再結晶フェライト組織とは全く逆の技術思想に立脚して、鋼板の組織を多量の転位が残存した加工組織および回復状態の組織(以下、「回復組織」と称する)とすることにより、回転子に要求される磁気特性および機械特性が得られることを見出した。
さらに、回復組織を得るためには、Nb,Zr,TiおよびVの含有量を所定の範囲とすることが必要であることを見出し、これらの知見に基づいて、特願2004−183554明細書および特願2004−252395明細書にて高速回転するモータの回転子用として必要な優れた機械特性と磁気特性とを具備する無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提案している。
しかしながら、特願2004−183554明細書に記載の好適な態様および特願2004−252395明細書に記載の発明では、CおよびNの含有量を超える量のNb,Zr,TiおよびVを含有させることを必要としており、C含有量を低減することが求められるため、製造コストの観点からは改善の余地がある。また、さらなる高強度化の要求に対して検討の余地がある。
そこで、本発明者らは、C含有量が高くとも安定的に回復組織を得るための手法について詳細に検討し、Nb,Zr,TiおよびVの含有量がCおよびNの含有量以下であっても、最終の冷間圧延前に実施する焼鈍の条件を適正化することにより、最終の冷間圧延後に施す均熱処理中の転位の消滅および再結晶が抑制されることを見出した。さらに、Nb,Zr,TiおよびVがCおよびNの含有量を超えて含有されている場合には、さらなる高強度化が可能であるとの知見を得た。本発明はこれらの新知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0.02%以上含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し、かつ、最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に均熱処理を施し、再結晶部分の面積比率が90%未満の鋼板を得る均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、Nb,Zr,TiおよびVの含有量、ならびに、最終の冷間圧延前の鋼板に施す焼鈍の条件を適正に制御することにより、均熱処理中における転位の消滅および再結晶を抑制し、加工組織および回復組織を主体とする高強度の無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。このような鋼板の高強度化は、冷間圧延に供する鋼板、すなわち冷間圧延の母材の高強度化を伴うことがないので、冷間圧延時の破断を抑制することができるという利点を有する。さらに本発明によれば、所定の鋼組成を備える鋼塊または鋼片を用いることにより、機械特性だけでなく磁気特性も良好な無方向性電磁鋼板を得ることができる。したがって本発明によれば、従来のように高価な鋼成分を用いることも、特殊な工程を経ることもなく、例えば駆動モータの回転子として必要な磁気特性および機械特性を満足する回転子用無方向性電磁鋼板を安定して製造することができる。
また本発明においては、上記鋼塊または鋼片が、Nb、Zr、TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(1)を満足する範囲で含有することが好ましい。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
Nb、Zr、TiおよびVの含有量を上記範囲とすることにより、鋼板の強度をさらに向上させることが可能となるからである。
本発明によれば、高速回転するモータの回転子として必要な優れた機械特性と磁気特性とを兼備した無方向性電磁鋼板を、多大なコスト増加を招くことなく安定に製造することが可能である。そのため、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動モータ分野などにおける回転数の高速化に十分対応でき、その工業的価値は極めて高い。
本発明で言及する回転子に用いる電磁鋼板として必要な特性とは、第一に機械特性であり、降伏点および引張強さである。これは高速回転時の回転子の変形抑制のみならず、応力変動に起因する疲労破壊抑制を目的としている。近年の電気自動車、ハイブリッド自動車の駆動モータでは、回転子は250MPa程度の平均応力下で150MPa程度の応力振幅を受ける。したがって、変形抑制の観点から降伏点は400MPa以上、安全率を考慮すると500MPa以上を満たす必要がある。好ましくは550MPa以上である。また、上述の応力状態での疲労破壊を抑制する観点から引張強さは550MPa以上、安全率を考慮すると600MPa以上、好ましくは700MPa以上必要である。
また、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第二の特性は磁束密度である。IPMモータのようにリラクタンストルクを活用するモータでは回転子に用いられる材質の磁束密度もトルクに影響を及ぼし、磁束密度が低いと所望のトルクを得られない。
さらに、回転子に用いる電磁鋼板として必要な第三の特性は鉄損である。鉄損は不可逆な磁壁移動に起因するヒステリシス損失と、磁化変化に起因して発生する渦電流によるジュール熱(渦電流損失)とから構成され、電磁鋼板の鉄損はこれらの総和であるトータルの鉄損で評価される。回転子で発生する損失はモータ効率そのものを支配するものではないが、回転子の損失すなわち発熱により永久磁石が減磁するため、間接的にモータ性能を劣化させる。したがって、回転子に使用される材質の鉄損値の上限は永久磁石の耐熱温度の観点から決定され、固定子に使用される材質よりも鉄損値が高くとも許容されると想起される。
本発明者らはこれらの特性を満足する無方向性電磁鋼板について鋭意検討を行った。まず、上述の着想をもとに回転子に適した磁気特性と機械特性とを兼ね備えた無方向性電磁鋼板の有するべき鋼組織について種々検討を行った。その結果、固溶強化および析出強化では冷間圧延母材も高強度化されるため冷間圧延時の破断が避けられないこと、結晶粒微細化のみでは要求レベルの機械特性を達成できないこと、および、マルテンサイト等の変態組織では鉄損が著しく増大することが判明した。さらに、強化機構として加工硬化について検討した結果、加工時に導入される転位は鉄損に及ぼす影響が比較的小さいことが判明した。これらの結果から、従来の無方向性電磁鋼板の技術認識である完全な再結晶フェライト組織とは全く逆に、多量の転位が残存した加工組織および回復組織とすることにより、回転子に要求される磁気特性と機械特性とが達成されるとの知見を得た。
加工組織および回復組織は、所定の板厚への加工時に導入された転位を均熱処理時に消滅させることなく、あるいは消滅を抑制して残存させることにより得られる。そのため、固溶強化あるいは析出強化主体の従来技術とは異なり、冷間圧延母材の高強度化を伴うことなく高強度化が可能であり、冷間圧延時の破断を抑制できる。このような加工組織および回復組織を得るためには、通常冷間圧延後に行われる均熱処理での再結晶を抑制することが必要である。また、均熱処理時に再結晶を抑制するには、Nb,Zr,TiおよびVを含有させることが必要である。
特願2004−183554明細書に記載の好適な態様および特願2004−252395明細書に記載の発明においては、CおよびNの含有量を超える量のNb,Zr,TiおよびVを含有させることが必要であるが、本発明においてはNb,Zr,TiおよびVの含有量がCおよびNの含有量以下であっても、最終の冷間圧延前に実施する焼鈍の条件を適正化することにより、最終の冷間圧延後に施す均熱処理中の転位の消滅および再結晶を抑制することができる。さらに、Nb,Zr,TiおよびVがCおよびN含有量を超えて含有されている場合には、特願2004−183554明細書および特願2004−252395明細書に記載の発明に比べて、さらなる鋼板の高強度化が可能である。
以下、本発明を完成させるに至った知見について説明する。
主要成分が質量%でC:0.002%,Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%、S:0.002%であり、Nbの含有量を0.001〜0.15%と変化させた鋼と、主要成分が質量%でC:0.02%、Si:2.0%、Mn:0.2%、Al:0.3%、N:0.002%、P:0.01%、S:0.002%であり、Nbの含有量を0.001〜0.15%と変化させた鋼とに熱間圧延を施して板厚2.3mmとし、800℃で10時間保持する箱焼鈍あるいは1050℃で3分間保持する連続焼鈍の熱延板焼鈍を実施した。その後、板厚0.35mmまで冷間圧延し、700℃で0〜160秒間の種々の時間で保持する均熱処理を施した。そして、均熱処理後の鋼板の引張強さを測定した。
図1にC含有量が0.002%の鋼板で、熱延板焼鈍を800℃で10時間保持する箱焼鈍とした場合、図2にC含有量が0.002%の鋼板で、熱延板焼鈍を1050℃で3分間保持する連続焼鈍とした場合、図3にC含有量が0.02%の鋼板で、熱延板焼鈍を800℃で10時間保持する箱焼鈍とした場合、および、図4にC含有量が0.02%の鋼板で、熱延板焼鈍を1050℃で3分間保持する連続焼鈍とした場合についての、均熱処理の保持時間と均熱処理後の鋼板の引張強さとの関係をそれぞれ示す。
図1および図2より、C含有量が0.002%の鋼板では、Nbを積極的に含有させることによって均熱処理後に十分な引張強さを得ることができることが判明した。また、Nb含有量が比較的多い鋼板では、1050℃で3分間保持する連続焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合の方が、800℃で10時間保持する箱焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合よりも引張強さが増加することがわかった。鋼組織を調査した結果、Nbを積極的に含有させた鋼板は、熱延板焼鈍方法によらず均熱処理時に160秒間保持しても再結晶することはなかった。
また、図3より、C含有量が0.02%の鋼板に800℃で10時間保持する箱焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合には、Nbを積極的に含有させても、均熱処理の保持時間の増加とともに引張強さが急激に低下することが判明した。鋼組織を調査した結果、均熱処理の保持時間が40秒の段階で全ての鋼板が全面再結晶していた。
さらに、図4より、C含有量が0.02%の鋼板に1050℃で3分間保持する連続焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合には、Nbを積極的に含有させることによって、均熱処理の保持時間が短い場合には十分な引張強さが得られることがわかった。鋼組織を調査した結果、Nbを積極的に含有させた鋼板は、均熱処理の保持時間が40秒までは再結晶することはなかった。
次に、Nb,CおよびNの含有量により規定される下記式で示されるNbと、鋼板の引張強さとの関係について調べた。
Nb=Nb/93−C/12−N/14
(ここで、上記式中、Nb、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
800℃で10時間保持する箱焼鈍による熱延板焼鈍を実施した鋼板については、図1および図3から、Nb>0の場合にのみ十分な引張強さが得られることがわかった。鋼組織を調査した結果、Nb>0の場合にのみ再結晶が抑制されており、鋼組織は加工組織および回復組織であった。すなわち、800℃で10時間保持する箱焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合には、Nb>0の場合にのみ、転位の消滅および再結晶が抑制され、十分な強度を確保することができる。
これに対して、1050℃で3分間保持する連続焼鈍による熱延板焼鈍を実施した場合は、図2および図4から、Nb<0であっても、ある程度のNbを含有していれば、あるいは、均熱処理の保持時間が比較的短時間であれば、十分な強度を確保できることがわかった。また、Nb>0の場合は、さらなる高強度化が可能であることがわかった。
これらの理由については明確でないが、本発明者らは次のように推定する。
すなわち、Nb<0であっても十分な強度を確保できるのは、比較的高温で熱延板焼鈍を実施することによってNb系の析出物が再固溶し、実質的に固溶Nbによる転位の消滅および再結晶の抑制効果が得られたためであると推察される。また、Nb>0の場合にさらに強度が向上するのは、上記と同様に、比較的高温で熱延板焼鈍を実施することによってNb系の析出物が再固溶し、固溶Nbの量が増加したためであると推察される。さらに、析出物の再固溶によって生じた固溶Cと固溶Nbには相互作用があるとともに、転位と固溶C、転位と固溶Nbにも相互作用があるため、熱延板焼鈍条件およびNb含有量の適正化による転位の消滅を抑制する効果が、Nb含有量のみの適正化による転位の消滅の抑制効果よりも高くなり、このことがさらなる強度上昇に寄与したものと推察される。
また、Zr,TiおよびVについても上記と同様の検討を行い、それらの知見を合わせて、Nb,Zr,TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を適正量含有していれば、所定の条件で熱延板焼鈍を実施することにより、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)の値にかかわらず、転位の消滅および再結晶が抑制されると判明した。さらに、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0の場合には、所定の条件で熱延板焼鈍を実施することにより、転位の消滅および再結晶がさらに抑制されると判明した。
なお、上記式中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。
以上の説明は、一回の冷間圧延にて所望の板厚に仕上げる場合についての知見であるが、中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延にて所望の板厚に仕上げる場合には、最終の冷間圧延前に実施する中間焼鈍を所定の条件で実施すれば上述の効果を得ることができる。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0.02%以上含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し、かつ、最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に均熱処理を施し、再結晶部分の面積比率が90%未満の鋼板を得る均熱処理工程とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法における鋼塊または鋼片、および各工程について説明する。
1.鋼塊または鋼片
本発明に用いられる鋼塊または鋼片は、質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下を含有し、Nb、Ti、ZrおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0.02%以上含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものである。
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである
以下、鋼組成について説明する。
(1)C
CはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVにより、冷間圧延後の均熱処理において進行する転位の消滅および再結晶の進行を抑制するためには、C含有量は低減することが好ましい。しかしながら、過度のC含有量の低減は製鋼コストが増加する点や、C含有量が多くても最終の冷間圧延前に所定の条件で焼鈍を施すことにより析出物を再固溶させれば冷間圧延後の均熱処理中における転位の消滅および再結晶を抑制する効果が得られる点を鑑み、C含有量の上限値は0.06%とする。好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。C含有量が0.01%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので、さらなる高強度化と製造コストの観点から望ましい。
(2)Si
Siは電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果を有する元素である。しかしながら、多量のSiを含有させた場合には冷間圧延時の割れを誘発し、鋼板の歩留まり低下により製造コストが増加する。そのためSi含有量は3.5%以下とする。また、割れ抑制の観点からは3.0%以下が好ましい。一方、Siを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Alを脱酸剤として使用する場合もあるため、Si含有量の下限値は特に限定しない。固溶強化による鋼板の高強度化という観点からは下限値を1.0%とすることが好ましい。
(3)Mn
MnはSiと同様に電気抵抗を高め、渦電流損失を低減する効果がある。しかしながら、Mnを多量に含有させると合金コストが増加するため、Mn含有量の上限は3.0%とする。一方、Mn含有量の下限はSを固定する観点から定められるものであり、0.05%とする。
(4)Al
Alは電気抵抗を高めるためSiと同様に渦電流損失を低減する。しかしながら、多量にAlを含有させると合金コストが増加するとともに、飽和磁束密度低下により磁束の漏れが発生するためモータ効率が低下する。これらの観点からAl含有量の上限は2.5%とする。一方、Alを脱酸剤として使用する場合は0.01%以上含有させることが必要であるが、Siを脱酸剤として使用する場合があるため、Al含有量の下限値は特に限定しない。固溶強化による鋼板の高強度化という観点からは、望ましい下限値は0.2%である。
(5)P
Pは固溶強化により鋼板の強度を高める効果があるが、多量にPを含有する場合には冷間圧延時の割れを誘発する。そのためP含有量は0.30%以下とする。
(6)S
Sは鋼中に不可避的に混入する不純物であるが、製鋼段階で低減するにはコストが増加するためS含有量としては0.04%を上限とする。
(7)N
NはNb,Zr,TiまたはVと結びついて析出物を形成するため、固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の減少に繋がる。したがって、固溶Nb,Zr,TiおよびVによって最終の冷間圧延後に施す均熱処理中における転位の消滅および再結晶を抑制するためには、N含有量は低減することが好ましい。しかしながら、N含有量が多くてもNb,Zr,TiおよびVの含有量をそれに応じて増加させれば固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量は確保できる点を鑑み、N含有量の上限は0.02%とする。好ましくは0.01%以下である。N含有量が0.005%以下であれば、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0なる条件を満たすのに必要なNb,Zr,TiおよびVの含有量が少なくてすむので、さらなる高強度化と製造コストの観点から望ましい。
(8)Nb,Zr,TiおよびV
均熱処理中の転位の消滅および再結晶を抑制し、加工組織および回復組織を得ることによって回転子に必要な機械特性と磁気特性とを得るためには、析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有させることが必要である。本発明においては、上述したように最終の冷間圧延前の焼鈍の条件を適正化することによって、Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)の値にかかわらず転位の消滅および再結晶を抑制できるため、Nb,Zr,TiおよびVの含有量としては上述したCおよびNの含有量を考慮する必要はないが、最終の冷間圧延前に所定の条件で焼鈍することにより析出物を再固溶させ、それにより均熱処理中の転位の消滅および再結晶を抑制し、加工組織および回復組織を得るため、Nb,Zr,TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0.02%以上含有させることが必要である。
また、転位の消滅および再結晶の抑制には、Nb,Zr,TiおよびVのなかでも、固溶Nbと固溶Tiの影響が特に大きいため、NbあるいはTiを積極的に含有させることが好ましい。Nb含有量は0.02%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.03%以上である。Ti含有量は0.01%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.02%以上である。
さらに、均熱処理中における転位の消滅および再結晶を効果的に抑制し、さらなる高強度化を達成するには、Nb,Zr,TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を下記式(2)を満足する範囲で含有させることが好ましい。
Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)>0 (2)
(ここで、式(2)中、Nb,Zr,Ti,V,CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
上記式(2)の左辺は、Nb,Zr,TiおよびVの含有量とCおよびNの含有量との差を表しており、この値が正であることは、炭化物、窒化物または炭窒化物といった析出物を形成していない固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有していることに対応する。本発明においては、最終の冷間圧延前に所定の条件で焼鈍することによって析出物を再固溶させることから、上記式(2)は、上記の所定条件での焼鈍前からすでに固溶した状態のNb,Zr,TiまたはVを含有することを示すものである。
固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量が多ければ多いほど転位の消滅および再結晶を抑制する効果は大きくなり、加工組織または回復組織を得るには有効である。しかしながら、過度に固溶Nb,Zr,TiおよびVを含有する場合には、熱間圧延時にも転位の消滅および再結晶が抑制されるため、鋼板表面に凹凸欠陥を生じる場合がある。また、冷間圧延時に割れが生じる場合もある。固溶Nb,Zr,TiおよびVの含有量の上限値はこのような観点から定められ、Nb,Zr,TiおよびVを下記式(1)で示される範囲で含有させることが好ましい。
0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10-3 (1)
(ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
また、硫化物を考慮すると固溶状態のNb,Zr,TiおよびVの含有量はS含有量にも影響される。しかしながら、上述したS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSによる影響は認められなかったため、本発明においてはSの項を省略した上記式(1)を採用した。Sの影響が認められなかった理由は明確でないが、凝固末期のSが濃化した領域からMnSとなって晶出するなどしてMnによりSが固定されたためと考えられる。
(9)その他
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で上述した元素以外の元素を含有させることが可能である。
本発明においては、再結晶粒径の細粒化ではなく再結晶そのものを抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、この再結晶抑制効果を損なわない範囲でCu,Ni,Cr,Mo,CoおよびWからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることができる。これらの元素は鋼板を高強度化する作用を有するので、鋼板の強度をさらに高めるのに有効である。
Cuは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。しかしながら過度にCuを含有させると表面疵や冷間圧延時の割れの発生につながるため、Cu含有量は0.01%以上8.0%以下とすることが好ましい。表面疵の観点から、好ましくは1.0%以下である。
NiおよびMoは過度に含有させると冷間圧延時の割れの発生やコスト増加につながるため、Ni含有量は0.01%以上2.0%以下、Mo含有量は0.005%以上4.0%以下とすることが好ましい。
Crは鋼板の固有抵抗を増加し、鉄損を低減する効果がある。また耐食性を改善する効果も有する。しかしながら過度にCrを含有させるとコストが増加するため、Cr含有量は0.01%以上15.0%以下とすることが好ましい。
CoおよびWは、過度に含有させるとコストが増加するため、Co含有量は0.01%以上4.0%以下、W含有量は0.01%以上4.0%以下とすることが好ましい。
また、本発明は再結晶を抑制することにより磁気特性と機械特性の両立を図っているため、粒界偏析により再結晶を抑制して高強度化に寄与するSn,Sb,Se,Bi,Ge,TeおよびBからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有させることができる。これらの元素を含有させる場合には、熱間圧延での割れの発生およびコスト増加を抑制する観点から、各元素の含有量をSn:0.5%以下、Sb:0.5%以下、Se:0.3%以下、Bi:0.2%以下、Ge:0.5%以下、Te:0.3%以下、B:0.01%以下とすることが好ましい。
さらに、本発明で規定するS含有量の範囲内では再結晶抑制効果に及ぼすSの影響は認められなかったため、硫化物の形態制御による磁気特性改善を目的としてCa,MgおよびREMからなる群から選択される少なくとも1種を含有させることができる。
ここで、REMとは、原子番号57〜71までの15元素、ならびにScおよびYの2元素の合計17元素をさす。
これらの元素を含有させる場合、各元素の含有量はCa:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下が好ましい。
また、本発明は、再結晶組織を前提とした従来技術とは異なり、多くの転位が残存した加工組織および回復組織とすることにより強度を高めるものであるから、再結晶組織を前提とした従来技術において制限されていた元素の含有をより高いレベルまで許容することができる。例えば、Ta,Hf,As,Au,Be,Zn,Pb,Tc,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Cd,HgおよびPoを総和で0.1%以下含有することができる。
2.熱間圧延工程
本発明における熱間圧延工程は、上述した鋼組成を備える鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう)に熱間圧延を施す工程である。
本工程においては、上述した鋼組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を行ってもよい。
スラブ温度は特に限定されるものではないが、コストおよび熱間圧延性の観点から1000〜1300℃とすることが好ましい。より好ましくは1050〜1250℃である。
また、熱間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、例えば仕上げ温度が700〜950℃、巻き取り温度が750℃以下など、一般的な条件に従って行えばよい。
熱間圧延鋼板は、通常、熱間圧延の際に鋼板表面に生成したスケールを酸洗により除去してから冷間圧延に供される。熱間圧延鋼板に後述する熱延板焼鈍を施す場合には、熱延板焼鈍前あるいは熱延板焼鈍後のいずれかにおいて酸洗すればよい。
3.冷間圧延工程
本発明における冷間圧延工程は、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し、かつ、最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施す工程である。このような冷間圧延工程を行うことにより、鋼板を所定の板厚に仕上げるとともに、目的とする強度を得るために必要な転位を導入する。
ここで、「最終の冷間圧延前の鋼板」とは、中間焼鈍を行わずに一回のみ冷間圧延を熱間圧延鋼板に施して製品板厚に仕上げる場合には、熱間圧延鋼板を意味し、また中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を熱間圧延鋼板に施して製品板厚に仕上げる場合には、最終の冷間圧延前の冷間圧延鋼板を意味する。
なお、後述する均熱処理工程後に冷間加工を施すことにより製品の機械特性や板厚などを調整する場合があるが、その冷間加工は冷間圧延ではなく、上記の冷間圧延の回数には数えない。
また、「最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施す」とは、中間焼鈍を行わずに冷間圧延を一回のみ行う場合には、熱間圧延鋼板に所定の条件で熱延板焼鈍を施すことを意味し、また中間焼鈍をはさんで二回以上の冷間圧延を行う場合には、最終の冷間圧延前の冷間圧延鋼板に所定の条件で中間焼鈍を施すことを意味する。すなわち、本発明においては、中間焼鈍を行わずに冷間圧延を一回のみ行う場合には、熱延板焼鈍条件を適正化し、また中間焼鈍をはさんで二回以上の冷間圧延を行う場合には、最終の冷間圧延前の中間焼鈍の条件を適正化することにより、均熱処理中における転位の消滅および再結晶を抑制することができる。
本発明においては、最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施すことが必要である。すなわち、中間焼鈍を行わずに冷間圧延を一回のみ行う場合には熱延板焼鈍にて、あるいは、中間焼鈍をはさんで二回以上の冷間圧延を行う場合には最終の冷間圧延前の中間焼鈍にて、850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を実施する。焼鈍温度が上記範囲未満であると、析出物を固溶させるために必要な時間が長時間化するため生産性に劣り、焼鈍温度が上記範囲を超えると、設備に過度の負荷がかかるとともに鋼板表層にスケールが形成し、酸洗不良により製品の表面性状が劣化する。また、保持時間が上記範囲未満であると析出物の固溶が不十分となるため本発明の効果が得られず、保持時間が上記範囲を超えると鋼板表層にスケールが形成し、酸洗不良により製品の表面性状が劣化する。転位の消滅および再結晶の抑制効果を向上させるには、焼鈍温度が900℃以上であり、保持時間が30秒以上であることが好ましい。より好ましい保持時間は60秒以上である。
最終の冷間圧延前に実施する焼鈍を連続焼鈍としたのは、連続焼鈍では焼鈍後の冷却速度が箱焼鈍の場合よりも大きいため、固溶した析出物が冷却中に再析出するのを抑制できるからである。無方向性電磁鋼板の熱延板焼鈍に使用する連続焼鈍ラインでの冷却速度が一般的に採用されている範囲であれば本発明の効果を得ることができる。好ましい冷却速度の下限値は、冷却中の再析出を抑制する観点と、冷却時間の長時間化を抑制する観点とから、10℃/sとする。再析出抑制の観点からは冷却速度は大きければ大きいほど好ましいため、冷却速度の上限は特に限定しないが、設備への過度の負荷を抑制する観点からは100℃/s以下が好ましい。水冷設備、ロール冷却設備など、上述の値よりも大きな冷却速度を有する設備を用いても構わない。
本工程においては、一回の冷間圧延で所定の板厚まで仕上げてもよく、中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延によって仕上げてもよい。生産性の観点から、0.35mmまでの製品板厚であれば、熱延板焼鈍を実施した後に一回の冷間圧延で所望の板厚まで仕上げるのが好ましく、0.35mm未満のように製品板厚が薄い場合には、中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延で仕上げるのが好ましい。
十分に転位が導入されれば本発明の効果を得ることができるため、冷間圧延時の鋼板温度、圧下率、圧延ロール径など、冷間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の鋼組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
また、中間焼鈍を行わずに冷間圧延を一回のみ行う場合は、熱間圧延鋼板に所定の条件で熱延板焼鈍を施す必要があるため熱延板焼鈍は必須の工程となるが、中間焼鈍をはさんで二回以上の冷間圧延を行う場合は、冷間圧延前に熱延板焼鈍を行ってもよく行わなくてもよい。熱延板焼鈍を行う場合には、鋼板の延性が向上し冷間圧延での破断を抑制できるという利点を有する。
中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を行う場合であって、冷間圧延前に熱延板焼鈍を行う場合には、最終の冷間圧延前の中間焼鈍の条件を適正化すればよいので、熱延板焼鈍時の焼鈍温度、保持時間、方法(連続焼鈍・箱焼鈍)など、熱延板焼鈍の各種条件は特に限定されるものではなく、熱間圧延鋼板の鋼組成などにより適宜選択するものとする。また、二回以上の中間焼鈍を行う場合には、上述したように最終の冷間圧延前の中間焼鈍の条件を適正化すればよいので、最終の冷間圧延前の中間焼鈍以外の中間焼鈍については、中間焼鈍時の焼鈍温度、保持時間、方法(連続焼鈍・箱焼鈍)など、中間焼鈍の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の鋼組成などにより適宜選択するものとする。
4.均熱処理工程
本発明における均熱処理工程は、上述した冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に均熱処理を施し、再結晶部分の面積比率が90%未満の鋼板を得る工程である。
再結晶部分の面積比率は回転子に必要な機械特性を確保する観点から定まるものである。高速回転時の変形抑制の観点から、再結晶部分の面積比率は90%未満となる。好ましくは70%以下である。疲労破壊を抑制する観点からは40%以下が好ましく、さらに好ましくは25%未満である。機械特性の観点からは再結晶部分の面積比率は低いほど好ましく、再結晶部分の面積比率をゼロとし、完全に未再結晶状態(加工組織および回復組織)とすることが好ましい。
ここで、再結晶部分の面積比率とは、本発明により得られる回転子用無方向性電磁鋼板の縦断面組織写真において視野中に占める再結晶粒の割合を示すものであり、この縦断面組織写真をもとに測定することができる。縦断面組織写真としては、光学顕微鏡写真を用いることができ、例えば100倍の倍率で撮影した写真を用いればよい。
本発明は、均熱処理で進行する再結晶を抑制し、転位を残存させることを骨子としている。したがって、再結晶抑制効果が小さい場合には、均熱温度を通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度よりも著しく低温化する必要がある。通常の無方向性電磁鋼板の連続焼鈍ラインでの均熱処理を前提とすれば、炉温が下がり、かつ安定化するまでは均熱処理に供することはできない。さらに、一旦炉温を下げた後は、通常の無方向性電磁鋼板の均熱温度まで炉温が上がり、かつ安定化するまでは、通常の無方向性電磁鋼板を均熱処理に供することもできない。これらのことから、再結晶抑制効果が小さい場合には、生産性を著しく低下させることが容易に想像できる。
本発明においては、Nb,Zr,TiおよびVの含有量、ならびに最終の冷間圧延前の鋼板に施す焼鈍条件を適正化するものであるため、再結晶を抑制する効果が大きい。上述した図4に例示するように、C含有量が多い場合であっても、通常の無方向性電磁鋼板の均熱処理条件で転位の消滅および再結晶の抑制効果が十分に発揮される。したがって、均熱処理工程での均熱温度が高くとも加工組織および回復組織を得ることができ、特殊な均熱温度の機会を設ける必要がないため生産性を向上させることができる。
具体的には、均熱処理工程の均熱温度が820℃以下であれば、所望の機械特性を得ることができる。機械特性の観点から好ましくは780℃以下、さらに好ましくは750℃以下である。この均熱温度は通常の無方向性電磁鋼板で実施する範囲内であり、生産性を阻害することはない。均熱温度が低ければ低いほど再結晶進行が抑制されるが、均熱温度が低すぎると鋼板の平坦が矯正されずに回転子に積層した場合の占積率が低下する場合がある。また、均熱処理により冷間圧延したままの状態よりも鉄損を改善する効果もあることから、均熱温度が低すぎる場合には鉄損増加につながる。さらに、均熱温度が低すぎる場合には、上述のとおり生産性が著しく低下する。そこで、平坦矯正および鉄損改善の観点から、好ましい均熱温度の下限値を500℃とする。さらに好ましくは600℃以上である。
均熱処理は、箱焼鈍および連続焼鈍のいずれの方法で実施してもよいが、生産性の観点からは連続焼鈍ラインにて実施することが望ましい。箱焼鈍では、コイル状態で焼鈍に供されることに起因してコイルの巻きぐせ(コイルセットともいう)により鋼板の平坦度が低下したり、形状が劣化したりすることがあるため、均熱処理工程後に鋼板の平坦度や形状を矯正する矯正工程を行うことが好ましい。
なお、高温での均熱処理により再結晶が進行し、それに起因して機械特性が低下した場合には、工程増加はやむを得ないが均熱処理工程後に加工して強度を確保してもよい。
5.その他
本発明においては、上記均熱処理工程後に、一般的な方法に従って、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁皮膜を鋼板表面に塗布するコーティング工程を行うことが好ましい。環境負荷軽減の観点から、クロムを含有しない絶縁皮膜を塗布しても構わない。また、コーティング工程は、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施す工程であってもよい。接着能を発揮するコーティング材料としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはメラミン樹脂などを用いることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
下記表1に示す鋼組成を有する鋼を真空溶製し、これらの鋼を1150℃に加熱し、仕上げ温度を820℃、巻き取り温度を580℃として熱間圧延を行い、厚さが2.0mmの熱間圧延鋼板を得た。これらのうち、鋼A〜Hの熱間圧延鋼板に対して、熱延板焼鈍を省略するか、箱焼鈍または連続焼鈍による熱延板焼鈍を実施し、一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。その後、700℃の焼鈍温度で30秒間保持する連続焼鈍による均熱処理を施した。下記表2に熱延板焼鈍条件を示す。
得られた鋼板の磁気特性、機械特性、および再結晶部分の面積比率を調査した。
機械特性は、圧延方向を長手方向としたJIS5号試験片を用いた引張試験を行い、降伏点:YP、引張強さ:TSにて評価した。磁気特性としては、JIS C 2550に準じて試験片を採取し、最大磁束密度:1.0T、励磁周波数:400Hzでの鉄損W10/400と磁化力5000A/mでの磁束密度B50とを測定した。再結晶部分の面積比率は、100倍の倍率で撮影した縦断面光学顕微鏡写真を用い、視野中に占める再結晶粒の割合を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0004586669
Figure 0004586669
Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明の範囲外である鋼AおよびEを使用した試験番号1-1〜1-3および1-13〜1-15の鋼板は、均熱処理中の再結晶を抑制することができないため、熱延板焼鈍条件によらず機械特性が劣っていた。Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明の範囲内である鋼B,CおよびDを使用した試験番号1-4〜1-12の鋼板では、熱延板焼鈍条件が本発明で規定する条件を満足する場合のみ、均熱処理中の再結晶が抑制され、優れた機械特性を得ることができた。Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が、本発明で規定する好ましい範囲(0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10−3)である鋼F、GおよびHを使用した試験番号1-16〜1-24の鋼板では、熱延板焼鈍が本発明で規定する条件を満足する場合に、機械特性が向上した。
[実施例2]
実施例1に記載の熱間圧延鋼板のうち、鋼DおよびHの熱間圧延鋼板に対して、下記表3に示す種々の熱延板焼鈍条件および中間焼鈍条件にて、中間板厚を1.0mmとする二回の冷間圧延を施し、板厚0.27mmまで仕上げた。その後、700℃の焼鈍温度で30秒間保持する連続焼鈍による均熱処理を施した。
得られた鋼板について、実施例1と同様の方法で、磁気特性、機械特性、および再結晶部分の面積比率を調査した。結果を表3に示す。
Figure 0004586669
Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明の範囲内である鋼Dを使用した試験番号2-1〜2-6の鋼板では、最終の冷間圧延前の焼鈍である中間焼鈍が本発明で規定する条件を満足する場合のみ、均熱処理中の再結晶が抑制され、優れた機械特性が得られた。Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明で規定する好ましい範囲(0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10−3)である鋼Hを使用した試験番号2-7〜2-12の鋼板では、最終の冷間圧延前の焼鈍である中間焼鈍が本発明で規定する条件を満足する場合に、機械特性が向上した。
[実施例3]
実施例1に記載の熱間圧延鋼板のうち、鋼D,H,I,J,K,LおよびMの熱間圧延鋼板に対して、下記表4に示す種々の条件で熱延板焼鈍を実施した。次いで、試験番号3-16以外については一回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。試験番号3-16は、中間板厚を1.0mm、中間焼鈍を1000℃で1分間保持する連続焼鈍とした二回の冷間圧延にて板厚0.35mmまで仕上げた。その後、これらの鋼板に対して種々の温度で30秒間保持する連続焼鈍による均熱処理を施した。なお、鋼Lを用いた試験番号3-16について二回冷延とした理由は、冷間圧延時の破断を抑制するためである。
得られた鋼板について、実施例1と同様の方法で、磁気特性、機械特性、および再結晶部分の面積比率を調査した。結果を表4に示す。
Figure 0004586669
Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明の範囲内である鋼Dであっても、試験番号3-1および3-2のように熱延板焼鈍時の温度および時間が本発明の範囲外である場合には再結晶の進行を抑制することができず、機械特性が劣っていた。また、試験番号3-6のように均熱温度が過度に高い場合には、再結晶が進行するため機械特性に劣っていた。
Nb,Ti,ZrおよびVの含有量が本発明で規定する好ましい範囲(0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10−3)である鋼Hでは、熱延板焼鈍を本発明で規定する条件で実施することにより、同一の均熱温度であっても機械特性が向上した。
試験番号3-13の鋼板は、Si含有量が高いために冷間圧延時に破断した。試験番号3-14の鋼板は、Al含有量が高いために磁束密度が低かった。試験番号3-15の鋼板は、P含有量が高いために冷間圧延時に破断した。試験番号3-16の鋼板は、CおよびMnの含有量が高く、鋼組織がマルテンサイト組織であるために鉄損が著しく増大し、磁束密度も低かった。試験番号3-17の鋼板は、Nb,Zr,TiおよびVの含有量が本発明で規定する好ましい範囲を超えているために冷間圧延時に破断した。
上述の実施例1〜3より、一回の冷間圧延で所望の板厚に仕上げる場合であっても、中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延で所望の板厚に仕上げる場合であっても、鋼組成および最終の冷間圧延前に実施する焼鈍条件を本発明範囲とした場合に、回転子に要求される磁気特性、機械特性を満足した無方向性電磁鋼板が得られることがわかった。
C含有量が0.002%の鋼板で、熱延板焼鈍を800℃で10時間保持する箱焼鈍とした場合の、均熱処理の保持時間と均熱処理後の鋼板の引張強さの関係を示す図である。 C含有量が0.002%の鋼板で、熱延板焼鈍を1050℃で3分保持する連続焼鈍とした場合の、均熱処理の保持時間と均熱処理後の鋼板の引張強さの関係を示す図である。 C含有量が0.02%の鋼板で、熱延板焼鈍を800℃で10時間保持する箱焼鈍とした場合の、均熱処理の保持時間と均熱処理後の鋼板の引張強さの関係を示す図である。 C含有量が0.02%の鋼板で、熱延板焼鈍を1050℃で3分保持する連続焼鈍とした場合の、均熱処理の保持時間と均熱処理後の鋼板の引張強さの関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.06%以下、Si:3.5%以下、Mn:0.05%以上3.0%以下、Al:2.5%以下、P:0.30%以下、S:0.04%以下、N:0.02%以下、Cu:8.0%以下、Ni:2.0%以下、Mo:4.0%以下、Cr:15.0%以下、Co:4.0%以下、W:4.0%以下、Sn:0.5%以下、Sb:0.5%以下、Se:0.3%以下、Bi:0.2%以下、Ge:0.5%以下、Te:0.3%以下、B:0.01%以下、Ca:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下、ならびにTa,Hf,As,Au,Be,Zn,Pb,Tc,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Cd,HgおよびPoを総和で0.1%以下を含有し、Nb、Zr、TiおよびVからなる群から選択される少なくとも1種の元素を合計で0.02%以上かつ下記式(1)を満足する範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼塊または鋼片に、熱間圧延を施す熱間圧延工程と、前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に一回または中間焼鈍をはさむ二回以上の冷間圧延を施し、かつ、最終の冷間圧延前の鋼板に850℃以上1200℃以下の温度で10秒間以上5分間以下の連続焼鈍を施す冷間圧延工程と、前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に均熱処理を施し、再結晶部分の面積比率が90%未満の鋼板を得る均熱処理工程とを有することを特徴とする回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法。
    0<Nb/93+Zr/91+Ti/48+V/51−(C/12+N/14)<5×10 -3 (1)
    (ここで、式(1)中、Nb、Zr、Ti、V、CおよびNはそれぞれの元素の含有量(質量%)を示す。)
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