JP2005200755A - 無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.004%以下、Si:1.5〜4%、Mn:0.1〜2%、P:0.2%以下、S:0.002%以下、Al:0.1〜3%、N:0.003%以下、O:0.003%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.003%以下、Ca:0.005%以下を含有し、さらに鋼中のSn,Sb,SiおよびAlが下記式1および式2を満足し、残部が実質的にFe及び不純物からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程と、上記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す工程と、上記熱延板焼鈍を施した熱延鋼板に一回または中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施す工程と、上記冷間圧延により得られる冷延鋼板に焼鈍を施す工程とを備える無方向性電磁鋼板の製造方法。鋼塊または鋼片の等軸晶率を30%以上とし、熱延鋼板の厚さを2.5mm以下とし、熱延板焼鈍の焼鈍温度を750℃以上1100℃以下とする。Sn+Sb≦0.1% (1), Si+Al≧2% (2)
【選択図】なし
Description
Sn+Sb≦0.1% (1)
Si+Al≧2% (2)
(式(1)中および式(2)中において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの元素の含有量を質量%で表した数値である。)
Sn+Sb≦0.1% (1)
Si+Al≧2% (2)
なお、上記式(1)および式(2)において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの元素の含有量を質量%で表した数値である。
・C
鋼中のCは、200℃程度の低温時効により炭化物(セメンタイト、εカーバイド)を鋼中に形成し、鋼の磁気特性劣化の原因となることから、なるべく低減することが重要である。鋼中C含有量が0.004%を超えると、時効による鋼の磁気特性劣化が生じる。したがって、鋼中C含有量は、0.004%以下に限定する。
鋼中のSiは、鋼の比抵抗を高めることから鋼の鉄損低減に有効である。しかしながら、鋼中Si含有量が1.5%未満では鋼の鉄損が十分に低減できない。一方、鋼中Si含有量が4%を超えると冷間圧延時に鋼板が破断しやすくなり製造コストが著しく増大する。したがって、鋼中Si含有量は、1.5%以上4%以下とする。なお、鋼の鉄損をより一層低減するためには鋼中Si含有量は、2%以上であることが好ましい。
鋼中のMnは、鋼の比抵抗を高めることから鋼の鉄損低減に有効である。しかしながら、その効果はSiの効果より小さい。鋼中Mn含有量が0.1%未満になるとMnSが鋼中に微細に分散して鋼の鉄損が劣化する。一方、鋼中Mn含有量が2%を超えると、原料コストが大きくなる。したがって、鋼中Mn含有量は、0.1%以上2%以下に限定する。
Pは鋼中の不純物であり、熱延鋼板の靱性を低下させることから、鋼中P含有量はなるべく低減するのが好ましい。鋼中P含有量が0.2%を超えると鋼の靱性が著しく劣化し、冷間圧延時に鋼板が破断する。したがって、鋼中P含有量は0.2%以下に限定する。一方、Pは鋼の磁束密度を向上させるという作用を有することから、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑えて、高磁場での鋼の磁束密度を改善するために、P含有量を0.03%以上0.12%以下にすることが好ましい。
Sは鋼中の不純物であり、添加する必要はない。鋼中S含有量が0.002%を超えると微細なMnSが鋼中に形成され、鋼の鉄損が劣化する。したがって、鋼中S含有量は0.002%以下に限定する。なお、鋼の鉄損をより一層低減するためには、鋼中S含有量を0.001%以下にすることが好ましい。
鋼中のAlは、Siと同様に鋼の比抵抗を高めることから、鋼の鉄損低減に有効である。また、Alは鋼の脱酸に有効であり、鋼の清浄度を高めて熱延鋼板の靱性を高めるのに重要である。しかし、鋼中Al含有量が3%を超えると鋼の飽和磁束密度が著しく低下し鋼の鉄心性能が劣化する。一方、鋼中Al含有量が0.1%未満ではAlNが鋼中に微細に分散して鋼の鉄損が低下する。したがって、鋼中Al含有量は0.1%以上3%以下に限定する。なお、より一層熱延鋼板の靱性を改善するには、鋼中Al含有量を1%以上2.5%以下にすることが好ましい。さらに、鋼中Si含有量および鋼中Al含有量の合計は2%以上に限定する。鋼中Si含有量および鋼中Al含有量の合計が2%未満であれば、鋼板の比抵抗が十分大きくならずに渦電流損が増大するからである。
Nは、鋼中の不純物であり、添加する必要はない。鋼中N含有量が0.003%を超えるとAlN,TiNが鋼中に多数析出し、鋼の磁気特性が劣化する。したがって、鋼中N含有量は0.003%以下に限定する。
Oは鋼中の不純物元素であり、本発明においては極力低減することが不可欠である。鋼中O含有量が0.003%を超えると熱延鋼板の靱性が劣化し、冷間圧延時に破断しやすくなる。したがって、鋼中O含有量は0.003%以下に限定する。なお、本発明における鋼中O含有量は、無方向性電磁鋼板の表面にある絶縁コーティングを研磨により完全除去した鋼板を用いて分析した量とする。
Bは、本発明において必須の元素ではない。しかしながら、鋼中B含有量を0.0003%以上とすることで熱延鋼板の靱性が向上し、冷間圧延時に破断しにくくなる。一方、鋼中B含有量が0.0050%を超えると粗大なB化合物が鋼中に生成し、却って冷間圧延時に破断する恐れがある。したがって、鋼中B含有量は0.0050%以下に限定する。なお鋼板製造性の観点より、鋼中B含有量は0.0003%以上0.0030%以下にすることが好ましい。
Tiは、鋼中に炭化物、窒化物、硫化物を形成し、鋼の磁気特性を劣化させると共に熱延鋼板の靱性を低下させることから、なるべく低減する必要がある。鋼中Ti含有量が0.003%を超えるとTi系析出物が鋼中に分散して熱延鋼板の靱性が劣化する。したがって、鋼中Ti含有量は0.003%以下に限定する。
Caは、本発明では必須の元素でない。しかしながら、鋼中Ca含有量を0.001%以上とすることにより鋼中の硫化物、酸化物等が粗大化することから、鋼の鉄損低減に有効な元素である。一方、鋼中Ca含有量が0.005%を超えると熱延鋼板の靱性が劣化する。したがって、鋼中Ca含有量は0.005%以下に限定する。なお、鋼の鉄損をより一層低減するには鋼中Ca含有量を0.001%以上0.003%以下とすることが好ましい。
Sn,Sbは、少量添加することで無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、鋼中のSn,Sbの合計含有量が0.1%を超えると熱延鋼板の靱性を著しく低下させる。したがって、鋼中のSn,Sbの合計含有量を0.1%以下に限定する。なお、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑え、磁気特性を改善するためには、鋼中のSn,Sbの合計含有量を0.01%以上0.03%以下にすることがより好ましい。
本発明においては、冷間圧延性を改善するためには鋼塊または鋼片の等軸晶率を高めることが重要である。その効果を十分得るには、等軸晶率30%以上が必要である。また、等軸晶率を高める具体的な方法としては、一般に知られている溶鋼の電磁攪拌、鋳造時の溶鋼過加熱温度(=鋳込み温度−凝固温度)の低減等がある。なお、鋼塊または鋼片の等軸晶率は、鋳造方向に対し垂直なスラブ断面でかつスラブ幅中央部で観察される等軸晶部分の面積率から算出するものとする。
本発明における熱間圧延としては通常の方法を用いることができるが、冷間圧延における割れ破断を抑制するためには、粗圧延の段階で圧下率25%以上の強圧下圧延を1パス以上行うことが好ましい。
Si含有量が高く不純物成分の少ない熱延鋼板は、冷間圧延において割れ易い。冷間圧延における割れは、熱延鋼板の厚さと強い相関がある。例えば、熱延鋼板の厚さが2.5mmを超えると、冷間圧延における破断率が著しく高くなる。したがって、熱延鋼板の厚さは2.5mm以下に限定する。さらに好ましくは、2.3mm以下である。また、鋼の磁気特性をより一層向上させるためには、熱延鋼板の板厚は2.0mm以下が好ましい。また、冷間圧延時の割れ防止に対して、熱延鋼板の板厚下限は特に必要ない。ただし、板厚を薄くすると磁気特性は改善される傾向にあるが、一方で熱延鋼板の表面積が増加し、酸洗能率が低下する。酸洗能率を重視すれば、熱延鋼板の板厚下限は0.8mmとするのが好ましい。
本発明において、熱延板焼鈍は、鋼板の磁気特性を向上させるための必須工程である。熱延板焼鈍温度が750℃未満では熱延焼鈍板の結晶粒径が小さくなることから、磁気特性に有利な集合組織が発達しない。したがって、最終製品の磁気特性が低下する。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると熱延焼鈍板の結晶粒径が大きくなりすぎることから、冷間圧延において破断しやすくなる。したがって、熱延板焼鈍温度は、750℃以上1100℃以下に限定する。
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tonを取鍋内に出鋼し、その取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。その後、RH式真空脱ガス装置で溶鋼の減圧脱炭を行い、溶鋼中C濃度を0.005%以下とした後に、Si,Mn,P,S,Al,B,Ca,Sn,Sbの成分を調整し、連続鋳造機にてスラブとした。表1に各スラブ(鋼A〜鋼P)の成分分析値を示す。表1の成分分析値の単位は質量%である。表1に示すように、鋼A〜鋼Gはいずれの鋼成分も本発明の限定範囲内にあり、鋼H〜鋼Pは鋼中のいずれかの鋼成分が本発明の限定範囲から外れている。なお、鋼Pは、Si含有量とAl含有量の合計が0.2%未満であることから、本発明の限定範囲から外れている。
実施例1〜実施例8においては、いずれも冷間圧延時の破断がなく、かつ、鋼板の鉄損W15/50が2.3W/kg未満の良好な値となった。一方、等軸晶率が本発明の限定範囲未満である比較例1,2の鋼板、熱延鋼板厚さが本発明の限定範囲を超える比較例3,4の鋼板および熱延板焼鈍温度が本発明の限定範囲を超える比較例6の鋼板は、冷間圧延時に破断した。また、熱延板焼鈍温度が本発明の限定範囲未満である比較例5の鋼板は、磁気特性が著しく劣化した。さらに、熱延板焼鈍を省略した比較例7〜9の鋼板は、熱延板焼鈍処理を施した同一成分の鋼板よりも磁気特性が劣化した。また、鋼成分であるTi,O,B,Ca,Snのいずれかの含有量が本発明の限定範囲を超えている比較例11,12,15,17の鋼板は、冷間圧延時に破断した。さらに、鋼成分のN,Mn,Al,S,(Si+Al)のいずれかの含有量が本発明の限定範囲外である比較例10,13,14,16,18,19の鋼板は、磁気特性が劣化した。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.004%以下、Si:1.5%〜4%、Mn:0.1%〜2%、P:0.2%以下、S:0.002%以下、Al:0.1%〜3%、N:0.003%以下、O:0.003%以下、B:0.0050%以下、Ti:0.003%以下、Ca:0.005%以下を含有し、さらに鋼中のSn,Sb,SiおよびAlが下記式(1)および式(2)を満足し、残部が実質的にFe及び不純物からなる鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す工程と、前記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施す工程と、前記熱延板焼鈍を施した熱延鋼板に一回または中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施す工程と、前記冷間圧延により得られる冷延鋼板に焼鈍を施す工程とを備える無方向性電磁鋼板の製造方法であって、前記鋼塊または鋼片の等軸晶率を30%以上とし、前記熱延鋼板の厚さを2.5mm以下とし、さらに前記熱延板焼鈍の焼鈍温度を750℃以上1100℃以下とすることを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
Sn+Sb≦0.1% (1)
Si+Al≧2% (2)
(式(1)中および式(2)中において、Sn,Sb,SiおよびAlは、それぞれの元素の含有量を質量%で表した数値である。)
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